第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」という基本理念を2006年より定款に定めています。グループとしての姿勢を国内外約67万5千人に上るすべての従業員が正しく理解して将来に伝承していくために、またステークホルダーの皆さまにも積極的に発信し、ご理解いただきたいという想いから、基本理念の背景や意義を綴った内容に改め、2023年5月の株主総会を経て定款に記し直しました。「すべてはお客さまのために」という視点から、市場やお客さまの変化を見据え、長期的な視点で持続可能な成長と地域社会に貢献するグループを目指し、企業価値向上に取り組んでいます。

また、「21世紀の企業に生まれ、変わる」ことを宣言して社名を“イオン”とした2001年当時にビジョンとして掲げた「夢のある未来」の意味を改めて問い直し、2023年4月、“一人ひとりの笑顔が咲く未来のくらしを創造する”というステートメントとともに「イオングループ未来ビジョン」を策定しました。ビジョンステートメント「一人ひとりの笑顔が咲く未来のくらしを創造する」を掲げた未来ビジョンの内容の詳細につきましては当社ウェブサイトをご参照願います。

この「イオングループ未来ビジョン」に則り、お客さまをはじめ、株主や取引先の皆さま、地域社会、従業員と良好な関係を築き、お客さまにご満足いただける商品やサービスを提供し続けることで、長期的な繁栄と成長を遂げてまいります。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題等

当社グループを取り巻く事業環境は、賃金上昇を上回る物価上昇の常態化やあらゆるコストの上昇圧力、人手不足の深刻化、さらには気候変動や地政学的要因に伴う原材料・エネルギー調達環境の不安定化等、大きな変化の局面にあります。

このように変化が激しい環境下においては、イオンのマルチフォーマットの事業展開による「適応力」とグループ間の投資配分による「メリハリをつけた事業ポートフォリオ戦略」は大きな強みと言えます。

今後の事業環境の変化と、それに伴う消費者ニーズの変化を見据え、以下に示す5つの重点施策によってポートフォリオの質を高め、持続的成長を実現するための事業基盤の確立に取り組んでまいります。

 

①  食品小売事業の収益構造改革

商品:昨今のお客さまの多様化するニーズに対応するため、プライベートブランド「トップバリュ」とナショナルブランド商品の供給はイオングループのスケールメリットを活用してまいります。生産から販売までの一気通貫の効率的な全体サプライチェーンの構築により、原価構造を見直し、価格と価値の両面でお客さまに選ばれる商品を提供してまいります。

店舗フォーマット・インフラ:良質な惣菜をお値ごろな価格で提供することを可能とするプロセスセンターや物流センターへの投資を強化し、構造的な競争優位性を備えた事業モデルへの転換を進めてまいります。

②  新たなヘルス&ウエルネス事業への進化

㈱ツルハホールディングスとウエルシアホールディングス㈱との統合シナジーの創出に向けて、共同調達、プライベートブランド商品供給等の取り組みを着実に進めてまいります。

また、当社グループのもつ商品調達網・リテールテック等の経営資源を活用し、食品を強化した「ドラッグ&フード業態」の構築に着手しています。今後はオンライン・オフライン両方の顧客接点を起点に、健康軸での多様なサービス領域を含む包括的なヘルス&ウエルネス事業へと発展させてまいります。

③  ディベロッパーとエンターテイメントの融合

ディベロッパー事業は、地域に不足している公園や図書館等の社会インフラの補完、気候変動により失われつつある遊ぶ場や機会の提供等、こうした社会課題に解決策を提供できる事業と位置付けています。「買い物の場」にとどまらず、「地域インフラとしての機能強化」と「体験・エンタメ機能の強化」の2軸でリモデルしていきます。

特に、エンターテイメント領域を成長コンテンツとして国内最大規模のモール・ショッピングセンターに取り込むことで、来店動機の多様化をはかり集客力・アセット価値の向上をはかるとともに、グループ全体のブランドイメージの進化と新たな顧客層拡大につなげてまいります。

④  海外事業の成長加速

将来の国内市場環境を見据え、海外事業を次世代の成長ドライバーと位置づけ、特に成長著しいベトナムにおいて小売及びディベロッパー事業を中心とした事業基盤の拡充を進めています。

今後は、主要都市圏に加え地方中核都市でのドミナント形成を通じ、グループの顧客基盤を活用した金融、エンターテイメント等のサービス事業を含むマルチフォーマットでの成長を加速してまいります。

⑤  事業構造改革の断行

「収益性の向上」に向けて、これまで以上に踏み込んだ事業構造改革を進め、「競争力ある事業構造への転換」に取り組んでいます。

イオンモール㈱、イオンディライト㈱、㈱サンデー、㈱ジーフット等、既存事業の再成長に向けた資本政策と並行し、グループ企業の中の不採算企業を特定した上で、グループ内再編や事業整理に着手しています。今後、これらの取り組みによって経営効率を向上させ、創出した資金を成長領域へ傾斜配分することにより、ポートフォリオの質を高めてまいります。

 

(3) 人材の活躍・ダイバーシティの推進

①  「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進」グループの更なる成長と拡大を目指して

当社は、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)の推進を社会的課題への対応ではなく、グループの持続的成長と企業価値向上につながる重要な経営戦略のひとつとして位置付けています。2024年3月には、より個に寄り添い、多様な人材・価値観を活かす組織、挑戦できる風土の実現を目指し、「DE&I推進室」へと組織名称を変更しました。従業員とその家族、お客さま、会社の3者の満足の実現を目指す活動を“ダイ満足”と名づけ、一連の取り組み活動をグループ全体で推進しています。経営層及び管理職層に対する理解促進を通じて、DE&Iを踏まえた意思決定や組織運営の浸透をはかるとともに、女性の活躍推進、多様な働き方の実現、障がいのある従業員の雇用及び職場定着支援等、多様な人材が能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

また、LGBTQ+に関する理解促進や、誰もが安心して利用できるインクルーシブな施設・サービスの実現に向けた取り組みを進めています。グループ各社における多様な取り組みを共有・発信する仕組みを通じて、各社の特性に応じた施策の展開を後押しし、多様性を競争力へとつなげる取り組みを進めています。

このように多様な視点を経営や事業に取り込むことで、多様性が生み出す価値創造の実現に貢献してまいります。

②  人的資本への投資

当社は、従業員一人ひとりの可能性を信じ、各自が能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを進めています。持続的成長を支える経営人材・専門人材・グローバル人材の育成と採用を強化するとともに、教育投資の拡充、キャリア支援の強化、採用戦略の高度化を推進しています。また、お客さまに対する価値創造を担う従業員こそが最大の経営資本であるという考えのもと、従業員の働きがい(エンゲージメント)向上を重要指標に設定し、国内外60万人規模でのサーベイ実施と改善に取り組んでいます。また、多様な人材が柔軟に働くための環境整備にも力を注いでおり、国内従業員の8割を占める約49万人のパートタイマーの賃金においては4年連続で7%以上引き上げました。革新しつづける企業集団として、生産性向上と人的資本投資の好循環を生み出すことで持続可能な成長を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」という基本理念のもと、事業活動を通じてサステナビリティを推進しています。当社グループの発展を地域社会の豊かさと結びつけるため、循環型かつ持続可能な経営を実践する企業集団として、地域に根ざした活動をステークホルダーの皆さまとともに進めています。

現在、国内外の市場環境は大きな転換点にあります。国内では少子高齢化が進み、成熟社会への対応が不可欠となる一方、アジアを中心とする海外市場では人口増加や経済発展により生活構造が変化しています。これらに加え、物価上昇、深刻化する気候変動や資源の枯渇等、当社グループを取り巻く社会課題は一層多様かつ複雑化しています。こうした課題に企業が責任を持って対応するべく、「持続可能な社会の実現」と「企業価値の向上」の両立を目指し、「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、当社グループの事業活動の根幹である「環境」「地域」「人」の視点から社会課題を抽出し、ガバナンスを加味した重点分野(マテリアリティ)を特定し、長期かつグローバル水準の目標を掲げています。

当社グループのサステナビリティ推進の方向性は、お客さまの現在と未来の幸せを追求し、地域の明日に向けて「より良い暮らし」を提案し続けることです。創業以来受け継いできた「イオンの基本理念」と、未来の暮らしを創造する「イオングループ未来ビジョン」のもと、グループの多様な事業基盤を活かし、ステークホルダーの皆さまとともに取り組みを推進してまいります。

 

「暮らし」をキーワードにイオンが事業活動を通じて取り組むサステナビリティの活動領域

 

イオンのサステナビリティ コンパス

 

 


 

(1) サステナビリティ共通

① ガバナンス

当社は、企業統治体制として指名委員会等設置会社を選択しており、取締役会が執行役に業務執行の執行権限を大幅に委譲し、迅速な意思決定を行う体制をとっています。事業を通じてサステナビリティ活動を推進していくために、事業との関連性と社会への影響度の高いサステナビリティのリスクや機会、課題対応に関する重要事項は、代表執行役をはじめとする経営幹部で構成する経営会議「イオン・マネジメントコミッティ」にて多様な観点から議論、決議・承認を経たのち実行され、取締役会では、当社の経営の意思決定機関として法定事項を決議するとともに、経営の基本方針並びに業務執行上の重要な事項を決定・承認し、取締役及び執行役の職務の遂行を監督しております。

なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

② 戦略

当社グループでは、経営戦略の一環として、サステナビリティ活動のなかで7つの重点分野(マテリアリティ)を定めています。特定にあたっては、事業との関連性と社会への影響度の観点から当社グループとステークホルダーにとっての重要性を軸に抽出しています。イオンで買物をする、イオンで働く、イオンと協業する、事業活動そのものがサステナブルな対応となることを目指し、その実現に向けた7つの重点分野と主な取り組みは以下のとおりです。

 

事業活動の

根幹

重点分野

(マテリアリティ)

主な取り組み及びマイルストーン

環境

脱炭素社会の実現

・「イオン脱炭素ビジョン」に基づき、店舗、商品・物流、お客さまとともに、省エネ及び創エネの両面で温室効果ガス排出削減に取り組み、グループ全体で脱炭素社会の実現を目指しております。

・2040年までに店舗におけるCO2等の排出を総量でゼロにすることを目指し、取り組んでいます。

・また、2025年には、国内全店舗の冷凍・冷蔵機器を2040年までに自然冷媒(ノンフロン)機器へと転換する「イオン自然冷媒転換目標」も新たに策定し、一層の温室効果ガス排出削減に努めています。

資源循環の促進

・「イオンプラスチック利用方針・削減目標」に基づき、2030年までに使い捨てプラスチック使用量を2018年比で50%削減することを目指すとともに、当社グループのブランド「トップバリュ」商品においても環境・社会に配慮した素材の使用を推進しています。

・「食品廃棄物削減方針・削減目標」に基づき、2025年までに2015年比で食品廃棄物発生原単位を50%削減することを目指し、グループ全体でその達成に向けた取り組みを継続していきます。

生物多様性の保全

・持続可能な調達原則に則り、グローバル基準に基づいた、「農産物」「畜産物」「水産物」「紙・パルプ・木材」「パーム油」「カカオ」「コーヒー」で持続可能性に配慮して生産された商品の調達を推進しています。

・「イオンの森づくり」に代表される植樹活動や、ふるさとの森の生物多様性価値の測定、生態系の保全・創出に配慮した店舗開発等、生物多様性保全の取り組みも積極的に進めています。

地域

コミュニティとの協働

・お客さまや地域社会への貢献は当社グループの使命と捉え、国内外の多様な業種・業態の店舗を起点に社会活動を推進しています。

・「イオン幸せの黄色いレシートキャンペーン」「こども食堂応援団」「イオンハートフル・ボランティア」等を通じ、お客さまや地域の人々とともに、コミュニティの発展と生活文化の向上に貢献する街づくり、絆づくりに取り組んでいます。

・また、労使共同による「能登支援プロジェクト」を立ち上げ、2029年までに「ボランティア支援」「コミュニティ・文化復興支援」「なりわい復興支援」の3つを柱に能登地域の復興に貢献することを目指しています。

 

 

事業活動の

根幹

重点分野

(マテリアリティ)

主な取り組み及びマイルストーン

人権を尊重した公正な事業活動の実践

・人間尊重の経営を実現するため「イオンの人権基本方針」に基づき、従業員及びサプライチェーン上で関わるお取引先さまや地域の方々の人権を尊重することを目的とし人権デューディリジェンスを実施しています。経営層やグループ各社が参加する人権デューディリジェンス委員会では、グループ全体の人権課題を特定、対応状況の報告及び具体的な取り組みのモニタリングを行っています。

