第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年2月28日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の方針

 当社グループは、国や地域を超えた世界中の人々のために企業活動を行い、すべては人々のために『For the People』を経営理念としています。理念を具現化するための事業活動指針である6つの価値観「うまい、やすい、はやい」「客数増加」「オリジナリティ」「健全性」「人材重視」「挑戦と革新」を共有・実践していくことで、株主、お客様及び従業員などステークホルダーの満足度向上や信頼構築に努めることを基軸として経営展開を図っています。

 

(2) 長期ビジョンを実現するための取組みについて

① 今までにない「新しいビジネスモデル」創り

当社グループは、長期ビジョン「NEW BEGINNINGS 2025」の実現に向けて、現在のビジネスモデルに代えて長期的に運用できる「新しいビジネスモデル」の構築を課題としています。既存の外食産業の範疇を超えるような市場創造・価値提供を行うモデル創りは、すでに素材開発や商品の提供方法の改善など、従来とは一線を画した踏み込みを開始しています。今後はその踏み込みを一層強めていくと同時に、さらに突出した「革新」による飛躍を図っていきます。

 

② 「飲食業の再定義」を実現するための組織づくりと取組み

 「飲食業の再定義」を実現していくため、よりスピーディーな意思決定が可能となるグループ経営体制への見直しを行っていきます。全てのグループ本部の機能発揮を最大化し経営効率を高めて、海外を含めたグループ全事業への能動的な貢献・関与・統制を強化していきます。グループ間での人事交流の活発化及びグループ商品本部による仕入れの共通化も引き続き行っています。海外各地域においては、現地経営体制の確立及び現地での意思決定を可能にするエリアと部分的に日本で意思決定するエリアを明確にすることで、今後のグローバル展開を一層加速していきます。

 また、「飲食業の再定義」の実現のため、ダイバーシティ(人材構成の多様化)の推進も引き続き行っていきます。

 

③ 「ひと・健康・テクノロジー」の実践へ

当社グループでは、2025年を最終年度とする長期ビジョン「NEW BEGINNIGS 2025」の実現に向け「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードとし、これまでの飲食業になかった新しい価値創造にチャレンジしています。

「ひと」に関わる取組みでは、「ひと」を活かすことで生まれる価値を追求し、その価値をお客様に提供していきます。グループ管理本部ではテレワークや出張に代わるWEB会議の促進といった新しい生活様式への対応を含めた本社機能の業務改革に取り組み、同時に従業員の働き方改革も進めています。「健康」に関しては、従業員の心と体の健康を経営の柱とする「ウェルネス経営」の一環として、従業員の健康リテラシーの向上と浸透を図っていきます。また、今後のメニュー開発は、「健康的」から「健康」そのものの追求へ取組みを深化させていきます。

最後に「テクノロジー」に関わる取組みでは、複雑なオペレーションを簡便化・効率化する設備や機器を導入し、職場環境の改善を図ることで、労働力の確保と生産性の向上に繋げていきます。2023年3月には、グループ財務経理本部傘下の情報システム機能を切り出し、グループデジタルテクノロジー推進本部を設立しました。経営環境の激しい変化に機動的かつ能動的に対処しつつ、デジタル技術の効果的な活用を推進することでデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現し、既存のビジネスモデルの変革に繋げていきます。

 

 

④  グループ中期経営計画

当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う社会経済活動への影響の継続、テレワークの恒常化やデジタル技術の加速的な進歩、急激なインフレの進行に伴う原材料価格の高騰、地政学的リスクの顕在化、地球温暖化による気候変動など、以前にも増して大きく変容しております。かかる中、生活インフラとして世の中に「食」の楽しさと豊かさをお届けしているという考えのもと、2023年2月期から2025年2月期までの3年間を期間として、「進化」と「再生」をキーワードに中期経営計画を策定しました。

