当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
■パーパス
社会の交通の安全とお客様の豊かな人生の実現
■オートバックスセブンの進化の方向性
出かける楽しさを提案し続ける会社へ
当社グループは「社会の交通の安全とお客様の豊かな人生の実現」をパーパスに掲げ、モビリティライフにおけるさまざまな社会課題を解決し、人とモビリティが調和する持続可能な社会と当社グループの持続的な成長の実現を目指しております。
2023年には、2032年度の連結売上高5,000億円を掲げる長期ビジョン「Beyond AUTOBACS Vision 2032」を発表し、オートバックスセブンの進化の方向性「出かける楽しさを提案し続ける会社へ」というありたい姿を明示いたしました。
また、2024年5月には、長期ビジョンの達成に向け、さらに加速度的な成長を実現すべく、2026年度を最終年度とする2024中期経営計画「Accelerating Towards Excellence」を発表いたしました。お客様にとっての「モビリティライフのインフラ」をグローバルで目指すことを新たな進化の方向性と位置づけ、モビリティに関わるお客様の「煩わしさ」を軽減し、「出かける楽しさ」を提案し続けることに、国内外を問わず邁進してまいります。そして、より一層お客様に支持される企業グループへと進化させ、モビリティ社会を支えるインフラとして、社会になくてはならない存在を目指しております。
(2)経営環境
日本経済は、雇用情勢の改善やインバウンド需要の回復等を背景に、景気は緩やかな回復基調を維持しております。他方、労働人口の減少、持続的な物価上昇に伴う個人消費の減速、さらには米国の金融政策をはじめとする国際的な不確実要因により、依然として先行きには不透明感が残る状況となっております。
このような環境下において、自動車業界では、持続可能な社会の実現に向けた世界的な機運の高まりを受けて普及が進んできた電気自動車(EV)に関し、一部地域では需要の伸びが鈍化し、EV市場は過渡的な局面にあると見受けられます。加えて、国内においては大手自動車メーカー間で経営統合に関する協議がなされるなど、これまでにない業界構造の変革が顕在化しつつあります。さらに、自動車アフターマーケット分野におきましては、異業種企業によるM&Aや周辺事業領域への展開が加速しており、顧客獲得競争はこれまで以上に激化しております。
また、技術革新の進展および社会の成熟化に伴い、消費者の価値観や購買行動は一層多様化しております。従来、クルマは「所有するもの」としての位置付けが主流でありましたが、近年では「必要なときに利用するもの」へと価値の重心が移りつつあります。カーシェアリングやサブスクリプションサービスといった新たな利用形態の普及により、クルマに対して費用や時間を過度にかけない消費者層が増加するなど、人とクルマとの関係性そのものが変容しております。
このように、自動車を取り巻く事業環境は急速に変化しており、その方向性やスピードについても見通しを立てることが困難な局面が続いております。当社といたしましては、こうした変化を脅威ではなく機会と捉え、お客様のニーズやライフスタイルの変化を的確に捉えながら、柔軟かつ機動的に対応し、持続的な価値提供に努めてまいる所存です。
なお、当社が加盟する自動車用品小売業協会(APARA)発表の2024年4月から2025年3月までの協会加盟企業4社の店舗売上高合計は、4,184億26百万円で、前年比5.1%増加いたしました。また、同期間の新車販売台数※1は、約457万台(前年比1.0%増)、中古車登録台数※2は、約317万台(前年比0.8%増)となりました。2023年7月から2024年6月までの自動車整備に関わる市場総売上※3は、6兆2,561億円(前年比5.9%増)となり、3年連続で増加しました。
※1 日本自動車販売協会連合会 発表 登録車と軽自動車の合計
※2 日本自動車販売協会連合会 発表 普通乗用車と小型乗用車の合計
※3 日本自動車整備振興会連合会 発表
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業上の課題
当社は、2032年度における連結売上高5,000億円の達成を目標とする長期ビジョン「Beyond AUTOBACS Vision 2032」を策定し、「グループ店舗数1,300店舗」「車検台数100万台」「車買取・販売台数15万台」という日本国内における定量目標を掲げ、短期および中長期の両視点から各種施策を着実に推進しております。この5,000億円という売上規模は、現行水準のおおよそ2倍に相当するものであり、既存事業の成長のみならず、新規事業の創出を不可欠な要素と位置付けております。これまでの延長線上では到達困難な目標であるからこそ、当社には抜本的な変革への挑戦と、それを迅速に推進する力が強く求められております。
このような背景のもと、2024年5月には長期ビジョンの実現に向けた成長の加速を目的として、2024中期経営計画「Accelerating Towards Excellence」を新たに策定・公表いたしました。当該計画では、「小売り」および「卸売り」の2軸に経営資源を集中的に配分し、これらの事業領域におけるグローバルな展開と、隣接・周辺領域への事業拡張を戦略の中核に据えております。計画最終年度である2026年度には、連結売上高2,800億円、連結営業利益150億円、ならびにROIC(投下資本利益率)7.0%の達成を経営目標として掲げ、重点施策としては、「タッチポイントの創出」「商品・ソリューションの開発と供給」「新たな事業ドメインの設定」の3点を設定しております。
本中期経営計画の推進に当たっては、次世代の経営を担う若手人材による主導のもと、計画立案から実行に至るまでを一貫して遂行する体制を整備しております。あわせて、部門およびグループ会社を横断したタスクフォースを編成することで、全社的な実行力と推進力の最大化を図っております。さらに、経営判断の迅速化および事業運営の効率性向上を目的として、2025年度より執行役員に相当する役職を廃止し、各事業の分社化も並行して進めております。
第一の重点施策である「タッチポイントの創出」に関しては、スケールメリットの享受を念頭に拠点および卸売先の拡充を進めており、オートバックス店舗の出店を加速化しております。2024年度には、オートバックス13店舗を新規出店するとともに、M&Aを通じて中古車販売事業者オトロンカーズ、Honda正規ディーラー、タイヤ専門店ビーライン等、計101店舗※のネットワークを拡大いたしました。さらに、AUTO INおよびオートバックスカーズ等の新たなストアブランドも3店舗展開し、2024年度の新規拠点数は117店舗に達しております。
※M&A実施時点の店舗数
第二の重点施策である「商品・ソリューションの開発と供給」においては、サプライチェーンマネジメント(SCM)の観点から、商品調達・開発機能、物流機能、営業機能の3側面について、グループ最適の視点による構造改革を推進しております。現在は第1フェーズとして、商品調達・開発機能の集約に注力しており、これによりグループ内での共同開発・調達を実現し、高品質かつ低コストな商品開発による競争力強化を目指しております。また今後は、物流・営業機能の統合も順次進めてまいります。
あわせて、フランチャイズチェンパッケージについても見直しを行い、ロイヤリティ料率の改定をはじめ、全国統一ツールの整備やスタッフ教育制度の強化に取り組んでおります。具体的には、スマートフォンを通じて作業状況を視認可能とする「安心ピットカメラ」の全店舗導入を推進するとともに、基本研修およびピットサービスや整備等の専門研修の充実を図っております。これにより、価格競争力の強化および店舗オペレーションの高度化を図り、顧客満足度の向上につなげてまいります。
第三の重点施策である「新たな事業ドメインの設定」では、障害者等用駐車スペースの事前予約ソリューション「VEEMO Welfare(ビーモ ウェルフェア)」を発表し、社会課題である不適切利用の是正に取り組むとともに、ZEVディーラーの運営やEV充電インフラの整備も推進しております。EV急速充電器については、2030年までにグループ100店舗への設置を目標としており、2024年度末までに16店舗へ導入を完了いたしました。これらは将来的な収益源としての可能性を有し、先行的に取り組んでいるものであります。
2024年度においては、これらの各施策の効果が顕在化し、通期業績としては増収増益を達成、営業利益目標も計画通り達成いたしました。引き続き、中期経営計画2年目となる2025年度も着実に計画を遂行し、最終年度における営業利益150億円の目標達成に向けた取り組みを加速してまいります。
② 財務上の課題
