当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、「企業とは人々の幸せのために存在すべきものであり、それでこそ社会から支持され、存続することができる」という考えに根ざしており、これは創業以来不変のものであります。
上記経営理念に基づき、当社グループは、「遅れた分野の流通近代化」の実現のために、金物・工具、資材・建材分野と園芸、家庭菜園、農業資材分野を核カテゴリーとしてとらえ、流通改革に取り組んでまいります。
(長期ビジョン -当社が目指すもの-)
(2)中長期的な会社の経営戦略等
①経営環境
ⅰ外部環境
・新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う社会経済活動の正常化が進みました。
・ウクライナ情勢の長期化やイスラエル等の中東情勢の緊迫等による、エネルギー価格及び原材料価格の高騰、円安の長期化継続的な物価上昇による個人消費停滞の懸念等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
・天候不順や自然災害等の気候変動の影響による消費行動の変化や、農作物の生産状況の変化や産地移動等の影響があります。
・人口減少や少子高齢化の影響による世帯年齢構成の変化、これから始まる世帯数の減少による社会・地域経済に与える影響・購買力の減少は、増えていくものと考えられます。
ⅱ小売業界
・業種・業態の垣根を越えた競争環境の中、電気代をはじめとしてサービスや生活必需品等の物価上昇による生活防衛意識の高っております。
・人件費や物流コストの上昇、建築材料費上昇による新設住宅着工戸数及び着工床面積の減少等、引き続き厳しい経営環境が続いております。
②経営戦略等
2022年4月26日に、「2023年3月期-2025年3月期 中期経営計画」を公表いたしました。チェーンストアのマスのメリットを発揮し、生産から販売までをトータルコーディネーションし、より良い商品をより安く、お客様には無駄なコストは1円たりとも負担させないという考えのもと、「成長基盤投資」、「暮らしを守り・育てる商品開発」、「チェーンリフォーム」、「ネットとリアルでより身近に」の4つの重点施策を着実に実行することで、資材・建材、園芸・農業資材市場における遅れた分野の流通近代化を進め、更なる成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
③目標とする経営指標
当社グループは、2022年4月26日に、中期経営計画の最終年度である2025年3月期の目標を、以下の通り設定し、公表いたしました。
・営業収益 : 4,180億円 ・営業利益 : 320億円
・R O A : 8.0%以上 ・R O E : 8.0%以上
※総資本経常利益率
(我々がチャレンジする市場 7兆円)
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く環境は、気候変動・脱炭素、少子高齢化や人口減少、エネルギー及び原材料価格の上昇等により、お客様の消費意識・消費行動や社会構造等が急激に変化していくものと思われます。
このような状況の中、当社グループは、中期経営計画(2023年3月期から2025年3月期)の3年目となる次期連結会計年度におきましても、引き続き、4つの重点施策「成長基盤投資」、「暮らしを守り・育てる商品開発」、「チェーンリフォーム」、「ネットとリアルでより身近に」を着実に実行し、ホームセンター事業を通じた資材・建材、金物・工具と園芸、家庭菜園、農業資材分野の流通イノベーションとチャネルシフトの実現、及び環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現の両立を行い、更なる成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
①出店の拡大と物流機能の拡充
・出店につきましては、パワー、PRO、ハード&グリーン等の各種フォーマットによる船団方式の出店により、密度の高いドミナントエリアを形成し、商圏内の売上シェアを高めるとともに雇用の創出も図ってまいります。
・物流機能の拡充につきましては、現在国内に11ヵ所ある物流センターを拡充し、物流の内製化・効率化・店舗作業のローコスト化を図り、物流2024年問題にも対応してまいります。
②商品力の強化及び各種サービスの拡充
・全国の店舗インフラと国内11ヵ所の物流センターによるマス化のメリットを活かすことで、生産から販売までをトータルプロデュースし、「お客様の暮らしを守り・育てる」商品開発を推進するとともに、EDLP施策も推進してまいります。
・全店フルリフォームサービスと「住急番」を中心としたサービスの拡充を図り、社会環境等の変化により顕在化した住環境改善ニーズに対応してまいります。
・1,200を超える店舗インフラの強みを活かし、インターネット注文の店頭引き取りやラストワンマイル配送(コッコ便の対応エリア拡大)等のお客様の利便性向上とラストワンマイル配送の社会的コスト削減に資する取り組みを行い、店舗とインターネットの融合を更に推進してまいります。
・連結子会社の(株)コメリキャピタルとともに、コメリカードを中心とするカード会員の獲得を進め、年間の購入金額に応じて翌年のポイント付与率が高くなるFSP(Frequent Shoppers Program)制度によるロイヤルカスタマー化を行い、お客様一人ひとりに合った販売促進や来店誘導等、更なるお客様の利便性向上に資する取り組みの拡大を図ってまいります。
③資材・建材及び農業分野のプロ需要獲得への取り組み
・資材・建材分野につきましては、パワー及びPROの出店を推進し、建設事業者様等の利便性向上に資する取り組みを行い、資材・建材調達に関する社会的コストの削減を図ってまいります。
・農業分野につきましては、農業振興及び地域振興に寄与する取り組みを行い、日本の農業の産業化を支援してまいります。また、各地のJAとの協業を含めた新たな持続可能な農業支援モデルを構築し、食料生産に関する社会的コストの削減を図ってまいります。
④人的資本投資及びDX(デジタルトランスフォーメーション)投資の推進
・コメリ経営要諦の「人は事業の最も大切な柱である」に基づき、従業員の人権を尊重し、性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材がより能力を発揮し、活躍できる労働環境の整備や「賢和塾」を中心とした教育カリキュラムに基づく人的資本投資を行い、人材の確保にも努めてまいります。
・連結子会社の(株)ビット・エイとともに、DX投資の推進により、店舗及びストアサポートセンター(本社)の業務フロー・組織を更に進化させ、生産性向上とお客様への提案力向上を図り、更なる既存店舗の売上高向上と高収益体制の確立を目指してまいります。
⑤コーポレート・ガバナンスの更なる強化
・引き続き、取締役会の監査・監督機能の強化、意思決定の迅速化を図り、監査等委員会設置会社制度に基づく、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。
