第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループ(以下、「アークスグループ」という場合もあります。)は、小売業界における淘汰・再編の動きが加速するなか、クリティカル・マス(企業が存続していくために最低限必要な事業規模)を確保し、経営資源の特大化(膨張=極大化ではなく、成長=特大化を目指す)を図ることが、企業価値の更なる向上と、地域のお客様のライフラインを守る道であるとの共通認識のもと、2002年11月1日にスタートいたしました。

当社グループは、どの様な領域で社会的使命を果たすべきなのかを明確にする基本的な考え方として、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献」していくことを、グループ各社が共有するグループ理念として掲げております。

また、「私たちは何のために存在するのか」という存在意義に関する考え方を表明するコーポレートステートメントとして「豊かな大地に輝く懸け橋(Bridge on the Rich Land for Your Life)」を定めております。これは、各地域にドミナントエリアを築き、多くのお客様へ新鮮で、安全・安心な食品を提供することにより、生産地とお客様を結ぶ懸け橋になりたいという思いと、同じ志を持って事業展開を進めていく地域企業同士が、海外流通資本も含めた大手流通企業に対抗していくための受け皿会社として、企業と企業を結ぶ懸け橋になりたいという思いが込められています。

グループ名「ARCS」は、Always(常に)、Rising(上昇する)、Community(地域社会に)、Service(奉仕する)の頭文字で構成され、「1つひとつの企業が強い“弧”となり、大きな円=ARCSを創りあげ、地域社会に貢献していく」ことをうたったもので、経営の基本理念とコーポレートステートメントを体現したものであります。

当社グループは、徹底した顧客志向に基づくお客様への奉仕の精神を持ち続け、将来の大同団結に向けた母体企業としての役割も認識しながら、更なる事業の発展を目指してまいります。

 

(2) 中長期的な経営戦略

当社は、グループのシンクタンク的な役割を担う持株会社として、「中核企業としての業務執行責任の明確化と意思決定のスピードアップ」、「遂行課題を絞り込んだ企業横断的な委員会、プロジェクトの活用」、「グループ統一の情報システムによる効率化と効果的なコスト運用」、「既存組織の見直しと再編成」そして「グループ統一の人材開発育成と統一人事制度」を主要テーマに、グループ全体の業務改革に取り組んでおります。

具体的には、執行役員制度に基づき、権限と責任の明確化を図ると共に、各々の事業領域における意思決定の権限をグループ各社に適切な範囲で委譲し、グループ全体の経営資源の使用に関する決定などの戦略的な経営機能を当社へ集約しております。

当社グループは「八ヶ岳連峰経営」を標榜し、旧来型の垂直的な企業統合からイメージされる富士山のように高い大きな企業グループを目指すのではなく、同じような規模の山々が横に連なることで、企業とお客様の距離を短く保ち続けることを目指しております。2019年10月に稼働した当社グループの新基幹システムは地域毎の独自色が強い食品スーパーマーケットの特殊性と、業務の統一化を両立させた業界標準たりうるシステムプラットフォームであり、「八ヶ岳連峰経営」の更なる深化に資するものであります。新基幹システムの活用によりグループシナジーを拡大し、地域に密着した流通企業グループとして継続的に成長し続けてまいります。また新基幹システム活用と並行して商流改革や物流改革を進めるとともに、デジタルトランスフォーメーションを推進し、顧客管理の手法の強化や購買情報の活用、並びに後方業務の集約などによる定量的な効果創出に向けて業務改革・組織改革に継続して取り組み、グループシナジーの追求及びそれぞれの地域におけるシェア拡大に努めてまいります。

サステナビリティ推進にかかる体制につきましては、2022年6月に「サステナビリティ推進室」を新設し専任者を配置しました。「サステナビリティ推進委員会」(2021年11月に設置した「SDGs推進委員会」を2022年3月に名称変更)とも連携し、グループ各社が横断的に環境対応・社会貢献・ダイバーシティ推進の活動を深化させ、持続可能な社会の実現とグループの成長を目指し、地域における未来への懸け橋としての社会的役割を果たしてまいります。

2018年12月に株式会社バローホールディングス、株式会社リテールパートナーズ及び当社の3社間で結成した「新日本スーパーマーケット同盟」につきましては、それぞれの展開エリアを越え、食品流通企業の全国的な結集軸として業界再編の中心核になることを目指しており、結成から4年を経て4つの分科会活動のもと具体的な相乗効果を実現するための取り組みを進めてまいりました。一方で、結成以来の市場環境の変化を踏まえ、より現状の経営課題に資する取り組みとなるよう、既存の4分科会を、「マネジメント分科会」「サステナビリティ分科会」の新設を含め5つの分科会に再編(※)し、取り組みを強化してまいります。厳しさを増す経営環境下ではあるものの、今後も将来にわたり生き残りを図り、地域のライフライン企業として地域の食文化・食生活を守っていくことで、食品スーパーマーケットとしての共通課題へ適切に対処すると考え、ビジネスモデルの革新に向けて取り組んでまいります。

 

(※)既存の4分科会「商品分科会」「運営分科会」「間接部門分科会」「次世代領域開発分科会」を再編し、「マネジメント分科会(新設)」「商品分科会(継続)」「業務改革分科会(運営分科会と間接部門分科会を統合)」「サステナビリティ分科会(新設)」「次世代領域開発分科会(継続)」の5分科会としました。

 

(3) 優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上における位置づけが2類相当から5類へ移行し影響はなくなりつつあるものの、地政学リスクに起因する継続的な物価上昇に加え、金融政策の動向などによる世界的な景気の不透明感が高まっており、お客様の生活防衛意識が一層高まることが想定されます。加えて、仕入価格の断続的な上昇や電気料金等をはじめとする一段のコスト増加など、前期にも増して厳しい経営環境が続くことが見込まれます。

このような状況のもと、当社グループは「価値変容の時 インフレに挑戦 新価格体系の移行で幸福な生活を創出す。」を年頭方針として掲げ、地域のライフラインとしてお客様の豊かな暮らしに貢献するとともに、地球環境への責任を果たすための事業活動にも尽力してまいります。