本中期経営計画期間におけるキャピタルアロケーションとしては、累計350億円規模の投資を計画しており、成長機会への投資を優先しつつ、1株当たり年間60円の安定配当を維持する方針を掲げております。中期経営計画初年度より、設備投資・M&Aに積極的に取り組み、当該3年間の投資計画に対してすでに50%超の進捗を示しております。M&Aによりグループ入りした子会社の業績寄与も顕在化し、連結ベースでの利益拡大に資する結果となっております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ROEであります。
2026年3月期の目標値は、売上高2,760億円、営業利益135億円、親会社株主に帰属する当期純利益82億円、ROE6.2%であります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般への対応
当社は、サステナビリティ基本方針を2023年4月に制定し、「社会課題を解決する事業の創出」および「環境・社会に配慮した取り組みの充実」を掲げています。これに基づき、「人とクルマと環境が調和する安全・安心でやさしい社会」の実現を目指しています。私たちは、提供する商品・サービスなどを通じて、人とクルマが共存できる持続可能な社会の構築を目指して活動を進めています。また、従業員が一丸となって社会課題の解決に取り組むことで、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも貢献すると考えています。
① ガバナンス
当社は、サステナビリティ全般に関する課題を重要なテーマと捉え、2021年1月、代表取締役 社長をプロジェクトリーダーとした「ESG・SDGs推進プロジェクト」を発足しました。この全社プロジェクトでの議論や、決定内容は取締役会に報告され、承認および必要な指示・監督を受けています。非財務目標として設定したKPIの進捗状況は、経営会議または取締役会において年4回報告し、進捗の共有を行っています。また、見直しや、KPIに変更が生じる場合は、適切な会議内で審議・決定を行っております。
2023年4月には、「サステナビリティ基本方針」と関連方針を整備し、コンプライアンス遵守と強固なガバナンス体制の維持・強化に取り組みました。さらに、方針にESGの視点を組み込むことで、持続可能な社会の実現に向けた事業活動を推進しています。
② 戦略
当社は、長期的な企業価値の向上と社会の持続的な発展を両立するため、取締役会の承認を得て、次の4つの重要項目(マテリアリティ)「社会課題を解決する事業の創出」「環境・社会に配慮した取り組みの充実」「成長し続ける組織・人財」「持続可能かつ強固な経営基盤」を、2021年に特定いたしました。これらのマテリアリティごとにタスクフォースを組成し、取締役でない執行役員(当時)を中心として非財務目標を設定、2030年度におけるKPIを策定しました。2023年度以降、取締役でない事業統括(当時)が、各目標の達成に向け遂行し、各事業部やコーポレート部門と連携を図りながら取り組みを推進しています。2024年度には推進責任を部門長へ移管する体制を整えました。この推進体制のもと、経営会議で実行施策の進捗を継続的にモニタリングし、「人とクルマと環境が調和する安全・安心でやさしい社会」の実現へ向けた取り組みを進化させています。
また、各事業統括(当時)は、KPIごとに施策内容や取り組み状況、課題をイントラネットを通じて共有することで、社内全体への取り組み浸透を図っています。
③ リスク管理
当社は、全社のリスクを一元管理する組織として、代表取締役 社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置し、事業活動に潜むリスクを定期的に洗い出し、重要リスクの特定とその管理体制の強化を行っています。
リスクマネジメント委員会では、事業への影響度や発生頻度を分析・評価し、高リスク項目から対応策を議論し、発生前のけん制を行うことを目指しています。また、重要リスクの状況は、取締役会へ報告され、各部門に対策など具体的な支援を実施しています。
サステナビリティ関連のリスクや機会に関しては、ESG・SDGs推進プロジェクトが主体となり、各事業より情報を収集しリスクの特定と機会の識別し、適切な対応を進めています。また、気候変動に関するリスクと機会については、別途TCFDチームが財務的影響の算出を含めた評価を行っています。
こうして特定されたリスク情報や対応策は、リスクマネジメント委員会と共有され、組織全体のリスク管理項目に統合しています。
④ 指標及び目標
当社は、非財務目標として重要なテーマを設定し、それに対応し重視するKPIを策定しています。これは、当社の向かうべき方向性を具体的に示し、的確な進捗管理を通じて目標の着実な達成を目指しています。
各指標の進捗状況については会議体で定期的にモニタリングを実施しており、2024年度には、社長および全ての事業統括(当時)の評価項目に組み込まれています。こうして、目標達成への責任を全社的に共有し、進捗管理の徹底を図っています。
(注)「喫煙者比率低減の推進」は、低減させることを目標としているため、2030年度目標が2024年度実績値より
低くなっております。
「社員いきいき度の維持」は、ワーク・エンゲージメントおよび職場の一体感に関する設問から、社員いきいき度(ストレスチェック)を測定しています。(満点は4.0点、業界平均は2.5点)
(2)気候変動への対応
当社は、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと位置付け、 2022年6月にTCFD提言への賛同を表明しました。これに基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」に関する情報開示を積極的に進めています。
2023年度からは国内すべての子会社におけるScope1・2の情報を収集し※、2025年度開示に向けてScope3の準備を進めています。また、システム導入による省力化を図りながら、CO2排出量の見える化にも取り組んでいます。さらにCDPへの回答を通じて気候変動関連情報の拡充と開示を進め、ステークホルダーとの円滑な対話を促進し、企業価値向上を目指します。
※ただし、期中にM&Aを実施した子会社は翌年度から収集。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、「サステナビリティ全般への対応」に組み込まれています。詳細については「
② 戦略
当社は、気候変動がもたらすリスクと機会を、事業戦略策定上の重要な観点の一つとして捉えています。対象期間を2050年までとし、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した「1.5℃/2℃(未満)シナリオ」と、現在のペースで温室効果ガスが排出されることを想定した「4℃シナリオ」の2つを想定し、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しています。その上で、気候変動がもたらす移行リスクや物理的リスク、気候変動への適切な対応による機会を特定しました。
「4℃シナリオ」においては、干ばつや大雨など異常気象が多発し、急性的な物理的リスクの影響により、物流センターやデータセンター、店舗の被災・休業、また冬季用品の需要減が発生する可能性があり、事業に甚大な影響を及ぼすことが想定されます。ただし、地域の分散やバックアップ体制の整備することで、物流センターやデータセンターについては、物理的なリスクを最小限に抑えています。また、浸水リスク対策として、BCPの観点で立地選定や構造の工夫等を進めることにより物理的なリスクを最小限に抑えることができると考えます。商品においても気温帯の変化、消費行動の変化に見合う商品の投入を進めることにより、冬季商品需要減に伴う機会損失を最小限に抑えるための取り組みを進めています。
「1.5℃/2℃(未満)シナリオ」においては、温暖化抑止を目的とした技術革新や規制強化が進み、社会が変化することが想定されるため、移行リスクの影響がより顕在化すると考えます。炭素税の導入、ZEB(Zero Energy Building)の標準仕様の義務化などの規制強化、電気料金の上昇などによるコスト増加が想定されますが、省エネの推進により、リスク低減を進めています。また炭素税や排出権取引の導入、ZEV(ゼロエミッション車)メーカーへの優遇政策や内燃自動車への規制強化等が進むことにより、エンジン搭載車の販売台数が急激に減少し、代わりにZEVの普及が急速に進むことが想定されますが、ZEVの拡販に伴う売上増に加え、ZEV推進のためのインフラ整備や拡充を積極的に進めることで、販売機会の拡大に努める予定です。
なお、気候変動の影響は中長期的に顕在化する可能性を有することから、外部動向の変化も踏まえ、定期的にリスク・機会の分析・評価の見直しや対応策の具体化を進め、中長期の経営戦略に反映させていきます。
■分析対象
[事業] 国内オートバックス事業、ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業、その他事業※
[範囲] 日本国内 事業所、直営および子会社店舗、物流拠点
[期間] 2023年4月~2050年まで(短期:1年以内/中期:~2030年/長期:~2050年)
