文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「お客様の衣食住遊を豊かにする商品及びサービスをより高い利便性、経済性、ファッション性をもって提供し社会に貢献する」ことを経営理念とし、安定性、成長性、継続性、収益性、のバランスのとれた真のエクセレントカンパニーを目指すことによって、株主、投資家の期待に応えていくことを経営の基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社は、2023年3月期から2025年3月期までの第五次経営計画を策定しております。当社グループにおける経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、ROEであり、第五次経営計画最終年度までの目標指標は下記のとおりであります。なお、2023年3月期及び2024年3月期の業績進捗状況を踏まえ、2025年3月期の売上高予算・営業利益予算について修正を行っております。
(修正後)
(注)2023年3月期及び2024年3月期は実績の数値を記載しております。
(修正前)
(3)中長期的な会社の経営戦略
1つ1つの事業を太く強くし、外部環境の急激な変化にも対応できるよう引き続きポートフォリオ経営の成熟を進めて参ります。インバウンドの更なる拡大が期待できるホテル展開を軸としたプロパティ事業と消費マインドの影響を受けにくい専門的事業領域である化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業については利益成長を担う事業と位置づけ積極的に展開をして参ります。また、アパレル・雑貨事業、呉服関連事業、データベース活用事業については収益性・効率性の最大化を目指し展開をして参ります。各セグメント目標の達成を目指すと共に、外部環境に適応した事業推進、実践的人材の育成強化を重点的に進めて参ります。
(4)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束により正常化が進み、国内の外出需要や円安を背景としたインバウンド需要の回復により消費活動が活発化する一方で、国外情勢悪化の長期化、資源価格の高止まりや円安進行による物価上昇など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
次期におけるわが国経済は、景気回復基調が持続し、雇用・所得環境の改善が図られ景気が緩やかに回復していくことが期待されます。特にインバウンド需要は、構造的な円安を背景に当面は力強く推移するものと見込まれます。一方で物価上昇の長期化に伴う消費マインドの停滞、中東情勢・ウクライナ情勢などの地政学リスクの影響や日銀の金融政策による為替・金利など不透明なマクロ動向が国内の消費環境を停滞させる可能性もあります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループにおきましては、インバウンド需要の更なる拡大を好機と捉え、ホテル展開を軸としたプロパティ事業を当社グループの重要な成長ドライバーと位置づけ注力して参ります。これに加え、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業といった消費マインドの影響を受けにくい専門的事業領域の成長を優先し、安定的な拡大を進めます。アパレル・雑貨事業におきましては新規獲得を適正水準に戻し、リピート率も回復させることで事業規模と効率を改善し営業利益の黒字化回復を目指して参ります。
外部環境の変化に対応し、経営資源の最適な配分を行い企業価値の最大化を目指して参ります。
(6)コーポレート・ガバナンスに関する課題
当社グループは、経営上の意思決定、執行及び監督に係るガバナンス体制に加え、昨今のコンプライアンス上のリスク管理の重要性が高まっている状況を受け、コンプライアンスを含めたガバナンス体制・リスク管理体制の整備及び運用の強化に努めております。「リスク管理業務」については、内部監査室・法務部・経営企画室の3部門で連携を図ることで、更なるガバナンス体制の強化に取り組んでおります。
当社グループは、今後も継続してこれらの体制を維持・活用し、当社の文化として根付かせることを目指して参ります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「地域に生活するより多くのお客様の、衣食住遊を豊かにする商品及びサービスを提供し、お客様の生活と幸せの向上に貢献する」という理念のもと、1968年の創業以来、日本の社会的課題に取り組みながらお客様や取引先、従業員など多くのステークホルダーの皆様のご支援のもと成長して参りました。
日本では1970年代以降の物価上昇や1980年代後半からの女性の社会進出など、様々な社会環境の変化があり、時代の変遷と共に消費者のニーズも変化して参りました。その中で当社グループは、分割払い可能な家庭用品の通販や女性向け衣料品のカタログ通販など、商品やサービスを変えながらお客様のニーズに応え、現在まで事業を継続し、成長して参りました。社会的課題への適応は当社グループの根幹的な価値であり、これまでも、また、これからも引き続き課題の解消に貢献することが重要な使命だと考えております。
