第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「ミッション(使命)」「ビジョン(理想)」そして「バリュー(価値)」の「三位一体となった哲学」をもって経営を推進してまいります。すなわち、「何のために存在するのか(ミッション)、何を実現したいのか(ビジョン)、何を重視し価値判断の基準とするのか(バリュー)」を明確にし、それを一貫した企業命題と定め、企業行動のよりどころとしてまいります。そして、当社グループの最も重要な経営課題は、この価値命題を研ぎ澄ましていくことであります。当社グループは、顧客、社員、社会及び投資家のロイヤリティを高めるために、事業の企画から製造、販売、サービス及びサポートに至る全てのプロセスにおいて、最高水準の商品とサービス価値を創造し、提供するために活動する企業であります。これこそが当社グループのよって立つ「価値命題」であります。

 当社グループは「価格」で競争することをさけて、あくまでも「価値」で勝負することを事業コンセプトのベースとした事業価値の創造によって成長を果たしてまいります。そして常に人間性、社会性、経済性を重視した事業行動によって、事業価値、人間価値、社会価値そして資本価値を高めることにより、バランスあるコーポレート・バリュー(企業価値)の向上を図ります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループにおきましては、常に消費者視点に基づき、利便性・経済性を重視した事業展開によって、収益・キャッシュ・フローを生み出す、システム的な事業体制と自販機運営のビジネスモデルを確立し、比較的市況変動の影響を受けずに安定的に付加価値を確保できるように努めます。

 当社グループが目指す自販機運営リテイル事業は、自販機の社会有用性を高めるとともに環境負荷の低減を通じて、消費者に対して総合力で応えられるマーケットインの事業構造に転換することであります。このためには、飲料メーカーの自販機部門や同業オペレーターとのアライアンスやM&Aを通じて、消費者に対しワンストップでシームレスなサービスを提供することが必要であると考えております。

 当社グループを取り巻く経営環境を展望すると、自販機オペレーター業界及び飲料業界は一層厳しさを増す企業間競争や収益性の低下に加え、構造的な人手不足の影響により、生産性の向上が大きな課題になると認識しております。また、特に自販機オペレーター業界ではM&Aや事業提携・資本提携による再編が急速に進んでおります。さらに、今後の製造・物流のありかたを大きく変容させる人工知能やロボット技術、自動運転技術といった様々な技術革新が起こっております。このように、現在は事業環境の大きなターニングポイントに直面していると認識しており、これらの変化を新たな事業展開の好機と捉え、常に経営戦略の見直しを行ってまいります。

 なお、リスク管理面では、グループ従業員に対するコンプライアンス教育により法令遵守を徹底するとともに、内部統制システムにつきましても一層の充実と体制強化を図ってまいります。

(3) 目標とする経営指標

 当社グループは付加価値の増殖による株主資本の充実を図るとともに、株主資本及び総資本の効率的運用と収益性の向上を目標としています。企業価値を高める中期的な経営指標として、次の数値目標を設定しており、これらの実現と同水準の恒常的な確保に努めます。

① 売上高経常利益率 ………………   6%以上

② 投下資本利益率 …………………   7%以上

③ 配当性向 ………………………… 30%以上

(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは経営資源や資本の効率化を図るとともに、更なる経営効率の向上に努め、グループの総和的価値を高めてまいります。また、事業運営にあたりましては、コンプライアンスを重視し、経済構造や社会情勢等の経営環境の変化に対し迅速かつ柔軟に対応できるよう企業体質の強化に努めてまいります。これらを実践するため、当社グループは以下の課題に取り組んでまいります。

 自販機オペレーター業界におきましては、一層激しさを増す企業間競争や収益性の低下等により、業界再編が一段と進行しております。加えて新型コロナウイルスの感染拡大を受けた行動自粛措置は徐々に解除されたものの、国際情勢の変化がもたらすエネルギー・原材料高による先行きに対する不透明感は一層強まっています。こうした環境のもと、自販機産業全体が大きな転機を迎えており、収益性重視の事業再構築が、当社のみならず業界全体の競争力向上や産業構造転換のために焦眉の急となっております。

 

