第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「お客様の喜びが私たちの喜びです」を社是とし、「お客様に喜びと満足を提供し、社員自ら改善、改革、成長しながら社会に必要とされ、貢献し続ける競争力No.1の企業を目指す」というビジョンのもと、社会の持続可能な発展と中長期的な企業価値の向上を図る取組みを進めてまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、お客様に喜ばれる店舗づくりのため、市場環境・顧客ニーズに対応した取組みが必要であると認識しており、以下の取組み等を進めることで、安定した事業展開が行えるよう、グループ全体の収益の向上に努めてまいります。

①強い既存店づくり

 当社グループは、持続的な企業発展のためにも、既存店の収益力強化が重要であると認識し、以下の取組みを推進してまいります。

 

イ.来店頻度向上

 マスメディアやSNSを活用した継続露出による顧客接点の最大化、顧客層に応じた新商品やサービスの積極的投入などによる来店動機の最大化を図ってまいります。

 また、店舗においては、切付・サービス技術の向上を推進する切付マイスター・サービスマイスターの育成に注力することで、NPSⓇ(ネット・プロモーター・スコア)評点の継続的な向上に取組み、顧客体験価値の向上を図っていくことで、店舗でのQSC改善に努めてまいります。

 

ロ.新規顧客獲得

 当社の根幹をなす税込110円商品の拡充による価格競争力の強化、幅広い顧客層への訴求を行うとともに、税込110円商品以外の商品の付加価値・提供価値を高めることで、店舗での顧客体験価値の向上に努めてまいります。

 また、お子様などに人気のキャラクターとコラボすることなどにより新たな顧客層の来店動機の創出を図ってまいります。

 

②成長投資

 当社グループの主幹事業である「かっぱ寿司」では、ロードサイドを中心に出店してきましたが、国内の人口動態の変化に対応するため、三大都市圏の駅前立地や新規商圏への出店や不採算店舗の閉鎖・移転など、店舗配置の最適化を進めております。

 

③コストの最適化

 中長期的に原材料費、人件費等の高騰が見込まれておりますが、そのような中でも安定した収益力を維持できるよう、生産性を向上させる設備の積極的な導入や、切付技術の向上などによる食材歩留まりの改善、コロワイドグループのシナジー効果を活かし、コロワイドグループの業態間連携によるメニュー開発により、原材料価格を低減すると共に食品ロスを低減するSDGs活動への取組みを進め、コストコントロールを行ってまいります。

 

④ESGの取組み

 当社では長期にわたる持続的な成長を目指し、ESG(環境、社会、ガバナンス)への取組みに注力しております。具体的には「環境」への取組みの一例として、店舗では、配送頻度の見直しや配送時のドライアイス使用の中止、空調省エネ装置の導入など、環境負荷の低減を推進しております。「社会」への取組みの一例として、地域貢献活動の一環として小学校の「出張授業」の開催や、「障害者の社会への完全参加と平等」の理念に基づき店舗の軽作業での障害者雇用の促進を図っております。さらにダイバーシティ推進の観点からは女性管理職の積極的な登用や女性活躍プロジェクトによる定期的なセミナー開催、外国人雇用の促進などを行っております。「ガバナンス」への取組みの一例として、取締役会の機能強化の観点から社外取締役の1/2以上の選任、指名報酬諮問委員会・特別委員会の設置などを行っております。

 

⑤コンプライアンスの強化

 当社は、元役員及び使用人による競合他社の営業秘密に係る不正競争防止法違反の疑いに関して、2022年10月21日に元役員及び使用人と共に両罰規定に基づき起訴されており、元役員については、2023年5月31日に有罪判決が言い渡され、同判決が確定しております。当社及び使用人に対しては、2024年2月26日に東京地方裁判所より有罪判決が言い渡され、当社及び使用人は、これを不服とし東京高等裁判所に控訴しておりましたが、2024年10月9日に控訴が棄却され、判決が確定しました。

 また、当社を被告として、株式会社はま寿司から、2023年12月27日付けで、東京地方裁判所に、5億11百万円の損害賠償の支払いを求める等の訴訟が提起されております。今後の推移によって当社の将来の連結業績に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点でその影響額を合理的に見積ることが困難であるため、連結財務諸表には反映をしておりません。