営業面につきましては、変容するお客様のニーズにお応えするため、㈱シジシージャパンと連携し、国内外の優良生産者からの原料調達まで踏み込んだアプローチや、パレット配送の活用などによるトラック積載率の改善、容器・包装資材の見直し、科学的根拠に基づいた検査実施による賞味期限の延長など、同社が5つのコアとしている「環境」「安心安全」「おいしさ」「健康」「料理応援」を体現した商品の共同開発及びCGC商品の更なる販売強化に取り組んでまいります。また、㈱ラルズでは中規模農家と店舗を結ぶ「やさいバス」(※)の新規導入により旬の青果物の仕入経路を拡大し、従来以上に少量ロット商品の取り扱いを拡充してまいります。新日本スーパーマーケット同盟においては、結成以来の市場環境の変化を踏まえ、より現状の経営課題に資する取り組みとなるよう、既存の4分科会を、「マネジメント分科会」「サステナビリティ分科会」の新設を含め5つの分科会に再編し、取り組みを強化してまいります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)につきましては、「八ヶ岳連峰経営」の深化を図りつつ、新基幹システムの利活用の次元を一段階上げてまいります。具体的には、これまでの取り組みに加え、お客様の購買情報(ID-POS)を含む各種データの収集・分析によるマーケティング強化により、際物商品や新商品など商品構成の横展開を図り、グループ各社の更なるシナジーを追求してまいります。また、出張申請等ワークフローの電子化など、後方業務の効率化によるコスト削減も引き続き進めてまいります。デジタルマーケティングにつきましても、自社アプリの機能拡充とRARAカード会員購買情報との連携により、お客様の利便性と利得性の両面から、顧客満足度の向上を目指してまいります。

高騰が続く電気料金への対応につきましては、電気使用量の更なる削減のため、省エネ性能の高い機器への入れ替えを継続してまいります。また、新型コロナウイルス感染症の影響によりこれまで抑制していた対面での人材教育研修を順次再開し、人的資本への投資を充実してまいります。

サステナビリティに関する活動につきましては、2022年度に策定したグループ各社の「アクションプラン」に基づいたKPIの設定を進め、具体的な取り組みを加速してまいります。また、2023年4月3日付で公表しましたTCFDの枠組みに基づく開示を含め、サステナビリティに資する活動全般について、統合報告書等により積極的な開示を進めてまいります。

 

(※)やさいバス㈱が提供する農産物の作り手と使い手をつなぐ流通プラットフォームです。配送エリア内に複数の野菜の集荷場を設け、その拠点を冷蔵トラックが巡回し、農家は最寄りの拠点へ生産した野菜を持ち込み、小売店など利用者が最寄りの拠点まで出向いて野菜を受け取るシステムです。小売店においては従来の流通システムでは取り扱いが難しかった少量ロット製品の仕入れが可能となることや、品質や鮮度の確保が期待できます。

 

(4) 目標とする客観的な指標等

当社グループは、主要経営指標のなかでも特に、総資産経常利益率(ROA)と総資産回転率を重視しており、ROA10%以上、総資産回転率3回転以上を中長期的な目標にしております。また毎期継続した利益成長と資本の効率的な運用、積極的な株主還元を図ることで、自己資本当期純利益率(ROE)の向上にも努めてまいります。具体的には、新規出店や店舗改装といった設備投資の拡大、従来に増して積極的なM&Aの推進といった施策に経営資源を注力し、利益水準の引き上げを図ります。その他、デジタルトランスフォーメーションの推進によるコスト削減や事業子会社の生産性向上に向けた支援、増配や自己株式取得といった取り組みにより、各指標の向上に取り組んでまいります。

 

(5) サステナビリティ推進方針及びサステナビリティに関する重点課題(マテリアリティ)

持続可能な社会の実現に向けた活動の重要性が一段と増すなか、当社グループは、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献します」というグループ理念のもと、当社並びにグループ各社が一丸となってこれらの活動を更に深化させ、事業活動を通じてサステナビリティ経営を推進するための指針として、サステナビリティ推進方針及びサステナビリティに関する重点課題(マテリアリティ)を策定しております。

 

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①サステナビリティ推進方針

当社グループは、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献します」というグループ理念のもと、事業活動を通じてステークホルダーの皆様とともに持続可能な社会の実現とグループの成長を目指し、地域における未来への懸け橋としての社会的役割を果たしてまいります。

 

②サステナビリティに関する主な取り組み実績と今後の目標

 

マテリアリティ

主な取り組み実績

今後の目標

①地域社会との共生

・小規模自治体への出店

・地域行事への協力・支援

・レジ袋収益の寄付

・地元自治体/団体との連携協定
  の締結

・災害時におけるBCPプラン構築

・新型コロナウイルスへの対応

・小商圏採算モデル店舗の開発

・フードバンク/子ども食堂との連
携強化

・お取引先様とのサステナビリティ
  分野における連携強化

②地球環境への配慮

・食品ロスの排出削減

・プラスチック容器包装の削減

・エネルギー・CO2対策

・TCFD提言への対応

・食品ロス・プラ削減のグループ
各社における目標達成

・CO2排出量スコープ1・2を2013
  年度比50%削減

・CO2排出量スコープ3実績の算定

③お客様の豊かな暮らしへの貢献

・地域密着の食の提案

・オンラインショップの取り組み

・衛生管理体制(設備/教育)の
  レベルアップ

・RARAカード機能の充実・キャッ
  シュレス化推進

・地場産品や健康/環境配慮商品の
提案強化

・宅配サービスのエリア拡充

・RARAカード申込のペーパーレス化

④ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・ダイバーシティ推進プロジェク
  トによる活動推進

・制度改革/啓発活動

・グループ各社における主体的な
  取り組み

・グループ全社にて「えるぼし」
2つ星以上を取得

・グループ全社にて女性管理職比
  率10%達成

・労働時間の柔軟な運用体制の拡充

・従業員エンゲージメント調査の
  実施

・グループ各社における現場教育
 (OJT)の充実

 

