第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間においては、我が国では新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及により、経済活動回復への期待が高まりましたものの、海外を始め日本においても再び新たな変異株の感染が急拡大しており、不透明感が払拭されておりません。しかし、経済正常化を見据えた動きは、随所に見え始めております。

当社は、同感染症の世界的流行を背景としたパラダイムシフトを受けて大きく変化する経営環境の中で、従来の「ガスや電気の小売」という概念から、デジタルを軸にエネルギー最適利用の仕組みをワンストップで提供する、「エネルギーソリューション・パッケージ・サービス企業」へと変革を進めてまいります。テクノロジーの進歩と脱炭素の潮流を経営に取り込むことが、企業の持続的成長には必要不可欠であることを念頭に、成長戦略を着実に実行いたします。

当社は、「エネルギーソリューション・パッケージ・サービス」をお客様に提供することで、これまで築き上げたDX基盤をベースとした、「地域コミュニティと一体となった、災害に強く、エネルギーや暮らしに優しいエネルギー版スマートシティ」の実現を目指します。第一段階として、分散型エネルギー源設備(DER:太陽光発電設備、EV充電設備や、ハイブリッド給湯器)をお客様に提供してスマートハウス化を推進いたします。第二段階では、地域コミュニティ全体を配電ネットワークでつなぎ、メタバース(仮想空間)上の仮想発電所(VPP)でAIのアルゴリズムによりDERを最適制御し、エネルギー利用最適化サービスの提供を目指します。お客様のエネルギー利用最適化に事業領域を進化させる戦略は、70年にわたり訴求し続けたエネルギー事業の高質化、顧客最優先の文化が基盤となるもので、環境問題が喫緊の課題となっている中で社会の在るべき姿を想定し、バックキャスティングで取り組むべきリスクと向き合う事を意味します。

複雑化する社会課題に対して、エネルギーの最適利用という新たなソリューションを提供し、社会に必要とされる会社であることは、持続的な企業価値創出の前提となります。当社は、パートナーシップによる「共創」でESGに取り組み、経済性と社会性を両立させ、中長期的な企業価値の向上を目指すというサステナビリティの方針を掲げております。この方針の下、投下資本利益率(ROIC)を強く意識して、効率性の高い資産にバランスシートを組み替えてきました。また、オープンイノベーションによるデジタル化で、CO2排出量の削減や働き方改革といった新たな社会課題の解決を図りながら、株主資本コストを上回る株主パフォーマンス(ROE)を追求し、株主価値の創造に努めております。

今年度、当社は、デジタルツイン・システムを導入し、新配送システムの運用を開始いたしました。これは、オンラインスマートメーター「スペース蛍」から入手するお客様のリアルタイムガス検針値や、車両、ガスボンベの位置、人の情報など、LPガス事業に関わる全てのIoTデータや実物資産を、自動認証システム等で仮想空間上にリアルタイムに再現したうえで、AIが分析・ディープラーニングを通して、LPガスオペレーション全体の最適化を図るものです。これにより保安の遠隔監視と共に、お客様宅に設置するガスボンベ(通常2本設置)について、従来は万一を考え、1本を予備とし1本毎に交換していたところ、2本同時交換(全数交換)が可能となり、画期的な生産性を達成するとともに、配送コストと環境負荷の同時半減も実現しております。

当社は、上記のような配送、容器・メーター管理、検針、保安業務といったエネルギー事業関連サービスを、データのプライバシーを強固に保護したエネルギー託送プラットフォームとして他社に提供を開始しました。これは、仮想空間テクノロジーを軸に、プラットフォーム上から事業者間の共創連携を図るソリューション・パッケージ・サービスであると同時に、効率的なエネルギー提供を通じ、株主利益とESGの両立を目指すものです。

このような戦略を踏まえた上で、LPガスと電気をコア事業として位置づけ、資産の収益性を高めながら経営資源を投入しております。ニューノーマル時代のニーズを反映した非対面でのバーチャル営業も積極的に行い、ペーパーレス無人営業所の展開等、営業活動でもデジタルを活用した次世代のコミュニケーションを推進しております。電気事業は、将来の分散型電源戦略に向かいながら、ガスとセットでファミリー層を中心に、収益も伴った形で顧客基盤を拡大させております。電力需要は、車両のEV化や社会のデジタル化の進展に伴い、今後急速に増大していくことが予測されます。鍵となる電源の調達も、東京電力グループとのパートナーシップで適切に対応してまいります。

