第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社の社会的使命は「快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理は人々を『幸せ』にします。私たちは、それらを高品質で提供しながら、低価格で実現する努力を行う事によって、より多くの人に『幸せ』を感じてもらう事を使命とします。」と定めています。そして、その使命を全うするために『お客様から褒められる店を創ろう!』というわかりやすい言葉を経営理念としております。

 お客様から褒められる店舗創りを実現するためには、顧客ニーズをくみ取り、それに応えていく必要があり、そのためには従業員の「考える」「発言する」「行動する」「反省する」という主体性が不可欠です。当社は創業当時よりそうした「自奮自発の精神」を大切にし、従業員が自己成長することをサポートすることで、真のお客様サービスの追求と実践を行ってまいりました。今後もこの精神を伝承し、従業員の成長をもって会社の持続的な成長を実現してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は美味しい料理を提供して、より多くの人に幸せを感じてもらいたいという社会的使命に基づき、着実な「増収」を目標とするとともに、原価率の適正な水準やコスト管理を重視する方針から、「売上高営業利益率」を重要な指標としております。当期の「売上高営業利益率」は9.8%と、目標水準である8%を大きく上回る成果を上げました。

 同時に、企業価値のさらなる向上を図るため、将来の事業展開を目的とした設備及び人的資本に対する成長投資を推進するとともに、資本効率を重視し、安定的かつ持続的な配当による株主還元の向上に努めてまいります。

 

(3)会社の経営戦略・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①従業員の価値創造力の向上

 一人ひとりの従業員が成長し、付加価値を創造するためには、仕事や会社に対するエンゲージメントを高めることが不可欠であると考えています。当社は毎年実施している専門業者による従業員満足度調査を、エンゲージメントを可視化するものとして重視し、その結果を経営に活かすように努めています。調査結果を待遇や労働環境の改善に活かすだけでなく、各種研修を受講する機会が幅広く従業員に提供されています。またアルバイト・パートに対しては、育成を目的としたランクアップシステムを整備しております。こうした機会が、従業員の成長と生産性向上に直接役立つとともに、ワークエンゲージメントの向上に大きく寄与し、それが仕事への情熱や誇り、そしてプロ意識となって、お客様の期待に応える新たな価値創造につながっています。

 さらに処遇面でも大幅な引き上げを実施しております。当社は2023年、2024年、2025年と3年連続となるベースアップと定期昇給を実施し、賞与でも、夏期、冬期賞与以外に、これまで決算賞与、コロナ禍においてはコロナ慰労金、新生活支援金等を支給しております。こうした継続的な賃上げとともに新卒採用を強化すべく、大卒初任給も大幅に引き上げました。当社で働く魅力を映像コンテンツ等で発信し、採用ブランディングを高め、インナー採用も継続的に推進し、人材確保に努めております。

 ダイバーシティにおいては、障害のある社員が能力を最大限に発揮できる職場を作ることを目的に、特例子会社王将ハートフルを設立し、その事業を展開し、障害者雇用に積極的に取り組んでいます。さらに、重要ポジションへの女性の積極登用や、外国人労働者の特定技能制度の利用開始など、当社は多様な人材に活躍の場を提供しております。

 

②店舗や工場の積極投資

 工場における品質と生産性の向上、そして新たな付加価値商品の開発を推進するため、主力工場である久御山工場の麺ラインを最新設備に更新いたしました。また原材料の安定供給と品質管理を強化するため、取引先と連携し、定期的に産地を訪問して生産者の方々との協力体制を構築しております。

 店舗投資につきましては、海外も含め、引き続き重点出店地域への積極的な出店を進めるとともに、FC店舗の直営化や既存FCオーナーの複数出店を支援し、1,000店舗達成に向けて取り組んでまいります。それに加えて、省エネ化を含めた既存店の大規模な改装工事を実施し、お客様のみならず従業員にとっても愛着と誇りを持てる店創りを実施してまいります。

 また、店舗業務へのデジタル活用を推進しており、自動釣銭機やセミセルフレジの導入、「テイクアウトネット予約」の開発など、顧客利便性とともに、省力化や生産効率向上などに役立つデジタル技術の導入を積極的に進めております。

 当社のDX戦略の最終の目標は、「デジタル技術が創り出す価値」の導入による「人にしか創り出せない価値」の最大化であり、そのための土台であるIT基盤を最適化し、DX戦略を積極的に推進してまいります。

 

 

③商品力の向上

 昨年「Challenge2024」で実施した餃子の改良に続き、「餃子の王将をもっと美味しくChallenge2025」と題し、麺のリニューアルを行いました。麺に使用する卵の調合などを見直し、麺の厚みや小麦粉の練り具合など絶妙なバランスにすることで、コシのあるしっかりとした弾力感とコクが加わり、北海道産小麦の風味をより味わっていただけるようになりました。さらに配合を改良した上で、さらに太さのある「平打ち麺」を新開発しました。太さがあることでラーメンスープに良く絡み、具材に負けない存在感と食べ応えがアップするなど、既存メニューのさらなるブラッシュアップにつながっております。

 

④ブランド力の強化

 「人生においしい力を」をコンセプトとし、創業58年を迎えた当社だからこそ描けるテレビCMの放映を開始いたしました。定年退職を迎えた先輩をねぎらう温かいシーンや、その人だけの「スペシャル・デイ」に当社でお食事を楽しむ様子、さらに親子で生餃子を楽しそうに焼いている様子など、お食事だけではなく、独自の体験価値を訴求しております。

 ブランド力の強化に向け、2025年スローガンとして「プロの技と、プロの味と、プロの誇りを。おいしい力が、未来を変える。」と定めました。全役職員がこのスローガンを胸に抱き、当社はさらなる飛躍を目指してまいります。

 また、当社ではさまざまな社会課題に対し、食を通じて積極的に取り組んでいくため、特に重要性の高い社会課題項目を8つのマテリアリティ(重点課題)にまとめました。

 当社の成長の大前提となる持続可能な社会形成を実現するため、マテリアリティの追求に全社を挙げて取り組んでまいります。

 

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社は、「快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理は人々を幸せにします」という社会的使命のもと、「お客様から『褒められる店』を創ろう」という経営理念に則り、事業を遂行しております。サステナビリティは、その実現のための基礎となるものであるため、経営戦略を具現化するための中期経営計画の大目標の一つとして「サステナビリティの推進」を掲げるとともに、「サステナビリティ委員会」で対応を進めております。

 また、サステナビリティビジョンとして「食に困らない豊かな社会の実現」、「全てのステークホルダーとの共栄」、「地球環境の保全」を目指すことを表明し、積極的・能動的に取り組んでおります。2025年3月に、中長期的な事業への影響度と様々なステークホルダーを含む社会からの期待の両面から社会課題を評価し、8つのマテリアリティ(重点課題)について検討しました。なお、検討した8つのマテリアリティについては2025年5月の取締役会にて決議されました。

 

<マテリアリティ(重点課題)>

①人々が「幸せ」を感じられるように、快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理を、リーズナブルな価格で、より多くの人にご提供

②将来を担う日本の子ども達の今と未来を支えるお手伝い

③コンプライアンスと従業員の安全を最優先とする事業活動の推進

④お客様を始めとした全てのステークホルダーとのwin‐winの関係を構築

⑤従業員満足度と顧客満足度の好循環を実現

⑥プロの技を持ち、プロの味をご提供し、そしてプロの誇りを持った人材育成のための戦略的な投資

⑦サステナブルな社会形成に向けた脱炭素の着実な取り組み

⑧当社事業による環境負荷を低減し、循環型社会形成に貢献

 