 なお、当社は、従前より食品衛生・メニュー表示、ハラスメント、インサイダー情報管理、個人情報保護、ソーシャルメディアリスク等のコンプライアンスに注力しておりましたが、2022年10月21日の起訴を受け、営業秘密管理を含むコンプライアンス教育を継続不断の取組みとし、コンプライアンスに関する取組みをより一層強化し徹底しております。

 

 以上のような取組みにより、持続的成長を推進できる企業体質に進化することを当社経営の重要課題に位置付けております。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、基幹事業である回転寿司事業を安定的な成長軌道に戻し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、ROE8%以上、ROIC6%以上、Net Debt(純有利子負債)/EBITDA倍率3倍以内を経営指標としております。

(4)経営環境

 当連結会計年度における我が国経済は、各企業の賃金増や各種政策の効果による消費動向の上向きや、インバウンド消費の増加により、回復基調で推移しました。しかしながら、世界的な政情不安や不安定な為替変動、地政学上のリスクなどにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 外食産業におきましては、消費動向の上向きやインバウンド消費の拡大に伴い景気は回復基調にあるものの、原材料・エネルギー価格の高騰や慢性的な人手不足によるコストアップが継続し、厳しい経営環境が続いております。また、物価高騰による消費者の節約志向やライフスタイルの変化により、多様な価値観が生まれてきております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 物価上昇を反映した価格の引き上げや店舗改装による付加価値向上により、当社グループの売上高は回復が進みましたが、賃金増を上回る物価の高騰を背景に、外食の際により厳しく商品やサービスを選定するシビアな消費者が増加し、厳しい経営環境が継続しております。

 世界的な政情不安や不安定な為替変動、地政学上のリスクなどの影響による原材料価格やエネルギー価格の高騰が懸念されるなど、引き続き先行き不透明な状況が続くことが予想されます。

 当社におきましては、人的資本投資に注力し、NPSⓇ(ネット・プロモーター・スコア)評点、従業員エンゲージメント評点の継続的な向上に取組むと共に、健康経営や階層別研修により各個人の能力を最大限引き出し、店舗運営力の向上を図ってまいります。また、商品の磨き込みを実施し、価格訴求及び価値訴求を進化させ、顧客支持の拡大を進めてまいります。

 同時にマスメディアへの露出や、アプリ会員に向けたキャンペーン、お子様に人気のキャラクタータイアップを拡大し、出店を加速させることで来店促進を図ってまいります。

 また、生産性を向上させる設備の積極的な導入や、切付技術の向上などによる食材歩留まりの改善、コロワイドグループのシナジー効果を活かし、コロワイドグループの業態間連携によるメニュー開発により、原材料価格を低減すると共に食品ロスを低減するSDGs活動への取組みを進め、コストコントロールを行ってまいります。

 海外においては、韓国事業の収益モデル改革による再出店や、インドネシア事業の商業施設を中心とした積極的な出店を図ってまいります。

 また、当社では長期にわたる持続的な成長を目指し、ESG(環境、社会、ガバナンス)への取組みに注力しております。具体的には「環境」への取組みの一例として、店舗では、配送頻度の見直しや配送時のドライアイス使用の中止、空調省エネ装置の導入など、環境負荷の低減を推進しております。「社会」への取組みの一例として、地域貢献活動の一環として小学校の「出張授業」の開催や、「障害者の社会への完全参加と平等」の理念に基づき店舗の軽作業での障害者雇用の促進を図っております。さらにダイバーシティ推進の観点からは女性管理職の積極的な登用や女性活躍プロジェクトによる定期的なセミナー開催、外国人雇用の促進などを行っております。「ガバナンス」への取組みの一例として、取締役会の機能強化の観点から社外取締役の1/2以上の選任、指名報酬諮問委員会・特別委員会の設置などを行っております。

 以上のような取組みにより、持続的成長を推進できる企業体質に進化することを当社経営の重要課題に位置付けております。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティの基本方針と取組み

 当社グループは、社是である「お客様の喜びが私たちの喜びです」の考えのもと、食のインフラの担い手として、社会の持続可能な発展への貢献と企業価値の向上を目指すことを基本方針として、重点的に取組んでいく5つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、マテリアリティのマネジメントサイクルを通じて「持続可能な社会への貢献」と「企業価値の向上」を両立しながら、今後も持続的成長に向けた取組みを推進してまいります。

 なお、特定したマテリアリティについては、社会環境や戦略の変化により、見直しも適宜実施します。

 

〔基本方針〕

 私たちは、社是である「お客様の喜びが私たちの喜びです」の考えのもと、食のインフラの担い手として、社会の持続可能な発展への貢献と企業価値の向上を目指します。

 

