第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度(2014年9月1日~2015年8月31日)の連結業績は、売上収益が1兆6,817億円(前期比21.6%増)、営業利益は1,644億円(同26.1%増)、当期利益は1,173億円(同48.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,100億円(同47.6%増)と、過去最高の業績を達成いたしました。営業利益では、J Brand事業、システム関連、米国ユニクロ店舗などの減損損失合計161億円と、ロンドンや上海の旗艦店の改装に伴う固定資産除却損18億円を計上しております。また、当期利益では、円安による外貨建資産などの換算差額が増え、金融損益が162億円と前期の50億円から大幅に増えております。

 セグメント別では、海外ユニクロの営業利益が433億円、前期比31.6%増となり、グループ全体の業績をけん引いたしました。国内ユニクロも営業利益1,172億円、前期比10.3%増と安定した増益となっております。グローバルブランドの営業利益は144億円でした。同セグメントに含まれるジーユー事業の業績は極めて好調に推移し、ジーユー事業の年間の営業利益は164億円、前期比2.7倍の大幅増益となりました。

 当社グループは、中期ビジョンとして「世界No.1アパレル製造小売業となる」ことを目標にしております。そのために、特に海外ユニクロ事業の拡大に注力し、各国におけるユニクロの出店を継続すると同時に、世界の主要都市にグローバル旗艦店を出店することで、ユニクロブランドの認知度を高め、事業基盤の強化を図っております。また、ジーユー事業は、国内の出店を加速する一方で、中国市場にも進出するなど、事業の成長が軌道に乗り始め、グループ第二の柱に成長しています。

 

[国内ユニクロ事業]

 国内ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は7,801億円(前期比9.0%増)、営業利益は1,172億円(同10.3%増)と過去最高の業績を達成しました。これは、既存店売上高が前期比で6.2%増収と好調だったことによります。ただし、売上総利益率は前期比で0.2ポイント低下、人件費増加等の影響により、売上販管費比率は同0.1ポイント上昇しております。

 秋冬シーズンは、ヒートテック、ウルトラライトダウン、ウールセーターなどの冬のコア商品の販売実績が計画値を上回る勢いでした。特に2014年秋から販売を本格化した、従来のヒートテックよりも1.5倍暖かい“ヒートテックエクストラウォーム”の人気が高く、好調な販売を記録しました。春の立ち上げも順調でしたが、6月以降の梅雨の時期が例年より気温が低かったことにより、夏物販売はやや低調に推移しました。

 2014年10月には、グローバル旗艦店のUNIQLO OSAKA、グローバル繁盛店の吉祥寺店を出店し、地域に根ざした店舗経営で、お客様の支持を集める人気店舗となっています。

 

[海外ユニクロ事業]

 海外ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は6,036億円(前期比45.9%増)、営業利益は433億円(同31.6%増)と過去最高の業績を達成いたしました。エリア別のトレンドとしては、グレーターチャイナ(中国・香港・台湾)、韓国の業績が大幅な増収増益となり、全体の業績をけん引いたしました。また、東南アジアの営業利益は前年並み、欧州はロンドンのグローバル旗艦店の全面改装により固定資産除却損を計上した結果、営業利益は減益となりました。米国は年間の出店数が17店舗と、急速に店舗数を増やしたことと、ユニクロのブランドがまだ米国市場で認知されていないことで売上の計画未達が続き、事業の赤字幅は前年比で拡大する結果となっております。

 好調を維持しているグレーターチャイナの2015年8月期の業績は、売上収益が3,044億円(前期比46.3%増)、営業利益が386億円(同66.1%増)と大幅な増収増益となりました。期末店舗数はグレーターチャイナ合計で467店舗に達しております。2015年8月期末の海外ユニクロ事業全体の店舗数は798店舗に達し、前期末比165店舗の純増となりました。

 

[グローバルブランド事業]

