当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来「豊かな未来に向けて-総合生活産業へ」を合言葉に、お客様が毎日寄ってみたくなる楽しい書店づくりを目指しております。また、本の専門店としてはもちろんのこと、様々なソフトを取り扱うメディアコンプレックス店としても、皆様に満足していただける品揃えを心がけており、地域の文化の向上に貢献できればと考えております。グループ挙げて皆様が良書をはじめ、私どもがご提供させていただける情報に数多く接していただき、出版界はじめ、我が国の文化向上に大きく寄与していきたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、収益力の向上と財務体質の強化を経営目標の中心として重視しております。きめ細かい店舗運営を通して効率経営を追求し、売上高経常利益率を高め、自己資本利益率(ROE)10%以上を安定的に実現することを目標として取り組んでまいります。
(3) 経営戦略等
当社グループは、2019年9月27日に成立した産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下「事業再生ADR手続」という)において同意を得た事業再生計画に基づき、今後の事業の再生・発展を目指す上で、既存店の収益力の拡大及び財務体質の強化を重要視しております。出版流通業界は、昨今の電子化の流れを受け、販売の低迷が続き、依然として改善の兆しがなかなか見えない状況ではありますが、魅力のある店舗づくりを推進し、主たる事業である書籍・雑誌の販売強化を柱として、教育プラットフォーム事業を融合した新しい書店パッケージにて新たな収益獲得、両事業の連動したシナジー効果の創出に注力し、店舗の収益力の向上に努めてまいります。
(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行による、景気の緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方、エネルギー価格の高騰や物価上昇に加え、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
出版流通業界におきましては、書籍・雑誌ともに依然として市場は縮小傾向にあります。また、個人の消費支出の動向としては、緩やかな持ち直しの動きはあるものの、生活必需品に圧迫され、教養娯楽用品への支出は減少し、厳しい業績推移が続いております。
このような状況の中、当社グループといたしましては、事業再生ADR手続において同意を得た事業再生計画を着実に実行し、事業構造改革に取り組んでまいります。
売上高につきましては、書籍・雑誌の低迷は続いていくと思われるものの、文房具の売上は行動制限が緩和された2023年5月から増加に転じており、今後におきましても前年を超える売上が見込まれます。
収益改善につきましては、最低賃金の上昇による人件費及び水道光熱費の増加が見込まれるものの、本社管理費を中心に業務の効率化による経費の削減を進めてまいります。店舗収益につきましては、エリアマネージャー制度によって組織力を強化し、顧客対応及び店舗オペレーションを見直すことによって売上高の増加及び店舗運営コストの削減に努めてまいります。また、出版社からの単品報奨金の獲得強化や、買い切り雑誌の拡大などにより利益率の改善を図ってまいります。一方で、新規事業として従来の書店に教育プラットフォーム事業を融合した新しい書店パッケージを開発し、今後は両事業を連動したシナジー効果の創出により、収益の拡大を図ってまいります。
なお、事業再生計画の具体的な内容は、2019年9月27日に開示しております「事業再生計画の東京証券取引所への提出について」に記載しております。
ロシア・ウクライナ情勢や円安などに起因した資源価格の高騰等の影響により、経済の先行きは不透明な状況が続いており、また、2023年5月以降の行動制限の緩和により、消費者の意識や行動は大きく変容しています。当社グループといたしましては、消費者の動向を見極めつつ、不採算店舗の閉店を進めるとともに、生活様式の変化に対応した品揃えや新たなサービスの提案に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、持続的な企業価値の向上へ寄与するものとしてサステナビリティを巡る社会課題への取り組みを考え、SDGs及びサステナビリティ活動全体の責任を担う組織として、「サステナビリティ委員会」を設置しております。代表取締役社長を委員長に、取締役、運営部社員、株式会社文教堂本部・店舗社員を構成メンバーとしており、委員会を中心に、社内各部門が横断的に連携して関連活動を推進しています。
サステナビリティ委員会の具体的な活動としては、サステナビリティ全般に関わる方針、取り組み等の審議、進捗レビュー等を実施しております。
(2)戦略