〔5つのマテリアリティ〕

①地球環境への貢献

「地球環境への貢献」は、次代への責務。気候変動の緩和、循環型社会の形成に向けて、再生可能エネルギーの安定的利用や資源の有効活用に取組んでいく。

 

②食の安全・安心の提供

「食の安全・安心の提供」は、外食企業として持続可能な成長の基盤。バリューチェーン全般における衛生管理と品質の追求、情報公開などを通じてお客様の信頼に応えていく。

 

③働く仲間の成長と多様性の尊重

「働く仲間の成長と多様性の尊重」は、サービス業として欠かせない競争力の源泉。従業員が働きやすく、それぞれの成長を目指せる職場環境を提供していく。

 

④地域・社会への貢献

「地域・社会への貢献」は、持続的かつ安定的な事業運営に欠かせないもの。雇用創出・人財育成を通じた地域経済振興、食育や寄付を通じた地域交流促進に努めていく。

 

⑤経営基盤の強化

「経営基盤の強化」は持続的な成長の根幹。経営の透明性を確保しつつ、戦略の立案・実行及び監査を継続不断の取組みとして充実させる。

 

(2)ガバナンス

 当社グループでは、経営戦略本部(経営企画部)がサステナビリティ経営推進を担い、当社各部門及びグループ会社のサステナビリティ推進室と連携し、各種取組みを推進しております。

 サステナビリティに関する重要な方針や施策については、取締役会で審議を行い、重要事項の決定を行っております。

0102010_001.png

(3)リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティに関するリスクについて、経営戦略本部(経営企画部)が識別・評価し、定期的に取締役会に報告しております。

 経営戦略本部(経営企画部)は、識別・評価したリスクの最小化に向け、当社各部門及びグループ会社のサステナビリティ推進室と連携し、各種取組みを推進しております。

 

(4)戦略

 当社グループが特定した5つのマテリアリティのうち、特に重要であると考えているのは、気候変動への対応を含む「地球環境への貢献」です。

 気候変動は、当社グループの事業活動に対して様々な「リスク」と「機会」を及ぼすものであり、これらに対応していくことが重要であると考え、事業活動に与える気候変動のリスク(物理的リスク及び移行リスク)と機会を抽出しております。

 当社グループにおいて、「持続可能な社会への貢献」と「企業価値の向上」を両立していくために、グループ一丸となって気候変動に関する課題に取組んでまいります。

 

 〔気候変動のリスクと機会〕

リスク・機会の分類

想定されるリスク・

機会の概要

事業

及び

財務

への

影響

リスク

移行

リスク

政策と

・CO2排出量の規制強化による運営コストの増加

・規制強化に伴う事業運用コストの増加

・規制強化に伴う店舗等の投資コストの増加

・プラスチック資源循環促進法、資源有効利用促進法への対応

大きい

評判

・環境課題への対応遅れに伴うステークホルダーからの信用失墜

・ブランド価値の毀損

非常に

大きい

市場と

技術

・食材調達コストの増加

・再生可能エネルギーへの転換に伴う調達コストの増加

・プラスチックの容器や包材の再生可能資源に置換わることによるコスト増加

・生活者の嗜好の変化による需要の変化

大きい

物理的

リスク

・大規模自然災害の発生に伴う店舗閉鎖による営業機会損失

・サプライチェーン断絶による調達コストの増加

・店舗や工場における電力使用量の増加

・海洋水産資源の減少による魚価コストの増加

・気候変動や需給バランスの崩れによる米価格の増加

非常に

大きい

機会

エネルギー

/技術

・省エネ推進に伴う電力使用コストの削減

・物流の効率化による輸送コストの減少

・次世代食材の調達

大きい

市場

・サステナビリティ推進によるステークホルダーからの共感獲得及び新市場への参入

・環境配慮型商品・サービスの開発による売上及び利益の増加

・気候変動による嗜好の変化に合わせた商品・サービスの開発

・災害時の対応における信頼のアップ

非常に

大きい

 

 

 また、当社グループは、「働く仲間の成長と多様性の尊重」を5つのマテリアリティのうちのひとつとして特定しております。

 「働く仲間の成長と多様性の尊重」は、企業の競争力の源泉ともなるものです。従業員があらゆるライフステージにおいて安心して勤務し、年齢・性別・人種・国籍・民族・障がいの有無などの区別なくライフワークバランスのある働き方ができ、それぞれの成長を目指せる職場環境を提供してまいります。