 

特定したマテリアリティについて、サステナビリティ委員会や経営戦略会議を中心に、リスク・機会への対応に向けた対応策、各マテリアリティに対応した指標・目標についても検討してまいります。

 

(2)ガバナンス

 当社は、サステナビリティに係る課題の検討やモニタリング等の対応については、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会(原則年4回開催)で目標・計画の策定、重点取り組み課題の選定、計画に対する進捗を確認し、適宜、リスクと機会及び財務への影響をステークホルダーに開示します。

 「気候変動対応」や「人的資本・多様性」を含むサステナビリティに関わる重要な議案は取締役会に上程、報告を行い、承認、助言、監督を受けます。

 組織体制は下記図の通りです。

 2024年度のサステナビリティ委員会、及び原則として毎週開催されている経営戦略会議において、マテリアリティの特定、人的資本及び人材育成への投資、Scope1、2排出量の削減、プラスチック使用量削減の継続推進、サステナビリティ・リンク・ローンのKPI進捗状況確認、子ども達への「食」を通じた支援などについて議論を継続して実施しました。

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(3)戦略

①気候変動

a シナリオ分析

 当社では、2100年における世界の気温上昇が2℃上昇と4℃上昇の世界観を想定し、2030年、および2050年におけるシナリオ分析を実施しました。

 海外につきましては台湾に事業所と直営店2店舗がありますが、当社全体への影響は極めて小さいことから、対象を国内に絞り、シナリオ分析を進めました。

 以下に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオなどを参照して、重要度の評価及び財務的影響の分析を実施しています。

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b リスク、機会

 特に当社で実際に起きる可能性が高いと想定されるリスク8項目、機会5項目を開示します。

 

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c 対応策

 特定したリスク、機会に対する中長期での対応策につきましては、継続的な実施と効果評価を行い、事業活動のレジリエンスを高めてまいります。

 

 

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②人的資本・多様性

a 人が価値を創り出す企業

 当社は一人ひとりの従業員が成長し、付加価値を創造するためには、仕事や会社に対するエンゲージメントを高めることが不可欠であると考えています。当社は毎年実施している専門業者による従業員満足度調査を、エンゲージメントを可視化するものとして重視し、その結果を経営に活かすように努めています。調査結果をもとに待遇や労働環境の改善に活かすだけでなく、各種研修を受講する機会が幅広く従業員に提供されています。またアルバイト・パートに対しては、育成を目的としたランクアップシステムを整備しております。こうした機会が、従業員の成長と生産性向上に直接役立つとともに、ワークエンゲージメントの向上に大きく寄与し、それが仕事への情熱や誇り、そしてプロ意識となって、お客様の期待を超える新たな価値創造につながっています。

 

 待遇面においても、2024年度の月例給改定では、一人当たり平均39,162円(べースアップを含めた賃上げ率11.5%)と2023年度の過去最高を上回る引き上げを実施し、さらに、好調な業績に貢献した全従業員に報いるため、2024年夏期賞与では、労働組合からの要求に対して満額回答となる賞与テーブル100%水準に、13%分を加算した支給を行いました。

 さらに2024年冬期賞与においては、労働組合から要求のあった「賞与テーブル(2023年冬期賞与支給実績)100%の支給」に満額回答するとともにこれに加えて、「賞与テーブルの10%分を『加算賞与』として上乗せ」することで、合計で賞与テーブルの110%水準の支給を行いました。その結果、社員の平均年収は過去最高額を大幅に上回り、10年前の2014年と比較すると一人当たり1百万円以上の年収増となっております。併せて、大卒初任給について、52,000円の大幅な引き上げを実施(実施後大卒初任給278,500円)し、有為な人材の確保の面でも成果を上げました。

 なお、2025年4月には、当連結会計年度の好調な業績を踏まえ、3億42百万円を支給原資として、昨年に続いて決算賞与の支給を行いました。また、2025年度の月例給の改定においては、労働組合からの要求を上回る一人当たり平均30,139円の賃上げを実施(賃上げ率8.2%)し、3年連続のべースアップによる直近3年間の賃上げ率を約29%としたほか、大卒初任給をさらに21,500円引き上げて300,000円といたしました。

 

b 多様性の確保

 当社は性別、年齢、国籍、新卒・中途に関係なく、様々な人材を採用しています。全従業員における女性の割合は約半数を占めており今後も引き続き女性の採用を積極的に進めてまいります。また、外国人については、特定技能の在留資格を有する方の採用を行い、活躍いただいています。さらに、中途採用者については、中途入社者研修を実施することで、当社に関する理解を深め、知識・経験・能力を培うことのできる環境を整備し、活躍できる体制を構築しています。そして、障害者雇用についても、特例子会社を設立し、障害のある社員が能力を最大限に発揮できる職場を作ることを目的に、全社的に積極的に取り組んでおります。

 人材の登用についても採用同様に性別、年齢、国籍、新卒・中途に関係なく、適性に応じ各ポジションへの登用を実施しており、適性のある女性については積極的に管理職に登用してまいります。中途採用者については当社での経験年数の長短に関係なく、実力と成果に応じ早期に管理職および上級管理職として活躍できる体制を構築しております。さらに、パートタイマーに対しても育成のための教育プログラムを充実させ積極的に正社員への登用を行い、各自のライフプランに合わせて勤務時間や雇用形態などを選ぶことができるキャリアアップ転換制度を設けることで、柔軟な働き方を可能とし、各人がキャリアアップしながら長く安心して働ける環境の整備に努めています。

 これらの対応によって、多様な価値観を取り入れ、持続的な成長を図っております。

 

 

 

(4)リスク管理

 当社は、サステナビリティ委員会や経営戦略会議で、財務への影響等の観点から気候変動を中心にサステナビリティ全般に関するリスク・機会を識別・評価し、重要なリスク・機会を特定しています。特定されたリスク・機会については、サステナビリティ委員会や経営戦略会議を中心にリスクの回避、軽減、コントロール、機会への早期着手に関する方針の策定や対応策の立案などを実施し、取締役会への上程、報告と承認、助言、監督を受け、全社を通じたリスクマネジメントを行っています。また、対応策の実施状況、およびその効果についてモニタリングを実施しています。

 

(5)指標及び目標

①気候変動

 当社では事業活動におけるCO₂排出量(Scope1、2)の把握に加え、2021年度より原材料の調達や輸配送、フランチャイズチェーンなども含んだサプライチェーンのCO₂排出量(Scope3)の把握に取り組み始めました。

 2023年度の事業活動におけるCO₂排出量(Scope1、2)は79,405t-CO₂、およびサプライチェーンにおけるCO₂排出量(Scope3)は282,251t-CO₂でした。

・ 2023年度 売上百万円当たりの事業活動におけるCO₂排出量(Scope1、2) : 0.78t-CO₂/百万円

 当社2021年度のCO₂排出量を基準値として、日本の2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、当社としても省エネルギー・創エネルギー活動を推進すると共に再生可能エネルギーの活用検討も進め、継続的な低・脱炭素活動を推進してまいります。具体的な目標につきましては、現在設定に向けて検討を進めております。

 サプライチェーンのCO₂排出量(Scope3)につきましても環境配慮型素材の探索や開発、環境負荷低減に貢献する活動を推進し、削減に貢献してまいります。

 2024年度の実績につきましては、今後以下のページに開示する予定です。

URL:https://ir.ohsho.co.jp/csr/tcfd/

 