・当社はじめグループ各社の全従業員を対象とした人権研修及びイオンサプライヤー取引行動規範(CoC)研修を実施し、人権に関する正しい理解と認識を深め、意識向上と職場風土の改善をはかる啓発活動を継続しています。

・グリーバンスメカニズムとして、従業員を対象とした「イオンコンプライアンスホットライン」、当社グループのサプライチェーン上のお取引先さまの従業員を対象とした「お取引先さまホットライン」を設置し、周知を行っています。通報内容に対しては、迅速な事実確認と是正処置を行うことで、人権の尊重を実践しています。

従業員の幸せの実現

・「イオンの基本理念」及び「イオングループ未来ビジョン」の浸透を通じて、当社グループの価値創造を担う人材の育成に注力しています。

・「教育は最大の福祉」という考えのもと、教育の深化や自律型人材の育成、経営・事業成長を牽引する人材の育成・採用に取り組んでいます。具体的には、経営・事業成長をリードする人材の確保や個別型採用への転換を進め、一人ひとりが最大限に能力を発揮できる教育環境の整備に努めています。

・多様な人材が活躍できる環境づくりの整備が必要であると考え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(女性活躍、障がい者活躍、LGBTQ+への対応)、健康経営、エンゲージメント向上施策等、多方面で取り組みを推進しています。

ガバナンス

攻めと守りのガバナンス

・当社は会社法に規定する指名委員会等設置会社です。

・取締役会は、多様な分野で高い見識と豊富な経験・知見を有する役員で構成され、過半数を社外取締役にすることで経営の監督機能を強化しています。

・また、「イオンの基本理念」を当社の定款に記し、ガバナンスにおいても基本的な考え方としています。

 

 

③ リスク管理

リスク管理体制については、リスクマネジメント管掌を配置し、リスクマネジメント委員会を開催しています。同委員会では、リスクアセスメント等により優先順位の高いリスクを抽出したうえで、対応及びその効果について進捗管理を実施し、当社の執行役にリスク管理状況及び対応を報告・提案しています。特に影響度の高いリスクについては、部門横断のタスクフォースを編成し、リスクの予見・予知・予防に努めてまいります。

なお、個別のリスクの詳細は、「3 事業等のリスク」に、リスク管理体制の整備状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、上記「② 戦略」において記載した重点分野(マテリアリティ)及び取り組み事項について、次の指標を用いております。当該指標に関する現在の状況及び目標は、次のとおりであります。

 

取り組み項目

指標

現在

目標

目標年度

脱炭素社会の実現

店舗で排出するCO2等

店舗における再エネ普及率

国内店舗の

再エネ転換率

73%

店舗で排出するCO2等を総量でゼロ

2040年度

店舗電力の50%を再エネ化

2030年度

食品廃棄物の削減

発生原単位での食品廃棄物削減(2015年比)

41.8%削減 ※1

50%削減

2025年度

プラスチック使用量の削減

使い捨てプラスチック使用量削減(2018年比)

18.8%削減 ※1

50%削減

2030年度

基本理念の浸透

基本理念への共感度 ※2

3.77

4.0

2030年度

未来ビジョンへの共感度 ※2

3.63

4.0

2030年度

従業員の働きがい

エンゲージメントレーティング B以上出現率 ※2

73.2%

100%

2030年度

職場の多様性

女性管理職比率

28.7%

50.0%

2030年度

障がい者雇用率

2.94%

3.5%

2030年度

 

※1 2024年度実績を記載しております。2025年度確定値はイオンレポート2026(統合報告書)に開示予定です。

それ以外の項目については2025年度実績を記載しております。

※2 各スコア、レーティングの詳細については、「(3) 人的資本 ②指標及び目標」に記載しております。

 

(2) 気候変動

① ガバナンス

気候変動を含む環境課題は、企業の持続可能性に直結する重要な問題と捉えております。これらの課題への具体的な施策や方針は、イオン・マネジメントコミッティ及び、その監査・監督機能を担う取締役会において決定されます。2026年2月末時点では、これらの取り組みの推進役としてGX担当責任者兼 環境・社会貢献部長が気候関連・自然関連に関わる活動全般を統括していました。2026年3月より、新たに人事・サステナビリティ担当執行役を配置し、その直下にサステナビリティ担当責任者を配置する体制へと変更しました。これにより、個々の気候関連・自然関連の取り組みに対する管理・監督を一層強化しています。事業会社各社の責任者は、このレポートラインに従い、取締役会やイオン・マネジメントコミッティで決議された気候変動を含むビジョンや中長期計画等に基づき、各社の推進責任部署・責任者を定め、具体的な各社の事業計画を作成・推進する役割を負っています。

 

 

② 戦略

● 1.5℃目標を達成するためのシナリオ分析

当社グループの事業活動は、商品調達と店舗運営の活動によって支えられています。気候関連課題は主に調達、店舗の段階で発生するGHGインパクトをいかに見える化し削減するかが課題です。従って、脱炭素施策をいかに社会システムに組み込んでいくかが重要であり、移行リスクと物理リスクをバランスさせた戦略を考えることが必要になります。

このアプローチを実行するため、IPCCによる報告を中心に専門セクターから得られる様々な情報を加味して、1.5℃と4℃の世界に至るシナリオ分析を行い、そのシナリオ内で変数を様々に変化させながら、気候変動関連の移行リスクと物理リスク、機会を把握します。

 

シナリオ分析の流れ

重要な気候関連リスク・機会の特定

気候関連リスク・機会に係るパラメータの特定・将来推移調査、将来社会シナリオ検討

各将来シナリオ下における気候関連リスク・機会に伴う事業影響評価(定性/定量)

気候関連リスク・機会に対するレジリエンスの評価、今後の対応策の検討

 

 

● 気候関連リスク・機会を特定し、対応するためのプロセス

流通小売業にとって重要なリスク・機会となりうる「店舗操業」「商品調達」に関する事項を抽出・整理し、各々の更なる詳細の特定・評価は以下に示すプロセスにおいて実施します。

 

小売業としての最重要2分野

店舗操業

国内の店舗・物流拠点

商品調達

食品(原材料調達及び製造・加工工程)

[理由]

業態・店舗数が多く、物理リスク・移行リスクが比較的明確になってくる。

[理由]

最も事業構成が大きく、かつお客さまの暮らしに対するインパクトが大きい。サプライチェーンの広がりを考慮して、国内外のサプライヤーをその範囲に含めている。

 

 

● 気候シナリオによる影響、組織戦略の強靭性(気候シナリオ分析)

当社グループの戦略には、1.5℃の世界に整合する移行計画を含んでいます。1.5℃シナリオとして、主にNZE(IEA)、SSP1-1.9(IPCC AR6)、4℃シナリオとしてSSP5-8.5(IPCC AR6)を参照しました。

 

● 気候変動に関わる重大な財務上、戦略上の影響

「直接的な損失」

店舗設備や商品在庫が気候変動による災害等の影響で毀損される被害のうち、予想最大被害額が営業利益の1%を超えた場合を「重大な財務上・戦略上の影響」と定義します。

「間接的な損失」

店舗の休業や物流網の断絶に起因する営業や事業活動の中断のうち、事業中断日数が概ね1週間程度続くと予想される場合を「重大な財務上・戦略上の影響」と定義します。

 

 

 

● 気候関連リスク・機会の特定・評価

当社グループとしてありたい姿の実現に向け、「ステークホルダーにとっての重要性」と「自社にとっての重要性」の観点から、マッピングを実施し事業に関連する課題を抽出しています。抽出される重要項目については、ステークホルダーと自社双方の両軸で「高」となる右上の象限に含まれている項目を、グループが重点的に取り組むべき課題として特定しています。それぞれの重点分野ごとに目標・KPIを策定し、サステナビリティ推進体制のもとPDCAサイクルを回し、より実効性のあるサステナビリティ活動の継続と強化に取り組んでいます。

 


 

 

③ リスク管理(リスクと影響の管理)

日常的なリスクと影響の管理は各社・各部単位で対応しています。

個社で対応できないリスク、例えば商品調達エリアでの紛争や異常気象による店舗被災確率の増大等の外部要因リスクやグループ事業に共通する商品・施設・サービス等に起因するリスクや影響については、「リスクマネジメント委員会」において、対応方針の意思決定を行うとともにリスクと影響の予見・予知・予防に努めています。

 

特定されたリスク・機会項目とインパクト評価

区分

タイプ

重要なリスク・機会項目

該当

 

財務インパクト

(2030年:億円)

使用したシナリオ

考慮したシナリオ

店舗

物流

1.5℃

2℃

未満

~4℃

リスク

 

移行

リスク

政策

規制

炭素の価格付けによるコスト増※1

353

341

227

IEA,WEO2022

NZE,APS,STEPS

電力政策・エネルギーミックス変化

技術

省エネ・再エネ技術の進展

 

EV車両(物流)・

EVインフラ(店舗)の普及

IEA Global EV Outlook 2022,APS,STEPS

市場

顧客ニーズ・行動の変化

(ZEBに関するデータは「IEA Net Zero by- 2050」)

 

原材料の生産減少、

商品化コスト増加

IPCC

AR5,RCP2.6,RCP8.5及びAR6,SSP1-2.6,SSP5-8.5

エネルギー価格高騰による収益減※2

1,099

1,099

1,099

IEA,WEO2022

NZE,APS,STEPS

評判

顧客の社会的意識の高まり

 

社会ニーズに適した商品評価

(購買行動変化)

 

物理

リスク

急性

異常気象の激甚化

IPCC

AR5,RCP2.6,RCP8.5及びAR6,SSP1-2.6,SSP5-8.5

自然災害に伴う、休業による収益減※3

79

396

1,584

調達コスト、物流コストの増加

機会

製品及び

サービス

顧客ニーズ・行動の変化

IEA Net Zero by 2050

社会ニーズに対応した商品開発

 

エネルギー源

脱炭素エネルギー導入による

コスト削減※4

218

218

63

IEA,WEO2022

NZE,APS,STEPS

市場

防災機能の高い店舗を保有することによる市場評価増→投資家からの評価

IPCC

AR5,RCP2.6,RCP8.5及びAR6,SSP1-2.6,SSP5-8.5

災害時に強い商業施設※5

(電力確保、建物構造)

16

82

326

レジリエンス

地域の防災拠点としての店舗活用

 

※1 目標達成時排出量×炭素税価格(1,168万t-CO2×140・135・90$t-CO2 1$=150円換算)

※2 2030年必要電力量(87億7,500万kWh)の50%を通常買電する場合の電力料

※3 1ケ月売上(9兆5,042億円)×被災店舗割合(1.5℃…1%、2℃…5%、4℃…20%)

※4 2030年必要電力量(87億7,500万kWh)の50%をコーポレートPPAで賄う場合(877億円)の通常買電との差益

※5 改修費(SC630店舗:1億円、SM2,000店舗:0.5億円)×対策店舗割合(同上:被災店舗割合)

 

 

 

④ 指標及び目標

● 気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社グループは2018年に「イオン 脱炭素ビジョン」を策定し、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3つを柱に、省エネ・創エネの両面から店舗で排出する温室効果ガス(以下、「CO2等」という。)を総量でゼロにする取り組みを、グループを挙げて進めています。当社グループの店舗におけるCO2発生源の約9割は電気使用であることから、店舗で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えることは、国内全体のCO2削減への貢献にもつながります。2040年までに店舗で排出するCO2等を総量でゼロにするという長期目標、及び2030年には店舗使用電力の50%を再エネ化するという中間目標を掲げての取り組みを進め、当社グループの国内事業所における再エネ調達量が使用電力の73%に達し、中間目標を7年前倒しで達成しております。今後もすべての事業活動で持続可能性を追求し、グループが持つあらゆるリソースを活用して地域全体での脱炭素化の実現に向け、取り組みを加速させていきます。

 

第三者検証について

温室効果ガス排出量についての第三者検証を受審①

2025年5月から7月にかけて、当社及び主要な連結子会社56社を対象に、第三者検証を行いました。

今後もデータの信頼性の向上とGHG排出量の継続的な削減に努めていきます。

 

1. 検証範囲

2023年4月1日から2024年3月31日の期間における、当社及び主要な連結子会社56社におけるエネルギー起源CO2排出量(スコープ1及びスコープ2)

