第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの経営理念は、「企業とは人々の幸せのために存在すべきものであり、それでこそ社会から支持され、存続することができる」という考えに根ざしており、これは創業以来不変のものであります。

上記経営理念に基づき、当社グループは、「遅れた分野の流通近代化」の実現のために、金物・工具、資材・建材分野と園芸、家庭菜園、農業資材分野を核カテゴリーとしてとらえ、流通改革に取り組んでまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略等

① 経営環境
ⅰ 外部環境

・雇用・所得環境の改善の下、景気は緩やかな回復が見られました。

・ウクライナ情勢や中東情勢悪化の長期化、アメリカの政策動向、長引く円安等の影響により、依然として不透明な状況が続いております。

ⅱ 小売業界

消費者物価の上昇に対し実質賃金の上昇が伴っておらず、消費者の生活防衛意識は依然として高い状況が続いております。

人件費、物流費、建設費、光熱費等の様々なコストの上昇に加え、業種・業態の垣根を越えた競争も激しさを増しており、引き続き厳しい経営環境が続いております

 

② 経営戦略等

2025年4月22日に、「2026年3月期-2028年3月期 中期経営計画」を公表いたしました。生産から販売までをトータルコーディネーションし、より良い商品をより安く、お客様には無駄なコストは1円たりとも負担させないという考えのもと、「出店戦略」「立地与件、競合与件に対応」「商品力の強化」、「マス化を可能にするグローバル物流」「B2Bの仕組みづくり」等の重点施策を着実に実行することで、資材・建材、園芸・農業資材市場における遅れた分野の流通近代化を進め、更なる成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

③ 目標とする経営指標

中期経営計画の最終年度である2028年3月期の目標を、以下の通り設定し、公表いたしました。

・営業収益 : 4,500億円     ・営業利益 : 320億円

・R O A : 8.0%以上     ・R O E : 8.0%以上

※ 総資本経常利益率

(我々がチャレンジする市場 7兆円)


 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、旧態依然とした流通形態が残る資材・建材、金物・工具、園芸・農業用品、これらの遅れた分野の流通近代化、及び当社グループの事業を通じた環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現の両立を行い、更なる成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

① 出店の拡大

・パワー、PRO、ハード&グリーン等の各種フォーマットによる船団方式の出店を行ってまいります。

・生産性の高い店舗を出店することで、ドミナントエリアを形成し、商圏内の売上シェアを高めてまいります。

 

② 物流機能の拡充

・全国の店舗インフラと物流センターによるマス化のメリットを活かすことで、生産から販売までのサプライチェーン全体をトータルプロデュースし、流通近代化を図ってまいります。

・現在国内に12カ所ある物流センターを拡充し、物流の内製化・効率化・店舗作業のローコスト化を行ってまいります。

  ・物流2024年問題への対応も継続して行い、サプライチェーン全体の生産性向上に努めてまいります。

 

③ 商品力の強化及び各種サービスの拡充

・「お客様の暮らしを守り・育てる」商品開発を推進し、EDLP(エブリデイ・ロープライス)施策も推進してまいります。

・カテゴリーブランドを育成・強化し、PB商品の市場優位性を高め、他社との差別化を図ってまいります。

・全店フルリフォームサービスと「住急番」を中心としたサービスの拡充を図り、社会環境等の変化により顕在化した住環境改善のニーズに対応した提案型のサービスを提供してまいります。

・インターネット注文の店頭引き取りやラストワンマイル配送(コッコ便の対応エリア拡大)等、1,200を超える店舗インフラの強みを活かし、店舗とインターネットの融合によるお客様の利便性の向上と配送に関する社会的コストの削減に努めてまいります。

・連結子会社の㈱コメリキャピタルとともに、コメリカードを中心とするカード会員の獲得を推進してまいります。お客様の来店頻度の向上による固定客化への取り組み、及び決済手段の多様化への対応を推進し、お客様の利便性向上に資する取り組みを行ってまいります。

 

④ 資材・建材及び農業分野のプロ需要獲得への取り組み

・パワー及びPROの出店を推進し、建設事業者様等の利便性向上に資する取り組みを行い、資材・建材調達に関する社会的コストの削減を図ってまいります。

・農業振興及び地域振興に寄与する取り組みを行い、日本の農業の産業化を支援してまいります。また、各地のJAとの協業を含めた新たな持続可能な農業支援モデルを構築し、食料生産に関する社会的コストの削減を図ってまいります。

 

⑤ 人的資本投資及びDX(デジタルトランスフォーメーション)投資の推進

・コメリ経営要諦の「人は事業の最も大切な柱である」に基づき、従業員の人権を尊重し、性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材がより能力を発揮し、活躍できる労働環境の整備や「賢和塾」を中心とした教育カリキュラムに基づく人的資本投資を行い、人材の確保にも努めてまいります。

・従業員の人権を尊重し、性別・国籍・年齢に関係なく、多様な人材がより能力を発揮し活躍できる労働環境の整備を行ってまいります。

・連結子会社の㈱ビット・エイとともに、DX投資の推進により、店舗及びストアサポートセンター(本社)の業務フロー・組織を更に進化させ、生産性向上とお客様への提案力向上を図り、更なる既存店舗の売上高向上と高収益体制の確立を目指してまいります。

 

 

⑥ コーポレート・ガバナンスの更なる強化

・取締役会の監査・監督機能の強化、意思決定の迅速化を図り、監査等委員会設置会社制度に基づく、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

・当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目的とした適時適切な開示、英文開示及びステークホルダーの皆さまとの建設的な対話にも努めてまいります。

・中長期的な企業価値向上に努め、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応につきましては、CAPM(資本資産価格モデル)に基づいて算出した株主資本コストや株式市場期待水準も考慮したうえで、各種投資の意思決定を行ってまいります。

 

⑦ コーポレート・ガバナンスの更なる強化

・取締役会の監査・監督機能の強化、意思決定の迅速化を図り、監査等委員会設置会社制度に基づく、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

・当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目的とした適時適切な開示、英文開示及びステークホルダーの皆様との建設的な対話に努めてまいります。

・中長期的な企業価値向上に努め、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、CAPM(資本資産価格モデル)に基づいて算出した株主資本コストや株式市場期待水準も考慮した上で、各種投資の意思決定を行ってまいります。

 

⑧ サステナビリティへの対応

・商品や店舗運営、物流、商品の生産から販売までのサプライチェーン全体の全て過程において省力化・効率化を行い、環境及び社会課題の解決に取り組んでまいります。

・気候変動による将来リスクや事業機会の把握を行い、変化対応型の事業展開を目指し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

(基本方針)

当社グループは、遅れた分野の流通近代化を通して世の中に貢献することを目指すとともに、環境・社会・ガバナンス等の社会課題の解決にも努めております。経営理念である「コメリのねがい」を掲げ、「住まい」と「園芸・農業」に関する地域社会のインフラとして、ホームセンター事業を通じて地域社会、環境に貢献し、各種社会課題を解決し、持続可能な社会の実現、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。そして、具体的な行動の指針である「コメリグループ行動指針」「行動基準」に沿って、各種サステナビリティの取り組みを推進してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献することを重要な経営課題の一つと認識しています。2025年3月末現在、経営企画担当の取締役常務執行役員をサステナビリティ推進担当とし、広報担当付の社員等がその業務を補佐しております。また、取締役会は、四半期毎に、サステナビリティに関する取り組みについての報告を受けるとともに、各商品部、SCM部、DX部等の関係部署が協議・連携を行い、各種データの取りまとめや各種取り組みを実施する体制を整備しております。体制図につきましては、「統合報告書2024」で開示しております。 https://www.komeri.bit.or.jp/ir/report/
 