 このような状況のもとで、当社グループは自販機運営リテイル事業2社の統合を決定するとともに、同業の専業オペレーターとの間で業務提携、M&A(企業の合併・買収)を積極的に推進し、自販機設置の適正化とグループの競争力を高めてまいります。自販機やスマートストアの商品戦略においては、ウェルネス商品など高付加価値商品の自社ブランド開発を強化し、ECサイト・SNSを活用した新しいマーケティングを本格的に展開するとともに、過度に依存した飲料販売から食品及び物販等のバランスの取れたセレクトショップへ移行してまいります。

 飲料製造事業につきましては引き続き高付加価値製品の提案力を強化し、利益率重視の経営方針を堅持してまいります。具体的には商社やブランドオーナーに対するプライベートブランド商品については、高付加価値RTD(低アルコール飲料)やウェルネス商品を中心に付加価値の高い製品に注力し、価格競争とは一線を画してまいります。

 また、当社グループの強みである商品提案力や安定的な供給力を武器に、ポストコロナ時代にも選ばれる商品提案を行い、更なる飲料市場の開拓を図ってまいります。販売面では、パウチ飲料を中心にウェルネス製品を積極的に開発し、スーパー・ドラッグストアなどの量販店向けの販売だけでなく、Eコマース等のダイレクト販売を強化してまいります。

 当社グループが選択するこの成長戦略は、引き続き優位性を堅持できるものと考えており、新しいビジネス機会に対応し、収益体質の強化を図り、確固たる経営基盤を構築してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<気候変動リスクへの対応について>

(1)ガバナンス

当社グループは、気候変動に関して生じる変化を重要なリスク要因として認識し、脱炭素社会の実現を目指しております。当社グループでは、グループ主要各社の生産本部長・管理本部長からなるサステナビリティ委員会が策定した取り組みや目標の達成状況について、取締役会で議論を行っております。

 

(2)戦略

当社グループでは『ASEEDING THE FUTURE 人、地球、未来-すべての笑顔と健康のために』というグループビジョンのもと、脱炭素社会に向けて規制が強化される1.5℃シナリオと、現状予測される以上に気候変動対策が実施されない4℃シナリオについてシナリオ分析を行う事で、当社グループの事業に対する影響を予測し、削減のための戦略を検討してまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、全社的リスク管理推進のため取締役やグループ主要会社の社長・管理本部長からなるリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、事業遂行に関わる様々なリスクについて年度ごとに見直しを行っております。それぞれのリスクに対して発生頻度・影響度を考慮し、優先度を評価し取締役会で報告を行っております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは気候変動リスク・機会を管理するための指標としてScope1・2の温室効果ガス排出量を指標として定めています。当社グループの温室効果ガス排出量削減を進めるには、自販機運営リテイル事業の車両による燃料消費量、飲料製造事業の製造過程における電力及び燃料消費量が重要な要素となります。環境配慮型車両の導入推進や製造工程における高効率機器導入などを積極的に進めるとともに、太陽光発電の導入や建物設備の省エネ化の推進などの取り組みを進めていく予定です。

 

①削減に向けた今後の取り組み

・自販機オペレートで使用する車両の更新(ハイブリッド、EV化など)

・飲料製造工程における高効率機器の導入

・太陽光発電設備の導入及び増設

・建物設備の省エネ化の推進

 

②実績及び目標

当社グループ全体で温室効果ガス排出量の削減に取り組んでおります。長期的な削減目標やScope3への対応については現在検討中であります。

 

2023年3月期(実績)

Scope1

 7,454t (CO2)

Scope2

 3,969t (CO2)

Scope1・2合計

11,423t (2013年度比22%減)

Scope1:燃料の燃焼や工業プロセスに伴う温室効果ガスの直接排出

Scope2:電気・熱・蒸気などのエネルギー使用に伴う温室効果ガスの間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の事業に関連するバリューチェーンで発生する他社の間接排出

 

③主要事業での取組み

[自販機運営リテイル事業]

・ルート効率の劣る、遠方に設置されている自販機の引揚

・事務所や倉庫の照明をLEDに切り替え

・ハイブリッドヒートポンプ自販機の導入による使用電力量の削減

・フレックスタイム制の勤務体系を導入し、渋滞時間帯を避けた移動により使用燃料の削減

[飲料製造事業]

・炭酸ライン殺菌機、CIP装置更新

・コンプレッサーの高効率化

・工場全体の照明をLEDに切り替え

・加熱殺菌・冷却工程でヒートポンプ導入

・製品倉庫屋根に太陽光パネル設置し、製造ラインの一部で使用

 