②人的資本・多様性

 当社では、上記「(3)戦略」において記載した、人的資本・多様性について、次の通り目標を定めて積極的に取り組んでおります。

 管理職に占める女性労働者の割合の目標は、2029年3月31日までに4%以上と定めており、当事業年度末で2.4%(対象は提出会社)となりました。女性の職場での活躍をさらに促進し、目標達成に向けて傾注してまいります。

 また、障害者雇用率については、同雇用率が法定雇用率を上回る雇用水準を維持する目標を設定し、当事業年度末で3.72%(提出会社と特例子会社を合算)と目標を達成いたしました。今後も障害者雇用を積極的に進め、法定雇用率を上回る雇用水準を目標にしてまいります。

 なお、当社では、定期的に全従業員を対象とした「従業員満足度調査」を実施しており、仕事への意識や職場の雰囲気、主体的な行動、姿勢、会社への信頼感などについて選択形式で調査を行い、経年の変化を把握しております。調査結果は組織単位に統計的に処理・分析され、組織リーダーにおける職場改善の参考指標として活用を進めることで、個々の職場の活性化につなげてまいります。

 今後もサステナビリティを重視した経営を遂行し、当社の経営理念「お客様から褒められる店創り」を追求することで、企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成の実現に貢献してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社は、リスクマネジメント規程において、代表取締役社長をリスクマネジメント体制の最高責任者と定め、その直属の組織として、各部室長によって構成されるリスクマネジメント会議を定期的に開催しております。

 当会議では、当社グループの事業に関するリスクを総合的に抽出・分析し、重点的に対応すべきと評価したリスクについて、発生の予防策及び発生した場合の対応策の策定を行い、それらの施策の実行状況確認及び是正をしております。

 また、当社はリスクが顕在化した場合に備えて危機管理対応に関する諸規程を整備しており、経営危機の発生時には直ちに経営危機対策本部を設置し、迅速かつ適切に対応することで、損失の極小化を図る体制となっております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)出店戦略について

 当社グループは、現在は西日本と比較して出店余地の多い関東地域を中心に新規出店に取り組んでおりますが、出店にあたっては、商圏・立地条件や賃借料の水準等に基づく店舗の収益性を重視して決定しております。

 したがって、条件に合う出店予定地を確保できない場合などにより、新規出店数が計画を下回ると、計画通りの売上利益を確保できないなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、人材補強等による専門部署の整備により市場分析能力の向上を図り、店舗開発力を強化して計画通りの出店を実現するとともに、出店にあたっては建築・設備コスト及びランニングコストを削減して新店の収益力を高めることで、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(2)賃借物件について

 当社グループは、土地もしくは建物を賃借して出店するビジネスモデルを基本としているため、賃貸借契約をめぐるトラブルに起因するリスクがあります。具体的には、賃貸人側の事情によって契約が解除または更新不能になった場合には、業績好調な店舗であっても当社グループの計画に拘わらず閉店を余儀なくされる結果、売上高が減少する可能性があります。また、賃貸人の財政状態が悪化した場合には、当社グループが預け入れている敷金・保証金の回収が困難となる結果、差入保証金の回収不能による損失が発生する可能性があります。

 ただし、これらが一時期に集中して起きる可能性は低いため、一部店舗においてリスクが発現しても、当社グループの業績及び財政状態に及ぼす影響は極めて限定的であると判断しております。

 対応策としては、賃貸人とのコミュニケーションを重視し、契約更新にあたっては期限に十分余裕のある段階から当社グループの意思を伝えて丁寧な交渉を行い、契約更新のトラブルを回避いたします。また、敷金・保証金の回収に関しては、適宜賃料との相殺を実行するなどのほか、賃貸借契約締結時に返還請求権を登記して保全に努めるなどして、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(3)安全かつ安定的な食材の確保について

 食材の産地、当社工場、及び輸送経路に、何らかの事件や事故、災害等による被害が発生した場合や、異常気象、天候不順などの気候変動により食材の極端な品薄や価格の上昇があった場合、食材の安定的な確保に問題が生じる可能性があります。

 また、豚コレラや鳥インフルエンザ、残留農薬等に代表されるように、使用している食材にその安全性が疑われる問題が生じた場合、需給関係に変動が生じて食材の調達に支障を来す可能性があります。

 こうした場合、提供できる料理の制約や仕入価格の上昇が業績に大きな影響を与える可能性がありますが、食材の調達は常に天候等の自然条件の影響を受け、市況にさらされているため、そのリスクは多少なりとも常時存在していると考えられます。

 当社グループにおきましては、上質かつ安定的な国産食材の供給を確保するため、生産者と緊密な連携を実施し、産地を分散する等の工夫を行っており、さらに、産地の巡回、製造委託先に対する定期的な監査と評価の実施、製品規格書の整備、代替食材選定の検討等を実施し、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(4)自然災害の店舗・工場運営及び本社への影響について

 当社グループが出店、操業している地域やその周辺地域における大型の台風や地震等の自然災害により、店舗・工場の設備や電気・ガス・水道などのインフラの損傷、配送やサプライチェーンの分断、また従業員が出勤できない等の事情が発生すると、店舗・工場が正常な運営を継続できなくなる可能性があり、被害が広域で甚大である場合には、営業活動の休止が長期にわたる可能性があります。

 近年、頻発している大雨や大型台風などの異常気象に対しては、本社、店舗、工場ごとに、大規模災害発生時の事業継続と損失軽減のための計画を策定しております。

 具体的には、店舗・工場の耐震化やITインフラの冗長化等の対策とともに、災害時における従業員の出退勤や店舗の営業継続に関する判断基準の作成、従業員の安否確認・連絡網と避難場所の周知等により、お客様と従業員の安全を最優先とし、さらに、食材産地の分散化と被災工場をカバーする生産・供給体制の構築、借入枠の設定による被災時の資金面の手当など、事業継続または早急な事業再開につなげる体制作りを行っております。

 

(5)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

 近年、世界的規模でエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策のための法規制等、気候変動抑制のための動きが強まっておりますが、気候変動問題は当社が目指す持続可能な社会の実現、及び事業の持続可能性の追求に重大なダメージを与えるリスクであると認識しております。

 そのため、当社グループは、サステナビリティビジョンの1つとして、「地球環境の保全」を掲げ、サステナビリティのための活動の一環として積極的な取り組みを開始いたしました。実例をあげますと、レジ袋については、植物性由来の素材を含んだプラスチック製への切り替えを実施、「バイオマスプラスプーン」、「プラスチックレンゲ」を有料化するとともに、「ストロー」の素材をプラスチックから紙に、「使い捨てミニスプーン」はプラスチックから金属製のデザートスプーンに変更いたしました。また、環境配慮設計等によるエネルギーコストの削減や、AIを利用した配送編成により配送距離を適正化し、DXによりトータル物流業務時間を短縮するとともに、製品化率の引き上げにより食材ロスを削減するなど、カーボンニュートラルに向けた積極的な取り組みを図っております。

 さらに、気候変動に係るリスク及び機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響について必要なデータの収集と分析をおこない、TCFD提言に沿った取り組みを進めております。

 

(6)消防法、建築基準法等について

 当社グループは消防法、建築基準法及び都市計画法等による規制を受けておりますが、店舗内で調理を行う関係上、常時発生しているリスクとして、店舗での不慮の火災発生があります。