サステナビリティ委員会において、サステナビリティに関する重要課題を特定し、社会・環境への取り組むべき課題として「環境に配慮した店舗運営」「循環型経済の実現」「人材、従業員価値の創造」「高度なガバナンス体制の構築」「情報開示の充実」を設定いたしました。これらの事業を通じた社会課題の解決や社会貢献に向けた具体的な取り組みを進め、その活動内容や進捗を積極的に発信してまいります。なお、具体的な取り組みについては
(3)リスク管理
当社グループは、事業活動の全般に係る様々なリスクの分析及び対策の検討については、社長を議長とした、常勤取締役、常勤監査役及び各部門の責任者が出席する経営会議において行います。
また、リスク管理に関わる組織・体制の構築をするため、「リスク管理規程」を定めており、それに基づく体制の整備に取り組んでおります。
サステナビリティに関するリスクについても、「リスク管理規程」に基づく管理体制の下で管理し、サステナビリティ委員会の中でより詳細の検討を行い、各部門におけるリスクへの取り組みの実施推進・その評価を行っております。
(4)指標及び目標
当社グループは、持続的な企業価値の向上へ寄与するものとしてサステナビリティを巡る社会課題への取り組みを認識しており、事業を通じた社会課題の解決や社会貢献に向けた活動を推進しておりますが、現段階では各取り組みに関しての指標及び目標を設定しておりません。今後は、具体的な指標及び目標の検討をしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 同業種内における競争激化及び消費低迷等による影響(発生可能性:高、影響度:大)
出版流通業界では、長引く個人消費の低迷によって売上高の減少が進む中で、競合他社店舗の濫立により業界内での企業間競争が激しさを増し、依然として厳しい環境が続いており、当社グループの経営成績及び財務状況が同業種内の競争激化及び消費低迷等により悪影響を受ける可能性があります。
当社グループはこのような状況下、主要取引先である日本出版販売株式会社の協力を得ながら、部分的に導入していたエリアマネージャー制度を全国展開するとともに、顧客対応や店舗オペレーションの見直しを含め、店舗運営の改善に向けたアクションプランを実行しております。
(2) 店舗における万引き行為による影響(発生可能性:高、影響度:中)
最近はメディアでも数多く取り上げられております書店における万引き行為が増加することにより、当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
現在当社グループをはじめ業界全体でこの問題に取り組んでおり、出版社に製本段階での盗難防止も兼ねたICタグの取り付け、また若年層の万引きを誘発しているとされる新古書店の買取に関しましても対策支援を要請しております。当社グループ内でも、警備員の増員・各従業員の万引きに対する危機管理の徹底を行っておりますが、万引き行為が増加することにより当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
(3) 店舗管理システムの不具合による影響(発生可能性:中、影響度:中)
当社グループでは、全店舗にPOSシステムを導入しており、このシステムによって販売状況・在庫状況をリアルタイムで把握することが可能となり、販売活動を効率的かつ迅速に行うことが可能となっております。しかし、システムの故障・停止等何らかの不具合により当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
そのため、当社グループは、販売管理システムの運用管理を外部に委託し、データの消失に備えバックアップを行っております。また、アクセス権限の設定、パスワード管理によりデータ漏洩の防止に努めております。
(4) 再販売価格維持制度について(発生可能性:中、影響度:小)
当社グループが販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第24条の2の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が適用されております。これは、出版物が我が国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法の適用除外規定により例外的に認められているものであります。したがって出版物は書店においては定価販売が行われております。
この再販制度について、2001年3月23日公正取引委員会は、当該制度の廃止も視野に制度見直しを検討していた結果、文化、公共的な観点から存続を求める意見が優勢で「廃止には国民的な合意が得られていない」と判断し、新聞、書籍などの販売価格を新聞社や出版社が取り決める「再販売価格維持制度」を当面存続させると発表しております。