 グローバルブランド事業の当連結会計年度の売上収益は2,953億円(前期比17.6%増)、営業利益は144億円(前期は営業損失41億円)でした。J Brand事業の赤字継続により減損損失51億円を計上しております。

 同セグメントに含まれるジーユー事業の業績は極めて好調で、売上収益1,415億円(前期比31.6%増)、営業利益164億円(前期比2.7倍増)の大幅な増収増益を達成いたしました。業績好調の背景としては、“ガウチョパンツ”などファッショントレンドを掴んだ商品企画力により若年層に限らず幅広い年代へ顧客層が拡大したこと、柔軟な増産への対応などが挙げられます。期末店舗数は国内314店舗、海外5店舗に拡大しております。

 一方、セオリー事業は米国ラグジュアリー市場の不調により、営業利益は減益、コントワー・デ・コトニエ事業も減益でした。J Brand事業は米国市場におけるプレミアムデニム市場不振の影響を受け、赤字が継続する結果となっております。

[CSR(企業の社会的責任)活動]

 当社グループのCSR活動は「社会的責任を果たす」「社会に貢献する」「社会の問題を解決し新たな価値を創造する」ことを基本方針とし、グローバルかつ地域に根ざした活動に取り組んでおります。

 「全商品リサイクル活動」では、ユニクロとジーユーの店舗で回収した衣料を、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とのパートナーシップを通じて、難民・避難民に届けるなど、2015年8月末までに累計1,632万点を寄贈いたしました。そのうち、2015年8月期にはヨルダンの難民へ合計28万点を、またミャンマーの難民へ子ども服を中心に8万点を届けております。

 サプライチェーン全体の労働環境改善のため、縫製工場では以前より労働環境モニタリングを実施しておりますが、2015年9月から、ユニクロの生産量の7割を占める素材工場に対し、労働環境および環境負荷に関するモニタリングを開始いたしました。2015年7月には、工場労働者の権利保護に取り組む国際NPOのFair Labor Association(公正労働協会)に加盟し、生産現場の労働者の人権保護にも努めています。

 バングラデシュの伝統衣装をモチーフにしたウィメンズ・コレクションを、2015年4月から世界のユニクロで販売し、収益の一部を、バングラデシュのユニクロ、ジーユーの取引先縫製工場で働く約2万人の女性の教育支援に活用しております。この〝Factory Worker Empowerment Project″の活動は、NPOと協働で、生活に必要な衛生・栄養管理スキルの習得を促進し、妊娠・出産時のケア、健康管理、病気予防、将来設計などのサポートを行うものです。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」と言います。)は、前連結会計年度末に比べ、411億円増加し、3,552億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動による収入は、前連結会計年度と比べ243億円増加し、1,349億円(前年同期比22.0%増)となりました。これは主として、税引前利益1,806億円、減価償却費及びその他償却費377億円、法人税等の支払額847億円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動により支出した資金は、前連結会計年度と比べ168億円増加し、731億円(前年同期比29.9%増)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出446億円、定期預金の増減額161億円、敷金・保証金の増加による支出88億円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動により支出した資金は、前連結会計年度と比べ22億円減少し、417億円(前年同期比5.2%減)となりました。これは主として、配当金の支払額331億円等によるものです。

 

(3)並行開示情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

 

(表示組替)

 日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは金融収益又は金融費用、その他費用、その他収益及び販売費及び一般管理費等に表示しております。

 

(のれんの償却に関する事項)

 日本基準の下で、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。

 この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度におきましては、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が5,960百万円減少し、減損損失(その他費用)が2,711百万円増加しております。当連結会計年度におきましては、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が3,680百万円減少し、減損損失(その他費用)が1,420百万円増加しております。

 

(外貨建貨幣性金融商品の換算差額に関する事項)

 日本基準の下で、外貨建貨幣性金融商品の為替換算差額は、純資産の部にその他有価証券評価差額金として計上されておりますが、IFRSでは、これらの換算差額は為替差損益として処理しております。