※2023年度実績につき、旧事業セグメントによる対応となっております。
■分析ステップ
(1) 各気候関連リスク・機会要因が、分析対象範囲に及ぼし得る影響を網羅的に抽出
(2) (1)を俯瞰し、より発生可能性の高いリスクを整理
(3) 採用シナリオ(物理的リスク:RCP2.6・RCP8.5、移行リスク:NZE・STEPS)に基づき、「1.5℃/2℃(未
満)」および「4℃シナリオ」下での事業インパクトの検証および財務的影響を算出
(4) (3)の結果への対応策を検討
■参照文献
気候変動監視レポート2020(気象庁)/日本の気候変動2020(文部科学省、気象庁)/ハザードマップポータルサイト(国土交通省)/Global Hybrid & Electric Vehicle Forecast(LMC Automotive)/IPCC・AR6・WG1報告書 /IEA(2021)World Energy Outlook 2021/車両電動化の見通し(東京主税局)等
物理的リスク: 気象災害の激甚化等の気候変動に起因するリスク
移行リスク: 温室効果ガス排出に関する規制等による低炭素経済への「移行」に起因するリスク
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、「サステナビリティ全般への対応」に組み込まれています。詳細については「
④ 指標及び目標
当社は、「人とクルマと環境が調和する安全・安心でやさしい社会」を目指し、温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。削減目標として、日本政府の宣言に基づき、2050年度にカーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)を掲げ、取り組みを推進いたします。
具体的には、お客様の商品使用段階における排出量削減も含めた環境配慮型機能性商品の開発や、省エネ店舗化の推進および資源循環への取り組み等を検討し、それらの数値目標の開示についても進めていきます。
※2022年度実績および2023年度実績につき、旧事業セグメントによる対応となっております。
■2022年度
算定範囲:[事業] 国内オートバックス事業、ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業
[対象] 日本国内 事業所、直営および子会社店舗、物流拠点(196拠点)
算定期間:2022年4月1日~2023年3月31日
■2023年度
算定範囲:[事業] 国内オートバックス事業、ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業、その他の事業
[対象] 日本国内 事業所、直営および子会社店舗、物流拠点(204拠点)
算定期間:2023年4月1日~2024年3月31日
Scope 1:燃料の燃焼、工業プロセス等、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
Scope 2:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出
2024年度は、算定中につき、最新の情報については当社ホームページの「気候変動への対応」をご覧ください。
(2025年7月上旬に更新を予定しております)
https://www.autobacs.co.jp/ja/sustainability/environment/climate_change.html
(3)人的資本への対応
① ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、「サステナビリティ全般への対応」に組み込まれています。詳細については「
② 戦略
当社グループでは「2024中期経営計画」の実現に向け、成長し続ける組織・人財を基盤としてグループの稼ぐ力を向上させるため、「人的資本の最大化」、「イノベーションを創出する組織の変革」、そして「戦略的な人員配置」の3つの人事方針のもと、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」、「人材育成」、「リソース・タレント・マネジメント、人的資源の見える化」および「エンゲージメントの向上」を重点課題と位置付けて取り組んでいます。
「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」については、「多様な人材が活躍し組織に異なる視点をもたらすことがイノベーションの源泉となり企業価値をより高める」との考えのもと、知と経験の多様化を進めるため、性別や国籍を問わずさまざまな職歴・経験を有する人材の採用、店舗での外国人自動車整備人材の受け入れ、連結子会社からの中核人材の戦略的配置など、多様な人材の積極的な活用や中核人材への登用を推進しています。さらに、テレワーク、フレックスタイムの導入や短時間勤務の適用拡充、男性従業員の育児休業取得を進めるなど、結婚、出産、育児、介護など多様なライフイベントを経ても仕事と生活の調和を図ることができる働きやすい環境の整備に努めています。
「人材育成」については、多様な人材一人ひとりがキャリアを開発し、持てる力を最大限に発揮できるよう、階層別・年齢別・事業別など多様な研修を整備し実施するほか、キャリア研修や社内外の相談窓口設置によるキャリア自律支援、自己啓発の補助金制度(カフェテリアプラン)による積極的な能力開発を推進しております。また、データ活用人材の育成やオートバックス店舗で活躍できる販売スキルなどの取得といったリスキリングを推進しております。
「リソース・タレント・マネジメント、人的資源の見える化」では、連結グループの人材データの整備を行い、人的リソースの見える化により、人材育成や戦略的人員配置に繋げてまいります。
「エンゲージメントの向上」においては、定期的なワーク・エンゲージメント・サーベイの実施により課題を抽出し、従業員のエンゲージメント向上による組織の活性化に向けた施策につなげてまいります。
これらの取り組み成果を確認するためのKPIおよび2027年度における目標値を設定しました。具体的なKPIおよび目標数値については「
③ リスク管理
人的資本に関するリスク管理は、「サステナビリティ全般への対応」に組み込まれています。詳細については「
④ 指標及び目標
当社グループは、ESG・SDGsの非財務目標である「多様な人材が活躍できる企業風土づくり」のKPIと目標を定め、施策に取り組んでいます。また、人的資本への対応に関するKPIと目標についても、「2024中期経営計画」において以下のとおり定めました。
ESG・SDGsに関する指標および目標につきましては、「
〔2025年3月末時点 人事データ(単体・連結)〕
|
※女性従業員比率はパート・アルバイトを除く従業員数に占める女性従業員の割合 |
※女性管理職比率は「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある従業員の合計に占める女性管理職の割合 管理職の定義は以下の通りです。 ・オートバックスセブン:本社における課長以上、店舗におけるストアマネジャー以上 ・国内子会社:本社における課長以上、店舗における店長以上 ・海外子会社:本社におけるManager以上、店舗におけるStore Manager以上 |
※男性育休取得者比率は雇用形態や期間を問わず直接雇用の男性従業員の対象者数に占める割合 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスクの管理体制
当社は、主たる事業である国内オートバックス事業によるオートバックスフランチャイズシステムをはじめモビリティライフのグローバルなインフラとなるべくさまざまな商品・サービスを数多くの顧客に提供しており、あらゆるステークホルダーからさらなる支持と信頼を獲得する「オートバックス」ブランドの維持・向上に継続的に取り組むことが経営の最重要課題と認識しております。
そのため、日々変化する当社グループを取り巻く環境変化に対応するだけでなく、目標達成を阻害する可能性のあるさまざまなリスクの的確な把握と特に重点的に取り組むリスクを選定し、具体的なリスク低減の取り組みにより適切なリスクコントロールを行っております。また重大事案が発生した場合における、被害拡大防止や損害・損失の極小化を可能とする態勢を確立することで、企業の社会的責任を果たすことに努めております。
当社は、オートバックスセブングループを挙げて「統合リスクマネジメント」に継続的に取り組み、ステークホルダーから信頼される企業グループを目指します。
統合リスクマネジメント態勢
当社は、代表取締役社長を委員長とし、業務執行取締役および委員長から指名された者を委員とした「リスクマネジメント委員会」を設置し、オートバックスセブングループにおけるリスクの管理、全社的なリスクマネジメントシステムの構築・推進を行います。