 リスクが発現し、当社グループ店舗において火災による死傷事故等が発生した場合、当社グループの信用低下とともに、損害賠償請求等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループでは直営全店に自動消火設備を設置するとともに、防火対策についてマニュアルを整備して社員教育を徹底し、とりわけお客様や従業員の生命や身体に被害が及ばぬように、年に2回の消防訓練を行うなど、リスクの軽減を図っております。また、店舗・工場等の建物・設備に対する火災保険や事業総合賠償責任保険に加入するなど、リスク発現時の損失の補填対応を行っております。

 

(7)食品衛生法について

 当社グループの事業においては、食品衛生法に基づき、飲食提供に際して食品衛生責任者を設置して法令違反のないよう監督を行う必要があり、営業にあたっては食品衛生法第55条の規定により都道府県知事の許可を受けなくてはなりません。さらに、食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)により、営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設が施行新たに従来の32業種以外の業種に関しての届出制度が創設され、HACCPに沿った衛生管理が制度化されたため、これらに対しても規定に従った運用・監督を行うことが義務付けられております。その他、食品用器具・容器包装におけるポジティブリスト制度の導入、アレルゲン、消費期限等安全性に関わる食品表示法違反による回収情報の届け出義務化、遺伝子組み換え表示制度における任意表示に対応するための体制を整えております。

 また、

・食中毒、異物の混入等、健康に影響を及ぼす事故等を起こした場合、若しくはその恐れがある場合

・法令若しくは条例によって規定された食品及びその表示、施設内外の清潔保持に係る規格・基準に違反する場合

・厚生労働大臣の命令により禁止された食品等を取り扱った場合

・業務を行う役員が食品衛生法第55条第2項第1号若しくは第2号に該当した場合

・許認可に際して付けられた条件に反した場合

・食品衛生法第60条の取消事由に該当した場合

などには、一定期間の営業停止、営業の全部若しくは一部禁止、又は営業許可の取消を命じられることがあります。

 上記の事案については、常時存在しているリスクであり、リスクが発現した場合には、営業停止等の処罰はもちろん、食材の廃棄損や営業停止に伴う売上高の減少、さらには近年はSNSでの情報の拡散もあり、当社グループの社会的信用の低下を招いて企業イメージを大きく損ない、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループでは、店舗や工場における食材の管理・取扱い、及び設備機器・従業員等の衛生状態について常に最大限の注意を払うとともに、定期的に厳格な衛生検査を実施する等の対応を行い、リスクの発現可能性を軽減しております。

 店舗においては、西日本・東日本営業本部に設けられた西日本・東日本衛生管理課のスタッフによる自主衛生チェック・店舗巡回指導及び異物混入対策講習等の実施、HACCP制度に沿った衛生管理体制の整備、専門業者による定期的な害虫・害獣駆除の実施に加え、異物混入防止を含む各種マニュアルを策定し、適切に運用・遵守するとともに異物混入時の対応フロー体制の構築、年2回の検体提出(検便)、定期健康診断の実施等、衛生管理体制の強化を図っております。

 工場においては、FSSC22000・ISO9001・HACCP・JFS-B規格の取得と継続維持、従業員に対しての食品衛生法及びその他関連法規に関する勉強会・モラル教育の実施、各工場のフードセキュリティ・フードディフェンスの強化、衛生問題や事故発生時を想定したシミュレーション訓練の実施、製造機器及び資材からの異物混入防止のための危害分析による危害の抽出・排除とメンテナンスカレンダーの運用、さらにBCP(事業継続計画)の策定を行っております。

 以上のとおり、当社グループは、食品衛生法に係るリスクを発現させないための徹底した取り組みを全社的に行っております。

 

(8)店舗における酒類提供について

 当社グループの店舗において、20歳未満の者であることを知っての酒類提供及び車両等で来店されていることを知っての酒類提供等が発生した場合、当社グループ及び従業員は20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律や道路交通法違反等の罪に問われ、店舗は営業停止処分等を課されるリスクがあります。また、これらの違反が報道やSNS等で情報拡散され当社グループのブランドイメージが損なわれると、長期的な業績の下振れ要因になる可能性があります。

 酒類を提供している店舗において、リスクが顕在化する可能性は常時あることから、当社グループでは酒類を注文されたお客様全員に対し、車両等の運転をしての来店でないこと、及び20歳未満の者でないことの確認を行っており、毎日の朝・夕礼においてその徹底を指導しております。さらに、飲酒運転、20歳未満の者への酒類提供禁止の確認バッチ着用や啓蒙ポスターの掲示、コンプライアンス研修時の酒類提供に関する確認テストの実施など、常に注意喚起を行ってリスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(9)法的規制等の強化に関するリスク

 当社グループは、上記の法令の他、食品の表示については食品衛生法以外にも食品表示法、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)等の規制を受け、また、フランチャイズ・チェーン運営に関しては私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)及び中小小売商業振興法等の規制を受けております。その他、環境への意識の高まりを背景に、食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)等が適用されるなど、様々な法的規制を受けております。

 今後、社会環境の変化等により新たな法律の施行や法令の改正等を通じて規制が強化され、対応するための費用が必要となる場合は、当社グループの業績が費用増加による影響を受ける可能性があります。また、新たな法的規制への対応が遅れ、違反する事態となれば、当社グループに対する法的な制裁を受けるのみならず、社会的評価を落とし、大きな経済的損失に発展する可能性があります。

 そこで、当社グループでは、法律の制定・改正情報の配信サービスの活用、公的機関による関係法令に関する説明会やフォーラムへの参加、各省庁のウェブサイト内の法規制に関連する通達の閲覧、法規制に関する社内勉強会の開催等を通して、関係法令の改正について情報収集に努めており、業務との関連性を常に調査し確認することで、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(10)重要な訴訟事件等について

 当社グループは、契約締結時の審査体制や決裁手続きに関する規程を定めてこれを遵守しており、契約に関するリスクを適切に管理できる体制を構築しておりますが、事業を遂行していくうえで、お客様、取引先、フランチャイズ加盟店等利害関係人との間で契約上のトラブルによる紛争になった場合、契約上の責任に加え、訴訟のための時間と費用、訴訟の内容によってはブランドイメージが低下する等、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、商取引においては書面でのやりとりや契約書の締結により曖昧な点をなくして紛争の未然防止を図るとともに、利害関係者と十分な意思確認を行うことで、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(11)固定資産の減損会計適用について

 当社グループが保有する固定資産を使用している店舗の営業損益に悪化が見られ、回復が見込まれない場合、もしくは不動産の時価が著しく下落した場合には、当該固定資産について減損会計を適用し、減損損失を計上しております。

 中食市場との競合、少子高齢化による需要の減退、人手不足等による人件費単価の上昇などの要因により事業環境は引続き不透明であるため、減損損失を計上するリスクが翌期においても相応にあるものと認識しております。また、営業収支の悪化に減損損失が重なった場合には業績に与えるインパクトが増幅する可能性があります。

 そのため、当社グループは、王将アカデミーによる社員の教育を通したQSCの基礎的レベルの向上や、店舗の生産性の引き上げ、販売促進の様々な営業施策の継続的な実施等により、各店舗の収益力を強化し、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(12)人材確保・育成について

 就職活動の早期化が進む一方、通年採用への動きが見られる等、企業にとって人材の確保のための新たな対応を迫られる状況に置かれております。特に当社グループの場合、多彩なメニューの調理技術、オリジナルメニューの考案力、接客技術及び店舗マネジメント力その他IT分野における専門性など、社内で求められるスキルを身に付けた人材を育成するには数年を要するため、従業員の計画的な採用及び育成が不可欠です。

