第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末における流動資産は107,608百万円となり、前連結会計年度末に比べ145百万円増加しました。これは主に現金及び預金が3,667百万円、商品及び製品が1,033百万円、その他の流動資産が911百万円それぞれ増加しましたが、売上債権及び契約資産の合計が5,362百万円減少したことによるものです。固定資産は64,891百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,604百万円増加しました。これは主に有形固定資産が645百万円、無形固定資産が1,218百万円それぞれ増加したことによるものです。

この結果、総資産は、172,500百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,750百万円増加しました。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における流動負債は50,641百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,631百万円減少しました。これは主に電子記録債務が1,664百万円、賞与引当金が894百万円それぞれ減少したことによるものです。固定負債は12,636百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,868百万円増加しました。これは主に長期借入金が2,000百万円増加したことによるものです。

この結果、負債合計は、63,277百万円となり、前連結会計年度末に比べ762百万円減少しました。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産合計は109,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,512百万円増加しました。これは主に為替換算調整勘定が1,283百万円、非支配株主持分が724百万円、利益剰余金が591百万円(親会社株主に帰属する中間純利益4,995百万円及び剰余金の配当4,403百万円)それぞれ増加したことによるものです。

この結果、自己資本比率は62.9%(前連結会計年度末は62.5%)となりました。

 

②経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)におけるわが国経済は、企業活動の持ち直しや雇用・所得環境の改善により、一部に足踏みが見られるものの、緩やかに回復しています。海外経済においては、欧米における高い金利水準の継続や中国経済の先行き懸念をはじめ、地政学リスクの高まりによるインフレの再燃、金融市場の変動等の影響など、引き続き動向を注視する必要があります。

当社事業に直接的影響を与える国内建設市場においては、住宅市場では住宅価格の高騰もあり、新設住宅着工戸数や着工床面積の低迷が続いています。一方、非住宅市場では、経済活動の正常化による回復の兆しが一部見られるものの、依然として力強い動きには至っていません。

このような経営環境において、当社グループは2023年5月に見直した長期ビジョン[DESIGN 2030]および同時発表した中期経営計画[BX 2025](BX:ビジネストランスフォーメーション)に基づき、中核事業であるインテリア、エクステリア、海外、空間総合提案および施工の強化・拡大を着実に進めるとともに、スペースオペレーションをはじめとした次世代事業の創出を目指しています。当中間連結会計期間においては、壁紙、ファブリックの主要見本帳を発刊するとともにその販促に努め、また中期経営計画において市場シェアの拡大を見込む機能性を有する「中型商品」の拡販を進めました。一方、2024年3月に開設した新たな価値創造拠点「PARCs  Sangetsu Group Creative Hub(以下、PARCs)」において、グループ会社や社外を含めた共創活動の拡大に努めたほか、ベースアップによる処遇改善やキャリア採用を通じた人的資本強化、デジタル資本を活用したサプライチェーンマネジメント体制の強化といった成長戦略を着実に進めました。これらの事業活動により、国内インテリア市場での主要商品の販売増加や北米事業が牽引し、売上高は前年同期比で増加しました。その一方、仕入コストの上昇や物流・IT等事業インフラ強化に伴うコスト増、人件費の増加により、営業利益は減少しました。また、調達コスト、物流費、ユーティリティコスト等が継続的に上昇し、自助努力だけでは吸収できない状況下、安定供給、品質管理をはじめ企業としての供給責任を果たしていくべく、12月1日受注分より商品取引価格の改定を予定しています。

 これらの結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高93,878百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益7,379百万円(同28.1%減)、経常利益7,607百万円(同27.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は4,995百万円(同29.9%減)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(国内インテリアセグメント)

国内インテリアセグメントにおいては、新設住宅着工床面積の減少に見られるとおり厳しい外部環境のもと、当社グループが目指す「スペースクリエーション企業」への転換を実現するため、商品・デザイン・物流・施工機能を地域・顧客に応じて適切に組み合わせ提案するソリューション提供の拡大・展開を進めています。物流機能については、ロジスティクス部門を中心に、拠点間輸送をはじめとする地域別でのきめ細やかな配送・品質管理体制の構築や、物流2024年問題を踏まえて、自社で一部配送サービスを行う「サービスクルー」の拡充等を継続しています。さらに、他部門と連携し、調達物流の効率化、物流の省力化・荷役時間の削減を目的としたユニットロードシステムの導入など、サプライチェーンマネジメントの強化に向けた取り組みを加速しています。

スペースプランニング部門においては、事業部門やグループ会社と連携した空間総合提案を積極的に進めたほか、商品開発においては高い意匠性・機能性を持つカーテンを収録した見本帳「ストリングス」をはじめ各見本帳を発刊し、事業部門と連携した市場浸透を進め、各商品でのシェア拡大を図りました。

これらの結果、国内インテリアセグメントにおける売上高は77,810百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益は8,008百万円(同22.3%減)となりました。なお、壁装ユニットの売上高は37,768百万円(同0.6%増)、床材ユニットの売上高は27,736百万円(同3.9%増)、ファブリックユニットの売上高は4,466百万円(同1.1%減)、デザインフィー・施工を含むその他の売上高は7,838百万円(同3.2%増)となりました。

 

(国内エクステリアセグメント)

国内エクステリアセグメントにおいては、グループ会社である㈱サングリーンにおいて、地理的拡大戦略により新設した関東2支店の売上高が計画以上に進捗しました。また、外構の空間設計・施工を含めた提案や、㈱サングリーンと当社との協業によるエクステリア・インテリアの一体型提案、設計事務所やゼネコンといった新たな顧客へのアプローチ等、従来の商品販売以外の業容拡大に向けた体制整備やグループ内連携も進めました。一方、外部環境は、新設住宅着工戸数の低迷により、エクステリア市場全体で厳しい状況が継続しました。