・当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目的とした適時適切な開示、英文開示及びステークホルダーの皆さまとの建設的な対話にも努めてまいります。
・中長期的な企業価値向上に努め、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応につきましては、CAPM(資本資産価格モデル)に基づいて算出した株主資本コストや株式市場期待水準も考慮したうえで、各種投資の意思決定を行ってまいります。
⑥サステナビリティへの対応
・環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指し、商品や店舗運営、物流等、商品の生産から販売までのすべての過程において省力化・効率化を行い、環境及び社会課題の解決に取り組んでまいります。
・気候変動による将来リスクや事業機会の把握を行い、変化対応型の事業展開を目指し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(基本方針)
コメリグループは、遅れた分野の流通近代化を通して世の中に貢献することを目指すとともに、環境・社会・ガバナンス等の社会課題の解決にも努めております。経営理念である「コメリのねがい」を掲げ、「住まい」と「園芸・農業」に関する地域社会のインフラとして、ホームセンター事業を通じて地域社会、環境に貢献し、各種社会課題を解決し、持続可能な社会の実現、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。そして、具体的な行動の指針である「コメリグループ行動指針」「行動基準」に沿って、各種サステナビリティの取り組みを推進してまいります。
(1)ガバナンス
コメリグループでは、持続可能な社会の実現に貢献することを重要な経営課題の一つと認識しています。2024年3月末現在、経営企画担当の取締役常務執行役員をサステナビリティ推進担当とし、広報担当付の社員等がその業務を補佐しております。また、取締役会は、四半期毎に、サステナビリティに関する取り組みについての報告を受けるとともに、各商品部、SCM部、DX部等の関係部署が協議・連携を行い、各種取り組みを実施する体制を整備しております。
https://www.komeri.bit.or.jp/ir/report/
(2)戦略
より良い商品をより安くより多くのお客様へご提供するため、お客様の潜在需要を顕在化させる商品やサービスを開発するとともに、環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現も目指し、事業活動を通じたサステナビリティの各種課題の解決に努めております。
①気候変動への対応
当社グループは、気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動に重要な影響を与えていると認識しています。ホームセンター事業を「住まい・資材建材」分野、「園芸・農業」分野、「店舗・サプライチェーン」分野の3つに分類し、脱炭素・CO2削減に関する社会的課題の解決が新たなビジネスに繋がるととらえ、事業活動や財務に及ぼす影響を分析気候変動による将来リスクや事業機会の分析を行いました。
<シナリオ分析>
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区分 |
1.5℃~2℃シナリオ |
2.7℃~4℃シナリオ |
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政策・法規制 |
・脱炭素・省エネ等の規制の新設・変更 |
・気候変動対策の現状維持 |
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・森林伐採規制の強化 |
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・化学肥料使用低減 |
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技術・市場 |
・省エネ商品の開発・改良 |
・省エネ商品の更なる進化・需要増加 |
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・原材料価格の上昇 |
・農産物産地の更なる移動 |
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・エシカル消費意識向上 |
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|
|
・農産物産地の移動 |
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店舗・サプライチェーン |
・自然災害による店舗・物流網の被害増加 |
・物流の遅延、寸断の増加 |
|
・店舗電気代の増加 |
・店舗電気代の更なる増加 |
<シナリオ分析による考え方>
2030年を想定した政策や法規制の変化がもたらす主な「移行リスク」につきましては、社会の脱炭素化に向けた政策・法規制によるコストの増加や、消費者の嗜好の変化が業績に影響を与えると予想されます。3分野の共通事項は、エネルギーコストの上昇や増税、省エネ規制強化によるコストアップがあげられます。また、「住まい・資材建材」分野につきましては、森林伐採規制強化やリフォーム需要の変化の影響、「園芸・農業」分野につきましては、化学肥料使用規制や食料生産技術・使用資材の変化、害虫・雑草管理方法の変更、農産物の産地移動等による影響、「店舗・サプライチェーン」分野につきましては、エシカル消費拡大による既存商品の販売減少やリユース・リサイクル・レンタル需要の増加、外出減少による店舗での買い控えの影響が考えられます。
また、自然災害の増加による資産の損害等の主な「物理的リスク」につきましては、自然災害の増加による店舗・物流センターの被災、営業休止、供給網の寸断や、平均気温上昇による空調コストの増加、労働生産性の悪化、食料生産量減少の影響等が考えられます。
<気候変動によるリスク及び機会>
a.移行リスク・機会
・政策・法規制
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リスク・機会の内容 |
住まい・資材建材分野 |
園芸・ 農業分野 |
店舗・サプライチェーン分野 |
主な対応策 |
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炭素税導入による各種コストの増加 |
● |
● |
● |
CO2排出削減に向けた省エネ対応、再生可能エネルギー使用 |
|
電力小売価格の変動 |
● |
● |
● |
省エネ設備の導入、再生可能エネルギー使用 |
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運送に係る燃料費の変動・排出規制の強化 |
|
|
● |
効率的な店舗配送ルートの策定・物流の効率化 |
|
各種省エネ規制強化 |
● |