また、有事の際には、リスクマネジメント委員長である代表取締役社長が「危機対応本部」を設置し、自ら指揮を執り、迅速かつ適切な対応と回復に努めます。
(注)1.リスクマネジメント体制および危機管理態勢を含めて「統合リスクマネジメント態勢」としています。
2.「危機」とは、オートバックスセブングループの経営または事業継続に重大な影響を与える恐れのある、または与えた事象を指します。
3.組織を常設する「体制」に加え、身構えや心構えを含めて「態勢」としています。
(2)主要なリスク
①国内市場環境に関するリスク(影響度:非常に大きい・発生可能性:たまに、リスクマップ③)
当社グループは、日本国内においてカー用品の卸売・小売、車検・整備および車買取・販売等の事業を行っております。そのため、国内外の情勢の変化に伴う商品調達、為替変動などによる日本経済の悪化、個人消費の低迷、競争優位性変動等が、当社グループの営業成績や財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクの低減のため、当社は代表取締役社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、外部機関によるリスク評価を実施し、取り組むべき重要リスクの選定および対処を行い、継続的にリスクの低減を図っております。
②店舗運営に関するリスク(影響度:非常に大きい・発生可能性:たまに、リスクマップ③)
当社グループは、カー用品販売、車検・整備、車買取・販売を取り扱う小売店舗を営業しておりますが、店舗の営業に伴う廃棄物の処理、有害物質の取り扱い、ピット作業における事故、また店舗敷地内でのその他の事故などのリスクがあります。これらは直接的、もしくは顧客のグループ店舗に対する心証悪化に伴う客数減少などによって、間接的に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ピット作業事故等につきましては重大リスクと認識し、研修による指導教育、作業マニュアルの周知徹底、コンプライアンスチェックプログラムによる点検と改善を継続しております。
③技術革新に関するリスク(影響度:非常に大きい・発生可能性:たまに、リスクマップ③)
自動車関連の技術は日々変化をしており、運転支援機能、自動運転の技術開発、電気自動車の普及などに伴い、当社グループが販売する交換部品の需要や市場規模が変化する可能性があります。こうした技術進化に伴う顧客ニーズの多様化に対し、柔軟に対応できなかった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、国内外の自動車メーカーとの協業、電気自動車市場への参入、車検指定工場全店における特定整備認証(電子制御装置整備)の取得など、継続して技術革新のノウハウ獲得のための取り組みを推進しております。
④情報セキュリティに関するリスク(影響度:非常に大きい・発生可能性:たまに、リスクマップ③)
当社グループが行う事業活動の多くは、情報システムおよび通信ネットワークに依存しておりますが、想定外の災害やサイバー攻撃などにより、データセンター機能の停止やシステム障害など、ITシステムが長期間にわたり正常に作動しなくなった場合、当社グループの業務が著しく停滞し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、個人情報や法人の秘密情報等が外部に漏えいした場合には、当社グループの社会的信用に影響を及ぼす可能性や、損害賠償等を行う必要が生じることにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、ファイアウォールなどで通信を監視し、許可されない通信の遮断やあらゆるアクセスを検証対象として情報保護対策を行うとともに、情報セキュリティに関する規程(「ITガバナンス規程」、「情報セキュリティ規程」等)を整備し、情報セキュリティに関するeラーニングや標的型攻撃メール訓練をオートバックスセブングループ全従業員に対して実施するなど教育・研修の徹底を図っております。また、自然災害や停電、火災等の災害に対する耐性やセキュリティ面を考慮の上で24時間対応可能なデータセンターの設置や、複数のデータセンターを利用することでリスクの分散を図るとともに、定期的にデータのバックアップを行い、非常時において当該データを復元し、できる限り早急にサービスを再開できる体制を整備することにより、リスク対策を講じております。
⑤気候変動に関するリスク(影響度:非常に大きい・発生可能性:たまに、リスクマップ③)
当社グループが販売する商品には、スタッドレスタイヤ、タイヤチェーンなど天候により販売個数を大きく左右される季節商品が一部含まれています。そのため、冷夏や暖冬などの気候変動が発生した場合、季節商品の需要低下や販売時期のずれにより売上高が減少する可能性があります。また、環境に関する法的規制や社会的要請の高まりによって炭素税等の導入や各種規制の拡大が進んだ場合、事業活動の制約やオペレーションコスト・設備コストの上昇など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、店舗で排出する温室効果ガスの総量をゼロにすることを目標に、再生可能エネルギーの活用に取り組むとともに、環境配慮型店舗やEV車の販売・メンテナンスをはじめとした脱炭素への取り組みにより、省エネルギー化の推進を行っております。また、事業ポートフォリオの柔軟な見直しを行い、経営から現場に至るまで、気候変動課題と事業推進の両立を図りリスク低減を目指しております。
⑥人材確保・育成に関するリスク(影響度:大きい・発生可能性:少ない、リスクマップ⑥)
当社グループが事業を維持・拡大していくためには、車の整備や検査等をはじめ次世代整備の専門性を有する人材や、イノベーションを創出することのできる多様な知見・スキル・価値観を有する人材を確保・育成していくことが不可欠です。今後の社会情勢や雇用環境の変化により、ふさわしい人材を継続的に採用することが困難になる場合、既存事業における売上確保や成長戦略の推進に支障が生じるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
人材確保につきましては、当社グループならびにフランチャイズ加盟法人を含めたチェンリクルートや採用支援、自動車整備士確保の取り組み強化により、人材確保を推進しております。また、ワークライフバランスを重視し、働き方や価値観の多様化に対応した人事制度の構築や労務環境の整備に取り組んでおります。
人材育成につきましては、当社グループならびにフランチャイズ加盟法人を含めた人材育成プログラムの充実を図るとともに、自動車整備士資格をはじめとした各種資格の取得を支援する制度を設けているほか、独自のグループ内認定資格を用意するなど役職員に自己研鑽を促し、育成に取り組んでおります。
⑦商品の開発および調達に関するリスク(影響度:大きい・発生可能性:たまに、リスクマップ⑦)
当社グループは、プライベートブランド(PB)の商品開発を行っております。開発においては厳しい基準を設けて品質検査を実施する等、さまざまな取り組みを進めておりますが、PB商品等に起因する事故等が発生した場合、お客様からの信頼失墜を招き、ブランド毀損により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
PBを含めた商品は、国内外より調達を行っておりますが、各地域の政治情勢、自然災害、経済状況の変化などのさまざまな要因によってその商品の調達が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入価格の高騰に伴う小売価格の上昇で商品・サービスに対する需要が後退した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧コンプライアンスに関するリスク(影響度:大きい・発生可能性:たまに、リスクマップ⑦)
当社グループは、法令遵守・コンプライアンスに係る問題につき内部統制の整備を図っており、より充実した内部管理体制の確立のため当社グループの内部統制を主管する部門を定め、役員および従業員が高い倫理観に基づいて企業活動を行うよう行動規範と行動指針を制定しています。しかし、役員および従業員による不正行為は完全に回避できない可能性があります。万一、このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用の低下や、多額の損害賠償の請求など、当社グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対して「行動規範・行動指針」の周知・徹底、店舗運営におけるコンプライアンスチェックプログラムの実行、重大事案報告制度、内部通報制度等の対策によりリスクの極小化に努めております。
⑨自然災害に関するリスク(影響度:非常に大きい・発生可能性:稀に、リスクマップ⑨)