 

③地球環境への配慮に係る具体的な取り組み

当社グループのサステナビリティに関する重点課題の一つである「地球環境への配慮」につきましては、既に実施している具体的な取り組み事例として、電気使用量の監視や冷凍ケースの温度設定変更、太陽光パネルの導入検討も含めた設備の更新・新規導入などによるCO2の削減を進めております。(一社)北海道CGCみどりとこころの基金(※1)への寄付を通じた植林等の環境保全活動、また、食品廃棄物や廃油のリサイクル、再利用原料を使用した食品トレーの水平リサイクルやレジ袋の有料化によるプラスチックの削減の導入などの省資源活動も進めております。2021年度の当社グループのレジ袋辞退率は85.3%と、スーパーマーケット業界の平均値77.1%(※2)を上回っております。また、レジ袋の売上は(一社)北海道CGCみどりとこころの基金や地元自治体等に寄付しており、植林等の環境保全活動に役立てられております。また、今後、このような持続可能な社会づくりに向けた活動を、グループ各社においてより一層深化させてまいります。

 

(※1)有料レジ袋販売金額の環境保全・環境教育、環境研究機関等への寄付の受け皿として、北海道CGCグループ加盟企業10社が会員となり2008年12月19日に設立されたものです。2012年3月1日に、任意団体から『一般社団法人』へ移行しております。

 

(※2)(一社)全国スーパーマーケット協会 2022年スーパーマーケット年次統計調査報告書

        における2022年7月及び8月時点のレジ袋辞退率調査結果
http://www.super.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/2022nenji-tokei-fix202303.pdf

 

④TCFD提言への対応

当社及びグループ各社は、気候変動問題をグループ横断で取り組むべき重要課題と考え、2023年4月3日に「TCFD(Task Force on Climate-Related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に賛同いたしました。TCFD提言への対応につきましては、気候変動がもたらす事業活動に係る重要なリスクと機会に関し、シナリオ分析に基づく対応策の立案・検討・実施に取り組み、各種KPIの設定・モニタリングを実施し、その結果をステークホルダーに対し開示・広報することを通じて、すなわち、Plan(計画)、Do(実行)、Check(チェック)、Disclosure(開示)、Action(対策)の「PDCDA」サイクルを回していくことにより、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取り組みを進めてまいります。

 

a.ガバナンス

当社グループはサステナビリティの推進体制として、2021年11月にサステナビリティ推進委員会を設置し、委員長を当社取締役副社長執行役員、事務局長を当社サステナビリティ推進室長とする組織体制のもと、サステナビリティに関する取り組みの管理を行っております。

サステナビリティ推進委員会は、当社及びグループ各社のメンバーで構成されており、原則四半期に1回以上の頻度で開催しております。同委員会は、気候変動問題に関わる方針や目標の設定の他、実績・進捗の管理、各種取り組みの推進を実施し、その状況については年1回以上、当社取締役会に報告を行っております。

 

b.リスク管理

当社グループ全体のコンプライアンス及びリスク管理を統括する組織として設置された「コンプライアンス・リスク管理委員会」は、当社代表取締役社長が委員長となり、全役職員に関連法令やグループ理念・行動規範についての教育を行い、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスに関する基本事項を周知徹底しています。同委員会は、当社及びグループ各社のメンバーで構成されており、原則四半期に1回以上の頻度で開催しております。

気候変動に係るリスクにつきましても、グループ全体のリスク管理体制の下で管理すべく、サステナビリティ推進委員会とコンプライアンス・リスク管理委員会とが密接に情報連携を図り、リスクの評価及び対応策の協議を行っております。

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c.戦略

Ⅰ.シナリオ分析の設定

シナリオ分析においては、国際エネルギー機関(IEA)及び気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書などを参照し、今世紀末までに産業革命以前と比較し世界の平均気温上昇が「1.5℃」と「4℃」の2つのシナリオにおける2050年の社会を想定しました。また、当社の事業への影響を見通せる範囲として、各々のシナリオにおける2030年時点での当社における機会とリスクの分析を行いました。

なお、検討初年度である今年度においては、当社の主要事業である食品スーパーマーケット事業に絞った上で分析を実施しました。残りのグループ各社におけるリスク・機会とその影響については今後分析を進めてまいります。

<1.5℃シナリオ>

2100年時点において、産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオです。気候変動に対し厳しい対策が取られ、脱炭素社会への移行による影響(移行リスク)を受けます。具体的には、炭素税の導入、脱炭素化へ向けた政策・法規制の強化、ステークホルダーや消費者のサステナビリティ意識向上による市場変化や評判への影響などの移行リスクを分析の対象としています。

※IEAのSustainable Development Scenario(SDS)、Net Zero Emissions By 2050
    Scenario(NZE2050)、IPCC第6次評価報告書RCP2.6などを参照

<4℃シナリオ>

2100年時点において、産業革命時期比4℃程度気温が上昇するシナリオです。気候変動への厳格な対策が取られず、自然災害の激甚化など気候変動による物理的な影響(物理的リスク)を受けます。具体的には、異常気象の激甚化や気温の上昇、海面上昇など店舗の営業に影響を及ぼし得る物理的リスクを分析の対象としています。

         ※IEAのStated Policies Scenario(STEPS)、IPCC第6次評価報告書RCP8.5などを参照

 

Ⅱ.シナリオ分析の結果、リスク・機会の特定

まず、当社の主要事業である食品スーパーマーケット事業におけるリスク・機会を洗い出し、網羅的に把握しました。その上で、それぞれの発生度・影響度を評価し、当社にとって重要度の高いリスク・機会を選定しました。

リスク・機会の重要度については、「各事業への影響度」と「事象の発生可能性」から評価しました。「各事業への影響度」は、リスク・機会が現実のものとなった場合の影響規模を定性的に分析しています。「事象の発生可能性」においては、物理的リスクはIPCCの報告書における発生確率を参考に評価し、移行リスクは将来的な政策目標・導入計画の動向や現在の政策導入などをもとに分析しています。