これらの結果、国内エクステリアセグメントの売上高は3,139百万円(前年同期比2.4%減)となり、成長戦略に基づく人員の拡充や専門人材の採用とそれらに伴う諸施策などを進めたことで販売費及び一般管理費が増加し、営業損失は40百万円(前年同期は営業利益110百万円)となりました。

 

(海外セグメント)

海外セグメントでは、海外関係会社の2024年1月から6月までの実績を、当中間連結会計期間の業績に算入しております。

北米では、主力のホテル分野が底堅く推移するとともに、教育施設や集合住宅といった分野でも拡販が進み、自社製造壁紙の価格改定効果もあり、売上高が増加しました。生産性の改善、重点市場へのマーケティング、損益管理の徹底等により、収益力は着実に強化されています。

東南アジアでは、営業組織の改編や空間総合提案・施工機能を強化し、新しい領域への進出を試みました。マレーシア、タイ、ベトナムでは、業績改善が進んだものの、主力のシンガポールで売上高が減少し、営業赤字となりました。また、2024年7月からはシンガポールを中心に空間デザイン・総合施工を展開するD’Perception Pte.Ltd.がグループ会社に加わることで、地域特性に応じた総合サービス力の向上と事業間のシナジー効果により、業績改善を図っていきます。

中国・香港においては、不動産市場の低迷や雇用環境の悪化による消費意欲の低下などを背景とした厳しい状況が続き、営業赤字となりました。事業環境は厳しいものの、顧客・販路の拡大や展示会への出展といった営業活動の積極化、現地デザイナーの採用による空間総合提案機能の強化に努めました。

これらの結果、海外セグメントにおける売上高は12,938百万円(前年同期比16.9%増)となったものの、東南アジア、中国・香港の営業損失、主に第1四半期に計上したD’Perception Pte.Ltd.の株式取得に関する一時的費用などにより販売費及び一般管理費が増加し、営業損失は589百万円(前年同期は営業損失157百万円)となりました。

 

(サステナビリティの取り組み)

当社グループは、企業活動を通じて社会的責任を果たすべく、サステナビリティへの取り組みを最重要課題の一つと位置付け、持続可能な社会・企業を実現することを目指しています。2024年1月には新たな企業理念を公表し、最上位の概念であるPurpose(存在意義)を「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」と定めました。また、同年3月に新たな価値創造拠点として「PARCs」を開設し、当社グループで空間デザイン・設計・施工を行った当該オフィスは、第37回日経ニューオフィス賞における「関東ニューオフィス奨励賞」と日本空間デザイン賞2024の「サステナブル空間賞」を受賞しました。

当中間連結会計期間における環境への取り組みでは、低環境負荷商品の開発を着実に進め、カーテン見本帳「ストリングス」において自社の廃番カーテン生地をリサイクルした新商品を収録しました。また、愛知県名古屋市の「なごやネイチャーポジティブ※¹宣言」に賛同し、なごやネイチャーポジティブパートナーに認定されました。

人的資本への取り組みでは、中期経営計画の社会価値における定量目標に基づき、健康経営の推進や女性管理職の積極登用等を着実に実行しており、2024年4月1日時点での女性管理職比率は21.2%(目標:2026年4月時点で25.0%以上)となっています。また、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」の取り組みでは、以前より商品開発においてコラボレーションを行ってきた㈱ヘラルボニー※²が新たに創設した、障がいのあるアーティストを対象とする国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」にゴールドスポンサーとして協賛しました。

社会貢献への取り組みでは、2014年より実施している児童養護施設のリフォーム支援をはじめ、開発途上国の子ども達を支援するNPOへの協力、産学連携のプロジェクトへの参画など、グループ会社を含む社員それぞれが主体的に参加する活動を継続的に実施しています。児童養護施設のリフォーム支援においては、継続支援団体のうちの一つである認定NPO法人ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパンと協働し、児童養護施設「エリザベス・サンダース・ホーム」のリフォームに携わりました。当社からも修繕に必要な内装材(壁紙、床材)やカーテンを提供したほか、社員のボランティアによる施工を行いました。当社グループの事業を活かした児童養護施設などのリフォーム支援活動実績(母子生活支援施設なども含む)は、2014年からの累計で約260件に及んでいます。

また、これらの取り組みを開示している当社のサステナビリティサイトが、㈱ブロードバンドセキュリティが公表する「Gomez ESGサイトランキング2024」において、初めて「ESGサイト優秀企業」に選出されました。

当社グループは引き続き、事業の中心である「空間創造」を通じた社会課題の解決に取り組み、経済価値ならびに社会価値を創出し続けることで「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」ことを目指してまいります。

 

※¹ ネイチャーポジティブ

自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させることと定義されています。生物多様性の新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」や日本の生物多様性国家戦略においても、2030年に向けた目標として位置づけられ、世界の新たな潮流となっています。

※² ㈱ヘラルボニー

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、異彩作家とともに新しい文化をつくる企業。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,782百万円増加し、28,500百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は10,019百万円(前年同期は4,782百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の減少額8,810百万円、税金等調整前中間純利益7,577百万円、仕入債務の減少額2,521百万円及び法人税等の支払額2,508百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は4,145百万円(前年同期は32百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,090百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,817百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2,548百万円(前年同期は6,570百万円の使用)となりました。これは主に、資金の借入れによる収入19,390百万円及び返済による支出17,390百万円、配当金の支払額4,399百万円などによるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、324百万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)従業員数

当中間連結会計期間において、D’Perception Pte.Ltd.の株式の70%を取得し、子会社化したこと等により、海外セグメントにおける従業員数は、前連結会計年度末に比べて250名増加し989名となりました。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。