 

② 戦略

より良い商品をより安くより多くのお客様へご提供するため、お客様の潜在需要を顕在化させる商品やサービスを開発するとともに、環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現も目指し、事業活動を通じたサステナビリティの各種課題の解決に努めています。

引き続き、気候変動の状況や環境規制、各種法的規制の変更・実施状況を踏まえ、定期的に事業上のリスクや事業機会の見直しを行い、各種社会課題の解決を目指した事業活動を行ってまいります。

重要課題

具体的な取り組み

対応する

SDGS

環境に配慮した事業の展開

環境に配慮した商品・サービスの提供


気候変動への対応、事業活動におけるCO2排出量の削減

プラスチック包装容器の削減及び廃棄物の削減

資源の有効活用、省エネルギー及びリサイクルの推進

少子高齢化社会における社会的インフラの 提供

新商勢圏への出店による店舗網の拡大と雇用の創出


住まいに関するローコストな商品・サービスの供給体制の確立

農産物等の食料生産に必要な生産資材の提供の推進

災害時における生活必要物資の供給体制の構築 

DXの推進によるローコストオペレーション体制の確立

公正な取引の推進事業活動における人権尊重

「お取引にあたってのお約束」の遵守


持続可能な原材料及び商品調達の実施

多様な価値観・プライバシー等を尊重し、人種、民族的背景、

性別、宗教、障害、年齢、性的指向等を理由とした差別の禁止

多様性の尊重働きがいのある環境づくり

多様な人材がより能力を発揮できる教育体制の整備


性別やライフステージに関わらず、従業員が活躍できる環境整備

従業員の安全・衛生・健康を重視した働きやすい環境の実現

コーポレート・ガバナンス強化への取り組み

持続的な企業価値の向上のための体制整備


取締役を含めた経営陣幹部の多様性の確保

 

 

 

③ リスク管理

サステナビリティ関連のリスクは、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にとって 重大なリスクであると認識しています。商品や店舗運営、物流等、商品の生産から販売までのすべての過程において、省力化・効率化を行い、環境及び社会課題の解決に取り組んでまいります。

サステナビリティ関連のリスクについては、取締役会や社内の重要な会議で報告・検討を行っています。関係部署や子会社は、リスク情報を共有・管理し、課題解決に努めています。

また、サステナビリティの課題を含めた当社グループの事業へのリスク及びその管理の内容につきましては、後記「3 事業等のリスク」で開示しています。

 

④ 指標及び目標

当社のサステナビリティに関する指標及び目標につきましては、以下の通り定めています。

また、連結子会社のCO2排出量及び人的資本に関する数値につきましては、「ESGデータブック」で開示しております。

(イ)エネルギー使用量削減目標

2009年度の実績(使用原単位あたり)から毎年1%の削減

原単位(㏄/㎡・h)=エネルギー使用量(㏄)/コメリ施設総延床面積(㎡)×年間営業時間(h)

(ロ)人的資本に関する指標または目標

・女性管理職(店長職・本部M職)を300名にする。(2026年度末まで)

・全従業員の月平均残業時間を13時間以内とする。(2026年度末まで)

・育児休業取得目標を、男性25%、女性95%以上とする。(2027年度末まで)

・社員全員の労働時間を削減(定時退社日の周知と有休・半日有休制度の利用促進)

詳細につきましては、「統合報告書2024」で開示しています。

https://www.komeri.bit.or.jp/ir/report/

 

(2) 気候変動への対応

脱炭素・CO2削減に関する社会的課題の解決が新たなビジネスに繋がるととらえています。ホームセンター事業を「住まい・資材建材」分野、「園芸・農業」分野、「店舗・サプライチェーン」分野の3つに分類し、事業活動や財務に及ぼす影響、気候変動による将来リスクや事業機会について分析を行い、TCFD提言に沿った情報開示に取り組んでいます。

① ガバナンス

上記「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載しています。

 

 ② 戦略

気候変動リスクと収益機会が事業活動に影響を及ぼす分析を行い、事業活動を通じたサステナビリティの各種課題の解決に努めています。

(イ)コメリグループにとっての気候変動リスク及び機会のシナリオ

区分

1.5℃~2℃シナリオ

2.7℃~4℃シナリオ

政策・法規制

・脱炭素・省エネ等の規制の新設・変更

・気候変動対策の現状維持

・森林伐採規制の強化

・化学肥料使用低減

技術・市場

・省エネ商品の開発・改良

・省エネ商品の更なる進化・需要増加

・原材料価格の上昇

・農産物産地の更なる移動

・エシカル消費意識向上

 

・農産物産地の移動

 

店舗・サプライチェーン

・自然災害による店舗・物流網の被害増加

・物流の遅延、寸断の増加

・店舗電気代の増加

・店舗電気代の更なる増加

 

 

(ロ)シナリオ分析の内容

2030年を想定した政策や法規制の変化がもたらす主な「移行リスク」は、社会の脱炭素化に向けた政策・法規制によるコストの増加や、消費者の嗜好の変化が考えられます。「住まい・資材建材」分野、「園芸・農業」分野、「店舗・サプライチェーン」の3分野の共通事項は、エネルギーコストの上昇や増税、省エネ規制強化によるコストアップがあげられます。

「住まい・資材建材」分野については、森林伐採規制強化やリフォーム需要の変化の影響、「園芸.農業」分野については、化学肥料使用規制や食料生産技術・使用資材の変化、害虫・雑草管理方法の変更、農産物の産地移動等による影響、「店舗・サプライチェーン」分野については、エシカル消費拡大による既存商品の販売減少やリユース・リサイクル・レンタル需要の増加、外出減少による店舗での買い控えの影響が考えられます。

また、自然災害の増加による資産の損害等の主な「物理的リスク」は、自然災害の増加による店舗・物流センターの被災、営業休止、供給網の寸断や、平均気温上昇による空調コストの増加、労働生産性の悪化、食料生産量減少の影響等が考えられます。

<シナリオ分析による考え方>

2030年を想定した政策や法規制の変化がもたらす主な「移行リスク」につきましては、社会の脱炭素化に向けた政策・法規制によるコストの増加や、消費者の嗜好の変化が業績に影響を与えると予想されます。3分野の共通事項は、エネルギーコストの上昇や増税、省エネ規制強化によるコストアップがあげられます。また、「住まい・資材建材」分野につきましては、森林伐採規制強化やリフォーム需要の変化の影響、「園芸・農業」分野につきましては、化学肥料使用規制や食料生産技術・使用資材の変化、害虫・雑草管理方法の変更、農産物の産地移動等による影響、「店舗・サプライチェーン」分野につきましては、エシカル消費拡大による既存商品の販売減少やリユース・リサイクル・レンタル需要の増加、外出減少による店舗での買い控えの影響が考えられます。