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● |
省エネ設備の導入、エンジン製品の電動化の推進、断熱リフォームの提案 |
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補助金政策の新設・変更・廃止 |
● |
● |
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補助金対象商品の販売強化 |
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森林伐採規制強化 |
● |
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国産材利用推進、木材の廃棄物削減 |
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総合的病害虫・雑草管理資材への対応 |
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● |
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環境負荷の低い生産資材の取扱い増加・商品開発 |
・市場の変化
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リスク・機会の内容 |
住まい・資材建材分野 |
園芸・ 農業分野 |
店舗・サプライチェーン分野 |
主な対応策 |
|
食料生産技術・使用資材の変化 |
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● |
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タイムリーな営農情報の入手、環境負荷の低い生産資材・低価格の生産資材の供給 |
|
リフォーム需要の変化 |
● |
|
|
お客様の住まいのニーズへの変化対応、断熱リフォームの提案 |
|
外出減少による店舗での買い控え |
|
|
● |
EC事業の強化、店舗来店誘導施策の推進、お客様の住まいのニーズへの変化対応 |
|
リユース・リサイクル・レンタル需要の増加 |
● |
● |
● |
レンタルサービス・修理サービスの拡充、不要品引取サービスによるリサイクルの推進 |
|
エシカル消費拡大による既存商品の販売減少 |
● |
● |
● |
環境負荷の低い商品の開発・提供、廃プラスチック削減、サステナブルな情報発信 |
b.物理的リスク
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分類 |
リスク・機会の内容 |
住まい・資材建材分野 |
園芸・ 農業分野 |
店舗・サプライチェーン分野 |
主な対応策 |
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急性 |
自然災害・異常気象の増加による被害の発生 |
● |
● |
● |
サプライチェーンマネジメントの強化、従業員の安全・安心を踏まえた迅速な営業再開 |
|
自然災害・異常気象による食料生産量の減少 |
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● |
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異常気象対応商品の提案、タイムリーな営農情報の提供 |
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慢性 |
病害虫被害の増加 |
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● |
|
タイムリーな営農情報の提供、対象商品の機会損失防止とタイムリーな提供 |
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平均気温の上昇 |
● |
● |
● |
気候変動による過剰在庫の防止・売変の抑制・機会損失の防止 |
|
|
労働の生産性・労働環境の低下 |
● |
● |
● |
異常気象に対応した商品開発の推進、従業員の安全・安心・健康な労業環境の確保 |
②人的資本投資
a.2023年3月期から2025年3月期の中期経営計画で掲げた4つの重点施策の1つである「成長基盤投資」に基づき、以下の対応を行っております。
・多様な人材がより能力を発揮し活躍できる環境整備に基づく業務生産性の向上
・賢和塾を中心とした教育体系に基づき、不易流行の精神を実践できる人材の育成
・職位別・役職別カリキュラムに則って、経営理念研修、管理職・後継候補者教育、チェーンストア理論研修等の実施
b.2024年3月期の教育人財投資額につきましては、18.1億円(前年比104.0%)となっております。更なる営業力強化を目的として、主にマイスター1級・2級の取得を推進しました。
※ マイスター制度
お客様のお困りごとの解決や要望に対する提案ができる接客技術の高い従業員の育成を行うための商品知識・サービス等販売業務に関する各種社内資格制度
c. 女性新入社員の積極的採用
従業員の多様性確保の取り組みの1つとして、女性新入社員の採用も積極的に増やしております。2024年4月入社の女性社員比率は35%(前事業年度4月入社の女性新入社員比率30%)となっております。
d.非正規社員の待遇改善への取り組み
・人手不足が強まる中、非正規社員の待遇改善が求められています。コメリでは、店舗で活躍している従業員の更なるキャリアアップや待遇改善の一環として、一定の条件を満たした非正規社員(準社員)の正社員への定期登用を行っております。非正規社員(準社員)から登用された正社員は、現在100名を超えております。
・優秀な従業員の定着を向上させることは、事業活動を継続する上で重要な課題の一つとなっております。引き続き、コメリ経営要諦の「人は事業の最も大切な柱である」に基づき、従業員の人権を尊重し、性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材がより能力を発揮し活躍できる環境整備を継続してまいります。
e.女性活躍推進・多様な人材の確保
当社グループでは、すべての従業員がワークライフバランスを実現し、能力を発揮し活躍することが、当社が目指す「お客様の豊かな暮らしの実現」につながると考えます。仕事と子育ての両立をはじめ、安心・安全・健康に働くことができる環境づくりを推進しております。
当社は、2024年5月21日に、次世代育成支援対策法に基づく子育てサポート企業として、厚生労働大臣より「くるみん認定」を取得しました。
引き続き、従業員が安心・安全・健康に働くことができる「働きがい」を感じられる環境の確保に努めてまいります。
<多様性確保に向けた人財育成・社内環境整備方針>