 

〔人財育成方針〕

 当社グループは、一人一人が働きがいを感じ成長することが、グループ全体の発展に繋がることになり、「持続可能な社会への貢献」と「企業価値の向上」の両立を実現することができるため、全ての従業員が自律的に成長できる機会を提供し、自己成長していく人財を育成してまいります。

 

〔社内環境整備方針〕

 当社グループは、多様な人財がそれぞれの能力・スキル、ライフステージに合わせて働き方を選択できる制度など、多様な就業形態や活躍機会を提供することで、働きやすく、働きがいのある職場環境を整備してまいります。

 

〔人財育成と社内環境整備に関する主な取組み〕

①階層別研修(次世代経営幹部研修、次世代部長研修、次世代マネージャー研修、女性リーダー研修等による自己成長の促進)

②eラーニング研修(自己成長の促進)

③JOB型人事制度(能力・スキルに応じた適材適所配置)

④フレキシブル社員制度(ライフステージ(出産・育児・介護・シニア等)に合わせた多様な働き方(地域限定・時間固定・曜日固定等)の選択)

⑤キャリアチャレンジ制度(グループ横断公募による能力・スキルに応じた働き方の選択)

⑥女性活躍推進(女性活躍推進プロジェクトによる女性活躍推進の促進等)

⑦外国人採用の促進

⑧障がい者雇用の促進

⑨年間所定休日数の増加

⑩奨学金返還支援制度

⑪定期的なエンゲージメントサーベイの実施

⑫DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進委員会の発足

 

(5)指標及び目標

 当社グループは、気候変動のリスク・機会を管理するための指標として、CO2排出量の削減目標を設定しました。

 

〔CO2排出量に関する目標及び実績〕

目標:2030年度までに、2020年度対比で原単位50%削減

2020年度実績:CO2排出量40,997 t-CO2(スコープ1・2)、原単位0.79(売上高百万円当たり)

実績:2024年度 CO2排出量36,909 t-CO2(スコープ1・2)、原単位0.63(売上高百万円当たり)

   2020年対比で原単位20%削減

 

 また、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、女性社員比率、女性管理職比率及び外国人管理職比率の指標を設定しました。

 

〔女性社員比率に関する目標及び実績〕

目標:2026年度までに14.0%以上

実績:2024年度 14.8%(提出会社比率)

 

〔女性管理職比率に関する目標及び実績〕

目標:2026年度までに9.0%以上

実績:2024年度 5.4%(提出会社比率)

 

〔外国人管理職比率に関する目標及び実績〕

目標:2026年度までに3.0%以上

実績:2024年度 1.1% (提出会社比率)

 

 

(6)健康経営(※)

 当社は、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人認定制度」において、2025年3月10日に、昨年に続き2年連続で「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。

「健康経営優良法人認定制度」とは、地域の健康課題に即した取組みや日本健康会議が進める健康増進の取組みをもとに、特に優良な健康経営を実施している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

 当社は、「お客様の喜びが私たちの喜びです」を社是に掲げ、従業員全員が社是を具現化することを重要視しています。その基盤となるものは、従業員とその家族の健康です。当社は、メンタル疾患を含む体調不良の予防に取組みながら、全従業員が長期にわたって活躍できる環境づくりを推進していきます。

 今後も、健康経営の実施目的を「社是の実現」とし、その体現者である従業員が能力を最大限発揮できるように「メンタル」「フィジカル」の健康と「従業員エンゲージメント」向上を図ってまいります。

 

(※)「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

〔健康経営に関する主な取組み〕

1.健康診断に関する取組み

従業員の疾病予防のための健康診断受診、その結果に基づくフォローアップの徹底、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)健康管理サービス・オンライン診療の導入

 

2.メンタルヘルスに関する取組み

サポート体制の充実(ストレスチェック、セルフケア・ラインケア研修等)

 

3.ライフワークバランスに関する取組み

労働時間適正化、休暇取得促進、育児・介護支援等

 

4.心と体の健康増進の取組み

職場の活性化・健康施策の実施(健康づくりサポート講座の動画配信、スポーツクラブの法人利用、健康支援サービスの導入等)

 