また、自然災害の増加による資産の損害等の主な「物理的リスク」につきましては、自然災害の増加による店舗・物流センターの被災、営業休止、供給網の寸断や、平均気温上昇による空調コストの増加、労働生産性の悪化、食料生産量減少の影響等が考えられます。

a.移行リスク・機会

・政策・法規制

リスク・機会の内容

住まい・
資材建材
分野

園芸・
農業分野

店舗・サプライチェーン
分野

主な対応策

炭素税導入による各種コストの増加

CO2排出削減に向けた省エネ対応、再生可能エネルギー使用

電力小売価格の変動

省エネ設備の導入、再生可能エネルギー使用

運送に係る燃料費の変動・排出規制の強化

 

 

効率的な店舗配送ルートの策定・物流の効率化

各種省エネ規制強化

 

省エネ設備の導入、エンジン製品の電動化の推進、断熱リフォームの提案

補助金政策の新設・変更・廃止

 

補助金対象商品の販売強化

森林伐採規制強化

 

 

国産材利用推進、木材の廃棄物削減

総合的病害虫・雑草管理資材への対応

 

 

環境負荷の低い生産資材の取扱い増加・商品開発

 

 

・市場の変化

リスク・機会の内容

住まい・
資材建材
分野

園芸・
農業分野

店舗・サプライチェーン
分野

主な対応策

食料生産技術・使用資材の変化

 

 

タイムリーな営農情報の入手、環境負荷の低い生産資材・低価格の生産資材の供給

リフォーム需要の変化

 

 

お客様の住まいのニーズへの変化対応、断熱リフォームの提案

外出減少による店舗での買い控え

 

 

EC事業の強化、店舗来店誘導施策の推進、お客様の住まいのニーズへの変化対応

リユース・リサイクル・レンタル需要の増加

レンタルサービス・修理サービスの拡充、不要品引取サービスによるリサイクルの推進

エシカル消費拡大による既存商品の販売減少

環境負荷の低い商品の開発・提供、廃プラスチック削減、サステナブルな情報発信

 

b.物理的リスク

分類

リスク・機会の内容

住まい・
資材建材
分野

園芸・
農業分野

店舗・サプライチェーン
分野

主な対応策

急性

自然災害・異常気象の増加による被害の発生

サプライチェーンマネジメントの強化、従業員の安全・安心を踏まえた迅速な営業再開

自然災害・異常気象による食料生産量の減少

 

 

異常気象対応商品の提案、タイムリーな営農情報の提供

慢性

病害虫被害の増加

 

 

タイムリーな営農情報の提供、対象商品の機会損失防止とタイムリーな提供

平均気温の上昇

気候変動による過剰在庫の防止・売変の抑制・機会損失の防止

労働の生産性・労働環境の低下

異常気象に対応した商品開発の推進、従業員の安全・安心・健康な労業環境の確保

 

 

③ リスク管理

気候変動リスクにつきましては、当社グループの事業活動に重要な影響を与えるととらえています。

核カテゴリー分野である園芸・農業用品をはじめとして、極めて季節性の高い商品が多く、四季の特徴が早い時期より顕著に現れるほど販売が好調となる傾向があります。その反面、冷夏、暖冬等により商品の動きが鈍くなると、売上高の減少、売価変更の増加による利益率の減少、過剰在庫の発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

商品や店舗運営、物流等、商品の生産から販売までのサプライチェーンすべての過程において、気候変動による将来リスクや事業機会の把握を行い、変化対応型の事業展開と脱炭素社会の実現に向けた取り組みも進めてまいります。

また、サステナビリティの課題を含めた気候変動に関する当社グループの事業へのリスク及びその管理の内容につきましては、後記「3 事業等のリスク」で開示しています。

 

④ 指標及び目標

上記「(1)サステナビリティ全般 ④指標及び目標 (イ)エネルギー使用量削減目標」に記載しています。また、当社の実績は以下の通りです。

(イ)エネルギー使用量(2025年3月期、単位:GJ)

区分

実績

 

区分

実績

電気

1,406,904

 

灯油

3,646

LPG

54,857

 

A重油

0

都市ガス

8,924

 

原単位

3.32

ガソリン

11,189

 

 

 

 

 

(ロ)CO2排出量(2025年3月期、単位:t-CO2

カテゴリー

実績

Scope 1

燃料の燃焼に伴う直接排出

6,458

Scope 2

電力使用に伴う間接排出

66,932

Scope 3

1.購入した製品・サービス

1,812,610

 

2.資本材

32,142

 

3.Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

12,778

 

4.輸送、配送(上流)

14,388

 

5.事業から出る廃棄物

4,696

 

6.出張

1,143

 

7.雇用者の通勤

5,961

 

Scope 3合計

1,883,718

Scope 1・2・3合計

1,957,108

 

※ Scope 3につきましては、上流側の範囲(カテゴリー1から7まで)で算定しています。

 

⑤ 太陽光発電量(2025年3月期、コメリ19店舗、北星産業4センター分合計)

13,062MWh

 

⑥ 廃棄物処理量(2025年3月期、単位:t)

区分

実績

産業廃棄物排出量

5,983

リサイクル廃棄物排出量

8,109

 

 

(3) 人的資本

 現在、少子高齢化や人材の需給のアンバランス等による慢性的な労働力不足で、人材の確保や離職の防止が重要な経営課題となっています。

 当社グループは、経営要諦で「人は事業の最も大切な柱である」と掲げております。人材は持続的な成長と中長期的な企業価値向上に必要で重要な経営資源という考えのもと、様々な人的資本投資を行っております。従業員の人権を尊重し、安心・安全・健康で働きやすい環境づくりも推進しています。

 また、創業以来、業務生産性の向上を実現するため、一貫してローコストオペレーションを維持する仕組みを構築し続け、作業の数の削減や改善に注力しております。特にコメリ店舗の従業員が接客と売場創りに専念できるよう、作業の削減や改善にも注力しています。

 さらに、コメリでは、スキルアップやマイスター資格取得のため、シフト表の中にEラーニングの時間を落とし込み、従業員が勤務時間の中で学べる環境も整備しています。

① ガバナンス

上記「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載しています。

 

② 戦略

(イ)人材育成の根幹、「賢和塾」

当社グループでは、不易流行の創業の精神を継承し実践できる人材を育むため、2022年、社内の各種教育プログラムを再編・強化し、一つの教育体系として統合しました。そして、この教育体系の名称を、創業者である故捧賢一氏の「賢」の一字と「和合」の意から「賢和塾」としました。

 「賢和塾」は、商品知識や店舗オペレーションの知識にとどまらず、経営理念や創業の精神、マネジメントの原理原則の習得やマネジメント能力の向上を図る各種カリキュラムを設けています。また、次世代経営陣幹部の候補者の中長期的な視点での人材育成も行っています。

今後、更なる事業拡大を行うにあたっては、新たな経営陣幹部や、新たな事業分野に挑戦し、新たな価値を創造できる人材が必要となります。一方、企業規模が拡大していくと、教育不足による店舗間の格差の発生だけでなく、経営理念や創業の精神の継承が薄らいでいくことも懸念されます。そのため、単に作業を遂行するだけでなく仕事を通じて多様な経験を積むことで、従業員一人ひとりが活躍でき、成長と幸せが実現できる環境づくりが必要となります。

DXによる情報システム投資と人財教育投資、及び各種業務を担う組織の開発により、優秀な人材の継続的な確保と離職の防止に努めてまいります。また、コメリ店舗におきましては、お客様に対してベストなソリューションを提供できる人材や、様々な商品知識を持って接客や提案ができる人材等の育成を進め、店舗の稼ぐ力を向上してまいります。