重要度評価の見直しや対応策については、引き続きサステナビリティ推進委員会で議論・検討を行ってまいります。

 

気候関連の事象

リスク項目

影響度

炭素税/排出権取引の導入

CO2排出量に対して炭素税の負担が発生

規制強化・導入

フロン規制の強化に伴う、設備投資のコスト・罰金発生のリスク増加

ZEH・ZEB化の推進による、店舗設備投資のコスト増加

プラスチック使用制限に伴う、代替素材製品調達のコスト増加

再エネ比率拡大

買電契約の見直しによるコスト増加・再エネ設備投資のコスト増加

顧客・投資家における環境意識の高まり

環境関連の取り組み及び非財務情報開示への対応遅れによる、資金調達環境・株価水準の悪化

顧客の嗜好変化への対応遅れによる売上減少・企業イメージ低下

 

気候関連の事象

機会項目

影響度

資源循環の促進

食品廃棄物の重量抑制による廃棄コストの減少と、バイオガス生成などによる経済価値の創出

輸送の高効率化

物流拠点の統廃合、モーダルシフトの促進などによる物流コストの減少

再エネ比率拡大

再生可能エネルギーを自ら創出することによる、電気使用コストの減少

EV化の進展

EV用充電器の店舗設置による集客力の向上、売り上げの増加

顧客・投資家における環境意識の高まり

顧客の嗜好変化に見合う環境配慮型商品の販売や、環境への取組の発信による、企業イメージ向上・売上の増加

 

 

Ⅲ,財務影響試算

財務に与える影響が大きいと考えられる項目については、以下の通り評価いたしました。

 

<移行リスク>

規制強化による費用増加

影響額

備考

炭素税/排出権取引の導入

29.1億円

2030年度において、売上高1億円当たりスコープ1・2のCO2排出量を、基準年度(2013年度)より50%削減する場合

再生可能エネルギーの

調達費用

6.8億円

2030年度において、再生可能エネルギーの調達割合を50%とする場合

 

<物理的リスク>

自然災害による損害

影響額

備考

店舗・商品損害

93.3億円

(※)

洪水による最大想定浸水深度(3.0m以上)に基づく試算

休業による機会損失

(1店舗1日当たり)

500~

1,500千円

1店舗1日当たりの売上総利益に基づく試算

(※)店舗・商品損害の内訳は、家屋資産48.9億円、償却資産37.1億円、在庫資産7.3億円であります。

 

Ⅳ.主なリスク・機会に対する取り組み

「各事業への影響度」が大きく「事象の発生可能性」も高いと評価した「重要なリスク・機会」については、環境問題に係るリスクの低減及び機会の実現に向けまして、以下のような取り組みを、より一層推進してまいります。

 

 

重要度の高い

リスク・機会項目

取り組み内容

リスク

炭素税負担の発生

・CO2排出量削減の取り組み推進

・省エネ性能の高い空調や冷蔵・冷凍設備等の導入/更
  新

・全店舗へのLED照明の導入/更新

・物流拠点の統廃合やモーダルシフトによる物流業務の
  効率化

再エネ投資コストの増加

・太陽光発電設備の導入拡大

フロン規制の強化

・次世代冷媒の利用促進

災害時被害の発生

・災害等有事に備えたBCP計画策定、災害対策訓練実施

機会

食品廃棄コストの低減

・商品の仕入発注、加工・製造計画、在庫管理等の精度
  向上

・賞味期限/消費期限が近い商品の寄付活動

・食品残渣のリサイクル活動

 

d.指標と目標

当社グループでは、サステナビリティ推進方針に掲げる「持続可能な社会の実現とグループの成長」を目指し、「社会・環境価値」、「経済価値」の両面における持続的な価値向上を図るよう、当社グループが事業展開する食品スーパーマーケットチェーンの事業活動に密接に関連する気候変動に係るKPIを設定し、モニタリングを行ってまいります。

 

Ⅰ.スコープ1・2の温室効果ガス排出量算定

スコープ1・2の温室効果ガス(GHG)を、以下の通り算定いたしました。

 

     <CO2排出量 総量>

スコープ

2013年度 実績 (※)

2021年度 実績

 

排出量

構成比

排出量

構成比

 

(t-CO2e)

 

(t-CO2e)

 

スコープ1

80,698

23.5%

93,776

27.8%

スコープ2

263,219

76.5%

243,541

72.2%

合計

343,917

100.0%

337,317

100.0%

 

       <CO2排出量 単位当たり>

単位区分

2013年度 実績 (※)

2021年度 実績

 

排出量

排出量

2013年度

 

(t-CO2e)

(t-CO2e)

対比

1店舗当たり

1,211

906

▲25.1%

売上高(1億円)当たり

79

59

▲25.3%

 

(※) 2013年度実績には、一部推定値が含まれております。

 

Ⅱ.削減目標

当社グループは、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献します」というグループ理念のもと、事業活動を通じた持続可能な社会の実現とグループの成長を目指し、以下の目標を設定いたしました。

2050年カーボンニュートラルの実現へ向け、省エネの推進や廃棄物の削減といった従前の取り組みを継続・加速させることはもちろん、再生エネルギーを積極的に導入することで、スコープ1・2のCO2排出量削減を目指します。また、サプライヤー・運送業者との協業による物流の効率化などにも取り組み、サプライチェーン全体での排出量削減にも取り組んでまいります。

 

短期目標

・2024年度までに、サプライチェーン排出量(スコープ3)を可視化します。

 

長期目標

・2030年度に、売上高1億円当たりスコープ1・2のCO2排出量を、基準年度(2013年
  度)の排出量に対し50%削減します。

・2050年度に、カーボンニュートラルの実現を目指します。

 

 

(6) 人的資本に関する取り組み

      ①人的資本の拡充

2013年にアークスグループ人材育成理念「1.人間力の向上、2.常識力の向上、3.基礎的技能の向上、4.変化対応力の向上、5.自律(立)力の向上」を掲げ、グループ共通の教育制度を策定して取り組んでおります。また、2019年よりグループ統一人事制度を導入し、教育制度とあわせてキャリア形成体系を一元化しました。新入社員から指導職、管理職、役員を含む経営職まで、グループ統一人事制度で共通設定されている資格等級ごとに、体系的な教育研修を実施しております。