当社グループはサステナビリティに関する活動の社内横断的な検討・推進組織として「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。「サステナビリティ推進委員会」は、持続可能な社会の実現へ向けて当社グループが果たすべき貢献と当社グループの持続的な成長を目指す上で必要となる基本方針を策定し、かつ積極的な活動を取り決め横断的に推進することを目的とし、取締役会の諮問機関として設置されております。この委員会を中心に、対応すべき課題を明確にし、持続可能な社会の実現に向けた活動を加速して参ります。
当社グループは、「サステナビリティ宣言」に則り、ステークホルダーの期待や要請にグループが一体となって応えていくために重要課題を特定しております。重要課題の特定にあたっては、検討すべき社会課題および当社グループに求められる要請について、ステークホルダーごとに洗い出しを行い、全123項目を抽出した上で、整理・分類し25の課題を特定しました。ステークホルダーにとっての重要度および事業会社によっての重要度を分析し、当社グループにおいて社会的な影響が特に大きいアパレル・雑貨事業について7つのマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。当社グループでの取り組みは下記の通りです。
<取り組み事例>
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループでは、『人の成長の先に、企業の成長がある』と考えています。わが社の求める社員像として「何事に対しても明るく、ポジティブに取り組み、お客様の満足とより良い仕事にこだわり、困難から逃げることなく、自分の能力とキャパシティを広げ、信頼を高めるために常に挑戦する」という方針を掲げ、人材の育成や活躍推進に取り組んでいます。
逞しい人材の育成
当社グループでは、「経験が人を育てる」という考えの下、事業活動の中での実践を通じてこそ成長が促進されるものと考えており、OJTを主体として、それを補完する形での研修制度(OFF-JT)の整備と自己啓発の促進に取り組んでおります。OJTにおいては、当人の成長意欲を重視し、「1勝9敗」の精神で果敢にチャレンジすることを推奨しています。若手社員にも積極的に権限を委譲し、成功や失敗の経験を通して成長できる環境を整えています。また社内ローテーションを推進し、幅広い経験を積むことで、逞しい人材を育成して参ります。
研修制度(OFF-JT)では、年次ごとの振り返り研修や管理者向けの研修を設けているほか、外部講師を招いて知識を習得するプログラムを実施しています。さらに、創業からの経験や歴史、哲学を創業者である代表取締役自ら発信する場を設け、当社の文化を継承する次世代の育成に取り組んでいます。また、資格取得や通信教育の受講といった「自己啓発」を後押しする各種施策・制度を充実させることによって、人材の育成・強化を図っています。

多様な人材の活躍推進
当社グループでは、多様な人材の活躍を推進しており、女性や海外人材、パート社員などの短時間勤務者といった様々な背景を持つ人材がそれぞれの強みを活かして活躍できる環境作りに取り組んでおります。当社グループでは、正社員からパート社員、アルバイト社員まで多くの女性社員が働いており、商品企画、カタログ制作、コールセンター業務、WEBサイト制作・運営など、幅広い分野で女性が活躍しています。パート社員が部長職にまで昇格するなど、パート社員でも能力の高い方、やる気のある方は、積極的に正社員や管理職に登用しています。また、短時間勤務や勤務形態の変更など、それぞれのワークスタイルに合った働き方ができる体制を整えています。当社グループでは、今後も多様な人材が活躍できる職場環境の整備と機会づくりに取り組んで参ります。
やりがいと成長を実感できる職場環境作り
当社グループは、従業員一人一人がその能力を十分発揮し、自己成長できるよう、明るい職場環境と自由闊達な企業風土づくりに努めています。従業員のオペレーション品質や効率を高めると同時に、一人一人のモチベーションを高め組織全体のモラールの合計値を上げることを目的とした表彰制度「ガンバレーション制度」をグループ全社で導入しています。一人一人が目標達成意欲、自己成長意欲を持って各自の仕事に取り組み頑張った人をお互いに称賛・表彰することで部門活性化や、さらなるモラール(士気)向上に繋げています。
当社グループは「サステナビリティ推進委員会」が主体となって気候変動リスクをはじめとするサステナビリティに関するリスクをマネジメントしています。サステナビリティ推進委員会が中心となってリスクに関する情報・データを収集し、事業活動項目ごとに、リスクを網羅的に抽出します。次に、サステナビリティ推進委員会において、抽出したリスクの中から当社グループにとって重要なリスクを特定し、その重要性を評価します。サステナビリティ推進委員会によるリスクの識別・評価に基づく当社グループの戦略・施策等の方針や提言を取締役会へ報告することとしています。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した7つの項目のうち、重要なテーマと位置付けている「CO2排出量削減」、「従業員の働き方改善」への対応についての目標及び実績は、次のとおりであります。
