当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、一部地域に対する緊急事態宣言の再発出等により、経済の先行きに注意を要する状況が継続しております。一方で、国内のワクチン接種状況が進展するなど、経済活動の回復への道筋も徐々に見え始めております。
同感染症の世界的流行は、経済活動の制約となっておりますが、当社では、これを新たな生活様式や社会構造、産業構造へのドラスティックな変化への契機と考えております。我々エネルギー事業者も、このようなパラダイムシフトを背景としたお客様の新たなニーズを把握し事業を迅速に再定義することが、企業の持続的成長に必要不可欠であります。また、新型コロナウイルスに端を発する経済停滞は、ウイルス同様に世界規模で人類に影響を及ぼす地球温暖化について、企業に脱炭素化の方向性を持つ喫緊の取り組みを迫り、カーボンニュートラル社会実現に向けた新たな成長戦略を描こうという全世界的な潮流を確かなものとしました。
社会課題へのソリューションを提供し、地域社会に必要とされる会社であることは、持続的な企業価値成長の前提です。当社は、パートナーシップによる「共創」でESGに取り組み、経済性と社会性を両立させ、中長期的な企業価値の向上を目指すというサステナビリティに関する方針を有しております。この方針の下、投下資本利益率(ROIC)を強く意識して効率性の高い資産にバランスシートを組み替え、オープンイノベーションによるデジタル化でCO2排出量の削減や労働力不足といった新たな社会課題の解決を図りながら、株主パフォーマンス(ROE)の更なる向上に努めております。当社のマテリアリティ(重要な課題)のなかで、特に解決のハードルが高いと考えている「脱炭素社会への対応」については、2030年には、当社のLPG託送サービスを業界各社に利用してもらうことにより業界全体のCO2排出量を約50%削減すること、非化石由来の電源調達、自動車のEV化に適応したメニュー開発やガスと電気のハイブリット給湯器の普及促進等により、世帯あたりのCO2排出量を約50%削減することを目標として設定しております。2050年までにCO2ネットゼロ達成に向けた取り組みも、同時に進めてまいります。
当社は、本年5月、世界最大級のLPガスハブ充填基地「夢の絆・川崎」の竣工に合わせ、デジタルツイン化システムである「ニチガスツインon DL*」を開発し、運用を開始いたしました。(*:DLはディープ・ラーニングの略語)
「ニチガスツインon DL」は、IT戦略パートナーであるフューチャー株式会社と当社が共同で開発したものであり、LPガス事業に関わるコンベア、充填機、ボンベ及び車両などのIoTリアルデータや物理的な資産をサイバー空間上に再現することで、直接現地に行かなくても状態を把握したり、操作したりすることを可能にしたシステムであり、一般的にはサイバーフィジカルシステムと呼ばれるものです。これにより、LPガス事業における製造(充填)、配送、在庫、需要という一連のサイクルから収集したデータを、サイバー空間上でAIがディープ・ラーニングしながら分析・処理し、作業効率を飛躍的に改善することが可能になります。結果、LPガス事業のコスト負担と環境負荷を更に低減させることができます。当社は、配送、容器管理、メーター管理、検針、保安業務等のLPG事業関連サービスをプラットフォームとして他事業者に提供する「LPG託送サービス」を開始いたしますが、「ニチガスツインon DL」は、当該サービスの共創環境のベースシステムとなるものです。LPG託送サービスの提供、つまり、DX実装による他事業者との協業は、業務効率化によるコスト削減、人的リソース確保や働き方改革等へのメリットを当社と他事業者で共有することであり、株主利益とESGの両立をエネルギー業界で目指すものです。
このような最先端テクノロジーを駆使した一連の取り組みは、来たるデータドリブン社会を想定し、各自が所有するプライベートデータを、プライバシーを担保してプラットフォーム上で共有する事が共創の大前提であるとの認識の下での、戦略的な無形資産投資であります。社会の共有物であるビッグデータを個社の利益の為に使うのではなく、エネルギー業界全体で競業・協業にかかわらず共有連携し、自前主義から脱却し、パートナーシップによってイノベーションによる地域貢献を目指すものであります。言い換えれば、LPガス事業において、テクノロジーによる情報の民主化でSDG16の「平和と公正を全ての人に」を実現し、他社とのアライアンスでSDG17「パートナーシップで目標を達成しよう」も果たし、新たな共創価値の実現を目指そうとするものです。当社はこれからも、ICTの取り組みの成果を他事業者との差別化(競争)に使用するのではなく、むしろ他事業者との共創の原資として、多様化する地域課題に向き合い、持続的成長のスピードを速め、真のエネルギー自由化に向けた挑戦を続けてまいります。