 

②ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社グループは「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」についてもサステナビリティに関する重点課題の一つであると認識しており、取り組みの方向性として「全ての人がイキイキと自分らしく活躍できる魅力ある職場づくり」を掲げております。グループ横断の「ダイバーシティ推進プロジェクト」を中心に、2022年度はキャリアアップ意向に関する社員アンケートや男性育休の取得促進に向けた管理職セミナーの実施、ダイバーシティニュースの発行や北海道大学様との協働による社内啓発活動等を実施いたしました。また、当社は2022年11月に厚生労働省が認定する女性活躍推進企業の認定マーク「えるぼし」の3つ星を取得いたしました。グループの各事業会社においても「えるぼし」の取得と女性管理職比率10%を共通目標としております。今後も女性活躍だけに留まらず多種多様な人材が能力を最大限発揮できる機会を提供し、多様化するお客様のニーズや、雇用環境の変化にも対応することで、当社グループの持続的な成長を目指してまいります。

 

 

 

2【事業等のリスク】

(1)リスク管理の体制及び運用状況

当社グループは、企業活動に影響を与える様々なリスクへの対応力の向上や、リスク管理の体制及びその仕組みの整備・改善に鋭意取り組んでおり、その効果的な実現のために、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、定期的に開催しております。本委員会では、企業活動に関して抽出したリスク事象とその対応策を、その発生頻度や影響度等に基づき策定するとともに、それらが有効に機能しているかどうかの評価を行っております。なお、本委員会でのリスク管理の運用状況等については、定期的に当社取締役会に報告しております。

今後は、対応策とその有効性についての検証を更に重視し、定期的な評価・見直しによるリスク管理体制の強化を推進してまいります。

 

(2)事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 

主なリスク

具体的リスク

対応策

自然災害、

事故・事件

・地震、津波、台風、集中豪雨、
  洪水等の大災害

・火災や店内外の事故や事件

・上記に伴う店舗運営や商品調達
  等の事業活動の阻害

・事業継続計画(BCP)及び防災マニュ
  アルの策定

・緊急連絡体制及びグループ各社との
  情報共有体制の構築

・緊急物資や災害用備品の保管

・グループ各社における避難訓練及び
  防犯対策の実施チェック

感染症・伝染病

・お客様及び従業員の健康リスク

・人員不足に関するリスク

・商品調達に関するリスク

・価格競争激化に関するリスク

・公的指針に則った対応ルールの整備
  と感染症対策の徹底

・本部及び部門間、店舗間の人員応援
  体制整備

・グループ各社における独自の商品調
  達枠の確保

・グループ共同調達の拡大、CGCや新日
  本スーパーマーケット同盟の活用

人材確保

・少子高齢化の進行による労働人
  口の減少

・企業間における人材獲得競争の
  激化

・離職による優秀な人材の確保

 ・育成難

・社内環境整備方針の確立と徹底

・ダイバーシティ&インクルージョン
  の推進

・採用方法の多様化

・教育研修制度の充実

労務管理、

職場の安全衛生

・職場の安全衛生問題
 (過重労働、ハラスメント等)

・社内環境整備方針の確立と徹底

・過重労働やハラスメント有無の定期
  チェックとグループ間共有

・各階層向けハラスメント研修・啓発
  の実施

・「ハラスメントガイドライン」の制
  定

・産業医との緊密な連携とグループ
  各社への随時情報共有

地政学

・テロや戦争、紛争等の政治的な
  不安による世界経済不況

・エネルギー価格の高騰やサプラ
  イチェーンの混乱等

・上記に伴うコスト上昇や消費マ
  インドの冷え込み

・グループ各社における独自の商品調
  達枠の確保

・省エネ設備の導入促進、エネルギー
  調達の多様化検討

・グループ各社間の情報共有とスケー
  ルメリットの活用

商品・食品の安全性

・食品表示や販促広告の誤り

・食中毒等商品の問題

・風評被害

・損害賠償の発生

・HACCP基準による指導とグループ各社
  の衛生管理を徹底

・表示ルール及び運用状況の定期チェ

  ック

情報セキュリティ・情報管理

・災害、停電等によるソフトウェ
  ア及び機器の欠陥

・コンピュータウィルスの感染や
  内部からの不正アクセス

・上記に伴う情報システムの停止
  または一時的な混乱、個人情報
  を含む内部情報の流出、改ざん
  など

・ハードウェアの予防保守管理

・ネットワーク冗長化/疎通監視

・ソフトウェア稼働状況の監視

・個人情報保護に関する各種規程・ガ
  イドラインの策定と従業員研修の実
  施

事業環境の変化

・小売業界における競争激化

・お客様の消費動向の変化

・エリアドミナント戦略による地域シ
ェアの確保

・顧客情報を活用したマーケティング
推進

コンプライアンス・不祥事

・ハラスメント、SNSリスク

・重大な不祥事、コンプライアン
ス上の問題

・アークスグループ・フィロソフィー
やコンプライアンス・ニュースを活用した従業員への啓蒙

・コンプライアンス・リスク管理委員
会によるリスク事案の共有

・顧問弁護士等の外部専門家との連携

・法令遵守の重要性についての教育、
啓蒙を継続

 

その他、当社グループが展開する事業に適用される各規制・法制度について、変更や新たな法令の施行等により各種規制事項を遵守するためのコストが増加した場合や、予期せぬ事件・事故等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

経営成績

当連結会計年度(2022年3月1日から2023年2月28日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和により、人流の回復及び経済活動の正常化に向けた動きが見られた一方、ウクライナ情勢の長期化などに伴う原材料・エネルギー価格の高騰、企業物価及び消費者物価の大幅な上昇が景気の下押し圧力になるなど、不安定な状況のまま推移いたしました。