環境配慮・脱炭素社会への取組み
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(株式会社ベルーナの自社排出)
なお、現時点ではマテリアリティに基づき、主にアパレル・雑貨事業における排出量を算出しております。
※女性活躍推進法に基づく対象会社を集計しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努めて参ります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制・訴訟等によるリスク
当社グループは、国内及び海外各地にて事業を展開しており、規制当局による様々な法的手続き及び訴訟等に関するリスクを有しております。内部統制・管理体制を構築し法令遵守を徹底させておりますが、違反の効果的な防止が伴わない場合や、法規制の新規追加・変更等に伴い新たな義務や費用負担が発生した場合には、当社グループの企業イメージの悪化や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業務に大きな影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 商品の安全性に関するリスク
当社グループの提供する商品については、独自の品質管理基準を設け、品質向上に取り組んでおります。しかし、将来にわたり販売した商品に安全性の問題等が発生した場合には、当社グループの企業イメージの悪化や対応費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの取扱商品について重大な事故等が発生し、商品改修費用等が発生する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、独自の品質基準を設け商品の品質向上に取り組むとともに、関連法規の遵守に努めております。
(3) 気候及び季節要因によるリスク
当社グループでは、季節的な商品動向に基づいて販売計画を立てておりますが、冷夏や暖冬、長雨等の天候不順が起きた場合には、商品売上の減少や過剰在庫等を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 自然災害等に関するリスク
万が一自然災害等が発生した場合、受注処理及び商品出荷業務、商品仕入業務、督促・債権回収業務等は、多大な影響が発生する可能性があります。その影響を最小限にすべく、情報システムの耐震対策やコールセンター及び物流センター等各種フルフィルメント拠点の分散化を行っております。しかしながら、大規模災害の発生による社会インフラの大規模な障害発生、疾病の流行、当社グループの設備等に被害が生じた場合には、業務の全部又は一部が不全となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 生産国の政治情勢及び経済状況等の変化によるリスク
当社グループでは、競争力のある商品の生産及びコスト削減のために、取扱商品の大半を海外、主に中国から調達しております。生産国において政治・経済情勢の変化、予期しない法律又は規制の変更、労働力の不足、テロ・戦争、ストライキ、デモ、自然災害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、海外事業を展開する国及び地域の政治、経済情勢等の情報収集に努め、リスクを低減または回避するよう努めております。
(6) 原材料市況等の変動によるリスク
カタログ等に使用する紙パルプ等の原材料市況が当社グループの想定以上に高騰した場合や、原油高騰等により運送業者への委託発送料が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、複数の購買先を確保するなど仕入価格の変動抑制に取り組んでおります。
(7) 海外での事業展開のリスク
当社グループは、海外各国でプロパティ事業を展開しております。海外事業を展開する国及び地域において、政治・経済情勢の変化、予期しない法律又は規制の変更、労働力の不足、テロ・戦争、ストライキ、デモ、自然災害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、海外事業を展開する国及び地域の政治、経済情勢等の情報収集に努め、リスクを低減又は回避するよう努めております。
(8) 為替リスク
当社グループの取扱商品の一部は海外から外貨建で輸入しております。為替相場の変動リスクを軽減するために為替予約等のヘッジを行っておりますが、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 個人情報漏洩に関するリスク
当社グループは、お客様の個人情報を取り扱っているため、個人情報保護法を遵守すると共に情報流出を防止するために内部並びに業務委託先の管理体制を強化しております。しかしながら、個人情報が流出した場合には、当社グループの企業イメージの悪化や対応費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、個人情報保護法に定められたとおり、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備するとともに、プライバシーマークの取得を行い、適切な情報の取り扱いを行っております。