コメリ経営要諦の「人は事業の最も大切な柱である」に基づき、従業員の人権を尊重し、性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材がより能力を発揮し活躍できる環境整備を行っています。計画的な配置転換、職種別・階層別教育を中心とする営業力・商品力の強化、生産性の向上を実現する人事制度や多様な教育制度を構築し、中核人材の育成と従業員が安心・安全・健康に働くことができる「働きがい」を感じられる環境の確保に努めてまいります。そして、具体的な行動の指針である「コメリグループ行動指針」「行動基準」に沿って、人財育成とその環境整備の取り組みを推進してまいります。
※ 「コメリグループ行動指針」「行動基準」は、以下のウェブサイトで開示しております。
https://www.komeri.bit.or.jp/csr/koudousisin/index.html
(3)リスク管理
サステナビリティの課題を含めた当社グループの事業へのリスク及びその管理の内容につきましては、後記「3 事業等のリスク」で開示しております。
環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指し、商品や店舗運営、物流等、商品の生産から販売までのすべての過程において、省力化・効率化を行い、環境及び社会課題の解決に取り組むとともに、気候変動による将来リスクや事業機会の把握を行い変化対応型の事業展開を目指し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも進めてまいります。
各種リスクに対する課題や具体的な取り組み内容は、以下の通りです。
https://www.komeri.bit.or.jp/ir/report/
(4)指標及び目標(実績)
サステナビリティに関する指標及び目標につきましては、以下の通り定めております。
①エネルギー使用量削減目標
2009年度の実績(使用原単位あたり)から毎年1%の削減
原単位(㏄/㎡・h)=エネルギー使用量(㏄)/コメリ施設総延床面積(㎡)×年間営業時間(h)
②人的資本に関する指標または目標
・女性管理職(店長職・本部M職)を300名にする。(2026年度末まで)
・全従業員の月平均残業時間を13時間以内とする。(2026年度末まで)
・育児休業取得目標を、男性25%、女性95%以上とする。(2027年度末まで)
・社員全員の労働時間を削減(定時退社日の周知と有休・半日有休制度の利用促進)
https://www.komeri.bit.or.jp/ir/report/
③エネルギー使用量(2024年3月期、単位:GJ)
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区分 |
実績 |
|
区分 |
実績 |
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電気 |
1,275,801 |
(1,461,591) |
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灯油 |
1,610 |
(1,618) |
|
LPG |
58,902 |
(59,725) |
|
A重油 |
0 |
0 |
|
都市ガス |
6,114 |
(6,114) |
|
原単位 |
3.12 |
(3.56) |
|
ガソリン |
12,358 |
(12,802) |
|
|
|
|
※エネルギー使用量は省エネ法に基づき算定しております。2023年の省エネ法改正に伴い熱量換算係数が改正されたため、( )内に改正前の省エネ法に基づく数値を、( )外に改正後の省エネ法に基づく数値を記載しております。
④CO2排出量(2024年3月期、単位:t-CO2)
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カテゴリー |
実績 |
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Scope 1 |
燃料の燃焼に伴う直接排出 |
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Scope 2 |
電力使用に伴う間接排出 |
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Scope 3 |
1.購入した製品・サービス |
1,861,506 |
|
|
2.資本材 |
27,379 |
|
|
3.Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 |
11,839 |
|
|
4.輸送、配送(上流) |
13,164 |
|
|
5.事業から出る廃棄物 |
4,692 |
|
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6.出張 |
1,229 |
|
|
7.雇用者の通勤 |
6,042 |
|
|
Scope 3合計 |
|
|
Scope 1・2・3合計 |
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|
※Scope 3につきましては、上流側の範囲(カテゴリー1から7まで)で算定しております。
⑤太陽光発電量(2024年3月期、コメリ13店舗、北星産業4センター分合計)
10,806MWh
⑥廃棄物処理量(2024年3月期、単位:t)
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区分 |
実績 |
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産業廃棄物排出量 |
6,598 |
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リサイクル廃棄物排出量 |
7,365 |
(5)人権への取り組み
①お取引における人権についての考え方
生産から販売までのトータルプロデュースを行い、より良い商品・サービスをより安くお客様に提供するため、お取引先様とともに持続可能なサプライチェーンを構築するために、公正な取引を行うとともに人権の尊重も重要な課題の一つと考えております。
コメリグループでは、「事業活動における人権の尊重」をサステナビリティの重要課題の一つとしております。特に海外のプライベートブランド商品のお取引先様との間の契約の中で、強制労働、違法労働、児童労働の禁止、人種や国籍等での差別の禁止を規定して、定期的にその確認を行うこととしております。
②公正取引の推進(腐敗防止の基本的な考え方)
コメリグループでは、お取引先様との取引方針として、「お取引にあたってのお約束」を策定し、お取引先様との平等かつ対等な関係を築き、信頼される企業となるよう、公正かつ透明な取引の実現に取り組んでおります。贈収賄、不公正・不当な取引等の腐敗行為および腐敗行為に加担する行為を防止し、コメリグループ全体で、お取引先様と健全なパートナーシップの構築を目指してまいります。
③ハラスメント防止への取り組み
コメリグループでは、従業員の人権の尊重についても、「コメリグループ行動指針」「行動基準」で規定し、安全かつ衛生的な職場環境の整備や従業員の健康を重視した働きやすい環境の実現を目指しています。労働災害の防止に取り組むとともに、差別の防止やパワーハラスメント及びセクシャルハラスメント防止等について、各種研修において従業員に教育を行っております。
