第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2023年11月30日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。

 ファーストリテイリンググループは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という企業理念を掲げ、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供することをめざしています。

 

 我々の服づくりのコンセプトであるLifeWear(究極の普段着)は、あらゆる人の生活をより豊かにする、生活ニーズから考え抜かれたシンプルで上質な服です。着心地が良く、快適な時間を過ごせる服、資源を無駄にしない服へのニーズの高まりに伴い、LifeWearのコンセプトがお客様から理解され、世界中で支持が拡大していることを実感しています。海外ユニクロ事業の売上収益は、過去10年間で5倍以上となり、連結売上収益に占める割合は約22%から約52%へ大きく拡大しました。すでにブランドポジションを確立しているグレーターチャイナだけでなく、東南アジア・インド・豪州地区、北米、欧州でも、認知度が高まり、顧客層が拡大したことで、事業が大幅に成長しています。こうした変化をチャンスと捉え、真のグローバル企業になるために、長期目標を新たに掲げ、挑戦します。

 

 世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠なブランドになることを目標に、事業規模だけでなく、企業風土を含めた事業の質の面でも、グローバルNo.1をめざします。

ファーストリテイリングは、第1創業期(1984年~2004年)にユニクロ事業やSPAの基本を確立、第2創業期(2005年~2012年)では、日本での事業拡大と同時に、グローバルブランドをめざして海外進出を本格化。第3創業期(2013年~2022年)では、LifeWearのコンセプトを掲げてグローバル化を加速、グループブランドを強化しながら、情報製造小売業の基盤を整えました。各創業期ごとに、売上収益がそれぞれ約3倍と大きく成長しました。2023年8月期を第4創業の始まりと位置づけ、今後10年程度で、売上収益10兆円をめざします。その中間目標として、数年程度で売上収益5兆円の達成をめざします。

 

<対処すべき課題>

(1) お客様のニーズに応え、顧客を創造する

●お客様起点の商品づくりを強化

「お客様が本当にほしい服が、ほしいときにあり、すぐに買える」をめざし、情報製造小売業をさらに進化させます。アプリ会員基盤や店舗網を活かし、世界中のお客様とダイレクトにつながることで、お客様の声に基づく商品開発を行います。また、グローバルのR&D拠点を強化し、真のグローバルブランドとして完成された最適な商品構成をめざします。

 

●サプライチェーン改革の推進

商品企画、数量計画、在庫コントロールの精緻化に加え、追加生産のリードタイムの短縮を図ります。また、グローバルで自動倉庫を導入し、物流の効率化に取り組みます。

 

●新しい購買体験の実現

店舗とEコマースが一体となった新しい購買体験を構築します。お客様のニーズに合わせ、さまざまな購買・配送の形に対応できる体制を整えるだけでなく、お客様とのコミュニケーションの基盤として、Eコマースの情報発信を強化します。

 

(2) グローバルで収益の柱を多様化

●海外ユニクロ事業の成長を加速

グレーターチャイナは年間80店舗の出店と、店舗のスクラップ&ビルドを加速することで収益性を改善し、さらなる事業拡大を図ります。東南アジア・インド・豪州地区は年間約60店舗、北米・欧州は年間約30店舗と、出店ペースを加速します。各地域でお客様のニーズにあった商品構成を確立し、高水準の店舗運営を行うことで成長を加速させます。

 

●国内ユニクロ事業は安定成長を継続

スクラップ&ビルドにより、店舗網を最適化すると同時に、個店経営の強化により、地域の需要に根ざした品揃えやサービスを展開することで、安定成長をめざします。商品価値を訴求し、値引き販売を抑制、オペレーションの効率化で、高い利益率を維持します。

 

●グローバル視点での事業運営へ変革

各国・各地域、そしてグローバルヘッドクオーターが常に相互につながり、課題発見や解決、意思決定をグローバルの視点で推進します。経営陣は常に世界中の店舗を回り、現場、現物、現実に根ざした経営を行います。その一環として、東京に加え、ニューヨークのグローバルヘッドクオーター機能の強化を図ります。

 

(3) 事業の発展が、サステナビリティに寄与するビジネスモデルの追求

●サプライチェーンの人権の尊重

すべての商品のサプライチェーン計画を上流まで立て、トレーサビリティを確認する仕組みを確立、一部の商品から運営を開始しました。また、縫製/素材工場だけでなく、2023年からは紡績工場でも労働環境監査、トレーサビリティの監査を開始。サプライチェーンの人権問題への取り組みを加速します。

 

●循環型ビジネスモデルの構築

リペア、リユース、リサイクルなど、服を長く活用いただくための新たなサービスや技術の開発に取り組みます。生産・販売プロセスだけでなく、販売後の服にも責任をもつ循環型のビジネスモデルの構築をめざします。

 

●気候変動への対応

2050年の温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロに向けて、2030年度までに店舗や主要オフィスで2019年度比でGHGを90%削減、 ユニクロ・ジーユーのサプライチェーンで同20%削減を目標に掲げ、取り組みを推進しています。

 

(4) グループブランドの拡大

●ジーユー事業

マストレンドを捉えた完成度の高い商品の開発に磨きをかけ、高成長をめざします。「ファッションと低価格」を強みに、お客様にジーユー固有の価値を提供することで、確固たるブランドポジションを築きます。生産計画の精度の向上、リードタイムを短縮する生産体制の確立、国内外での出店加速、Eコマースの拡大にも取り組み、事業拡大をめざします。

●グローバルブランド事業

ユニクロで培った商売の原理原則や情報製造小売業の基盤を活用し、各事業の経営水準を高め、それぞれが各国・各地域での確かなブランドポジションの確立をめざします。

 

(5) 人的資本の強化

すべての従業員に対し、その属性に関わらず成長機会を与え、多様な人材が主役となって能力を発揮できる環境づくりを推進します。特に、「お客様の真のニーズに応える店舗販売員」「グローバル経営人材」「世界水準の高度専門人材」の獲得と育成を重点課題とし、取り組みを強化します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

ファーストリテイリングは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」を企業理念に掲げ、よい服をつくり、よい服を売ることで、世界をよい方向へ変えていくことをめざして、事業活動を続けています。「よい服」とは、シンプルで、上質で、長く使える性能をもち、あらゆる人の暮らしを豊かにできる服。自然との共生を考え、つくられる過程で革新的な技術を使い、地球に余計な負荷をかけない服。健康と安全と人権がきちんと守られた環境で、いきいきと働く多様な人々の手でつくり届けられる服です。こうした考えをカタチにしたのがLifeWearです。

アパレル産業は、大量生産・大量消費による資源やエネルギー・水使用の増加、服のライフサイクルの短命化、大量の廃棄物問題などから環境負荷が大きく、また長く複雑なサプライチェーンにおいて労働環境に課題があることが指摘されてきました。当社では、2001年に社会貢献室(現、サスティナビリティ部)を立ち上げ、2004年の生産パートナー コードオブコンダクト制定や取引先工場の労働環境モニタリング導入、2006年の全商品リサイクル活動、難民支援など、早くからサステナビリティ活動に取り組んできました。我々は、LifeWearというコンセプトがサステナビリティそのものであると考えており、製品としての服だけではなく、服を生産する過程や販売方法、販売後の服にまで踏み込んだ「新しい産業」を創出し、これまでにないファッションのあり方を世界に提示することで、持続可能な社会への貢献と事業の成長を両立させていきます。

 

以降、(1)サステナビリティ共通、(2)気候変動、(3)人的資本・多様性について、それぞれ①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標及び目標の項目で記載します。

 

(1) サステナビリティ共通

①ガバナンス

当社では、事業と一体でサステナビリティ活動を推進していくために、サステナビリティ委員会を設置しています。代表取締役を含む社内取締役、社外取締役、監査役、社外有識者、関連する執行役員が出席し、サステナビリティの各種方針および施策について多様な観点から議論し、業務執行部門に対する助言・勧告・監督を行っています。当連結会計年度では4回開催し、気候変動・生物多様性・循環経済をはじめとするサステナビリティ活動について議論を重ねました。また、お客様などステークホルダーに社会貢献活動への参加を促すコミュニケーションのあり方などについても議論しました。

また、リスクマネジメント委員会、人事委員会、人権委員会、コードオブコンダクト委員会、企業取引倫理委員会といった、社内外の取締役、監査役、社外有識者、執行役員などが出席する委員会においても、環境や人権などの重要課題におけるリスクなどについて議論・助言・監督を行っています。また、監査役会は、サステナビリティに関するさまざまな課題をリスクとして認識し、業務執行部門に適宜報告を求めています。

なお、サステナビリティを担当する取締役、執行役員の報酬に関しては、変動報酬の評価基準に、担当領域に関連する定量または定性的な目標に対する成果を組み込んでいます。

 