(ロ)ジョブ・ローテーション制度を通じたキャリアアップ

 「賢和塾」に加え、OJTと定期的な配置転換により幅広い視野と多様な経験を積む「ジョブ・ローテーション制度」も採用しています。「ジョブ・ローテーション制度」により、商品の生産から販売までのサプライチェーン全体を把握した複雑で高度な問題を解決する業務遂行能力を図れる人材の開発や従業員のキャリアアップも可能となっています。

また、コメリグループでは、商品の調達から物流、店舗運営、販売促進、システム開発、リフォーム、カード、EC、出店等、通常の小売業の職種にとどまらず、多様な職種と様々なビジネスに携わるチャンスにも繋がっています。

(ハ)多様な人材の確保・女性活躍推進

当社グループでは、すべての従業員がワークライフバランスを実現し、能力を発揮し活躍することが、当社が目指す「お客様の豊かな暮らしの実現」につながると考えます。仕事と子育ての両立をはじめ、安心・安全・健康に働くことができる環境づくりを推進しています。また、会社経営・店舗運営の上で、従業員の「健康」は重要な要素の1つであると考え、健康で働きやすい環境づくりをするとともに、職場の安全確保にも努めています。

女性活躍推進については、さまざまな場面において女性の登用を行っています。各店舗・各部署においてリーダーとして活躍できる女性を増やすため、女性採用の強化と、女性を管理職へ登用するためのキャリア形成支援の計画を策定し推進しています。

(多様性確保に向けた人財育成・社内環境整備方針)

コメリ経営要諦の「人は事業の最も大切な柱である」に基づき、従業員の人権を尊重し、性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材がより能力を発揮し活躍できる環境整備を行っています。計画的な配置転換、職種別・階層別教育を中心とする営業力・商品力の強化、生産性の向上を実現する人事制度や多様な教育制度を構築し、中核人材の育成と従業員が安心・安全・健康に働くことができる「働きがい」を感じられる環境の確保に努めてまいります。そして、具体的な行動の指針である「コメリグループ行動指針」「行動基準」に沿って、人財育成とその環境整備の取り組みを推進してまいります。

※「コメリグループ行動指針」「行動基準」は、以下のウェブサイトで開示しています。
   https://www.komeri.bit.or.jp/csr/koudousisin/index.html

③ リスク管理

人的資本に関する当社グループの事業へのリスク及びその管理の内容につきましては、後記「3 事業等のリスク」で開示しています。

④ 指標及び目標

上記「(1)サステナビリティ全般 ④指標及び目標 (ロ)人的資本に関する指標または目標」に記載しています。また、当社の実績は以下の通りです。

内容

実績

 

内容

実績

教育研修投資額

18.7億円

 

女性店長人数

パワー

1人

2025年4月入社女性社員比率

32.5

 

PRO

0人

マイスター取得人数

1級

786人

 

H&G

102人

2級

7,401人

 

AT

0人

3級

9,217人

 

合計

103

 

 

(4)事業活動を通じたサステナビリティへの取り組み

 当社グループでは、サステナビリティの基本方針に基づき、「原材料調達、製造・生産、流通・販売・消費」の各過程において、事業活動を通じたサステナビリティに資する取り組みを行っています。また、このサステナビリティへの取り組みには、防災や減災に繋がる森林や農地の維持に資する取り組みもあり、森林や農地の維持は、省エネや二酸化炭素の固定化による地球温暖化防止に寄与することにも繋がると言われています。

 商品やサービスを通じたサステナビリティに関する主な取組内容は、以下の通りです。

a.国産木材を活用した針葉樹合板等のPB商品開発による炭素の固定化の推進

b.住宅の床・壁・天井・窓・ドア等の断熱リフォームの提案

c.切り花流通加工を自社で行うフレッシュマネジメントセンターを通じた、流通コスト等の社会的コストを削減した鮮度の良い切り花の安価での提供(2025年3月末現在、新潟、茨城・花巻の3ヵ所に設置)

d.ガーデニング・家庭菜園等の園芸商品の販売

e.環境に配慮したPB商品開発

f.大規模農業者支援や農業協同組合との協業等の農業者の利便性の向上に資する取り組みによる農地の維持及び食料生産に関する社会的コスト削減の推進、並びに持続可能な農業支援モデルの構築

g.物流2024年問題への対応

h.DX・ローコストオペレーションの推進

i. キャッシュレス推進による現金を使うことによる社会的コストの削減

j.国内6ヵ所の物流センターに設置した「環境ステーション」による廃棄物の削減・リサイクル資源の回収

k.不要品引取サービスによるリサイクルの推進

l.太陽光発電設備の導入(2025年3月末現在、店舗・物流センターで合計23ヵ所)

m. 公益財団法人コメリ緑育成財団」を通じた自然環境保全事業や緑化事業や農業の担い手育成活動支援事業への助成、及びコメリ緑資金ボランティア等の実施

n.災害発生時の社会インフラとして、NPO法人コメリ災害対策センターを通じた復旧資材・生活必需物資等の供給

(2025年3月期の主な取り組み)

ⅰ 人的資本投資・女性活躍推進・両立支援

・当社は、2024年5月21日に、次世代育成支援対策法に基づく子育てサポート企業として、厚生労働大臣が認定する「くるみん認定」を取得いたしました。当事業年度の育休取得率は女性100%、男性33%となり、引き続き、従業員が安心・安全・健康に働くことができる「働きがい」を感じられる環境の確保に努めてまいります。

・当社では、店舗で活躍している従業員の更なるキャリアアップや待遇改善の一環として、一定の条件を満たした非正規社員(準社員)の正社員への定期登用を行っております。非正規社員(準社員)から正社員へ登用した各事業年度末時点の人数は、以下のとおりです。

 

2024年3月末

2025年3月末

男性

29人

31人

女性

78人

91人

合計

107人

122人

 

・コロナ禍の影響で中止しておりました当社独自企画の海外研修(アメリカセミナー)を2024年10月に5年ぶりに開催いたしました。

ⅱ 連結子会社の北星産業株式会社における物流2024年問題への対応

・各物流センターでは、一部大口の納品ラインから納品車両への時間指定を行い、荷待ち、荷役時間等の削減に努めております。

・2024年4月からは、専用のアプリを稼働させ、物流事業者の荷待ち時間の更なる削減にも取り組んでおります。

・当社のお取引先様の商品を一括集荷して物流センターに専用便にて納品する共同配送システム「KALNET」は、車両の削減や配送効率向上に繋がる取り組みです。現在、取扱金額が前年と比較して好調に推移しております。

 

ⅲ CO2排出量削減の主な取り組み

 気候変動への対応においては、事業活動におけるCO2排出量の削減が重要な課題であると考えております。また、政府の地球温暖化対策推進本部より、2024年12月27日に「地球温暖化対策計画(案)」が公表され、2035年度に2013年度比60%減、2040年度には同73%減と示されました。

 なお、当社グループの具体的な取り組みの概要及び実績は、以下のとおりです。

    取り組み  ・照明機器のLED化

          ・空調設備の省エネ化

          ・物流センター・店舗間の物流の更なる効率化

          ・店舗配送トラックの配送ルートの効率化・積載率の向上

    実績    ・2024年度(2025年3月期)のCO2排出量は、2013年度比で42.3%減

           ※ 同期間の出店等による売場面積は同37%増

ⅳ 太陽光発電設備の設置

・2025年3月末現在、店舗と物流センターの合計23カ所に、売電等を目的とした太陽光発電設備を導入しております。その太陽光発電量は、13,062MWhの実績であります。