 

2. 検証方法

ISO14064-3 Greenhouse gases-Part3:Specification with guidance for the validation and verification of greenhouse gas assertsの要求事項に基づき、第三者による認証を受けた。

 

温室効果ガス排出量についての第三者検証を受審②

2023年度に続き2024年度も当社グループの物流の中核を担うイオングローバルSCM㈱の輸送に伴う温室効果ガス排出量の第三者検証を実施しました。

 

1. 検証範囲

2023年4月1日から2024年3月31日のイオングローバルSCM㈱が取り扱った商品の国内輸送に伴う温室効果ガス排出量(スコープ3のカテゴリー4に相当)。

 

2. 検証方法

ISO14064-3 Greenhouse gases-Part3:Specification with guidance for the validation and verification of greenhouse gas assertsの要求事項に基づき、第三者による認証を受けた。

 

検証の信頼性向上のため、開示数値とそれに至る算定方法まで遡って検証の対象としております。2024年度の第三者検証については、取得に向けた手続き中であり、第三者検証の結果は当社webサイト(https://www.aeon.info/)にて公表予定であります。

 

 

(3) 人的資本

当社グループは「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」という企業理念のもと、企業の発展力は人であると考えています。

従業員一人ひとりの可能性を信じ、自律的な成長を推進するための戦略的採用・人材育成・配置・評価・処遇といった人材マネジメントサイクルの観点から多様な人材が最大限のパフォーマンスを発揮できる施策や職場環境づくりを継続して強化してまいります。

「革新し続ける企業集団」として、当社グループならではの人材への投資と、生産性向上への取り組みの両輪で持続可能な成長を目指しています。

 

 

① 戦略

● 人材育成方針

(全体方針)

当社の基本理念に明示されている「人間尊重」とは、個性、尊厳、自律性の尊重に加えて、人間が持つ可能性を信じ、仕事や学びを通じて成長し、よりよく人間的になることを後押しすることでもあります。従業員一人ひとりを信じ、尊重することで、その人の能力や思いが花開き、さらに人とつながることによって、より幸福な状態が生じるという考えのもと人材育成に取り組んでおります。

当社グループの人材育成は、人間として成長することが従業員にとって最大の福祉であるという「教育は最大の福祉」という考えに基づいたものであり、これまでも、これからも「小売業は人間産業」の理念のもと、一人ひとりの能力を最大限に発揮できる教育環境を整えていきます。

 

(取り組み内容)

(A)戦略的採用の強化

・当社グループは、「人事は採用に始まり採用に終わる」という考えのもと、事業変革と持続的成長を支える人材基盤の構築に向け、戦略的採用を強化しています。

変化の激しい事業環境において競争優位を確立するため、革新の原動力となる高い創造力と主体性を備えた人材の採用を推進しています。

 その取り組みの一環として、2026年度より、グループ内の約20社に及ぶ事業会社において、2028年度卒業予定の学生を対象とした「職種別スペシャリスト採用」を開始します。

本採用では、課題解決・技術革新・新たな価値創造を担う専門性を有し、入社初期から専門スキルを発揮できるポテンシャルを持つ人材を対象としています。大学・大学院での専攻や研究内容、保有スキル・資格、実務・プロジェクト経験等を重視し、学歴にとらわれず、人物評価と専門性を主な評価基準とすることで、多様な専門性や経験を有する人材の採用につなげていきます。さらに、これらの採用を単なる人材確保にとどめることなく、入社後の育成・成長機会と一体で捉え、社員一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことで、個人と企業が共に成長し、持続的な企業価値の向上を目指しています。

 

(B)ホールディングスとしての当社とグループ各社の人材育成の進化

 ■「期待人材像」をもとにした新たな人材育成体系の構築

・コンピテンシーから「期待人材像」を明らかにしたうえで、2025年度に人材育成体系を再構築しました。2026年度は、「期待人材像」を元にした、各社の教育体系構築の支援を研修等も通じて積極的に行います。

■グループ共通教育プログラムの構築

・自律型人材の育成を目的に、グループ共通基礎教育の導入及び行動変容を促す教育プログラムをグループ共通で構築し各社のニーズに合わせて導入しました。基礎教育については、事業会社で自走できるスキームを構築し既に運用レベルに入っています。行動変容プログラムにおいては2026年度事業会社での自走に向けて取り組みを強化していきます。

 ■人材育成への積極投資

・従業員が自律的にキャリアを考え、成長のために自ら学び続けられる環境を整備・拡充するために、更なる教育の充実とグループ全体の年間教育投資額(2025年度実績:80億円)を拡充してまいります。

 

(C)キャリア自律の支援

 ■イオンキャリアサポーターの養成

・イオンキャリアサポーターを2030年度に1,000名を目標に養成・認定し、各社において従業員の自律的キャリア形成を支援する体制を構築します。

・各年代、階層においてキャリアを考える機会を増やし、充実させると共に、認定者の会社・事業を越えた活動(イオンキャリアサポーターコミュニティ活動)を拡充していきます。

 ■全従業員へのリスキリングの促進

・グループ共通学習プラットフォームのユーザビリティの向上とコンテンツの拡充によって各社での利用を推進し、従業員のスキルの見える化と自己管理を強化することで、一人ひとりの学びを支援する環境を更に充実させます。

 

(D)グループ経営、事業の成長を牽引する人材の育成

 ■次世代経営人材候補の育成

・グループの経営を担う人材の早期発掘と持続的な育成を目指すための人材マネジメントの仕組みと人材育成プログラムを構築し実施します。

・コーポレート・ガバナンスを強化するための教育プログラムを充実させます。

 ■デジタル人材の育成

・デジタル領域において6職種×3レベルの人材定義を行い、当社グループとして必要なデジタル人材採用・育成を強化・推進します。

(2025年度、一般社団法人デジタル人材育成学会のデジタル人材育成大賞を小売業として初めて受賞しました。)

・専門人材領域(選抜研修)と、全員領域(ITパスポート習得レベル)にて教育を実施します。

・デジタル人材を2030年度3,000名を目標に採用と育成を進めてまいります。

 

● 社内環境整備方針

(全体方針)

基本理念に基づき、お客さまを原点に絶えず「革新し続ける企業集団」であるためには、多様な人材が活躍できる環境の整備が必須であると考えています。当社グループで働く従業員一人ひとりの日々の行動がお客さまの負の解消や地域の人々の豊かな暮らしの実現に繋がっていく。そういった強い想いを実現するために、多様な事業を展開する当社グループのすべての人材が、共通の基本理念やグループ未来ビジョンを範として、自主的・自律的にいきいきと活動・活躍しながら、お客さま第一を追求している状態を目指しています。

基本理念と未来ビジョンの浸透をはじめ、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、健康経営、エンゲージメント、人権等、幅広い取り組みを進めることで従業員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境を整備し、持続可能な成長を実現してまいります。

また、当社グループはパートタイマーの従業員を国内約49万人雇用しており、パートタイマーの賃金は4年連続で7%以上引き上げました。パートタイマーは、「地域の生活者」でもあり、賃上げによって「地域のくらしを支える」という側面も持っていると捉えています。今後も積極的な教育投資とDX推進・業務オペレーション改革等による生産性向上と賃金改善の好循環を生み出し、国内労働市場の活性化に寄与する取り組みを続けていきます。

 

(取り組み内容)

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

当社グループは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進を経営戦略の一つとして位置付けています。グループの更なる成長と拡大に向け、当社グループで働く多様な人材の誰もが能力を発揮し、活躍できる企業環境づくりに取り組んでいます。

ダイバーシティが生み出す従業員とその家族、お客さま、会社のそれぞれ三者の満足・価値創出を目指すDE&I関連の取り組みを『“ダイ満足”』と総称し、グループ全体で推進しています。グループ各社のベストプラクティスを共有する“ダイ満足”アワードは、12回を迎え海外事業会社も参画するグループ全体でのDE&I推進の継続的取り組みの一つになっています。

 

(A)女性活躍

女性活躍推進は、DE&I推進における重点取り組みの一つと位置付け、継続的に施策を展開しています。

女性社員が入社から管理職、意思決定層に至るまでのキャリア形成を継続的に行えるよう、階層に応じた育成施策や、グループ横断での交流企画を設けております。

2025年度末時点における女性管理職比率は、連結ベースで28.7%となり、グループ各社において女性管理職が事業運営や意思決定の場で活躍しています。今後も、性別にかかわらず多様な人材が活躍できる環境づくりを進めていきます。

 

(B)障がい者活躍

障がい者雇用率は、法定雇用率(2.5%)に対し、グループ障がい者雇用率は2.94%となりました。障がいのある方々が働きやすい職場環境の整備と雇用の促進は、多くの従業員を雇用するグループとしての重要な責任でもあると考えています。

特例子会社であるアビリティーズジャスコ㈱を中心に、就労移行や就労定着支援を行う体制を構築するとともに、グループ内の人事担当をはじめ、誰もが参加、学ぶことができる機会を設け、理解促進と実務力の向上に取り組んでいます。

 

(C)LGBTQ+への取り組み

当社グループは、人種・国籍・民族・性別・年齢・出身地・宗教・学歴・心身の障がい・性的指向と性自認等を理由とした差別を一切行いません。能力と成果に貫かれた人事を基本的な考え方とし、多様な人材の能力を十分に活かす組織の実現を目指しています。

従業員一人ひとりが尊重され、自分らしく働ける職場づくりに向けて、LGBTQ+に関する基礎知識や理解促進のための研修、アライ(支援者)育成に取り組んでいます。

 

健康経営

当社グループは、従業員の健康づくりが企業活動の要であり、従業員が健康であってこそ地域のお客さまの幸せの実現に貢献できるという考えのもと、従業員とその家族の健康増進に取り組んでいます。当社グループが考える「健康経営」とは、従業員が健康であることが、豊かな地域生活につながる好循環です。こうした考えのもと、2016年に「イオン健康経営宣言」を発表。当社に設置した「イオン健康推進室」を中心に、グループ各社においても推進体制を構築し、健康経営の推進に取り組んでいます。グループ一丸で健康経営を推進することにより、生産性の向上、離職率の低減、エンゲージメント・働きがいの向上を目指しています。 

 


具体的には、受動喫煙対策・卒煙の取り組みとして従業員の就業時間内禁煙・敷地内の禁煙を実施、生活習慣改善に向けた特定保健指導実施率向上や健康チャレンジキャンペーン、各専門家による特別講演の開催、女性の健康に対する学習等、心と身体の健康づくりと安全安心で活力ある職場づくりに取り組んでいます。こうした取り組みが評価され「健康経営優良法人2026」にグループ65社が認定されました。(内、4社はホワイト500を取得しています。)

 

② 指標及び目標

当社グループは「イオンの基本理念」、「イオングループ未来ビジョン」に基づく、当社グループが大切にしてきている人に対する考え方と実現したい姿を踏まえ、当社グループにおける重要指標を以下の4項目にまとめております。

 

当社グループにおける重要指標 

● 基本理念の浸透度

多様な人材や異なる事業の集合体である当社グループにおいて、共通の目標を達成していくための判断のよりどころが「イオンの基本理念」です。基本理念や未来ビジョンへの共感こそが当社グループによる価値提供の基盤であり、当社グループが掲げる地域社会への貢献を実現すべく、全従業員が基本理念に共感している状態を目指します。基本理念の浸透をはかるため、国内外の各社において定期的に理念研修を実施しています。また、理念の実践と定着を加速させる取り組みとして、職場での対話とコミュニケーションの場である「ビジョンMT」を推進しています。

基本理念に則った活動と人間尊重によって積極的な平和への貢献を実現すると共に、地域になくてはならない存在であり続けたいと考えています。

 

重点管理項目

2025年度実績

2030年度目標

基本理念への共感度

3.77

4.0

未来ビジョンへの共感度

3.63

4.0

理念研修の参加率

86.2

100

 

・基本理念への共感度、未来ビジョンへの共感度は2025年8月に実施したエンゲージメントサーベイの自社アンケート結果から算出したグループ連結のスコアになります。※5段階にてスコア化(1.0~5.0)しております。

 