当社グループ全体でサステナビリティ活動を着実に遂行していくため、各事業部門・各社の経営が中心となって、サステナビリティ部と連携しながら取り組みを実行・推進しています。例えば、お客様が今求めているものをすぐに商品化し、ご提供することをめざし、全社的に改革を進める「有明プロジェクト」の中でも、サステナビリティ活動を重要課題として位置付けています。店舗・Eコマースでの販売、生産・物流を含むサプライチェーンマネジメントの各部署が、温室効果ガス排出量の削減や廃棄物の削減、リサイクル素材を使用した商品の開発、トレーサビリティの確立など、サステナビリティの各課題に対して責任者を任命のうえ、目標とKPIを設定し、取り組みを進めています。

 

②戦略

当社では、経営戦略の一環として、サステナビリティ活動のなかで6つの重点領域(マテリアリティ)を定めています。特定にあたっては、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)やESG評価機関が求める指標などを参考に課題項目を洗い出し、自社における重要度やお客様などステークホルダーへの影響と期待を踏まえて重要度の高い要素を抽出、サステナビリティ委員会での議論を経ました。6つの重点領域(マテリアリティ)と主な取り組みは以下のとおりです。

 

 

重点領域(マテリアリティ)

主な取り組み

1. 商品と販売を通じた新たな価値創造

・LifeWearを服づくりのコンセプトに掲げ、企画の段階からタイムレスなデザインを追求し、シンプルで高品質、高い機能性をもち、長く愛用される完成された服をつくります。

・服の機能性や品質だけでなく、社会の課題、環境問題などを解決することで、新しい価値を想像していくことをめざします。

・リサイクル素材を使用した循環型商品の開発や、RE.UNIQLO STUDIOでの補修、リメイクなどを通じて、服を長く着続ける楽しさを提案するとともに、環境負荷低減を図っています。

2. サプライチェーンの人権・労働環境の尊重

・サプライチェーンで働くすべての人の人権を尊重、労働環境の整備を最重要な責務と考え、トレーサビリティの追求と透明性の向上に取り組んでいます。

・取引先工場に対し、「生産パートナー コードオブコンダクト」の遵守を要請し、それに基づく定期的な労働環境モニタリングを実施しています。

3. 環境への配慮

・「気候変動への対応」「エネルギー効率の向上」「生物多様性への対応」「水資源の管理」「化学物質管理」「廃棄物管理と資源効率の向上」を重点領域とし、各領域の目標を設定し、取り組みを進めています。

・主要縫製工場、素材工場では、サステナブル・アパレル連合の環境評価ツール(Higgインデックス)を活用し、エネルギー、水、廃棄物など7つの分野で、環境負荷やリスクを把握し、工場と共に環境負荷低減に取り組んでいます。

・気候変動に関する取り組みについては、(2)気候変動をご参照ください。

4. コミュニティとの共存・共栄

・難民などの困難な状況に置かれた世界中の人々に、服の寄贈や雇用、自立支援のサポートを継続しています。

・平和を願うチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」では、利益の全額を人道的支援を行っている国際的な団体に寄付しています。

・未来を担う子どもや若者のエンパワーメントを後押しするための教育支援、社会進出支援を行っています。

5. 従業員の幸せ

・ジェンダー平等、人種・民族・国籍の多様性、障がい者の活躍推進、多様な性(LGBTQ+)への理解促進を軸に、ダイバーシティ&インクルージョンをグローバルで推進しています。

・すべての従業員に成長機会を与え、グローバルに活躍する人材の育成に取り組んでいます。

・人的資本に関する取り組みについては、(3)人的資本・多様性をご参照ください。

6. 正しい経営

・取締役会の過半数を社外取締役にすることで、その独立性と監督機能を強化しています。

・取締役会の機能を補完する各種委員会を設け、オープンで活発な討議を行っています。

・詳細は第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 をご参照ください。

 

③リスク管理

当社は、リスクマネジメント委員会を設置し、事業活動に潜むリスクを定期的に洗い出し、重要リスクの特定とその管理体制の強化を行っています。個別のリスクを含むリスクマネジメントの詳細は3 事業等のリスク をご参照ください。

 

 

 

④指標及び目標

当社では、サステナビリティの主要領域で2030年度目標とアクションプランを策定しています。目標および主な取り組みの進捗は以下のとおりです。

項目

目標

主な取り組みの進捗

環境に配慮した服づくり

温室効果ガス排出量削減

自社領域:

・2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度比で90%削減

・2030年度までに、全世界の店舗と主要オフィスにおける再生可能エネルギーの割合を100%とする

・2022年8月期では温室効果ガス排出量を2019年度比で45.7%削減*1

・2022年8月期の再生可能エネルギーの割合は42.4%。欧州(一部の国を除く)、北米、ベトナムのユニクロで実質再生可能エネルギー100%を達成*1

サプライチェーン領域:

2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度比で20%削減

・2022年8月期では温室効果ガス排出量を2019年度比で6.2%削減*1

商品領域:

2030年度までに全使用素材の約50%について、リサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材に切り替え

・全使用素材に対するリサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材の使用割合は2023年企画商品全体で8.5%に上昇。ポリエステルについては全使用量の30.0%でリサイクルポリエステルを採用

水使用量削減

水消費量の上位80%を占める縫製・素材工場について、取引先ごとに目標を設定し、2025年年末までに、各工場の単位当たり水使用量を2020年比で10%削減

2021年実績では、対象工場のうち32%の工場が目標を達成*2

廃棄物削減

お客様へ商品をお届けする過程で使用する資材の削減・切り替え・再利用・リサイクルを通して、早期に「廃棄物ゼロ」を実現

・商品輸送時に商品を梱包するプラスチック袋を削減し、かつリサイクルするプロジェクトを推進

・ハンガーなどプラスチック資材については、紙などの代替素材への切り替えに向けた検討に着手するなど、プラスチック使用量削減をめざした取り組みを推進

有害化学物質の排出撲滅

2030年末までに、商品や生産プロセスにおける、排水基準の遵守による有害化学物質汚染ゼロ達成

2022年末時点では、主要な縫製・素材工場におけるZDHC排水基準の遵守率は99.9%

人と社会に配慮した服づくり

サプライチェーンの透明性向上とトレーサビリティの確立

・サプライチェーンの透明性を高め、原材料レベルまでトレーサビリティを確立

・サプライチェーン全体における人権、労働環境、環境の問題を特定し、確実に是正

・2025年までに、お客様が正しく商品を選択するために必要な情報を特定し、順次開示

・2017年から主要縫製工場のリストを公開し、2018年からは主要素材工場に開示を拡大。2022年3月には継続取引のある全縫製工場を開示

・商品ごとのサプライチェーン計画と実績を把握・確認する仕組みを構築し、2022年秋冬シーズンから、工場と連携してシステム上で運用を開始。2023年春夏シーズンから、ユニクロの全商品について原材料レベルまでの商流を把握

・縫製工場と素材工場だけではなく、主要な紡績工場ともコードオブコンダクトを締結し、定期的な労働環境監査とトレーサビリティ情報の確認を推進

・2023年8月から、ユニクロ(日本、米国)およびジーユー(日本)のオンラインストアの個別商品ページで「地球・社会への影響」のコーナーを設け、製品原産地を掲載

倫理的かつ責任ある方法による原材料の調達

植物系素材、動物系素材それぞれに調達方針を定め、倫理的かつ責任ある方法による原材料の調達を推進

原材料調達ガイドラインにおいて、植物系および動物系それぞれの素材について素材別に推奨素材や禁止素材を定義。今後はガイドラインの遵守状況確認手順の明確化に着手

社会貢献活動のグローバル推進

・当社グループと、一般財団法人ファーストリテイリング財団、公益財団法人柳井正財団との協働により、服の事業を通じた社会貢献活動をグローバル規模でさらに拡大

・2025年度までに、100億円規模で社会貢献活動に投資。グローバル全店舗で地域貢献活動を実施、難民や社会的に脆弱な立場の人々、次世代、文化芸術、スポーツの領域で1,000万人を支援。衣料支援も年間1,000万着に拡充

・2023年8月期では、社会貢献活動に54億円*を拠出、113万着の衣料支援実施。受益者は182万人

*当社グループ、FR財団、柳井正財団、個人による活動を含む

・ユニクロの「PEACE FOR ALL」の活動による収益金は、2022年6月の開始から2023年8月末までで総額6億97百万円

ダイバーシティ&インクルージョンの促進

2030年度までにグローバルで全管理職における女性比率を50%に引き上げ

グループ全体の女性管理職比率は2023年8月末時点で44.7%に上昇

*1 2023年8月期の実績は2024年4月頃に当社サステナビリティウェブサイトにおいて公表する予定です。

*2 2022年の実績は2023年12月頃に当社サステナビリティウェブサイトにおいて公表する予定です。

https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/environment/

 

(2) 気候変動(TCFD提言への取組)

気候変動と生物多様性への影響を軽減するため、商品の生産から廃棄までを含む、事業活動全般における温室効果ガス排出量の把握と削減に取り組んでいます。取り組みの推進にあたっては、気候変動枠組条約に基づいて策定された長期目標(パリ協定)における2050年までの温室効果ガス排出量削減目標を尊重し、具体的な目標を掲げ、目標達成に向けた活動を推進しています。