当社グループの主力事業である食品スーパーマーケット業界におきましても、長引く物価上昇等によりお客様の節約志向や買い控えの傾向が一段と強まっているほか、電気料金などのエネルギーコストの大幅な増加や、建築資材並びに包装資材等の価格が上昇した影響を受けており、経営環境としては極めて厳しい状況が続いてまいりました。

このような事業環境の下、当社グループは、物価高騰による顧客ニーズの変容やコスト上昇などに対応するための様々な施策を推進してまいりました。

営業面につきましては、お客様の生活防衛意識の高まりやそれに伴うニーズの多様化に対応するため、当社グループのプライベートブランド商品(以下、PB商品)と位置付けている「CGC商品」の販売強化や、コーヒー、米菓、ドレッシングなどのカテゴリーマネジメントによる商品構成の見直しを進めてまいりました。また、2022年11月にはアークス設立20周年記念事業として、「20周年記念・事業会社オリジナル弁当の販売」や「RARAカード会員様への総額1,000万ポイント還元キャンペーン」、「20周年記念アイテムの拡販」など特別企画を実施いたしました。新日本スーパーマーケット同盟(※1)においては、共同販促や同盟限定オリジナル商品の開発、間接資材の共同調達などを進め、他社との差別化やコスト削減に取り組んでおり、特に同盟各社の地域性を活かしたご当地オリジナル商品の販売については、それぞれの地域で好評をいただいております。そのほか、モーダルシフト(※2)や㈱ラルズ・㈱東光ストアの共同配送センターにおける稼働率改善の取り組みなど、物流改革による効率化も推し進めてまいりました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進につきましては、DX推進委員会を軸に新基幹システムの更なる利活用を進め、グループ全体で在庫水準の適正化や値引・廃棄ロスの改善、販売価格・仕入れ価格の共有化等に取り組み、システムマインドを強化・徹底してまいりました。また、デジタルサイネージについて㈱ラルズ及び㈱道南ラルズにおいて導入を図り、産地と連携した独自コンテンツの作成・配信を実施してまいりました。

販売費及び一般管理費(以下、販管費)につきましては、エネルギー価格の高騰に対応するため、エネルギー監視システムの活用や照明・冷設機器等の運用ルールを見直ししたほか、省エネ性能の高い調光機能付きLED照明への切り替えや冷凍ケースのリーチイン化など、電気使用量及びCO2排出量の削減に資する設備投資を当初計画よりも前倒しで行ってまいりました。

キャッシュレス決済の取り組みにつきましては、2022年6月における各種QRコード決済の導入以降、QRコード決済事業者や自治体との連携に加えマイナポイント事業への積極的な参画等により、キャッシュレス決済比率は2023年2月末日時点において43.3%(対前年同月比+5.4%)で推移しております。また、アークスアプリの機能向上を図り、アークスRARAカード(※3)について、従来のプリペイドカードに加えクレジットカードもアプリ上で決済可能な機能を実装いたしました。今後は、アークスアプリを活用したデジタルマーケティングの取り組みを強化し、お客様の更なる利便性の向上に努めてまいります。

㈱ラルズが運営する「アークス オンラインショップ」につきましても、取り扱い拠点を従前の1店舗から4店舗へ増強し、対象世帯数は当初の22万世帯から2023年2月末日時点で129万世帯、配送地域も当初の札幌市の一部及び石狩市の一部から札幌市全域を含めた7市3町へと広がっております。また、ご当地グルメや銘店のこだわり商品などの取り扱いを拡充したほか、介護施設や幼稚園・保育所等の法人取引の更なる拡大に取り組み、会員数及び受注件数を伸長してまいりました。今後も㈱ラルズにおける配送地域の拡大を予定しているほか、グループ各社への横展開の準備も進めております。

店舗展開につきましては、新規出店として、2022年9月に北海道函館市に「スーパーアークス千代台店」(㈱道南ラルズ)及び岩手県北上市に「ユニバース北上花園町店」(㈱ユニバース)を開店いたしました。また、既存店の活性化として、当第4四半期連結会計期間(2022年12月1日から2023年2月28日)に4店舗の改装を行い、うち2店舗は「スーパーアークス」へ業態変更いたしました。一方、「スーパーアークス千代台店」の開店に伴い、2022年8月に近隣の「ラルズマート日乃出店」(㈱道南ラルズ)を閉店するなど、計4店舗を閉店いたしました。通期累計では、新規出店が2店舗、改装22店舗(うち業態変更8店舗)、閉店が4店舗となり、当連結会計年度末における当社グループの総店舗数は373店舗となりました。

サステナビリティ活動につきましては、2022年6月にサステナビリティ推進室を新設し専任者を配置するとともに、「サステナビリティに関する重点課題(マテリアリティ)」に基づき、グループ全社において「サステナビリティアクションプラン」を策定し、同プランの実効性を高めるべくKPIの設定に取り組んでおります。具体的な取り組みとして、㈱ラルズにおいて環境省の「環境月間」に連動してリサイクル活動やマイバッグ持参運動の啓発に取り組んだほか、「てまえどり運動」(※4)も推進してまいりました。また、㈱ユニバースにおいては同社のプロセスセンター等から発生した食品残渣を堆肥として利用したエコ商品の取り扱いを拡充し、従来の「エコごぼう」に加えて「エコにんじん」「エコながいも」をラインナップに追加する取り組みを実施いたしました。そのほか、アークスグループ共通の食品ロス削減策として、前述の「てまえどり運動」や「フードドライブ」(※5)の実施、災害時に物資供給や避難場所提供等を行う連携協定を43の自治体と締結するなどの取り組みを進めております。また、気候変動問題への取り組みとして、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への対応を進めるためタスクチームを立ち上げ、2023年4月3日に「TCFD提言に基づく情報開示」として気候変動関連リスク及び機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の各項目について対外公表いたしました。そのほか、継続的な女性活躍促進の取り組みの中で、㈱アークスが女性活躍推進の優良企業として厚生労働大臣認定の「えるぼし」(※6)の3つ星を取得いたしました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は対前期比1.7%増の5,662億9百万円となりました。既存店売上高は対前期比1.0%の増加となり、物価高騰による来店頻度の落ち込みなどにより既存店客数が対前期比で1.6%減少した一方で、既存店客単価が同2.7%の上昇となりました。なお、既存店客単価の内訳は、販売価格上昇の影響が色濃く反映され、1点単価が対前期比4.0%の上昇となった一方、1人当たり買い上げ点数は同1.3%の減少となりました。売上総利益率は25.0%と前年同期を若干上回る水準を確保した一方、売上高販管費率は電気料金をはじめとする水道光熱費の大幅な増加を主因に対前期比0.5ポイント上昇の22.4%となり、営業利益は148億35百万円(対前期比6.9%減)、経常利益は164億44百万円(対前期比5.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億47百万円(対前期比3.5%減)となりました。(※7)