当面は制度維持の方向で進むものと思われますが、公正取引委員会は、再販制度を維持しながら、今後も消費者利益のため、現行制度の弾力的運用を業界に求めていく方針を発表しておりますので、当該制度が廃止された場合、商品調達力と収益性に優位に立っていると思われる当社グループにとってはさらに有利な環境になると想定されます。しかし、廃止の時期については未定であり、また、廃止されない可能性もあります。
(5) フランチャイズ契約について(発生可能性:小、影響度:大)
教育プラットフォーム事業の一環として運営しているプログラミング教室は、株式会社YPスイッチとのフランチャイズ契約を締結して行っておりますが、フランチャイジーである当社はその運営方針をフランチャイザーの経営方針に委ねており、フランチャイザーの経営政策や経営状況等により、当社グループのプログラミング教室運営に重大な支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6) 競合について(発生可能性:中、影響度:中)
プログラミング教室へ参入する会社が増加し、品質・価格・サービス競争が激化する可能性があり、当社グループのサービス等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、品質・価格・サービス競争に適切に対応できない場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。
(7) 重要事象等について
当社グループは、2018年8月期に重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、債務超過となったことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると判断しておりました。
その後、当社グループは、当該状況を早急に解消し、今後の事業再生と事業継続に向け、財務体質の抜本的な改善を図るため、2019年6月28日付で事業再生ADR手続の利用申請を行い、事業再生計画案に対して事業再生ADR手続の対象債権者となるすべてのお取引金融機関からご同意をいただき、2019年9月27日付で事業再生ADR手続が成立いたしました。また、本事業再生計画に基づき以下の施策を着実に実施してまいりました。
事業上の施策といたしましては、①エリアマネージャー制の導入等、②返品率の減少、③文具販売の強化、④不採算店舗の閉鎖、⑤本部コスト等の削減、⑥組織再編等に取り組み、収益力の改善を実現してまいりました。
財務面につきましては、お取引金融機関により、①債務の株式化、②債務の返済条件の変更によるご支援をいただきました。
また、大株主である日販グループホールディングス㈱からは、①店舗の競争力を維持・強化するため、500百万円の出資、②既存債務の一部支払いの条件変更、③その他事業面、人事面でのご支援をいただき、財務状態の安定化を図ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度において、営業利益73百万円、経常利益97百万円、親会社株主に帰属する当期純利益96百万円を計上し、純資産額は1,268百万円となりました。
しかし、エネルギー価格の高騰や物価上昇に加え、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など不安定な世界情勢による本事業再生計画への影響が不透明であることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
今後、引き続き事業再生計画における施策を実行、新規事業の展開へ注力することで、継続企業の前提に関する重要事象等を解消できるものと考えております。したがって、継続企業の前提に関する不確実性は認められないものと判断し、「継続企業の前提に関する注記」は記載しておりません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2019年9月27日に成立した事業再生ADR手続において同意を得た事業再生計画に基づいて、引き続き事業構造改革に取り組んでまいりました。
各事業の運営状況は次のとおりであります。
主力の書店事業については、引き続き厳しい経営環境の下、売上高拡大と利益率の改善のため、販売数に応じた出版社からの単品報奨金の獲得を強化する一方で、一部雑誌タイトルについて買い切り方式での仕入に転換することによって仕入原価を抑え、発売から一定期間が経過した商品については値下げ販売を行い売り切るスキームに注力してまいりました。
また、横須賀MОRE’S店の大規模改装、R412店へ㈱バンダイナムコアミューズメントが企画・運営・プロデュースするカプセルトイ専門店「本屋さんのガシャポンのデパート」導入を行いました。お客様より高い支持を受け好調に推移しております。
不採算店舗におきましては、3店舗の閉店を行ってまいりました。