 

①ガバナンス、③リスク管理

(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス、③リスク管理をご参照ください。

②戦略

パリ協定の達成に向けて、世界の平均気温上昇を抑えるための取り組みを強化しています。また、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定、実行を進めています。

 

 Ⅰ温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組み>

有明プロジェクトの推進

・有明プロジェクトを推進し、より高いレベルで実行することで、「無駄なものをつくらない、運ばない、売らない」を実現し、お客様満足の向上と、環境負荷の低減につなげていきます。

・世界中の店舗やEコマースを通じて集まるお客様のご要望など、膨大な情報を分析することで、お客様のニーズを起点にした商品づくりを行っています。エアリズム、ウルトラライトダウン、ヒートテックなどの機能性のある服により、お客様が日々の生活を快適に過ごせるだけでなく、冷暖房の過度なご使用を控えることで、お客様のエネルギー使用量削減への貢献も期待されます。

自社領域(店舗と主要オフィス)

・店舗では、電力の使用そのものを減らす省エネルギーと、自ら電気を生み出す創エネルギーに取り組んでいます。さまざまな省エネ技術による消費電力の削減や、太陽光パネルによる発電など、エネルギー効率を高める工夫を採用したロードサイド店舗(ユニクロ 前橋南インター店)をオープンするなど、今後も検証を進めながら、省エネルギーの店舗を増やしていきます。

・再生可能エネルギー100%の目標達成に向けて、太陽光発電設備の設置や電力会社の提供する再エネメニューの購入、再エネ電力証書の購入などを進めています。

サプライチェーン領域

・ユニクロ・ジーユーの生産量の約9割を占める主要工場を対象に、国や地域、工場の特性によって異なる個別の課題を把握し、丁寧に対応して解決に取り組むことで、省エネルギー施策、脱石炭の推進、再生可能エネルギーの導入を着実に推進しています。

商品領域

・リサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材への切り替えを進めています。化学繊維はリサイクル技術が比較的発達しているため、リサイクル素材への切り替えが進めやすく、現在では特にポリエステルにおいて取り組みが進んでいます。コットン・ウールなどの天然素材については、研究開発を取引先パートナーと進めており、既存商品と同等の品質、着心地のよさを実現できる素材の開発に取り組んでいます。

・回収ペットボトルからつくられたリサイクルポリエステルを使用したフリースやポロシャツ、回収したダウン商品からダウン・フェザーを取り出し再利用したリサイクルダウンジャケットなど、新技術やリサイクル原材料を採用した商品の開発にも力を入れています。

RE.UNIQLOの推進

・ユニクロでは、お客様のもとで不要になった服を回収し、服に新しい価値を与えて次へと活かす、お客様参加型の取り組み「RE.UNIQLO」を行っています。

・難民・国内避難民への衣料支援(REUSE)に加え、回収した服を新しい服や資材としてよみがえらせるリサイクル(RECYCLE)を進めています。また、商品のライフサイクルを通じて余分な廃棄物、温室効果ガス排出量、資源使用量の削減(REDUCE)につなげています。

・さらに、ユニクロの「RE.UNIQLO STUDIO」では、愛着ある服を大切に着続けていただくため、リペア(REPAIRE)やリメイク(REMAKE)などのカスタマイズサービスを提供しています。

 

 Ⅱ気候変動に関するリスク・機会のシナリオ分析

当社は、事業に対する顕在的・潜在的なリスクを想定したうえで、リスクを予防し、適切に管理および対応することが、事業の持続的な成長に不可欠だと考えています。売上の約80%を占める主力事業のユニクロ事業に関して、以下の2つのシナリオを参照し、2100年までの平均気温の上昇が2℃未満の場合と、4℃の場合について、2030年までを対象期間として、気候変動が自社およびサプライチェーンにもたらすリスクと機会、対応策を検討しました。

・国際エネルギー機関(IEA)の「持続可能な開発シナリオ」および「2℃未満シナリオ(B2DS)」

・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「第5次報告書(RCP8.5)」

 

 

 Ⅲ気候変動に関するリスク・機会

項目

リスク

機会

2℃未満の場合

規制

炭素税・カーボンプライシング、排ガス規制

炭素税などの税制または規制強化により、サプライチェーンにおいてコストが上昇し、その結果生産コストが上昇するリスク

省エネルギー推進や再生可能エネルギー導入などにより、サプライチェーンにおけるコスト上昇を抑制し、生産コストの低下につながる

炭素税などの税制または規制強化により、自社の店舗のコストが上昇するリスク

・再生可能エネルギーの導入・省エネルギー推進により、自社の店舗のコスト上昇を抑制し、コスト削減につながる

・お客様の評判の向上によるブランドイメージの向上

EUの燃費・排ガス規制など、中国、ベトナム、バングラデシュ、インドネシアの拠点を中心とする生産国や、日本、東南アジア、EUなどの販売国における規制強化により、物流費が上昇するリスク

有明プロジェクトの推進を通じて、物流の効率化を実現

市場

お客様の価値観の変化

お客様が環境負荷の低い素材、商品やサービスを好まれるようになり、変化するニーズに対応できない場合、売上が減少、評判が低下するリスク

温室効果ガス排出量の少ない素材を開発することで、新たな需要の創造、お客様の評判の向上

環境変化に対応した商品の需要増加

リサイクル活動の加速により、需要の創造、お客様の評判の向上

サステナビリティ活動の強化によるお客様の評判の向上

4℃の場合

急性・慢性

自然災害の増加

自然災害による原材料への影響、生産施設の被害やサプライチェーン寸断による生産停止

・素材調達・企画・生産・物流・販売・在庫管理など、すべての過程を一貫して行うSPA(アパレル製造小売業)であるため、高い対応力を有しており、リスクの最小化・低減が可能であり、需要の維持・創造につなげることができる

・調達先・取引先と強固なパートナーシップを築いていることに加え、適応策の強化を図っていることで、災害発生時の被害を最小化(レジリエントなビジネスの構築)

気温の上昇

気温の変化に対応しない商品構成による売上低下

新しい機能性素材で新しい需要を創造

 

 Ⅳ気候変動に関するリスク・機会への対応戦略

・2℃未満に気温の上昇が抑えられた場合と、4℃まで気温が上昇した場合、どちらのシナリオが実現した場合でも、服、特にLifeWearへの需要は変わらないと考えています。温室効果ガス排出量がより少ない素材や、循環型の商品、気候変動に対応した商品(例えば、ヒートテックやエアリズム)といったお客様のニーズに合った商品を開発することで、市場優位性が増し、売上は拡大すると考えています。

・2℃未満の場合、サプライチェーンへの影響としては、炭素税などの税制、規制強化、電気料金の上昇など、生産や店舗におけるコストが上昇するリスクがありますが、省エネ推進や再エネ導入で、リスクを低減させることができます。自動車やトラックの燃費・排ガス規制など、EUをはじめ世界各国で規制強化が進む場合、物流費が上昇するリスクがありますが、ハイブリッド車・EV車への移行を促進することや、有明プロジェクトを通じた物流効率の向上などを行うことで、リスクの低減が可能です。

 

・4℃の場合は、干ばつや大雨など異常気象の多発や、水不足などの物理的リスクにより、生産、物流、販売のサプライチェーン全体に甚大な影響を及ぼすことが想定されますが、原材料、生産工場などの調達先の分散や、長期的な契約・パートナーシップにより、リスクを低減することが可能です。物流や店舗についても、地域の分散や、BCPの観点からの立地などの選定、災害訓練により、物理的なリスクを最小限に抑えることができます。

・当社はSPAであるため、潜在的、顕在的なリスクに対し、柔軟に対応を行うことが可能です。お客様のニーズの変化に対応した服づくりや、原材料、生産工場などの調達先の分散化、輸送形態の多様化、物流拠点の選定、販売店舗の立地の選定にBCPの視点を取り入れるなど、気候変動への対策が進まず、気温上昇が抑えられなかった場合を想定した対応策を講じています。

・これらの戦略の妥当性と進捗については、適切な情報開示を行い、機関投資家をはじめステークホルダーの皆様との対話や、各種ESG評価の指標への対応を行うことにより、持続的な企業価値向上につながると考えています。

 

④指標及び目標

 当社は、気候変動について、以下の2030年度目標とアクションプランを策定しています。

・2030年度までに、店舗と主要オフィスなど、自社運営施設におけるエネルギー使用由来(スコープ1、スコープ2)の温室効果ガス排出量を90%削減(2019年度比)

・2030年度までに、ユニクロ・ジーユー商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる温室効果ガス排出量(スコープ3、カテゴリ1)を20%削減(2019年度比)

この目標は、国際機関SBTイニシアティブより、パリ協定の目標に基づいた温室効果ガス排出量の削減目標であるSBT(Science-Based Targets)として認定されました。さらに、2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロに向けて、取り組みを強化していきます。

 