・2027年3月期までに、新たに61店舗及び4カ所の物流センターに自家消費を目的とした太陽光発電設備の導入を計画しており、累計で88拠点の導入となる予定です。設置が完了しますと、当社のCO2排出量の約10%に当たる6,487tが削減できます。同時に6,884世帯分の電気を地域に供給することで、脱炭素社会に貢献いたします。

ⅴ 環境に配慮した商品開発への取り組み

・当社は「暮らしを守り・育てる商品開発」を実現するため、商品開発において、お客様の潜在ニーズの具現化に努めるとともに、環境に配慮した商品開発も推進しております。

・コピー用紙をはじめとした紙類や2×4材等の木材等、PEFC等の認証資材を採用した環境配慮型PB商品を拡大しております。また、再生紙や認証資材の紙パッケージの採用も進めております。

・当社PB商品である「杉エコシリーズ」は、2024年10月9日、一般社団法人日本ウッドデザイン協会主催の「ウッドデザイン賞2024」を受賞いたしました。この商品は、従来廃棄されていた節材を活用することで、材料の歩留まりを上げ、杉1本あたり約20%の木材ロス削減に繋げております。また、丸太の伐採から製材、加工を国内産地で行い、集荷、流通、販売をコメリのチェーン物流を活用することで、CO2排出削減と低価格商品の提供に努めております。

・裏面素材にタイルカーペットの廃材を主原料としたバッキング材を使用したPB商品「タイルカーペット ECOシリーズ」を商品開発いたしました。

ⅵ 農業振興への取り組み

・当社の核カテゴリーの一つである農業資材分野への取り組みにつきましては、農業資材の予約販売や収穫期払いの決済手段である「アグリカード」の提供、業界初のPB農薬「カミオン」の販売等の各種取り組みを行うとともに、チェーンストアの仕組みを使い、肥料・農薬・農業資材をローコストに、より良いものをより安く提供できる仕組みを構築しております。

・JAとの協業につきましては、2020年3月1日からJA上伊那と協業を本格的に開始し、2025年3月末時点で5JA(JA上伊那、JA山形おきたま、JA紀の里(現、JAわかやま紀の里地域本部)、JA伊勢、JA多気郡)と協業を行っております。

 

(5) コンプライアンスへの取り組み

 当社グループは、企業倫理と社会規範を尊重し、法令等を遵守し、誠実かつ公正な事業活動を実践することにより、お客様、株主様、お取引先様、従業員、地域社会等のステークホルダーの皆様、そしてご縁のあった全ての方々を幸せにするために存在することを願っています。そして、「遅れた分野の流通近代化」を実現するという社会的課題を解決することが、コメリグループの使命であり、社会的責任であると考えています。

 

  <コメリグループのコンプライアンス体制図>


 

① コメリグループのお取引・調達に関する考え方

当社グループでは、お取引先様との取引方針として「お取引にあたってのお約束」「お取引における人権についての考え方」を公表し、お取引先様との平等かつ対等な関係を築き、信頼される企業となるよう、公正かつ透明な取引の実現に取り組んでいます。贈収賄、不公正・不当な取引等の腐敗行為及び腐敗行為に加担する行為を防止し、当社グループ全体で、お取引先様と健全なパートナーシップの構築を目指しております。

<お取引開始にあたってのお約束(腐敗防止に関する考え方)>

1.お取引先とは、明るく、紳士的な態度で面談いたします。

2.お取引先とかわしたお約束は、確実にお守りいたします。

3.お取引先に対して、買取りを原則とし、不当な返品はいたしません。

4.お取引先との取引は、公正を旨とし、接待することも接待をお受けすることもいたしません。

5.お取引先からの贈答品は、会社としても個人としてもお受けすることはいたしません。

<お取引における人権についての考え方>

 生産から販売までのトータルプロデュースを行い、より良い商品・サービスをより安くお客様に提供するため、お取引先様とともに持続可能なサプライチェーンを構築するために、公正な取引を行うとともに人権の尊重も重要な課題の一つと考えています。

 当社グループでは、「事業活動における人権の尊重」をサステナビリティの重要課題の一つとしています。特に海外のプライベートブランド商品のお取引先様との間の契約の中で、強制労働、違法労働、児童労働の禁止、人種や国籍等での差別の禁止を規定して、定期的にその確認を行うこととしています。

 

② ハラスメント防止への取り組み

 当社グループでは、従業員の人権の尊重についても、「コメリグループ行動指針」「行動基準」で規定し、安全かつ衛生的な職場環境の整備や従業員の健康を重視した働きやすい環境の実現を目指しています。労働災害の防止に取り組むとともに、差別の防止やパワーハラスメント及びセクシャルハラスメント防止等について、各種研修において従業員に教育を行っています。

 

③ カスタマーハラスメント対応に関する考え方

 当社グループでは、商品やサービスの提供を通じたお客様からのご意見、ご要望、苦情、お問い合わせ等について、真摯に受け止め、お客様のお困りごとの解決に努めております。一方、ごくわずかですが、従業員の人権や就業環境を害するような行為も見受けられます。

 当社グループでは、従業員全員が安心・安全・健康に働ける就業環境を維持するため、社内相談窓口を設置しました。お客様からのクレームや言動のうち、その要求が社会通念上相当な範囲を超え、従業員の就業環境が害されるようなカスタマーハラスメントである場合は、毅然とした態度で組織対応いたします。

 また、企業間取引においてもカスタマーハラスメントが問われるとの認識のもと、お取引先様に対してもカスタマーハラスメントを行うことのないよう、社内研修等を通じて周知してまいります。

 

④ ヘルプライン

 当社グループでは、従業員が自らの行動が法令や社会規範、社内規程、マニュアル等に違反または違反している恐れがあるか等、判断に迷い、疑問に思った時、あるいは違法行為の発生または発生の恐れがあると判断した時に、相談・通報するための窓口として「ヘルプライン」を設けています。「ヘルプライン」の連絡先を社員手帳に掲載し、各種社内研修でも周知しています。

 現在、相談件数のうち、従業員間のトラブルなどのコミュニケーション不足や悩みごとに関する案件の割合が高くなっています。そのため、管理職クラスの研修等を通じて、従業員が安心・安全・健康に働くことができる環境づくりも進めています。

 なお、「ヘルプライン」の運用にあたっては、通報者が不利益を被らないようにするための対策等により、「ヘルプライン」の運用の実効性を高めるよう取り組み、従業員が安心して利用できるように努めています。

(ヘルプライン利用状況)

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

利用件数

75件

188件

186件

 

 

(6) 知的財産権への取り組み

 当社グループでは、店舗やインターネットサイト等をご利用のお客様から収集した「お客様の声」や「従業員の声」を積極的に商品開発に取り入れています。また、コーポレートロゴやカテゴリーブランド等、プライベートブランド商品の権利化にも取り組んでいます。会社の重要な無形資産である知的財産権は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上にとって必要な資産です。特許権・実用新案権・意匠権・商標権の取得をはじめとする知的財産権の保全やブランド力の強化を引き続き進めてまいります。

