当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、社是「企業の永続と繁栄」「個人の幸福と人格の向上」「業を通じて社会に奉仕する」、社訓「サービス精神に徹する」「機を尊ぶ」「計画して行う」「自己啓発」「困難に挑戦する」、そして、企業理念「スポチュニティ(スポーツを通じて、地域社会に喜びと健康やふれあいの機会を提供し、調和をもたらすこと)」のもと、「社会に新しい価値を創造するスポーツ&ライフスタイル企業」をビジョンに掲げ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努め、株主の皆様をはじめとする利害関係者の方々の期待に応えるとともに、社会的な責任を全うすることを目標としております。
(2)経営戦略等
当社グループは、上記の経営方針に沿った中期の経営計画を定め、「一致結束して目標を突破し、共に成長する!」とのスローガンのもと、基本方針として「新しい価値の創造」「利益の創出と社会的使命の両立」「人材(人的資本)の戦略的活性化」「次世代DX卸ビジネスモデルへ向けて」を定め、方針実現の具体的な施策として「構造改革の更なる前進」「ESG経営の推進」の2つを進めました。「構造改革の更なる前進」は①収益性の向上 ②利益を伴った売上拡大 ③在庫・物流改革に取組みました。「ESG経営の推進」は①環境への対応 ②社会との調和 ③ガバナンスの強化に取組みました。この中期経営計画のもとグループ各社一丸となり、企業価値向上に努めました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが企業価値を向上させるためには、安定した収益基盤の確立及び財務基盤の強化が必要と考えております。そのための経営指標として、連結売上高営業利益率2.5%以上、自己資本当期純利益率(ROE)7%以上、自己資本比率50%を経営目標としております。
(4)経営環境
スポーツ用品業界を取り巻く環境は、少子化の影響が見られるもののインバウンドによる国内需要増や中高年のスポーツ参加率の上昇、国際的なスポーツイベントの開催や様々な競技での日本代表選手の活躍もあって、スポーツへの関心は更なる高まりが見られました。また、人々のウェルビーイング意識の高まりによりスポーツに参加したいと思う人がますます増えていることやスポーツブランドが単にスポーツだけではなく広い意味での人々の日常生活(ライフスタイル)の中に、より浸透してきているなど市場規模の拡大が期待できます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、米国の関税引き上げ等の政策による世界経済の減速懸念や、長期化するウクライナ問題や中東情勢といった地政学リスク等の海外要因に加え、日本国内における物価上昇、人件費や物流コストの上昇、為替相場の影響等の不確実な要因が多くあり、いずれも経営を圧迫する要因となり得るため、不透明な状況が続くと見通しております。
このような大変厳しい環境の中、当社グループは中期経営スローガンとして「一致結束をより強固にし、スポーツ総合商社として、周りに信頼と信用を高めながら、会社も個人もより高みを目指していく」を掲げ、安定して継続的に利益を創出できる経営を目指してまいります。
今後の基本方針として、長期的に利益を稼ぎ続ける仕組みと風土づくりを推進していきます。具体的には、得意先への付加価値提案とDXを融合した進化した卸売業を創造し、社員の個の力と組織力を向上させながら、風通しの良い、活力ある企業を目指してまいります。また、スポーツ流通でのシェアアップ、ライフスタイル事業拡大やEC事業の強化、MD力の進化と深化により売上拡大のための成長戦略に取り組んでまいります。さらに、粗利率の向上を図り、在庫流動を適正にコントロールするとともに、生産性向上と経費削減による経営効率化のための構造改革にも取組み、人材活性化によるエンゲージメント向上やDX経営の推進により、経営基盤を強化いたします。加えて、ESG経営の推進として、サステナビリティやSDGsへの対応、働き方改革から働きがい改革へ、また、ダイバーシティの実現に加え、コンプライアンスやリスク管理についても、より一層の強化に努めてまいります。
当社グループは、「社会に新しい価値を創造するスポーツ&ライフスタイル企業」をビジョンに掲げ、あらゆる人々が豊かで幸せに生活を営み、スポーツを楽しむことができる環境や社会が持続する未来の実現に向け、2021年7月に「サステナビリティ委員会」を発足いたしました。サステナビリティ委員会は取締役管理統括本部管理本部長を委員長とし、各部門における責任者及び実務担当者複数名をメンバーとして、定期的に開催し、サステナビリティ基本方針に基づく、さまざまな取組を検討・実践しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)推進体制(ガバナンス等)
サステナビリティ委員会は、当社の事業活動における ①環境負荷の低減や気候変動等の環境的側面 ②人的資本や多様性等の社会的側面に関する課題の抽出や施策の立案及び実行を担っております。
取締役会は、同委員会より上程された課題や施策に対し効果やリスク等を十分に検討し承認を行うとともに、活動プロセス全般を監督しております。
内部監査部門は、定期監査においてサステナビリティに関する取組事項についての監査を実施しております。
(2)リスク管理
気候変動に係るリスク及び機会については、気候変動を含む環境活動の推進を所轄するサステナビリティ委員会にて、社内の関係部署、グループ会社及び取引先に係る気候変動リスク及び機会を抽出・検討のうえその重要度を評価し、定期的に取締役会に報告しております。また、同委員会において当社グループのサステナビリティに関する方針の策定及び改廃、重要課題の特定、取組みの推進・進捗管理等を行い、当社取締役及び取締役会との情報共有を図っております。
(3)基本方針(戦略)
持続可能な環境や社会の実現に向け、事業活動を通じてサステナビリティの目標を達成するため、ESG経営を推進し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
<環境方針>
企業としての社会的責任を自覚し、社会全体の環境保全に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。