温室効果ガス排出量は「GHGプロトコル」に準じて算定しており、2022年度8月期までの実績は以下のとおりです。

2023年8月期の実績は、2024年4月頃に当社サステナビリティウェブサイトにおいて公表する予定です。

https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/environment/climatechange.html

 

 Ⅰ 自社(店舗、オフィスなど)

単位:t-CO2e、範囲:ファーストリテイリンググループ

スコープ

項目

2019年度

(2018年9月-

2019年8月)

2020年度

(2019年9月-

2020年8月)

2021年度

(2020年9月-

2021年8月)

2022年度

(2021年9月-

2022年8月)

スコープ1

(自社直接排出)

ガス

12,295

13,026

10,029

9,738

スコープ2

(自社間接排出)

電気

ロケーションベース

308,691

298,205

291,190

286,113

マーケットベース

298,566

279,281

275,419

159,047

2019年度比(スコープ1とスコープ2マーケットベース値合計の削減進捗)

-

-6.0%

-8.2%

-45.7%

スコープ1、スコープ2について、信頼性向上のため、SGSジャパン株式会社による第三者検証を受けています。

検証範囲:2020年度までは国内主要オフィスと国内ユニクロ・ジーユーの店舗のみ、2021年度以降はファーストリテイリンググループ

 

 

 Ⅱ自社以外(サプライチェーンほか)

単位:t-CO2e、範囲:ファーストリテイリンググループ

スコープ3におけるカテゴリ

2019年度

(2018年9月-2019年8月)

2020年度

(2019年9月-2020年8月)

2021年度

(2020年9月-2021年8月)

2022年度

(2021年9月-2022年8月)

1 購入した製品・サービス

4,694,117

4,373,497

4,161,926

4,243,676

カテゴリ1のうち、商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる排出量(ユニクロ・ジーユー、2030年度目標対象範囲)

4,165,738

3,944,349

3,883,960

3,906,500

2019年度比

-

-5.3%

-6.8%

-6.2%

2 資本財(対象外)

-

-

-

-

3 燃料・エネルギー関連の活動

(スコープ1またはスコープ2に含まれないもの)

43,836

41,613

42,546

24,815

4 上流の輸送・流通

355,654

379,042

378,114

552,711

5 事業において発生した廃棄物

120,006

109,636

107,578

83,335*

6 出張

6,655

7,139

7,060

14,822*

7 従業員の通勤

61,120

65,314

56,402

54,554

8 上流のリース資産(スコープ1・2で計上)

-

-

-

-

9 下流の輸送・流通

-

-

-

-

10 販売した製品の加工(対象外)

-

-

-

-

11 販売した製品の使用(対象外)

-

-

-

-

12 販売した製品の使用後処理

438,926

463,751

429,219

764,228*

13 下流のリース資産(対象外)

-

-

-

-

14 フランチャイズ

10,086

5,655

3,405

2,731

15 投資(対象外)

-

-

-

-

*排出原単位または活動量のバウンダリの変更を行いました。

スコープ3について、信頼性向上のため、SGSジャパン株式会社による第三者検証を受けています。

検証範囲:2021年度まではカテゴリ1のユニクロ・ジーユー商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる排出量のみ、2022年度はファーストリテイリンググループのすべての対象カテゴリ

 

(3) 人的資本・多様性

①ガバナンス③リスク管理

(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス、③リスク管理をご参照ください。

②戦略

当社は、「グローバルワン 全員経営」の方針の下、全ての従業員に対し、性別、国籍、宗教、人種、年齢、所属、在籍期間などの属性に関わらず成長機会を与え、多様な人材が主役となって能力を発揮する環境をつくることで、企業理念である「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」を実現し、広く社会に貢献していきます。

 

Ⅰ人材確保・育成の重点領域

当社の成長の原動力は、世界中で活躍する従業員です。「真・善・美」や「お客様志向」という共通の価値観に基づき、高い基準や理想をもって自ら考え、実行できる人材が、挑戦、実行、達成を続けることで、世界中のお客様に最も愛されるNo.1ブランドになるという目標の達成を実現できると考えています。そのために、特に以下の3分野での人材獲得と育成を重点領域とし、取り組みを強化します。

<お客様の真のニーズに応える店舗販売員>

 地域の実情やお客様の真のニーズに合わせ、本当に心地よいサービスを提供するため、自ら考え、行動する店舗販売員

<グローバル経営人材>

 国・地域、事業領域を超え、グローバルでリーダーシップを発揮することで、具体的な成果を上げ、社会に貢献する、店長をはじめとするグローバル経営人材

 

<世界水準の高度専門人材>

 デジタル、IT、クリエイティブ、グローバルサプライチェーンマネジメントなど、世界水準の専門性をもち合わせると同時に、既存の概念にとらわれず、未来を創るための新しい機能・仕組みを世界水準で構築できる人材

 

Ⅱ人材確保の取り組み

<ダイバーシティの推進>

・あらゆる人の生活に寄り添うLifeWearを作り続けるために、豊かな個性と才能が融合された多様性あふれる組織の構築を推進します。グループの経営幹部となれる女性や外国人を積極的に採用し、国籍や経験に関わらず挑戦心や新しい発想をもつ人材を経営層や要職に抜擢し、適正な評価と必要な支援を行うことで、成長を積極的にサポートします。

・多様な人材が安心して働くためにさまざまな施策を推進しています。

■女性活躍推進の取り組みとして、女性人材開発会議、女性役員・役職者とのキャリアセッションを定期的に実施

■全ての従業員が、ライフステージに合わせた働き方を選択しキャリア形成が図れるように、ベビーシッター補助制度や託児支援制度などの人事制度、施策を実施

■東京本部に所属する外国籍社員のキャリア構築を支援するために、メンター制度や、執行役員と少人数で対話する場としてのラウンドテーブルディスカッションを実施

■性的指向や性自認における多様性を尊重するために、2019年にパートナーシップ登録制度を導入、LGBTQ+ネットワーク組織「Symphony」の結成や、理解促進のために社内誌を発行

■障がい者雇用を積極的に行い、2023年の国内グループ会社の障がい者雇用率は4.89%(日本法定比率は2.3%)。現在は東南アジアや欧州など、グローバルに雇用が広がり、グループ全体で約1500名(2023年8月現在)の障がいのあるスタッフが勤務

 

<新卒採用の高度化・多様化>

・ブランド別・営業部門別の採用体制から、グループ一括採用に変更することで、当社が求める水準の人材を、ブランドを超えて確保します。また、デジタル、IT、クリエイティブ、グローバルサプライチェーンマネジメントなどの高度専門人材も、新卒から採用し、国を超えて育成していきます。

・グローバルで、店舗で活躍する意欲のある優秀な人材の採用を促進します。世界中の大学と連携し、インターンシップやワークショップなどを実施することで、当社のビジネスモデルや商売の本質への理解と共感を深めます。こうした施策を通して現場で活躍できる優秀な人材を発掘し、経営幹部候補として育成していきます。

 

<高度専門人材の中途採用の強化>

 世界水準の高度専門人材の採用を強化します。デジタル、IT、クリエイティブ、グローバルサプライチェーンマネジメントなど、新しい機能を構築し、事業拡大をリードする経営幹部人材を全世界から獲得します。

 

<優秀な店舗販売員の確保>

 お客様とつながり、お客様の声を商品化し、最適な形でお届けすることをめざす「情報製造小売業」を現場で体現できる優秀な販売員の確保に取り組みます。報酬水準を引き上げ、優秀で意欲ある人材を惹きつけると同時に、実力、成長に応じた多様なキャリアパスを準備することで、優秀人材の定着を図ります。

 

Ⅲ人材育成と公正な評価の取り組み

<グローバルで成長機会を提供し、人材配置の最適化と、組織の多様性を推進>

・グローバルジョブローテーション

グローバルに経営幹部人材の配置を最適化することで、各国・各地域の経営体制の強化を図っています。さらに、各国の優秀人材に対し、所属事業、所属国を超えたグローバルでの成長機会を戦略的に与え、成果を出した人は、各国の経営幹部へと抜擢します。

・グローバル社内公募

これまで各国で運営していた公募制度を、グループ・グローバルに拡大します。グループ・グローバルで必要なポジションを明示し、ブランドや所属国、所属部署を超えたポジションに、応募できるグローバル公募制度を設置することで、グローバルを舞台に自らキャリアを切り拓く機会を拡充しています。

・日本への育成派遣の拡充

世界各地の店舗で活躍する意欲ある海外の優秀な人材は、入社後に日本への育成派遣を行い、日本の店長や販売員が実現するお客様満足の基準、その背景にあるファーストリテイリングの理念や日本の文化を肌で感じることで、当社のグローバル経営人材候補として育成します。

 

 

<ダイナミックで公正な人事評価と抜擢>

 当社では、職種階層別に求められる能力や要件を定義したグレード制度を採用し、その人の属性によらない、個人の能力に基づく評価・登用を半年ごとに実施しています。従業員の成長に応じて、グレードの飛び級を含めた大胆な抜擢を行うことで、成長を後押しします。また、評価の公正性、透明性を確保するために、直属の上司の評価だけでなく、部門単位で人事の担当者も含めた、評価会議と、一定のグレード以上の従業員については、グループ全執行役員で構成するグローバル評価会議で審査を行います。