5.従業員エンゲージメント向上に関する取組み

組織診断サーベイ等の実施、従業員エンゲージメント向上施策の実施

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業展開について

 当社は日本国内・韓国で回転寿司事業(直営による回転寿司のチェーン展開)を行っており、店舗は概ね120席以上の大型店を郊外に展開しております。競合他社との競争の激化、消費者ニーズの変化、米・魚等の材料価格の上昇等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)減損会計の適用について

 当社グループでは、回転寿司事業を中心に店舗設備等を保有しており、店舗損益の悪化等により営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなる場合には、固定資産の減損に係る会計基準の適用により減損損失が計上され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3)有利子負債依存度について

 当社グループは、設備資金・敷金及び保証金等を主として借入金・社債によって調達しております。負債及び純資産合計に占める有利子負債依存度は、2024年3月期に37.0%、2025年3月期に33.8%となっております。変動金利による借入金・社債は金利変動リスクに晒されており、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(単位:百万円)

期別

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

科目等

 

 

 

 

 

有利子負債合計

12,004

11,766

11,087

11,164

10,505

 

短期借入金

4,000

 

1年以内返済予定の長期借入金

180

980

1,380

1,980

2,490

 

1年以内償還予定の社債

1,720

1,015

580

490

100

 

未払金(割賦)

1,155

1,024

1,345

1,370

1,243

 

リース債務

192

81

15

8

 

社債

2,185

1,170

590

100

 

長期借入金

730

5,550

4,170

4,890

4,650

 

長期未払金(割賦)

1,840

1,944

3,007

2,334

2,014

負債及び純資産合計

32,007

31,648

28,938

30,191

31,072

有利子負債依存度

37.5%

37.2%

38.3%

37.0%

33.8

 

(4)敷金及び保証金について

 当社グループは、出店等に際して賃借物件(土地・建物)により店舗開発を行うことを基本方針としております。2025年3月末現在、298店舗中294店舗が賃借物件であり、敷金及び保証金の連結総資産に占める割合は、11.6%となっております。従いまして、賃借先の経営状況によっては、当該店舗にかかる保証金の一部又は全部の回収不能や店舗営業の継続に支障等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)商品の品質管理及び衛生管理について

 当社グループの各社において商品の鮮度管理を徹底し、厳正な品質管理及び衛生管理を実施し、食中毒を起こさぬよう注力しておりますが、衛生問題及び社会全般の一般的な衛生問題が発生した場合には信用低下等を招き、店舗売上高減少などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、工場等にて衛生問題以外の問題の発生により、工場が一時的な操業停止又は工場稼働率が低下した場合においても、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)災害・事故等について

 地震等の自然災害や火災・事故などにより、店舗の営業及び工場の操業に支障が生じたり従業員が被害を受ける可能性があります。これに伴う売上高の減少、営業拠点の修復又は代替のための費用発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)システム障害について

 当社グループは、積極的にDX化、IT化を推進しております。商品の注文及び提供、食材の発注、勤怠管理、売上管理等の店舗管理システムの運営管理は万全の体制を整えておりますが、停電や機器の欠陥、ハッカーやコンピュータウィルスによる等の不測の事態によりシステム障害が発生した場合には機密データの漏洩や店舗運営に支障をきたすことになり、法的請求や賠償責任等を含め当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)調達コストについて

 仕入価格の変動が経営成績に与える影響を抑制するための施策を実施しておりますが、世界的な政情不安や為替変動、地政学リスクなどの影響による原材料・エネルギー価格の高騰は継続しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)為替相場の変動について

 当社グループの中には海外子会社がありますので、為替相場の変動により外貨建で取引されている製品・サービス等の売価や費用が影響を受け、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、海外子会社の現地通貨建の資産・負債は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、当社グループの業績及び財政状態は為替相場の変動による影響を受けます。

 

(10)海外展開について

 当社グループは、海外出店に際して事前に入念な調査を行っておりますが、当該国における法規制、宗教、慣習等の違いや、政策変更、経済情勢や為替相場の変動、テロ、戦争の発生等によるカントリーリスクが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外での店舗展開が計画通りの成果を挙げられない場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)訴訟等について

 当社を被告として、株式会社はま寿司から、2023年12月27日付けで、東京地方裁判所に、5億11百万円の損害賠償の支払いを求める等の訴訟が提起されております。今後の推移によって当社の将来の連結業績に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点でその影響額を合理的に見積ることが困難であるため、連結財務諸表には反映をしておりません。