(10) システムリスク
当社グループの業務は、殆ど全てにおいてコンピュータ処理が行われており、様々な対策を実施し、セキュリティの強化・IT基盤の強化を図っております。しかしながら、その時点で考え得る最新の対策を講じていても、外部からの不正アクセス・コンピュータウィルスの侵入によるシステムダウンや誤作動等により、損失を被る場合があります。また、コンピュータトラブルが発生し復旧に時間を要した場合には、対応費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、日頃よりシステムの安定稼働の維持に努めるとともに、重要なシステムについてはバックアップを確保する等の策を講じております。
(11) 不動産市況の動向
プロパティ事業については、景気動向、地価動向並びに金融環境等の経済情勢の影響を受けやすく、不動産市況の動向が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各物件の実績管理は月次で実施しており、業績が著しく低下した場合には、迅速に対応・改善ができる体制にしております。
(12) 有価証券の価格変動リスク
当社グループは、流動性のある有価証券を保有しております。市場価格の大幅な下落が生じた場合には、保有有価証券に減損又は評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 財務に関するリスク
当社グループでは、コミットメントライン契約等を締結しております。当該契約では各決算期末における連結貸借対照表における純資産合計を前決算期末における純資産合計の75%以上を確保することなどの財務制限条項が付されております。今後、これに抵触し当該契約による借入金の返済を求められ弁済ができない場合には、期限の利益を喪失し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の信用格付が引き下げられた場合には、資金調達費用の増加や、公募債及び私募債市場における資金調達能力が低下する恐れがあり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、銀行借入に加え直接調達を含め資金調達手段の多様化やグループ内資金の効率的運用等による財務体質の安定に努めております。
(14) M&Aに関するリスク
当社グループは、M&Aを通じてグループ事業の強化を図っております。対象企業については極力リスクを回避するよう努めておりますが、M&A後に未認識債務が判明したり、当初期待した効果が得られなかったりした場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 有形固定資産減損のリスク
当社グループは、プロパティ事業を中心に有形固定資産を有しております。周辺環境の変化等により十分な将来キャッシュ・フローが期待できない場合には、減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各事業の実績管理は月次で実施しており、業績が著しく低下した場合には、迅速に対応・改善できる体制にしております。
(16) お客様の嗜好の変化に伴うリスク
当社グループは、多くのお客様の嗜好に応えるべく、過去の実績や市場のトレンド等を分析し、商品やサービスを企画・開発・販売をしておりますが、お客様の嗜好の変化に対応できなかった場合には、売上の減少や過剰在庫等を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 感染症発生に伴うリスク
甚大な感染症が発生し、行動・渡航制限等が発動されホテルの宿泊客数や店舗の来店客数が著しく減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束により正常化が進み、国内の外出需要や円安を背景としたインバウンド需要の回復により消費活動が活発化する一方で、国外情勢悪化の長期化、資源価格の高止まりや円安進行による物価の上昇など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境下におきまして、当社グループは円安の影響や原材料・資材の価格高騰を受けアパレル・雑貨事業が苦戦する一方で、インバウンド需要の拡大が追い風になっている国内ホテル事業、他社との差別化をはかった商品展開を行っている化粧品健康食品事業やナース関連事業、通信販売のノウハウ、インフラをサービス提供するデータベース活用事業に注力いたしました。その結果、当連結会計年度の売上高は208,298百万円(前年同期比1.9%減)となり、営業利益は9,787百万円(同12.7%減)、経常利益は11,831百万円(同5.0%減)となりました。また、投資有価証券売却益が前年同期より増加した一方で、減損損失が発生したことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益は5,839百万円(同21.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