 

<販売員の育成と、多様なキャリアパスの整備>

 販売員は、公正な評価の下、能力に応じた昇進昇給制度やキャリアパスを設けています。また、販売員として成長していくために「ファーストリテイリングの理念・価値観教育」、「既存の商品知識を超えお客様のニーズに寄り添った商品提案力を培うための教育」など、必要な教育を適時適切に提供することで、長期で働き、成長できる環境を整備しています。さらに、意欲と能力があれば、販売員から店長、さらには経営人材へとキャリアを進めることができる多様なキャリアパスは、当社の創業以来の強みとして、さらに充実させていく方針です。

 

Ⅳ社内環境整備

<FR Management & Innovation Center>

 当社の社内人材育成機関(FR Management & Innovation Center)では、多様な人材が、ファーストリテイリングの経営理念や商売の原理・原則を理解し、それに基づいて、日々の商売のなかで能力を発揮できるような組織づくりを推進しています。具体的には、代表取締役会長兼社長である柳井正が著した「経営者になるためのノート」、「FRの精神と実行」、「FRは何を変えたのか」を使用した教育研修の実施や、柳井を含む各国のCEOなど、執行役員とのダイレクトセッションの機会、各種教育研修プログラムを展開しています。さらに、年2回、グローバルの全店長や本部社員および優秀な店舗販売員を集めた「FRコンベンション」を開催し、全社戦略や重要な経営メッセージの浸透を図っています。

 

<グローバルヘッドクオーター機能の世界拡大>

 グローバルヘッドクオーター機能を日本のほか、米国などにも拡大し、多様な人材が、最適な場所で、当社の基幹機能と世界でつながって仕事を進める体制を構築します。

 

<従業員エンゲージメント調査の実施>

 従業員一人ひとりが意欲的に業務に取り組み、スピード感をもって成長する環境づくりを推進するために、グローバルの従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを毎年実施しています。調査結果は、事業別、部署別に分析し、課題を特定することで、改善策のKPIを設定し、環境改善に向けた取り組みを推進しています。また、その進捗と効果の測定を行い、改善につなげています。

 

<従業員一人ひとりが健康で安全に活躍できる職場環境づくり>

・ファーストリテイリンググループ 安全衛生宣言

 世界一「安全で健康に働ける会社」になることをめざし、安全衛生の基本方針および行動指針8カ条を定めています(ファーストリテイリンググループ 安全衛生宣言)

・労働安全衛生管理体制

「ファーストリテイリング ウェルネスセンター」を設置し、産業医や、保健師、産業カウンセラー、関連部門とともに、さまざまな安全衛生施策、メンタルヘルスケア、その他の従業員支援を推進しています。当該機能のグローバルへの拡大を図ると同時に、事業の経営とは切り離して、管理、運営することで、適切な運営と統制を図っています。

・労働時間削減

 労働時間や休憩時間、休暇に関する国際基準と現地法令を遵守し、残業を前提としない働き方を推進しています。各部門の管理職者が従業員の労働時間を毎月管理するほか、各国、各事業の人事部門による部署横断的な労働時間の管理・監督を強化することで、長時間労働の撲滅を図っています。

 

④指標及び目標

上記方針の進捗を測る主な指標(2030年度目標と実績)は次の通りです。

 

Ⅰ女性管理職比率(2023年8月末時点)

 

女性比率

実績の内訳

 

目標

実績

就任者合計

うち女性

管理職(Global)*

50%

44.7%

2,144名

958名

うち執行役員(Global)

30%

9.6%

52名

5名

*管理職は、営業部ではブロックリーダー、エリアマネージャー、一定グレード以上の店長、本部では執行役員、部長、リーダーを指しています

 

Ⅱ日本国籍以外の管理職比率(2023年8月末時点)

 

外国人比率

実績の内訳

 

目標

実績

就任者合計

うち日本国籍以外

管理職(Global)*

80%

56.4%

2,144名

1,210名

うち執行役員(Global)

40%

19.2%

52名

10名

*管理職は、営業部ではブロックリーダー、エリアマネージャー、一定グレード以上の店長、本部では執行役員、部長、リーダーを指しています

 

ⅢFRグループエンゲージメントサーベイスコア(2023年実施分)

2023年8月期の調査結果では総合指数74.3%(対象人数はグローバルで35,058名、回答人数32,115名、回答率92%)となりました。この結果を踏まえ、エンゲージメントの観点で課題調査とその改善活動に取り組んでいます。今後も調査を継続する予定です。

対象人数

35,058名

回答人数

32,115名

回答率

92%

総合指数(*)

74.3%

*エンゲージメントに関する設問の内、肯定的な回答をしている社員の割合です

 

3【事業等のリスク】

(1) 方針

 当社は、大規模災害や顧客情報漏洩など予期せぬリスクを想定したうえで、顕在的・潜在的なリスクを予防し、適切に管理することが、持続的な事業の成長には不可欠だと考えており、事業活動に潜むリスクを定期的に洗い出し、重要リスクの特定とその管理体制の強化を常に行っています。

 取締役会直下の組織として、リスクマネジメント委員会を設置しています。グループCFOを委員長とするリスクマネジメント委員会は、全社のリスクを一元管理する組織です。リスクマネジメント委員会では、事業への影響度・頻度などを分析・評価し、リスクが高く、体制が整っていないものから、対応策が議論され、発生前のけん制を行うことをめざしています。また、取締役会への重要リスクの報告、およびリスクの対策に関する各部門への具体的な支援を行っています。

 

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(2) 個別のリスク

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、当社グループの経営成績や財務状況などに特に影響度の大きいリスクとして認識している主なものとして、以下のものが挙げられます。文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。また、以下は、全てのリスクを網羅するものではなく、本書提出日現在において予見できない又は重要と認識していないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、リスクとその影響欄にて「顕在化している」旨の記載のない項目については、リスクの顕在化には至っておらず、顕在化する時期・可能性ともに未確実です。

 

 

リスク項目

リスクとその影響

主な取組み

経営人材に関わるリスク

代表取締役会長兼社長柳井正をはじめとする当社グループ企業経営陣は、各担当業務分野において、重要な役割を果たしています。これら役員が業務執行できなくなった場合、ならびに、そのような重要な役割を担い得る人材を確保できなかった場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループの各事業では、意思決定および業務執行が特定の経営人材に依存することのないよう、チームによる経営執行体制を構築しています。

・各事業における経営者自らが後継となる経営人材の育成を行っています。

・グローバルに活躍できる経営人材を常時積極的に採用するほか、専門の教育機関を設け、採用した人材を経営者に教育・育成していくための体制を整えています。

 

 

リスク項目

リスクとその影響

主な取組み

カントリーリスク、国際情勢に関わるリスク

商品生産国・地域または事業展開国・地域における、政治・経済情勢の変動、テロ・紛争などによる治安状態の悪化や社会的混乱、法制度・租税制度の変更、地震や風水害などの大規模な自然災害や世界規模の感染症の発生などにより、当社グループの商品の生産、供給および販売体制に悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループでは、生産拠点を複数の国・地域に分散するほか、主たる生産拠点には生産管理事務所を置き、現地情勢の適時の取得および迅速な対応ができる体制を整えるなど、国際情勢の変化に機動的に対応できるサプライチェーンの確立を進めています。

・当社グループ各社の拠点に、経理や税務・法務などの専門家を置き、リスク発生時に迅速かつ適切な対応およびコミュニケーションができる体制を整えています。

・特定の国・地域における国家間対立・民族的感情悪化に関しては、グローバル企業として、事業を展開する各国・地域における社会的課題を解決するための貢献を行い、各国・各地域コミュニティとの永続的な共存・共栄をめざしています。

環境に関わるリスク

・温室効果ガス排出量の削減や再生可能エネルギーへの転換などの気候変動への対応、生物多様性への対応、水資源の管理、化学物質の管理、廃棄物排出量の削減、循環型ビジネスモデルへの移行などが遅れた場合や適切に行われなかった場合は、当社グループブランドに対する社会的な信用低下を招く可能性があります。

・気候変動に伴う異常気象の増加により、商品供給体制をはじめ事業全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・当社グループの「環境方針」のもと、「気候変動への対応」「エネルギー効率の向上」「生物多様性への対応」「水資源の管理」「化学物質管理」「廃棄物管理と資源効率の向上」の6つの重点領域において、実効性が高い具体的な取り組みを決めて継続的に実行しています。

・気候変動への影響を削減するため、商品の生産から廃棄までを含む、事業活動全般における温室効果ガス排出量の把握と削減に取り組んでいます。具体的な取り組みは2サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動(TCFD提言への取組)②戦略をご参照ください。

・バリューチェーン全体において生物多様性への影響を回避・軽減させるとともに、生物多様性の保全・再生に取り組むため、「生物多様性保全方針」のもと、取り組みを強化していきます。