● 従業員の働きがい

お客さまに対する価値創造を担う従業員こそが最大の経営資本であるという考えのもと、従業員の働きがい(エンゲージメント)の向上を重要項目に設定しています。

労働市場の環境変化が加速する現代において、人材や組織の状態を表す「エンゲージメント」が会社と従業員の信頼関係を表す指標になると認識しております。

「エンゲージメント」の向上は従業員が自社の理念に共感し、貢献意欲が高まる状態を実現していくためにも必要不可欠なものであると考えています。2025年度は国内外157社・43万人以上の回答データを分析し、各社の組織状態及びグループの組織課題の可視化と改善を進めています。今後も国内最大規模のエンゲージメントデータを活用するとともに、真の人的資本経営に取り組んでまいります。

また、地域での安定的な雇用と従業員自身の健康が人間の幸福と規範の下支えに繋がるという考えのもと、健康経営の促進に引き続き取り組んでまいります。

 

重点管理項目

2025年度実績

2030年度目標

エンゲージメントレーティング ※1
B以上出現率

73.2

100

 

全体(エンゲージメントスコア※2)

BB(52.3)

 

管理職(エンゲージメントスコア※2)

BBB(57.2)

 

日給月給(エンゲージメントスコア※2)

BB(52.6)

 

時間給(エンゲージメントスコア※2)

BB(51.7)

離職率(日給月給)※3

6.0

4.0

入社5年目定着率

57.5

70%以上

健康経営優良法人認定社数

65

80

 

※1 エンゲージメントレーティングは、2025年度までに組織の信頼関係が健全な状態であることを示すBランク以上に全社が達することを目標に掲げ、エンゲージメントの改善に取り組んでまいります。

※2 エンゲージメントスコアの算出は㈱リンクアンドモチベーション社の「モチベーションクラウド」によって算出。他社平均50.0に対し、当社はグループ全体で52.3、エンゲージメントレーティング「BB」(全11段階中上から5番目)を獲得しています。

※3 離職率は「定年退職」を除いた通常対象者数を算出に用いています。

 


 

● 職場の多様性

多様な価値観・人材を活かした革新ある経営の実践を成し遂げるべく、従業員の人権を尊重し、属性・区分に関係なく公正な評価と、学びを促進し、能力発揮できる機会の提供に努めています。多様な価値観を持つ従業員が活躍しやすい制度が整備され、常にお客さまのニーズに柔軟に応じる革新的な組織の実現を目指しています。

 

重点管理項目

2025年度実績

2030年度目標

女性管理職比率

28.7

50.0

障がい者雇用率

2.94

3.5

 

・女性管理職比率は在外子会社を含めて算定しております。国内会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しており、在外子会社についても共通のフォーマットで算定しております。

・女性管理職比率の算出にあたり、GMS事業については「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の基準と照合した際に職責や部下の管理範囲が管理職として妥当と考えられる店舗マネージャーや主任を算出に含めております。 

・女性管理職比率の会社別の詳細は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び 男女の賃金の差異」に記載のとおりであります。

 

● 経営幹部育成状況

ビジョンの実現に向けて事業横断的に、当社グループのリソースを最大限活用できる経営者の育成を進めています。当社はホールディングスとして、主要会社の社長や取締役等、グループ経営幹部のサクセッションプランをサポートするとともにグループ企業の次期経営者候補の審議、個別育成方針を定めています。

2025年度は、次期経営者育成を若年層から有機的に連携接続するため経営者育成の階層教育を再構築し、2026年度は幹部候補人材プールを確実につくる体制を強化しました。

 

重点管理項目

2025年度実績

2026年度目標

次期経営幹部の

育成

ジュニア(20代)

26名

39名

ミドル(30代)

38名

73名

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは、リスクマネジメントを、グループ各社・各部署において責任を持って取り組むべき重要な経営課題として位置付けています。一方、個社で対応できないリスクについては、「イオン・マネジメントコミッティ」のもとに「リスクマネジメント委員会」において、審議・意思決定を行っています。

 

当社グループの事業に関してリスク要因となると考えられる事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在における当社による判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であり、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下に記載する事項は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅的に記述するものではありませんのでご留意ください。

 

①  地震や台風等の災害、新型感染症、テロ活動等に関するリスク

当社グループの店舗・施設の周辺地域においては、大地震や台風、津波等の自然災害、火災あるいは予期せぬ事故等による店舗・施設への物理的な損害のほか、社会的影響力が大きい新型感染症等の流行、戦争、暴動、テロ活動、コンピュータウイルス等によるシステム障害の発生、その他当社グループの供給業者もしくは仕入・流通ネットワークに影響する事象が発生する可能性があります。当該事象に備え、当社グループにおいては、事業継続計画に基づき情報インフラの整備、防疫対策基準の策定、防災拠点の設置や店舗の耐震強化、地方自治体との防災協力協定の締結、不測の事態が生じた際の資金調達手段の確保等の対策を講じておりますが、想定を上回る事象の発生により当社グループの販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、さらに人的被害や物理的被害があった場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

② 環境課題に関するリスク

当社グループは、「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、店舗や商品開発をはじめ、物流や取引先も含めたサプライチェーン全体で、脱炭素・気候変動、生物多様性の保全、資源循環の促進といった様々な環境課題の解決に取り組んでいます。

しかしながら、環境に関する法的規制の強化や社会的要請の高まりにより想定以上のエネルギー費用や対策コストが発生した場合、また、気候変動や生態系の変化・破壊に伴い農・水産物の品質・収量に著しい変化が生じた場合、その他当社グループの取り組みや開示内容が不十分とみなされ、当社グループの社会的信用が低下した場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

なお、環境課題に関する戦略、ガバナンス、リスク管理並びに指標と目標については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」に記載のとおりであります。

 

③ 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、総合金融事業の顧客のほか、当社グループが営むその他の事業の顧客から得た個人情報、取引先の情報、従業員の個人情報、経営に関する機密情報等を保管・管理しております。IT・ICTの普及やテレワークの拡大により情報セキュリティの重要性が高まる中、当社グループでは、取り扱う情報を事業活動の展開並びに付加価値を創出するための重要な資産と位置づけ、かかる情報の漏洩が生じないよう、情報セキュリティに関する体制や規程を整備し、情報の取り扱いや情報システムの運用に具体的な基準を設け、定期的なチェックを行う等、最大限の対策を講じております。また、近年急増するサイバー攻撃にも対応するため、情報セキュリティを専門に扱うグループ情報セキュリティ事務局を設置し、サイバー攻撃によるシステム停止等の事業継続リスクに対応しております。

しかしながら、機密情報が何らかの事情により漏洩、改ざん、不正使用等された場合、また、サイバー攻撃によるインシデントが発生した場合、被害者に対する損害賠償義務やサービスの大規模な停止による損害及び対応費用の発生のほか、当社グループの社会的信用の低下により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 他企業の買収(M&A)等に関するリスク

当社グループは、グループ各社がそれぞれの分野・地域でナンバーワンへと成長するため、既存の事業モデルの革新をはかるとともに、新しい成長モデルを確立してまいります。当社グループは成長戦略の一環として他企業の買収または他企業への投資を行うことがあります。買収を行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細な事前調査を行い、極力リスクを回避するように努めておりますが、買収を実施した後において、偶発債務や未認識債務の発生、被買収企業に対し当社グループの内部統制を適切かつ有効に適用できないことにより、不正行為やコンプライアンス上の問題等が発生する可能性も考えられます。また、買収によって新たにのれんが発生し、その償却費用が増加する可能性があります。これらの要因により、期待する成果を達成できない場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります

 

⑤ 商品の開発及び調達に関するリスク

当社グループは、商品の品質や安全性に加え、お客さまが必要とされる商品やサービスをお値打ち価格で提供することが小売業の使命であり、経営の重要課題であると考えております。この考えのもと、多様化するお客さまの声に応えるため、グループ共通プライベートブランド(PB)商品であるトップバリュをはじめ、グループの専門業態が開発を担う専門性の高いPB商品、地域事業会社による生鮮・デリカを中心としたローカルPB商品のほか、国内外の様々なナショナルブランド商品を取り扱っております。商品開発にあたっては、厳しい基準を設けて入念な品質検査を実施する等「安全」と「安心」を守るための様々な取り組みを進め、原材料や商品の調達にあたっては、経済環境や地政学的状況を慎重に見極めながら国内外のベストソースからの調達、スケールメリットを活用した需要集約、物流の効率化等の様々な施策を通じてコストの削減と安定供給を実現しています。また、資源循環型社会の実現に向けた、環境配慮型商品の開発や、商品のライフサイクル全体での持続可能性の高い活動の推進に加え、人権尊重への取り組みとして、取引先と協力して、各国の生産・製造拠点に対し、働く人々の雇用が適切であるか、安全に働ける環境であるか、法令を遵守しているかを確認する等、サプライチェーン全体に責任を持つというポリシーのもと、様々な社会的課題を改善につなげる取り組みを進めております。

しかしながら、当社グループのPB商品に起因する事故等が発生した場合や異物混入等が発生し商品の販売自粛の措置をとる場合、想定を上回る原材料価格や物流コストの上昇、急激な為替の変動、天候不順等の影響により、メーカー各社の価格引き上げの発生や商品調達に支障が生じた場合、低環境負荷や人権配慮等への取り組みが不十分と見なされた場合、売上の低下や売上原価の上昇に加え、お客さまからの信頼の失墜を招いたことによるブランドの毀損により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 商業施設の開発及びデジタル・物流関連投資に関するリスク

当社グループは、地域行政と連携し、地域に根ざした商業施設の開発を進めるとともに、デジタル・物流関連投資を加速し、成長領域における事業基盤の強化に取り組んでいます。

商業施設の開発においては、日本国内における都市計画法、建築基準法及び大規模小売店舗立地法や、海外におけるそれぞれの国や地域の法令諸規制の適用により、都市計画の内容等によって郊外地域における店舗開設に制限が課されたり、不動産価格の上昇、大規模災害の復旧需要等による建設業界の慢性的な人材不足や建築資材価格の上昇により、不動産取得コストや建築コストの上昇、工期の長期化が発生したりする場合があります。また、デジタル・物流関連投資では、特にIT分野は技術革新のスピードが速く、事業環境の変化により、新たな技術をサービスに採用するための人材の不足や想定を上回る速度での投資案件の陳腐化や競合他社比での劣後等が発生する場合があります。

これらの要因により、当初の計画通りに店舗やサービスの新規開発等ができなくなり、新店舗の開設や新サービスの提供の遅れ、これに起因する競争力の低下、想定を上回るコストの発生、投資回収までの期間の長期化等、期待する成果の達成や維持ができないことにより、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ 競合激化及び消費動向等の影響に関するリスク

当社グループは、売上高ベースの国内シェアが高く、その収益は日本の小売市場に大きく依存しております。そのため、今後の日本経済の悪化及び個人消費の落ち込み、人口減少による市場の縮小、業種・業態を超えた競争の激化等の影響により、当社グループの売上が低迷する場合があります。加えて、為替変動やインフレ等の急激な経済環境の悪化や異常気象による天候不順等により、商品の調達コストを始め、光熱費や設備維持のための費用、人件費、販促費等の店舗運営に関する様々なコストが上昇する一方で、厳しい市場環境により当該コスト相当額を販売価格に反映することが困難となる場合があります。これらの要因により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

海外においては、中国、アセアンを中心に事業を展開しており、また国内で販売する商品の一定程度を海外から輸入しております。海外において、経済成長の鈍化、不安定な政治・経済情勢、法律や政策の変更、戦争等により、当社グループの海外における販売活動や流通・仕入活動、課税等に問題が発生した場合、またこれらに起因して為替・金利が異常な変動をした場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑧ 人的資本に関するリスク

当社グループの事業活動は人材に大きく依存しており、店舗運営をはじめとした各分野において優秀な人材を確保・育成することに加え、急速な社会の変化に対応するために、多様な価値観を持つ多様な人材の能力を活かすことが成長には不可欠です。そのため、当社グループでは国内外で将来を担う人材を積極的に採用・育成するとともに、人権尊重とダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの観点から、人種や年齢、国籍、性別に捉われずに多様な人材が互いに認め合い、いきいきと平等に活躍できる環境の整備や組織風土づくりを推進しております。また、健康経営として、従業員の生産性や創造性の向上、離職率の低減、従業員の働きがい(エンゲージメント)の向上を目指して、受動喫煙対策・卒煙支援、従業員の健康意識を高める活動等をグループ一体の取り組みとして行っております。

しかしながら、少子高齢化の進行による人口構成の変化等により、その計画が予定通りに進まない場合や、労働需給の逼迫や急激な賃金の引き上げ等により従業員にかかる費用が増加する場合、また、人的資本に関する当社グループの取り組みや情報開示が不十分とみなされる場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