(6)事業活動を通じたサステナビリティへの取り組み
コメリグループでは、サステナビリティの基本方針に基づき、「原材料調達、製造・生産、流通・販売・消費」の各過程において、事業活動を通じたサステナビリティに資する取り組みを行っております。また、このサステナビリティへの取り組みには、防災や減災に繋がる森林や農地の維持に資する取り組みもあり、森林や農地の維持は、省エネや二酸化炭素の固定化による地球温暖化防止に寄与することにも繋がると言われています。
商品やサービスを通じたサステナビリティに関する主な取組内容は、以下の通りです。
a.国産杉を使用した針葉樹合板等の商品開発
b.住宅の床・壁・天井・窓・ドア等の断熱リフォームの提案
c.切り花流通加工を自社で行うフレッシュマネジメントセンターを通じた、流通コスト等の社会的コストを削減した鮮度の良い切り花の安価での提供(2024年3月末現在、新潟、茨城・花巻の3ヵ所に設置)
d.ガーデニング・家庭菜園等の園芸商品の販売
e.大規模農家支援や農業協同組合との協業等の農業者の利便性の向上に資する取り組みによる農地の維持及び食料生産に関する社会的コスト削減の推進
f.不要品引取サービスによるリサイクルの推進
g.物流2024年問題への対応
・「コンテナラウンドユース」やJRコンテナを利用した「クロスドック配送」の取り組みの実施
・物流センター活用による集荷配送の効率化による二酸化炭素排出量の削減
・複数のお取引先様の商品を物流センターへ納品するために一括集荷する専用便による共同配送の実施
・パレットによる商品の集荷・共同配送の推進
・「置き配」に対応できるPB商品「折り畳める宅配ボックス」の販売を開始(2024年3月22日から)
h.DXへの取り組み
・より便利で快適なお買い物環境を全国のお客様にご提供できるよう、国内1,200を超える店舗網を運営するストアサポートセンターのIT化及び店舗オペレーションのローコスト化等のDX推進の投資を行い、グループ全体で生産性向上に継続して努めております。
・連結子会社である(株)ビット・エイは、経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」の認定を2024年4月1日付で取得しました。
i.店舗で発生する段ボール・ビニール等を分別・集約する拠点である環境ステーションの設置によるリサイクルの推進(2024年3月末現在、新潟、岩手、群馬、茨城、三重、岡山の6ヵ所に設置)
j.災害発生時の社会インフラとして、NPO法人コメリ災害対策センターを通じた復旧資材・生活必需物資の供給
(7)農業振興への取り組み
コメリの核カテゴリーの一つである農業資材分野への取り組みにつきましては、農業資材の予約販売や収穫期払いの決済手段である「アグリカード」の提供、業界初のPB農薬「カミオン」の販売等の各種取り組みを行うとともに、チェーンストアの仕組みを使い、肥料・農薬・農業資材をローコストに、より良いものをより安く提供できる仕組みを構築しております。
JAとの協業につきましては、2020年3月1日からJA上伊那と協業を本格的に開始し、2024年3月末時点で5JA(JA上伊那、JA山形おきたま、JA紀の里、JA伊勢、JA多気郡)と協業を行っております。
そのほか、営業力強化に向けて、社内資格である農業資材マイスター1級・2級の取得を推進し、より専門的な知識をもって接客ができるよう、人財教育投資も行いました。
(8)社会貢献活動
当社グループは、1990年にコメリ緑資金を設立し、以来33年間にわたり、毎年利益の1%相当額を原資として、地域の緑化活動や農業振興及び災害時における物資の安定供給の基盤整備、ならびに地域の文化振興・社会振興への支援を継続して行っています。1990年度から2022年度までの33年間の累計拠出額は、25億1,217万円となっております。また、当社グループの事業活動は、森林や植物、農業等の様々な自然の恵みを受けて成り立っているため、生物多様性保全活動の一環として、自然の恵みの持続可能な利用に努めております。
更に、事業活動を通じたサステナビリティへの取り組みに加え、以下の公益を目的とした法人と連携した環境・社会貢献活動も行っております。
①公益財団法人コメリ緑育成財団
公益財団法人コメリ緑育成財団は、コメリ緑資金と1996年7月に設立した財団法人緑育成財団を起源とし、2012年11月に公益財団法人として設立されました。地域社会へのご恩返しのため、コメリ緑資金からの助成を受けて、公共性の高い環境保全活動や緑化活動を行っている団体様への助成を行う「コメリ緑資金一般公募助成」、コメリグループ従業員がボランティアとして幼稚園や小中学校等の緑化活動に参加する「コメリ緑資金ボランティア」、コメリ農場での農業体験イベント等を開催する「体験活動による農業の振興」の3つの活動を行っています。
2024年3月期の主な活動実績は、以下の通りです。
・自然環境の保全に関する顕著な功績があった団体として、環境省より「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰を受賞いたしました。(2023年5月)
・コメリ緑資金一般公募助成・・・助成総数44件(25都道府県)、助成金額1,008万円
・コメリ緑資金ボランティア・・・ボランティア件数429件、ボランティア参加従業員数489人
・コメリ農場での活動 ・・・5月田植え体験(20人)、7月じゃがいも収穫体験(61人)
9月稲刈り体験(中止)、10月さつまいも収穫体験(63人)
②NPO法人コメリ災害対策センター
NPO法人コメリ災害対策センターは、災害対策に永続的に取り組むための活動基盤として、2005年9月に設立され、コメリ緑資金の助成を受けて災害時の物資供給のネットワーク構築、災害対策関連情報の提供、防災啓蒙活動等を行っています。2024年3月31日現在、全国1,084ヵ所の自治体と災害時の物資供給に関する協定を締結しております。
2024年3月期の主な活動実績は、以下の通りです。
・災害時の物資供給に関する締結協定を74件
・2024年1月に発生した能登半島地震につきましては、2024年3月末現在で30自治体、延べ78件の要請にお応えし、土のう袋、ブルーシート、使い捨て食器、簡易手袋、乾電池、おむつ等、東日本大震災の203品目を上回る355品目の商品(10tトラック約14台分)の供給を迅速に行いました。
・家畜伝染病への対応
鳥インフルエンザ、豚熱の防疫作業に必要な35品目の商品を供給しました。
・水害への対応
2023年6月から9月に全国各地で発生した大雨への対応をしました。(和歌山県、石川県、福島県)
・自治体が開催する防災訓練に参加(104件)
2024年2月14日には、国土交通省(国研)海上、港湾・航空技術研究所、海上技術安全研究所の3者による南海トラフ地震を想定した「災害時の支援物資輸送に係る実働演習」に参加しました。
・広報誌「サポートNo.27」の発行(9月)
新潟県知事と理事長との官民連携に関する対談を掲載しました。
③公益財団法人美術育成財団雪梁舎