大規模災害リスク

当社グループの販売する商品の生産工場、販売店舗及び本社機能を有する本部オフィスの存在する各地域において、地震、台風、火山の噴火、火災、風水害、爆発、建物倒壊等の大規模災害が発生した場合、商品の生産、供給及び販売体制並びに経営管理体制に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクマネジメント委員会を中心として、大規模地震、その他の大規模災害発生又は発生の恐れがある場合の緊急対策本部による有事指揮体制の準備、顧客や従業員・関係者の安全確保、経営資源の被害軽減、二次災害防止、業務早期復旧のためのシステムインフラ並びに、復旧拠点の分散配置の整備、危機管理マニュアルなどの整備、当該マニュアル等の世界展開を進めるための体制の整備に努めています。

 

 

リスク項目

リスクとその影響

主な取組み

資源管理・原材料調達に関わるリスク

災害・気候変動その他の理由により、当社グループ各事業で販売する商品に使用する原材料(綿花やカシミヤ、ダウン等)の十分な調達が困難になり、また価格が高騰する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの商品供給体制及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

複数の調達先との間で原料調達合意書を締結し、特定の原材料を特定の調達先に依存することなく、かつ適正な価格により調達する仕組みを整えています。

為替リスク

・当社グループ各事業では商品の多くを海外の生産工場から輸入しているため、各国・地域の通貨に対する決済通貨の急激な為替変動が発生した場合、各事業の業績に悪影響を与える可能性があります。

・グループ全体として、事業展開に合わせて多様な通貨で金融資産を保有しているため、当社の機能通貨である円の為替変動によって金融損益が大きく変動する可能性があります。

・為替環境の激変緩和を目的として、各国・地域事業において、想定仕入見込み額に基づく先物為替予約を実行しています。この際、ヘッジ比率や期間など、具体的なヘッジ方針については、財務の安全性に資するかという観点から、当社取締役会において討議・承認を行っています。

・金融資産の保有通貨の妥当性についても、当社取締役会で討議を行います。

情報セキュリティリスク

・顧客情報(個人情報を含みます)や営業秘密などの機密情報が流出・消失した場合、当該情報の回収や、損害賠償の支払などの対処を要し、業績への悪影響および顧客の信用低下を招く可能性があります。

・欧州の個人情報保護規則であるGDPRなど、国・地域間の個人情報の移転を制限する法的規制に違反したと当該行政から判断された場合、多額の課徴金による業績への悪影響および顧客の信用低下を招く可能性があります。

・機密情報の管理を徹底するために、グループ全体を統括するCSO(Chief Security Officer)指揮のもと、情報セキュリティ室を設置し、事業を展開する各国・各地域のIT部門および法務部門と連携しています。

・外部からの攻撃、内部不正や事故などあらゆる事態を想定し、機密情報(特に顧客の個人情報)の適切な管理体制の構築・強化を行うために、各事業部門におけるインフラ整備、業務プロセス評価、委託先評価、規程などの整備及び標準化、定期的な教育啓発活動等を行っています。

知的財産に関わるリスク

・商品管理や店舗運営、Eコマースのウェブサイトを含むあらゆる分野で使用する最新の技術や当社グループの商品に係る知的財産権などの権利につき、当該権利の保有者によりライセンスが受けられず、その結果、当該技術の使用や商品供給が困難となる可能性があります。

・当該技術や商品が他者の知的財産権を侵害していた場合には、多額の損害賠償やライセンス費用の支払請求を受ける可能性が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループの商品を第三者に模倣され、安価で販売された場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループでは知的財産を取り扱う専門部署を設け、商品開発及び技術導入時などにおける侵害調査を行っているほか、当社グループ内の従業員に対し知的財産に関する教育・啓発活動を実施し、知的財産権の侵害防止に努めています。

・新規技術を開発した際には積極的に権利化を行っています。さらに、事業展開国・地域および展開予定国・地域における市場モニタリング、現地法務部門との連携、現地法律事務所や政府機関と連携し、模倣品などによる被侵害の情報の収集を図っています。

・被侵害の事実が確認された場合、またはそのおそれがある場合には、現地法務部門や法律事務所と連携し、速やかに法的措置を含めた対処を検討します。

 

 

リスク項目

リスクとその影響

主な取組み

人権に関わるリスク

・当社グループ及びサプライチェーンにおいて、労働環境・安全衛生の悪化や人権侵害行為、特に、強制労働や児童労働、ハラスメント、差別的行為など、関係者の人権を著しく傷つける行為等が発生した場合には、当社グループに対する顧客および取引先の信用低下を招き、当社の商品供給や販売体制に悪影響を及ぼす可能性があります。

・欧米をはじめとする各国・地域において、サプライチェーンの人権保護などを目的とする規制強化または法制化が、当社グループの商品の生産・輸送・販売体制に悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループ、取引先を問わず、当社グループの影響を受けるすべての人の基本的人権を尊重し、心身の健康や安心・安全を確保することが最も重要な責務との考えのもと、FRグループ人権方針を定めています。

・助言・監督機能として人権委員会を設置し、人権デューデリジェンスの実施、人権研修、通報窓口の運用等を通して人権侵害行為の発生を防ぎます。

・サプライチェーンについては、サステナビリティ部を中心として、取引先工場の労働環境のモニタリング実施や、取引先工場の従業員向けホットラインの運用などを通して、適切な労働環境の維持と改善に努めています。原材料についても、国際基準に則って、生産工程で人権や労働環境が適正に守られていることが確認された原材料の調達を進めています。

・今後は、国・地域を問わず、原材料調達レベルまでトレーサビリティを確立し、サプライチェーン全体で人権や労働環境の問題がないことを自社で確認する体制の構築を進めます。あわせて、第三者認証を活用し、人権や労働環境が適正に守られていることを客観的に検証していきます。

・人権侵害に関する事象が発生した場合は、必要に応じて人権委員会にて調査・審議を行う他、被害者の心のケアを行うための体制を整えています。

取引先に起因するリスク

・商品の企画・生産・輸送・販売などに関わるあらゆる取引先に関する様々なリスクが存在します。

・取引先と当社グループの価値観や理念が共有できず、経営効率が低下する可能性や、十分な債権回収ができず、業績に悪影響を及ぼす可能性、意図せず反社会的勢力と取引を行ってしまう可能性、取引先による法令違反行為が発生する可能性があります。リスクが顕在化した場合、当社グループに対する顧客および社会の信用低下を招く可能性があります。

・このほか、例えば、輸配送業者による商品輸配送時や倉庫業者による商品保管時に、災害や人為的行為による商品の滅失・毀損・盗難、取引先や現地法令に起因した商品の引渡不能などが発生する可能性もあります。

・当社グループ各社では、不適切な取引先との間で取引関係を開始することを防止するため、新規取引先との取引開始時に必要に応じて与信・信用調査を行っています。

・すべての取引先との適切な取引関係を構築することを目的に、「ビジネスパートナー行動指針」を定め、その内容をご理解のうえ、遵守していただける取引先と取引を行っています。

・輸配送業者や倉庫業者との取引に関するリスクへの対策としては、各事業に物流担当を置いて、取引先輸配送業者や倉庫業者と常時コミュニケーションを取り、商品の輸送・保管における問題の発生時には速やかに現地経営者とグローバル物流本部に報告し、迅速に対応を検討・実施する体制を整えています。

 

 

リスク項目

リスクとその影響

主な取組み

減損リスク

事業環境の変化などにより収益性が低下した場合、有形固定資産及び使用権資産などについて減損損失を計上する可能性があります。

・減損会計を適用して、適時に減損兆候の判定を行い、不採算店舗の発生を早期に把握、適切な会計処理を行っています。

・当該店舗の収益性低下の原因把握を行い、抜本的な収益改善計画を策定・実行しています。

経営環境の変化に起因するリスク

当社グループ事業の展開各国・地域において、天候不良、消費動向の変化などの経営環境の変化が生じることにより、商品の売上の減少や過剰在庫が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

各グループ事業の展開国・地域で、お客様が必要とする商品情報を適時に収集し、即時に商品化した上で、必要十分な数量を生産販売できる体制を整え、経営環境の変化に極力機動的に対応していきます。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

① 業績

 当連結会計年度(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績は、売上収益が2兆7,665億円(前期比20.2%増)、営業利益が3,810億円(同28.2%増)と、大幅な増収増益となりました。特に、海外ユニクロ事業は、すべてのエリアで大幅な増収増益と好調でした。連結業績に占める海外ユニクロ事業の売上収益は初めて5割を超え、営業利益に占める割合も約6割まで拡大しました。北米、欧州、東南アジアのユニクロ事業は、継続的に顧客層が拡大し、成長ステージに入ったことに加え、グレーターチャイナは下期から業績が回復し、再拡大するフェーズに回帰しました。各海外ユニクロ事業やジーユー事業が軌道に乗ったことで、収益の柱の多様化が確固たるものとなりました。金融収益・費用は、利息がネットで315億円のプラス、外貨建資産などの換算による為替差益が253億円発生したことで、ネットで568億円のプラスとなりました。この結果、税引前利益は4,379億円(同5.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,962億円(同8.4%増)と、3期連続で過去最高の業績となりました。