3年以上におよぶコロナ禍への対応とレジリエンスを通じて、当社グループは「構造変化」に取り組んできました。この変化をさらに増進させるべく、中期経営計画の中では各ブランドの業態進化、成長事業の強化、コスト効率化、および財務基盤の安定化を軸に、「既存事業の収益性の拡大」と「投下資本効率の向上」を特に重要な課題として位置付けています。堅固な事業基盤の確立を着実に推し進めることで、当社グループの経済的価値と社会的価値の一層の向上に取り組んでいきます。

 

⑤  人的資本価値の最大化に向けた取組み

 当社グループは、サステナビリティ基本方針にもとづき特定した「5つのマテリアリティ」において、「ダイバーシティ&インクルージョンを実現し『ひと』の成長と活躍を促進する」ことを掲げています。経営理念に「For the People」を掲げ、日常食を提供する当社グループにとって、従業員が仕事を通じて感じる喜びややりがいは、お客様のおいしく豊かな食事を支えるサービスの源泉であり、「ひと」にしか成し得ない価値があります。「ひと」の多様性や個性を尊重し従業員の活躍と成長を促すことは、拡がり変わりゆく顧客ニーズを捉えた価値を生み出し続けることにつながり、企業としての持続的成長と社会への価値還元をもたらしていきます。

 

<人材育成方針>

 当社グループでは、全ての社員を幹部候補とみなし、公平な教育機会を提供しています。成長のための挑戦機会の提供や専門教育、配置転換を行い、成長と学びに必要な投資と環境整備を行います。

 

<社内環境整備方針>

 当社グループでは、全ての従業員が心身ともに健康で、安全な環境で働くことができるように、ダイバーシティ&インクルージョンの実践、ライフワークバランスの推進、ウェルネス経営の推進に努めています。

 

<人的資本の最大化に向けた3つの取組み方針>

ⅰ. ダイバーシティ&インクルージョンの実践

 「一人ひとりの個を活かす」という考えのもと、すべての従業員が互いに信頼関係を育みつつ持てる力を発揮し、いきいきと活躍できる会社を目指します。「個」から生まれる知の多様性をかけ合わせることで、変化への対応力=レジリエンスを高め、新たな価値=イノベーションを創出し、お客様と社会の課題を解決し続けます。

ⅱ. ライフワークバランスの推進

 仕事以外の生活の充実を促す休暇制度、従業員同士のつながりや関係性を良好にするためのコミュニケーション施策を導入・実施するとともに、社員の心と体の健康を経営の柱の一つに位置付ける「ウェルネス経営」を推進しています。

ⅲ. 人材育成・キャリア支援

 従業員一人ひとりの十分な能力発揮と、長期的な成長促進に主眼を置き、人材教育・キャリア支援への積極投資による「ひと」づくりを継続しています。

 

 

定量情報

指標

2023年2月期実績

女性管理職比率

グループ連結※1 26.1

国内事業※2    9.6

育児休暇取得率※2

男性 33.3%、女性 100.0

男女平均賃金の格差※2※3

および平均勤続年数※2 

部門長

85.1% 男性25.0年 女性21.9年

管理職(エリアマネジャーなど)

94.3% 男性20.2年 女性15.9年

非管理職(店長など)

92.9% 男性12.9年 女性8.2年

 

※1 グループ連結(海外含む)実績 

※2 吉野家ホールディングス、国内吉野家、はなまるの3社実績

※3 男性賃金を100とした時の女性賃金の割合

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2023年2月期(当期)においては、行動制限の解除以降、店内飲食を中心に既存店売上高が緩やかに回復しました。様々なコスト上昇の影響を受けましたが、売上高の伸長に伴う粗利益高の増加やコスト低減の取組みによって、本業の儲けを示す営業利益は34億34百万円と、前期を10億69百万円上回りました。コスト上昇の主な要因は、原材料価格と光熱費の高騰です。牛丼の主要食材である牛肉のほか、調理用油、鶏肉、輸入野菜などの様々な原材料価格が上昇し、光熱費も前期に比べて大幅に上昇しました。当社グループは、2020年2月期の売上高に対して90%の水準で利益を創出できる構造変化を実現していますが、この未曾有のコスト上昇に対し、継続して経費コントロールの強化に取り組むとともに、財務の健全性の回復に向けた借入金の返済や効率的な資金管理を行いました。一方、これらの自社努力だけではコスト上昇分の全てを吸収することはできず、グループの基幹事業である吉野家やはなまるにおいて主力商品の価格改定を行うなど、状況に柔軟かつ適切に対応しました。