 この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、為替差益(金融収益)は、前連結会計年度2,398百万円、当連結会計年度5,595万円増加しております。

(固定資産の減損に関する事項)

 日本基準の下では、減損の兆候がある場合に、減損の認識の判定(割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額の比較)を行った後、減損損失の測定(回収可能価額と帳簿価額の比較)を行います。一方でIFRSでは減損の兆候がある場合、固定資産の回収可能価額が見積られ、回収可能価額が帳簿価額よりも小さい場合、資産又は資金生成単位グループの減損損失を測定いたします。

 この影響により、IFRSの減損損失は日本基準に比べて、前連結会計年度3,793百万円、当連結会計年度2,232百万円増加しております。

 

2【販売及び仕入の状況】

(1) 部門別売上状況

部門

前連結会計年度

自 2013年9月1日

至 2014年8月31日

当連結会計年度

自 2014年9月1日

至 2015年8月31日

売上収益
 (百万円)

構成比
(%)

売上収益
 (百万円)

構成比
(%)

 メンズ

292,574

21.2

314,587

18.7

 ウィメンズ

354,721

25.6

371,127

22.1

 キッズ・ベビー

40,052

2.9

56,526

3.4

 グッズ・その他

16,700

1.2

19,429

1.1

 国内ユニクロ商品売上合計

704,049

50.9

761,671

45.3

 FC関連収入・補正費売上高

11,594

0.8

18,467

1.1

 国内ユニクロ事業合計

715,643

51.7

780,139

46.4

 海外ユニクロ事業

413,655

29.9

603,684

35.9

 ユニクロ事業合計

1,129,299

81.6

1,383,824

82.3

グローバルブランド事業

251,225

18.2

295,316

17.6

その他事業

2,410

0.2

2,641

0.1

合計

1,382,935

100.0

1,681,781

100.0

(注) 1 FC関連収入とは、フランチャイズ店に対する商品売上高、フランチャイズ店からのロイヤリティ収入であり、補正費売上高とは、パンツの裾上げ(補正)の加工賃及び刺繍プリントによる収入等であります。

    2 ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

    3 グローバルブランド事業は、ジーユー事業(「ジーユー」ブランドの衣料品販売事業)、セオリー事業(「Theory(セオリー)」、「Helmut Lang(ヘルムート・ラング)」、「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)、プリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)及びJ Brand事業(「J BRAND(ジェイブランド)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。

    4 その他事業とは、不動産賃貸業等であります。

    5 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 地域別売上状況

地域別

当連結会計年度

(自 2014年9月1日

  至 2015年8月31日)

売上収益(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

期末店舗数(店)