<人材の多様性の確保を含む人材の育成について>

(1)ガバナンス

当社グループは、働き方改革の推進について働き方改革推進委員会を通じてコンプライアンスの観点はもとより、人材の安定的な確保と社員の健康維持のため働き方改革の推進に注力しております。

 

(2)戦略

グループビジョンの共通目標のひとつとして、従業員が生き生きと笑顔で働き、豊かで健康な人生を送ることも掲げております。グループビジョンに基づく4つの価値(事業価値 人間価値 社会価値 資本価値)の最大化をグループミッションとしており、そのひとつに「人間尊重と人材育成を基本とし、社員の福祉向上と能力開発に努力し、働く個人に自己実現の場を提供する。」という人間価値の最大化を位置づけています。

①働き方改革の推進

当社グループにおいては、働き方改革推進委員会を通じてコンプライアンスの観点はもとより、人材の安定的な確保と社員の健康維持のため働き方改革の推進に注力してきました。法令で定める最低水準を上回る有給休暇の取得の推進、時間外労働の管理の徹底を行い社員の働く環境の改善を継続しております。中でも当社の主力事業のひとつである自動販売機運営事業は労働集約型の事業であり、業界全体として労働時間が長時間化する中、生産性を意識した事業展開を重視することで同業他社に先駆けて働きやすい環境を構築することで安定的な人材の確保を目指します。

②多様性の推進

従来当社グループは事業内容・事業展開の特性から男性中心の組織となっておりました。事業展開の多角化を推進する中、外国人や様々な経験を持つキャリア採用者など多様な人材を採用、起用しそれぞれの特性や能力を最大限に活かすことで組織の多様化、活性化を進めてまいります。

③グループ採用の実施

2017年よりグループ採用を実施しています。グループ採用により入社した社員はM&Aにより業容拡大を目指す当社においてグループ全体を横につなぐ重要な役割を果たします。同時にグループの異なる業態に従事しキャリア形成することで当社グループの多様化の中核的存在へと成長することが期待されます。

④グループ間異動

社員がやりがいを感じる職務は勤続年数、職務経験、事業環境に応じ変化します。当社グループにおいては自己申告制度を通じて、グループ内の他の業態への異動を活発に推進し、社員がやりがいを感じ、特性をより活かす人員配置を実現します。

 

⑤研修制度の拡充とリスキリング

グループ事業の拡大、多様化に従って多様な人材の獲得が必要であると同時に、社員個々が新たな業務に取り組むための知識習得やスキルアップが求められます。世代ごとの習熟度にあわせた研修制度の再構築に取り組み、よりきめ細かくスキルアップを応援するとともに40代50代の社員に対するリスキリングに着手いたします。

⑥ハラスメントに対する取組

ハラスメントはその根源が無意識の中にあることも多く、防止のための仕組みがあっても継続的な意識の啓発がかかせません。当社グループにおいて、ハラスメントは誰もが行う可能性のあるものとして注意喚起し未然に防止する努力を怠らないとともに、起こった事象に対しては毅然と対応しハラスメントを許さない風土を醸成いたします。

⑦女性活躍に関する方針

多様性の推進の中でも特に女性の活躍支援は大きな課題ととらえております。現在グループ社員の男女比率は男性8に対して女性2の割合で圧倒的な男性中心の組織となっています。事業の多角化と組織の拡大にあわせ女性が活躍する職務は徐々に拡大しており新卒を中心とした採用においては多くの女性社員を新たに迎え入れています。若年層では女性活躍が目立ち始めている現状で、個々のライフプランにあわせた働き方を提供することで持続的に活躍できる環境の構築を目指しています。若干の時間を要するものとは考えられますが、遠からず将来女性のリーダーが数多く輩出されものと考えます。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、全社的リスク管理推進のため取締役やグループ主要会社の社長・管理本部長からなるリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、事業遂行に関わる様々なリスクについて年度ごとに見直しを行っております。それぞれのリスクに対して発生頻度・影響度を考慮し、優先度を評価し取締役会で報告を行っております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及びその社内環境の整備に継続して取り組んでおります。