 従業員の採用と育成が順調に行かずに人的資源の不足を招いた場合、新規出店の鈍化と店舗のQSCレベルの低下、IT分野では、当社システム開発の停滞等を招き、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループは、時代に合った効果的な採用チャネルと採用手法の改善、結果検証を踏まえた求人広告媒体等の見直し、インターンシップの活用、学生アルバイト等を対象にしたインナー採用の強化、面接官となる社員の面接スキルの向上などに着手しております。その上で、大卒初任給は300,000円と業界最高水準にまで高めました。また、研修・教育機関として社内に「王将アカデミー」を設置して店舗運営に必要なスキルとルールのマニュアル化と、各等級の期待役割に応じたスキルを習得させるための一貫した研修体制を構築しております。「王将アカデミー」の調理部が運営する「王将調理道場」では、調理実地研修により社員の調理技術の向上に努めるとともに、調理知識研修も並行して開講し、美味しい料理の提供に最善を尽くしています。その上で、コロナ禍以降、新たにリモート研修も導入し、パートタイマーも含めた従業員の受講機会を一気に拡大いたしました。こうした採用の強化と、各種研修の充実により従業員の成長を促すことで、店舗における上記リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(13)労務管理について

適切な労務管理体制が整備されなかったことに起因し人材の定着が図れず、また、労使紛争や訴訟へと発展した場合、当社グループのブランドイメージが損なわれ、当社の営業その他人材の採用に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、労務管理を適切に行うとともに、ハラスメント発生時の対応、再発防止、対応窓口等を明確にした「ハラスメント防止に関する細則」を制定し従業員に周知しております。また、社内相談窓口の他、外部機関、弁護士が窓口となる内部通報窓口を設置し、従業員が相談しやすい環境を整備しております。さらに、ハラスメントや労務管理をテーマにしたコンプライアンス研修や各階層別の定期的な研修を開催するなど指導・教育を行い、労務問題の発生を予防するための対策を実施しております。

 また新たに、カスタマーハラスメントに適切に対応するため「カスタマーハラスメント対策マニュアル」を策定し、従業員及びその他ご飲食されているお客様を守るための具体的な対策方法を周知しております。そして、従業員に対する研修を実施し、安心・安全に就業できる環境を整備しております。

 

(14)個人情報について

 当社グループは、事業遂行上、顧客、株主、取引先担当者、従業員、採用応募者、懸賞応募者等、多くの個人情報を取り扱っており、特に「餃子の王将公式スマホアプリ」や「テイクアウトネット予約」のリリースによって顧客のデジタル情報が増加傾向にあります。個人情報に係るリスクは常時存在していると考えられ、不測の事態等により個人情報が外部に漏洩した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求による経済的損失が発生して、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 そのため、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)の内容を踏まえ、個人情報の社内取扱責任者による監督、アクセス制御、管理・取扱区域の制限等の安全管理措置と個人情報の取扱いについて定めた社内規程を整備し、これを全社的に厳格に運用することでリスク発現可能性を軽減するとともに、事故発生時の危機管理体制を構築して、リスク発現時の損失を最小限とする対策を図っております。

 なお、当社の各種システムについては、不正アクセス防止を含めた高度なセキュリティ対策を実施しております。

 

 

(15)フランチャイズ・チェーン展開について

 当社グループの売上高の1割弱はフランチャイズ加盟店に対する当社工場からの食材等の出荷売上であり、フランチャイズ加盟店はフランチャイズ基本契約に基づいて、当社グループの店舗ブランド名で営業を行っております。そのため、一度に多数のフランチャイズ基本契約が解消された場合には当社グループの売上に直接影響を与え、またフランチャイズ加盟店において不祥事や業績悪化による信用不安が発生した場合には当社グループ全体のブランドイメージに影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクは潜在的には常に存在しているため、当社グループではフランチャイズ加盟店の状況把握とサポートを最重要の対策と位置づけております。具体的な取組みとしては、フランチャイズ加盟店経営者との定期的な面談や財務状況の把握、加盟店が抱える課題の解決を全社的にバックアップできるような組織体制にしております。西日本・東日本営業本部の中に西日本・東日本FC営業部を組み入れ、ショップアドバイザーがFC店舗を巡回して直営店と同様のQSCチェックを行うとともに、王将アカデミーによる調理等の研修を受講する機会を提供して、王将スタンダードの徹底を図り、ブランド価値の維持向上に努め、リスクの発現可能性の軽減を図っております。

 さらに契約満了で後継者がいないFC加盟店を直営店に移行して、これまでの固定客を維持しながら店舗価値の引き上げを図るなど、FC加盟店を含めたチェーン全体としての店舗展開を進めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益を背景に、緩やかな回復基調が続いたものの、実質賃金は物価上昇に伴い伸び悩んでおり、個人消費の伸びは総じて力強さを欠く展開となりました。2025年の春季労使交渉(春闘)では、昨年に引き続いて企業側の満額回答が相次ぎ、所得の増加による個人消費の回復が期待されますが、先行きは不透明な状況です。

 外食業界におきましては、人流や客足の回復に加え、好調なインバウンド需要が追い風となり、外食需要は総じて堅調に推移いたしました。一方で、労働力不足の深刻化に伴う人件費の上昇、エネルギー価格やコメをはじめとする原材料価格の高騰、物流2024年問題に起因する配送費の増加など、さまざまなコストの上昇が収益を圧迫する要因となり、経営環境はより厳しさを増しております。

 こうした環境下において当社グループは、「快適な食空間」「心温まる接客」「美味しい料理」をお客様に提供するという社会的使命を全うするため、人的資本への投資を積極的に行い、QSCレベルの一層の向上に注力するとともに、効果的な販売促進策を継続して実施いたしました。その結果、客数は継続して増加し、特に店内飲食が大きく伸びるとともに、テイクアウト&デリバリーも引き続き好調に推移いたしました。2022年2月以降、同月比過去最高売上を毎月更新し、当連結会計年度における売上高は過去最高となりました。また、営業利益につきましても4年連続の増益となり、過去最高を記録いたしました。

 以下、当連結会計年度の主な取り組みと成果について、ご説明をいたします。

①QSCの向上と価格改定

原材料価格や物流費、光熱費等の高騰は、当初の予想を大きく上回って推移し、企業努力だけでは補えないレベルに達したことを受け、当社は当連結会計年度において二度の価格改定を実施させていただきました。その結果、どちらの価格改定後も客数は増加し、好調を継続することができました。

この背景には、王将アカデミーが主催する実地とオンラインの調理研修、調理知識研修、及び調理技能検定試験の実施等による調理技術や調理方法の着実な向上があります。さらに、「餃子の王将をもっとおいしく Challenge2024」の第一弾である餃子のさらなる美味しさの追求、接客応対研修による人にしかできないホスピタリティの習得、そして清掃マニュアルのブラッシュアップによる徹底した衛生管理など、QSC向上に向けた不断の努力があげられます。

その上で、2024年6月21日の価格改定では、お客様のご理解をいただけるよう、グランドメニューのうち価格改定を行った13品目について、調理の改良点と、どのように変わったかをわかりやすく告知いたしました。また、2025年2月14日の価格改定にあたっては、日本経済新聞全面広告(全国版)で、お客様に対して価格以上の価値をご提供するというプロの料理人たち(当社従業員)の本気の約束を表明し、来店を促しました。