雪梁舎美術館は、コメリの創業者である捧賢一が設立し、1994年に新潟県新潟市に開館しました。
若手作家の発掘と育成を目的とした全国絵画公募展「雪梁舎フィレンツェ賞展」は、2023年で25回展を数え、新潟展は2023年7月29日~9月10日まで、東京巡回展は同10月24日~10月30日まで展覧会を開催しました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 出店・閉店について
当社グループの出店政策は、パワー、PRO、ハード&グリーン及びアテーナを商圏規模に応じて「船団方式」で出店し、更なる店舗網の拡大及びドミナントを進めるものですが、「都市計画法」「大規模小売店舗立地法」等の法令又は条例等の規制により、住民や自治体との調整のため、出店に要する時間の長期化等により当初の計画通りに出店ができない場合や建築コスト等の出店コストが増加した場合等は、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、少子高齢化による労働力人口を含む人口減少により、出店地域の市場規模の縮小や人件費等のコスト上昇の影響等により店舗の営業が継続できず閉店が発生する場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは、損益分岐点が低い店舗づくり、及びその仕組みづくりを目指し、より小商圏で成立する店舗出店と改装や人材育成による既存店舗の活性化をすすめ、標準化された店舗の多店舗展開を行ってまいります。
(2) 気候変動について
当社グループの販売商品は園芸・農業用品をはじめとして、きわめて季節性の高い商品が多く、四季の特徴が早い時期より顕著に現れるほど販売が好調となる傾向がありますが、反面、冷夏、暖冬等により商品の動きが鈍くなると、売上高の減少、売価変更の増加による利益率の減少、過剰在庫の発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは、商品力の強化、商品展開時期の調整、在庫調整等を行い、天候不順や気候により変動するお客様のニーズに対応した売場展開や商品運営を行うことで、機会ロスの防止及び収益の確保を行っております。
なお、災害発生時におきましては、従業員やお取引先様、お客様等の安全を確保した上で営業の継続又は再開できる体制の整備に努めております。
また、自然災害等が発生した場合は、下記(3)の影響が発生する可能性もあります。
さらに、商品や店舗運営、物流等、商品の調達から販売に至るまでのすべての過程において、CO2排出量削減やプラスチック包装容器の削減、廃棄物排出削減等の環境に関する社会課題の解決にも努めております。連結子会社の北星産業株式会社におきましては、運送トラックの求車情報と空車情報のマッチングを図り、配送効率の改善に努め、CO2排出量及び燃料使用量の削減に取り組んでまいります。CO2排出量可視化に基づく気候変動による将来リスクや事業機会の把握を行い変化対応型の事業展開を目指し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも行ってまいります。
(3) 流通ネットワーク障害について
当社グループは、商品開発のグローバル化を推進するとともに、物流網及び情報システムを整備し、全国をカバーできる流通ネットワークの整備を行い、ローコストオペレーション体制を構築してまいりました。
しかしながら、自然災害、停電・火災、戦争・テロ、コンピュータウィルス及び人為的な誤り等による継続的な情報システムの障害、又は新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症拡大に起因する政府等の移動自粛等の要請又は指示による物流遮断や停滞による流通ネットワークの障害が発生する可能性があります。また、海外における新型コロナウイルスの感染拡大による厳しいロックダウンにより、プライベートブランド商品をはじめとする商品等の調達に影響を及ぼす可能性もあります。
このような事態が発生した場合、当社グループの事業運営に支障が生じ、商品等の供給が滞り、売上高の減少、レジシステムの停止、データの消失、復旧に関する費用の発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 感染症拡大について
新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症が拡大した場合、一時的に店舗閉鎖や営業時間短縮等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクに対応するため、従業員の安全・衛生・健康を重視した働きやすい環境の整備に努め、平時より、感染症予防対策を行っております。新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更された後におきましても、引き続き、コロナ禍で変化したライフスタイルに対応した商品やサービスの開発を推進しております。Eコマースの強化によるネットとリアルの融合、取り置きサービスや置き配等の非接触の商品やサービスの拡大、店舗作業のDX化と連動したセルフ販売の推進等、お客様の利便性の向上に資する取り組みを推進し、感染症拡大した場合でも、お客様と従業員の安全を考慮した営業を継続できるための体制整備にも努めてまいります。
(5) 競合について
ホームセンター企業各社は、プロ需要やリフォーム・ホームファッションなどに対応するため店舗の大型化を進めて競争が激化する中、更に業種・業態の垣根を越えた競争が激しくなるなど、小売業全体において企業間競争が熾烈化しております。
当社は多店舗展開によるドミナントエリア化を進めておりますが、競合商品分野において有力な競合他社店舗によるエリア内への大型店舗の出店等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
業種業態を超えた競争に対応するため、当社では、新規出店に加え、既存店舗の改装を推進し、生産性の高い棚割を積極的に導入する等の取り組みを行うとともにローコストオペレーションを推進し、店舗の収益性の向上に努めております。更に、営業時間中にシフト表にEラーニングの時間を確保する投資やマイスター制度をはじめとする各種教育研修制度の充実を図る投資等の積極的な人材教育投資を行い、「何々ならコメリ」とお客様に真っ先に思い浮かべていただける会社を目指し、EラーニングやOJTで培った営業力でお客様のお困りごと解決できる従業員の営業力・接客力の向上を行い、商圏内のナンバーワンを目指し、競合各社との差別化の戦略を行ってまいります。
(6) 情報の流出について
当社グループでは、社内体制を整備し、お客様及びお取引先様等のデータ並びに売上・仕入等の営業上のデータを保有し、管理しております。
しかしながら、犯罪行為やコンピューターシステムの障害等により情報の漏洩・流出の起こる可能性は否定できず、そのような事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用に影響を及ぼし、情報流出に起因する被害に対する損害賠償義務を負う等の可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報漏洩リスクの低減に努め、情報セキュリティ委員会を定期的に開催し、情報セキュリティ関連の情報の共有や教育・指導、適切な情報セキュリティ体制の構築等を行っております。
