当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当中間連結会計期間(2025年2月21日から2025年8月20日まで)におけるわが国経済は、物価の上昇に賃金の伸びが追いついておらず、実質賃金の低下が継続しており消費者の生活防衛意識は高まった状態が継続しております。また、企業での採用状況は厳しく、人手不足が深刻になっております。さらに、備蓄米放出による米の価格低下や政局の不安定化もあり、経済情勢は依然として先行き不透明な状況が続いております。
小売業界を取り巻く環境につきましては、商品価格上昇による収益面の押し上げ効果はあるものの、人件費や建築資材、光熱費などのコスト上昇や業態を越えた企業間競争の激化など、大変厳しい経営環境となっております。
こうした状況の下、当社グループは中長期ビジョンとして平和堂グループならではの「地域密着ライフスタイル総合(創造)企業」を目指し、「2030年定量目標」と「第五次中期経営計画」を策定し、今期は2年目としてさらに進化すべく具体的な取組みを進めております。
「2030年定量目標」
① 営業収益(連結):5,000億円以上
② 営業利益率(連結):4.5%以上
③ ROE:8%
④ 女性管理職比率:20%以上
⑤ CO2排出量(Scope1・2):46%削減(2013年度比)
⑥ 食品廃棄額:50%削減(2019年度比)
「第五次中期経営計画」の重点戦略
① 子育て世代ニーズ対応による顧客支持の獲得
・日常使い商品の価格対応強化
・生鮮品・PB商品での差別化
・アプリを活用したコミュニケーション強化
② ドミナント戦略をベースとしたHOP経済圏の拡大
・複数フォーマットによる重点エリアへの出店拡大
・地域密着取組みによる顧客基盤の盤石化
・小型店舗・ネットスーパーなど新規チャネル拡大
③ 生産性改善も含むコスト構造改革の推進
・SP(パート)社員の積極登用
・店舗規模に合わせた部門の見直し
・さらなるセンターの活用
グループの中核企業である「株式会社平和堂」においては、既存店客数100.8%(閏年影響を除くと101.2%)、客単価102.3%とともに前年よりも上昇し好調に推移、増収となりました。連結子会社においては、中国湖南省で百貨店業を1店舗運営する「平和堂(中国)有限公司」での改装による営業縮小や、ビル管理会社を営む「株式会社ナショナルメンテナンス」での前年能登半島地震復旧による受注増の反動等により減収となりました。
以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益2,235億39百万円(前年同期比3.2%増)、営業利益68億33百万円(前年同期比8.4%増、営業利益率3.1%)、経常利益75億12百万円(前年同期比6.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は、49億4百万円(前年同期比7.4%増)となり、「2030年定量目標」に向けて営業収益が先行して向上しております。
① 営業収益及び営業総利益
営業収益は2,235億39百万円となり、前年同期から68億94百万円(3.2%)増加しました。主に小売事業において売上が好調に推移したこと等によるものです。平和堂の営業収益は5.4%増加しました。
営業総利益は811億53百万円となり、前年同期から28億44百万円(3.6%)増加しました。営業収益が増加した結果であり、営業収益対比では36.3%となり、前年同期に比べ0.2%向上しました。特に、平和堂の営業総利益は5.9%増加しました。
② 販売費及び一般管理費並びに営業利益
販売費及び一般管理費は743億20百万円となり、前年同期から23億16百万円(3.2%)増加しました。水道光熱費が前年同期よりも単価上昇したこと等により増加しました。
その結果、販売費及び一般管理費が増加したものの、営業総利益が28億44百万円増加したことにより、営業利益は68億33百万円となり、前年同期から5億27百万円(8.4%)増加しました。また営業利益率は3.1%となり、前年同期より0.2%向上しました。
③ 営業外損益及び経常利益
営業外収益は7億72百万円となり、前年同期から65百万円減少しました。営業外費用は支払利息が前年より23百万円増加したこと等により93百万円となり、前年同期から20百万円増加しました。
その結果、経常利益は75億12百万円となり、前年同期から4億42百万円(6.3%)増加しました。また経常利益率は3.4%となり、前年同期より0.1%向上しました。
④ 特別損益及び親会社株主に帰属する中間純利益
特別利益は株式会社ユーイングの株式譲渡による売却益2億39百万円など3億25百万円を計上しました。特別損失は固定資産除却損64百万円、減損損失1億22百万円、閉店損失引当金繰入額62百万円など2億49百万円を計上しました。
その結果、親会社株主に帰属する中間純利益は49億4百万円となり、前年から3億39百万円(7.4%)増加しました。また中間純利益率は2.2%となり、前年同期より0.1%向上しました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
[小売事業]
グループ中核企業である「株式会社平和堂」は「第五次中期経営計画」の重点戦略である「子育て世代ニーズ対応による顧客支持の獲得」「ドミナント戦略をベースとしたHOP経済圏の拡大」「生産性改善も含むコスト構造改革の推進」をさらに進化すべく具体的な取組みを進めており、進捗により増収・増益となりました。
① 子育て世代ニーズ対応による顧客支持の獲得
子育て世代の取組みとして、頻度品をKVI(キーバリューアイテム)として価格訴求する一方、子育て世代に人気の大容量パックの強化による単価の上昇により、30-40代については、人口変動による影響等を加味した数値を100とした場合、稼働会員数は103.1%、顧客単価は104.2%と伸長しました。
HOPアプリは2024年7月にリリースし、2025年7月現在で105万人がアプリ会員登録しています。HOPマネーチャージができる金融機関は年度初め6行でしたが、4月に2行、9月にさらに2行増加し、計10行となり出店地域を広くカバーしました。アプリを通じた情報発信やOne to Oneマーケティングの取組みも進めています。
子育て世代に人気のテナント(無印良品等)誘致も進め、直営だけでなくショッピングセンター全体での賑わいを創出しました。当期にはアル・プラザ守山、高富店に無印良品に出店いただき、無印良品のテナント出店は計18店舗となりました。
② ドミナント戦略をベースとしたHOP経済圏の拡大
HOP経済圏の拡大に向けた新規出店及び既存店活性化について、4月に滋賀県東近江市の当社シェア率が低かったエリアにフレンドマート八日市妙法寺店を出店し、滋賀県内でのドミナント強化を進めました。2月に実施したフレンドマート能登川店の改装と合わせ、東近江市エリアでのシェア率向上を実現しました。
