第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社は経営理念として、①地域社会に対する貢献、②企業の持続的成長を目指す、③人的資源の尊重を掲げております。

 

(2)経営環境及び経営方針・戦略等

地球温暖化、天災の発生増加や激甚化、ロシアによるウクライナ侵攻等を踏まえた社会情勢は、上流から下流までの一貫して安定したエネルギー供給が当然のものではなくなったことを明らかにしました。また、メタバースの仮想空間テクノロジーやNFT(※1)、スマートコントラクト(※2)等の技術の進化、コロナが後押ししたデジタルの急速な浸透は、事業の在り方を従来の中央監視型モデルから地域分散型モデルへと大きくシフトさせております。

このように大きく変化する経営環境のもと、当社は、「エネルギーソリューション」へとビジネスを進化させます。これからの地域社会に最も必要なのは再生可能エネルギーや、今後急増が予想される電気自動車(EV)の利用を前提としながら、災害時でもエネルギーを自立的に供給できるレジリエントな分散型のエネルギーシステムの構築です。従来のガスや電気を仕入れて販売するという事業モデルを刷新し、電気とガスをセットでお客さまにご提供することを前提に太陽光発電設備、蓄電池としてのEV等の分散型エネルギー源設備(DER)を提供して各家庭のスマートハウス化を推進し、その上で、広く地域社会に対して最適なエネルギー利用を提案することを目指します(“NICIGAS 3.0”)。このビジネスモデルの実現は、カーボンニュートラルやTCFD 、SDGs等の社会課題に対応しながら当社の企業価値を中長期的に向上させる一番の近道でもあると考えております。

エネルギーソリューションに向けた第一歩として、今年2月に「でガ割007」をリリースしました。この商品は、非化石電源の活用によりCO₂排出量を実質ゼロとし、EVユーザーに蓄電のメリットがある電気の新料金メニューです。加えて、太陽光発電設備や蓄電池、ハイブリッド給湯器のご家庭のお客さまへの提供も開始しております。当社は、エネルギーのラストワンマイルを担う企業として、エネルギーソリューションの実現を通じ、他社とのパートナーシップによる共創で新たな形で地域社会に貢献し、中長期的に企業価値を向上してまいります。

※1 非代替性トークン(Non Fungible Token)のこと。アート等のデジタルデータをブロックチェーン上にのせることで、本データが偽造できない鑑定書や所有証明書の機能を持つ。これによりデジタルデータが資産的価値を持つことができるようになり、売買市場の形成につながっている。

※2 ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み。イーサリアム等多くの仮想通貨で実装されている。

 

(3)資本政策

当社はROEを財務上の最重要KPIと設定し、これを高めることを経営の重要課題としております。なぜならROEが株主の皆さまにとっての投資利回りであり、経営にとってはお預かりした株主資本をどれくらいの効率で増やせたかを表す指標と認識しているからです。当社は、25/3期にROE20%を達成する計画です。


 

ROE向上に向け、バランスシートのコントロールを重視しております。資産(の運用)サイドでは、規模を大きく増やさず、その内容を、Cashを生まない資産である現預金や本社等から、LPガスやICT等の「高収益資産」に入れ替え、資産の収益性/ROICを高めております。また資産を使わない事業では電気事業に注力し、人的リソースの配分を高めて事業を強化し、ガスと電気のセット率を高めております。これらの施策を通じ、ROICを切り上げてまいります。資本の調達サイドでは、適正自己資本比率を設定し、この水準を超える株主資本(不要な資本)を株主の皆さまからお預かりせず適切に借入を活用することで、ROICの向上をダイレクトにROEにつなげる計画です。

還元については、20/3期以降、総還元性向ほぼ100%の水準を続けております。これは、積極的な投資を行いながらも不要な資産を売却、資産を圧縮して資産全体の規模を抑えているため、株主資本を積み増す必要がないからです。また還元の方法については、配当の割合を高める方針です。

 

(4)サステナビリティへの対応

気候変動、人的資本、多様性等のサステナビリティへの対応は、中長期の企業価値向上の前提と考えております。当社はこれらの取組みについて、統合報告書等で情報開示を進めております。

 

①重要な課題(マテリアリティ)

当社は、中長期的に企業価値成長に影響を与え得る重要な課題をマテリアリティとして特定し、それぞれの重点テーマに関し、リスク対応と機会の創出を図っております。
<当社の重要な課題(マテリアリティ)>

・脱炭素社会への対応

・公正・公平な社会の構築

・地域社会の基盤づくり

・人材の育成とダイバーシティ推進

・ガバナンスの強化

 