当社グループが店舗を展開する、また事業関連施設を所有する地域において、地震、台風その他の自然災害が発生し、当該施設への物理的な損傷、または役職員の死亡・負傷による欠員があった場合、商品の損害、売上高の減少、または原状復帰や人員の補充などにかかる費用によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対して当社グループではBCP/事業継続計画を策定し、年2回の訓練実施においてさまざまな災害ケースを想定し実行することで、課題抽出とリスク低減に努めております。
⑩法規制等の変化によるリスク(影響度:小さい・発生可能性:たまに、リスクマップ⑪)
当社グループは、店舗の出店において「大規模小売店舗立地法」により売場面積1,000㎡超の新規出店や既存店舗の増床などについて、騒音、交通渋滞、ごみ処理問題など、生活環境等の法令や条例などの規制を受けております。当社グループは、1,000㎡超の大型店舗を新規出店する際には、出店計画段階から地域環境を十分考慮し、出店地近隣住民や自治体との調整を図りながら出店していく方針ですが、これらの規制に変更等が生じ、新たな法規制等の影響を受けることになった場合には出店を計画通りに進めることができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪強毒性感染症に関するリスク(影響度:小さい・発生可能性:たまに、リスクマップ⑪)
人々の交通インフラの一翼を担う「オートバックス」事業を中核事業とする当社グループは、新型コロナウイルス(COVID-19)のような感染症の流行に備え、お客様・取引先、従業員等の安全を最優先に考えた上で、お客様の安全・安心な車生活を守るため、感染症流行時における人員確保など、営業継続の対策を講じておりますが、感染拡大などの状況に応じて、店舗の休業や営業時間の短縮などの措置をとる可能性があります。この場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、対策備品の配布・備蓄やバックオフィスにおいてリモートワーク等の導入を行い、影響の最小化に努めております。
⑫個人情報・機密情報管理に関するリスク(影響度:大きい・発生可能性:稀に、リスクマップ⑫)
当社グループは、事業の過程において、個人情報や機密情報を保有しています。万一、当社が保有するこれらの情報の漏えい事故等が発生した場合、当社グループの社会的な信用の低下により、業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対して、資料の取り扱いに関する規制や制限を実施しております。特に重要な電子データはアクセス権限設定やパスワード設定、期限設定など対策を厳格に実施しております。
⑬固定資産減損に関するリスク(影響度:大きい・発生可能性:稀に、リスクマップ⑫)
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。今後、店舗等の収益性の悪化などにより、新たに減損損失を計上することになった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)リスク評価プロセス
当社のリスク評価は、18のリスクカテゴリーにおける177のリスク項目について、経営層および管理職によりリスクマップに基づき分析・評価を行っております。毎年、この評価結果と過年度の重点リスク項目のモニタリング結果を基に「リスクマネジメント委員会」でレビューし、翌期の重点リスク項目を選定しリスク管理に取り組んでおります。
①リスクカテゴリー
②リスクマップ
※リスクマップの最大被害額および発生頻度の基準数値は分析・評価のために設定した目安であり、実態を反映したものではありません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における日本経済は、雇用の改善やインバウンド需要の増加等を背景に緩やかな回復基調で推移した一方で、物価上昇による個人消費の低迷が懸念されるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
国内の自動車関連業界の動向といたしましては、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響で減少していた新車販売台数は、下期には前年を上回る水準に回復いたしました。中古車市場においては、割安感のある中古車需要が底堅く推移したことに加え、下取り車の流通量増加に伴い中古車登録台数も前年を上回りました。
このような環境下において、当社グループは、お客様にとっての「モビリティライフのインフラ」をグローバルで目指し、2024中期経営計画「Accelerating Towards Excellence」に基づき、「タッチポイントの創出」「商品・ソリューションの開発と供給」「新たな事業ドメインの設定」を戦略骨子とした各種施策を推進しております。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
① 連結損益状況
売上高、売上総利益
当社グループの当連結会計年度における売上高は、前年同期比8.6%増加の2,495億25百万円、売上総利益は前年同期比17.2%増加の883億73百万円となりました。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
オートバックス事業 |
177,326 |
192,130 |
|
コンシューマ事業 |
23,695 |
29,039 |
|
ホールセール事業 |
25,061 |
24,494 |
|
拡張事業 |
3,773 |
3,861 |
|
報告セグメント計 |
229,856 |
249,525 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、前年同期比13.1%増加の762億47百万円、営業利益は前年同期比51.4%増加の121億26百万円となりました。
販売費及び一般管理費について、主に連結子会社が増加したことにより増加いたしました。
セグメント別の従業員の状況
(単位:人)
|
セグメントの名称 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
増減 |
|||
|
オートバックス事業 |
3,138 |
(740) |
3,362 |
(1,001) |
224 |
(261) |
|
コンシューマ事業 |
337 |
(25) |
911 |
(82) |
574 |
(57) |
|
ホールセール事業 |
380 |
(21) |
395 |
(11) |
15 |
(△10) |
|
拡張事業 |
159 |
(26) |
150 |
(23) |
△9 |
(△3) |
|
全社(共通) |
371 |
(3) |
383 |
(6) |
12 |
(3) |
|
合計 |
4,385 |
(815) |
5,201 |
(1,123) |
816 |
(308) |
(注)従業員数は就業人員であり、出向者は除いております。臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。前連結会計年度の従業員数は当連結会計年度のセグメント区分に基づき作成しております。
営業外収益、営業外費用、経常利益
営業外収益は、前年同期比5.0%増加の21億74百万円となりました。営業外費用は、前年同期比10.2%減少の17億84百万円となりました。
主に、前年に比べ持分法適用関連会社の収益改善が図られ、持分法による投資利益が増加しております。また、前連結会計年度に稼働を開始した新店舗システムの情報機器賃貸費用が減少いたしました。
この結果、経常利益は前年同期比54.6%増加の125億16百万円となりました。
特別利益、特別損失
特別利益は、負ののれん発生益10億30百万円を計上いたしました。特別損失は、固定資産の減損損失4億62百万円、段階取得に係る差損1億32百万円を計上いたしました。
法人税等合計
法人税等合計は、前年同期比8億87百万円増加の48億3百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比28.0%増加の81億32百万円となりました。
②セグメントごとの経営成績
当社グループ 報告セグメントの概要
セグメントごとの売上高、利益又は損失
(単位:百万円)
|
|
報告セグメント |
調整額 |
連結財務諸表計上額 |
||||
|
オートバックス事業 |
コンシューマ事業 |
ホールセール事業 |
拡張事業 |
合計 |
|||
|
売上高 |
|
|
|
|
|
|
|
|
顧客との契約から生じる収益 |
192,130 |
29,039 |
24,494 |
1,458 |
247,123 |
- |
247,123 |
|
その他の収益 |
- |
- |
- |
2,402 |
2,402 |
- |
2,402 |
|
外部顧客への売上高 |
192,130 |
29,039 |