女性管理職比率、男性の育児休暇取得率、男女間賃金格差に関する実績は「従業員の状況」欄に記載しております。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループでは、グループ主要各社の代表取締役、生産本部長・管理本部長が参加するリスク管理・コンプライアンス委員会のもと、中長期計画達成の支障となり得るリスクを洗い出し、対応策の検討、モニタリングを実施しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものですが、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避又は発生した場合の対応については上記委員会を中心に解決を図る所存です。

(1) 法的規制について

 当社グループでは、食品衛生法、酒類の製造免許、販売業免許、酒税法、労働関連規制、環境関連法規など様々な法的規制を受けています。これらの法令の変更、予期しない規制の新たな導入により、法令違反や社会的規範に反する行動をとった場合は、処罰や社会的制裁により、経営成績及びブランドへの信頼に影響を及ぼす可能性があります。そのリスクを最小化するために、製造・生産管理を始めとして、法務・税務関連の人材育成を図るとともに、経営の根本理念であり、従業員全員の行動指針を示した「アシードウェイ」の徹底を図ってまいります。

(2) 特定の業界における販売シェアについて

 自販機運営リテイル事業においては、遊技場業界に対する売上構成が比較的高い状況にあり、同業界の経営環境の変化や同業界に対する規制・条例等の変更によって、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのリスクを軽減するために、常に同業界動向を注視してゆくとともに、引き続きオフィスや工場への営業を強化するなど、広くバランスの取れた売上構成となるように営業を推進してまいります。

(3) 飲料製造事業の受託生産について

 飲料製造事業においては、ブランドオーナーから依頼を受け、清涼飲料水や低アルコール飲料を生産する受託生産の売上構成が高い水準にあります。受託生産は天候やブランドオーナーの外注政策によって、経営成績や財政状態が左右される可能性があります。これに対しては、日頃よりブランドオーナーとの連携を深め、変化に即応できる体制を築くとともに、当社グループからの企画提案により付加価値を高めながら、リスクの最小化に努めてまいります。

(4) アルコール摂取による悪影響に対する価値観について

 当社グループではRTD(低アルコール飲料)の製造・販売を行っています。不適切なアルコール摂取は、健康被害や社会的な悪影響が指摘されており、酒類販売に関する規制が検討されています。また健康志向の高まりにより、消費者需要が縮小する可能性もあります。これらの要因により、売上収益の縮小、ブランド価値の毀損などで、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、企業の社会的責任を果たすため、健康被害の予防について、酒類事業の関連法令を遵守することのほか、アルコールテイスト飲料など、健康に配慮した商品を提供することで、人々の豊かな生活に貢献してまいります。

(5) 製造物責任に関わるリスクについて

 当社グループは、最高水準の品質を追求しておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性は皆無ではなく、そうした重大事態が一旦発生した場合、当社グループの経営成績やブランドの信頼に大きく影響を及ぼす可能性があります。万一、品質事故が発生した場合には、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。また今後とも、品質管理の高度化、生産体制の改善等、品質リスクに対応する取り組みには十分な経営資源を投入してまいります。

(6) 海外での事業活動について

 当社グループは、ベトナムでは飲料の製造販売を目的とした持分法適用関連会社へ投資して、現地での事業発展のための活動を行っています。こうした海外での事業活動には、予期しない法律や規制の変更や、産業基盤の脆弱性に加え、社会的・政治的リスクが内在しています。こうしたリスクが顕在化することにより、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績や将来計画に影響を与える可能性があります。それに対応するため現地には駐在員を置き、様々な情報を収集することにより、迅速に対応する体制を築くとともに、当社グループ単独では対応できないと判断される案件につきましては、専門機関との連携によりリスクの最小化に努めてまいります。

 なお、タイのASEED (Thailand)Co.,Ltd.は海外拠点の集約に伴い、清算手続中であります。

(7) 人材の確保・育成について

 当社グループの事業を支える人材の確保・育成は、事業を維持、成長していく上で必要不可欠なものであります。アシードグループ憲章を基にしたブランディングで、役職員のあり方、よりどころを明確に示し、ロイヤリティを高めると共に、グループ事業会社間の活発な人事交流、次世代の経営を担う世代の経営塾などを定期的に行うことで、人材の確保・育成に努めてまいります。今後、必要な能力を有する人材の確保が出来なかった場合や、人材の流出が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 資本提携、M&Aについて