エリアごとに店舗規模別の役割を明確化する「フォーマット戦略」を推進し、イベント需要に応えるショッピングセンターや日常使いの食品スーパーと、それぞれに適した商品構成で最適化を図っています。また商圏の分析から食品スーパーの可能性を再検討した上で、最大売上/利益を目指す「ポテンシャル店舗」を設定し、販売力向上の取組みを進めています。
2024年8月21日に株式会社丸善より承継した6店舗については、それぞれのエリアの中で平和堂と一体的にエリア戦略を構成するよう、一部は業態転換して営業しております。
③ 生産性改善も含むコスト構造改革の推進
人件費の上昇と厳しい採用環境を受けて、SP社員(パート社員)の活躍を推進するため教育を行い部門責任者として積極的に登用しました。教育修了者は2025年8月までに518名(2025年2月時点より263名増)となり、上長不在時の売場レベルのアップや正社員の業務見直しにつなげています。
効率的な運営を実現するため作業概要を作成し、あるべき人時売上高と実績の差異を店舗・売場ごとに明らかにし、異動やマルチスキル化を含めた体制の構築を進めています。
連結子会社の株式会社ベストーネが運営するプロセスセンター・デリカセンターのアウトパック活用推進を進めており、店舗における生鮮の総労働時間は既存店前年同期比98.5%と減少しました。またセンターを活用することにより品揃えの改善につながり、中小規模の食品スーパーマーケットでも弁当の品揃えが大幅に充実するなどの効果も出ています。
京都府で総合小売業を展開する「株式会社エール」は、2023年度改装後の売上好調により、増収・増益となりました。なお株式会社エールは2025年8月21日に株式会社平和堂が吸収合併しております。
書籍販売やフィットネス事業を展開する「株式会社ダイレクト・ショップ」は、不採算事業の縮小と販売管理費の削減により、減収ながら営業利益は赤字縮小となりました。
中国湖南省で百貨店業を1店舗運営する「平和堂(中国)有限公司」は、中国経済の減速と周辺環境の激化及び改装による縮小営業のため減収・減益となりました。
以上の結果、小売事業の営業収益は2,134億87百万円(前年同期比3.3%増)、経常利益は68億42百万円(前年同期比5.7%増)となりました。
[小売周辺事業]
惣菜・米飯及び生鮮品の製造加工を営む「株式会社ベストーネ」は、2023年5月31日に稼働した新デリカセンターの生産数が順調に増加していること、及び株式会社平和堂の生産性改善の取組みによる受注増もあり、増収・増益となりました。
ビル管理会社を営む「株式会社ナショナルメンテナンス」は前年に能登半島地震被害の復旧工事受注が多かったことの反動により、減収・減益となりました。
以上の結果、小売周辺事業の営業収益は282億56百万円(前年同期比5.2%増)、経常利益は8億83百万円(前年同期比3.5%減)となりました。
[その他事業]
外食事業を展開する「株式会社ファイブスター」は、売上高が伸長し販売管理費の抑制効果もあり、増収・増益となりました。
外食事業を展開する「株式会社シー・オー・エム」は、主力のケンタッキーフライドチキンの売上が好調に推移し増収となりましたが、宅配サービスの拡大等により経費が増加し減益となりました。
アミューズメント事業を展開していた「株式会社ユーイング」は、ショッピングセンターの魅力向上を実現するためには、アミューズメント業界において豊富な実績とノウハウを有し、新たな取組みを積極的に進めている企業の経営資源やネットワークを活用することが最善であると判断し、2025年5月24日取締役会決議をもって株式の全てを譲渡しております。
以上の結果、その他事業の営業収益は84億44百万円(前年同期比1.5%減)、経常利益は5億53百万円(前年同期比12.4%増)となりました。
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ21億39百万円減少し、3,057億29百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が26億60百万円、有形固定資産が11億55百万円が減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が9億89百万円、投資有価証券が8億62百万円増加したこと等であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ28億19百万円減少し、1,130億23百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が26億99百万円、未払法人税等が7億1百万円、長期借入金が8億25百万円増加した一方で、短期借入金が30億円、退職給付に係る負債が41億4百万円減少したこと等であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ6億79百万円増加し、1,927億6百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が32億39百万円増加した一方で、自己株式が26億80百万円増加したこと等であります。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ23億93百万円減少し、204億88百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の収入は、前年同期に比べ29億8百万円減少し、112億97百万円となりました。
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローの内訳は、税金等調整前中間純利益75億88百万円、減価償却費65億59百万円、仕入債務の増加額27億20百万円等による資金の増加と、法人税等の支払額19億68百万円、退職給付債務に係る負債の減少額42億17百万円等による資金の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は、前年同期に比べ3億76百万円増加し、68億78百万円となりました。
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローの内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出72億19百万円等による資金の減少であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は、前年同期に比べ40億円減少し、65億75百万円となりました。
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローの内訳は、長期借入れによる収入10億円による資金の増加と、長期借入金の返済による支出31億75百万円、配当金の支払額16億64百万円、自己株式の取得による支出26億97万円等による資金の減少であります。
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当連結会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。