②効果的な販売促進施策の実施

「2024年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」では、過去最高となる124万名のぎょうざ倶楽部会員数を獲得することができました。また、6月28日から12月15日まで開催した「2025年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」では、店舗でオーダーを通す際に使用される“王将用語”のルビ入り料理名をあしらった「ステンレスマイボトル」や、「ADASTRIA(アダストリア)」プロデュースのデザインによるエコバッグセットなどのオリジナルキャンペーン景品が好評を博しました。1月17日から開催中の同キャンペーンでは、ゴールド会員カードの上に、さらにスタンプ50個で取得できるプラチナ会員カード(お会計税込10%割引)を新たに登場させ、ゴールド会員様の来店促進を図りました。また、年間売上高1,000億円突破を記念した「大感謝祭」や、創業57年分の感謝を込めた「創業祭」など、お客様の日ごろのご愛顧に感謝するイベントを開催したほか、生餃子スタンプキャンペーンの実施や、2024年“夏穫れ”青森県産にんにく“ニンニクヌーボー”到来に合わせた新CMの放映など、各種プロモーションを推進いたしました。

③投資の拡大

ア.人的資本への投資

当社は「人が価値を創る会社」として、以前より人材育成を重視しており、前述の研修を始めとした各種研修プログラムやeラーニングなど、幅広く学べる機会を全従業員に提供しています。

2024年度の月例給改定においては、一人当たり平均39,162円(ベースアップを含めた賃上げ率11.5%)と2023年度の過去最高を上回る引き上げを実施、さらに、好調な業績に貢献した全従業員に報いるため、2024年夏期賞与では、労働組合からの要求に対して満額回答となる賞与テーブル100%水準に、13%分を加算した支給を行いました。さらに2024年冬期賞与においては、労働組合から要求のあった「賞与テーブル(2023 年冬期賞与支給実績)100%の支給」に満額回答するとともに、これに加えて、「賞与テーブルの10%分を『加算賞与』として上乗せ」することで、合計で賞与テーブルの110%水準の支給を行いました。その結果、社員の平

均年収は過去最高額を大幅に上回り、10年前の2014年と比較すると一人当たり1百万円以上の年収増となっております。

併せて、大卒初任給について、52,000円の大幅な引き上げを実施(実施後大卒初任給278,500円)し、有為な人材の確保の面でも成果を上げました。

なお、2025年4月には、当連結会計年度の好調な業績を踏まえ、3億42百万円を支給原資として、昨年に続いて決算賞与の支給を行いました。

また、2025年度の月例給の改定においては、労働組合からの要求を上回る一人当たり平均30,139円の賃上げを実施(賃上げ率8.2%)し、3年連続のベースアップによる直近3年間の賃上げ率を約29%としたほか、大卒初任給をさらに21,500円引き上げて300,000円といたしました。

イ.設備投資

工場投資におきましては、主力工場である久御山工場の麺の製造ラインを最新設備に更新いたしました。これにより生産能力向上や材料ロス削減、省人化を達成できただけでなく、品質を向上させ、さらには今後の商品開発の可能性を拡げることができました。

新規出店におきましては、当連結会計年度において、2024年5月に「金閣寺店」、6月に「ジョイ・ナーホ赤坂見附店」、7月に「国道16号岩槻店」、8月に「なんばグランド花月店」、10月に「吉祥院八条通店」、11月に「久喜店」、12月に「江南店」・「イオン新浦安店」、2025年3月に「御影店」・「平手店」・「チャチャタウン小倉店」をオープンいたしました。

「金閣寺店」は、約8年ぶりとなる京都市内における新規出店で、金閣寺に近く、主要動線の西大路通沿いの駐車場付きロードサイド型店舗です。金閣寺の観光客、近隣の大学生など、多様なお客様にご来店をいただいております。

「ジョイ・ナーホ赤坂見附店」は、地下鉄赤坂見附駅徒歩3分、オフィスが密集しており、昼食需要も十分見込める立地に「ジョイ・ナーホ」業態の4号店として出店いたしました。当業態は、都心部の新しい出店フォーマットとして、今後も積極的に展開を図る方針です。

「国道16号岩槻店」は首都圏郊外を結ぶ主要動線の国道16号線沿いにあり、高速道路ICが近く、広範囲での集客が見込める駐車場付きロードサイド型店舗です。

「なんばグランド花月店」は大阪市中央区難波にある「なんばグランド花月」の1階にオープンいたしました。劇場来場者、難波エリアへの観光客など多数のお客様にご来店をいただいております。

「吉祥院八条通店」は1972年11月に開店した約49年間の営業実績をもつ「西八条店」の移転店舗であり、西大路駅から徒歩圏内、かつ、京都市内を東西に結ぶ八条通に面した駐車場・駐輪場完備の大型ビルイン店舗です。

「久喜店」は東北自動車道久喜IC近くの主要動線である県道3号線沿いの駐車場付きロードサイド店舗で、高速道路ICが近いことから、広範囲での集客が見込める立地となっております。

「イオン新浦安店」はイオンスタイル新浦安店の1階フードコート内にオープンいたしました。JR京葉線新浦安駅前の利便性の高い立地で、同地域内で最も集客力の高い商業施設であり、休日のみならず平日も多数の集客が見込める店舗となっております。

「江南店」は約17年間、「御影店」は約45年間、「平手店」は約33年間と、長年の営業実績をもつFC店舗を直営化いたしました。直営化にあたり厨房及び客席の効率性を向上させるなどのレイアウトの変更を実施しており、これまでの常連のお客様に加え、新たな客層も取り込むことができました。

「チャチャタウン小倉店」は商業施設チャチャタウン小倉1階フードコート内にオープンいたしました。九州地区では初のフードコート業態の出店となり、休日のみならず平日も多数の集客が見込める店舗となっております。

各店舗とも、開店後は好調な売上で推移しております。

ウ.DX投資

DX推進のための投資として、IT基盤の最適化に着手しており、ホストシステムの刷新や基幹システムの見直しを進めております。また、店舗業務のデジタル活用を推進すべく、当社公式アプリでテイクアウト予約から決済までスマホ一つで可能な「テイクアウトネット予約」を直営全店で導入し、テイクアウト需要の取り込みを強化いたしました。今後もスマホアプリを活用した、お客様にとって利便性の高いサービスを、順次、展開していく予定です。

エ.海外投資

当社海外連結子会社である「王將餐飲服務股份有限公司」は設立から8年を経過し、現在、出店している台湾の高雄市と台北市の2店舗は、現地のお客様の嗜好に合わせた味付けや日本式の焼餃子が大変好評をいただいており、コロナ禍を乗り越え、業績は好調に推移しております。

今般、当該2店舗における現地スタッフの成長、店舗オペレーションの確立等の成果を踏まえ、新規出店を含めた今後の台湾における積極展開に備えるべく、2024年9月に当該子会社の増資(増資額26百万新台湾ドル、円換算約1億18百万円)を実施いたしました。

④サステナビリティの取り組み

当社では、コロナの長期化や物価上昇等による子ども達をめぐる生活環境の悪化に伴い、2021年の夏休みから春夏冬の学校の休み期間に合わせて、全国の子ども食堂等に対して、餃子や鶏の唐揚の入った「お子様弁当」の無償提供を実施しております。11回目となる2024年12月の冬休み期間には、当社の388店舗が「お子様弁当」約9万食をご提供し、これまでの累計食数は約85万食に達しました。この活動にご参加いただいた子ども食堂等の団体数も、当初の377団体から約1,300団体まで拡大しており、当社店舗が少ない地域などでは、子ども達が王将の餃子を初めて知る機会にもなっています。1店舗で多い時は1日100食の「お子様弁当」を調理

