第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「仕事を通じて人生を楽しみ、社会に貢献する」を経営理念として掲げ“食”を通じて社会に貢献する企業を標榜しております。また、「人が育てば企業が育つ」の固い信念に基づいて、経営のあらゆる場面において“教育”を最重点課題として取り組んでおります。さらに、当社は株主を大切にする企業でありたいとの強い願いから株主との対話を重視し、1989年の株式上場以来“開かれた株主総会”を他社に先駆けて実践してまいりました。

今後共、安定収益企業として顧客、株主、取引先、従業員それぞれの期待に応えるべく“バランスのとれた経営”を行っていきたいと考えております。

 

(2)経営環境及び経営戦略

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費やインバウンド需要の拡大など経済活動の正常化を背景に景気は緩やかに回復してきております。しかしながら、米国の政策動向や、円安の長期化、地政学的リスクに起因するエネルギー資源や原材料価格などの高騰等もあり、依然として先行きは不透明な状況となっております。

外食産業におきましては、経済活動の正常化による人流増加に加え、インバウンドの回復も追い風となり、需要は堅調に回復したものの、米をはじめとする原材料の価格高騰、光熱費等様々なコストの上昇、人手不足による人件費の増加が継続しており、事業を取り巻く経営環境は依然として厳しいものとなっております。

このような状況の中、当社グループはグループ一丸となって事業収益の最大化を図るため、戦略構築と実行を徹底し、企業風土の変革を希求し続けてまいりました。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 当社グループは、グループビジョン「おもてなしで付加価値の創造を紡ぐ」を掲げ、お客様と従業員、お取引様と事業会社、部下と上司など関係者間の「対等と尊重」「和」などを重んじ、企業風土を変革し続け、付加価値の創造を希求する経営を目指しております。

  チェーン展開による日本の外食産業が勃興した前回の大阪万博の頃、実演手打うどん「杵屋」1号店を開店して以来、うどん・そばを中心に多様な業種業態のレストラン事業を展開してまいりました。

  加えて、M&A等を重ねることで、①ニッポンの食の魅力を国内外に適正な価格で提供する事業、②地域から求められる生活に欠かせない事業、③参入障壁の高い事業、にもチャレンジし、業容を拡大してまいりました。具体的には「機内食事業」「冷凍おせち料理製造業」「地方卸売市場の開設(建替え・不動産賃貸業)」「地方鉄道・バス事業」「マレーシアにおけるコンビニ弁当・おにぎり等製造業」などであります。

  そうした歴史を踏まえて、2025年5月に策定した中期経営計画においては、コロナ禍の守りから転じて、再成長のための戦略実行を各事業で徹底するとともに、ホールディングスである当社が中心となり、M&Aを手段に含めてグループシナジーを創出することで付加価値を高めてまいります。

② 当社グループが主に事業展開する国内市場が少子超高齢社会となり、ライフスタイルの多様化、働く女性・高齢者および外国人労働者の更なる増加、孤食や食の外部化の拡大傾向など外部環境の変化を踏まえ、2030年3月期の目標達成に向けて、初年度である2026年3月期に取り組む各事業の主要な施策は以下のとおりであります。

 (レストラン事業)

   建築費及び人件費・材料費等の高騰を踏まえて、出店は投資効率を重視し、競争力発揮の再現性が高い立地・業種業態で展開します。また、既存店舗においてもオペレーション改革や業態変更などを行うことで利益率の向上を目指します。

 (機内食事業)

   コロナ禍を脱し、業績が急回復した前年度に続き、生産体制の改善と更なる効率化を追求するとともに、EXPO2025大阪・関西万博の開催により増加するインバウンド等に対して、強みであるハラール対応を含めた安全安心の食事を提供します。

 (業務用冷凍食品製造事業)

   業界有数の地位を占める冷凍おせち料理製造業に加えて、近年、急成長する働く世代向けの冷凍宅配弁当市場のODM・OEM事業を強化し、同市場においても有力な業界プレイヤーとなることを目指します。

 (その他)