2024年2月期においては、国内外での社会経済活動の本格的な再開による人流の増加が予想され、当社グループは、成長性および収益性の向上に向けて「客数獲得」と「成長投資の加速」を最優先事項として取り組みます。「客数獲得」は、魅力的な商品・販売施策の展開と従業員の接客サービスの向上による店舗体験価値を高めることで、既存顧客の来店頻度向上と新規顧客の獲得を図ります。「成長投資の加速」は、グループの基幹事業である吉野家において、新サービスモデル店舗への改装転換のスピードのギアを上げ、同期中に100店舗以上の改装を行います。一方、原材料価格や光熱費などのコスト上昇影響は、同期も継続すると見込んでおり、引き続き、適正な経費コントロールや本部経費の低減に取り組みます。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況および株価等に影響をおよぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの発生可能性やその時期、影響を認識した上で、リスク発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。 なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものですが、下記事項は当社グループが事業を継続する上で、必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要度が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

(1) 原材料の調達リスク

当社グループ各社が使用する食材は多岐にわたるため、新たな原料産地の開拓や分散調達等へのリスクヘッジに継続的に努めてまいりますが、疾病の発生や、天候不順、自然災害の発生、紛争による輸出入の停止、新型コロナウイルス感染症等の感染症の影響により、必要量の原材料の安定供給が困難な状況が生じる可能性があります。また、飼料価格や市場価格、為替相場の変動等により仕入価格が高騰し、売上原価が上昇することにより当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

(2) 吉野家事業への依存

当社グループの当該連結会計年度における売上高に占める吉野家セグメントの売上高の割合は67.7%となっており、今後も吉野家を当社グループの主力セグメントとして出店・改装等を進めていきますが、吉野家セグメントに対する依存から脱却すべく中核事業の育成に注力してまいります。しかしながら、当社グループが吉野家事業に引き続き依存する割合は高く、国内の吉野家の業績の低迷、消費者の嗜好の変化、牛肉の調達状況の悪化等が生じた場合、グループ全体の業績に大きな影響を与える可能性があります。

(3) 競合リスク

当社グループの業績は、景気動向、特に個人の消費動向に大きく影響を受けます。外食産業全体のマーケット規模が停滞しているなか、コンビニエンスストアによる弁当、惣菜類の販売といった中食市場に加え、デリバリービジネスの飛躍的拡大等、新しい生活様式に即した消費者ニーズに対する販売チャネルの多様化により、主要顧客層にも変動がみられ、競争は一層熾烈化しています。当社グループでは、新業態の開発、商品設計の変更、テイクアウト需要への対応等、引き続きグループ各社の出店等による成長、海外への積極的な展開等により、売上高を向上させる取組みを推進していきますが、今後、更に競合が熾烈化した場合に、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4) 気候変動

世界的規模でエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策のための法規制等、気候変動抑制のための動きが強まっています。当社グループにおいても、気候変動の重要性を認識しており、気候変動の移行リスク(地球温暖化対策の環境規制等によって調達やエネルギーコストが上昇するリスク、当社グループが環境に配慮していないとみなされて来店客が減少するリスク等)と物理的リスク(台風による工場や物流の稼働停止、店舗休業等の急性的リスクや、平均気温の上昇や気象パターンの変化による食材の品質低下や価格高騰等の慢性的リスク)は当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。

これらリスクに対して、当社グループはサステナビリティ基本方針を策定し、同方針に基づくサステナビリティ推進体制に則り、適宜取締役会に報告をしたうえで経営戦略の立案・修正を講じることとしております。