教育プラットフォーム事業については、「プログラミング教育 HALLO powered by Playgram × やる気スイッチ TM」へFC加盟し、事業展開しておりますプログラミング教育HALLOにて、11月に横須賀MОRE’S校、4月に湘南とうきゅう校を開校しました。これにより、プログラミング教育HALLO導入店舗は5店舗となりました。
前連結会計年度に開校した溝ノ口校、R412校、グリーンコート校が開校2年目に入り、3校の生徒数は期中平均で、前連結会計年度比26.4%増となりました。各校、ポスティングでの広告宣伝の強化や、体験会の開催などで認知度向上、需要の喚起に努めており、順調に生徒数を獲得しております。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は不採算店舗の閉店により15,470百万円(前連結会計年度比6.2%減)と減収となりました。また、利益面につきましては、売上高は減少したものの、報奨金の獲得等により利益率が改善し、営業利益は73百万円(前連結会計年度比40.2%増)、経常利益は97百万円(前連結会計年度比28.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は96百万円(前連結会計年度比32.0%増)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは販売業及び教育プラットフォーム事業でありますが、教育プラットフォーム事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて258百万円減少して871百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は主に、税金等調整前当期純利益の計上110百万円、有形固定資産償却費72百万円、棚卸資産の増加額40百万円、その他流動資産の増加額62百万円などの要因により、得られた資金は54百万円(前年同期は238百万円の収入)となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は主に、有形固定資産の取得による支出33百万円、無形固定資産の取得による支出16百万円、有形固定資産の除却による支出21百万円、差入保証金の回収による収入49百万円などの要因により、使用しました資金は22百万円(前年同期は178百万円の支出)となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は主に、短期借入金の純減額137百万円、長期借入金の返済による支出153百万円の要因により、使用しました資金は291百万円(前年同期は482百万円の支出)となりました。
③仕入及び販売の実績
a. 仕入実績
|
事業部門別 |
当連結会計年度 (自 2022年9月1日 至 2023年8月31日) |
||
|
仕入高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
|
書籍・雑誌等の販売業 |
|
|
|
|
書籍 |
5,180,438 |
45.2 |
97.4 |
|
雑誌 |
3,889,105 |
33.9 |
100.3 |
|
文具 |
973,590 |
8.5 |
102.6 |
|
その他※1 |
1,413,014 |
12.3 |
100.2 |
|
合計 |
11,456,148 |
100.0 |
99.1 |
(注)※1.「その他」は、CD・DVD、ホビー、図書カードほかであります。
2.セグメント情報は重要性が乏しいため記載を省略しております。
b. 販売実績
|
事業部門別 |
当連結会計年度 (自 2022年9月1日 至 2023年8月31日) |
||
|
売上高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
|
書籍・雑誌等の販売業 |
|
|
|
|
小売 |
|
|
|
|
書籍 |
6,757,803 |
43.7 |
94.4 |
|
雑誌 |
4,953,483 |
32.0 |
91.0 |
|
文具 |
1,730,161 |
11.2 |
96.9 |
|
その他※2 |
1,929,669 |
12.5 |
96.4 |
|
小計 |
15,371,118 |
99.4 |
93.8 |
|
卸売※1 |
|
|
|
|
書籍・雑誌 |
15,706 |
0.1 |
96.5 |
|
その他※2 |
995 |
0.0 |
77.8 |
|
小計 |
16,701 |
0.1 |
95.2 |
|
その他※3 |
82,832 |
0.5 |
107.4 |
|
合計 |
15,470,652 |
100.0 |
93.8 |
(注)※1.卸売は、フランチャイジーに対するものであります。
※2.小売及び卸売の「その他」は、CD・DVD、ホビー、図書カードほかであります。