   2022年10月に開校した日本語学校が大阪出入国在留管理局から適正校に選定された実績を踏まえ、教室の拡大投資を行い、定員を1.5倍に増やすことを目指します。また、特定技能1号の外国人材を中心とした登録支援機関としては、グループ会社からの委託を受けることで実績を積み上げ、将来的にフードビジネスを中心としたグループ外の人材不足対応への貢献を果たします。

③ 1970年の大阪万博以降に拡大する外食産業を中心に成長してきた当社グループとして、今回のEXPO2025大阪・関西万博に積極的に参加し、祖業とも言える手打ちうどんや創業の地である大阪の食文化を支える全国の産地の食材等の魅力を伝えます。これにより、外食産業だけでなく幅広くフードビジネスを展開する企業グループとしての認知度を高め、新たなビジネスチャンスやパートナーを探索します。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが目標としている経営指標における当連結会計年度の実績値は下表のとおりであります。

 

経営指標

目標数値

2025年3月期実績(連結)

売上高経常利益率

5%以上

2.2%

自己資本当期純利益率

8%以上

7.2%

自己資本比率

50%

29.4%

配当性向

30%以上

24.7%

 

当連結会計年度におきましては、売上高は前年同期比50億39百万円増加、営業利益は前年同期比5億25百万円増加、経常利益は前年同期比5億59百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比4億47百万円減少となりました。それにより、売上高経常利益率は2.2%(前年同期比1.2ポイント改善)、自己資本当期純利益率は7.2%(前年同期比6.1ポイント悪化)、自己資本比率は29.4%(前年同期比6.2ポイント改善)となりました。グルメ杵屋グループの次世代に向けた事業構造構築に果断にチャレンジすることで、これらの指標について改善するよう取り組んでまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、食を通じた事業を中心に経営理念の実践を通じて、お客さま、株主・投資家、社員、事業パートナー、地域社会、行政等のすべてのステークホルダーとの対話を尊重し、持続可能な社会の構築に積極的な役割を果たし、企業価値の向上を目指します。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社の取締役会は、当社グループにおける気候変動関連のリスク及び機会に関する経営上の重要事項に関して審議・決定しております。くわえて、執行役の業務執行状況について適宜報告を受けており、適切に管理・監督されるよう体制を整えております。

 代表執行役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会は、気候変動問題を含む事業継続の有効性について確認し、環境に係わる方針および目的・目標の審議、気候変動問題をはじめとする地球環境保護に関する諸施策の協議並びに進捗状況確認などを担っております。

 これら組織の活動状況は適宜取締役会に報告しており、コーポレートガバナンスの充実ならびにサステナビリティ活動の強化に努めております。

 

(2)戦略

 当社グループにおいては、低価格で良品質の商品提供を行うために、計画的仕入や国内外を問わない原材料産地の厳選を行っておりますが、産地における干ばつ等の影響による品薄や為替変動による原材料コストの上昇が生じた場合は、販売活動を確実に実行することができなくなるため、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また国内での大規模地震や台風等の事象が発生した場合も、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、気候変動関連のリスク、事業活動に影響を及ぼすリスク・機会の重要度を評価した結果、

 1.炭素税の導入等に伴う原材料価格の上昇

 2.プラスチックの代替素材への変更に伴うコストの増加

 3.消費者の行動の変化

 4.異常気象の頻発化・激甚化

の4項目を事業に大きく影響を及ぼす可能性がある重要なリスク・機会として判断しております。これらの気候変動の重要なリスク・機会は、事業の戦略や財務に影響を及ぼすため、当社の戦略に組み込んでいきます。

 また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、事業をさらに発展させていくとともに事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献するため、多種多様な強みを持ち、能力を発揮でき、情熱を持って未来を切り開ける次世代を担う人材の採用・育成を行い、従業員のエンゲージメントを高めることであります。また、当社グループは職場の安全と心身の健康を守るとともに、人権を尊重し、差別のない健全な職場環境の確保に取り組んでいます。

 