24,494 |
3,861 |
249,525 |
- |
249,525 |
|
対前期増減率 |
8.3% |
22.6% |
△2.3% |
2.3% |
8.6% |
- |
8.6% |
|
セグメント間の内部 売上高又は振替高 |
4,970 |
269 |
11,053 |
5,246 |
21,540 |
△21,540 |
- |
|
計 |
197,100 |
29,308 |
35,548 |
9,108 |
271,065 |
△21,540 |
249,525 |
|
対前期増減率 |
8.1% |
22.9% |
0.5% |
9.8% |
8.5% |
- |
8.6% |
|
セグメント利益又は 損失(△) |
22,050 |
△847 |
517 |
476 |
22,196 |
△10,070 |
12,126 |
|
対前期増減率 |
33.1% |
- |
△17.4% |
112.2% |
37.7% |
- |
51.4% |
オートバックス事業
オートバックス事業の売上高は1,971億円(前年同期比8.1%増加)、セグメント利益は220億50百万円(同33.1%増加)となりました。
営業の状況といたしましては、国内オートバックスチェン(フランチャイズ加盟法人店舗を含む)の全業態の売上高は、前年同期比で既存店が4.4%の増加、全店が5.1%の増加となりました。
国内オートバックスチェンでは、車両メンテナンス需要や年末年始の外出需要を背景に、タイヤ・オイル・バッテリーなどのメンテナンス関連商品が伸長し、これらの商品に伴うサービス工賃も好調に推移いたしました。また、降雪に伴いスタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどの冬季用品が伸長いたしました。
国内オートバックスチェン売上高および客数(既存店前年比/月別)2024年4月~2025年3月
プライベートブランドにおいては、自信をもっておすすめできる価値ある商品の開発・販売を推進しております。「AQ.(オートバックスクオリティ.)」では、車種専用カー用品のラインアップを拡充するとともに、低価格で高品質なオリジナルピットサービス「AQ.ピットメニュー」の提供を開始いたしました。
車検・整備については、アプリからのピット作業予約が定着しつつあることを背景に、公式アプリからのピット作業予約件数が前年同期比17.2%増加いたしました。車検実施台数は、下期より車検対象車両台数が増加に転じたことにより、前年同期比0.4%増加の約67万台となりました。
車販売については、中古車の単価上昇を背景にオークションへの販売が好調に推移した一方で、新車・中古車の小売販売台数は前年を下回りました。この結果、国内オートバックスチェンにおける総販売台数は前年同期比3.7%減少の約3万台、総販売金額は前年同期比5.5%増加の359億59百万円となりました。
国内における出退店は、新規出店が20店舗、退店が3店舗あり、2024年3月末の1,003店舗(内、併設店およびインショップは414店舗)から2025年3月末は1,020店舗(内、併設店およびインショップは417店舗)となりました。
なお、店舗数記載については、2025年3月期の期首から併設店およびインショップを含む形式に変更しております。
オートバックス事業セグメントにおける商品別売上(連結調整後)
(単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
増減 |
|
タイヤ・ホイール |
51,384 |
52,228 |
843 |
|
カーエレクトロニクス |
20,788 |
19,062 |
△1,726 |
|
オイル・バッテリー |
17,475 |
18,547 |
1,072 |
|
アクセサリー・メンテナンス用品 |
38,805 |
38,392 |
△413 |
|
車検・サービス |
18,301 |
21,363 |
3,061 |
|
車販売 |
8,751 |
10,969 |
2,218 |
|
その他 |
21,818 |
31,565 |
9,746 |
|
合計 |
177,326 |
192,130 |
14,804 |
国内出退店実績
(単位:店)
|
|
2024年3月末 |
新店 |
退店 |
2025年3月末 |
|
オートバックス |
496 |
13 |
- |
509 |
|
オートバックスガレージ |
1 |
- |
- |
1 |
|
スーパーオートバックス |
72 |
- |
1 |
71 |
|
A PIT AUTOBACS |
2 |
- |
- |
2 |
|
オートバックスセコハン市場(※1) |
18(15) |
1 |
1 |
18(15) |
|
Smart+1(※2) |
10(8) |
4 |
- |
14(11) |
|
オートバックスエクスプレス |
11 |
- |
- |
11 |
|
オートバックスカーズ(※1) |
393(391) |
2 |
1 |
394(391) |
|
国内計 |
1,003(414) |
20 |
3 |
1,020(417) |
(注)1. 2025年3月期の期首より併設店およびインショップを含んだ店舗数に変更し記載しております。
2. ※1:()は内、併設店の数、※2:()は内、インショップの数
国内店舗数の内訳
(単位:店)
|
|
2024年3月末 |
2025年3月末 |
|
直営 |
11 |
14 |
|
連結対象子会社 |
226 |
278 |
|
連結対象外法人※ |
766 |
728 |
|
合計 |
1,003 |
1,020 |
※関連会社を含む
海外については、フランスにおいて前連結会計年度に2店舗を閉店した影響で売上が減少いたしました。シンガポールにおいては、COE(車両購入権)価格の上昇に伴い増加したメンテナンス需要や、ERP(電子道路課金制度)の変更に伴う車載器交換需要を取り込んだことで、ピットサービスが好調に推移いたしました。
海外における出退店は、新規出店が40店舗、退店が1店舗あり、2024年3月末の109店舗から2025年3月末は148店舗となりました。
海外出退店実績
(単位:店)
|
|
2024年3月末 |
新店 |
退店 |
2025年3月末 |
|
フランス |
8 |
- |
- |
8 |
|
シンガポール |
2 |
- |
- |
2 |
|
タイ |
82 |
40 |
- |
122 |
|
台湾 |
6 |
- |
- |
6 |
|
マレーシア |
5 |
- |
1 |
4 |
|
フィリピン |
6 |
- |
- |
6 |
|
海外計 |
109 |
40 |
1 |
148 |
海外店舗の内訳
(単位:店)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
連結対象子会社 |
12 |
12 |
|
連結対象外法人※ |
97 |
136 |
|
合計 |
109 |
148 |
※関連会社を含む
コンシューマ事業
コンシューマ事業における売上高は293億8百万円(前年同期比22.9%増加)、セグメント損失は8億47百万円(前年同期は12億97百万円のセグメント損失)となりました。
ディーラーにおいては、2024年10月1日付で、当社の連結子会社である株式会社オートバックス・ディーラーグループ・ホールディングスがHonda正規ディーラーを運営する会社を連結子会社化いたしました。これにより、同社が運営する正規ディーラーは、Audi、BYDおよびHondaの3ブランドとなりました。加えて、2024年10月1日付で、電気設備の施工・管理を行う会社を連結子会社化いたしました。なお、2023年9月にBMW/MINI正規ディーラーを行う子会社2社を譲渡しております。
ディーラーの運営会社と店舗数
(単位:店)
|
会社名 |
2024年3月末 |
2025年3月末 |
|
㈱バックス・アドバンス |
4 |
4 |
|
㈱バックスeモビリティ |
5 |
4 |
|
㈱ホンダカーズ東葛 |
- |
12 |
車買取・販売においては、2024年10月に車買取・販売店「オートバックスカーズ」初の大型店「オートバックスカーズかしわ大井」をオープンいたしました。
また、2024年8月30日付で、自社ローン型中古車販売事業を行う会社を連結子会社化いたしました。
ネット販売においては、販売促進施策に加え、前連結会計年度に実施した公式通販サイトのリニューアルや取扱商品の拡充が奏功し、売上が増加いたしました。
車検・整備においては、車両メンテナンス需要を背景に整備子会社が好調に推移いたしました。加えて、2025年3月に、車両メンテナンスと低価格タイヤを主軸とした新モデル店舗「AUTO IN車検・タイヤセンター熊本玉名店」をオープンいたしました。
ホールセール事業
ホールセール事業における売上高は355億48百万円(前年同期比0.5%増加)、セグメント利益は5億17百万円(同17.4%減少)となりました。