 当社グループは、企業価値向上を目的とした資本提携、M&Aを中長期的な会社の経営戦略に掲げ、検討していく方針であります。しかしながら、資本提携については、投資先の財務状況等により期待する成果が得られない等により、保有株式の評価減処理を行う可能性及びM&Aについては、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等の問題の発生または事業計画の著しい乖離が発生した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、これらが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 固定資産の減損損失について

 固定資産の減損損失は、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とすることとされております。このため、保有する固定資産の収益性の低下や市場価値が著しく下落した場合など、固定資産の減損会計の適用により特別損失の計上が必要となり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。保有する固定資産の収益性については適宜評価をしており、その評価に基づく保有の継続可否、活用策の立案など、適宜検討する体制としています。

(10) 自然災害に関するリスクについて

 近年、突発的に発生する災害や天災が増えており、不慮の事故等で製造設備の損害発生や原材料の供給不足、さらに電力・物流をはじめとする社会インフラの機能が低下した場合には、当社グループの経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループは、大規模な災害発生時、速やかにアシードホールディングス内に対策本部を設置し、従業員の安否確認や事業所施設の被災状況など情報を集中させるとともに、各事業所各自で対応すべき事項の確認とグループ内での支援を行う態勢を構築しています。これにより被害の最小化と影響の最小化に努めてまいります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概況

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、エネルギーや原材料価格の上昇・高止まりの影響を受け、多くの商品の値上げが実施されたものの、新型コロナ感染者の減少を受けた規制緩和やコロナ禍の自粛で大幅に増加した貯蓄に支えられ、個人消費は回復基調を示しています。

 この結果、当連結会計年度の資産合計は16,576百万円(前連結会計年度末比 1,463百万円増)、負債合計は10,955百万円(同 947百万円増)及び純資産は5,620百万円(同 516百万円増)となりました。

 また、当連結会計年度の経営成績は、売上高21,228百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益675百万円(同4.3%増)、経常利益926百万円(同2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益602百万円(同237.3%増)となりました。

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。なお、売上高は外部顧客への売上高を記載しております。

イ. 自販機運営リテイル事業

 自販機運営リテイル事業におきましては、生産・物流コストの高騰に対して生産性の向上を図ると共に、商品価格の改定を実施し、収益性の改善に取り組みました。また、3月には国産果実のおいしさ届ける「アシードアスター 有田みかんのチューハイ」と、ワイン用ブドウ品種の果汁で作る「女王のノンアル スパークリングテイスト」を新発売し好評いただいています。加えてグループ一体で価値向上に取り組むアシードブランドの商品開発が認められ、「アシードアスター 沖縄シークヮーサーのチューハイ」が第61回ジャパン・フード・セレクションのグランプリを受賞しました。

 この結果、自販機運営リテイル事業の売上高は12,836百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は112百万円(前年同期は54百万円のセグメント損失)となりました。

ロ. 飲料製造事業

 飲料製造事業におきましては、昨年発表し準備を進めていた宝積飲料株式会社志和工場の製造設備更新が1月に完了し、アシードグループの西の製造拠点として缶・ビン炭酸飲料の製造能力を増強しました。また、アシードブリュー株式会社宇都宮飲料工場では全体の照明の60%をLEDへ移行するなど、サステナビリティへの取組みを着実に推進しています。

 この結果、飲料製造事業の売上高は8,015百万円(前年同期比21.8%増)、セグメント利益は853百万円(同 2.2%減)となりました。

ハ. 不動産運用事業

 不動産運用事業におきましては、当社及びアオンズエステート株式会社を中心に所有不動産の運用を行っており、不動産運用事業による売上高は137百万円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益は204百万円(同 0.6%減)となりました。なお、売上高はセグメント間の内部売上高218百万円を含めると355百万円となります。

ニ. その他事業

 その他事業におきましては、国内消費の回復を受け、ロジックイノベーション株式会社の物流部門への引き合い増加に対応するとともに、グループ内各社の物流の課題への取組み強化を図っています。