なお、人的資本に関する戦略、指標と目標については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」に記載のとおりであります。

 

⑨ 資産の保有に関するリスク

当社グループは、店舗に係る棚卸資産や営業債権、有形固定資産及びグループの拡大に伴って発生したのれん並びにデジタル関連投資に伴うソフトウエア等多額の固定資産のほか、金融サービスに係る金融資産、その他金融市場で取引される様々な資産等、事業ポートフォリオに基づく多種多様な資産を保有しています。これらの資産への投資については、高い収益力と財務の健全性の確保のため、事業セグメントごとにフロー・ストックの両面で現状分析したうえで、資源の最適配分の考えのもと、成長分野への重点投資とキャッシュ・フローの創出を重視して行っております。しかしながら、店舗の収益性の低下により各店舗の簿価が回収できない場合、市場の混乱等により保有資産の価値が下落した場合、顧客の契約不履行等により想定以上に貸倒懸念債権等が増加した場合等、当該有形固定資産、のれん及びその他の資産について減損または評価損処理を行ったり、追加的な貸倒引当金を計上したりすることがあり、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

また、当社グループは、店舗に係る土地や建物等の一部を賃借しており、契約内容等により一定程度をオペレーティング・リースとして連結財務諸表上オフバランス処理しておりますが、今後改正予定のリースに関する会計基準等の適用後は、原則として借手のすべてのリース取引について使用権資産及びリース負債として連結貸借対照表に計上することとなります。これにより、当該会計基準等の適用時における有利子負債の増加及び自己資本比率の低下等による経営指標への影響に加え、将来において店舗業績の悪化が見込まれる場合、計上された使用権資産について減損損失等が発生する可能性があります。

なお、固定資産の減損損失の計上にあたっての重要な会計上の見積りの前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り) 1 固定資産の減損」に記載のとおりであります。また、当社グループが保有する金融商品の内容及びリスクについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (金融商品関係)」に、貸倒引当金の計上にあたっての重要な会計上の見積りの前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り) 3 貸倒引当金」に記載のとおりであります。また、リースに関する会計基準等の概要、適用予定日、影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (未適用の会計基準等)」に記載のとおりであります。

 

⑩ 資金調達及び金利変動に関するリスク

当社グループは、当連結会計年度末時点において4兆4,654億円(総資産の29.1%)の社債及び借入金等の有利子負債があります。当社グループは常に多様な資金調達手段を検討しており、金融環境の変化に迅速に対応できる体制を整えておりますが、景気の後退、金融収縮等の全般的な市況の悪化や、信用格付けの格下げ等による信用力の低下、事業見通しの悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達できない可能性があります

また、今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります

 

⑪ 総合金融事業における法的規制に関するリスク

当社グループにおいて総合金融事業を営む連結子会社が提供するサービスには、法令に基づく許認可によるものが多くあります。これら法令及び規制の変更や新設に適切な対応ができず、あるいは違反による行政処分等を受けた場合、事業活動への制限を受ける等当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

総合金融事業を営む連結子会社は、その展開する国や地域における関係法令及び諸規制の改正動向をモニタリングし、事業活動や業績等への影響を評価・分析し、コンプライアンスリスクの把握を行っています。また、法令等に基づく各種報告や届出事項に遺漏がないよう、厳格な期日管理を実施しています。さらに、役職員に対して定期的に研修を実施し、法令遵守に努めています。

これらの法令諸規則等は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供が制限される等、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社は、当連結会計年度の期首より、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。)等の適用を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度(2025年3月1日~2026年2月28日)の連結業績は、営業収益が10兆7,153億42百万円(対前期比105.7%)、営業利益は2,704億59百万円(前期より327億12百万円の増益)、経常利益は2,430億31百万円(前期より188億7百万円の増益)となり、営業収益と営業利益、経常利益が過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する当期純利益が726億77百万円(前期より455億9百万円の増益)となりました。

 

当連結会計年度における世界経済は、中東情勢やウクライナ情勢の長期化による資源価格の変動リスクに加え、中国経済の回復の遅れ、米国における政策金利の高止まり及び通商政策を巡る不透明感等を背景に、不確実性の高い状況が続きました。国内経済においては、物価上昇が継続する中、2025年の実質賃金は前年比マイナス圏で推移する月度が多く、年間を通じた回復は限定的となりました。総務省「家計調査」によると、実質消費支出も弱含みで推移する等、家計の実質購買力は引き続き圧迫されました。このため、消費者の節約志向は根強く、生活必需品を中心に購入単価の抑制やプライベートブランド(以下、PB)志向の高まりが見られました。一方で、外食や旅行等のサービス分野は回復基調を維持し、インバウンド需要の拡大も相まって、個人消費の二極化傾向は当連結会計年度を通じて継続しました。

このような経営環境のもと、当社は、地域のお客さまの暮らしを支える生活インフラとしての役割を最優先に、商品・サービスにおける価値訴求力の強化と、事業構造の高度化を両立させる取り組みを推進してまいりました。小売事業を取り巻く競争環境が一段と厳しさを増す中においても、ヘルス&ウエルネス事業では、食品分野の強化や調剤併設の推進を背景に、物販・調剤ともに堅調な推移となりました。また、既存アセットの価値最大化に注力したディベロッパー事業や、映画関連収入を中心に安定した収益基盤を確立したサービス・専門店事業が、グループ全体の収益成長を下支えしました。加えて、グループ横断でのコストコントロールの徹底に加え、DXを活用した業務プロセス改革や生産性向上の取り組みが着実に進展したこと、並びに構造的な収益力強化の効果により、当連結会計年度の営業利益及び経常利益は、いずれも過去最高を更新しました。さらに、グループ全体での資本効率性向上を目的として、事業構造改革を加速してまいりました。その過程でさまざまなコストが発生しましたが、2026年1月に実施した㈱ツルハホールディングス(以下、ツルハ)の連結子会社化により生じた段階取得に係る差益によってこれらのコストを吸収し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比167.5%増と大幅な増益となりました。

 

(グループ共通戦略)

    当社はイオングループ中期経営計画(2021~2025年度)で掲げた5つの変革「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」「イオン生活圏の創造」「アジアシフトの更なる加速」を着実に推進するとともに、「環境・グリーン」を成長戦略の重要な軸と位置づけ、持続的成長基盤の構築に取り組んできました。これらの変革を実行段階で確実に具現化するため、事業ポートフォリオ及び経営基盤の変革を進め、その一環として、プラットフォームとしての役割を担うイオンモール㈱(以下、イオンモール)及び、インフラを担うイオンディライト㈱(以下、イオンディライト)を完全子会社化しました。また、リージョナルシフトを一段と推進するため、2026年3月1日付で首都圏及び近畿圏のSM事業再編を実行しました。これにより、購買、物流、IT、人材等の経営基盤の共通化を通じて、地域単位での収益力強化と競争優位性の確立に向けた体制を構築しました。

・  デジタルシフトの加速と進化:

      GMS事業のイオンリテール㈱(以下、イオンリテール)では、食品売場へのセルフレジの導入を進めるとともに、それに伴う人時の適正化に取り組んできました。実店舗においては、「AIカカク」「AIオーダー」「商品位置検索システム」等を内包した従業員用新端末「オールインワンデバイス」を活用することで、業務遂行における経験や知識の差を縮小するとともに、売価変更、賞味期限や在庫の管理・発注、商品補充作業の効率化を進めました。オンラインチャネルでは、首都圏においてイオンのネット専用スーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」の事業基盤強化を進めました。11月には、さいたま市、川口市をはじめとする埼玉県内計15市町を新たにサービスエリアに加え、当連結会計年度末時点の会員数は約90万人となりました。建設中の第2号八王子CFC及び第3号久喜宮代CFCが稼働を予定しており、1都3県を中心にサービスを進めていきます。また、「決済」「ポイント」「クーポン」「電子レシート」「株主優待」等の機能を集約したアプリ「iAEON」のダウンロード数は約2,200万となりました。6月に「電子マネーWAON」と統合して稼働した「AEON Pay」は、ウエルシアホールディングス㈱(以下、ウエルシア)グループに加え、9月からはユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス㈱(以下、U.S.M.H)の傘下店舗でも導入され、当社グループ外を含め約415万カ所で利用可能となりました。イオンカード、iAEON、「WAON POINT」、AEON Pay等を通じて蓄積された購買データを一元的に活用し、従来のマスマーケティングから顧客体験価値の最大化をはかる1to1マーケティングへの転換を進めてきました。

・  サプライチェーン発想での独自価値の創造:

      当社のPBであるトップバリュでは、グループの規模と機能を最大限に活かし、商品戦略・計画から調達、製造、物流、店舗オペレーションまでを包括するサプライチェーンを構築し、継続的に高度化してきました。これにより、安定した品質と価格競争力を両立した商品提供を実現するとともに、荒利益率の改善に取り組んできました。トップバリュは、「トップバリュベストプライス(価格訴求型)」「トップバリュ(付加価値型)」「トップバリュ グリーンアイ(環境配慮型)」の3ブランドを軸に展開するとともに、地域生産者と連携したローカルPBや専門性の高い分野におけるPBの拡充を進めています。物価高の影響を受けるお客さまの暮らしを支えるため、当連結会計年度においてはPB及びナショナルブランド(以下、NB)の双方で計画的な価格対応を実施しました。あわせて、商品の企画・製造・販売の内部化や機能会社の活用を通じて、調達・製造コストの最適化を進め、価格競争力と収益性の両立をはかってきました。なお、当社は2026年に株式会社化100年を迎えるにあたり、トップバリュにおいて記念商品を2026年3月1日から順次、全国約10,000店舗で展開しています。

・  新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化:

      当社は、ヘルス&ウエルネス事業を成長の中核と位置づけ、2025年12月1日にツルハとウエルシアの経営統合が発効しました。これに続き、同年12月3日にツルハに対する公開買付けを開始し、2026年1月に当社の連結子会社となりました。統合後の各店舗では、調達、商品開発、人材、データ活用等の分野におけるグループシナジーの創出を本格化させ、健康で健やかな生活を通じて社会課題の解決に貢献するインフラとしての「ライフストア」への進化をはかっています。商品戦略面では、ツルハ及びウエルシアがそれぞれ展開していたPBを統合し、新PB「からだとくらしに、+1」へ一本化します。これにより、開発体制や調達基盤の共通化を進め、品質・価値訴求力の一層の向上をはかっています。また、ツルハ・ウエルシアが有するアセアン地域での事業展開の知見と、当社のグループ事業基盤を活かし、2032年2月期には、新会社として売上高3兆円、営業利益率7%、営業利益2,100億円の達成を目標に、アジアNo.1のヘルス&ウエルネス分野のグローバル企業を目指しています。

・  イオン生活圏の創造:

      当社は現中期経営計画において、地域と共に暮らしを育む「イオン生活圏」の構築を重要施策として位置づけ、消費者・自治体・生産者と連携した地域密着型の取り組みを推進してきました。首都圏では、U.S.M.Hの「関東における1兆円のSM構想」を軸に、まいばすけっとやGreen Beansを活用し、実店舗とECの両面から顧客接点の拡充を進めました。加えて、2026年3月1日付でマックスバリュ関東㈱が㈱ダイエー(以下、ダイエー)の関東事業及びイオンマーケット㈱を統合し、新生「㈱イオンフードスタイル」として発足しました。近畿圏では、ダイエーが㈱光洋を吸収合併し、調達や店舗運営の集約を通じた競争力強化をはかりました。これらの再編により、商品政策、購買、物流、IT、人材を地域単位で一体運営する体制を構築しました。加えて、国内では三重県四日市市、埼玉県羽生市等、複数自治体と地域包括連携協定を締結しました。海外においても、金融サービスの格差が大きな課題となっているアセアン地域において、次世代のデジタル金融サービスを展開しました。実店舗では、2024年9月にベトナムでオープンしたイオンモールフエ(フエ市)が、過去の大洪水のデータを基に徹底した対策を行っていた結果として2025年10月末の大洪水時に被害を免れ、地域住民に施設を開放して商品供給を継続し、生活インフラの役目を果たしました。

・  アジアシフトの更なる加速:

      当社は、1984年にマレーシアに初出店して以来、アジアにおいて事業基盤を構築してきました。現中期経営計画では、人口ボーナス期にあり消費性向が高いベトナムを最も重要な市場と位置づけ、南部(ホーチミン、ビンズオン)、北部(ハノイ、ハイフォン)に加え、中部(フエ、ダナン)を中心とした周辺都市へのドミナント出店を進めてきました。2025年10月に開業した「イオンタンアンショッピングセンター」(タイニン省)は本格稼働し、ベトナム中南部エリアにおける顧客基盤の拡大に寄与しています。中国本土においては、相対的に潜在成長率の高い内陸部を重点エリアと位置づけ、2025年11月に国家級新区である湘江新区(湖南省長沙市)北部に「イオンモール長沙湘江新区」をグランドオープンしました。同モールは、交通利便性と持続可能な人口構成に恵まれた立地特性を活かし、多くのお客さまにご来店いただいており、内陸部展開の中核拠点としての役割を担っています。当社は今後も、各国・地域の成長段階や消費特性を踏まえた出店・投資を進め、アジアにおける事業ポートフォリオの拡充と収益基盤の強化をはかってまいります。

・  環境・グリーン:

      サプライチェーン全体のCO2排出量の多くを占める商品製造段階における排出管理及び削減に注力する当社は、国際的な環境情報開示を行う非営利団体CDPによる気候変動対策の評価において、7年連続で最高評価であるAリストに選出されました。また、資源循環型社会の実現に向けた取り組みとして、2026年3月より不要衣料品の回収・循環施策を拡大し、イオングループ全国約700カ所に常設の回収拠点を設置しました。衣料品の再利用・再資源化を通じて、廃棄物削減と循環型モデルの定着を進めています。さらに、「イオン ふるさとの森づくり」は開始から35周年を迎えました。これまでの植樹活動を通じた地域環境保全の成果を基盤に、生物多様性の保全を起点としたネイチャーポジティブの実現に向け、取り組みを新たな段階へと進めています。脱炭素社会の実現に向けた新たな取り組みとして、エネルギー事業者との協業により、2025年8月から屋根設置型太陽光発電の余剰電力を活用した再生可能エネルギーの供給を、イオンリテールの店舗及び事務所において開始しました。あわせて、複数の太陽光発電所で発電された再生可能エネルギー電力を活用したオフサイトコーポレートPPAを通じた電力調達についても包括契約を締結しています。これらの取り組みを通じ、再生可能エネルギーの安定的な調達とCO2排出量削減の両立をはかっています。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。
  なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントの区分を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  注記事項 (セグメント情報等)」をご覧ください。

 

①  GMS事業

GMS事業は、営業収益3兆6,918億64百万円(対前期比103.7%)、営業利益214億30百万円(前期より50億70百万円の増益)となりました。

イオンリテールでは、「小売事業の収益構造改革」「ショッピングセンターの収益最大化」「新たな収益事業の確立」に取り組むとともに、「実効力を高める基盤構築」を推進しました。当連結会計年度は、全ラインにおいて価格戦略と価値戦略を両輪で取り組んだ結果、営業収益は2兆301億41百万円(対前期比108.1%)と増収となりました。一方、インフレ基調が続く中、原材料価格の高騰による商品原価の上昇や、賃上げを含む人的投資等のコスト増の影響を受け、営業利益は71億96百万円(同90.7%)と減益になりました。小売事業の収益構造改革については、食品において、お客さまの節約志向に対応するため、食品PB商品の拡充や新たなセールスプロモーションを通じ価格訴求を強化し、客数増加及びシェア拡大をはかりました。衣料品では、SPAの推進に向けた専門店モデルの展開拡大や、付加価値の高い同社独自商品の開発・販売を強化し、売上・客数の改善をはかりました。また、住居余暇やH&BCにおいても、売場モデルの刷新を進め、新規顧客の獲得に向けた取り組みを推進しました。デジタル分野では、ネットスーパーの出荷能力向上やピックアップサービスの利用拡大による物流費の低減を進めた結果、当該事業の営業利益は黒字となりました。ショッピングセンターの収益最大化に向けては、直営売場と一体となった店舗全体の活性化に取り組むとともに、お客さまの快適性向上に資する環境投資を計画的に実施しました。あわせて、イベント催事の強化やスペースの一時使用拡大を進める等、テナント関連収入の拡大をはかり、付帯収入の増加に寄与しました。新たな収益事業の確立においては、リテールメディアを広告収入の拡大及び小売売上の成長に寄与する事業と位置づけ、強化しました。その結果、前連結会計年度から収益性が大きく改善し、新たな収益の柱として着実に成長しています。実効力を高める基盤構築では、店舗及びバックオフィス業務のDX化をさらに推進するとともに、売上規模別のモデル人件費率を設定し、人時の適正コントロールを実施しました。創出した人時を成長領域に再配分することで人時生産性の改善をはかり、将来の収益力向上に向けた業務効率化と生産性向上に向けた取り組みを進めました。

イオン北海道㈱では、売上高は3,800億63百万円(対前期比107.4%)、営業利益は83億32百万円(同105.6%)となりました。売上面では、西友承継店舗や前連結会計年度の新店効果に加え、価格訴求力を強みとするディスカウントストア業態が堅調に推移しました。簡便・即食需要への対応強化や来店頻度向上施策が奏功し、食品部門が前期比108.1%と業績を牽引しました。売上総利益については、原価上昇や価格競争が影響したものの、売上規模の拡大により売上総利益額は前連結会計年度を上回りました。特に利益貢献度の高いトップバリュ商品の販売が伸長し、「トップバリュベストプライス」やオリジナル商品の拡販が荒利益高の確保に寄与しました。また、簡便・即食商品や「本気!」シリーズ等付加価値商品の強化が荒利益改善を下支えしました。営業総利益は、売上総利益の増加に加え、ディベロッパー本部主導によるテナント構成見直しや新規テナント誘致を通じたテナント収入の拡大が寄与し、前連結会計年度を上回りました。大型活性化店舗や業態転換を進めた西友承継店舗において商圏適合度が向上したことも、営業総利益の押し上げ要因となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や光熱費の上昇により増加しましたが、生産性改善への継続的な取り組みが効果を発揮しました。業務効率化や人員配置の最適化を進めた結果、人時生産性は既存店前期比103.8%へと改善し、コスト増加の影響を軽減しました。

イオン九州㈱では、営業収益は5,471億45百万円(対前期比102.9%)、営業利益は107億48百万円(同102.0%)となり、いずれも過去最高を更新しました。売上面では、「トップバリュベストプライス」や「しあわせプラス(応援価格)」商品の拡充を軸に、生活必需品の価格訴求を強化しました。加えて、ブラックフライデーや年末年始等の大型商戦を中心とした販促施策が奏功し、売上構成比の高い食品が年間を通じて堅調に推移しました。また、都市型小型SM「マックスバリュエクスプレス」及びドラッグ&フード業態「ウエルシアプラス」の新規出店が、売上拡大に寄与しました。売上総利益は、売上規模の拡大に加え、店舗特性やお客さまの動向を踏まえた品揃え・発注・製造計画の最適化、年末年始や節分等の重点期間における品切れ防止に努めた結果、前連結会計年度を上回りました。あわせて、ブラックフライデーや年末年始における催事企画やショッピングセンター全体での集客施策が、営業総利益の増加に寄与しました。販売費及び一般管理費については、賃上げを含む人的資本投資やDX投資等成長に向けた先行投資を実施する一方、セルフレジや電子棚札の導入、省力化什器の活用、AIを活用したオペレーション改善を進め、人時生産性は前期比104.7%と大きく向上しました。

㈱キャンドゥでは、売上高が870億57百万円(対前期比104.4%)、営業利益は15億32百万円(対前期比180.3%)の大幅増益となりました。イオングループとの協業を通じた販路拡大を進めるとともに、商品・ブランドの差別化に取り組みました。店舗展開では、グループ出店や委託店を中心とした出店を推進することで、店舗網の拡大をはかりました。商品面では、主力の100円商品を軸に、他価格帯商品を含めた品揃えの見直しを行いました。また、原価率改善施策や出店コストの見直し、人時コントロールの徹底、セルフレジの導入による人件費抑制を進め、収益構造の改善に努めました。

 

②  SM事業

SM事業は、営業収益3兆857億49百万円(対前期比101.0%)、営業利益298億70百万円(前期より26億73百万円の減益)となりました。

U.S.M.Hでは、既存店の客数増加に加え、統合した㈱いなげやの業績寄与により、営業収益は9,637億62百万円(対前期比118.8%)と大幅な増収となりました。一方で、物価上昇及び競争環境の激化への対応として、加工食品を中心に価格施策及び販促施策を継続的に実施したことから、売上総利益率は低下しましたが、売上総利益は前期比117.4%と増加し、規模拡大に伴う利益額の積み上げは着実に進展しました。販売費及び一般管理費については、労務費、光熱費、物流費の上昇に加え、統合に伴う事業規模拡大の影響を受け、前期比117.8%と増加しました。とりわけ人件費や物流関連コストの上昇が継続する中、販売費及び一般管理費の伸びが売上総利益の増加を上回ったことから、営業利益は50億50百万円(対前期比84.5%)と減益になりました。こうした状況を踏まえ、U.S.M.Hは、労働集約型経営からの脱却に向けた生産性向上と人員の適正化の両立を最重要課題と位置づけ、「真の顧客起点」を軸とした経営構造改革を本格的に推進しております。2026年3月には機構改革を実施し、商品調達、販促、間接部門、情報・物流、店舗開発の各機能を横断的に再編することで、スケールメリットの最大化と意思決定の迅速化をはかり、持続的な収益力の回復を目指す体制へと移行しました。

マックスバリュ東海㈱では、営業収益は3,849億51百万円(対前期比102.0%)と増収となりました。一方、人件費や物流費をはじめとするコスト上昇の影響を受け、営業利益は135億57百万円(同96.4%)となりました。売上面では、「安さ実感 家計応援」施策をはじめとした価格訴求の継続に加え、トップバリュの拡販、デリカ・冷凍食品・インストアベーカリーといった成長カテゴリーの強化が奏功しました。また、地域密着型商品である「じもの」の拡充や、得意日における販促強化、iAEONクーポン商品の拡販により客数が増加しました。加えて、都市型小型店を中心とした新規出店や既存店改装による売場改善、移動スーパーや無人店舗の拡大による販路拡充も、売上増加に寄与しました。売上総利益については、トップバリュの新商品・リニューアル商品、増量・値下企画商品の拡販を進めるとともに、利益貢献度の高いデリカやインストアベーカリーの強化を継続しました。政策的に進めてきた価格施策の影響が顕在化したものの、売上規模の拡大を背景に売上総利益額は前連結会計年度を上回りました。販売費及び一般管理費は、人件費や物流費の上昇を主因に前連結会計年度を上回りました。また、電子棚札やセルフレジの導入、発注精度向上等、生産性改善に向けた取り組みを継続しました。成長投資及びコスト増加の影響はあったものの、将来の収益性向上に向けた事業基盤の強化は着実に進展しました。

㈱フジでは、営業収益は8,142億60百万円(対前期比100.7%)、営業利益は112億17百万円(同86.6%)となりました。売上面では、継続する物価高による節約志向の高まりに対応し、「全力プライス」「毎日が安い」を軸としたEDLP(エブリデイ・ロー・プライス)施策を強化するとともに、トップバリュ商品の拡充や自社オリジナル商品、即食・簡便商品の販売が伸長しました。あわせて、既存店の競争力向上に向けた取り組みとして、既存店の活性化を37店舗で実施したほか、スクラップ&ビルド及び新規出店を計画どおり進めたことにより、営業総利益は2,497億60百万円(同100.1%)となりました。原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響を受けたものの、即食・簡便商品やオリジナル商品の構成比向上に加え、生鮮・デリカ分野における自社プロセスセンターを活用した商品力強化やトップバリュ商品の拡充を進めた結果、売上総利益は前連結会計年度を上回りました。一方、販売費及び一般管理費は、既存店の活性化・スクラップ&ビルド、DX機器の導入をはじめとした成長投資、加えて物流費の高騰等コスト上昇の影響により2,385億43百万円(同100.8%)となりました。また、WAON POINTの付与・利用を全店で開始しお客さまの利便性向上に取り組むとともに、ディスカウントストア業態における価格競争力の強化、四国・地方特性を踏まえた移動スーパー事業の拡大等、地域密着型の施策を推進し、事業基盤の強化と将来の収益力向上に向けた取り組みを進めました。