※3.「その他」は、出版社からの報奨金収入、教育プラットフォーム事業での授業料収入等であります。
4.セグメント情報は重要性が乏しいため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行による、景気の緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方、エネルギー価格の高騰や物価上昇に加え、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
出版流通業界におきましては、書籍・雑誌ともに依然として市場は縮小傾向にあります。また、個人の消費支出の動向としては、緩やかな持ち直しの動きはあるものの、生活必需品に圧迫され、教養娯楽使用品への支出は減少し、厳しい業績推移が続いております。
このような状況下において、当社グループにおきましては、2019年9月27日に成立した事業再生ADR手続において同意を得た事業再生計画に基づいて、引き続き事業構造改革に取り組んでまいりました。
各事業の運営状況は次のとおりであります。
主力の書店事業については、引き続き厳しい経営環境の下、売上高拡大と利益率の改善のため、販売数に応じた出版社からの単品報奨金の獲得を強化する一方で、一部雑誌タイトルについて買い切り方式での仕入に転換することによって仕入原価を抑え、発売から一定期間が経過した商品については値下げ販売を行い売り切るスキームに注力してまいりました。
また、横須賀MОRE’S店の大規模改装、R412店へ㈱バンダイナムコアミューズメントが企画・運営・プロデュースするカプセルトイ専門店「本屋さんのガシャポンのデパート」導入を行いました。お客様より高い支持を受け好調に推移しております。
不採算店舗におきましては、3店舗の閉店を行ってまいりました。
教育プラットフォーム事業については、「プログラミング教育 HALLO powered by Playgram × やる気スイッチ TM」へFC加盟し、事業展開しておりますプログラミング教育HALLOにて、11月に横須賀MОRE’S校、4月に湘南とうきゅう校を開校しました。これにより、プログラミング教育HALLO導入店舗は5店舗となりました。
前連結会計年度に開校した溝ノ口校、R412校、グリーンコート校が開校2年目に入り、3校の生徒数は期中平均で、前連結会計年度比26.35%増となりました。各校、ポスティングでの広告宣伝の強化や、体験会の開催などで認知度向上、需要の喚起に努めており、順調に生徒数を獲得しております。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は不採算店舗の閉店により15,470百万円(前連結会計年度比6.2%減)と減収となりました。また、利益面につきましては、売上高は減少したものの、報奨金の獲得等により利益率が改善し、営業利益は73百万円(前連結会計年度比40.2%増)、経常利益は97百万円(前連結会計年度比28.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は96百万円(前連結会計年度比32.0%増)となりました。
b.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、9,915百万円となり、前連結会計年度末に比べて211百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が258百万円減少したことなどによるものです。
(負債の部)
負債合計は8,647百万円となり、前連結会計年度末に比べて308百万円減少いたしました。主な要因は、借入金が291百万円減少したことなどによるものです。
(純資産の部)
純資産合計は1,268百万円となり、前連結会計年度末に比べて96百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が96百万円増加したことによるものです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純利益の計上、短期借入金の純減額及び長期借入金の返済による支出等の影響を受けております。
また、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況に関しましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、店頭での販売による商品の仕入及び店舗運営に係る販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金需要の主なものは、既存店の改装に係る固定資産の購入によるものであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入により資金調達することとしております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(1) 株式会社丸善ジュンク堂書店との業務提携