②気候変動、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応

当社はCO₂削減という社会課題に対し、ラストワンマイルを担う企業として責任を果たす方針です。他社とのパートナーシップによる共創で業界全体の排出量を削減しながら、エネルギーソリューションへと事業を進化させ、中長期的企業価値の向上と2050年までのCO₂排出ネットゼロを目指します。

 

当社の気候変動に関する取組みを、TCFDの枠組みにもとづいてお伝えしております。

<ガバナンス>

気候変動関連のリスクや機会の評価、目標設定、その進捗の確認について、取締役会の諮問委員会である「ESG経営推進委員会」で専門性の高い議論を行い、その内容を、四半期に1回、取締役会に報告・提案し、取締役会で議論しております。


 

<リスク管理>

上記ガバナンス体制において気候変動関連リスクや機会を評価し、各取組みの進捗を管理しております。各取組みの具体的な内容は1.5°C、2°Cおよび4°Cシナリオにおける事業環境の想定にもとづく戦略を踏まえ、ESG経営推進委員会を経て取締役会で特定しました。

シナリオ

事業環境へのインパクト

1.5℃、2℃シナリオ

・エネルギー規制が大きく進むことによる脱炭素関連需要増

・炭素税等の導入による原料コスト増

・自然エネルギーへの対応、化石燃料の需要減

・脱炭素の対応遅れによる事業機会の喪失や信頼低下リスク増

4℃シナリオ

・エネルギー規制は限定的

・気候変動による自然災害は増加

 

 

<事業戦略(リスクと機会)>

短期:今後3年程度、中期:2030年まで、長期:2050年までとして時間軸を分けて分類し、企業価値を向上しながら気候変動に対応するための戦略を検討しております。当社は迅速な意思決定で事業機会に取り組みます。


 

<指標と目標>

当社は、2030年までを目途としたCO₂削減目標として、①LPガス業界のCO₂排出量(LPG託送による):約▲50%、②世帯あたりCO₂排出量:約▲50%、③削減貢献量:約145万t-CO₂(2030年時点)の3つを設定しております。

 

③人的資本、多様性に関する取組み方針

エネルギーソリューションへと進化し、新たな形で地域社会に貢献するには、内部・外部環境の変化に対応し、挑戦し続けるグループ全従業員の力が不可欠です。当社は、多様なバックグラウンドや人生の目的を持つ、従業員一人ひとりの価値を最大限に引き出しながら中長期での企業価値向上につなげてまいります。

<具体的な取組み>

■多様な働き方の導入

従業員一人ひとりが能力や生活スタイル、人生の目的、ステージに合わせて柔軟に働き、自らの価値を最大限に引き出せるよう、多様な働き方を導入しております。

・働き方改革

・ジョブ型雇用制度の導入(高度人材向け)

・新規専任職制度

・副業の推進

・女性に加え、男性の育休制度の導入(※20223月期実績:9名取得)

■人材の育成

従業員一人ひとりが環境の変化に対応し、挑戦するマインドを持つために各種研修を実施しております。IT/DX研修を通じた広い知識の習得や、ガス機器研修による営業知識の向上を図り、新たな価値の創出につなげております。

・各種研修(基礎研修・営業研修・IT/DX研修等)

・営業力強化(ガス機器研修等)

・社外ビジネススクールへの派遣

・他社との人材交流

・武者修行プラン(IT等のベンチャー企業への派遣)

■ダイバーシティ推進

多様化する地域社会で必要とされるサービスを提供するためには、様々な考えを持った従業員一人ひとりが主体的に考え、それぞれの視点で議論を深め、補完し合いながら会社を進化させることが重要と考えております。この考えのもと、多様な人材が特性を活かし、意欲を持って能力を発揮できる環境の整備に注力しております。

・女性の活躍推進

2025年度末までの管理職比率目標:10%(20223月期実績:約5%)

・中途採用人材の活躍推進

・外国籍の方の活躍推進

・若い世代の活躍推進

・障がいのある方の活躍推進

■公正な評価と処遇

失敗を恐れず挑戦するマインドと結果を重視しております。加えて優秀な人材ほど流動性が高いという認識のもと、成果を出した従業員のモチベーションアップにつなげるべくインセンティブ制度を整備しております。

・従業員向け株式報酬制度

・営業インセンティブ制度

 

※サステナビリティに関する取組み詳細は、「2021-2022年統合報告書」をご覧ください。 

 