(5) 自然災害

当社グループは、全国に店舗や工場等を配置しているため、大規模な地震、風水害、火災による事故等が発生し、店舗、工場等の施設や情報システムに損害が生じ、営業活動や仕入、物流に支障が生じた場合、あるいはお客様、従業員に人的被害があった場合等、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは事業継続計画の策定、防災訓練の実施、社員安否確認システムの導入等、有事の対応マニュアルを整備していますが、これらの自然災害等が発生した場合には、正常な事業活動への復旧までの間、一定程度の時間を要する可能性があります。また新型コロナウイルス感染症を含む感染症の感染拡大等による顧客や従業員の確保不足等の影響で営業活動の継続が困難となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(6) 法的規制

当社グループでは、会社法、金融商品取引法、法人税法等の一般的な法令に加え、食品衛生、店舗設備、労働、環境等店舗の営業に関わる各種法規制や制度の制限を受けています。当社はリスク管理規程に基づきリスク管理委員会を設置し、当社グループ内に影響のある法制度の制改定に対する対応策を共有・実施していますが、法制度の制改定に対して不備や違反が生じた場合には、当社グループの信用に影響を与えるとともに、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループは国内外を含め、フランチャイズ契約による事業活動も展開しており、フランチャイジーによるこれらの不備や違反が発生した場合についても、当社グループの信用棄損につながる恐れがあります。加えて、これらの法的規制が強化された場合、それに対応するための新たな費用が増加することになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(7) 労務関連

当社グループでは、多数のパート・アルバイト社員を雇用しており、その一部は外国人労働者に依存しています。今後の人口態様の変化により、正社員を含めて適正な労働力を確保できない可能性があるほか、各種労働法令や入管法の改正等、あるいは厚生年金保険等、パート・アルバイト社員の処遇に関連した法改正が行われた場合、人件費負担が増加する可能性があるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(8) 食品の安全管理

当社グループの中心事業である飲食店及び外販(通販)事業においては、商品の安全性確保が極めて重要となります。当社グループでは、専門部門としてグループ品質保証室を設置し、その指導のもとに安全な食品をお客様に提供するため、調達・製造から店舗調理まで一貫した衛生管理を徹底しております。また、商品の改廃に合わせてアレルゲン情報や原産地情報を更新する等、適切な情報開示が可能な状態を構築しておりますが、当社グループを原因とする集団食中毒等の衛生問題や表示ミス等による商品事故が発生した場合、お客様に多大なご迷惑をおかけするばかりか、ブランドイメージや社会的信用の失墜、また損害賠償金の支払い等によって、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

(9) 減損リスク

当社グループは、現時点で合理的と考えられる業績回復の想定等に基づき店舗資産の評価を実施しておりますが、回復に要する期間や業績の見通し等の想定に大きな影響を与える事象が発生した場合には、追加の店舗資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度におきましては、12億59百万円の減損損失を計上しております。

(10) 不動産の賃借

当社グループは、事務所や大部分の店舗の土地建物を賃借しています。賃借期間は賃貸人との合意により更新可能ですが、定期建物賃貸借契約の場合には、期間満了をもって再契約を拒否される可能性があるほか、普通賃貸借契約であっても賃貸人側の事情により賃貸借契約を解約される可能性や賃料増額請求を申入れされる可能性があります。また、当社グループが賃借している建物の経年劣化や土地収用等により、明け渡しをせざるを得ない物件が生じる可能性もあり、経営成績に影響をおよぼす可能性があります。なお、賃貸人に対して当該事業年度末時点で総額110億32百万円の保証金を差し入れていますが、このうちの一部が倒産その他の賃貸人に生じた事由により回収できなくなるリスクがあります。

(11) 情報管理

当社グループは、サプライチェーンの管理、店舗からの発注、店舗での注文や決裁等において情報通信システムに大きく依存しております。当社グループの情報システム部門においては、コンピューターウィルス・サイバー攻撃などに対して、適切に防止策を実施しておりリスク低減に努めておりますが、情報通信システムが悪意ある攻撃などにより障害が発生した場合には、効率的な運営ができず、また社会的信用の失墜により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(12) 個人情報の漏洩