具体的には、
①地球温暖化防止や循環型社会構築が世界的な共通課題であることを認識し、事業活動に必要な資源や廃棄物の最小化およびリサイクルの最大化に努め、地球環境負荷の低減に貢献します。
②積極的な環境活動を推進するとともに、定期的に目標や活動内容の見直しを図ります。
③国内外における環境法規制や要求事項を順守し、適正な事業活動を推進します。
④環境教育の実施により、社員の環境意識向上と情報共有を図ります。
⑤環境活動全般についてウェブサイトで公開するなど、適切な情報開示により広く周知を図り、信頼性と透明性の向上に努めます。
<人権方針>
事業活動に関わるあらゆる人々の人権が尊重されなければならないことを自覚し、人権を尊重する取り組みを推進します。また、人材が個々の持つ能力を最大限に活かし、多様な価値観を共有しつつ、働きやすくやりがいのある企業を目指します。
具体的には、
①ゼットグループ倫理規範・行動規範を社員一人ひとりが尊重実践し、事業活動において、人種や国籍、性別、性的指向、性自認、出身、社会的身分、信条、宗教、障がい、身体的特徴等を理由とした差別や人権侵害を決して行わず、人権を尊重する企業風土を醸成します。
②ダイバーシティを推進し、女性・外国人・障がい者・経験者採用等、多様な人材が個性や能力を十分に発揮できる企業風土を醸成します。
③全ての社員が自由に意見を言い合える関係を構築し、コミュニケーションの活発な職場環境を確立します。
④セクシャルハラスメントやパワーハラスメントをはじめとした、あらゆるハラスメントを人間の尊厳を傷つける行為として認識し、これを撲滅します。
⑤健康経営を経営方針のひとつと定め、様々な福利厚生制度を導入し、ワークライフバランスの取れた職場環境を確立します。
⑥社会全体の構造変化が大きく進み、従来に無い新しい発想や、やり方が求められる中で、好奇心旺盛で、何事にも積極的に行動し、課題や問題を解決していこうという強い意欲を持つ人材を育成するため、参加型研修やオンライン研修を積極的に活用し、社員の自己啓発を援助しています。
<ガバナンス方針>
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための実効的なコーポレート・ガバナンス体制を確立し、株主をはじめとする全てのステークホルダーからの信頼に応え、社会的責任を果たすことを目標とします。
具体的には、
①経営環境の変化に対する迅速・果断な意思決定を図るとともに、適時・適切な情報開示を進め、経営の透明・公正性の向上を実現します
②企業倫理委員会、リスク管理委員会を設置。企業倫理委員会では、当社グループの「倫理規範」及び 同規範をより具体化した「行動規範」についての遵守状況の確認を行い、また、リスク管理委員会では当社グループ構成企業それぞれのリスクを洗い出し、その予防策、発生時の対応、経営への影響を定め、当社グループの横断的なリスク管理体制の整備と問題点の把握に努めています。
(4)目標及び実績等
当社グループにおける、サステナビリティに関する主な取組事項は以下のとおりであります。引き続き、サステナビリティ委員会を中心として、施策の検討及び推進を実行してまいります。
2025年3月31日現在
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側面 |
状態 |
取組内容(目標・実績) |
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環境的側面 |
実施中 |
自社商品における包装・梱包資材の削減及び低減 |
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社内システムの刷新や効率化による大幅なペーパーレス化の実現 |
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自社商品製造過程で発生する廃棄材のリサイクル活用実現 |
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社有車の低炭素化(EV導入等)及び保有台数の削減 |
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消灯や空調管理による消費エネルギー削減 |
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業界共同物流での、受託規模の拡大と業務の改善を図りCO2排出量の削減 |
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検討中 |
サステナブル商品の積極的仕入れ・販売及び共同開発 |
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低環境負荷素材を使用した自社商品の開発 |
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社会的側面 |
実施中 |
積極的な出産・子育てのサポート (育児休業からの職場復帰率及び短時間勤務制度利用率100%を実現) |
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スポーツ普及活動の推進(野球教室、バスケットボール教室) |
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健康経営優良法人の取得(健康経営推進体制の確立) |
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健康経営の推進、社員のサステナビリティ知識の向上 (人事評価に「サステナビリティ」項目を追加し、各自取組を実施) |
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人的資本(人材の多様性) ①管理職に占める女性労働者の割合 ・女性管理職比率目標:2028年3月期:10% 2025年3月期:9.3% ②労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況 月平均残業時間削減目標:2028年3月期:11時間 2025年3月期:9.7時間 |