事業革新とDX推進の下、LPガス事業については、当期においても最優先事業として位置づけ、資産の収益性を高めながら経営資源を投入しております。ニューノーマル時代に入り、非対面でのバーチャル営業も積極的に展開し、営業活動でもデジタルを活用した次世代のコミュニケーション方法を進めております。電力事業も同じく最優先のコア事業と位置付けております。顧客基盤の拡大においては、その商品性に合ったファミリー層を中心に、ガスとセットで顧客数を伸ばしながら、収益も伴った形で堅調な成長を遂げております。当社は、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが進展する過程において、近い将来、電力需要量が急速に増大するものと考えております。このような将来の経営環境の変化の中でも持続的に成長できる企業であり続けるため、当社の強みである東京電力グループとのパートナーシップを活かし、事業ポートフォリオのハイブリッド化を進めてまいります。具体的には、LPガス事業だけでなく電気事業も重点戦略分野として適切に経営資源を配分し、ガスと電気のセット率を更に高め、新たなメニュー開発やガスと電気のハイブリッド給湯器等の販売に注力してまいります。電気事業の成長促進に力を注ぐことは、ともすれば従来のコア事業であり主たる利益の源泉であるガス販売量を減らすことにもつながり、当社にとって「不都合な真実」であるとも言えます。しかし、このような事実は、視点を変えて反対側からも見れば、リスクは事業機会として映ります。そのため自らに変革を促し、常に変わり続け、更なる企業価値の創造に邁進してまいります。
当第1四半期連結累計期間におきましては、売上高は34,697百万円(前年同期比1,076百万円増)、売上総利益は15,842百万円(同△417百万円減)、営業利益は2,565百万円(同△1,156百万円減)、経常利益は2,577百万円(同△1,226百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,772百万円(同△869百万円減)となりました。
前期と比較して、売上が1,897百万円、売上総利益・営業利益・経常利益が852百万円減少した大きな理由は、主力ビジネスのLPガス及び電力事業において、当期首から「収益認識に関する会計基準等」を適用したことによるものであります。同基準の適用により、収益認識基準が「検針日基準」から「期末日基準」に変更され、第1四半期の収益対象期間が4~6月検針期間(3月上旬~6月上旬)から4月1日~6月末日に変更、ガス・電気使用量が多い3月上旬から3月末日までの売上は損益計算書に反映されず、貸借対照表の期首剰余金に取り込まれ、3月上旬から3月末日の期間と比較して使用量が少ない6月中旬から6月末日までの売上が当期間に計上されたことが要因です。詳細については、「第4 経理の状況 注記事項(会計方針の変更等)」をご参照下さい。
当期間のセグメント別の概況は次のとおりであります。
[LPガス事業] (附帯事業としてLP機器・工事の他、プラットフォーム事業等を含む)
LPガス事業セグメントは、LPガス事業による売上が14,499百万円(前年同期比44百万円増)、売上総利益が9,293百万円(同△629百万円減)、附帯事業による売上が2,538百万円(同144百万円増)、売上総利益が816百万円(同78百万円増)となりました。
LPガス事業における収益認識に関する会計基準による影響は、売上1,273百万円、売上総利益898百万円の減少であり、同基準適用前のLPガス事業による前年同期と比較して当第1四半期の売上は1,317百万円、売上総利益は268百万円増加しております。当該売上及び売上総利益の増加は、従来と変わらぬお客様数の積み重ね(前年同期末比較33千件増)に加え、業務用ガスの回復、4月に適正なタイミングで実施した価格改定の効果によるものであります。また、附帯事業による売上総利益の増加は、新都市ガスプラットフォーム事業の拡大の他、ガス器具のBtoBデジタルオーダーシステムである「タノミマスター」の収益等、各プラットフォーム事業の成果によるものです。