降雪や車両メンテナンス需要の増加を背景に、ホイールおよびエンジンオイル等の卸売が堅調に推移いたしました。また、日産自動車の車種専用アイテムの販売が伸長したことに加え、2024年12月より幹線道路沿いに位置するセブン-イレブン店舗において、プライベートブランド「AQ.」の展開を開始いたしました。
海外卸売においては、日本国内からの輸出取引が大幅に減少し売上が減少いたしました。マレーシアにおいては、オーソライズドディーラー認定店が増加し売上が伸長いたしました。オーストラリアにおいては、インフレや金利上昇を背景に消費者の購買意欲が低下したことなどにより、売上が減少いたしました。中国においては、日本国内への輸出が拡大し売上が増加いたしました。
拡張事業
拡張事業における売上高は91億8百万円(前年同期比9.8%増加)、セグメント利益は4億76百万円(同112.2%増加)となりました。
③ 財政状態に関する分析
a.連結貸借対照表の各項目の状況
流動資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べ148億37百万円増加し、1,270億28百万円となりました。主に売掛金、商品、未収入金が増加したことなどによるものです。
有形固定資産、無形固定資産
有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ85億5百万円増加し、567億57百万円となりました。主に新規連結子会社及び新規出店用地の購入により土地、建物及び構築物が増加したことなどによるものです。
無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ96億6百万円増加し、173億70百万円となりました。主に新規連結子会社におけるのれんが増加したことなどによるものです。
投資その他の資産
投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ2億72百万円増加し、270億14百万円となりました。
流動負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べ94億47百万円増加し、584億32百万円となりました。主に銀行からの短期借入金が増加した一方、支払手形及び買掛金が減少したことなどによるものです。
固定負債
固定負債は、前連結会計年度末に比べ209億62百万円増加し、377億74百万円となりました。主に銀行からの長期借入金が増加したことなどによるものです。
純資産合計
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ28億11百万円増加し、1,319億63百万円となりました。主に親会社株主に帰属する当期純利益による増加があった一方、利益剰余金の配当による減少があったことなどによるものです。
セグメントごとの資産
(単位:百万円)
|
|
2024年3月末 |
2025年3月末 |
増減 |
|
オートバックス事業 |
101,293 |
106,506 |
5,212 |
|
コンシューマ事業 |
10,168 |
43,309 |
33,140 |
|
ホールセール事業 |
15,084 |
17,424 |
2,340 |
|
拡張事業 |
33,728 |
33,097 |
△631 |
|
全社(共通) |
34,673 |
27,832 |
△6,840 |
|
総合計 |
194,948 |
228,170 |
33,221 |
資産合計/負債純資産合計
資産合計、負債純資産合計は、前連結会計年度末に比べ332億21百万円増加し、2,281億70百万円となりました。
b.連結キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ96百万円減少し311億81百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは39億44百万円の収入(前年同期は144億31百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益129億51百万円に対し、非資金損益項目等の調整を加減した営業取引による収入78億72百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額40億77百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、180億20百万円の支出(前年同期は4億49百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入9億66百万円および定期預金の払戻による収入5億13百万円等であり、支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出89億26百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出59億29百万円および貸付けによる支出33億69百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、139億73百万円の収入(前年同期は74億13百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入224億70百万円および自己株式の売却による収入2億5百万円等であり、支出の主な内訳は、配当金の支払額54億71百万円、長期借入金の返済による支出13億60百万円および短期借入金の返済(純額)6億98百万円等であります。
c.設備投資の状況
当社グループでは、新規出店・既存店舗の改装に係る建物および構築物の取得、事務所・店舗用地の取得、情報システム投資その他に対し、総額89億26百万円の設備投資を実施いたしました。
設備投資の主な内訳
(単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
新規出店(リニューアル含む) |
2,260 |
2,583 |
|
既存店改装・改修 |
2,439 |
340 |
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土地 |
561 |
2,429 |
|
情報化投資 |
1,780 |
1,224 |
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その他 |
2,107 |
2,347 |
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合計 |
9,149 |
8,926 |
セグメント別設備投資額
(単位:百万円)
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
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オートバックス事業 |
6,451 |
5,797 |
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コンシューマ事業 |
1,427 |
892 |
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ホールセール事業 |
116 |
893 |
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拡張事業 |
462 |
489 |
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全社(共通) |
691 |
852 |
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合計 |
9,149 |
8,926 |
④ 資金調達の状況
当連結会計年度において、M&A投資資金や設備投資資金等への充当を目的として長期借入金224億70百万円等の資金調達を実施いたしました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における日本経済は、雇用の改善やインバウンド需要の増加を背景に緩やかな回復基調が見られた一方で、物価上昇に伴う個人消費の低迷や、景気の先行きに対する不透明感といった課題が引き続き懸念される状況でした。
当社が属する自動車関連業界においては、新車販売台数が前年を上回る水準に回復したほか、中古車市場においても底堅い需要が継続するなど、市場環境は一定の改善が見られました。
こうした事業環境を背景に、当社グループは、長期ビジョン「Beyond AUTOBACS Vision 2032」のもと、事業領域の拡大と新たな事業の創造により、2032年度の連結売上高5,000億円の達成を目指しております。