〔アパレル・雑貨事業〕
アパレル・雑貨通販事業においては、円安の影響や原材料・資材の高騰を受け仕入原価及びカタログ・チラシ等の紙媒体費用が上昇したため、収益性の確保を優先し商品価格の見直しや紙媒体の発行数量の抑制を行いました。商品の値上げにより受注単価は上昇したものの、それ以上に受注件数は鈍化する傾向となりました。また、紙媒体の発行数量を抑制したことにより新規顧客の獲得が減少し稼働顧客数も減少傾向となりました。この結果、売上高は74,251百万円(同15.9%減)となり、セグメント損失は2,992百万円(前年同期は930百万円のセグメント利益)となりました。
〔化粧品健康食品事業〕
化粧品事業においては、国内ECの新規顧客獲得が鮮度時期において好調であったこと、国内卸売販売が拡大したことにより増収増益となりました。健康食品事業においては、通信販売の定期顧客数が減少したことなどにより減収となりましたが、収益性を重視した広告展開を行ったため増益となりました。この結果、売上高は14,718百万円(同0.5%減)となり、セグメント利益は926百万円(同57.5%増)となりました。
〔グルメ事業〕
グルメ通販事業においては、新型コロナウイルス感染症の収束による外食・外飲みへの回帰影響などにより売上の伸長率が鈍化しました。また、円安の影響や原材料・資材の高騰を受け仕入原価が上昇し、一部商品の販売価格の見直しを行ったものの原価率は悪化しました。この結果、売上高は32,438百万円(同0.4%増)となり、セグメント利益は1,091百万円(同38.1%減)となりました。
〔ナース関連事業〕
看護師向け通販事業においては、各シーズンの紙媒体の発行部数の抑制や発行回数自体の見直しを行うなど収益性を重視しました。また、法人受注の獲得に注力したため受注件数も改善傾向となりました。この結果、売上高は12,975百万円(同7.8%減)となり、セグメント利益は481百万円(同102.7%増)となりました。
〔データベース活用事業〕
封入・同送サービス事業においては、新規クライアントの獲得や新たなサービス展開は順調であったものの、アパレル・雑貨事業における紙媒体の発行数の抑制や商品出荷件数の減少により減収減益となりました。フルフィルメント受託サービスにおいては、新規クライアントの獲得は順調であったものの、人件費等の上昇などにより増収減益となりました。ファイナンス事業においては、貸倒が増加傾向にあるものの、新規顧客の獲得が順調であったため増収増益となりました。この結果、売上高は16,725百万円(同6.2%増)となり、セグメント利益は5,150百万円(同9.7%減)となりました。
〔呉服関連事業〕
和装販売事業においては、不採算店舗の撤退、既存店舗の来客数の減少や購入単価の下落により減収となりました。一方でコスト削減を継続推進したことにより増益となりました。衣裳レンタル事業においては、卒業式袴の早期受注会の実施拡大、前撮りサービスといった新しい取組みにより増収増益となりました。この結果、売上高は23,248百万円(同2.6%減)となり、セグメント利益は1,357百万円(同9.0%増)となりました。
〔プロパティ事業〕
ホテル事業においては、新型コロナウイルス感染症の収束により国内旅行や出張・インバウンド需要が回復したことで、国内海外共に既存ホテルの稼働率や客室単価が上昇しました。また、国内の新規ホテルが通期で業績に寄与したことなどもあり増収増益となりました。この結果、売上高は30,851百万円(同54.4%増)となり、セグメント利益は4,143百万円(同203.2%増)となりました。
〔その他の事業〕
飲食店事業においては、新型コロナウイルス感染症の収束により外食需要が回復したことや新規出店を行ったことにより増収増益となりました。アパレル卸事業においてはクライアントの展開縮小などが継続しているため減収減益となりました。この結果、売上高は3,833百万円(同7.6%減)となり、セグメント損失は152百万円(前年同期は92百万円のセグメント損失)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末比7,297百万円増加し、129,961百万円となりました。これは主に、商品及び製品が2,300百万円減少した一方で、現金及び預金が3,731百万円、営業貸付金が2,371百万円、その他の流動資産が3,259百万円増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末比7,801百万円増加し、170,730百万円となりました。これは主に、建設仮勘定が17,421百万円減少した一方で、建物及び構築物が21,557百万円、機械装置及び運搬具が1,463百万円、リース資産が1,837百万円増加したことによるものであります。この結果、資産合計は、前連結会計年度末比15,099百万円増加し、300,691百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比5,380百万円減少し、59,206百万円となりました。