しており、子ども達から「美味しかった」と寄せられる喜びの声が支えとなって、当社従業員はこの全員参加型の活動に情熱をもって取り組んでいます。

気候変動の問題では、気候変動に関する情報開示を目的にした国際組織であるTCFDの提言に基づき、GHG排出量削減につながる設備の更新等を行いました。同時に、2021年度、2022年度に続いて、2023年度の事業活動におけるCO₂排出量(Scope1、2)及びサプライチェーンにおけるCO₂排出量(Scope3)の算定を行いました。

また、物流2024年問題への対応につきましては、店舗において配送作業時間の削減に努めたほか、配送トラック1台当たりの配送店舗数の削減、配送とピッキング作業の分割化の推進、構内物流の搬送ロスの見える化等を進めており、こうした取り組みにより、当社における配送体制は十分に持続可能なものとなっております。

今後もサステナビリティを重視した経営を遂行し、当社の経営理念「お客様から褒められる店創り」を追求することで、企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成の実現を目指してまいります。

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は、2022年2月から38か月連続で同月比過去最高売上を達成し、前年同期に比べて96億32百万円(9.5%)の増収で、過去最高となる1,110億33百万円を達成し、4年連続で増収となりました。

 営業利益は、昨年よりもさらに高騰した原材料や包材の単価上昇等があったものの、増収効果等により、前年同期に比べて6億18百万円(6.0%)の増益で、過去最高となる109億4百万円を達成し、4年連続で増益となりました。

 経常利益は、前年同期に比べて8億15百万円(7.8%)の増益で113億12百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度において土地売却に伴う固定資産売却益等(4億63百万円の利益の増加)により当期純利益が増加する特殊要因がありましたが、当連結会計年度の増益幅がこれを上回ったため、前年同期に比べて1億60百万円(2.0%)の増益で80億71百万円となりました。

 当連結会計年度の店舗展開の状況につきましては、直営店11店、FC加盟店2店の新規出店、直営店5店、FC加盟店11店の閉店を行っており、店舗数は直営店とFC加盟店を合わせて純減3店となりました。これにより当連結会計年度末店舗数は、直営店551店、FC加盟店177店となり、合計店舗数は728店となりました。

 

(生産、受注及び販売の実績)

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、主な品目を示すと次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

生産高(百万円)

前年同期比(%)

麺類

1,246

△ 3.2

餃子の皮

844

△ 0.6

餃子の具

6,545

11.9

成形餃子

7,887

9.5

スライス豚肉

959

14.7

(注)1 上記の金額は、製造原価額によっております。

2 成形餃子には餃子の具及び餃子の皮の生産高が一部含まれております。

 

② 商品仕入実績

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

酒類

2,097

3.0

清涼飲料水等

242

16.1

合計

2,339

4.2

(注) 上記の金額は、仕入価格によっております。

 

 

③ 受注実績

 当社グループは飲食業であり、見込生産によっておりますので、受注高及び受注残高について記載すべき事項はありません。

 

④ 販売実績

a 形態別販売実績

区分

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

店舗数(店)

金額(百万円)

前年同期比(%)

直営店

551

101,824

9.5

フランチャイズ加盟店

177

9,209

9.3

合計

728

111,033

9.5

(注)1 直営店は、直営店舗での中華料理等の販売高であり、フランチャイズ加盟店は、当社からの中華食材等の販売高であります。

2 店舗数は、期末日現在のものであります。

b 地域別販売実績

地域別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

店舗数(店)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

直営店

 

 

 

京都府

41

8,478

6.0

大阪府

116

20,875

9.0

兵庫県

39

7,699

10.2

滋賀県

15

3,559

8.2

奈良県

15

3,080

8.5

和歌山県

9

1,761

8.6

北海道

19

2,970

13.1

宮城県

3

673

△ 3.2

東京都

61

10,975

9.4

埼玉県

28

4,124

13.1

千葉県

28

4,462

9.8

神奈川県

35

6,734

9.0

群馬県

6

853

7.3

茨城県

5

917

30.6

栃木県

3

587

13.9

長野県

4

535

11.7

新潟県

3

401

7.7

山梨県

1

198

12.7

愛知県

24

5,051

9.6

岐阜県

12

2,249

9.4

三重県

12

2,370

8.7

静岡県

7

1,318

10.4

富山県

4

662

9.0

石川県

8

1,420

9.7

福井県

4

696

9.9

岡山県

2

330

△ 13.5

広島県

6

1,141

10.6

山口県

3

430

15.3

徳島県

2

239

39.2

香川県

4

502

11.6

福岡県

19

4,279

11.9

熊本県

4

633

12.5

佐賀県

2

380

16.5

長崎県

4

541

13.0

大分県

1

221

14.9

台湾

2

462

11.0

小計

551

101,824

9.5

 

 

地域別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

店舗数(店)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

フランチャイズ加盟店

 

 

 

京都府

5

200

14.4

大阪府

43

2,357

10.3

兵庫県

33

2,181

8.2

滋賀県

6

311

6.9

奈良県

2

142

1.2

和歌山県

3

97

5.2

宮城県

1

56

△ 2.4

東京都

7

268

8.6

茨城県

1

25

1.5

埼玉県

7

381

15.8

神奈川県

5

247

9.3

群馬県

4

221

9.1

愛知県

18

987

4.2

岐阜県

5

303

11.9

三重県

7

275

6.7

福井県

2

90

10.0

岡山県

7

185

17.0

広島県

4

93

86.4

山口県

1

19

28.2

鳥取県

3

144

19.5

徳島県

3

209

6.4

香川県

3

146

15.3

愛媛県

2

57

18.3

高知県

2

122

9.9

福岡県

2

56

△ 8.8

熊本県

1

23

14.4

小計

177

9,209

9.3

合計

728

111,033

9.5

(注)1 一部の複数の地域にまたがって店舗展開をしているフランチャイズ加盟店については、一部店舗の販売金額を当該フランチャイズ加盟店の本店所在地に含めて表示しております。

2 直営店は、直営店舗での中華料理等の販売高であり、フランチャイズ加盟店は、当社からの中華食材等の販売高であります。

3 店舗数は、期末日現在のものであります。

 

 なお、国内直営店売上についての主な分析は下記のとおりであります。

 

第50期店内店外別全店売上

 

売上高(百万円)

客数(千人)

客単価(円)

 

構成比

店内飲食

66,985

72.4%

65,588

1,021

テイクアウト・デリバリー

25,571

27.6%

16,146

1,584

合計

92,556

100.0%

81,735

1,132

(注)1 店内飲食のお客様がテイクアウトを追加注文された場合など混在した売上は、店内飲食としてカウントしております。

2 レジ入力ミス等による売上高の修正は店内飲食に含めております。

3 店内飲食は、コロナ前を上回り、過去最高売上となりました。一方、テイクアウト・デリバリーは、テイクアウトが一部、店内飲食やデリバリーにシフトしたことと、サービスが終了したテイクアウト事前予約のEPARK利用売上が減少したことにより、前年比で減収となりましたが、依然として高い水準を維持しております。

 

第51期店内店外別全店売上

 

売上高(百万円)

客数(千人)

客単価(円)

 