国内ユニクロ

店舗商品売上高

北海道

25,457

109.3

1.5

29

青森県

5,595

103.2

0.3

9

岩手県

5,093

105.3

0.3

8

宮城県

12,306

108.3

0.7

14

秋田県

3,889

101.5

0.2

7

山形県

4,891

106.0

0.3

8

福島県

8,800

108.9

0.5

10

茨城県

14,828

104.6

0.9

17

栃木県

10,283

105.1

0.6

14

群馬県

12,365

105.2

0.7

19

埼玉県

39,805

106.2

2.4

45

千葉県

33,541

105.4

2.0

41

東京都

123,064

110.1

7.3

100

神奈川県

58,912

107.0

3.5

60

新潟県

11,246

107.1

0.7

12

富山県

5,449

107.1

0.3

7

石川県

5,817

108.2

0.4

7

福井県

3,982

107.9

0.2

5

山梨県

4,720

108.6

0.3

5

長野県

10,451

108.2

0.6

11

岐阜県

9,927

112.1

0.6

11

静岡県

21,031

107.8

1.3

24

愛知県

41,703

107.6

2.5

44

三重県

9,236

107.1

0.6

10

滋賀県

7,167

115.4

0.4

10

京都府

17,374

105.1

1.0

20

大阪府

63,187

111.9

3.8

71

兵庫県

33,632

103.6

2.0

36

奈良県

7,313

105.7

0.4

9

和歌山県

2,224

102.2

0.1

3

鳥取県

3,041

99.2

0.2

3

島根県

496

109.1

0.0

1

岡山県

9,334

110.7

0.6

10

広島県

14,172

99.0

0.8

17

山口県

3,696

107.0

0.2

5

徳島県

3,903

105.6

0.2

5

香川県

4,940

107.1

0.3

6

愛媛県

5,114

96.4

0.3

7

高知県

3,707

102.5

0.2

4

福岡県

28,068

109.6

1.7

32

佐賀県

3,511

100.4

0.2

4

長崎県

5,720

104.9

0.3

8

熊本県

7,900

105.5

0.5

10

 

 

地域別

当連結会計年度

(自 2014年9月1日

   至 2015年8月31日)

売上収益(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

期末店舗数(店)

 

大分県

6,056

106.2

0.4

8

宮崎県

4,100

97.9

0.2

7

鹿児島県

7,197

105.4

0.4

11

沖縄県

5,107

112.3

0.3

7

国内ユニクロ店舗計

729,371

107.5

43.4

811

通販事業

32,299

127.9

1.9

FC商品供給高・経営管理料

17,774

165.0

1.1

30

補正費売上高

692

84.1

0.0

国内ユニクロ事業計

780,139

109.0

46.4

841

海外ユニクロ事業

603,684

145.9

35.9

798

ユニクロ事業合計

1,383,824

122.5

82.3

1,639

グローバルブランド事業

295,316

117.6

17.6

1,339

その他事業

2,641

109.6

0.1

合計

1,681,781

121.6

100.0

2,978

 

(注) 1 FC商品供給高とは、フランチャイズ店に対する商品売上高、経営管理料とはフランチャイズ店からのロイヤリティ収入であり、補正費売上高とは、パンツの裾上げ(補正)の加工賃及び刺繍プリントによる収入等であります。

    2 ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

    3 グローバルブランド事業は、ジーユー事業(「ジーユー」ブランドの衣料品販売事業)、セオリー事業(「Theory(セオリー)」、「Helmut Lang(ヘルムート・ラング)」、「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)、プリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)及びJ Brand事業(「J BRAND(ジェイブランド)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。

    4 その他事業とは、不動産賃貸業等であります。

    5 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 単位当たりの売上状況

摘要

当連結会計年度

(自 2014年9月1日

 至 2015年8月31日)

前年同期比(%)

売上収益

1,333,056百万円

122.0%

1㎡当たり売上収益

売場面積(平均)

1,455,432㎡

110.8%

1㎡当たり期間売上収益

916千円

110.1%

1人当たり売上収益

従業員数(平均)

51,676人

113.1%

1人当たり期間売上収益

25,796千円

107.9%

 

 (注) 1 国内・海外ユニクロ事業についてのみ記載しております。

2 売上収益は店舗商品売上高であり、国内ユニクロ事業の通信販売事業・FCに対する商品供給高・経営管理料及び補正費売上高は含まれておりません。

3 売場面積(平均)は、営業店の稼動月数を基礎として算出しております。

4 従業員数(平均)は、準社員、アルバイト社員、委託社員及び受入出向社員を含み、委任型執行役員を除いております。なお、準社員、アルバイト社員は期中加重平均(1日8時間換算)で算出しております。

5 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(4) 仕入実績

商品部門別

当連結会計年度

(自 2014年9月1日

 至 2015年8月31日)