これは主に、1年内償還予定の社債が4,995百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が2,788百万円、短期借入金が7,235百万円減少したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末比10,734百万円増加し、105,302百万円となりました。これは主に、社債が5,015百万円減少した一方で、長期借入金が13,101百万円、リース債務が2,114百万円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末比5,353百万円増加し、164,509百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比9,745百万円増加し、136,182百万円となりました。この結果、自己資本比率は45.0%となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比5,416百万円増の37,245百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、12,770百万円(前年同期は8,241百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益9,772百万円、減価償却費5,435百万円、固定資産減損損失3,433百万円、棚卸資産の減少2,471百万円、販売用不動産の減少1,016百万円などであります。主な減少要因は、営業貸付金の増加2,404百万円、仕入債務の減少2,243百万円、その他の流動負債の減少1,912百万円、法人税等の支払額3,832百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、14,403百万円(前年同期は29,924百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出15,653百万円、無形固定資産の取得による支出1,128百万円、投資有価証券の取得による支出1,359百万円などであります。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入3,761百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、5,971百万円(前年同期は23,527百万円の増加)となりました。主な増加要因は、長期借入による収入25,307百万円、セール・アンド・リースバックによる収入2,737百万円などであります。主な減少要因は、短期借入金の純増減額9,000百万円、長期借入金の返済による支出10,753百万円、配当金の支払額1,958百万円などであります。
当社グループは、主にカタログ等を媒体とする通信販売により一般顧客を対象に小売販売を行っており、製品の製造は行っておりません。従って生産実績の記載は行っておりません。また、通信販売の特質上受注から商品発送までのリードタイムは極めて短いものであり受注状況の記載を行っておりません。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売実績によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、アパレル・雑貨事業、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業、データベース活用事業、呉服関連事業、プロパティ事業、その他の事業の8セグメントにおいて、1つ1つのセグメントを太く強くし、シナジー効果を発揮するポートフォリオ経営の成熟に取り組んで参りました。その結果、売上高は208,298百万円(前年同期比1.9%減)となり、営業利益は9,787百万円(同12.7%減)となりました。なお、第五次経営計画の2年目である当連結会計年度の目標は、売上高219,000百万円、営業利益14,000百万円、ROE8%以上としておりました。2023年10月30日に業績予測を修正し、売上高208,500百万円、営業利益10,000百万円としておりました。売上高は修正後予算に届かず、修正目標比0.1%減となりました。営業利益についても修正後予算に届かず、修正目標比2.1%減となりました。経常利益は為替差益が前年同期より増加しことなどにより営業外損益は2,044百万円(同64.6%増)となったものの営業減益の影響で11,831百万円(同5.0%減)となりました。また、投資有価証券売却益が増加したものの減損損失が発生したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は5,839百万円(同21.3%減)となりました。
主力事業の取り組みは次のとおりであります。
〔アパレル・雑貨事業〕