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ワークライフバランス(20時完全退社の実施等) |
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検討中 |
男性育児休業取得の積極的推進(職場風土醸成) |
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社員休暇制度の充実(リフレッシュ休暇制度導入等) |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)国内における消費マーケットの変化に伴うリスク
当社グループは、日本国内における営業活動からの売上が大部分を占めております。日本国内における少子高齢化の進行、消費者の購買行動の変化、景気変動、自然災害、感染症の拡大等により、国内の消費マーケットが想定を超える変化をした場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループは、販売先の拡大、取扱商品の拡大等、専門卸としての強みを充実させ、変化への対応力を高めてまいります。
(2)生産及び仕入リスク
当社グループは、一部自社製品について海外生産を行い、中国、ベトナム、台湾等の現地協力工場にて製造しております。海外生産国において、政治・社会情勢の変化、自然災害、感染症・伝染病の発生等、生産環境に問題が生じる場合、製品供給の停止又は遅延や原材料・エネルギー価格の変動が製造原価、製品価格の上昇につながる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、一部の商品につきましては、海外生産国の分散や緊急時は国内生産へ変更する等の対応をしております。
(3)為替相場の変動に伴うリスク
当社グループの取扱商品には海外生産品が多く含まれており、為替相場の変動によっては、仕入価格が上昇する可能性があります。また、自社製品については、主に海外生産に依存しており、そのため為替相場の変動をヘッジする目的で実需の範囲内で為替予約取引により、為替変動リスクを低減しておりますが、為替リスクをすべて排除することは不可能であります。為替相場の変動によっては製造原価の上昇等により財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)他社とのライセンス契約等に伴うリスク
当社グループは一部のブランドにつき、国内において他社とのライセンス契約に基づき製造販売を行っております。また、国内の商品供給においては、一部の仕入先では海外のナショナルブランドメーカーとのライセンス契約等に基づき販売をしており、ライセンサーの販売戦略の変更等により契約が打ち切られる場合があり、商品供給が不能になる可能性があります。契約においては、経営、財務その他の理由で当事者間において不一致が生じた場合、ライセンス契約に基づく事業の継続に問題が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)製造物責任に関するリスク
当社グループは、厳密な品質基準を設けて生産及び仕入を行っております。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、すべての賠償額を保険でカバーできる保証はありません。製品の欠陥に起因した製品回収や損害賠償が発生すれば、ブランドイメージもさることながら企業イメージ等の社会的評価の低下につながります。これらにより財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)商品陳腐化によるリスク
当社グループは、棚卸資産の予測される将来の需要及び市場状況に基づく時価の見積り額と原価との差額に相当する陳腐化の見積り額について、評価減を行っております。市況が変化した場合、追加の評価減又は商品販売ロスが発生する可能性があり、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保・育成に関するリスク
当社グループでは、健康経営を経営方針のひとつと定め、様々な福利厚生制度を導入しワークライフバランスのとれた職場環境を確立するとともに、参加型研修やオンライン研修を活用し社員の自己啓発を援助するなど、優秀な人材がそれぞれの能力を発揮し活躍し続けられる環境を整備しておりますが、人材の確保、育成が計画通りに進まない場合は当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)減損に関するリスク
当社グループが保有する土地については、地価の下落により、減損の兆候が生じる可能性があります。さらに、事業環境の変化による収益性の低下や設備の陳腐化により固定資産の使用価値の減少又は正味売却価額の低下が認められた場合、減損損失の認識が必要となり、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)貸倒れリスク
当社グループは、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。取引先の財政状態が悪化し、回収可能性に問題が生じる場合、追加的な損失や引当金の計上が必要となり、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)投資有価証券に関するリスク
当社グループは、上場株式及び非上場の株式や債券を保有しております。株式市場及び債券市場の動向により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となり、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)金利上昇リスク
当社は金融機関からの借入金を有しております。現在は低金利状態が続いておりますが、将来金利が上昇することにより、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産に関するリスク
当社グループは知的財産リスクを、権利侵害リスク・技術流出リスク等、継続的にリスク対応を喚起しております。当社グループの事業活動において、第三者の権利侵害しないよう充分な調査を行い、また、技術流出しないよう開発現場や生産現場の技術秘匿し、教育・研修により知的財産リスクを低減し、法令遵守することに努めております。