 また、原材料・エネルギー価格の高騰、急速な円安の進行等に起因したコストプッシュインフレにより様々な商品の価格が上昇し、プライベートブランド商品の優位性が高まる中、コメリでは、プライベートブランド商品の開発を推進すると同時に、カテゴリーブランドの育成も行っています。

 

 

(カテゴリーブランド一覧)


 

 

 


 

 

(7)情報セキュリティへの取り組み

 企業へのサイバー攻撃の巧妙化、悪質化等により、システム障害等が発生し事業継続が困難となるリスクが高まっています。

 当社グループでは、情報セキュリティに関するリスクを経営上の重要課題の一つととらえております。情報セキュリティ担当役員を選任し、情報セキュリティ委員会を設置するとともに、情報セキュリティに関する規程を整備し、情報漏洩やサイバー攻撃等、想定される各種リスクの低減と内部統制体制の強化を図っています。

 また、顧客情報を含めた個人情報の保護や社内情報等の漏洩防止をグループ全体で行うため、従業員に対する情報セキュリティ教育を定期的に行うとともに、コンピューターウイルス感染防止やデータ漏洩防止のシステム構築も行っています。

 今後も、継続し当社当社グループ全体の情報セキュリティの維持・向上に努めてまいります。

 

(8)税務に関する基本的な考え方

 当社グループでは、コンプライアンスの基本的な考え方に基づき、法令等を遵守し、社内ルールの整備と適切な運用を行っています。事業活動を行う上では、各国の租税に関する法制度や国際的な課税の共通ルール(OECDガイドライン等)を遵守し、適正な納税を通じた企業価値の向上に努めます。

 また、税務当局とは健全な関係を構築・維持に努め、税務当局と意見の相違が生じた場合は、建設的な対話により、その解消に努めます。

 

(9)社会貢献活動

 当社グループは、1990年にコメリ緑資金を設立し、以来35年間にわたり、毎年利益の1%相当額を原資として、地域の緑化活動や農業振興及び災害時における物資の安定供給の基盤整備、ならびに地域の文化振興・社会振興への支援を継続して行っています。これまでの35年間の累計拠出額は、25億9,917万円となっています。また、当社グループの事業活動は、森林や植物、農業等の様々な自然の恵みを受けて成り立っているため、生物多様性保全活動の一環として、自然の恵みの持続可能な利用に努めています。

 更に、事業活動を通じたサステナビリティへの取り組みに加え、以下の公益を目的とした法人と連携した環境・社会貢献活動も行っています。

① 公益財団法人コメリ緑育成財団の取り組み

 公益財団法人コメリ緑育成財団は、コメリ緑資金と1996年7月に設立した財団法人緑育成財団を起源とし、2012年11月に公益財団法人として設立されました。地域社会へのご恩返しのため、コメリ緑資金からの助成を受けて、公共性の高い環境保全活動や緑化活動を行っている団体様への助成を行う「コメリ緑資金一般公募助成」、コメリグループ従業員がボランティアとして幼稚園や小中学校等の緑化活動に参加する「コメリ緑資金ボランティア」、コメリ農場での農業体験イベント等を開催する「体験活動による農業の振興」の3つの活動を行っております。

 2025年3月期の主な活動実績は、以下のとおりです。

・コメリ緑資金一般公募助成:助成総数42件(21都道府県)、助成金706万円

・コメリ緑資金ボランティア:ボランティア件数437件、ボランティア参加従業員数439人

・コメリ農場での体験活動 :5月田植え体験(43人)、7月じゃがいも収穫体験(50人)

             :9月稲刈り体験(48人)、10月さつまいも収穫体験(71人)

② NPO法人コメリ災害対策センターの取り組み

 NPO法人コメリ災害対策センターは、災害対策に永続的に取り組むための活動基盤として、2005年9月に設立され、コメリ緑資金の助成を受けて災害時の物資供給のネットワーク構築、災害対策関連情報の提供、防災啓蒙活動等を行っています。2025年3月31日現在、全国1,151カ所の自治体と災害時の物資供給に関する協定を締結しております。

 2025年3月期の主な活動実績は、以下のとおりです。

・災害時の物資供給に関する協定の締結(67件)

・国家機関として初となる、国土交通省 北陸地方整備局との間で「災害時における物資供給に関する協定」を締結(2025年3月3日)

 

・能登半島地震及び奥能登豪雨への対応

供給自治体

延べ要請件数

供給品目数

出荷量

(10tトラック換算)

10自治体

112件

519品目

28台

 

・家畜伝染病への対応

 鳥インフルエンザ、豚熱の防疫作業に必要な276品目の商品を供給

 (宮城、栃木、千葉、新潟、島根、香川、愛媛、宮崎の8県)

・水害への対応(奥能登豪雨を除く)

 8品目の商品を供給(山形県、秋田県)

・自治体が開催する防災訓練に参加(60件)

・広報誌「サポートNo.28」の発行(11月)

③ 公益財団法人美術育成財団雪梁舎

 雪梁舎美術館は、コメリの創業者である捧賢一が設立し、1994年に新潟県新潟市に開館いたしました。

 若手作家の発掘と育成を目的とした全国絵画公募展「雪梁舎フィレンツェ賞展」は、2024年で26回を数え、新潟展は2024年8月9日から9月15日まで、東京巡回展は同10月24日から10月30日まで展覧会を開催いたしました。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 出店・閉店について

当社グループの出店政策は、パワー、PRO、ハード&グリーン及びアテーナを商圏規模に応じて「船団方式」で出店し、更なる店舗網の拡大及びドミナントを進めるものですが、「都市計画法」「大規模小売店舗立地法」等の法令又は条例等の規制により、住民や自治体との調整のため、出店に要する時間の長期化等により当初の計画通りに出店ができない場合や建築コスト等の出店コストが増加した場合等は、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、少子高齢化による労働力人口を含む人口減少により、出店地域の市場規模の縮小や人件費等のコスト上昇の影響等により店舗の営業が継続できず閉店が発生する場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループは、損益分岐点が低い店舗づくり、及びその仕組みづくりを目指し、より小商圏で成立する店舗出店と改装や人材育成による既存店舗の活性化をすすめ、標準化された店舗の多店舗展開を行ってまいります。

 

(2) 気候変動について

当社グループの販売商品は園芸・農業用品をはじめとして、きわめて季節性の高い商品が多く、四季の特徴が早い時期より顕著に現れるほど販売が好調となる傾向がありますが、反面、冷夏、暖冬等により商品の動きが鈍くなると、売上高の減少、売価変更の増加による利益率の減少、過剰在庫の発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループは、商品力の強化、商品展開時期の調整、在庫調整等を行い、天候不順や気候により変動するお客様のニーズに対応した売場展開や商品運営を行うことで、機会ロスの防止及び収益の確保を行っております。

なお、災害発生時におきましては、従業員やお取引先様、お客様等の安全を確保した上で営業の継続又は再開できる体制の整備に努めております。

また、自然災害等が発生した場合は、下記(3)の影響が発生する可能性もあります。

さらに、商品や店舗運営、物流等、商品の調達から販売に至るまでのすべての過程において、CO排出量削減やプラスチック包装容器の削減、廃棄物排出削減等の環境に関する社会課題の解決にも努めております。連結子会社の北星産業株式会社におきましては、運送トラックの求車情報と空車情報のマッチングを図り、配送効率の改善に努め、CO排出量及び燃料使用量の削減に取り組んでまいります。CO排出量可視化に基づく気候変動による将来リスクや事業機会の把握を行い変化対応型の事業展開を目指し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも行ってまいります。