当社グループ各社において、お客様、従業員ならびに株主の皆様に関する個人情報につきましては、プライバシーポリシーを開示の上、主管部門にて適正に管理し、個人情報の漏洩防止に努めていますが、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらの個人情報が漏洩した場合、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性や、対応費用の発生、損害賠償金の支払い等により、当社グループの事業、業績に影響を与える可能性があります。

(13) インターネットによる風評被害

インターネット上において、当社グループ及びその関係者に関連し不適切な書き込みや画像等の公開によって風評被害や食の安全を毀損するような不安を生じさせることとなった場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループの事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用に影響をおよぼす可能性があります。

また、当社グループの競合他社等に対する風評被害等であっても、外食市場全体の社会的評価や食の安全に対する信用が下落するものであれば、当社グループの事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用にも影響を与える可能性があります。
 これらリスクに対して、当社グループは危険な兆候の早期発見に努めると同時に不適切な投稿が確認された場合は、迅速かつ適切な対応を図っています。

 

(14) 海外展開におけるカントリーリスク

当社グループでは、海外での事業展開を目的に積極的な海外進出を行っており、中国・アセアンにおいては現地統括会社を設立しています。進出国における政情、経済、法規制、ビジネス慣習等の同国特有なカントリーリスクや同国の法改正による事業活動の制限により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、類似商標による権利侵害をされることにより、当社グループのブランドイメージを低下させる可能性があります。

(15) 新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症の拡大及び政府等による対応策に伴う消費者の外食機会及び外食意欲の減少等により、当社グループの店舗の営業時間の短縮や閉店、来店客数の減少の影響は現時点で回復基調にあるものの、今後、新たな変異株の出現などによる感染症の拡大により、再び消費者の行動に制限が課され、移動または外出の機会が大幅に減少する状況が発生した場合、来店客数の減少により売上が低迷し、当社グループの業績や財務状況に重大な影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2022年3月1日から2023年2月28日まで)の業績は、売上高1,680億99百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益34億34百万円(前年同期比45.2%増)、経常利益87億41百万円(前年同期比44.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益72億34百万円(前年同期比10.9%減)となりました。

 国内事業の売上高は、まん延防止等重点措置の解除以降緩やかに回復し、行動制限のない5月の大型連休では既存店売上高が新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで戻りました。7月後半からの「第7波」、年末年始の「第8波」と新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響を一時的に受けましたが、政府の旅行支援策や入国者の水際対策の緩和など、社会経済活動の正常化に伴う人流の増加により、足元の既存店売上高は回復が進んでいます。海外事業の売上高は、中国では上海のロックダウンをはじめ他の都市においても散発的に行動規制が実施されるなど、感染防止に向けた厳格な措置の大きな影響を受けました。一方、感染状況が落ち着いたアセアン各国は人流の増加に伴い回復傾向にあり、さらにアメリカはインフレが続くものの依然として好調に推移しています。

 コストについては、食材ロスの低減や経費コントロールの強化に継続して取り組んでいますが、様々な原材料の価格高騰や光熱費の上昇の影響を受けました。また、地政学上のリスクや為替の変動など先行きが不透明な状態が続いています。なお営業外収益に各自治体からの営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金等を助成金等収入として48億81百万円計上しています。

 

 セグメント概況につきましては、次のとおりです。

 

 [吉野家]