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

メンズ

162,801

103.0

19.6

ウィメンズ

191,693

100.6

23.0

キッズ・ベビー

29,967

126.1

3.6

グッズ・その他

9,592

117.3

1.1

 国内ユニクロ事業合計

394,054

103.5

47.3

海外ユニクロ事業

307,829

132.3

37.0

ユニクロ事業合計

701,884

114.4

84.3

グローバルブランド事業

130,836

114.5

15.7

合計

832,720

114.4

100.0

(注) 1 ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

    2 グローバルブランド事業は、ジーユー事業(「ジーユー」ブランドの衣料品販売事業)、セオリー事業(「Theory(セオリー)」、「Helmut Lang(ヘルムート・ラング)」、「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)、プリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)及びJ Brand事業(「J BRAND(ジェイブランド)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。

    3 上記以外に、その他事業(不動産賃貸業等)がありますが、事業の性格上、仕入は発生しません。

    4 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

 (1) 「グローバルワン」の経営体制を推進

 ユニクロ事業、ジーユー事業、セオリー事業など、グループ全体を統合する「グローバルワン」の経営体制を推進するため、東京、ニューヨーク、パリ、上海、シンガポールを拠点とする各本部機能および、それらの連動を強化していきます。また、社内の教育機関であるFR-MICを活用し、グローバルで活躍できる次世代のリーダー・経営者の育成にも積極的に取り組んでいきます。

 

 (2) ユニクロ事業のグローバル展開を加速

 グレーターチャイナ、韓国などのアジア・オセアニア、および欧米市場を中心に海外出店を拡大し、ユニクロ事業のグローバル展開を加速していきます。また、グローバル旗艦店や地域を代表する旗艦店を、各国の主要都市に出店し、ブランド認知度を高めるとともに、グローバルマーケティングを構築していきます。特に米国市場においては、ユニクロのブランド認知度を高めることで、早期に黒字体質に変革していきます。

 

 (3) 世界最高水準の商品開発能力を強化

 世界最高水準の商品開発力を強化するために、東京、ニューヨーク、上海に加えて、パリ、ロンドン、ロサンゼルスにも本格的なR&Dセンターを設立します。世界のファッショントレンドをいち早く掴み、各ブランドの商品開発に生かしていきます。究極のベーシックウエアを追求するユニクロは、さらに洗練された、お客様に心から満足していただける世界最高水準の商品を提供し続けていきます。

 

 (4) グローバルで最適な生産ネットワークの構築

 ユニクロの高機能性素材を使った商品開発力をより強いものにするために、素材メーカーとのパートナーシップを強化していきます。天然素材の調達については、高品質の素材を大量、かつ安定的に調達できる体制を整えます。また、グローバルで最適な生産ネットワークを構築し、追加生産時のリードタイムを短縮するなど、生産体制をさらに強化します。

 

 (5) 国内ユニクロ事業の安定成長

 2015年8月期末時点で841店舗を展開する国内ユニクロ事業では、スクラップ&ビルドにより1店舗あたりの売場面積を拡大し、高い効率性を維持していきます。中期的には店舗販売員の半数を正社員化することで、そのエリアのお客様のニーズに合う品揃え、サービス、マーケティングプランを展開していきます。地域密着型の個店経営に転換することで、持続的な安定成長をめざします。

 

 (6) 産業を変えるデジタルイノベーションの推進

 モバイル、インターネットなどの普及が、流通業にドラスティックな転換をもたらしています。2016年度に稼動予定の有明配送センターを拠点に“デジタルフラッグシップストア”をつくり、リアル店舗とバーチャルが連動した、新しいお買物体験と流通システムを構築します。産業を変えるデジタルイノベーションを推進し、企画・生産・物流・販売・サービスの仕組みを変革します。

 

 (7) グローバルブランド事業の成長

 低価格ファッションの新しいビジネスモデルを構築するジーユーは、日本を中心に、アジアへと出店を拡大し、中期的には売上3,000億円、営業利益400億円をめざします。また、セオリーなどその他のグローバルブランドは、グループの相乗効果を最大限に生かし、事業拡大をめざします。今後も、グループの成長に寄与するアパレルブランドを獲得するためのM&Aを検討していきます。