 

https://www.nichigas.co.jp/ir/library/annual/ 

 


 

 

 

2【事業等のリスク】

当該事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)リスク管理体制

当社は、リスクとは当社事業や業績にネガティブな影響を及ぼす可能性がある一方、企業価値につながり得る不確実性のことと認識しています。グループリスク管理委員会にて全社横断的にリスクを特定し、ネガティブな可能性には対策を講じ、機会には機動的な意思決定を行うことで新たな収益源の創出を図っております。中長期的に事業や業績に影響を与え得る課題については、ESG経営推進委員会(取締役会の諮問委員会)で専門性の高い議論を行った上で、取締役会にてマテリアリティとして項目を特定、全社対応方針を議論・決定しております(上記、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、(4)サステナビリティへの対応、①重要な課題(マテリアリティ)をご参照ください)。

 

<ガバナンス体制:グループリスク管理委員会>


 

(2)主要なリスク

①原料等の安定調達

当社はラストワンマイルでお客さまにエネルギーをお届けしており、輸入などの上流の事業は行っておりません。そのため他社からガスや電源等のエネルギーを調達する必要があります。

これに対して当社は、エネルギー毎にパートナーと調達関係を構築し、各エネルギーを安定的に調達しております。

 

LPガス

国内のLP ガス調達は輸入を前提としております。そのため原産国の政情等に起因する原料価格変動、為替レート変動の影響を受けます。これに対して当社は、複数の地域や取引先から調達を行い、リスクを分散しております。また、原料価格と為替レートの変動は販売価格へ転嫁が可能であり、中長期的に業績に大きな影響を与えません。

■都市ガス(LNG

当社は東京電力グループとの広範なアライアンス関係に基づき、同グループから都市ガスの原料を安定的に調達しております(一部除く)。また原料費の変動は「原料費調整制度」により、最大で5ヶ月後にはガス料金に反映されることとなっております(ただし、会計年度を超えて料金に反映される場合があるため、年度によっては原料費の変動が利益に影響する場合があります)。

■電源

当社は発電設備を保有しておらず外部から電源を調達する必要があります。当社は、都市ガスと同様、東京電力グループとの広範なアライアンス関係に基づき、販売する電源の全てを同グループから安定調達しております。卸電力市場の価格変動時も安定した利幅を確保することが可能です。

 

②事業環境の変化によるガス需要の減少

ガス販売量減少に対して当社は、お客さま件数を増やすとともに、ガスと電気のハイブリッドでお客さまにエネルギーをご提供し、電気販売量を増やすことで業績への影響をカバーしてまいります。中長期では、電気とガスをセットでご提供することを前提に太陽光発電設備、蓄電池としてのEV等の分散型エネルギー源設備(DER)を提供して各家庭のスマートハウス化を推進し、その上で、広く地域社会に対して最適なエネルギー利用を提案する、エネルギーソリューションへと事業を進化させてまいります。

<ガス需要に係るリスク>

・低炭素社会におけるガス販売量への影響

当社がお届けするLPガス・都市ガスは化石燃料であり、低炭素社会化への動きの中で需要が減少、販売量が影響を受ける可能性があります。

・気候変動によるガス販売量への影響

気温の上昇は、給湯・暖房向け需要を減らすため、ガス販売量の減少につながります。

・省エネ機器普及と電化によるガス販売量への影響

省エネ機器の普及と電化の浸透は世帯あたりガス販売量の減少につながります。

 

③大規模災害

台風、水害、地震等の災害が発生した場合、エネルギーの安定供給に支障を来す可能性があります。これに対して当社は、下記の各観点から対策を講じております。

■災害への事前対策

LPガスでは、マイコンメーター(※1)を100%設置、感震遮断弁設置のほか、張力式放出防止ホース(グラピタ)(※2)を標準仕様としております。都市ガスでは、業界に先駆けて耐震性に優れたポリエチレン製の導管の使用を進めてきました。当社では本支管の全て、グループ全体では99%がポリエチレン製の導管への入れ替えを完了しております。また平時より、災害マニュアル作成、定期的に実施する防災訓練、グループ会社間の広域支援体制確立、災害発生時に備えた緊急措置、緊急対応要員、緊急用資機材整備等、有事に迅速かつ安全な対応をなし得る体制を整えております。更に当社グループ全社が保有するガス設備に関する教育・訓練を行い、効率的な自社メンテナンス体制を確立し、安全・安定的にガスを提供しております。