 当連結会計年度の設備投資は1,020億円、前期比155億円増となりました。内訳としては、国内ユニクロ事業が236億円、海外ユニクロ事業が333億円、ジーユー事業が87億円、グローバルブランド事業が18億円、システム他が344億円となっています。出店投資に加え、自動化倉庫への投資を継続して実施することで、グローバルでの事業基盤を確立しています。

 当社グループは、世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠な「グローバルNo.1ブランドになる」ことをめざしています。そのために、1)情報製造小売業のさらなる進化、2)グローバルでの収益の柱の多様化、3)事業そのものが、サステナビリティに寄与する事業モデルの追求、4)ジーユー事業、セオリー事業などグループブランドの拡大、5)人的資本の強化、に注力しています。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、商品開発やブランディングの強化、出店の加速を図っています。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWearのコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。

 

[国内ユニクロ事業]

 国内ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は8,904億円(前期比9.9%増)、営業利益は1,178億円(同9.2%増)と、増収増益となりました。既存店売上高(Eコマースを含む)は、通期で同7.6%の増収となりました。上期は、気温が低く推移し、ヒートテックインナーなどの冬物商品の販売が好調で、前年同期比10.0%の大幅な増収となりました。下期は、エアリズムインナー、感動ジャケット、タックパンツなどの販売が好調に推移し、同4.7%の増収となりました。通期のEコマース売上高は1,338億円、前期比2.3%増、売上構成比は15.0%でした。

 売上総利益率は、前期比1.0ポイント低下しました。これは、追加生産分に使用するスポット為替レートが大幅な円安となったことで、上期の売上総利益率が前年同期比2.2ポイント低下したことによります。下期の売上総利益率は、当第4四半期連結会計期間3カ月間に値引率と原価率が改善したことで、同0.4ポイント改善しました。売上高販管費率は、前期比0.6ポイント改善しました。これは主に、好調な販売により賃借料比率、物流費比率などが改善したことによります。

 

[海外ユニクロ事業]

 海外ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は1兆4,371億円(前期比28.5%増)、営業利益は2,269億円(同43.3%増)と、大幅な増収増益を達成し、過去最高の業績となりました。

 地域別では、グレーターチャイナの売上収益は6,202億円(同15.2%増)、営業利益は1,043億円(同25.0%増)と、大幅な増収増益となりました。グレーターチャイナは、上期は新型コロナウイルス感染症の影響で販売に苦戦したものの、下期は、業績が想定以上に回復し、通期で過去最高の業績を達成しました。韓国と東南アジア・インド・豪州地区の売上収益は4,498億円(同46.1%増)、営業利益は782億円(同36.4%増)と、大幅な増収増益となりました。韓国はコア商品の情報発信を強化したことが奏功し、増収増益となりました。東南アジア・インド・豪州地区は大幅な増収増益となりました。上期は、顧客層が拡大したことに加え、旅行需要が回復してきたことで、コア商品を中心に、大幅な増収増益を達成しました。下期は大幅な増収となりましたが、営業利益は、前年は物流遅延による在庫不足により販促を行えなかった一方で、今年は一定の値引き販売を行ったことに加え、インドネシアのセーフガードの影響などで、売上総利益率が低下したことで、若干の減益となりました。北米の売上収益は1,639億円(同43.7%増)、営業利益は211億円(同91.9%増)と大幅な増収増益となりました。戦略的に売り込むべき商品の数量を十分に持ち、情報発信を強化したことで、期を通して好調な販売となりました。欧州(ロシアを除く)の売上収益は1,913億円(同49.1%増)、営業利益は273億円(同82.5%増)と、大幅な増収増益となりました。欧州のお客様にLifeWearのコンセプトが浸透し、顧客層が拡大しています。

 

[ジーユー事業]

 ジーユー事業の当連結会計年度の売上収益は2,952億円(前期比20.0%増)、営業利益は261億円(同56.8%増)と、大幅な増収増益となりました。品番数を絞り込み、マストレンド商品の数量を戦略的に準備したことが奏功し、期を通して好調な販売となりました。特にヘビーウェイトスウェット、スーパーワイドカーゴパンツ、プルオンパンツといった商品の販売が好調でした。また、大幅な増収となったことに加え、経費コントロールを強化したことで、売上高販管費比率が改善し、営業利益率は同2.1ポイント改善しました。

 

[グローバルブランド事業]

 グローバルブランド事業の当連結会計年度の売上収益は1,416億円(前期比15.0%増)、売上収益から売上原価と販管費を控除して算出する事業そのものの利益である事業利益は5億円の黒字(前期は2億円の赤字)と、前年の赤字から黒字に転じました。営業利益は、30億円の赤字(前期は7億円の赤字)と、赤字幅が拡大しましたが、これは、コントワー・デ・コトニエ事業で、不採算店舗の閉店による減損損失と事業再編に伴う費用を計上したためです。セオリー事業は、アジア事業と日本事業が牽引し、大幅な増収増益となりました。特に、コア商材を中心に訴求した結果、ジャケット、パンツ、ドレスなど外出需要にマッチした商品の販売が好調でした。プラステ事業は、増収、赤字幅は縮小しました。コントワー・デ・コトニエ事業は、減収、赤字幅は拡大しました。

 

[サステナビリティ(持続可能性)活動]

ファーストリテイリングは、あらゆる人の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を基に、品質・デザイン・価格だけでなく、環境・人・社会への貢献を含む、服づくりを進めています。サステナビリティ活動は、「商品と販売を通じた新たな価値創造」「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」「環境への配慮」「コミュニティとの共存・共栄」「従業員の幸せ」「正しい経営」の6つの重点領域(マテリアリティ)の活動を主軸としています。当連結会計年度における主な活動内容は、以下の通りです。

 

■「商品と販売を通じた新たな価値創造」:

「世界の平和を心から願い、アクションする」そんなユニクロの想いに賛同した著名人が、ボランティアでデザインしたグラフィックTシャツを全世界のユニクロの店舗とECで販売し、利益の全額(1枚当たり販売金額の20%相当)を、パートナーシップを結んだ3団体に寄付するPEACE FOR ALLの活動を推進しています。寄付金は、貧困、差別、暴力、紛争、戦争によって被害を受けた人々を支援する活動に使われています。2022年6月に開始して以来、これまでに29組の著名人が参加し、収益金は2023年8月末までで総額6億97百万円に達しました。

また、お客様にリペアやリメイクなどのカスタマイズサービスを提供するユニクロの「RE.UNIQLO STUDIO」について、日本国内では2022年10月に世田谷千歳台店、2023年4月に前橋南インター店、天神店にオープンし、2023年8月末時点で13の国と地域・25店舗にまで拡大しました。ユニクロの服づくりのコンセプトであるLifeWearを進化させ、愛着ある服を大切に着続けていただくためのサポートを行う場として、9月にも日本国内で6店舗に開設するなどさらに発展させていきます。

 

■「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」:

サプライチェーン全体の人権・労働問題への取り組みを継続的に強化しています。縫製工場と素材工場については、労働環境などの確認を、自社または第三者機関により実施しており、その結果については当社ウェブサイトにて開示しています。2023年度は、サプライチェーンの上流である主要な紡績工場にまでコードオブコンダクト締結対象を拡大し、定期的な労働環境監査とトレーサビリティ情報の確認を進めています。また、主要な縫製工場および素材工場の従業員が、匿名かつ現地語でファーストリテイリングに直接相談できるホットラインの運営も行っており、苦情の件数・概要についてもウェブサイトにて開示しています。 この他、アパレル産業の女性の地位向上を目的に、取引先縫製工場での「女性エンパワーメントプログラム」による支援も継続的に取り組んでいます。

 

■「環境への配慮」:

2030年度までに自社店舗・オフィスでの温室効果ガス排出量を2019年度比90%削減、サプライチェーンでは同20%削減することや、全使用素材の約50%をリサイクル素材などに切り替えること、コットン生産における水削減などを目標として、個々のプロジェクトチームにより、着実に取り組みを進めています。ユニクロの2023年春夏企画商品については、リサイクル素材などの使用割合は全体で約6%、ポリエステルのうちリサイクルポリエステルの使用割合は約24%となりました。また、サプライチェーン全体の生物多様性インパクトについて、カシミアなどの生産農場における影響状況を確認し、負荷低減に向けた取り組みを開始しています。これらの気候変動と水セキュリティに関する積極的な取り組みと透明性が評価され、環境情報開示のプラットフォームを提供する国際的な非営利団体CDP(Carbon Disclosure Project)により、2022年の「Aリスト」企業に認定されました。また、2023年4月にオープンしたユニクロ前橋南インター店では、さまざまな省エネ技術による消費電力の削減や、太陽光パネルによる発電など、エネルギー効率を高めるモデル店となっています。今後も検証を進めながら、省エネルギーの店舗を増やしていきます。