電気事業とガス事業とのシナジーの訴求はもちろんのこと、異業種とのシェアリングエコノミーを構築していくことは高度に変化し続ける地域社会のデジタル化、効率化、受益者ストレスの解消に資する大きな挑戦であります。お客様への最後のワンマイルを支える当社は、このような環境やお客様のニーズの変化と真摯に向き合う事で自らに変革を促し、常に変わり続け、更なる企業価値の創造に邁進してまいります。

 

当第3四半期連結累計期間におきまして、売上高は1,071億34百万円(前年同期比12.7%増)、売上総利益は464億12百万円(同0.4%減)、営業利益は62億91百万円(同7.9%減)、経常利益は63億54百万円(同10.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は51億61百万円(同15.1%増)となりました。
 前同期間と比較して、売上総利益・営業利益が減少した主な理由は、「ガス原料の高騰」と「ガス機器の品不足」によるものです。当期間は、世界的な脱炭素の潮流により従来型エネルギーへの投資が見直される中、コロナワクチンの普及により経済活動が再開、エネルギー需要が高まり、ガスの原料価格が高騰いたしました。LPガスにつきましては、タイムリーに、原料高騰分の大半をお客様にご負担頂きましたが、都市ガスにつきましては、お客様にご負担頂けるタイミングが来期以降となりますため(スライドタイムラグ)、売上総利益が前期と比較して減少しております。また、世界的な電子部品等の供給不足により、ガス機器についても品不足の状況が続いており、機器売上及び売上総利益が減少いたしました。電気事業につきましては、東京電力グループとの広範な提携関係により卸売市場を介さず、適切な価格で電源を調達しておりますことから、原料価格高騰に伴う電源価格上昇の影響を受けず、安定した売上総利益を確保しております。
 当第3四半期連結累計期間におきましては、収益認識会計基準の適用を開始したことによる影響は、前年同期と比較して、売上21億39百万円、売上総利益・営業利益・経常利益4億25百万円の増加です。これは、同基準の適用により、収益として認識する期間にズレが生じ、ガスの使用量が多い期間が決算の対象期間に含まれることになったためです。具体的には、第3四半期連結累計期間の収益対象期間が、4~12月の検針基準(3月上旬~12月上旬)から4月1日~12月末日に変更されました。詳細につきましては、「第4 経理の状況 注記事項(会計方針の変更等)」をご参照下さい。

 

当期間のセグメント別の概況は次のとおりであります。
[LPガス事業] (附帯事業としてLP機器・工事の他、プラットフォーム事業等を含む)  

LPガス事業セグメントは、LPガス事業による売上が441億68百万円(前年同期比59億88百万円増)、売上総利益が280億22百万円(前年同期比1億32百万円増)、附帯事業による売上が75億37百万円(前年同期比13億60百万円減)、売上総利益が22億1百万円(同2億82百万円減)となりました。
 LPガス事業におきましては、原料価格上昇に伴い、今年度2回目の価格改定を10月に実施、適切に価格転嫁を行いました。営業につきましても、自社社員の営業を強化することでお客様数を前期末から2.3万件積み重ね、94.1万件といたしました。原料高は、価格転嫁が出来ない同業他社にとっては特に厳しい環境となります。当期間は同業事業者の訪問を強化し、商圏買収も含め協創関係の構築の働きかけを積極的に実施致しました。
 新都市ガスプラットフォーム事業の他、アライアンス企業への保安、電気小売のプラットフォーム収益や、ガス器具のB to Bデジタルオーダーシステムである「タノミマスター」の収益等、プラットフォーム事業の拡大によりプラットフォーム事業の売上総利益は前期と比較して2億円増大いたしましたが、LPガス機器の品不足による売上減の影響により、附帯事業による売上総利益は減少しております。

[電気事業] 