※1 地震発生時等、異常発生時に自動でガスを止める機能を持つガスメーターのこと

※2 ボンベが転倒した際等、外部へのガス放出を防止する高圧ホースのこと

■災害発生時(緊急時対応・復旧対策)

大規模地震発生時はガスを自動停止、ガス供給設備の安全を確認し、異常が確認された場合は速やかに対応します。震度5以上では従業員が出動し、自主点検を行っております。災害時には優先電話等を確保し、お客さまからの連絡に対応します。スマホや衛星電話等で被害情報を迅速に収集・共有し、集めた情報にもとづき災害対策本部からの人員配置指示のもと早期の復旧対応を行っております。迅速な復旧対応への準備として、工事会社やメーカー等の協力会社と、災害時復旧対応の協力体制も確立しております。また、昨今の豪雨被害増加に伴い、ドローンによる上空からの設備状況点検の仕組みも導入しております。有事のエネルギー源の確保では、主要拠点にLPガスで稼働する自家発電機を整備、太陽光発電設置営業所では、災害時にEVバイク用のバッテリー(交換式)を緊急時の電源とし、地域の皆さまにもご利用いただける体制を整備しております。

■分散型エネルギー・スマートシティへの取組み

LPガスは災害に強い分散型エネルギーです。災害等でガスが遮断された場合も、各家庭に設置されたガスの供給設備に異常がないことが確認でき次第、早期の復旧が可能です。病院や学校等、災害発生時に速やかな復旧が求められる重要施設をあらかじめ把握し、優先的に供給再開します。通常、各お客さま宅にはボンベが2本設置されており、ガスが備蓄されている状態です。そのため、万が一の場合もガスボンベを備蓄エネルギーとして、そのままご使用いただくことが可能です。中長期では、太陽光や蓄電池、EV等の分散型電源を普及して広く分散型エネルギーネットワークを構築し、地域社会のエネルギーの最適利用を実現してまいります。

 

④感染症

感染症拡大は、当社の営業活動や安定的なエネルギーのご提供に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、お客さま・社員・取引先の健康と安全を第一に考え、グループリスク管理委員会を中心に感染予防や拡大防止対策を講じます。新型コロナへの対応では、時差通勤・在宅勤務・直行直帰の導入、毎日の体調把握や健康相談アプリを用いた体調管理、感染者発生の場合のBCP対策、原料や物流状況のモニタリング等を徹底、当社オペレーションに対する影響への管理を行いました。お客さまとのコミュニケーションや営業面では、YouTubeを使ったガス機器販売イベント等、コロナ禍で新たな方法を用いたコミュニケーションの構築に努めております。

 

⑤情報管理

当社は、事業活動を通じてお客さまの個人情報をお預かりしており、適切な管理は重要な責務です。万が一、情報漏洩が発生した場合は、当社の信用の失墜や損害賠償責任等、業績に影響が生じる可能性があります。これに対して当社は、個人情報保護法、各関係法令に則った「個人情報保護方針」、「情報セキュリティ基本方針」および社内規程を制定し、役員・社員(嘱託・パート含む)、当社が業務を委託する取引先を含めた関係者を対象に教育や研修を実施、適切な情報管理の徹底に努めております。加えて、部門横断的に情報管理を推進する体制「情報セキュリティ対策チーム」を設置し、各種セキュリティ対策やインシデント(セキュリティを脅かす事象)への対応マニュアル策定、インシデント未然防止のための注意喚起や教育・研修の実施、サイバー攻撃等の有事が生じた場合には迅速かつ適切に対処できるよう、必要な情報管理の体制を整備し、適切に取り組んでおります。

 

⑥システム運用

当社はDXに積極的に取り組み、IoTでオペレーション上のあらゆるデータを統合的に収集、AI解析を行うことで業務の最適化を図っております。また当社は、異業種も含む他社との連携による新たなお客さまサービスの創出を目指しており、システムの不具合は当社オペレーションにおいてリスクとなる可能性があります。これに対して当社は、事業面を理解した人材が、他社と協業し、ビジネスに必要不可欠な機能を備え、かつ高い安全性に担保されたデータ連携の仕組みを構築しております。またIT先進国エストニアの暗号化認証技術X-ROADやブロックチェーン、次世代暗号化通信(エンドツーエンド暗号化)技術等を取り入れ、全てのデータのアクセスの正当性を都度確認する高度なネットワークセキュリティシステムを構築し、お客さまの意思に基づくデータの取り扱いを可能としております(データの民主化)。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