 

(3) 流通ネットワーク障害について

当社グループは、商品開発のグローバル化を推進するとともに、物流網及び情報システムを整備し、全国をカバーできる流通ネットワークの整備を行い、ローコストオペレーション体制を構築してまいりました。

しかしながら、自然災害、停電・火災、戦争・テロ、コンピュータウィルス及び人為的な誤り等による継続的な情報システムの障害、又は新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症拡大に起因する政府等の移動自粛等の要請又は指示による物流遮断や停滞による流通ネットワークの障害が発生する可能性があります。また、海外における新型コロナウイルス等のウイルスの感染拡大による厳しいロックダウンにより、プライベートブランド商品をはじめとする商品等の調達に影響を及ぼす可能性もあります。

このような事態が発生した場合、当社グループの事業運営に支障が生じ、商品等の供給が滞り、売上高の減少、レジシステムの停止、データの消失、復旧に関する費用の発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 感染症拡大について

新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症が拡大した場合、一時的に店舗閉鎖や営業時間短縮等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクに対応するため、従業員の安全・衛生・健康を重視した働きやすい環境の整備に努め、平時より、感染症予防対策を行っております。新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更された後におきましても、引き続き、コロナ禍で変化したライフスタイルに対応した商品やサービスの開発を推進しております。Eコマースの強化によるネットとリアルの融合、取り置きサービスや置き配等の非接触の商品やサービスの拡大、店舗作業のDX化と連動したセルフ販売の推進等、お客様の利便性の向上に資する取り組みを推進し、感染症拡大した場合でも、お客様と従業員の安全を考慮した営業を継続できるための体制整備にも努めてまいります。

 

(5) 競合について

ホームセンター企業各社は、プロ需要やリフォーム・ホームファッションなどに対応するため店舗の大型化を進めて競争が激化する中、更に業種・業態の垣根を越えた競争が激しくなるなど、小売業全体において企業間競争が熾烈化しております。

当社は多店舗展開によるドミナントエリア化を進めておりますが、競合商品分野において有力な競合他社店舗によるエリア内への大型店舗の出店等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

業種業態を超えた競争に対応するため、当社では、新規出店に加え、既存店舗の改装を推進し、生産性の高い棚割を積極的に導入する等の取り組みを行うとともにローコストオペレーションを推進し、店舗の収益性の向上に努めております。更に、営業時間中にシフト表にEラーニングの時間を確保する投資やマイスター制度をはじめとする各種教育研修制度の充実を図る投資等の積極的な人材教育投資を行い、「何々ならコメリ」とお客様に真っ先に思い浮かべていただける会社を目指し、EラーニングやOJTで培った営業力でお客様のお困りごと解決できる従業員の営業力・接客力の向上を行い、商圏内のナンバーワンを目指し、競合各社との差別化の戦略を行ってまいります。

 

(6) 情報の流出について

当社グループでは、社内体制を整備し、お客様及びお取引先様等のデータ並びに売上・仕入等の営業上のデータを保有し、管理しております。

しかしながら、犯罪行為やコンピューターシステムの障害等により情報の漏洩・流出の起こる可能性は否定できず、そのような事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用に影響を及ぼし、情報流出に起因する被害に対する損害賠償義務を負う等の可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、情報漏洩リスクの低減に努め、情報セキュリティ委員会や情報セキュリティ勉強会を定期的に開催し、情報セキュリティ関連の情報の共有や教育・指導、適切な情報セキュリティ体制の構築等を行っております。

 

(7) 為替変動等について

当社グループは、海外から商品の輸入を行っており、為替予約等により為替リスクの低減を行っております。

しかしながら、想定以上に為替変動が生じた場合又は原油市場の価格が変動した場合等には輸入商品の調達に支障をきたし、商品原価率の上昇やオペレーションコストの上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、為替リスク管理規程に基づき、為替リスク管理委員会を開催し、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引に関して為替変動による影響を抑えるように努めております。

当事業年度におきましては、為替リスク管理委員会を1回開催するとともに、定期的に、為替変動によるリスクの低減に努めました。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、遅れた住関連分野の流通近代化を通して、お客様の暮らしを守り、育てることを目指し、全国12ヵ所の物流センターを中心とする物流網と、全国1,200を超える店舗網を活用し、世界のベストソースからの商品開発、商品調達と、住まいの環境改善に資するサービスのご提案に注力してまいりました。また、多くのお客様が価格に敏感な今こそ、安心してお買い物をしていただくために、税込みでの価格表示、PB商品を中心としたEDLP施策を継続して実施いたしております。

このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

(イ)財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より138億10百万円増加し、3,866億61百万円となりました。主に受取手形、売掛金及び契約資産が21億46百万円、有形固定資産が111億49百万円それぞれ増加したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末より37億41百万円増加し、1,403億45百万円となりました。主に電子記録債務が23億58百万円、1年内返済予定を含む長期借入金が50億97百万円減少いたしましたが、短期借入金が60億円、資産除去債務が59億56百万円増加したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末より100億68百万円増加して、2,463億16百万円となりました。主に自己株式の取得により20億49百万円、剰余金の配当により25億50百万円それぞれ減少いたしましたが、親会社株主に帰属する当期純利益137億19百万円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

(ロ)経営成績

営業概況につきましては、以下のとおりです。

<第1四半期>

 春先は天候が安定したことにより、当社の主力カテゴリーである肥料・農薬・刈払機等の農業者様向けの商品や家庭菜園資材の販売が売上を牽引いたしました。また、全国的に梅雨入りが遅く、エアコン・遮光用品等の夏物商品の動き出しが早く、売上を底上げしました。

<第2四半期>

8月の南海トラフ地震臨時情報の発表や台風10号発生の影響を受け、家具固定ポール・懐中電灯・電池・養生テープ等の防災用品のニーズが高まりました。一方、9月以降は記録的な残暑の影響をうけ、家庭菜園に関連する商品の販売に遅れや、花苗・培養土等のガーデニング需要に減少が見られました。

<第3四半期>

  10月以降も気温の高い日が続き、石油ファンヒーター等の暖房用品の販売に遅れが見られましたが、12月からは気温も下がったことで需要は回復基調となりました。また、闇バイトによる強盗被害の報道もあり、防犯用のセンサーライト、窓の補助錠等の防犯用品の需要も高まりました。

<第4四半期>

2月は大雪の影響もあり、暖房用品や除雪用品の需要が高まりました。一方、3月以降は気温が上昇し、肥料・農薬、農業資材等の農家様向けの商品が売上を牽引した他、PB商品のブランディングを強化しているCRUZARD(カー用品ブランド)、Natural Season(レジャー用品ブランド)の販売も好調に推移いたしました。

 

 

 

 

 

 

 

重点施策等の状況につきましては、以下のとおりです。

<出店>                                  (単位:店舗)

 

合計

パワー

PRO

H&G

AT

出店(業態転換・移転含む)

26

12

10

退店(業態転換・移転含む)

18

18

店舗数

1,228

114

19

1,091

 