 なお、当社は、従前より食品衛生・メニュー表示、ハラスメント、インサイダー情報管理、個人情報保護、ソーシャルメディアリスク等のコンプライアンスに注力しておりましたが、2022年10月21日の起訴を受け、営業秘密管理を含むコンプライアンス教育を継続不断の取組みとし、コンプライアンスに関する取組みをより一層強化し徹底しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、各企業の賃金増や各種政策の効果による消費動向の上向きや、インバウンド消費の増加により、回復基調で推移しました。しかしながら、世界的な政情不安や不安定な為替変動、地政学上のリスクなどにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 外食産業におきましては、消費動向の上向きやインバウンド消費の拡大に伴い景気は回復基調にあるものの、原材料・エネルギー価格の高騰や慢性的な人手不足によるコストアップが継続し、厳しい経営環境が続いております。また、物価高騰による消費者の節約志向やライフスタイルの変化により、多様な価値観が生まれてきております。

 

 このような状況の中、当社は「お客様の喜びが私たちの喜びです」という社是のもと、経営戦略の柱として強い既存店づくり、成長投資、サステナビリティに取組み、顧客支持を高めるブランド育成を推進してまいりました。また、米などを中心とした原材料価格高騰に対しては、顧客動向に応じたグランドメニューの改廃及びプライシングを実施し、売上総利益率は前期比0.3%の増加となりました。

 

 コストアップの継続に対しては、生産性を向上させる設備の積極的な導入や、切付技術の向上などによる食材歩留まりの改善、コロワイドグループのシナジー効果を活かし、コロワイドグループの業態間連携によるメニュー開発により、原材料価格を低減すると共に食品ロスを低減するSDGs活動への取組みを進め、コストコントロールを行ってまいりました。

 

 原材料・エネルギー等の価格高騰による業績への影響を踏まえ、当社グループが保有する店舗等に係る固定資産の一部について「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき回収可能性を検討した結果、当第4四半期連結会計期間に国内38店舗・海外2店舗及び3工場に対し減損処理を行い、減損損失2億73百万円を計上することといたしました。

 

 このようなことから、当連結会計年度の売上高は732億8百万円(前期比1.4%増)、営業利益は14億33百万円(前期比15.3%減)、経常利益は14億67百万円(前期比16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億32百万円(前期比26.0%減)となりました。

 

 次に事業の種類別セグメントの概況をご報告申し上げます。

 

〈回転寿司事業〉

・当社の経営戦略

 当社は、物価高騰の継続や価値観の多様化が進む厳しい経営環境の中、社是の実現を目的とし、収益の拡大と社会の持続可能な発展、企業価値の向上を図るため、①強い既存店づくり、②成長投資、③サステナビリティの3つを経営戦略の柱としております。

 

① 強い既存店づくり

 当社は、持続的な企業価値向上のためにも、既存店の収益力強化が重要であると認識し、以下の取組みを推進しております。

 

1)来店頻度向上

 季節ごとのイベントに合わせた商品の販売や抽選でお食事券をプレゼントするキャンペーン、普段使いと異なる贅沢感溢れる高付加価値商品の拡充によるハレの日需要の創出、一部店舗限定で取扱っている税込690円からご提供するランチセットのブラッシュアップなどを通じて、多様な消費者ニーズへの対応を進めております。また、これらの情報については、アプリや一部店舗ではLINEを活用した訴求を行い、アプリにおいては「生ビール」半額クーポンや「みなみ鮪中とろ」ほぼ半額クーポンなどを配信し、多様な来店動機を創出しております。

 店舗においては、切付・サービス技術の向上を推進する切付マイスター・サービスマイスターの育成に注力することで、NPSⓇ(ネット・プロモーター・スコア)評点の継続的な向上に取組み、顧客体験価値の向上を図っております。

 

2)新規顧客獲得

 「うに」や「いくら」、「のどぐろ」などの高級ネタを税込110円で販売するフェアや、鶏卵の価格が高騰する中で「玉子(ネタ)」を2倍盛りにするキャンペーン、物価高騰下における子育て世代への応援としておこさまメニューを39(サンキュー)%OFFで販売するキャンペーンなどを通じて、価格訴求に取組んでまいりました。また、米の価格高騰や在庫不足の中、食べ放題(かっぱ寿司の食べホー)を最大200店舗で実施し、米を思う存分食べる喜びや皿を高く積み上げる楽しさを堪能する価値訴求を行ってまいりました。このような当社の挑戦ACTIONについては、タレントを起用したテレビCMやSNSを通じて発信してまいりました。