当連結会計年度におきまして、売上高は1,625億52百万円(前年同期比13.3%増)、売上総利益は665億93百万円(同1.8%減)、営業利益は127億86百万円(同6.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億72百万円(同6.4%増)となりました。

前年度と比較して売上総利益及び営業利益の減少した主な理由は、ガス原料の高騰とガス機器の品不足です。新型コロナウイルスの影響により停滞していた経済活動の再開によるエネルギー需要の高まりに加え、第4四半期にはロシアによるウクライナ侵攻に端を発する供給懸念により、ガスの原料価格は一年を通じ上昇基調が続きました。ガスの原料価格の上昇分については、LPガス・都市ガスともに、適切に販売価格へ転嫁しておりますが、都市ガスにつきましては、お客様にご負担いただけるタイミングが来期以降となりますため(スライドタイムラグ)、売上総利益・営業利益が減少しております。一方、電気事業及びプラットフォーム事業は順調に顧客基盤を拡大し、利益の増加に貢献しております。「スペース蛍」や「夢の絆」、LPガスの「新配送システム」等も本格稼働し、DXの効果が経費削減という形で現れ始めました。キャッシュレス化を加速した戦略目的で保有していた株式の売却もあり、当期純利益段階においては過去最高益を更新する決算となりました。 

 
当連結会計年度のセグメント別の概況は次のとおりであります。
[LPガス事業] (附帯事業としてLP機器・工事の他、プラットフォーム事業等を含む)

LPガス事業セグメントは、LPガス事業による売上高663億4百万円(前年同期比96億73百万円増)、売上総利益400億96百万円(同6億66百万円減)、附帯事業による売上高99億49百万円(同44億49百万円減)、売上総利益が32億89百万円(同2億95百万円減)となりました。

LPガス事業におきましては、原料価格上昇に伴い、今年度4月、10月、1月と3回の価格改定を実施し、適切に価格転嫁を行いました。営業につきましても、新型コロナウイルス感染拡大により営業活動が制限される中、自社社員の営業を強化することでお客様数を前期末から2.9万件積み重ね、94.6万件といたしました。原料高は、同業他社にとっても厳しい環境であります。当年度は同業他社の訪問を強化し、商圏買収も含め、高効率・高品質なオペレーションをご利用いただく共創関係のご提案を積極的にすすめております。

LPガスセグメントの附帯事業の売上総利益が減少いたしましたのは、電子部品の供給懸念を原因としたガス機器の品不足による売上の減少が要因です。 プラットフォーム事業は、新都市ガスプラットフォーム事業の他、アライアンス企業への保安、電気小売のプラットフォーム収益や、ガス器具のB to Bデジタルオーダーシステムである「タノミマスター」の収益等、各事業のサービス開始により売上総利益は前期と比較して2億円増大しております。

 

前連結会計年度年度

当連結会計年度年度

増減

増減率

売上総利益

(百万円)

ガス

40,763

40,096

△666

△1.6%

機器,工事,

プラットフォーム他

3,585

3,289

△295

△8.3%

ガス販売量

(千トン)

家庭用

193.6

194.5

0.9

0.5%

業務用

117.5

119.9

2.4

2.0%

お客様件数(千件)

918

946

29

3.1%

 

 

[電気事業]

電気事業セグメントは、売上高275億93百万円(前年同期比94億22百万円増)、売上総利益27億90百万円(同11億82百万円増)となりました。

電気事業による売上総利益の増加は、既存のガス利用のお客様を中心にセット販売で顧客を積み重ねていることによるものです。電気のセット率は前期末13.7%から当期末16.7%に上昇、お客様数は前期末より5.5万件増加の27.9万件となりました。当事業の電源調達は、東京電力グループとの提携によって、日本卸電力取引所における価格高騰などの影響を受けずに、安定した電源調達を実現しています。そのため、お客様へ電気を安定してお届けしながら、当社も安定した売上総利益の確保が可能となっております。

また、2022年2月には、実質再生可能エネルギー100%の新料金プラン「でガ割007」を販売開始いたしました。EV や太陽光発電のご利用にマッチする「でガ割 007」は、当社が目指すビジョン「スマートシティ構想」の第一歩であり、LPガス・都市ガス部門が地域密着で築いてきたお客さまとのつながりであるラスト・ワンマイルを担う現場力を活かし、販売を強化してまいります。

 

前連結会計年度年度

当連結会計年度年度

増減

増減率

売上総利益

(百万円)

電気

1,608

2,790

1,182

73.5%

電気販売量

(GWh)