2024年度から2026年度を計画期間とする2024中期経営計画「Accelerating Towards Excellence」は、長期ビジョンの達成に向けバックキャストにより策定いたしました。本計画では、お客様にとっての「モビリティライフのインフラ」をグローバルで目指し、「小売りと卸売りの2軸に集中し強化する体制への変更」「周辺領域への挑戦」「利益水準の引き上げによる安定的な還元」を基本方針としております。具体的な経営目標として、2026年度に連結売上高2,800億円、連結営業利益150億円、ROIC(投下資本利益率)7.0%の達成を設定しており、これらを実現するために、「タッチポイントの創出」「商品・ソリューションの開発と供給」「新たな事業ドメインの設定」の3つを戦略骨子としております。
中期経営計画の初年度となる2024年度の経営成績につきましては、連結売上高2,495億円(前年比+8.6%)、営業利益121億円(前年比+51.4%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は81億円(前年比+28.0%)となりました。M&A関連の一時費用が発生したものの、新たに14社を連結子会社化したことで連結売上高が増加したほか、オートバックス事業をはじめとする既存事業の収益改善も大きく貢献いたしました。この結果、全体として増収増益を達成し、当初計画を上回る好調な業績を収めることができました。
中期経営計画における3つの戦略骨子「タッチポイントの創出」「商品・ソリューションの開発と供給」「新たな事業ドメインの設定」の進捗については以下のとおりです。
「タッチポイントの創出」においては、積極的なM&Aを推進し、お客様との接点の基盤となる拠点の拡大に取り組みました。具体的には、オートバックス店舗13店舗、新ストアブランド3店舗、M&Aによる101拠点を含め、合計117の新規拠点を拡大いたしました。中期経営計画の2年目以降は、シナジーの創出とスケールメリットの最大化に向け、さらなる施策を推進してまいります。
「商品・ソリューションの開発と供給」においては、コスト削減と業務効率化を通じて、価格競争力を強化し、競争優位性の確立を目指しております。具体的には、過去2年間で176名をコスト部門からプロフィット部門へ配置転換するなど、着実にコスト削減と業務効率化を進めております。さらに、商品調達を含む本部機能の統廃合を進め、価格競争力のさらなる強化に取り組むとともに、フランチャイズチェンパッケージを刷新し、全国統一ツールの導入や教育体制の充実を図るなど、顧客満足度向上に向けた施策を強化しております。
「新たな事業ドメインの設定」においては、当社の強みを最大限に活かしながら、新たな領域への積極的な挑戦を通じて、連続的成長と非連続のイノベーションの実現を目指しております。具体的には、ZEVディーラーの運営、EV充電インフラの拡充、マイクロモビリティの販売等を推進しており、当社の新たな事業ドメインとして将来的に収益の重要な柱の一つとすべく、先行的に取り組んでまいります。
これまでの50年間、私たちはオートバックスの店舗を軸にカー用品を販売し、お客様のカーライフを支えることに尽力してまいりました。
これからの50年は、オートバックス事業を中核としながらも、カー用品の卸売・小売事業の枠を超え、お客様にとって身近なメンテナンス拠点となるべく、総合モビリティアフター業への成長を目指してまいります。
目指すべき姿の実現に向けて、中期経営計画を着実に遂行するとともに、環境の変化に応じて柔軟にアプローチを調整しながら、その達成を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③財政状態に関する分析 b.連結キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
資本の財源および資金の流動性の状況
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、カー用品を中心とした商品の購入費用およびシステム等の運営コストの支払等である一方、主にフランチャイズ加盟法人に対する卸売と個人を中心とした一般のお客様への小売を行っているため、仕入債務の支払よりも売上債権の回収が進む傾向にあります。したがって、基本的には営業キャッシュ・フローで得られる資金に加え短期借入を、季節によって変動する運転資金需要と投資に充てております。
中期経営計画期間である2024年度から2026年度においては、設備投資や事業拡大に向けたM&A投資により、累計約350億円の投資を計画しております。さらに、長期ビジョンの期間である2032年度までに累計約1,000億円の投資を実施する計画です。
中期経営計画の最終年度である2026年度は、利益を刈り取る重要なフェーズと位置づけております。そのため、初年度である2024年度には投資を積極的に行い、3年間の投資計画350億円に対して50%以上の進捗を達成しております。
今後は、残りの投資を効果的に進めながら、収益の刈り取りを図り、利益の増加を実現してまいります。
株主還元方針・資本効率性指標
中期経営計画期間である2024年度から2026年度の株主還元につきましては、長期ビジョンの達成に向けた成長機会への投資を優先し、原則として1株当たり年間60円の安定的な配当を実施することを基本方針としております。また、営業キャッシュ・フローの増加分については投資に充当する計画としております。
資本効率性指標については、ROICおよびROEが改善した一方で、2025年3月末時点のPBRは1倍を下回る結果となり、課題が残る状況です。今後も、資本効率を意識した経営に取り組んでまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益および費用の計上に際し、様々な見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
フランチャイズ契約
当社は、既存の小売店と共存共栄を図ることを基本方針としてフランチャイズ契約を締結しております。
その契約の主な事項は次のとおりであります。
(1)オートバックスフランチャイズ契約の要旨
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契約の目的 |
株式会社オートバックスセブン(本部)は、加盟店に対して本部が使用している商号及び経営ノウハウ等を提供し、本部と同一企業イメージで事業を行う権利を与える。加盟店はこれに対し、一定の対価を支払い、本部の指導と援助のもとに、継続して営業を行い、相互の繁栄を図ることを目的とする。 |
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ロイヤリティ |
毎月の売上高に、一定の料率に相当する金額を支払うものとする。 |
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仕入及び販売 |
加盟店の販売商品は主に本部から仕入れ、本部の提供したノウハウによって消費者へ販売する。 |
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契約期間 |
オートバックスフランチャイズ契約 契約締結日から5年間。ただし期間満了6ヶ月前までに、一方当事者の解約申出のない時は、3年毎の自動更新。 スーパーオートバックスフランチャイズ契約 契約締結日から5年間。ただし期間満了6ヶ月前までに、一方当事者の解約申出のない時は、3年毎の自動更新。 オートバックスセコハン市場フランチャイズ契約 契約締結日から5年間。ただし期間満了6ヶ月前までに、一方当事者の解約申出のない時は、3年毎の自動更新。 |
(2)オートバックスカーズフランチャイズ契約の要旨
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契約の目的 |
株式会社オートバックスセブン(本部)は、加盟店に対して本部が使用している商号及び経営ノウハウ等を提供し、本部と同一企業イメージで事業を行う権利を与える。加盟店はこれに対し、一定の対価を支払い、本部の指導と援助のもとに、継続して営業を行い、相互の繁栄を図ることを目的とする。 |
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ロイヤリティ |
取引毎の車両売却価格に、一定の料率に相当する金額を支払うものとする。 |
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仕入及び販売 |
加盟店は、本部の提供したノウハウによって、次の自動車の取引を行う。 ・一般消費者からの買取、下取り及び販売 ・他の自動車販売業者からの仕入れ及び販売、本部からの仕入れ ・自動車オークションへの出品及び落札 |
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契約期間 |
契約締結日から3年間。ただし期間満了6ヶ月前までに、一方当事者の解約申出のない時は、3年毎の自動更新。 |
特記事項はありません。