(3)リスク管理

 取締役会およびサステナビリティ委員会は、気候変動に関連する規制や当社グループの事業運営に影響を及ぼすリスク要因について幅広く情報収集するとともに、気候変動によってリスクが顕在化すると想定される事象については、その影響を評価しリスクの最小化に向けて対策を講じるなど、適切に管理しております。また、気候変動関連リスクを含む全ての業務リスクについては、代表執行役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会において評価し、適宜、取締役会に報告を行っております。くわえて、事業継続計画(BCP)に基づき、自然災害などによって通常の状態では事業の遂行が困難になった場合に備えて実践的なBCP訓練を実施するなど、企業としての防災力、事業継続力の更なる向上に努めております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、お客様をはじめとするステークホルダーを尊重し、ともによりよい社会実現をしていきたいと考えております。事業における重要課題の一つとして「環境負荷の低減」を特定しています。

 「環境負荷の低減」対策としては、温室効果ガス排出量削減とプラスチック対策を指標・目標としています。温室効果ガス排出量削減の取り組みとして、レストラン事業における店舗の照明や空調、冷凍・冷蔵庫などの省電力器具の導入やノンフロン厨房機器の更なる導入を進めてまいります。プラスチック対策としては、店内飲食でのリユース食器の使用や、テイクアウト用容器包装類の一部において石油由来のプラスチック使用量の削減に取り組んでおり、今後より一層の規制強化が見込まれる環境法規制への対応を進めるため、使い捨てプラスチック製品における「環境配慮設計の促進」及び「使用の合理化」を強化してまいります。

 また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。該当指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。

 

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年3月まで30

8.5

男性労働者の育児休業取得率

2030年3月まで50

100.0

労働者の男女の賃金の差異

2030年3月まで70

58.9

(注)目標及び実績につきましては、当社及び主要な連結子会社の数字をまとめております。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 固定資産の減損損失について

 当社グループが保有する固定資産において、資産価値の下落やキャッシュ・フローの低下等によって減損処理の要否を判断しております。減損の兆候が識別されたレストラン事業の店舗資産の減損損失の認識の判定にあたり、経営者により承認された事業計画等を基に将来キャッシュ・フローを見積り、割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該固定資産の帳簿価額を下回るかどうかを判定しておりますが、さらなる経営環境の著しい悪化等により減損処理を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) レストラン事業の出退店方針について

 当社グループは、建築費及び人件費・材料費等の高騰を踏まえて、出店は投資効率を重視し、競争力発揮の再現性が高い立地・業種業態で展開してまいります。しかしながら、基準に合致する出店地確保が困難な場合や出店後において立地環境等の多大な変化等により計画された店舗収益が確保できない等の事態が生じた場合、また、業績不振による退店の増加により退店損失が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 競合の状況について

 当社グループの属する外食産業におきましては、比較的参入障壁が低く新規参入が多いこと、また個人消費が低迷する中、マーケットが飽和、成熟段階に入っており、お客様のニーズの変化、多様化が進んでおります。また、企業間の差別化が一層激しくなっており、厳しい競争にさらされています。
 当社グループといたしましては、接客力・セールス力の向上に力を入れ、“真に価値あるものの提供”を店舗において実現し、業界競争に影響されることなく独自の店舗運営を行うことで、他社との差別化を図っております。そのため収益性の低い業態は収益性の高い業態に集約を行うことにより活性化を図っております。しかしながら、今後の更なる競争激化等が進行した場合、事業活動、将来の成長が阻害され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 自然災害による影響

 自然災害による影響については、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 に記載しております。

 