当社は2009年12月24日開催の取締役会において、株式会社丸善ジュンク堂書店との間で業務提携を行うことについて決議を行い業務提携契約を締結いたしました。
業務提携の内容
当社及び株式会社丸善ジュンク堂書店は、それぞれが保有する経営ノウハウ(店舗運営力、店舗開発力、システム・ITに関するノウハウ、物流機能、ブランド力、技術力など)を共有化し、また、協働での新規サービス等新業態、新企画の開発を行う等の協業体制を構築することによって、両社の発展に寄与することを目的として、業務提携を行うことに合意いたしました。具体的な提携の範囲は以下のとおりです。
1.店舗事業領域
①相互店舗の出店・退店の調整
②相互の販売データ活用及び販元へのデータ提供
③人材交流及び共同研修等を通じた店舗運営ノウハウの共有
④洋書、文具、専門書、ホビー等に関する商品調達力等の各自の強みの、相互店舗への応用・展開
⑤顧客注文に対する商品の相互融通
⑥POSシステムの連携及び共同開発
⑦共同催事の開催
2.外商関連領域
①店舗在庫を活用した外商顧客の相互店舗利用のスキーム化
3.その他
①共用カードの開発
②システム開発の一本化、共同化
③ネット会社の提携
④相互の関連会社との取引推進その他連携強化
⑤在庫棚卸業務の共同化
(2) 大日本印刷株式会社との業務提携
当社及び大日本印刷株式会社は、提携関係の一環として、大日本印刷株式会社又は大日本印刷株式会社の子会社もしくは関連会社各社と当社グループ各社との間で次の業務提携を推進してまいります。
業務提携の内容
1.honto会員の獲得施策等
2.購買情報の利用
3.相互送客施策
4.商品・サービス開発
(3) 日本出版販売株式会社との業務提携
当社は2016年9月13日開催の取締役会において、日本出版販売株式会社との間で業務提携を行うことについて決議を行い業務提携契約を締結いたしました。
業務提携の内容
本業務提携は、両社の本業である書籍・雑誌の販売をより効率的に行うために複合商品の共同研究を進め、経営効率に優れた書店モデルを造るなど新企画の開発を行う等の協力体制を構築することによって、両社の発展に寄与することを目的としたものです。
具体的な業務提携の内容は以下のとおりです。
1.文具・雑貨をはじめとする複合商品の共同研究
2.アニメ関連商品等のオリジナル商品・PB商品の共同開発及び展開
3.既存書店を利用した新たな業態の開発
4.販売データの活用・共有化及びシステム整備
(4) 日本出版販売株式会社との取引基本契約及び再販売価格維持契約
連結子会社である株式会社文教堂は、主要仕入先である日本出版販売株式会社と継続した取引を行うことを目的とし、取引基本契約を締結しております。このほか、独占禁止法第24条の2の規定に基づき、再販売価格維持契約を締結しており、その要旨は次のとおりであります。
1.出版物の定価販売を維持するため、日本出版販売株式会社(乙)が出版業者(甲)と締結した契約に基づき、乙と株式会社文教堂(丙)の間に本契約を締結する。
2.丙は甲又は乙より仕入れ又は委託を受けた出版物を販売するにあたっては、甲の指定する定価を厳守し、割引または割引に類する行為をしない。
3.乙は出版物を直接需要者に販売しない。
(5) フランチャイズ契約
連結子会社である株式会社文教堂は、出店先地域社会との協調、地元への貢献を図ることを基本方針として、地元店とのフランチャイズ契約を締結しております。
フランチャイズ契約の要旨は次のとおりであります。
|
契約の目的 |
株式会社文教堂(甲)がフランチャイジー(乙)に対して、甲が使用している商標・CI等及び経営のノウハウを用いて、同一とみられる企業イメージのもとに営業を行う権利を与え、乙はその代償として一定の対価を支払い、甲の指導と援助のもとに継続して営業を行い、相互の繁栄を図ることを目的とする。 |
|
商品の仕入 |
乙は甲より商品を仕入れるものとする。 |
|
商品取引価格 |
甲の仕入価格に一定料率のロイヤリティーを加えた価格とする。 |
|
契約期間 |
3年間契約。ただし、期間満了の6ヶ月前までに申出のない時は自動延長されるものとする。 |
(6) 株式会社YPスイッチとのフランチャイズ契約
連結子会社である株式会社文教堂は、株式会社YPスイッチとの間でフランチャイズ契約を締結いたしました。契約の概要は次のとおりであります。
|
契約会社名 |
株式会社文教堂(連結子会社) |
|
相手先の名称 |
株式会社YPスイッチ(フランチャイザー) |
|
契約の概要 |
株式会社YPスイッチが保有する商標の使用許諾並びに経営ノウハウ及び商材の提供。 |
|
契約期間 |
契約日から2年。以後1年ごとの自動更新。 |
|
ロイヤリティ |
定額もしくは、毎月の売上高の一定料率、いずれか高い金額。 |
該当事項はありません。