・当連結会計年度の出店につきましては、26店舗開店いたしました。

・ハード&グリーンは18店舗減少いたしましたが、うち16店舗は、新たな商圏を獲得するための業態転換が10店舗、移転増床が6店舗となっております。

<物流>

当社グループの物流は、生産から販売までの社会的コストを圧縮することを目的として、連結子会社の北星産業株式会社が担っております。

・2024年6月に、東海エリアへの出店強化・物流の効率化を図るため、国内12カ所目の新たな物流拠点となる「コメリ静岡流通センター」の稼働を開始いたしました。

・2024年6月に、「コメリ(新)関西流通センター」の建設に着工いたしました。当センターが完成いたしますと、当社グループの物流拠点の中で過去最大規模となります。

<PB商品開発>

・世界のベストソースから標準化された1,200を超える店舗、物流・情報システムを通して商品開発を推進したことで、PB商品の売上高構成比率は48.3%(前連結会計年度比0.6%増)となりました。

・CRUZARD(カー用品ブランド)、Natural Season(レジャー用品ブランド)は、ブランディングCMの放映やソーシャルメディアも絡めた重点販売を実施した結果、商品部門別売上高前連結会計年度比104.6%に大きく貢献いたしました。

<リフォーム事業>

・売上高前連結会計年度比101.6%と堅調に推移いたしました。全国のコメリ店舗で受付可能な住宅設備機器等の取付・交換を行う「住急番取付」や、シロアリ・害虫駆除、庭木の手入れ等の「住急番サービス」の取扱高も堅調に推移しております。

・政府の「住宅省エネ2024キャンペーン」の影響もあり、断熱内窓の取扱件数が大幅に増加いたしました。

・より専門性の高い知識の習得を目指し、店舗従業員の83.1%がリフォームマイスター2級を取得いたしました。また、リフォームマイスター1級のカリキュラムを新たに開始し、全店でお客様のお困りごとを解決できる体制づくりに努めております。

<Eマース事業>

・売上高前連結会計年度比は110.8%と好調に推移いたしました。エアコン、玄米保冷庫等の設置サービスが必要な商品や、災害時の備えとして防災特集と連動した発電機等を中心に販売を伸ばし、売上高比率を6.1%(前連結会計年度比0.5%増)と高めることができました。

・1,200を超える店舗網とシステム環境を活かし、店頭受取比率80%に達するBOPIS

(Buy Online Pick up In Store)の取り組みを行い、店舗・ネット・アプリと連携した販売促進に努め、お客様の利便性向上を推進しております。

<カード事業>

・自社発行しているコメリカード(クレジット機能)、アクアカード(プリペイド機能)等のカード会員数は、528万人(前連結会計年度比27万人増)となりました。

・頻繁にご来店いただくお客様のポイント率を優遇する施策である、FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を導入しており、現金支払いに対して最大7倍のポイントを還元しております。

・3月に法人企業様向け掛売会員証のコーポレートカードがデビューし、これによりカードの種類は6種類となり、個人様・農業者様・個人事業主様・法人企業様・公共団体様の決済ニーズにお応えできるようになりました。

 

<DXの取り組み>

・省力化への取り組みとしてセルフレジの導入を推進し、設置店舗は大型店を中心に112店舗(1店舗あたり平均6台)となりました。

・セルフレジの導入やキャッシュレス比率向上によるレジ決済の迅速化により、お客様のレジでの待機時間を削減するとともに、従業員が接客にあたるための時間の捻出にも努めております。

<農業分野の取り組み>

・農業協同組合(以下、JA)との協業につきましては、JA上伊那、JA山形おきたま、JA紀の里(現、JAわかやま紀の里地域本部)、JA伊勢、JA多気郡の5つのJAと協業し、農業者様、JA、当社の「三方よし」の実現に向けて取り組んでおります。2025年3月末時点で、コメリの35店舗にてJAの商品を販売しております。

・2024年10月より、山梨県のJA山梨みらいと協業に向けた協議を開始いたしました。

・2024年11月より、秋田県のJA秋田おばこと協業に向けた協議を開始いたしました。

ホームセンター事業及びその他の事業の経営成績は、以下のとおりであります。

部門

売上高

(百万円)

前連結会計年度比(%)

主な増減要因

工具・金物・作業用品

68,612

102.8

・プロ向けの消耗品であるネジ・電材等の販売が堅調

・防災意識の高まりにより、家具固定ポール等の需要増加

リフォーム資材・エクステリア用品

55,190

100.4

・能登半島地震の復旧需要でセメント等の基礎資材が堅調

・住宅設備の取付工事や白アリの駆除等のサービス受注が増加

園芸・農業・ペット用品

112,622

102.0

・園芸資材は春先が好調だったが、残暑で秋が低調

・農業者様向けの肥料・農薬・刈払機が堅調

・米不足の影響により贈答用米袋や玄米保冷庫の需要が増加

・前期の価格改定の反動を受け、ペット用品の販売が低調

日用品・家電・カー・レジャー用品

74,482

104.6

・猛暑の影響でエアコン・扇風機等の夏物季節品が好調

・防災需要の高まりにより、水缶等の防災用品が堅調

・防犯需要の高まりにより、センサーライト等が堅調

・PBの開発を強化しているカー・レジャー用品が堅調

インテリア・家庭・オフィス用品

34,127

98.0

・敷きパッド等の軽寝具が夏物、冬物ともに堅調

・食品衛生法改正の影響により、漬物関連商品の販売が低調

・オフィス回帰もあり、家庭用インクカートリッジが低調

燃料等

15,418

108.4

・冬季の気温が低く推移し、灯油の販売量が増加

その他

14,096

102.2

ホームセンター事業計

374,551

102.3

 

その他事業

4,640

99.8

営業収益合計

379,192

102.3

 

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、162億16百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は、231億20百万円(前年同期比8.2%増)となりました。主な獲得要因は、税金等調整前当期純利益206億34百万円、減価償却費126億48百万円であります。主な使用要因は、法人税等の支払額70億34百万円、売上債権の増加額21億46百万円、仕入債務の減少額17億54百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、182億円(同17.9%増)となりました。主な使用要因は、有形固定資産の取得による支出166億35百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、52億50百万円(同59.6%増)となりました。主な使用要因は、長期借入金の返済による支出80億97百万円、自己株式の取得による支出20億49百万円、配当金の支払額25億51百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
(イ)仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

ホームセンター事業(百万円)

247,408

101.2

報告セグメント計(百万円)

247,408

101.2

その他事業(百万円)

3,218

100.9

合計(百万円)

250,626

101.2

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(ロ)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

ホームセンター事業(百万円)

374,551

102.3

報告セグメント計(百万円)

374,551

102.3

その他事業(百万円)

4,640

99.8

合計(百万円)

379,192

102.3

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状況及び経営成績の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(ロ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある要因として認識している他の要因につきましては、「3.事業等のリスク」をご参照下さい。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(イ)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(ロ)資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、自己資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期運転資金は銀行からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、銀行からの長期借入及びリースを基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は341億43百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は162億16百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標を達成状況を判断するための客観的な指標等

2025年4月23日に、2026年3月期から2028年3月期の中期経営計画を公表いたしました。2028年3月期の目標につきましては、営業収益4,500億円、営業利益320億円、ROA(総資本経常利益率)8.0%以上、ROE8.0%以上であります。

また、2026年3月期の連結業績見通しにつきましては、営業収益3,910億円(前連結会計年度比103.1%)、営業利益235億円(同104.9%)、経常利益は237億円(同106.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は146億円(同106.4%)を見込んでおります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記事項はありません。