家庭用

775

1,160

385

49.7%

お客様件数(千件)

224

279

55

24.6%

 

 

 [都市ガス事業] (附帯事業として都市ガス機器・工事等を含む) 

都市ガス事業セグメントは、都市ガス事業による売上高537億33百万円(前年同期比63億97百万円増)、売上総利益194億44百万円(同12億円減)、附帯事業による売上高49億70百万円(同19億81百万円減)、売上総利益が9億72百万円(同2億16百万円減)となりました。

都市ガス事業による売上総利益の減少は、原料価格の上昇基調を要因とした「スライドタイムラグ」のマイナス影響によるものであります。「スライドタイムラグ」とは、都市ガスの原料費調整制度によるもので、原料価格の変動が、先に売上原価に、後に遅れて売価(料金)に反映されることから、発生するタイムラグのことで、当期間は原料価格が上昇基調であったことから、スライドタイムラグで大きくマイナスの影響を受けております。

都市ガスセグメントの附帯事業の売上総利益が減少いたしましたのは、LPガス機器同様、ガス機器の品不足による売上の減少が要因です。

 

前連結会計年度年度

当連結会計年度年度

増減

増減率

売上総利益

(百万円)

ガス

20,645

19,444

△1,200

△5.8%

機器,工事,

プラットフォーム他

1,189

972

△216

△18.3%

ガス販売量

(千トン)

家庭用

185.2

184.5

△0.7

△0.4%

業務用

204.3

208.1

3.8

2.0%

お客様件数(千件)

719

722

3

0.4%

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(基本方針)

当社は、株主資本の収益率「ROE」を財務上の最重要KPIと設定し、株主価値の増大に向け、ROEを目標の20%に向上させていく方針です。ROEを向上させる方策として、資産の収益性を高めるべく、新たに投下資本利益率(ROIC)をKPIとして設定し、その向上に努めております。収益性の高い資産(LPガスとIT)に集中して資本を投下しながら、一方で低収益資産の売却等をしてバランスシートの中身を入れ替え、加えて、資産を使わない電気事業セグメントに注力することにより、必要以上に総資産規模を膨らますことなく資産の収益力を高めています。また、資本の調達サイドでは、適正自己資本比率(45~50%)を設定し、この水準を超える株主資本(不要な資本)は持たず、適切に借入を活用することで、ROICの向上をダイレクトにROEにつなげてまいります。

手許資金は最低限とするべく、グループ内の資金についても、一元管理するキャッシュマネジメントシステムを導入するなど取組を続け、原則、仕入れ高の1か月+α程度を大きく超えないようコントロールしております。

 

(当連結会計年度の財政状態の分析)

 当期末の資産の部は、1,538億と前期末より136億(9.8%増)増加。同期間の主な増加は、原料高に伴う売掛金の増加及び収益認識基準適用による売掛金(3月検針日から3月末日までの売上債権)の増加94億と、現金及び預金の増加45億によるものです。また、同期末の負債の部は、819億円と前期末から111億円増加(15.7%増)、内、有利子負債は459億円と前期末から44億円増やしております。同期間の主な増加は、原料高による買掛金の増加及び収益認識基準適用による買掛金の増加46億によるものです。純資産の部は、718億円と前期末から25億円(3.7%増)増大。増大した主な要因は、当期純利益の99億円が、株主還元総額89億円(配当53億円、自己株式の取得35億円)を上回ったことによるものです。デッドエクイティレシオは0.6倍、株主資本比率は46.7%と、財務基盤の安定性を確保しながらも、適切にレバレッジを活用することでROEを前期末13.6%から当期末14.1%に高めております。

 

(当連結会計年度のキャッシュフローの分析)

当期末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ45億1百万円増加し、169億12百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュフローは、206億94百万円の収入(前年同期比46億26百万円増加)となりました。収入増加の主な要因は、法人税等の支払の減少(同15億52百万円)に加えて、売掛金債権の回収を早める取組みを行ったこと(同35億24百万円)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュフローは、87億92百万円の支出(同57億21百万円の減少)となりました。前連結会計年度で「夢の絆・川崎」等の大規模投資は一巡し、当連結会計年度は収益性の高いICT等に投資を集中いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュフローは、74億7百万円の支出(同17億1百万円の増加)となりました。支出増加の主な要因は、借入の返済と配当金の支払の増加によるものです。

 

営業CFから投資CFを差し引いたフリーキャッシュフローは119億2百万円の収入(同103億47百万円増加)となり、財務CFの74億7百万円の支出を上回っております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。