ミニストップ㈱では、営業収益が917億88百万円(対前期比104.9%)、営業損失は36億10百万円(前期は営業損失34億86百万円)と増収減益となったものの、構造改革の進展や商品力強化により、収益改善に向けた成果が見られました。売上面では、MD改革を通じた価格戦略の再構築により、おにぎりや菓子パン等のコンビニエンスストア商品が堅調に推移しました。また、看板商品のソフトクリームを刷新した「北海道ミルクソフト」や高付加価値のコールドスイーツが好調に推移し、収益改善を牽引しました。下半期には手づくりおにぎり等の販売中止による影響を受けたものの、再発防止策の徹底と販売再開に向けた取り組みを進めた結果、後半にかけて既存店売上高は改善基調となりました。一方、直営店の増加に伴う人件費や安全・安心対策費用の増加が、利益面に影響しました。

まいばすけっと㈱では、首都圏を中心としたドミナント出店戦略の推進に加え、既存店売上高が堅調に推移したことから、売上高は順調に拡大しました。当連結会計年度に129店舗を出店することで、当連結会計年度末の店舗数は1,323店舗となり、首都圏における店舗ネットワークは一層拡大しました。利益面では、積極的な賃上げや人材投資を通じた働きやすい環境づくりを進める中で人件費が増加したほか、店舗DX投資拡大やキャッシュレス推進に関わる費用増加影響がありました。DX施策については、発注支援システムやセルフレジの導入等を計画的に進めたことで業務の省力化が進展し、生産性は着実に向上しました。特に発注業務においては、支援システムの活用が広がり、業務効率化と売場運営の高度化に寄与しています。原材料価格上昇の影響を受けた売上総利益率については、価格戦略の見直しや売価変更コントロールの強化を継続的に進めた結果、下半期の後半には改善基調が明確となりました。

 

③  DS事業

DS事業は、営業収益4,305億12百万円(対前期比104.6%)、営業利益72億33百万円(前期より7億57百万円の減益)となりました。

イオンビッグ㈱では、物価上昇局面における節約志向の高まりを背景に、EDLPを軸とした価格訴求やiAEON販促の強化が奏功し、売上高が堅調に推移しました。売場通路拡幅等の活性化施策によりまとめ買い需要が拡大し、客数・客単価ともに前連結会計年度を上回りました。あわせて、輸入商品・DS専用商品の拡充により売上規模の拡大につながりました。利益面では、営業収益の増加に加え、荒利益高改善及びコストコントロールの徹底により増益となりました。PB商品の拡販により売上構成比を引き上げ、荒利益水準が改善したほか、セルフレジの導入や業務デジタル化の推進による人時削減、販売費及び一般管理費の抑制が寄与しました。原価上昇要因はあるものの、ローコスト運営の継続により収益性を確保しました。

㈱ビッグ・エーでは、節約志向の高まりを背景に低価格訴求を強化し、重点商品の値下げやアウトレット商品の活用により売上が伸長しました。荒利益高は改善したものの、旧アコレ店舗のビッグ・エーへの屋号統一を当連結会計年度内に完了させたことに伴う改装・切替費用が発生したほか、賃上げや物流コスト上昇の影響を受け、営業利益は前連結会計年度を下回りました。上昇コスト吸収に向け、業務のシステム化による作業効率向上や、店舗・本社双方における業務プロセスの見直しを進め、生産性向上を通じた持続的なコスト構造の改善に取り組んでいます。

 

④  ヘルス&ウエルネス事業

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益1兆6,333億18百万円(対前期比123.5%)、営業利益523億68百万円(前期より163億61百万円の増益)となりました。

ウエルシアでは、食品が牽引した物販に加え、調剤併設の推進を背景に処方箋受付枚数が増加し、物販・調剤ともに堅調に推移しました。あわせて、継続した人時コントロールの強化による販管比率改善も寄与し、増収増益となりました。ウエルシアを完全子会社とする株式交換が2025年12月に完了し、経営統合が実現したツルハでは、営業収益1兆4,505億85百万円、営業利益630億37百万円となりました。調剤併設の推進、PBの拡販並びに販売費及び一般管理費の適正なコントロールを通じて、収益性及び競争力の向上に取り組んでまいりました。また、2025年12月1日にウエルシアとの経営統合を実施し、組織体制の整備を進めるとともに、商品政策(PB及びNB)やマーチャンダイジングの統一に向けた連携を強化しております。加えて、データ活用に向けた基盤整備や店舗開発機能の連携等を通じて、シナジー創出に向けた取り組みを推進しております。店舗展開につきましては、既存エリアにおけるドミナント戦略の強化を基本方針とし、出店の質を重視した店舗開発を進めてまいりました。また、既存店舗の競争力向上をはかるため、改装を積極的に実施するとともに、不採算店舗の見直しを進めております。その結果、当連結会計年度において新規出店117店舗、閉店90店舗を実施し、さらに統合に伴う増加2,991店舗を加えた結果、当連結会計年度末におけるツルハグループの直営店舗数は5,676店舗となりました。

 

⑤  総合金融事業

総合金融事業は、営業収益5,675億44百万円(対前期比107.0%)、営業利益608億71百万円(前期より2億93百万円の減益)となりました。

イオンフィナンシャルサービス㈱では、営業収益は国内外における営業債権残高の拡大や金融収益の増加により増収となりましたが、前連結会計年度に計上した債権流動化益の反動や、金利上昇に伴う金融費用の増加により、営業利益は前連結会計年度を下回りました。国内リテール事業では、ショッピングリボ・分割を中心とした営業債権残高の拡大が業績を牽引しました。「あとから分割払い」をはじめとする支払方法の利便性向上により、お客さまの多様な支払ニーズに対応した結果、ショッピングリボ・分割債権残高は3,951億79百万円(期首差336億12百万円増)、キャッシング債権残高は4,353億76百万円(同74億73百万円増)となりました。加えて、AEON Payを通じた継続的な利用促進によりカード決済利用が拡大し、営業債権残高の積み上げが進みました。また、ローン金利の上昇や有価証券運用益の拡大により営業収益は増加しました。一方、預金金利の上昇や金利環境に応じた債券ポートフォリオのリバランスに伴い金融費用が増加し、営業利益は前連結会計年度を下回りました。なお、㈱イオン銀行の預金残高は5兆4,641億67百万円(期首差2,625億34百万円増)と堅調に拡大しました。国内ソリューション事業では、AEON Payを中心とした決済サービスの利用拡大や加盟店ネットワークの拡充に加え、WAONバリュイシュア事業の譲受により役務取引等収益が増加しました。顧客基盤の拡大も進み、国内有効ID数は3,925万人(期首差309万人増)となり、営業利益は前連結会計年度を上回りました。海外事業では、中華圏はマクロ環境の回復が緩やかな中、与信・回収体制の強化により貸倒関連費用を抑制し、営業利益は前連結会計年度を上回りました。メコン圏では慎重な与信運営を継続する中、バイクローン等の取扱高が堅調に推移し、営業収益は増加しましたが、営業利益は概ね前連結会計年度並みとなりました。マレー圏では、個人向けローン及び個品割賦の資金需要が引き続き好調で、営業債権残高の拡大により増収増益となりました。

 

⑥  ディベロッパー事業

ディベロッパー事業は、営業収益5,224億28百万円(対前期比105.3%)、営業利益709億16百万円(前期より178億81百万円の増益)となりました。

イオンモールでは、既存モールの収益力回復と新規モールの寄与により、当連結会計年度の営業収益は4,727億2百万円(前期比105.1%)、営業利益は684億23百万円(同131.2%)と、増収増益を達成しました。国内既存モールでは、当連結会計年度の専門店売上高が前期比105.7%と堅調に推移し、来店客数も前期比102.7%と増加しました。ブラックフライデーや年末年始といった大型販促企画、季節イベントの実施が来店動機を高め、安定した集客につながりました。加えて、猛暑下におけるクールシェア施策等、生活ニーズを捉えた取り組みが奏功しています。また、既存モールの活性化施策も専門店売上高を押し上げました。国内では年間21モールでリニューアルを実施し、リニューアルモールの専門店売上高は前期比109.1%と、リニューアル未実施モールを上回る成果を上げました。テナント構成の見直しや屋内・屋外遊戯施設といった体験型コンテンツの導入により、回遊性と購買機会が向上し、既存資産の収益力向上に寄与しています。業態別では、飲食、雑貨、アミューズメント、サービスといった非衣料・体験型業態が堅調に推移し、消費構造の変化を捉えた業態構成が専門店売上高全体を牽引しました。さらに、観光地や空港近接モールを中心にインバウンド需要の取り込みが進み、専門店免税売上高は前期比約1.5倍に拡大し、売上増に寄与しています。海外事業においても、既存モールを中心に専門店売上高が回復しました。中国では消費喚起策の影響を受け、既存モール専門店売上高が前期比103.7%と増加し、ベトナムでは堅調な個人消費を背景に117.6%と高い伸びを確保しました。これらに加え、前連結会計年度から当連結会計年度にかけて開業した新規モールの通期寄与が、営業収益の底上げにつながっています。利益面では、増収効果に加え、国内を中心とした電気代や上場関連コストの抑制等、コストコントロールの進展が寄与し、営業利益は大幅な増益となりました。

 

⑦  サービス・専門店事業

サービス・専門店事業は、営業収益7,596億17百万円(対前期比103.3%)、営業利益270億2百万円(前期より36億74百万円の増益)となりました。

㈱イオンファンタジーでは、国内事業の好調を背景に、売上高は932億90百万円(前期比106.9%)、営業利益は61億14百万円(同140.7%)となりました。国内事業を中心に業績が伸長しており、売上構成比の高いプライズ部門では、キッズ向けプライズが引き続き好調に推移しました。メダル部門では、最新機種の投入や売場改編により売上が堅調に推移し、売上総利益率の向上に貢献しました。また、カード部門では新弾投入に伴うトレンド変化を捉えた運営が奏功し、売上を下支えしました。加えて、「クレーン横丁  極」「ちきゅうのにわ」「のびっこ」ブランド等の新業態を含む出店拡大が、営業収益の増加に寄与しました。販売費及び一般管理費については、人時管理の徹底や業務の自動化・効率化を進め、売上成長に対して概ね前連結会計年度並みの水準に抑制しました。この結果、増収効果もあり営業利益は増益となりました。海外事業では、アセアン事業で売上拡大が見られた一方、収益性改善に向けた施策を継続しており、中国事業では構造改革の進展により損益改善が進んでいます。

イオンディライトでは、完全子会社化を契機として、イオングループ内需要の着実な取り込みとグループ外取引の拡大を進めました。設備管理・清掃・警備を中心としたビルメンテナンス3事業での新規受託の拡大に加え、中国事業でのM&A効果や建設施工事業における維持修繕工事の受注増加が寄与し、営業収益は順調に拡大しました。営業利益は、売上拡大に伴う売上総利益の増加により、通期で増益を確保しました。下半期には、中長期的な競争力強化を目的とした計画的な投資を行い、モデル現場において生産性向上施策の検証を進めました。これにより、来期からの横展開やDX・BPRの活用による業務効率化を推進することで、中期的には、施設管理業務の効率化に加え、ファシリティマネジメントコンサルティング機能の強化及び建設施工事業の拡大を通じ、事業規模と収益力の一層の向上をはかってまいります。

イオンエンターテイメント㈱では、話題性の高い映画作品の上映に加え、ライブビューイングや舞台、アニメ、イベント映像等ODS(映画以外のコンテンツ)の拡充を進め、幅広い層の集客に取り組みました。これらの施策により来場者数は堅調に推移し、映画コンテンツのみに依存しない集客の多様化を進めました。来場者数の増加を通じて、イオンモール全体の集客や専門店、特にフードサービスへの波及効果が見られています。また、セルフオーダーシステムの導入により、お客さまの注文待ちのストレスを無くすとともに購買単価のアップを実現しました。コスト面では、時間外労働の削減や業務効率化、新基幹システム導入によるバックオフィス業務の見直し等により生産性向上をはかりました。海外事業では、ベトナムにおける合弁事業を通じて映画館展開及び配給事業を進め、事業基盤の構築に取り組んでいます。