(7) 為替変動等について
当社グループは、海外から商品の輸入を行っており、為替予約等により為替リスクの低減を行っております。
しかしながら、想定以上に為替変動が生じた場合又は原油市場の価格が変動した場合等には輸入商品の調達に支障をきたし、商品原価率の上昇やオペレーションコストの上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、為替リスク管理規程に基づき、為替リスク管理委員会を開催し、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引に関して為替変動による影響を抑えるように努めております。
当事業年度におきましては、為替リスク委員会を1回開催するとともに、定期的に、為替変動によるリスクの低減に努めました。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、遅れた住関連分野の流通近代化を通して、お客様の暮らしを守り、育てることを目指し、全国11ヵ所の物流センターを中心とする物流網と、全国1,200を超える店舗網を活用し、世界のベストソースからの商品開発、商品調達と、住まいの環境改善に資するサービスのご提案に注力してまいりました。また、多くのお客様が価格に敏感な今こそ、安心してお買い物をしていただくために、税込みでの価格表示、PB商品を中心としたEDLP施策を継続して実施いたしております。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より114億64百万円増加し、3,728億51百万円となりました。主に現金及び預金が26億41百万円、商品及び製品が40億32百万円、有形固定資産が30億79百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末より25億63百万円増加し、1,366億3百万円となりました。主に設備関係支払手形が11億43百万円減少いたしましたが、短期借入金が25億円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末より89億円増加して、2,362億48百万円となりました。主に利益剰余金が増加したことによるものであります。
(ロ)経営成績
営業概況につきましては、春先から続いた天候不順の影響により、園芸植物関連・ガーデニング・家庭菜園資材や農業者様もご利用になられる単管パイプ・合板等の資材の販売が、当社の主力フォーマットであるハード&グリーンを中心に前連結会計年度を大きく下回りました。また、夏場の記録的な暑さと残暑により、エアコン・夏物作業衣料等の季節商品の販売は堅調だったものの、園芸用品や屋外作業に関連する商品の販売が低調に推移いたしました。下半期は、暖冬・少雪傾向となり、暖房用品・防寒衣料・除雪用品・水道管の凍結対応商品等の販売が低調に推移いたしました。
一方、当社が注力しているプロの建設事業者様が頻繁にご利用になられる、機械釘・セメント・断熱材等の消耗品や農業者様向けの農薬、刈払機は堅調に推移いたしました。利益面におきましては、店舗運営モデルの浸透、EDLP施策の推進による改善効果がみられたものの、当社核カテゴリーである園芸農業・建築資材の販売が苦戦したことと、原材料価格の上昇や、円安の長期化の影響により、売上総利益率が悪化いたしました
当社グループの成長戦略の要である出店におきましては、コメリパワー(以下、パワー)を8店舗、コメリPRO(以下、PRO)を3店舗、コメリハード&グリーン(以下、ハード&グリーン)を16店舗、合計27店舗開店いたしました。パワーにおきましては、2024年3月28日のコメリパワー伊万里店(佐賀県)の開店をもちまして、100店舗を達成いたしました。退店につきましては、ハード&グリーン、アテーナを21店舗閉店いたしました(スクラップ&ビルドによる閉店16店舗含む)。この結果、当連結会計年度末の店舗数は、パワー102店舗、ハード&グリーン1,099店舗、PRO15店舗、アテーナ4店舗、合計で1,220店舗となりました。(この他非連結子会社が運営する海外ハード&グリーン2店舗があります。)
また、物流におきましては、2023年7月に切花を自社グループで流通加工する「フレッシュマネジメントセンター」(以下、FMC)をコメリ花巻流通センター敷地内に新設いたしました。当社グループのFMCは、現在、茨城・新潟・花巻3ヵ所の流通センター内で稼働しており、東日本を中心に約700店舗にて、「より新鮮で、より安い」切花を店頭に揃えられ、お客様のご支持をいただいております。
重点施策であるPB商品開発につきましては、「暮らしを守り・育てる商品開発」を実現するため、世界のベストソースから商品調達を行い、お客様の潜在ニーズを顕在化させる商品開発に努めてまいりました。カー用品ブランド「CRUZARD(クルザード)」においては、お客様が真に必要な機能にフォーカスした高品質・低価格の商品を展開し、ソーシャルメディアも絡めた重点販売を実施した結果、客層も拡大し販売も好調に推移いたしました。これらの結果、PB商品の売上高構成比率は、前連結会計年度比1.0%増の47.7%まで高めることができました。
リフォーム事業におきましては、全国のコメリ店舗で受付可能な住宅設備機器の取付・施工サービスや、シロアリ・害虫駆除、庭木の手入れ等の住急番サービスの取扱高も増加し、売上高前連結会計年度比6.1%増と引き続き好調に推移しております。2023年12月には「2023年 オリコン顧客満足度(R)調査 戸建てリフォームホームセンター部門」におきまして、4年連続で第1位を受賞することができました。
カード事業におきましては、自社発行しているコメリカード(クレジット機能)、アクアカード(プリペイド機能)等のカード会員数は、501万人(前連結会計年度比21万人増)となりました。コメリカードとアプリを連携させたスマホ決済サービス「コッコPay」や、2023年11月より、コメリカードタッチ決済サービスの導入を行い、決済手段の多様化に対応しております。
農業協同組合(以下、JA)との協業につきましては、JA上伊那、JA山形おきたま、JA紀の里、JA伊勢、JA多気郡の5つのJAと協業し、農家様、JA、当社の「三方よし」の実現に向けて取り組んでおります。2024年3月末時点でJAの商品をコメリの34店舗にて販売しております。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は3,707億52百万円(前連結会計年度比97.7%)、営業利益は220億81百万円(同84.8%)、経常利益は222億14百万円(同86.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は137億12百万円(同80.2%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.ホームセンター事業