 この結果、その他事業の売上高は238百万円(前年同期比38.5%増)、セグメント損失は2百万円(前年同期は3百万円のセグメント利益)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,136百万円(前年同期比23.1%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益857百万円、減価償却費605百万円、棚卸資産の減少額421百万円及びその他の負債の増加額117百万円等によるものです。一方で、持分法による投資利益218百万円、売上債権の増加額231百万円及び仕入債務の減少額225百万円等による資金の減少がありました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、1,678百万円(同248.2%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,502百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、748百万円(前年同期は509百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の純増額430百万円及び長期借入れによる収入1,500百万円等によるものであります。一方で、長期借入金の返済による支出709百万円、リース債務の返済による支出307百万円及び配当金の支払額164百万円等による資金の減少がありました。

 この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ215百万円増加し、当連結会計年度末には1,067百万円となりました。

③生産、受注及び販売の状況

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

飲料製造事業

 

 

 

炭酸飲料(百万円)

1,665

92.7

 

非炭酸飲料(百万円)

1,787

123.1

 

低アルコール飲料(百万円)

3,686

118.1

 

ソフトパウチ飲料(百万円)

713

121.1

 

その他(百万円)

147

合計(百万円)

8,000

114.9

(注)1.自販機運営リテイル事業・不動産運用事業・その他事業において生産活動は行っておりません。

2.その他は株式会社河村農園が行っている茶葉の製造であり、当期から連結の範囲に含めているため前年同期比を記載しておりません。

3.当期より生産実績についても有償支給された原料代等を控除した純額で記載しております。

ロ.受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

飲料製造事業

 

 

 

 

 

炭酸飲料

1,667

106.1

60

102.3

 

非炭酸飲料

1,787

123.1

 

低アルコール飲料

3,718

131.9

211

117.9

 

ソフトパウチ飲料

716

124.9

76

103.9

 

その他

143

21

合計

8,033

125.2

370

118.4

(注)1.自販機運営リテイル事業・不動産運用事業・その他事業において生産活動は行っておりません。

2.その他は株式会社河村農園が行っている茶葉の製造であり、当期から連結の範囲に含めているため前年同期比を記載しておりません。

3.当期より受注実績についても有償支給された原料代等を控除した純額で記載しております。

 

ハ.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

自販機運営リテイル事業(百万円)

6,322

103.7

合計(百万円)

6,322

103.7

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.飲料製造事業において商品仕入活動を行っておりますが、金額に重要性がないため記載しておりません。また不動産運用事業・その他事業においては商品仕入活動を行っておりません。

ニ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

自販機運営リテイル事業(百万円)

12,836

103.6

飲料製造事業(百万円)

8,015

121.8

不動産運用事業(百万円)

137

101.2

その他事業(百万円)

238

138.5

合計(百万円)

21,228

110.1

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月21日)現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に、検証等を行っております。

(事業用固定資産の減損処理)

 当社グループでは、減損の兆候がある資産グループのうち、収益性の低下により割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ることとなった資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。割引前将来キャッシュ・フローにつきましては事業計画を基礎としており、事業計画策定においては販売予測や経費削減策等の仮定を用いております。減損の兆候の把握、減損損失の認識並びに測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合減損処理が必要となる可能性があります。

② 財政状態の分析

イ.流動資産

 当連結会計年度末における流動資産は、5,696百万円となり、前連結会計年度末に比べ165百万円増加いたしました。これは現金及び預金の増加173百万円、受取手形及び売掛金の増加276百万円、商品及び製品の減少451百万円及びその他の増加152百万円等によるものであります。

ロ.固定資産

 当連結会計年度末の固定資産は10,880百万円となり、前連結会計年度末に比べ、1,298百万円増加いたしました。これは建物及び構築物(純額)の増加138百万円、機械装置及び運搬具(純額)の増加1,069百万円、建設仮勘定の減少114百万円、のれんの増加82百万円、投資有価証券の増加239百万円及びその他の減少90百万円等によるものであります。

ハ.流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は8,035百万円となり、前連結会計年度末に比べ356百万円増加いたしました。これは買掛金の減少190百万円、短期借入金の増加430百万円、1年内返済予定長期借入金の増加130百万円、未払金の増加122百万円及び未払法人税等の減少98百万円等によるものであります。

ニ.固定負債

 当連結会計年度末の固定負債は2,920百万円となり、前連結会計年度末に比べ590百万円増加いたしました。これは長期借入金の増加667百万円等によるものであります。

ホ.純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は5,620百万円となり、前連結会計年度末に比べ516百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益による増加602百万円、剰余金の配当による減少164百万円及び為替換算調整勘定の増加64百万円等によるものであります。