 その他にも「本格ラーメンシリーズ」として、テレビ番組でも取り上げられたことで話題の味噌らーめん専門店 狼スープ監修の「札幌味噌らーめん」、日本橋榮太樓監修の「抹茶スイーツ」、Z世代を中心とした若者の間で人気のアサイーを使用した新感覚「アサイースイーツ」などの販売や「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」などの人気コンテンツとのコラボ・キャンペーンを実施し、多様な価値観を持つ顧客層の取り込みを図っております。

 また、当連結会計年度において、63店舗にリードサインを新たに設置し、店舗の認知を拡大させることによる売上高増加効果を確認しております。

 

3)設備投資

 当連結会計年度において22店舗の改装を実施しました。改装店舗においては、注文専用高速レーンや自動案内システム、セルフレジ、ご自身のスマートフォンがタッチパネル替わりになるスマホオーダー、テイクアウト専用ロッカーを導入し、顧客の利便性向上と店舗の省力化に繋がるサービスを強化しております。

 

② 成長投資

 当社は、顧客の需要に合致する店舗ポートフォリオの見直しと、顧客満足度と生産性の向上に繋がる設備投資に取組み、事業成長を図っております。

 

1)新規出店

 当社では、従来はロードサイドを中心に出店してまいりましたが、国内の人口動態の変化に対応するため、三大都市圏の駅前立地への出店や不採算店舗の閉鎖・移転など、店舗配置の最適化を進めております。当第4四半期連結会計期間において、近年人口増加傾向にある千葉県成田市へ出店し、当連結会計年度において8店舗の出店、賃貸契約終了により6店舗の閉店を行った結果、当連結会計年度末の店舗数は295店舗となりました。

 

2)DX・AI活用

 当連結会計年度において、新たに自動案内システムを7店舗(合計282店舗)、セルフレジを5店舗(合計239店舗)に導入し、顧客の利便性及び店舗の生産性向上を図っております。また、自動案内システムの多言語対応や、より効率的な案内ロジックの開発などを進め、顧客満足度の向上を図っております。

 

③ サステナビリティ

 当社は、社是である「お客様の喜びが私たちの喜びです」の考えのもと、食のインフラの担い手として、社会の持続可能な発展への貢献と企業価値の向上を目指すことを基本方針としております。

 

1)地球環境・地域・社会への貢献

 「サステナメニュー」として、閉鎖循環式陸上養殖「とっとり琴浦グランサーモン」や陸上養殖の静岡県産「幸えび」、アグロフォレストリー栽培(森をつくる農業)を実施する協力企業の最高濃度アサイーを使用した「アサイースイーツ」の販売を行ってまいりました。また、復興水産加工業販路回復促進センターが運営する「東北の海うまいものが集うサイト“UMIUMA”」とコラボレーションしたフェアを開催し、東日本大震災で被災した三陸・常磐地域の水産加工業の復興支援に取組みました。

 

2)人的資本投資

 従業員エンゲージメントサーベイの実施及び評点の継続的な向上を図るアクションプランの実行を推進し、従業員のモチベーション向上による生産性の向上を図っております。また、DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進委員会を発足し、DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進のロードマップの策定と実行を進めるとともに、ライフステージに合わせた働き方を選択できるフレキシブル社員については、当社WEBページで情報を公開し、優秀な人財の確保と長期に渡って活躍できる環境づくりを進めております。

 また、昨年に続き2年連続で「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定され、引き続き全従業員が能力を最大限発揮できるように「メンタル」「フィジカル」の健康と「従業員エンゲージメント」向上を図ってまいります。

 

 以上の結果、回転寿司事業の売上高は595億62百万円(前期比2.1%増)となりました。

 

〈デリカ事業〉

 デリカ事業においては、営業部門による既存取引先のエリア拡大及びカテゴリー拡大を推進してまいりました。また、新規取引先の獲得にも注力してまいりましたが、売上高は前連結会計年度を下回る結果となりました。生産部門においては、従業員教育に注力し、生産性及び業務効率が向上したことにより、製品の品質向上とコスト削減を実現いたしました。

 原材料価格高騰による厳しい経営環境が続いていることもあり、今後は、コスト管理の徹底と新たな取引先の開拓、従業員のスキルアップ支援を通じて、収益性の改善及び競争力の向上を図り、持続可能な成長を目指してまいります。

 