 

 (8) 「世界を良い方向に変えていく」CSR活動の推進

 CSR(企業の社会的責任)活動を通じて、社会や人々の生活を豊かにしていくことをめざします。全商品リサイクル活動を通じた難民・避難民への支援、バングラデシュにおけるソーシャルビジネスの運営、取引先工場における労働環境および環境負荷に関するモニタリングの実施、ダイバーシティ推進やワークライフバランス支援などの従業員のための取り組み、障がい者雇用の推進など、さまざまな活動を推進していきます。

 

4【事業等のリスク】

 当社及び当社グループの事業に関連するリスク要因で、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項を、以下に記載しております。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の事前回避や管理の徹底を図るとともに、発生時の適切な対応に努めてまいります。

 なお、記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2015年11月27日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。

(1) 経営戦略遂行上の固有(Specific)リスク

 当社グループの経営戦略上の固有リスクとして、以下を認識しております。

 

① 経営人材リスク

  代表取締役会長兼社長柳井正をはじめとする当社グループ企業経営陣は、各担当業務分野において、重要な役割を果たしております。これら役員が業務執行できなくなった場合、並びにそのような重要な役割を担い得る人材を確保できなかった場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合リスク

  当社グループは、いずれの事業におきましても、一般消費者を顧客としていることから、常に商品やサービス、価格に関して、国内外の競合企業との間に厳しい競争状態にさらされています。そのため、顧客が当社グループの競合他社を選択するなどにより、事業競争力が相対的に低下した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 生産の特定地域への依存リスク

  当社グループの各事業で販売する商品の大半は、中国を始めとするアジア諸国やトルコ等にて生産されています。そのため、当該生産国の政治・経済情勢、治安状態、法制度に著しい変動があった場合、工場従業員や港湾従業員によるストライキの発生、また地震、風水害等大規模な自然災害の発生などにより、商品供給体制に影響を及ぼす可能性があります。また、綿花やカシミヤ、ダウンをはじめとする原材料価格の高騰により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 企業買収リスク

  当社グループは、M&Aや事業提携等による事業の拡大を経営戦略のひとつとしております。対象企業や対象事業とのシナジー効果を追求し、事業ポートフォリオの最適化を図ることにより、グループ事業価値の最大化を目指してまいりますが、期待した収益や効果が得られないことにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 海外事業リスク

  当社グループは、M&Aや事業提携等により事業拡大を図るとともに、グループ事業の海外展開を積極的に進めております。海外各国でグループ事業の多店舗展開を進め、海外事業のグループに占める売上高比率が高まるなかで、販売する商品が各国独自の市場ニーズや商品トレンドに合致しない場合、また景気変動、政治的・社会的混乱、法規制等の変更、大幅な為替の変動などが発生した場合、その他各国事業を円滑に運営できる優秀な経営者及び現地スタッフの獲得や育成が円滑に進行しない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 為替リスク

  当社グループの中核事業であるユニクロ事業の商品輸入の大半が、米ドル建となっております。日本向け輸入につきましては、当面3年程度の為替先物予約契約を締結し、輸入為替レートの平準化を図ることにより、仕入コストの安定化を図っておりますが、今後さらに円安ドル高が進む場合、当社グループの中核を担うユニクロ日本事業の業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2) 一般(General)事業リスク

 当社グループでの経営並びに事業運営上のリスクとして、以下を認識しております。

 

① 製造物責任リスク

  当社グループ各社の販売する商品に、危険物の混入や染料に有害物質が含まれる等の重大な品質不良が発生した場合、全世界における商品リコールや顧客の健康被害への対処を要し、業績への悪影響及び顧客の信用低下を招く可能性があります。

 