㈱コックスでは、売上高は149億55百万円(前期比97.7%)、営業利益は13億24百万円(同104.8%)となりました。「店舗売上の拡大」「EC売上の拡大」「荒利率の維持・改善」を重点施策として取り組む中、人員体制の再整備やタイアップ企画によるブランド発信強化を行いました。また、「ikkaアパレル+LBC雑貨」を軸としたニューライフスタイルショップへの改装を進め、改装店舗では一定の効果が見られましたが、未改装店舗の売上不振や気候変動によるプロパー販売期の苦戦が影響し、既存店売上高は前連結会計年度の水準を下回りました。EC分野では、会員アプリ施策やインフルエンサーを活用した販促強化により売上が伸長しました。荒利益面では、プロパー販売強化や値引き抑制、キャリー商品の活用、生産地におけるアセアン比率引き上げや取引先集約による仕入原価低減に取り組みましたが、プロパー販売期の売上苦戦に伴う在庫評価の見直し等により、荒利益率は前連結会計年度を下回りました。一方、固定費削減を中心とした販売費及び一般管理費の抑制により、営業利益は増益を確保しました。

 

⑧  国際事業 (連結対象期間は主として1月から12月)

国際事業は、営業収益5,682億84百万円(対前期比103.5%)、営業利益102億28百万円(前期より7億34百万円の増益)となりました。

マレーシアでは、政府による低・中所得層向け補助金政策により必需品消費が一定程度下支えされる一方、食品や外食費を中心とした家計負担感から、消費者の節約志向が年間を通じて継続しました。このような環境下、AEON CO.(M) BHD.は、食品を軸とした商品展開やPBの拡販を進め、小売事業の底堅い推移を確保しました。あわせて、モール事業では飲食・エンターテインメント系テナントの強化や高い入居率の維持により収入が安定的に拡大し、当連結会計年度の営業収益は前連結会計年度を上回りました。さらに、ネットスーパー(myAEON2go)も配送エリア拡大等により売上が伸長しました。

ベトナムでは、高水準の経済成長と個人消費の拡大を背景に、小売市場が堅調に推移しました。AEON VIETNAM CO.,LTD.は、小型GMS及びスーパーマーケットの計画的な新規出店と既存店の運営力強化に取り組みました。特に、食品を中心とした品揃えの充実やブラックフライデーやテト商戦等の大型販促施策が奏功し、当連結会計年度の売上高は予算を達成しました。加えて、オンライン販売も食品を軸にH&BCやキッズ分野が伸長し、事業基盤の強化が進みました。

中国では、景気回復の鈍化や消費者の節約志向が続く中、各社は商品戦略の見直しや重点カテゴリー拡販の推進、均一価格や国慶節、ダブルイレブン等の重要商戦に向けた販促強化、経費構造改革に取り組み、収益力回復に向けた施策は着実に前進しました。その一環として、トップバリュをはじめとする開発商品の販売拡大を最優先課題として推進しました。こうした中、AEON STORES(HONG KONG)CO.,LTD.では、食品部門の立て直しに加え、経費削減が奏功し、増益となりました。AEON(HUNAN)Co.,Ltd.では、2号店開業の寄与により事業規模が拡大し、増益となりました。AEON(HUBEI)CO.,LTD.においても、新規出店効果を取り込みつつ、売場及び商品施策の強化を通じて、収益改善が進みました。

 

(販売の状況)

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

GMS事業

3,691,864

103.7

SM事業

3,085,749

101.0

DS事業

430,512

104.6

ヘルス&ウエルネス事業

1,633,318

123.5

総合金融事業

567,544

107.0

ディベロッパー事業

522,428

105.3

サービス・専門店事業

759,617

103.3

国際事業

568,284

103.5

その他事業

80,621

118.2

調整額

△624,598

合計

10,715,342

105.7

 

(注) SM事業の営業収益には、コンビニエンスストアの加盟店の売上高(当連結会計年度237,797百万円)は含んでおりません。

 

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前期末より1兆5,363億39百万円増加し、15兆3,696億58百万円(前期比111.1%)となりました。前期末からの増加の主な要因は、有価証券が4,147億4百万円、有形固定資産が3,419億51百万円、棚卸資産が1,795億69百万円、銀行業における貸出金が1,749億35百万円、のれんが1,163億89百万円、営業貸付金が680億1百万円増加した一方で、投資有価証券が626億円減少したこと等によるものです。

 

  セグメントごとの資産は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

GMS事業

1,644,284

110.0

SM事業

1,281,982

103.2

DS事業

90,877

114.8

ヘルス&ウエルネス事業

1,410,529

231.5

総合金融事業

8,306,171

107.1

ディベロッパー事業

2,051,031

109.6

サービス・専門店事業

446,677

111.3

国際事業

554,871

105.3

その他事業

213,584

120.5

調整額

△630,350

合計

15,369,658

111.1

 

 

負債は、前期末より1兆4,673億43百万円増加し、13兆1,653億91百万円(前期比112.5%)となりました。前期末からの増加の主な要因は、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が4,400億75百万円、支払手形及び買掛金が3,933億98百万円、銀行業における預金が2,771億44百万円、社債(1年内償還予定の社債を含む)が1,488億42百万円増加した一方で、短期借入金が569億72百万円、保険契約準備金が426億56百万円減少したこと等によるものです。

純資産は、前期末より689億95百万円増加し、2兆2,042億67百万円(前期比103.2%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末より910億21百万円増加し、1兆2,631億23百万円(前期比107.8%)となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は1兆1,265億89百万円(前期比199.0%)となりました。前期に比べ5,603億71百万円収入が増加した主な要因は、その他の資産・負債の増減額が3,192億24百万円増加、仕入債務の増減額が2,159億88百万円増加した一方で、銀行業における預金の増減額が3,865億71百万円減少したこと等によるものです

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は1兆886億65百万円(前期比227.4%)となりました。前期に比べ6,098億55百万円支出が増加した主な要因は、銀行業における有価証券の取得による支出が4,424億26百万円増加し、前連結会計年度において発生した支配喪失会社からの貸付金の回収による収入が当連結会計年度にはなかったことによる収入の減少が2,191億円あった一方で、銀行業における有価証券の売却及び償還による収入が1,565億20百万円増加したこと等によるものです。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、増加した資金は400億89百万円となりました。前期に比べ392億8百万円収入が増加した主な要因は、長期借入れによる収入が1,600億46百万円増加し、社債の発行による収入が1,452億85百万円増加した一方で、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が1,047億3百万円増加したこと等によるものです。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入のほか、人件費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、設備投資に係る資金需要の主なものは、新規出店に伴う有形固定資産の取得等であります。

 

(財務政策)

当社グループの事業活動に必要な資金については、営業キャッシュ・フローによることを基本とし、金融機関からの借入れ、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等、資金調達の多様化をはかっております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成にあたり重要となる会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断のもと、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす一定の前提条件に基づく見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定に基づく数値は、過去の実績、現在の状況、今後の見通し等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、見積り特有の不確実性により、翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に重要な影響が及ぶ可能性があるものとして、以下の項目を「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(固定資産の減損)

(繰延税金資産の回収可能性)

(貸倒引当金)

 

その他の会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(退職給付)

退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計上にあたっては、確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用について、簡便法を適用している一部子会社を除き、数理計算上で設定される仮定に基づき退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率、予想昇給率、一時金選択率等の計算基礎が含まれます。特に重要な仮定のひとつである割引率については、主として優良社債の利回りをもとに、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。

これらの主要な見積り及び仮定について、実際の結果と異なる場合、前提条件に大きな変更が生じた場合、あるいは退職給付制度に変更があった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債、退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当社グループの退職給付制度の概要や主要な数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (退職給付関係)」に記載のとおりであります。

 

 

(資産除去債務)

資産除去債務の計上にあたっては、不動産賃借契約に付されている土地の更地返還義務及び建物原状回復義務に基づき、借地物件における自社建物の解体費用、建物賃借物件における原状回復費用等を一定の仮定をおいて見積り、割り引くことにより算定しております。将来の除去費用の見積りについては、主として過去の実績、施工業者による見積りを基礎とし、個別の契約内容等を考慮して算定しております。

これらの主要な見積り及び仮定について、実際の除去費用が見積り金額と異なる場合、新たな事実の発生により使用見込期間や原状回復費用の見積り額等に影響を与えることとなった場合、資産除去債務の金額に影響を与える可能性があります。

なお、資産除去債務の概要や金額の算定方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (資産除去債務関係)」に記載のとおりであります。

 

なお、当社の個別財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(1) 株式譲渡契約(イオン・アリアンツ生命保険㈱)

当社の連結子会社であるイオンフィナンシャルサービス㈱(以下、「イオンフィナンシャルサービス」という。)は、イオンフィナンシャルサービスが保有するイオン・アリアンツ生命保険㈱(以下、「イオン・アリアンツ生命保険」という。)の株式の一部につき、明治安田生命保険相互会社に譲渡することを約した株式譲渡契約を2025年3月21日付で締結し、2025年7月1日に譲渡を実行いたしました。本株式の譲渡に伴い、イオン・アリアンツ生命保険を当社の連結の範囲から除外しております。

 

(2) 資本業務提携に係る最終契約及び株式交換契約等(㈱ツルハホールディングス)

当社、㈱ツルハホールディングス(以下、「ツルハHD」という。)及び当社の連結子会社であるウエルシアホールディングス㈱(以下、「ウエルシアHD」という。)は、2025年4月11日付で資本業務提携に係る最終契約を締結いたしました。また、同日付で、ツルハHD及びウエルシアHDは、ツルハHDを株式交換完全親会社とし、ウエルシアHDを株式交換完全子会社とする株式交換契約を締結いたしました。

本最終契約に基づき、当社は、2025年5月16日付でツルハHD株式3,530,000株を追加取得し、ツルハHDは当社の持分法適用関連会社となりました。さらに、当社は、本株式交換契約に基づく株式交換の効力発生により2025年12月1日付でツルハHD株式を追加取得したことに加え、2025年12月3日より開始した金融商品取引法による公開買付けの成立により、2026年1月14日付でツルハHD株式を追加取得いたしました。その結果、当社が保有するツルハHD株式の議決権割合が50.3%となったため、同日付でツルハHDは当社の連結子会社となりました。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係) 1 取得による企業結合(㈱ツルハホールディングス)」に記載のとおりであります。

 

(3) 株式交換契約(イオンモール㈱)

当社及び当社の連結子会社であるイオンモール㈱(以下、「イオンモール」という。)は、当社を株式交換完全親会社とし、イオンモールを株式交換完全子会社とする株式交換契約を2025年4月11日付で締結し、2025年7月1日付で効力発生いたしました。本株式交換に伴い、イオンモールは東京証券取引所プライム市場を上場廃止となり、当社の完全子会社となっております。

 

(4) 首都圏及び近畿圏のスーパーマーケットの再編に関する契約(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス㈱、㈱ダイエー、㈱光洋、マックスバリュ関東㈱、イオンマーケット㈱)

当社並びに当社の連結子会社であるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス㈱(以下、「U.S.M.H」という。)、㈱ダイエー(以下、「ダイエー」という。)、㈱光洋(以下、「光洋」という。)、マックスバリュ関東㈱(以下、「マックスバリュ関東」という。)及びイオンマーケット㈱(以下、「イオンマーケット」という。)は、経営統合の協議開始に向けた基本合意書を2025年8月4日付で締結し、本基本合意書に基づく以下の契約を2025年12月22日付で締結いたしました。これにより、首都圏において、U.S.M.Hの子会社であるマックスバリュ関東と、同地域でスーパーマーケットを運営する当社の完全子会社であるダイエーの関東事業及び当社の完全子会社であるイオンマーケットとの経営統合を、近畿圏において、ダイエーが自社の完全子会社である光洋との経営統合を、2026年3月1日を効力発生日として実施いたします。なお、マックスバリュ関東は2026年3月1日付で社名を㈱イオンフードスタイルに変更しております。

・ダイエーが関東で営むスーパーマーケット事業をマックスバリュ関東に承継することを目的とする、マックスバリュ関東を吸収分割承継会社とし、ダイエーを吸収分割会社とする吸収分割契約

・マックスバリュ関東を吸収合併存続会社とし、イオンマーケットを吸収合併消滅会社とする吸収合併契約

・本吸収分割及び本吸収合併の効力発生後にマックスバリュ関東をU.S.M.Hの完全子会社とすることを目的とする、U.S.M.Hを株式交換完全親会社とし、マックスバリュ関東を株式交換完全子会社とする株式交換契約

・ダイエーを吸収合併存続会社とし、光洋を吸収合併消滅会社とする吸収合併契約

 

 

6 【研究開発活動】

特記事項はありません。