 売上高は1,137億67百万円(前年同期比6.3%増)となりました。

 増収の主な要因は、まん延防止等重点措置の解除以降、店内飲食が回復傾向であることと外販事業が堅調に推移したことです。既存顧客の来店頻度向上策として、高付加価値商品である「牛焼肉定食」「牛皿麦とろ御膳」「月見牛とじ御膳」「牛すき鍋膳」「牛すき丼」「ねぎ塩牛カルビ丼」を販売しました。新規顧客の獲得やライフタイムバリュー向上策として、10年ぶりの復活となった「親子丼」の販売や牛カレーのブラッシュアップを行いました。また、「呪術廻戦」とのコラボレーション、「朝夜割」「お子様割」「牛ポ!」「肉だく半額祭」「朝活クーポンキャンペーン」、テイクアウトの牛丼やから揚げの割引キャンペーンなどの販売施策を実施しました。さらに外販事業の新商品として、7月に販売を開始した外食初の特定保健用食品である冷凍牛丼の具「トク牛サラシアプレミアム」は6万食を販売しました。加えて、顧客利便性向上の取組みとして、店内およびテイクアウト注文タブレットの導入、テイクアウト専用受取窓口の設置店舗拡大などの積極的な機能強化を図るとともに、デリバリー対応店舗は1,011店舗(前期末+58店舗)となりました。また、新たな出店戦略として、テイクアウト専門店を9店舗出店しました。適正な経費コントロールを継続して行うと同時に、10月には主力商品の価格改定を行うなど機動的な施策を展開しましたが、牛肉を中心とした原材料の高騰や光熱費の上昇により、セグメント利益は62億13百万円(前年同期比14.6%減)となりました。同期間の店舗数は23店舗を出店し16店舗を閉鎖した結果、1,197店舗となりました。また、クッキング&コンフォート(C&C)店舗への転換状況は、8店舗を出店し75店舗を改装した結果、248店舗となりました。

 

 

 [はなまる]

 売上高は253億26百万円(前年同期比18.2%増)となりました。

 増収の主な要因は、既存店売上高がまん延防止等重点措置の解除により緩やかに回復したことです。加えて、新規顧客の獲得および来店頻度向上を図った商品施策、販売施策を実施したことにより、既存店売上高は前年同期を大きく上回りました。商品施策として、「つけ麺フェア」「活力満点!とろ玉フェア」「冷やし担々フェア」「肉ガッツリ!!肉肉フェア」「とろ~り、あったか!あんかけフェア」「牛すきぶっかけ」「あったか担々うどんフェア」など魅力的な季節商品を連続して展開しました。販売施策として、「天ぷら定期券」「スペシャルクーポン」「スーパーアプリクーポン祭」や、「映画デリシャスパーティプリキュア」「Pokémon GO」とのコラボキャンペーンを展開しました。また、10月には主力商品の価格改定を行うなど機動的に施策を展開しました。お客様が列に並ばずにうどんや天ぷらを注文できるテイクアウト専用セルフレジの導入を進めるなど、テイクアウト、デリバリー需要の獲得に向けた取組みも継続して行い、デリバリー対応店舗は269店舗(前期末+2店舗)となりました。また、前年の「季節麺(夏麺・冬麺)」の導入に続き、全店舗にて新しい「だし」への切り替えも行うなど政策テーマである「原点回帰」として商品価値づくりにも力を入れています。これらの施策によって前期より営業損失を大幅に改善しましたが、原材料や光熱費の上昇の影響を強く受け、セグメント損失は2億68百万円(前年同期は13億16百万円の損失)となりました。同期間の店舗数は4店舗を出店し22店舗を閉鎖した結果、445店舗となりました。

 

 

 [海外]

 売上高は253億62百万円(前年同期比12.7%増)となりました。

 増収の主な要因は、アメリカの既存店売上高が好調に推移したことに加え、アセアン各国の既存店売上高が回復傾向にあることです。アメリカは顧客ニーズを捉えた新商品展開や機動的な価格政策を行うことで、歴史的なインフレが続く中でも依然として力強い売上高を維持しており、原材料高やエネルギーコストの上昇にも対応しています。中国は3月末より行われた上海でのロックダウンによる営業停止措置をはじめ、その他の都市においても営業停止や店内飲食の禁止など厳格な措置の影響を受けました。中国政府によるゼロコロナ政策の転換を迎える中、12月には上海に和をモチーフとした新店舗をオープンしました。アセアン各国は感染状況が落ち着き、人流の増加とともに既存店売上高は回復傾向となっています。また、今後の成長が期待されるフィリピンでは、新コンセプト店舗を4店舗オープンし、既存店の改装も行いリブランディングを進めています。原材料高や光熱費などのコスト上昇の影響を受けたものの、増収によりセグメント利益は13億63百万円(前年同期比20.7%増)となりました。同期間の店舗数は64店舗を出店し75店舗を閉鎖した結果、963店舗となりました。なお、海外は暦年決算のため1~12月の実績を取り込んでいます。