電気事業セグメントは、売上が176億98百万円(前年同期比76億26百万円増)、売上総利益が19億32百万円(前年同期比10億24百万円増)となりました。
電気事業による売上総利益の増加は、既存のガス利用のお客様を中心にセット販売で顧客を積み重ねていることによるものです。電気のセット率は前期末13.7%から当四半期末16.1%に上昇、お客様数は前期末より4.5万件増加の26.9万件となりました。2022年2月には、CO2排出量が実質ゼロかつ、EVユーザーや使用量が少ない(月150kWh以上)お客様にも料金メリットのある新電気メニューのリリースを予定しており、顧客拡大を一層進めてまいります。
 なお、既存のガスとセットでご契約頂いたお客様に対する割引額については、前期まで電気事業セグメントのみで負担していましたが、収益認識に関する会計基準の適用により、今期からLPガス事業及び都市ガス事業にも負担させております。収益認識期間の変更もあわせ、収益認識会計基準により、売上総利益が2億79百万円増加しております。

[都市ガス事業] (附帯事業として都市ガス機器・工事等を含む) 

都市ガス事業セグメントは、都市ガス事業による売上が338億59百万円(前年同期比11億78百万円増)、売上総利益が134億37百万円(前年同期比9億58百万円減)、附帯事業による売上が38億70百万円(前年同期比13億40百万円減)、売上総利益が8億19百万円(同87百万円減)となりました。
 都市ガス事業による売上総利益の減少は、原料価格の上昇基調を要因としたスライドタイムラグのマイナス影響に加え、暖かな気温による家庭用ガスの販売量の減少によるものであります。
 なお、都市ガス事業については、ガス事業会計規則に則り、前期同様、収益認識を「検針日基準」で実施しております。収益認識会計基準による影響は、電気とのセット割引を今期から新たに負担したことによる77百万円の減少のみとなります。

 

(2) 財政状態の状況

 当社は、株主資本の収益率、すなわちROEを高めることを目的として、まずは、資産の収益性を高めるべく、新たに投下資本利益率(ROIC)をKPIとして設定し、その向上に努めております。具体的には、収益性の高い資産(LPガスとIT)に集中して資本を投下しながら、一方で低収益資産を売却する等をしてバランスシートの中身を入替、総資産規模を膨らますことなく資産の収益力を向上させております。
第3四半期末の資産の部は、1,494億53百万円と前期末より93億32百万円(6.7%増)増加しております。同期間の資産の主要な増加は、収益認識会計基準適用による契約資産(11月検針日から12月末日までの売上債権)78億73百万円の計上と都市ガスに自動検針を可能とするスペース蛍の設置に伴うリース資産の増加20億92百万円であります。契約資産の増加については季節性を要因とした増加であります。また、同期末の負債の部は、820億21百万円と前期末から112億42百万円増加(15.8%増)、内、有利子負債は496億99百万円と前期末から81億88百万円増やしております。同期間の負債の主な増加は、原料高による買掛金の増加及び収益認識基準導入による債務認識の計上46億69百万円によるものです。純資産の部は、674億32百万円と前期末から19億10百万円(2.8%減)減少しております。純資産の部が減少した主な要因は配当53億79百万円、自己株式の取得35億47百万円と株主還元を進めたためです。デッドエクイティレシオは0.7倍、株主資本比率は45.1%と、財務基盤の安定性を確保しながらも、適切にレバレッジを活用することでROEを高めております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ10億60百万円増加し、134億71百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュフローは、121億8百万円の収入(前年同期比31億84百万円増加)となりました。増加の要因は、法人税等の支払いの減少(前年同期比16億47百万円減少)及び税金等調整前四半期純利益の増加(前年同期比8億90百万円増加)によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュフローは、69億26百万円の支出(前年同期比39億97百万円減少)となりました。前期は「夢の絆・川崎」等の有形固定資産投資や、M&A等の無形固定資産投資をいたしましたが、当期は戦略的保有目的の有価証券投資を実施いたしました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュフローは、41億24百万円の支出(前年同期1億38百万円の収入)となりました。支出の要因は自己株式の取得、配当金の支払によるものです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。