 以上の結果、デリカ事業の売上高は136億46百万円(前期比1.6%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより38億33百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローにより19億35百万円減少、財務活動によるキャッシュ・フローにより19億10百万円減少した結果、前連結会計年度末より3百万円増加し、79億40百万円(前連結会計年度末は79億37百万円)となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は38億33百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11億61百万円、減価償却費22億71百万円、減損損失2億73百万円、仕入債務の増加4億28百万円、利息の支払額2億31百万円、法人税等の支払額1億72百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は19億35百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出16億61百万円、敷金及び保証金の差入による支出1億5百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は19億10百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入25億円、長期借入金の返済による支出22億30百万円、社債の償還による支出4億90百万円、割賦債務の返済による支出14億41百万円、配当金の支払による支出2億45百万円等によるものであります。

 

③生産、仕入及び販売の実績

(イ)生産実績

当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

デリカ事業

11,932

98.9

合計

11,932

98.9

(注)金額は製造原価によっております。

 

(ロ)仕入実績

 回転寿司事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載いたします。当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

回転寿司事業

24,571

102.4

合計

24,571

102.4

(注)上記仕入実績は、セグメント間の取引高を消去した金額となっております。

 

(ハ)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

回転寿司事業

59,562

102.1

デリカ事業

13,646

98.4

合計

73,208

101.4

(注)1.上記販売実績は、セグメント間の取引高を消去した金額となっております。

2.金額は販売価格によっております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等

1)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は310億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億80百万円増加いたしました。これは主に、建物及び構築物が11億29百万円増加、機械及び運搬具が6億74百万円増加、リース資産が8億70百万円減少したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における総負債は201億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ99百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が4億55百万円増加、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が2億70百万円増加、社債及び1年内償還予定の社債が4億90百万円減少、未払金及び長期未払金が2億1百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は108億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億81百万円増加いたしました。これは主に、配当金の支払2億46百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益10億32百万円により利益剰余金が増加したことによるものであります。

2)経営成績

 (売上高)

 当連結会計年度の売上高は732億8百万円(前期比1.4%増)となり、前連結会計年度に比べ10億11百万円増加いたしました。セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上総利益は382億56百万円(前期比1.9%増)となり、前連結会計年度に比べ7億24百万円増加いたしました。また、売上総利益率は、食材価格の高騰の影響を受けたものの、食材歩留まりを意識したメニュー開発の実施などにより、前連結会計年度に比べ0.3%増加し、52.3%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は368億22百万円(前年比2.8%増)となり、前連結会計年度に比べ9億84万円増加いたしました。これは主に、コストアップの継続に対しては、生産性を向上させる設備の積極的な導入や、切付技術の向上などによる食材歩留まりの改善を進めることで対応してまいりました。また、コロワイドグループのシナジー効果を活かし、コロワイドグループの業態間連携によるメニュー開発により、原材料価格と食品ロスを低減してまいりました。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は14億33百万円となり、前連結会計年度に比べ2億59万円減少いたしました。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ22百万円減少し、4億23百万円(前期比5.0%減)となりました。当連結会計年度における営業外費用は、前連結会計年度に比べ2百万円減少し3億90百万円(前期比0.6%減)となりました。以上の結果、当連結会計年度の経常利益は14億67百万円(前期比16.0%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ21百万円減少し、11百万円(前期比65.6%減)となりました。当連結会計年度における特別損失は、前連結会計年度に比べ1億17百万円増加し、3億17百万円(前期比58.4%増)となりました。これは主に、減損損失が1億54百万円増加したことによるものであります。以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3億63百万円減少し、10億32百万円となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、基幹事業である回転寿司事業を安定的な成長軌道に戻し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、中長期的に連結営業利益率5%以上を目指してまいります。

 当連結会計年度における連結営業利益率は、2.0%となりました。引き続き指標について、改善されるように取組んでまいります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要は主に、材料費、外注費、人件費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。

 これらの資金需要につきましては、営業キャッシュ・フロー及び自己資金の他、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は79億40百万円となっております。また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は105億5百万円となっております。

 また、重要な設備投資の予定及び資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

1)繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。

 将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合には、回収可能見込額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行った結果、繰延税金資産が減額され税金費用が計上されるため、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

2)固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、営業店舗及び工場を基本単位とした資産のグルーピングを行っております。営業活動から生ずる損益が継続してマイナスになっている資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 なお、当該資産の回収可能価額は使用価値により算定しております。使用価値は将来キャッシュ・フローを8.04%~9.30%で割り引いて算定しております。

 減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

  特記すべき事項はありません。