 

 当連結会計年度末の財政状態につきましては、次のとおりです。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ39億84百万円減少し1,082億30百万円となりました。主な要因は、アメリカにおけるリース会計基準の変更等により使用権資産が33億37百万円増加した一方、設備投資や借入金の返済により現金及び預金が109億45百万円減少し、本業以外の固定資産である投資不動産の売却を進めたことです。

負債は、前連結会計年度末に比べ108億46百万円減少し526億26百万円となりました。主な要因は、アメリカにおけるリース会計基準の変更等によりリース債務が36億46百万円増加した一方、長期借入金および1年内返済予定の長期借入金を104億8百万円返済したことです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ68億61百万円増加し556億3百万円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末比で8.0%増加し50.9%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、換算差額を加え、前連結会計年度末より108億15百万円減少して233億96百万円となりました。 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、72億45百万円の収入(前年同期は234億42百万円の収入)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益89億75百万円に減価償却費61億38百万円、減損損失12億59百万円等の収入に加え、法人税等の支払額53億34百万円、棚卸資産の増加13億74百万円の支出等です。 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、40億14百万円の支出(前年同期は3億33百万円の支出)となりました。主な内訳は、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出60億72百万円、投資不動産の売却による収入14億25百万円等です。 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、141億96百万円の支出(前年同期は260億42百万円の支出)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出104億8百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出23億51百万円、配当金の支払額6億50百万円等です。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

吉野家

12,113

29.4

はなまる

1,262

26.9

その他

180

1.9

合計

13,556

28.7

 

(注)  海外は生産実績がないため、記載していません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

吉野家

112,775

6.4

はなまる

25,137

18.2

海外

25,362

12.7

その他

4,823

25.0

合計

168,099

9.4

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しています。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(ⅰ)売上高

 売上高は前年同期に比べて144億97百万円増加し、1,680億99百万円(前年同期比9.4%増)となりました。主な要因は、国内事業についてはまん延防止等重点措置の解除後、人流の回復に伴い既存店売上高が回復したことおよび海外事業については厳格な感染症対策が行われた中国は減収となりましたが、好調なアメリカが牽引したことです。

(ⅱ)営業利益

 営業利益は前年同期に比べて10億69百万円増加し、34億34百万円(前年同期比45.2%増)となりました。主な要因は、原材料価格や光熱費などコスト上昇はあったものの、前々期から実行しているコスト構造改革の効果、変動費を適正にコントロールしたことおよび増収により経費率が低減したことです。なお、為替変動による影響は1億91百万円の増加となりました。

 

(ⅲ)経常利益

 経常利益は前年同期に比べて69億1百万円減少し、87億41百万円(前年同期比44.1%減)となりました。主な要因は、各自治体からの営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金などの助成金等が82億44百万円減少したことです。

(ⅳ)特別利益

 特別利益は、主に持分法適用会社株式等の売却に伴う関係会社株式売却益17億25百万円、本業以外の固定資産に係る売却益を計上した結果、前年同期に比べて18億25百万円増加し24億38百万円となりました。

(ⅴ)特別損失

 特別損失は、主に閉店決定や店舗資産の収益力の低下に伴う減損損失12億59百万円、固定資産の廃棄に伴う除却損2億78百万円などを計上した結果、前年同期に比べて7億17百万円減少し22億3百万円となりました。なお、はなまるにおいては将来の収益性をより高めるため、不採算店の整理に係る減損損失5億48百万円を計上しました。