 

■「コミュニティとの共存・共栄」:

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と、バングラデシュのコックスバザールにある世界最大規模の難民キャンプで、ロヒンギャ難民の女性1,000人を対象とした自立支援プロジェクトを2022年9月に開始し、縫製スキルのトレーニングを行うことで、布ナプキンなどの生産を開始しています。同支援プロジェクトでは、布ナプキン約200万枚と女性用ショーツ約43万枚を生産し、支援物資として難民キャンプ内で配布を行っています。この他、トルコ・シリア大地震や日本国内における水害被災地に向けて、寄付や衣料支援を実施しています。

 

■「従業員の幸せ」:

「ジェンダー」「Global One Team」「障がい」「LGBTQ+」の4つを重点領域として、当事者サポートのための制度導入や研修の実施など、多様性推進のための様々な取り組みを実施しています。2023年2月、企業のダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組みを評価する「D&Iアワード2022」において、ダイバーシティスコア96点(100点満点)を獲得し、最高評価の「ベストワークプレイス」に認定されました。これは従業員一人ひとりの個性を尊重し、挑戦と可能性を広げる機会が平等にある職場環境を実現するための取り組みが評価されたものです。

 

■「正しい経営(ガバナンス)」:

迅速で透明性のある経営を実現するために、各委員会ではオープンで活発な議論を行っています。指名報酬アドバイザリー委員会では、取締役・監査役の選任方針や、取締役役員に対する長期インセンティブの付与について、討議しました。人権委員会では、紡績工場の労働環境モニタリングの監査結果や今後の対策についての報告、物流領域の取引先の人権デューデリジェンスのフレームワークについて議論が行われました。リスクマネジメント委員会では、情報セキュリティなどのリスクへの対策について議論を重ね、事業活動のリスク管理を強化しています。

 

 

② 当期のキャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,550億円減少し、9,032億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は4,632億円(前期は4,308億円の資金の獲得)となりました。これは主として、税引前利益4,379億円、減価償却費及びその他の償却費1,868億円、棚卸資産の減少額469億円等の資金増加要因、為替差益253億円、法人税等の支払額1,603億円等の資金減少要因によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、5,744億円(前期は2,122億円の資金の使用)となりました。これは主として、定期預金の純増額2,048億円、投資有価証券の純増額2,717億円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、3,645億円(前期は2,130億円の資金の使用)となりました。これは主として、社債の償還による支出1,300億円、配当金の支払額730億円、リース負債の返済による支出1,406億円等によるものです。

 

 

(2)販売及び仕入の状況

① 部門別売上状況

部門

前連結会計年度

(自 2021年9月1日

  至 2022年8月31日)

当連結会計年度

(自 2022年9月1日

  至 2023年8月31日)

売上収益
 (百万円)

構成比
(%)

売上収益
 (百万円)

構成比
(%)

 メンズ

347,504

15.1

387,194

14.0

 ウィメンズ

349,723

15.2

392,864

14.2

 キッズ・ベビー

63,902

2.8

65,434

2.4

 グッズ・その他

31,629

1.4

37,596

1.4

 国内ユニクロ商品売上合計

792,759

34.5

883,090

31.9

 FC関連収入・補正費売上高

17,501

0.8

7,337

0.3

 国内ユニクロ事業合計

810,261

35.2

890,427

32.2

 海外ユニクロ事業

1,118,763

48.6

1,437,147

51.9

 ユニクロ事業合計

1,929,024

83.8

2,327,575

84.1

ジーユー事業

246,055

10.7

295,206

10.7

グローバルブランド事業

123,162

5.4

141,685

5.1

その他事業

2,880

0.1

2,090

0.1

合計

2,301,122

100.0

2,766,557

100.0

(注) 1.FC関連収入とは、フランチャイズ店に対する商品売上高、フランチャイズ店からのロイヤリティ収入であり、補正費売上高とは、パンツの裾上げ(補正)の加工賃及び刺繍プリントによる収入等であります。

    2.ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

    3.ジーユー事業とは、「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

    4.グローバルブランド事業は、セオリー事業(「Theory(セオリー)」ブランド等の衣料品販売事業)、プラステ事業(「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)及びプリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。

    5.その他事業とは、不動産賃貸業等であります。

    6.国内ユニクロ事業に含まれるEコマース売上高

      前連結会計年度 130,918百万円、当連結会計年度 133,894百万円

 

② 単位当たりの売上状況

摘要

当連結会計年度

(自 2022年9月1日

 至 2023年8月31日)

前期比(%)

売上収益

2,186,343百万円

122.8

1㎡当たり売上収益

売場面積(平均)

2,862,882㎡

103.6

1㎡当たり期間売上収益

763千円

118.5

1人当たり売上収益

従業員数(平均)

89,377人

97.1

1人当たり期間売上収益

24,462千円

126.5

 

 (注)1.国内・海外ユニクロ事業についてのみ記載しております。

2.売上収益は店舗商品売上高であり、国内ユニクロ事業のEコマース事業・FCに対する商品供給高・経営管理料及び補正費売上高は含まれておりません。

3.売場面積(平均)は、直営店売場の昨年度期末面積数と今年度期末面積数を平均算出しております。

4.従業員数(平均)は、準社員、アルバイト社員、委託社員及び受入出向社員を含み、執行役員を除いております。なお、準社員、アルバイト社員は在籍する年間の平均人員により記載しております。

 

③ 仕入実績

商品部門別

当連結会計年度

(自 2022年9月1日

 至 2023年8月31日)

仕入高(百万円)

前期比(%)

構成比(%)

メンズ

185,813

94.7

14.4

ウィメンズ

199,042

107.0

15.4

キッズ・ベビー

31,122

89.5

2.4

グッズ・その他

16,880

110.7

1.3

国内ユニクロ事業合計

432,858

100.1

33.5

海外ユニクロ事業

643,252

115.6

49.7

ユニクロ事業合計

1,076,111

108.8

83.2

ジーユー事業

159,686

119.7

12.3

グローバルブランド事業

57,725

91.4

4.5

合計

1,293,522

109.1

100.0

(注)1.ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

   2.ジーユー事業とは、「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

   3.グローバルブランド事業は、セオリー事業(「Theory(セオリー)」ブランド等の衣料品販売事業)、プラステ事業(「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)及びプリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。

   4.上記以外に、その他事業(不動産賃貸業等)がありますが、事業の性格上、仕入は発生しません。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績又は各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。

 採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の分析

 経営成績等の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績等の概要」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

Ⅰ 財務戦略の基本的な考え方

 当社グループでは、強固な財務体質を維持しながら、事業活動によりフリー・キャッシュ・フローを最大化し、毎期一定程度の株主還元を維持しつつ、成長投資資金と手許流動性も確保していくことを財務戦略の基本方針としています。

 強固な財務体質の維持に関しては、営業キャッシュ・フローにより投資資金を賄うことを原則としつつ、天候不順や感染症といった不測の事態に耐えうる手許流動性を確保していきます。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上に努めていきます。

 

Ⅱ 資金のキャッシュ・フロー及び流動性の状況

 当社グループでは、アパレル小売業としての特性上、運転資金と天候不順などの不測の事態に備えて月商3~5ヶ月分の手許流動性を確保するよう努めています。当連結会計年度の売上収益2兆7,665億円に対し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は9,032億円と、足もとの手許流動性は適正水準であると考えております。

 

 

Ⅲ 資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、仕入、物流費、広告宣伝費、地代家賃(店舗に係る賃貸料など)、人件費などがあります。

 また、投資活動に係る資金支出では、店舗関連投資(新規店舗の出店や既存店舗の改装)のほか、有明プロジェクト推進における物流倉庫投資やIT投資(店舗のセルフレジ、Eコマース、サプライチェーン関連のシステム投資)があります。

 

 

Ⅳ 資金調達

 当社グループ事業の維持拡大のために必要な資金を安定的且つ機動的に確保するため、事業活動によるフリー・キャッシュ・フローの最大化に努めるとともに、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。

 強固な財務体質を維持すべく、投資資金は、営業キャッシュ・フローにより賄うことを原則としていますが、資金調達の多様化と資本効率の向上を企図し、過去累計で5,000億円の社債調達も活用しています。引き続き、適時適切な社債調達も検討しながら、海外事業の拡大や各種プロジェクト推進における投資資金として活用して参ります。

 当社グループでは、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、スタンダード&プアーズ(S&P)及び日本格付研究所(JCR)から格付を取得しています。本報告書提出時点において、S&Pの格付は「シングルA+(安定的)」、JCRの格付は「ダブルA(ポジティブ)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しております。

 当連結会計年度は増収増益となりました。経費削減及び在庫消化に努めることにより、追加の外部調達を行うことなく、十分な手許流動性を確保できています。

 今後も外部環境変化を注視しながら、強固な財務体質を維持するとともに、安定的な外部資金調達能力の維持向上に努めていきます。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。