構成比

店内飲食

75,232

74.2%

68,822

1,093

テイクアウト・デリバリー

26,128

25.8%

15,339

1,703

合計

101,361

100.0%

84,162

1,204

(注)1 店内飲食のお客様がテイクアウトを追加注文された場合など混在した売上は、店内飲食としてカウントしております。

2 レジ入力ミス等による売上高の修正は店内飲食に含めております。

3 店内飲食は、前年を上回り、過去最高売上となりました。また、テイクアウト・デリバリーについても、「テイクアウトネット予約」を直営全店で導入し、テイクアウト需要の取り込みを強化したことなどにより、前年を上回り、好調を維持いたしました。

 

 

第50期既存店月別売上構成比

 

第50期既存店曜日別平均売上対比

(月曜日を100として対比)

月別

売上構成比

(%)

営業日数

 

曜日別

平均売上対比

合計

 

4月

8.3

4

4

4

4

4

4

5

1

30

 

月曜日

100.0

5月

8.5

5

5

4

3

3

4

4

3

31

 

火曜日

101.9

6月

7.8

4

4

4

5

5

4

4

0

30

 

水曜日

107.7

7月

8.4

4

4

4

4

4

5

5

1

31

 

木曜日

104.6

8月

8.4

4

5

5

5

3

4

4

1

31

 

金曜日

119.5

9月

7.8

3

4

4

4

5

4

4

2

30

 

土曜日

157.8

10月

8.3

4

5

4

4

4

4

5

1

31

 

日曜日

158.1

11月

8.3

4

4

5

4

3

4

4

2

30

 

祝日

152.8

12月

8.6

4

4

4

4

5

5

5

0

31

 

 

 

1月

8.6

4

4

4

4

4

5

5

1

31

 

 

 

2月

8.0

3

4

4

5

3

4

4

2

29

 

 

 

3月

9.0

4

4

3

4

5

5

5

1

31

 

 

 

合計

100.0

47

51

49

50

48

52

54

15

366

 

 

 

(注)1 新規出店、閉鎖及び改装を行った店舗を除いております。

2 元日は祝日としてカウントしておらず、1月2日は土曜日、1月3日は日曜日としてカウントしており、営業日数については営業していない店舗もあります。

 

 

第51期既存店月別売上構成比

 

第51期既存店曜日別平均売上対比

(月曜日を100として対比)

月別

売上構成比

(%)

営業日数

 

曜日別

平均売上対比

合計

 

4月

7.8

4

5

4

4

4

4

4

1

30

 

月曜日

100.0

5月

8.2

3

4

5

5

4

3

4

3

31

 

火曜日

100.3

6月

7.9

4

4

4

4

4

5

5

0

30

 

水曜日

106.6

7月

8.1

4

5

5

4

4

4

4

1

31

 

木曜日

102.9

8月

8.7

3

4

4

5

5

5

4

1

31

 

金曜日

119.5

9月

7.8

3

4

4

4

4

4

5

2

30

 

土曜日

157.6

10月

8.0

3

5

5

5

4

4

4

1

31

 

日曜日

158.3

11月

8.2

3

4

4

4

5

4

4

2

30

 

祝日

151.6

12月

8.6

5

5

4

4

4

4

5

0

31

 

 

 

1月

9.3

3

4

5

4

4

5

5

1

31

 

 

 

2月

8.1

3

3

4

4

4

4

4

2

28

 

 

 

3月

9.3

5

4

4

3

4

5

5

1

31

 

 

 

合計

100.0

43

51

52

50

50

51

53

15

365

 

 

 

(注)1 新規出店、閉鎖及び改装を行った店舗を除いております。

2 元日は祝日としてカウントしておらず、1月2日は土曜日、1月3日は日曜日としてカウントしており、営業日数については営業していない店舗もあります。

 

(2)財政状態

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ51億70百万円(5.7%)増加し、966億32百万円となりました。主な増加要因は次のとおりであります。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ24億84百万円(6.1%)増加し、430億92百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加等であります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ26億86百万円(5.3%)増加し、535億40百万円となりました。主な要因は建物及び構築物の増加等であります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ4億32百万円(1.9%)減少し、223億94百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ10億35百万円(6.9%)増加し、160億11百万円となりました。主な要因は買掛金の増加等であります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ14億67百万円(18.7%)減少し、63億83百万円となりました。主な要因は長期借入金の減少等であります。なお、借入金の残高は50億円となりました。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ56億2百万円(8.2%)増加し、742億38百万円となりました。主な要因は配当金の支払い28億24百万円に対し、親会社株主に帰属する当期純利益80億71百万円の計上により増加したことによるもの等であります。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の75.0%から76.8%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18億23百万円増加し、381億20百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べて10億2百万円(8.2%)減少し、112億15百万円となりました。主な要因は法人税等の支払額の増加であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益111億56百万円に減価償却費31億7百万円を加えた額から法人税等の支払額30億27百万円等を減じた額であります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて13億51百万円(41.9%)増加し、45億74百万円となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出の増加であります。

 投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、有形固定資産の取得による支出41億80百万円等によるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて97百万円(2.1%)増加し、48億26百万円となりました。主な要因は配当金の支払額の増加であります。

 財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、長期借入金の返済による支出20億円及び配当金の支払額28億24百万円による支出であります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安定した資金調達基盤を維持しつつ、資金効率を重視して資金調達を行う方針としております。当連結会計年度におきましては、前述した好調な業績により潤沢な営業キャッシュ・フローを創出できたことから、新規借入は実行しておりませんが、引き続き事業拡大のための事業投資と人的資本への投資を積極的に行う方針から、資金効率を重視しつつ、今後も必要に応じて最適な資金調達方法を検討し実行してまいります。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

第49期

2023年3月期

第50期

2024年3月期

第51期

2025年3月期

自己資本比率(%)

74.6

75.0

76.8

時価ベースの自己資本比率(%)

134.6

161.1

188.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.2

0.6

0.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

240.4

471.8

300.8

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、ならびに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り等を行っております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 フランチャイズ加盟店(FC店)等との間で、飲食店として当社の指導のもとに継続して営業することを目的とし、次のとおり契約を締結しております。

(イ)契約の名称 フランチャイズ基本契約

 

(ロ)契約者   フランチャイズ加盟店等

 

(ハ)契約の本旨 当社の許諾による飲食チェーン店経営のために食材、資材等の指定品目の購入義務を伴うフランチャイズ契約関係を形成すること。

 

(ニ)加盟料、保証金等

区分

店舗面積

加盟料(千円)

保証金(千円)

広告負担金(千円)

小型店

100㎡以下

750

1,000

20~40

中型店

100㎡超~200㎡

1,000

2,000

40~80

大型店

200㎡超

1,250

2,500

50~100

(注)1 当社従業員が独立してフランチャイズ加盟店となった場合については、加盟料は免除されます。

2 広告負担金は月額であります。

3 上記の他、当社より配達する食材運送費の分担金として、店舗の規模別、地域別に20~100千円の運送費を徴収しております。

4 一部契約店舗より改装費を毎月預かっております。

5 複数店舗を所有する場合、2店舗目以降よりロイヤリティを徴収しております。

 

(ホ)契約期間、契約の更新等

契約の期間   フランチャイズ基本契約は契約日より満9年

 

契約更新の条件 契約日より3年ごとに期間満了3か月前までに当社又は加盟店のいずれか一方からの異議がない場合

 

契約更新料   300~800千円

 

(注) 契約更新料は、小型店300~400千円、中型店400~600千円、大型店500~800千円であります。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。