ⅰ 工具・金物・作業用品
昨年の補修需要の反動を受け、電動工具や塗料等、DIY向けの販売が苦戦しましたが、機械釘やセメント、電材等のプロのお客様が使用される消耗品に関しては、販売が堅調に推移いたしました。また、1月の能登半島地震の影響を受け、ブルーシート・家具固定ポール等の防災関連商品に動きが見られました。これにより売上高は、667億62百万円(前連結会計年度比98.4%)となりました。
ⅱ リフォーム資材・エクステリア用品
夏場の記録的な猛暑と前連結会計年度の台風や大雪による補修需要の反動を受け、木材・ワイヤーメッシュ、単管パイプ等の外資材が低調に推移いたしました。また、住環境改善ニーズは引き続き高く推移しており、トイレ・システムバス等の住設機器は商品だけでなく、取付・施工等、サービスの売上も堅調に推移いたしました。これにより売上高は、549億80百万円(同95.8%)となりました。
ⅲ 園芸・農業・ペット用品
春先から続いた天候不順の影響により、園芸植物、ガーデニング、家庭菜園資材等の販売が大きく前連結会計年度を下回りました。ペット用品に関しては、価格優位性のあるPB商品を展開した犬・猫フードカテゴリーが堅調に推移いたしました。これにより売上高は、1,103億66百万円(同97.9%)となりました。
ⅳ 日用品・家電・カー・レジャー用品
新型コロナウイルスの5類移行に伴い、マスク・手指消毒の販売は低下したものの、価格優位性のある商品を展開した洗剤や紙製品等の販売は堅調に推移いたしました。家電用品は暖冬と前期の全国的な寒波による季節商品の反動を大きく受け、ファンヒーター等の暖房用品の販売が低調に推移いたしました。カー用品に関しては「価格・品質」共に優位性のあるPB商品のシリーズ展開により売上が堅調に推移いたしました。これにより売上高は、711億74百万円(同98.4%)となりました。
ⅴ インテリア・家庭・オフィス用品
帰省需要の回復もあり、スリッパ・バスマット等の家庭用品の販売は堅調に推移したものの、暖冬の影響を受け、こたつ用品等の季節商品の販売が低調に推移いたしました。これにより売上高は、348億7百万円(同96.2%)となりました。
ⅵ 灯油等
灯油は、全国的に冬場の気温が平年より高く推移したこともあり、低調に推移いたしました。これにより売上高は、142億21百万円(同99.1%)となりました。
以上の結果、ホームセンター事業全体としての売上高は、3,661億4百万円(同97.8%)となりました。
b.その他事業
LPガス・ガソリン等の燃料や書籍等の販売等により、当連結会計年度のその他事業の営業収益は46億48百万円(同94.3%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、165億47百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は、213億64百万円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。主な獲得要因は、税金等調整前当期純利益205億79百万円、減価償却費122億8百万円であります。主な使用要因は、法人税等の支払額78億74百万円、棚卸資産の増加額41億92百万円、売上債権の増加額19億1百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、154億33百万円(同32.3%増)となりました。主な使用要因は、有形固定資産の取得であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、32億89百万円(同75.6%減)となりました。主な獲得要因は、長期借入れによる収入80億円、短期借入金の純増加額25億円であります。主な使用要因は、長期借入金の返済による支出71億77百万円、自己株式の取得による支出27億2百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ホームセンター事業(百万円) |
244,384 |
96.7 |
|
報告セグメント計(百万円) |
244,384 |
96.7 |
|
その他事業(百万円) |
3,188 |
89.9 |
|
合計(百万円) |
247,572 |
96.6 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ロ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ホームセンター事業(百万円) |
366,104 |
97.8 |
|
報告セグメント計(百万円) |
366,104 |
97.8 |
|
その他事業(百万円) |
4,648 |
94.3 |
|
合計(百万円) |
370,752 |
97.7 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状況及び経営成績の状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(ロ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある要因として認識している他の要因につきましては、「3.事業等のリスク」をご参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(イ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(ロ)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、自己資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期運転資金は銀行からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、銀行からの長期借入及びリースを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は325億45百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は165億47百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標を達成状況を判断するための客観的な指標等
2022年4月26日に、2023年3月期から2025年3月期の中期経営計画を公表いたしました。2025年3月期の目標を達成するために、4つの重点施策、「成長基盤投資」、「暮らしを守り・育てる商品開発」、「チェーンリフォーム」、「ネットとリアルでより身近に」を着実に実行してまいります。
2025年3月期の連結業績見通しにつきましては、営業収益は3,880億円(前年同期比4.7%増)、営業利益は243億円(同10.0%増)、経常利益は245億円(同10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は152億円(同10.8%増)を見込んでおります。
該当事項はありません。
特記事項はありません。