② 営業秘密・個人情報漏洩リスク

  当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます)や営業秘密等の機密情報を取扱っています。顧客情報や機密情報の流出、消失が発生した場合、当該情報の回収や、顧客へのお詫び、損害賠償の支払等の対処を要し、業績への悪影響及び顧客の信用低下を招く可能性があります。

 

③ 天候リスク

  地球温暖化による暖冬傾向等により、当社グループで販売している商品の売上が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 災害リスク

  当社グループの販売する商品の生産工場や販売店舗、及びその周辺地域において、火災、風水害、爆発、建物倒壊等の災害が発生した場合、商品供給体制や販売体制に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 紛争・訴訟リスク

  当社グループと、販売店舗の賃貸人やその他取引先、顧客との間に紛争や訴訟が発生した場合、当該紛争解決に多額の費用がかかり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 経済環境・消費動向の変化のリスク

  当社グループの展開各国における経済環境や消費動向の変化により、商品の売上の減少や過剰在庫が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上収益・売上総利益

 売上収益は、前連結会計年度に比べて2,988億円増加し、1兆6,817億円となりました。売上収益の内訳の詳細については、「1 業績等の概要 (1)業績」と「2 販売及び仕入の状況」をご参照ください。

 売上収益が増加した要因は、海外ユニクロ事業で1,900億円、国内ユニクロ事業で644億円、グローバルブランド事業で440億円と各セグメントにおいて増収となったためです。特に、海外ユニクロ事業においては、アジア地区で積極的な出店を行ったことによる増収、グローバルブランド事業においては、ジーユー事業の拡大により増収となりました。

 売上総利益は、前連結会計年度に比べて1,487億円増加し、8,485億円となり、売上収益に対する比率は50.6%から50.5%へと0.1ポイント低下しました。低下した要因は、国内ユニクロ事業で6月からの天候不順で夏物販売が苦戦し、値引き販売を強化したこと、在庫処分を積極的に進めたため、第4四半期連結会計期間の売上総利益率が低下したことによります。

② 販売費及び一般管理費・その他収益・その他費用・営業利益

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて1,226億円増加し6,718億円となり、売上収益に対する比率は39.7%から39.9%へと0.2ポイント上昇いたしました。主な要因は、国内ユニクロ事業で地域正社員を増やした影響による賞与などの人件費増、物流費、委託費などの経費が上昇したことによるものです。営業利益は1,644億円と、前連結会計年度に比べて340億円の増益となっております。

③ 金融収益・金融費用・税引前利益

 金融収益は、前連結会計年度に比べて113億円増加し、173億円となりました。金融収益の主な増加要因は、前連結会計年度ではゆるやかな円安により、為替差益が51億円だったものの、当連結会計年度では前連結会計年度に比べ急激な円安だったことにより150億円と、99億円増加したことによるものです。

 この結果、税引前利益は前連結会計年度に比べて452億円増加し1,806億円となり、売上収益に対する比率は前連結会計年度の9.8%から10.7%へと0.9ポイントの増加となりました。

④ 親会社の所有者に帰属する当期利益

 法人所得税費用は、前連結会計年度に比べて71億円増加し、632億円となりました。この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べて354億円増加し、1,100億円となり、基本的1株当たり当期利益は前連結会計年度に比べて347円91銭増加し1,079円42銭となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資産

 資産は、前期比1,713億円増加し、1兆1,637億円となりました。これは主として、デリバティブ金融資産の増加583億円、現金及び現金同等物の増加411億円、棚卸資産の増加367億円等によるものです。

② 負債

 負債は、前期比326億円増加し、3,889億円となりました。これは主として、繰延税金負債の増加98億円、引当金の増加89億円、未払法人所得税の増加40億円等によるものです。

③ 資本

 資本は、前期比1,387億円増加し、7,748億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加769億円、その他の資本の構成要素の増加538億円等によるものです。

    ④ 資金の状況

 当社グループの資金の状況につきましては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。