アパレル・雑貨通販事業においては、円安の影響や原材料・資材の高騰を受け仕入原価及びカタログ・チラシ等の紙媒体費用が上昇したため、収益性の確保を優先し商品価格の見直しや紙媒体の発行数量の抑制を行いました。商品の値上げにより受注単価は上昇したものの、それ以上に受注件数は鈍化する傾向となりました。また、紙媒体の発行数量を抑制したことにより新規顧客の獲得が減少し稼働顧客数も減少傾向となりました。この結果、売上高は74,251百万円(同15.9%減)となり、セグメント損失は2,992百万円(前年同期は930百万円のセグメント利益)となりました。
〔化粧品健康食品事業〕
化粧品事業においては、国内ECの新規顧客獲得が鮮度時期において好調であったこと、国内卸売販売が拡大したことにより増収増益となりました。健康食品事業においては、通信販売の定期顧客数が減少したことなどにより減収となりましたが、収益性を重視した広告展開を行ったため増益となりました。この結果、売上高は14,718百万円(同0.5%減)となり、セグメント利益は926百万円(同57.5%増)となりました。
〔グルメ事業〕
グルメ通販事業においては、新型コロナウイルス感染症の収束による外食・外飲みへの回帰影響などにより売上の伸長率が鈍化しました。また、円安の影響や原材料・資材の高騰を受け仕入原価が上昇し、一部商品の販売価格の見直しを行ったものの原価率は悪化しました。この結果、売上高は32,438百万円(同0.4%増)となり、セグメント利益は1,091百万円(同38.1%減)となりました。
〔ナース関連事業〕
看護師向け通販事業においては、各シーズンの紙媒体の発行部数の抑制や発行回数自体の見直しを行うなど収益性を重視しました。また、法人受注の獲得に注力したため受注件数も改善傾向となりました。この結果、売上高は12,975百万円(同7.8%減)となり、セグメント利益は481百万円(同102.7%増)となりました。
〔データベース活用事業〕
封入・同送サービスにおいては、新規クライアントの獲得や新たなサービス展開は順調であったものの、アパレル・雑貨事業における紙媒体の発行数の抑制や商品出荷件数の減少により減収減益となりました。フルフィルメント受託サービスにおいては、新規クライアントの獲得は順調であったものの、人件費等の上昇などにより増収減益となりました。ファイナンス事業においては、貸倒れが増加傾向にあるものの、新規顧客の獲得が順調であったため増収増益となりました。この結果、売上高は16,725百万円(同6.2%増)となり、セグメント利益は5,150百万円(同9.7%減)となりました。
〔呉服関連事業〕
和装販売事業においては、不採算店舗の撤退、既存店舗の来客数の減少や購入単価の下落により減収となりました。一方でコスト削減を継続推進したことにより増益となりました。衣裳レンタル事業においては、卒業式袴の早期受注会の実施拡大、前撮りサービスといった新しい取組みにより増収増益となりました。この結果、売上高は23,248百万円(同2.6%減)となり、セグメント利益は1,357百万円(同9.0%増)となりました。
〔プロパティ事業〕
ホテル事業においては、新型コロナウイルス感染症の収束により国内旅行や出張・インバウンド需要が回復したことで、国内海外共に既存ホテルの稼働率や客室単価が上昇しました。また、国内の新規ホテルが通期で業績に寄与したことなどもあり増収増益となりました。この結果、売上高は30,851百万円(同54.4%増)となり、セグメント利益は4,143百万円(同203.2%増)となりました。
〔その他の事業〕
飲食店事業においては、新型コロナウイルス感染症の収束により外食需要が回復したことや新規出店を行ったことにより増収増益となりました。アパレル卸事業においてはクライアントの展開縮小などが継続しているため減収減益となりました。この結果、売上高は3,833百万円(同7.6%減)となり、セグメント損失は152百万円(前年同期は92百万円のセグメント損失)となりました。
財政状態の分析
当連結会計年度末における財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
財務政策
当社グループは、更なる成長を目指すために、設備や不動産開発・取得への投資を行っており、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追及するとともに、将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元とのバランスを保つことに努めております。
資金の調達源としては、営業キャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務・社債を含む有利子負債の残高は119,551百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は37,245百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。当社グループは連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の実績や状況に応じ、合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この差異は、当社グループの連結財務諸表及びセグメントごとの業績に影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。