 

(※1)「新日本スーパーマーケット同盟」とは、㈱バローホールディングス(本社:岐阜県)、㈱リテールパートナーズ(本社:山口県)、当社の3社により、2018年12月に資本業務提携契約を締結した地域密着型の独立系食品流通企業の連合体であります。

(※2)「モーダルシフト」とは、トラックなどの自動車で行われている貨物輸送を鉄道や船舶の利用へ転換することをいいます。輸送効率の向上のほか、CO2排出量の削減、ドライバー不足への対応策として期待を集めています。

(※3)「アークスRARAカード」は、現金払い専用の「RARAカード」(現在は現金・プリカ一体のカードとして発行しております)、プリペイドカードの「RARAプリカ」、ハウスクレジットの「RARAクレジット」、提携クレジットカードの「RARAJCBカード」「RARAカードPLUS+」「RARAカードVISA(2023年4月1日より発行開始)」で構成されており、アークスグループ各店(㈱オータニを除く)とポイント提携加盟店で利用できるカードになります。

(※4)「てまえどり運動」とは、お客様に商品棚の手前にある商品を優先して選んでいただくことを推奨する運動で、環境省が、消費者庁、農林水産省、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会等と連携して呼びかけの促進を行っております。

(※5)「フードドライブ」とは、家庭で余っている食品を集めて、食品を必要としている地域のフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付する活動のことです。

(※6)「えるぼし」とは、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良であるなどの一定の要件を満たした場合に厚生労働大臣が認定するものになります。5つの認定基準があり、3つ星を取得するには全ての基準を満たす必要があります。

(※7)「収益認識に関する会計基準」等の影響

        当社は、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日)」等を当連結会計年度の期首から適用しており、2023年2月期通期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。対前期比の各増減率については、2022年2月期通期に当該会計基準等を適用したと仮定して算定した場合の数値を記載しております。

 

当連結会計年度に実施した新規出店等は以下のとおりであります。

 

概要

店舗名称

所在地

実施時期

運営会社

新規出店

スーパーアークス千代台店

北海道函館市

2022年9月

㈱道南ラルズ

(2店舗)

ユニバース北上花園町店

岩手県北上市

2022年9月

㈱ユニバース

改装

東光ストア行啓通店

札幌市

2022年3月

㈱東光ストア

(22店舗)

ジョイス宮古千徳店

岩手県宮古市

2022年5月

㈱ベルジョイス

 

 

フクハラ大樹店

北海道広尾郡

2022年5月

㈱福原

 

 

ラルズマート伏古店

札幌市

2022年6月

㈱ラルズ

 

 

スーパーアークス菊水店

札幌市

2022年7月

㈱ラルズ

 

 

ユニバース上北町店

青森県上北郡

2022年7月

㈱ユニバース

 

 

TSUTAYAあいの里店

札幌市

2022年8月

㈱東光ストア

 

 

スーパーアークス中島店

北海道室蘭市

2022年9月

㈱ラルズ

 

 

フクハラ桂木店

北海道釧路郡

2022年9月

㈱福原

 

 

東光ストア西線6条店

札幌市

2022年9月

㈱東光ストア

 

 

スーパーアークス北24条店

札幌市

2022年10月

㈱ラルズ

 

 

スーパーアークスウェスタン北彩都

北海道旭川市

2022年10月

㈱道北アークス

 

 

ラルズマート石山店

札幌市

2023年1月

㈱ラルズ

 

 

ラルズマート当別駅前店

北海道石狩郡

2023年2月

㈱ラルズ

 

うち業態変更

スーパーアークス北上店

岩手県北上市

2022年7月

㈱ベルジョイス

 

(8店舗)

スーパーアークス永山中央

北海道旭川市

2022年7月

㈱道北アークス

 

 

スーパーアークス平岸店

札幌市

2022年9月

㈱ラルズ

 

 

スーパーアークス六合

北海道旭川市

2022年9月

㈱道北アークス

 

 

スーパーアークス神居東

北海道旭川市

2022年10月

㈱道北アークス

 

 

スーパーアークス末広東

北海道旭川市

2022年11月

㈱道北アークス

 

 

スーパーアークス美園店

札幌市

2023年2月

㈱ラルズ

 

 

スーパーアークス金ヶ崎店

岩手県胆沢郡

2023年2月

㈱ベルジョイス

閉店

ラルズマート日乃出店

北海道函館市

2022年8月

㈱道南ラルズ

(4店舗)

ファル上田店

岩手県盛岡市

2022年9月

㈱ユニバース

 

ジョイス北上川岸店

岩手県北上市

2023年1月

㈱ベルジョイス

 

ディナーベル新道西店

札幌市

2023年2月

㈱東光ストア

 

財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して、81億30百万円増加し、2,661億55百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して、4億39百万円増加し、944億69百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して、76億91百万円増加し、1,716億86百万円となりました。

② キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末と比較して64億18百万円増加し、725億94百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果得られた資金は、169億89百万円(対前期比19.5%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益154億95百万円、減価償却費87億29百万円、退職給付に係る負債の減少額16億13百万円、ポイント引当金の減少額34億48百万円、契約負債の増加額36億12百万円、及び法人税等の支払額36億52百万円などによるものです。た、得られた資金が増加した要因は、法人税等の支払額が減少したことなどによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、77億68百万円(対前期比77.1%増)となりました。これは主に、新規出店や店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出69億34百万円、システム関連投資に伴う無形固定資産の取得による支出8億18百万円などによるものです。また、使用した資金が増加した要因は、新規出店や店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出が増加したことに加えて前連結会計年度において㈱オータニのグループ入りに伴う子会社株式の取得による収入及び保険積立金の解約による収入が発生したことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は、28億1百万円(対前期比62.3%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入94億50百万円、長期借入金の返済による支出67億91百万円、及び配当金の支払額32億59百万円などによるものです。また、使用した資金が減少した要因は、長期借入れによる収入が増加したことなどによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

  当社グループは小売関連事業を主たる事業としているため、生産実績及び受注状況は記載しておりません。

 

a. 仕入実績

事業の名称

前連結会計年度

(自  2021年3月1日

    至  2022年2月28日)

当連結会計年度

(自  2022年3月1日

    至  2023年2月28日)

前期比

(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

小売関連

事業

食品

366,539

84.4

368,114

86.6

衣料品

1,299

0.3

1,329

0.3

住居関連

16,550

3.8

16,400

3.9

酒類等

37,086

8.5

36,670

8.6

テナント

11,803

2.7

2,133

0.5

その他

753

0.2

593

0.1

合    計

434,032

100.0

425,241

100.0

(注)当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日 企業会計基準委員会)等を適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、前期比は記載しておりません。

 

b. 販売実績

事業の名称

前連結会計年度

(自  2021年3月1日

    至  2022年2月28日)

当連結会計年度

(自  2022年3月1日

    至  2023年2月28日)

前期比

(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

小売関連

事業

食品

489,885

84.8

488,070

86.2

衣料品

1,797

0.3

1,831

0.3

住居関連

22,050

3.8

21,535

3.8

酒類等

43,118

7.5

42,150

7.4

テナント

13,842

2.4

5,054

0.9

不動産賃貸収入等

5,679

1.0

6,554

1.2

その他

1,194

0.2

1,012

0.2

合    計

577,568

100.0

566,209

100.0

(注)当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日 企業会計基準委員会)等を適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、前期比は記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して、81億30百万円増加し、2,661億55百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が63億56百万円、売掛金が14億63百万円、及び棚卸資産が13億62百万円増加した一方で、ソフトウエアが15億80百万円、繰延税金資産が10億93百万円減少したことなどによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して、4億39百万円増加し、944億69百万円となりました。この主な要因は、未払費用が21億60百万円、契約負債が36億12百万円、長期借入金が32億67百万円、及び資産除去債務が13億33百万円増加した一方で、買掛金が10億52百万円、未払金が11億35百万円、ポイント引当金が34億48百万円、及び退職給付に係る負債が33億20百万円減少したことなどによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して、76億91百万円増加し、1,716億86百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が68億68百万円、及び退職給付に係る調整累計額が18億55百万円増加した一方で、自己株式が6億81百万円増加したことなどによるものです。

 この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末より1.0ポイント上昇し64.5%となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

  売上高は、5,662億9百万円(対前期比1.7%増)となりました。増加の主な要因は、当連結会計年度において新規出店2店舗に加え、改装22店舗など既存店の営業基盤の拡充をはかったことなどによるものです。

(営業利益)

  売上総利益率が前連結会計年度を若干上回る水準を確保できたことにより、売上総利益は1,418億円(対前期比3.1%増)となりましたが、水道光熱費や人件費が増加したことなどにより、販売費及び一般管理費が前連結会計年度と比較して53億56百万円増となったことから、営業利益は148億35百万円(前期比6.9%減)となりました。

(経常利益)

  経常利益は、営業外損益が前連結会計年度と比較して2億38百万円増加して16億9百万円となったことにより、前連結会計年度と比較して8億61百万円減の164億44百万円(対前期比5.0%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

  親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加え、減損損失が前連結会計年度と比較して5億53百万円増の10億43百万円となった一方で、前連結会計年度における繰延税金資産の取崩しにより増加した法人税等の反動減などにより、前連結会計年度と比較して3億57百万円減の99億47百万円(対前期比3.5%減)となりました。

 

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等」に記載しております。

  当連結会計年度の状況は次のとおりであります。

指 標

中長期目標

2023年2月期

(実績)

ROA(総資産経常利益率)

10%以上

6.3%

総資産回転率

3回転以上

2.16回転

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

  なお、キャッシュ・フロー指標の推移は次のとおりであります。

 

2019年2月期

2020年2月期

2021年2月期

2022年2月期

2023年2月期

自己資本比率(%)

65.0

62.2

62.7

63.5

64.5

時価ベースの
自己資本比率(%)

65.7

42.0

49.4

47.5

45.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.2

1.4

0.8

1.8

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

112.2

111.4

203.5

92.1

121.4

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

   2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

   3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

   4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

  当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備投資は営業キャッシュ・フローの範囲で行う方針であり、営業キャッシュ・フローでまかないきれない時は、金融機関からの借入により資金調達を行います。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や現状等を勘案して、合理的と考えられる方法により会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 業務・資本提携契約

契約会社名

相手方の名称

契約

締結日

契約期間

契約内容

㈱アークス

(当社)

㈱バローホールディングス、㈱リテールパートナーズ

2018年

12月25日

期間の定めなし

業務提携

⑴ 既存領域の強化

① 地場商品や産地情報、取引先情報の相互共有

② 資材・備品・什器などの共同購入

③ 店舗開発、店舗運営などのノウハウの共有

④ 物流やセンター運営のノウハウの共有

⑤ スポーツクラブ事業などの小売周辺事業の共同展開

⑥ 人材採用や人材教育に関するノウハウの共有 他

⑵ 次世代に向けた取り組み

① カード事業の共同研究、及び統合に向けた検討

② バックオフィス業務の統合も含めた共同研究

③ 金融、決済事業に係る共同運営の検討

④ スマートストア(次世代型店舗)など新たなテクノロジー対応への共同研究 他

資本提携

 株式の相互保有

 

 

5【研究開発活動】

  該当事項はありません。