(5) 法的規制等について

 当社グループの店舗は、「食品衛生法」の規定に基づき、店舗ごとに所轄の保健所より飲食店営業許可を取得しております。当社グループでは、店舗の衛生管理を徹底させるため、品質保証室による衛生検査を定期的に行っております。また、店舗及び食品工場の設備器具・食材の取扱い及び従業員の衛生管理につきましては、店舗運営管理マニュアル、衛生清掃マニュアル等で細目にわたり規定しております。
 上記のように、当社グループは積極的に衛生管理に取り組んでおりますが、店舗における飲食を理由とする食中毒や食品衛生に関するクレームの発生や、社会全般にわたる一般的な衛生問題等が発生した場合、事業活動、将来の成長が阻害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を受ける可能性があります。
 また当社グループで運輸事業を行っている水間鉄道㈱においては、鉄道事業法・道路交通法などの法的規制を受けております。具体的には鉄道事業では国土交通大臣による事業経営の許可、上限運賃等の認可などが必要です。旅客自動車運送事業においても事業経営の許可などが必要であり、現在の規制に重要な変更があった場合には当社グループの経営に影響を与える可能性があります。

 

(6) 差入保証金について

 当社グループでは賃借による出店を基本としております。このため、賃貸借契約締結に際し、デベロッパー(賃貸人)に対し保証金等を差し入れるケースがほとんどであります。
 当連結会計年度末における差入保証金の残高は43億16百万円で、連結総資産の13.7%を占めております。貸倒実績率及び個別にデベロッパーごとで債務超過等による場合は、貸倒引当金を計上しておりますが、デベロッパーの経営破綻等によって貸倒損失が発生した場合、事業活動、将来の成長が阻害され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 人材の確保について

 当社グループでは、今後の業容の拡大に伴い適切な人材の確保が必要であると考えております。そのため、新卒者の採用を積極的に行い人材の確保に努めるとともに、「人が育てば企業が育つ」の固い信念に基づいて、経営のあらゆる場面において“教育”を最重点課題として取り組んでおります。また、業績連動報酬制度の導入や年齢給を一切廃止し役職別賃金体系へ移行する等、モチベーションの向上と人材のレベルアップに努めております。しかしながら、今後、当社が必要とする人材の適時確保ができない場合、事業活動、将来の成長が阻害され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) M&Aについて

 当社グループはレストラン事業を中核として、食産業全般に事業領域を拡大する中での事業拡大と企業価値増大を目指しており、この中長期的な目標を達成するための経営戦略上M&A(企業の買収、営業譲受、合弁企業の設立等)を重要な手段として位置づけております。
 将来の収益力を最も重視するほか、シナジー効果が期待できる、スケールメリットを追求できる、グループの活性化につながる等、あくまでも長期的な事業活動、グループ成長戦略に資することを判断基準にしておりますので、短期的には当社グループの財政状態が悪化(株主資本比率の低下等)する可能性があります。

 

(9) 海外における事業展開

 海外での事業展開においては、各国の法令・制度・政治・経済・社会情勢等をはじめとした様々なカントリーリスクにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 個人情報の保護について

 当社グループは、お客様の個人情報を保有しております。情報の管理については法的義務に則った運用をしておりますが、万一これらの情報が外部へ流出した場合には、当社グループのブランドイメージの低下や社会的信用の失墜につながる可能性があります。

 

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費やインバウンド需要の拡大など経済活動の正常化を背景に景気は緩やかに回復してきております。しかしながら、米国の政策動向や、円安の長期化、地政学的リスクに起因するエネルギー資源や原材料価格などの高騰等もあり、依然として先行きは不透明な状況となっております。

外食産業におきましては、経済活動の正常化による人流増加に加え、インバウンドの回復も追い風となり、需要は堅調に回復したものの、米をはじめとする原材料の価格高騰、光熱費等様々なコストの上昇、人手不足による人件費の増加が継続しており、事業を取り巻く経営環境は依然として厳しいものとなっております。

このような状況の中、当社グループはグループ一丸となって事業収益の最大化を図るため、戦略構築と実行を徹底し、企業風土の変革を希求し続けてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高420億72百万円(前年同期比13.6%増)、営業利益9億47百万円(前年同期比124.3%増)、経常利益9億37百万円(前年同期比147.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6億49百万円(前年同期比40.8%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

(レストラン事業)

 レストラン事業においては、客数回復と利益確保を重視した方針のもと、オペレーション改善によるピーク時の回転率アップ、モバイルオーダーの導入による追加注文の促進、原材料高騰に対するメニュー改定等の対策に取り組むことにより、売上高の増加及びコスト削減を図りました。