[電気事業]
電気事業セグメントの売上は4,459百万円(前年同期比1,659百万増)、売上総利益は562百万円(同345百万円
増)となりました。
電気事業による売上及び売上総利益の増加は、既存のガス利用のお客様を中心にセット販売で順調に顧客を積み重ねていることによるものです。電気のセット率は前期末13.7%から当期末14.8%に上昇、前期末より2万件増加の24万件となりました。なお、電気事業については、収益認識に関する会計基準の適用により①再生可能エネルギー固定価格買取制度に基づく賦課金について売上及び原価を認識しなくなったこと、②前期までセット割引額を電気事業のみで負担していたが、当期からLPガス及び都市ガスにも負担させたこと、③収益認識期間の変更をしたことにより、売上599百万円減少、売上総利益が69百万円増加しております。
[都市ガス事業] (附帯事業として都市ガス機器・工事等を含む)
都市ガス事業セグメントは、都市ガス事業による売上が11,838百万円(前年同期比△802百万円減)、売上総利益が4,878百万円(同△243百万円減)、附帯事業による売上が1,361百万円(同31百万円増)、売上総利益が291百万円(同31百万円増)となりました。
都市ガス事業による売上及び売上総利益の減少は、前期と比較して暖かな気候及びコロナによる巣ごもり需要の影響が薄まったことによる家庭用ガスの販売量の減少によるものです。なお、都市ガス事業については、ガス事業会計規則に則り、前期同様、収益認識を「検針日基準」で実施しておりますため、収益認識会計基準による売上及び売上総利益影響は電気とのセット割引を当期から新たに負担した24百万円の減少のみとなります。
当社は、株主資本の収益率、すなわちROEを高めることを目的として、まずは、資産の収益性を高めるべく、新たに投下資本利益率(ROIC)をKPIとして設定し、その向上に努めております。具体的には、収益性の高い資産(LPガスとIT)に集中して資本を投下しながら、一方で低収益資産を売却する等をしてバランスシートの中身を入れ替え、総資産規模を膨らますことなく資産の収益力を向上させております。
当期末の資産の部は、140,489百万円と前期末比368百万円増(0.3%増)とほぼ同規模を保っております。同期間の資産の主要な増加は、当社の企業価値向上戦略に欠かすことのできない、通信技術トップランナーであるソラコム社の株式を取得したことによるものです。ソラコム社との協業で生まれたガスメーターをオンライン化する仕組みであるスペース蛍は、既にほぼ全ての当社のLPガス顧客に設置が完了、ガス使用量のリアルタイム把握がスタートしております。
同期末の負債の部は、71,026百万円と前期末比248百万円の増加(0.4%増)、純資産の部は69,462百万円と前期末比120百万円の増加(0.2%増)とほぼ同規模を保っております。純資産の部が同規模となったのは、親会社株主に帰属する四半期純利益とあわせ、収益認識基準の適用により2,009百万円の利益剰余金をとりこみましたが、配当、自己株式の取得と株主還元をすすめたためです。
自己資本比率は49.4%となり、計画通り適切な財務バランスを維持しております。
当期末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末とほぼ同額の12,858百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュフローは、5,318百万円の収入(前年同期比3,309百万円増加)となりました。増加の要因は、法人税等の支払いの減少(同2,702百万円増加)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュフローは、4,171百万円の支出(前年同期比 △264百万円増加)となりました。前期は「夢の絆・川崎」等の有形固定資産投資や、M&A等の無形固定資産投資をいたしましたが、当期は戦略的保有目的の有価証券投資を実施いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュフローは、698百万円の支出(前年同期3,469百万円収入)となりました。支出の要因は借入返済の増加及び自己株式の取得、配当金の支払の増加によるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。