(ⅵ)親会社株主に帰属する当期純利益

 法人税、住民税及び事業税15億46百万円、法人税等調整額3億84百万円、非支配株主に帰属する当期純損失1億89百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は72億34百万円となりました(前年同期比10.9%減)。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループでは、今後の事業拡大や経営基盤の強化に必要な新規出店、既存店舗の改装、生産設備の増強等のために主要な資金需要があります。これらの設備投資に必要な資金は、内部留保の配分に加え、金融機関からの借入金やリース取引などを活用して調達しています。なお、借入金のうち、短期借入金は主に営業取引に関する資金に、長期借入金は主に設備投資に充てられています。

また、運転資金については、国内連結子会社の余剰資金を集中管理し、必要に応じて配分しています。このような一元管理により、資金の効率的な活用を図っています。また、純有利子負債残高を一定の範囲内に維持することで、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しています。

 

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

流動比率

106.9%

108.8%

122.4%

154.4%

153.8%

自己資本比率

43.9%

37.9%

30.0%

42.9%

50.9%

時価ベースの自己資本比率

103.6%

109.8%

102.8%

137.5%

140.0%

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

14.0年

3.6年

25.1年

1.6年

3.5年

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

15.6倍

26.9倍

5.2倍

50.4倍

17.4倍

 

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たりまして、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(国内子会社)

(1) 会社名 ㈱吉野家

 フランチャイジーとの加盟契約
① 契約の名称

吉野家フランチャイズ・チェーン加盟契約書

② 契約の本旨

本部の許諾による牛丼チェーン経営のためのフランチャイズ契約関係を形成すること。

③ 契約の期間

加盟者の店舗開店日より5年間

④ 契約の更新

契約期間満了の際は自動的に契約が終了し、継続して契約を更新する場合は、新たに契約を締結する。

⑤ 登録商標・マークの使用、ノウハウの提供に関する事項

本部は、加盟者との契約が存続する間は、店舗において登録商標およびマークを使用することを許可する。また、加盟者に対し店舗のカラー、デザイン、レイアウト、看板並びに商品化方法およびサービス方法など、フランチャイズ・システムのノウハウを提供する。

⑥ 加盟に際し、徴収する加盟金、保証金、その他金銭に関する事項

 

内容

加盟金

一律150万円

更新料

一律75万円

預託保証金

一律75万円

ロイヤリティ

毎月総売上の3%相当額

広告宣伝費

毎月総売上の1%相当額

事務管理費

機器一式に付38千円/月、ポスレジ1台に付6千円/月ほか

 

 

 

(2) 会社名 ㈱はなまる

 フランチャイジーとの加盟契約
① 契約の名称

まんまるはなまるうどんフランチャイズチェーン加盟契約書

② 契約の本旨

本部の承諾による、まんまるはなまるうどん経営のためのフランチャイズ契約関係を形成すること。

③ 契約の期間

加盟契約締結の日より5年間

④ 契約の更新

契約期間満了の3ヶ月前に双方協議の上決定する。継続して契約を更新する場合は、新たに契約を締結する。

⑤ 登録商標・マークの使用、ノウハウの提供に関する事項

本部は、加盟者との契約が存続する間は、店舗において登録商標およびマークを使用することを許可する。また、加盟者に対し店舗のカラー、デザイン、レイアウト、看板並びに商品化方法およびサービス方法など、フランチャイズ・システムのノウハウを提供する。

⑥ 加盟に際し、徴収する加盟金、保証金、その他金銭に関する事項

 

内容

加盟金

350万円(6店舗以上250万円)

更新料

初回更新料 無料 2回目以降の契約更新 一律50万円  更新事務手数料 一律5万円

開店指導料

一律150万円

預託保証金

一律250万円

ロイヤリティ

1店舗当たり18万円/月

広告宣伝費及び
販売促進費

毎月総売上の0.5%

事務管理費

21千円/月

 

 

5 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。