 新店はそば部門の「叶家」1店舗、アジア部門その他の「シジャン」3店舗の合計4店舗であります。業態変更は3店舗、退店は26店舗であります。この結果、当連結会計年度末におけるレストラン事業の店舗数は、34都道府県に375店舗(フランチャイズ店舗87店舗を含む)となりました。

 以上の結果、レストラン事業の売上高は245億61百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益4億10百万円(前年同期比24.7%減)となりました。

[うどん部門]

 主力業態「杵屋」では、収益拡大を目指し、2024年7月に店舗ごとの立地特性に応じたメニュー変更を実施しました。これにより、各店舗での顧客ニーズにきめ細かく対応ができ、支持の拡大に努めました。また、季節メニューの品質向上と安定供給を目的としたキッチントレーニングの強化や、季節メニューでの新商品導入による訴求力向上も図り、来店客数及び売上高の増加につなげました。

 セルフうどん業態の「麦まる」「杵屋麦丸」では、ビジネス立地の来店客数回復に加え、空港やイベント施設でのインバウンド需要の増加が顕著となり、業態全体で大幅な利益改善を実現しました。

 当連結会計年度は、「杵屋」については退店2店舗を行いました。この結果、当部門の売上高は58億43百万円(前年同期比1.4%増)となりました。

[そば部門]

 主力業態「そじ坊」では、アフターコロナの環境下で夜間の「ちょい飲み」メニューを提供する店舗の売上が徐々に回復しました。コロナ禍で一時中断していた季節メニューの新規開発も再開し、積極的な商品投入により、特に上期の来客数増加に貢献しました。

 2024年5月には「そじ坊」で価格改定を実施し、客単価の上昇とともに売上増加に貢献しました。年末年始には一部店舗で「うな重定食」など高価格商品の販売を強化し、収益拡大に寄与しました。また、新商品の展開と品質向上・安定供給を目的としたキッチントレーニングの強化も推進しております。

 ビジネス立地中心に展開する「おらが蕎麦」では、2024年4月に収益改善を目的とした価格改定を実施し、収益性の向上を図りました。さらに、焼き鳥と自家製そばの「二尺五寸」では下期に価格改定を行い、客数・客単価ともに増加し、売上を大きく伸ばすことができました。

 当連結会計年度は、「叶家」については出店1店舗、「結月庵そじ坊」については「そじ坊」への業態変更1店舗、「寄り屋」については退店1店舗をそれぞれ行いました。この結果、当部門の売上高は109億66百万円(前年同期比6.2%増)となりました。

[洋食部門]

 「しゃぽーるーじゅ」「ロムレット」では、季節フェアの積極的な展開により来店数増加を図りました。モバイルオーダーの導入でサービス向上と人件費削減に取り組みましたが、下期の米や鶏卵など原材料価格の高騰により、利益面では課題が残りました。

 一方、関西空港に2023年12月オープンした「和SAKURA」は、インバウンド需要の増加を受けて客数が伸び、大幅な売上増となりました。

 当連結会計年度は、「しゃぽーるーじゅ」の退店1店舗を行いました。この結果、当部門の売上高は9億2百万円(前年同期比53.2%増)となりました。

[和食部門]

 主要業態「丼丼亭」では、季節フェアの定期開催やおすすめメニューの積極的な訴求により、年間を通じて客数・売上ともに増加しました。一方で、下期には米や鶏卵など原材料価格の高騰が続き、増収ではありますが減益となりました。

 また、2025年2月には新業態として「大阪木津市場 天はな」をオープンしました。木津市場直送の海鮮を使った天ぷらを中心に、お酒を楽しめる夜営業を強化し、オフィスワーカーをメインターゲットとした店舗展開を進めています。

 当連結会計年度は、「丼丼亭」については「叶家」への業態変更1店舗、「かつ里」については退店1店舗をそれぞれ行いました。この結果、当部門の売上高は10億80百万円(前年同期比2.9%増)となりました。

[アジア部門その他]