しかし、第三者から知的財産に関する権利侵害したとして訴訟を提起された場合、あるいは第三者から当社グループの権利侵害された場合には、第三者との間に権利に関する交渉や係争が生じます。知財係争では、製造・販売等の差し止めや多額の損害賠償金・和解金が発生することがあり、それらの差し止めや支払義務が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社グループは、基本方針として「新しい価値の創造」「利益の創出と社会的使命の遂行」「人材の戦略的活性化」「次世代DX卸ビジネスモデルへ向けて」を定め、特に具体的な施策として「構造改革の更なる前進」「ESG経営の推進」の2つを進めました。「構造改革の更なる前進」については、①収益性の向上 ②利益を伴った売上拡大 ③在庫・物流改革に取組み、「ESG経営の推進」については、①環境への対応 ②社会との調和 ③ガバナンスの強化に取組みました。この方針及び施策のもとグループ各社一丸となり、企業価値向上並びに業績向上に努めました。
当連結会計年度においては、提案型営業により取引先との関係強化に努めることで取引基盤が拡大したことや、製造部門における商品力強化への取り組みが売上増につながりました。また、拡大移転をおこなった関西物流センターの運営を軌道に乗せ、物流コストの低減に対応いたしました。その結果、当連結会計年度の売上高は55,309百万円(前期比6.5%増)、営業利益は1,072百万円(前期比22.4%増)、経常利益は1,273百万円(前期比24.6%増)となり、また、当社が保有する株式会社デサントの普通株式の公開買付け応募に伴う特別利益の計上等の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,992百万円(前期比269.2%増)となりました。
スポーツ事業
(卸売部門)
卸売部門のうち、スポーツ市場においては、健康志向や運動への関心の高まりを背景に、各種カテゴリー全般の需要は底堅い状況が続いております。野球・ソフトボール用品「ゼットベースボール」では、海外での日本人選手の活躍による野球人気の高まりを受け少年層の競技人口が増加し、店頭販売も好調に推移しました。サッカー用品では、フットウエアやアパレルを中心に販売が伸長し、卓球用品はインバウンド需要が引き続き牽引し好調でした。
ライフスタイル市場においては、ランニングシューズ、スニーカー等の高機能シューズが好調に推移しました。アウトドア用品では、アパレル関連は堅調でしたが、用具類の購買意欲には落ち着きがみられました。
この結果、売上高は53,701百万円(前期比6.6%増)となりました。
(製造部門)
製造部門では、野球・ソフトボール用品「ゼットベースボール」において、高校野球新基準に適合した当社硬式金属製バットが、使用者からの高い評価や支持を得た結果、大会等における同製品の使用率が大幅に上昇しました。バスケットボール用品等の「コンバース」においては、新規展開したフェムテック用品である「ラクルナ」やレフリーウェアが好調でした。一方で、製造部門の経営環境は、原材料価格の高騰や対米ドル円安状態の継続によって、製造原価は上昇傾向にあり、不透明かつ厳しい状況が続いております。
この結果、売上高は305百万円(前期比11.1%増)となりました。
(小売部門)
小売部門では、専門性の高い商品ラインアップの拡充や、質の高い接客サービスの提供を通じて顧客満足度の向上に努めましたが、昨年に比べて登山及びキャンプ用品に対する需要は引き続き落ち着いております。さらに、暖冬の影響を受け、特に防寒性に優れた高価格帯のアパレルの販売が伸び悩みました。
この結果、売上高は532百万円(前期比5.8%減)となりました。
(その他部門)
物流部門では、倉庫作業料収入は増加しましたが、外部受託業務の保管料収入は減少しました。また、拡大移転を行った関西物流センターも含め順調に稼働しております。
スポーツ施設運営部門は、株式会社ゼオスを2023年5月1日に外部へ事業譲渡し、2023年12月に当社と合併しました。
この結果、売上高は769百万円(前期比0.8%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
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事業部門の名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
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スポーツ事業 |
|
|
|
内 製造部門 |
911 |
△0.6 |
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合計 |
911 |
△0.6 |
②受注実績
当連結会計年度においては、見込生産を行っており、一部について受注生産を行っております。その全体に占める割合は僅少であるため記載を省略しました。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
スポーツ事業 |
|
|
|
内 卸売部門 |
53,701 |
6.6 |
|
内 製造部門 |
305 |
11.1 |
|
内 小売部門 |
532 |
△5.8 |
|
内 その他部門 |
769 |
0.8 |
|
合計 |
55,309 |
6.5 |
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は32,759百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,219百万円増加いたしました。
流動資産は26,348百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,686百万円増加いたしました。これは主に現金及び
預金が2,765百万円、売掛金が546百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は6,410百万円となり、前連結会計年度末に比べ466百万円減少いたしました。これは主に、投資有価証