③ 経営成績の分析

イ.売上高

 自販機運営リテイル事業は、テレワークの定着したオフィスや集客が遅れる観光地やレジャー施設などのインドア・ロケーションを中心に販売数量の低迷が続き収益面では厳しい状況が続いており、12,836百万円の売上高となりました。飲料製造事業は大手ブランドメーカーの厚い信頼を得て缶チューハイ等のOEM、ODMが着実に伸長するとともに、パウチ製品の製造数も増加し、8,015百万円の売上高となりました。不動産運用事業は、グループ物流施設稼働による賃料収入の減少などにより137百万円、その他事業はロジックイノベーション株式会社の物流事業の増加などで66百万円増の238百万円の売上高となりました。

ロ.売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価につきましては、1,551百万円の増加となりました。

 販売費及び一般管理費が売上高に占める比率は、前連結会計年度と比較して1.6%減少いたしました。

 

ハ.営業外収益、営業外費用

 営業外収益は、前連結会計年度に比べ39百万円増加し、369百万円となりました。その主な要因は、持分法による投資利益の増加96百万円、投資事業組合運用益の減少25百万円及び助成金収入の減少36百万円等によるものであります。

 営業外費用は、前連結会計年度に比べ43百万円増加し、117百万円となりました。その主な要因は、支払補償費の増加48百万円等によるものであります。

ニ.特別利益、特別損失

 特別損失として、のれん等を減損処理し、減損損失46百万円を計上いたしました。

④ 経営戦略の現状と見通し

 新型コロナウイルス感染拡大を受けた人流の抑制は解除に向かうものの、来日客を見込んでいる観光・レジャー施設の低迷やテレワーク定着によるオフィス内需要減退の影響を受け、経営の見通しは困難な状況でありますが、当社グループの経営戦略の柱は、当社独自のビジネスモデルを展開することで他社との差別化を図ることであります。具体的には、「フルライン自販機への集約」、「自社ブランド商品の強化」、「本格オフィスコーヒーカフェバーの展開」に加え、フルライン自販機にカップコーヒーや食品・物販等の自販機をセットにした「スマートストア」の強化を図ってまいります。特に、フルライン自販機につきましては、飲料メーカー数台分の売れ筋商品を1台の自販機に集約することで、過剰に設置された自販機の消費電力の削減を図るとともに、景観保全にも積極的に取組んで社会的使命を果たしてまいります。

 自販機運営リテイル事業は引き続き異業種との競争激化や労務問題によるコストアップ等により厳しい事業環境が続く一方、飲料製造事業では資材・原材料高、電力・燃料費の高騰で予断は許さないものの、適切な価格転嫁を実行しながら、ODM営業の強化と安定的・効率的な生産体制の構築に取り組むとともに、ソフトパウチ飲料の製造により収益率の向上を図ってまいります。

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度と比較して、213百万円増加の1,136百万円のキャッシュを得ております。その主な要因は、税金等調整前当期純利益、減価償却費等による収入によるものであります。支出については、売上債権の増加、仕入債務の減少加等による支出によるものであります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して、1,196百万円支出が増加し1,678百万円を支出しております。その主な要因は、飲料製造事業における製造設備新設による支出等によるものであります。
 財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の509百万円の支出に対し、748百万円の収入となりました。その主な要因は、短期借入金の純増減額及び長期借入による収入によるものであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、経営環境や金利動向を考慮しながら、「必要な資金を、安定的に調達すること」を基本方針とし、事業運営上必要な資金の確保及び経済環境の急激な変化に耐えうる流動性維持に努めております。

 調達手段として、長期運転資金及び設備投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本とし、短期資金需要については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入を基本としております。借入については、グループ会社で一元化することにより有利子負債の削減、安定的かつ効率的な資金調達を心掛けております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2023年3月22日開催の取締役会において、静岡ローストシステム株式会社および同社のグループ会社であるマルサン萩間茶株式会社の発行済み株式の100%を取得し子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

6【研究開発活動】

 当社グループは飲料製造事業において、各事業会社の品質保証・製品開発部門にて既存飲料製品の成分分析、サンプル品の製造を中心に、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めており、当連結会計年度における研究開発活動の金額は、3百万円となっております。