 韓国料理業態「シジャン」では、佐野プレミアムアウトレットの店舗を移転・改装により初めてフードコート出店をいたしました。フードコート仕様に合わせてメニューを厳選し、効率化とスピード提供を重視したセットメニューを中心に展開したことで、幅広いお客様に好評を得ています。さらに、ショッピングセンターや郊外にも3店舗を新規出店し、事業拡大を図りました。一部のシジャン既存店舗では、ジェラート専門店「solege」とのコラボレーションを実施し、デザートメニューの充実に取り組みました。

 また、ビジネス立地を中心に展開するタイ料理「サイアムオーキッド」「ティーヌン」では、アフターコロナもテイクアウト商品の売上が堅調に推移し、店内客数の増加や2024年7月の価格改定も追い風となり、売上を大きく伸ばすことができました。

 当連結会計年度は、「シジャン」については出店3店舗、退店2店舗、「バイガパオ」については「大阪木津市場 天はな」への業態変更1店舗、「solege」については退店1店舗をそれぞれ行いました。

 ㈱ゆきむら壱番亭が運営する「壱番亭」については退店1店舗、「ゆきむら亭」については退店3店舗、「めん商人」については退店1店舗、「鶏一番」については退店1店舗、「雪村餃子無人直売所」については退店12店舗をそれぞれ行いました。

 この結果、当部門の売上高は57億68百万円(前年同期比4.4%増)となりました。

(機内食事業)

㈱エイエイエスケータリングにおいては、国際線の航空需要が回復したため搭載食数が大幅に増加したことから増収増益となりました。

以上の結果、機内食事業の売上高は70億73百万円(前年同期比86.9%増)、セグメント利益4億19百万円(前年同期は3億18百万円の損失)となりました。

(業務用冷凍食品製造事業)

㈱アサヒウェルネスフーズにおいては、冷凍弁当の製造販売が増加したことにより増収増益となりました。

以上の結果、業務用冷凍食品製造事業の売上高は66億33百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント利益3億1百万円(前年同期比8.2%増)となりました。

(不動産賃貸事業)

不動産賃貸事業においては、大阪木津卸売市場の入居率はほぼ前年同期並みでありますが、駐車場使用料収入等が増加し増収増益となりました。

以上の結果、不動産賃貸事業の売上高は7億3百万円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益3億28百万円(前年同期比2.8%増)となりました。

(運輸事業)

水間鉄道㈱においては、運賃改定及びイベント実施等の効果により増収増益となりました。

以上の結果、運輸事業の売上高は4億36百万円(前年同期比4.1%増)、セグメント損失54百万円(前年同期は56百万円の損失)となりました。

(その他)

大阪木津卸売市場で展開しております水産物卸売事業は、魚介の卸売数量が増加したことから増収となりましたが、人材確保等のコストが上昇したため減益となりました。日本食糧卸㈱で展開しております米穀卸売事業は、販売数量が増加したことにより増収増益となりました。

以上の結果、その他の売上高は26億63百万円(前年同期比9.5%増)、セグメント損失49百万円(前年同期は73百万円の損失)となりました。

 

財政状態につきましては、次のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は94億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ62億11百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金67億5百万円の減少、売掛金1億80百万円の増加、原材料及び貯蔵品1億14百万円の増加によるものであります。固定資産は220億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ20百万円減少いたしました。これは主に、建物及び構築物2億7百万円の減少、繰延税金資産1億76百万円の増加によるものであります。

この結果、総資産は、314億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ62億32百万円減少いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は79億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億26百万円減少いたしました。これは主に、買掛金2億6百万円の増加、短期借入金7億円の増加、1年内返済予定の長期借入金7億50百万円の減少、未払法人税等1億15百万円の減少、未払消費税等2億51百万円の減少によるものであります。固定負債は140億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ65億20百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金65億62百万円の減少によるものであります。

この結果、負債合計は、220億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ67億46百万円減少いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は94億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億14百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益6億49百万円等によるものであります。