券が609百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計18,205百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,971百万円増加いたしました。
流動負債は16,631百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,616百万円増加いたしました。これは主に支払手形
及び買掛金が1,395百万円、未払法人税等が1,027百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は1,573百万円となり、前連結会計年度末に比べ644百万円減少いたしました。これは主に繰延税金負債
が754百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産は14,553百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,247百万円増加いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金が1,624百万円減少したものの、利益剰余金が2,836百万円増加したこと等によるものであります。
この結果自己資本比率は44.4%となり、前連結会計年度末に比べ0.6ポイント減となりました。
財政状態においては、流動比率をはじめ安全性を維持しながら推移いたしました。財務基盤は業績の回復傾向により強化されつつあるものの、経営目標としている自己資本比率50%には至っておりませんので、引き続き財務基盤の強化に努めてまいります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により2,047百万円獲得し、投資活動により890百万円獲得し、財務活動により383百万円使用した結果、当連結会計年度末における残高は8,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,565百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は2,047百万円(前期獲得した資金は684百万円)となりました。これは主に、投資有価証券売却益の2,952百万円があったものの、税金等調整前当期純利益4,225百万円及び仕入債務の増加1,753百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、獲得した資金は890百万円(前期使用した資金は332百万円)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出2,030百万円があったものの、投資有価証券の売却による収入3,154百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は383百万円(前期使用した資金は277百万円)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出194百万円、配当金の支払額156百万円があったこと等によるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主な資金の原資は、主に売上債権の回収ほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応しております。また、主な資金需要は、商品の調達費用、労務費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備取得、改修等に係る投資であります。翌連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、仕入と在庫のコントロール、経費削減等、あらゆる対策を講じて営業活動によるキャッシュ・フローの獲得を見込んでおります。
翌連結会計年度は、国際的なスポーツイベントの開催や、日本代表選手の活躍もあって、スポーツへの関心が高まり増収が見込まれる一方、米国の関税引き上げ等の政策による世界経済の減速懸念や人件費の上昇の懸念はあるものの、今期比増益を見込んでおります。翌連結会計年度末の現金及び同等物の残高については、当連結会計年度より増加を見込んでおります。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産)
棚卸資産の評価基準は原価法(収益性低下による簿価切下げの方法)を採用しております。通常の販売目的で保有する棚卸資産の簿価切下げにあたり、収益性の低下の有無に係る判断について正味売却価額を見積りますが、正味売却価額の算定に用いられる、過去の販売実績や流行、市場環境の変化等を織り込んだ需要予測には高い不確実性が存在しております。
そのため、予測不能な前提条件の変化等により、正味売却価額が低下した場合、翌事業年度の連結財務諸表において、商品及び製品の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(1)技術受入契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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ゼットクリエイト㈱ (連結子会社) |
コンバースジャパン㈱ |
日本 |
「コンバース」ブランドのスポーツウェア及びスポーツバッグ |
商標の使用権の設定 |
2025年1月1日から2028年12月31日まで |
(注)上記について、販売額の一定料率によるロイヤリティを支払っております。
当社グループの研究開発活動は、スポーツ事業の野球用品及びスポーツウェアの分野において、製造部門であるゼットクリエイト㈱が新商品の開発を担当し、当社との連携により行っております。
開発コンセプトは、消費者に喜び、楽しさ、快適さを提供すべく、競技にかかせない機能をベースにして、デザイン、品質、価格を重視し、また、消費者ニーズも取り入れて商品開発を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、