この結果、自己資本比率は29.4%(前連結会計年度末は23.2%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は16億49百万円(前年同期は14億68百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4億64百万円、減価償却費11億79百万円、減損損失5億15百万円、未払又は未収消費税等の減少額2億71百万円、法人税等の支払額2億98百万円等を反映したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は15億61百万円(前年同期は5億64百万円の獲得)となりました。これは主に、

有形固定資産の取得による支出13億73百万円、貸付けによる支出2億5百万円等を反映したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は67億93百万円(前年同期は28億39百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入れによる収入24億円、短期借入金の返済による支出17億円、長期借入れによる収入71億63百万円、長期借入金の返済による支出145億17百万円等を反映したものであります。

以上により、当連結会計年度における連結ベースの資金の減少額67億5百万円(前年同期は8億7百万円の減少)により、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は50億70百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので生産及び受注の実績は記載しておりません。

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

レストラン事業

 

 

うどん部門

5,843,418千円

1.4

そば部門

10,966,842

6.2

洋食部門

902,920

53.2

和食部門

1,080,330

2.9

アジア部門その他

5,768,295

4.4

小計

24,561,808

5.6

機内食事業

7,073,508

86.9

業務用冷凍食品製造事業

6,633,436

3.0

不動産賃貸事業

703,598

1.0

運輸事業

436,739

4.1

報告セグメント計

39,409,091

13.9

その他

2,663,713

9.5

合計

42,072,804

13.6

 

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、個人消費やインバウンド需要の拡大など経済活動の正常化を背景に景気は緩やかに回復してまいりました。しかしながら、米国の政策動向や、円安の長期化、地政学的リスクに起因するエネルギー資源や原材料価格などの高騰等もあり、依然として先行きは不透明な状況でありました。

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績におきましても、主力事業であるレストラン事業では、景気回復の波に乗り、売上高は前年同期比で5.6%増加しましたが、物価の上昇や人件費の高騰の影響を受けたことにより、セグメント利益は前年同期比24.7%減となりました。また、機内食事業では、国際便の航空需要が回復したため搭載食数が大幅に増加したことから、売上高は前年同期比86.9%増加するとともに、セグメント損益も前年同期では3億18百万円の損失から4億19百万円の利益に転じて大幅な回復を成し遂げました。

セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの財務戦略としては、堅実な財務体質のもと、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。経営資源最適配分のため、事業ポートフォリオの見直しを推進し、自己資本比率の増強を図ります。

 

1)資金需要

当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要、設備資金需要であります。運転資金需要としましては、グループ各社の営業活動に必要な運転資金(材料仕入、製造費、人件費等の営業費用)であります。設備資金需要としましては、レストラン事業における新規出店や既存店舗改装費等やその他各事業における事業の維持及び伸長に係る設備投資であります。

2)財務政策

当社グループは現在、運転資金、設備資金については、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施しております。長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適時判断して実施していくこととしております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

(1) 合弁契約

相手方の名称

国名

契約締結日

合弁会社名

契約内容

MYNEWS HOLDINGS BERHAD

(旧BISON CONSOLIDATED BERHAD)

マレーシア

2017年10月5日

MYNEWS KINEYA SDN.BHD.

 

マレーシアにおけるコンビニエンスストアで販売する中食商品全般を製造、供給するための食品工場を建設して共同で運営するための合弁契約

 

 

(2) シンジケートローン契約

相手先

契約締結日

期末残高

弁済期限

担保の内容

特約の内容

株式会社三井住友銀行

他3行

2018年6月26日

338,467千円

2034年6月30日

無担保

財務制限条項(注)

株式会社三井住友銀行

株式会社三菱UFJ銀行

他3行

2025年3月26日

4,000,000千円

2032年3月31日

無担保

財務制限条項(注)

(注)詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※3.財務制限条項に記載のとおりであります。

 

(3) コミットメントライン契約

相手先

契約締結日

期末残高

弁済期限

担保の内容

特約の内容

株式会社三井住友銀行

2025年3月26日

1,000,000千円

2026年3月26日

無担保

財務制限条項(注)

(注)詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※3.財務制限条項に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。