第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における我が国経済は、一部に改善の遅れもみられますが、雇用・所得環境の改善等により緩やかな回復基調が続いており、個人消費は持ち直しの動きがみられます。

世界経済では、欧米は個人消費を中心に需要が堅調に推移しており、アジアにおいては、域内最大の規模を持つ中国経済で成長率の鈍化傾向がみられるものの、引き続き底堅い成長を維持しております。

このような状況の中、当社グループ(当社、連結子会社)は、「『感じ良いくらし』を実現する企業」として、『ムダをなくす取組み(廃棄物削減)』『天然資源の保全』『安心・安全への配慮』『絆を大切にする活動』『温暖化への配慮』といったテーマを軸に、より良い商品の開発、店舗数の拡大に努めてまいりました。

 

    当連結会計年度における当社グループの業績については、下記のとおりであります。

 

営業収益             3,332億81百万円(前年同期比 8.4%増)

売上高              3,325億81百万円(前年同期比 8.3%増)

営業利益              382億78百万円(前年同期比 11.1%増)

経常利益              385億82百万円(前年同期比 18.0%増)

親会社株主に帰属する当期純利益   258億31百万円(前年同期比 18.9%増)

 

(当連結会計年度におけるセグメント別の概況)

当連結会計年度における当社グループのセグメント別業績は、次のとおりであります。

 

① 国内事業

 国内事業の当連結会計年度の営業収益は2,157億16百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は219億53百万円(前年同期比28.7%増)となりました。

 国内事業のうち、直営店の売上高は前期に比べ8.2%増加したことに加え、ネットストアの売上高が前期に比べ11.6%の増加となり、高い伸びを示しました。

 代表的な商品として、衣服・雑貨ではオーガニックコットン素材のシャツやデニムシリーズ、春商材では「トレンチコート」を中心としたスプリングコートが好調に推移いたしました。

 生活雑貨では「体にフィットするソファ」「超音波うるおいアロマディフューザー」、スキンケアシリーズ、「シリコーン調理スプーン」をはじめとするキッチン用品の売上が伸長いたしました。

また、食品ではカレー関連商品や「不揃い宇治抹茶チョコがけいちご」など宇治抹茶シリーズの売上が好調でした。

 

 

② 東アジア事業

 東アジア事業の当連結会計年度の営業収益は897億4百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益は164億54百万円(前年同期比4.7%減)となりました。

中国では引き続き、積極的な出店を行い、当連結会計年度末においては店舗数が200店舗になりました。前期に上海にオープンした旗艦店も順調に推移しており、売上の伸長に貢献しております。

なお、台湾や韓国、香港の各地域においても積極的に新規出店を行い、売上高、利益ともに大きく伸長いたしましたが、セグメント利益は為替の影響により減益となりました。

 

 

③ 欧米事業

欧米事業の当連結会計年度の営業収益は176億3百万円(前年同期比2.8%増)、セグメント損失は8億52百万円(前年同期に比べ4億38百万円の損失増加)となりました。

欧州では、大陸の売上構成比の増加に伴い、イギリスにある物流倉庫をオランダに移設することにより発生した一時費用及びポンド安が損益の悪化要因となりましたが、不採算店舗の閉鎖等、再建計画を着実に進めてまいりました。また各国とも既存店売上が上昇傾向にあることから、翌期以降に期待が持てる状況となっております。

米国、カナダにおいてはコンスタントに出店を行い、売上高、利益ともに順調に推移しております。

 

 

 

④ 西南アジア・オセアニア事業

西南アジア・オセアニア事業の当連結会計年度の営業収益は102億56百万円(前年同期比15.1%増)、セグメント利益は1億38百万円(前年同期比29.3%減)となりました。

各国において新規出店や改装を積極的に行う一方で、物流の改善を行ったことなどにより、安定して利益が取れる構造を築き上げております。

新規国のインドについては当期に2店舗の出店を行い、順調に推移しております。

 

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業結合第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び新規出店等による投資活動、並びに財務活動を行った結果、当連結会計年度末の資金残高は、前連結会計年度末に比べ56億62百万円減少し353億88百万円となりました。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動で得られた資金は、197億42百万円(前年同期は261億33百万円の収入)となりました。
 これは主に、たな卸資産の増加178億93百万円、法人税等の支払110億67百万円によるものであります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動の結果使用した資金は、98億56百万円(前年同期は86億47百万円の支出)となりました。
  これは主に、店舗等の有形固定資産の取得による支出84億68百万円、投資有価証券の売却による収入25億64百万円、店舗出店による敷金等の支出13億79百万円及びソフトウエア投資等の無形固定資産の取得による支出25億70百万円によるものであります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動の結果使用した資金は、143億61百万円(前年同期は65億20百万円の支出)となりました。
これは主に、配当金の支払72億61百万円、長期借入金の返済による支出68億13百万円によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

  (1)販売実績

当連結会計年度における販売実績(営業収益)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

営業収益(百万円)

前期比(%)

国内事業

215,716

108.7

東アジア事業

中国

54,952

110.5

香港

13,885

99.6

台湾

13,490

101.2

韓国

7,375

122.3

小計

89,704

108.0

欧米事業

アメリカ合衆国

5,444

117.0

イギリス

3,525

82.9

フランス

2,724

89.2

ドイツ

1,804

90.9

イタリア

1,696

103.0

カナダ

1,089

151.1

スペイン

839

ポルトガル

190

その他

287

35.5

小計

17,603

102.8

西南アジア・オセアニア事業

シンガポール

3,882

107.4

タイ

2,215

115.8

オーストラリア

1,740

133.6

マレーシア

1,061

118.4

インド

137

その他

1,218

103.1

小計

10,256

115.1

セグメント計

333,280

108.4

その他

1

53.9

合計

333,281

108.4

(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、グローバル調達事業であります。

   2.従来、販売実績において表示していた「売上高」は、当連結会計年度より、「営業収益」を表示しております。

     また、この変更を反映させるため、当連結会計年度の販売実績の組替を行っております。

   3.上記の金額には、消費税及び地方消費税は含まれておりません。

   4.営業収益の商品別の構成は次のとおりであります。

 

商品別

営業収益(百万円)

前期比(%)

衣服・雑貨

122,603

105.3

生活雑貨

176,548

108.9

食品

22,025

118.9

その他

12,103

115.5

合計

333,281

108.4

     (注)上記の金額には、消費税及び地方消費税は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

当社グループは、世界の人々に「感じ良いくらし」を提案し、「商い」を通じて社会に貢献したいと考えております。当社グループにおける商品開発の原点は、生活の基本となる、本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくること。素材を見直し、生産工程の手間を省き、包装を簡略にすることで、シンプルで美しい、環境に配慮した商品を世に送り出してまいりました。

昨今の様々な自然災害や環境問題を目の当たりにし、省資源・省エネルギーを意識した消費行動が着実に主流になってきております。私たちは「社会にとって良いことを行う企業」を目指し、独自の思想から「良い商品」「良い環境」「良い情報」をより一層磨きあげ、企業価値の向上に向け、以下の課題に取り組んでまいります。

 

① グローバルサプライチェーンマネジメント向上

適時適量の商品仕入れを支えるグローバルサプライチェーンマネジメントを向上させてまいります。そのために、サプライチェーンのPDCAサイクルを循環させながら、常に問題点の改善を進め、グローバル視点による効率的な調達構造を構築してまいります。これにより、独自性のある品揃え及びお求めやすい価格を実現いたします。

② 商品開発力の向上

世界中の地域で信頼され、地域文化に貢献できる品揃えやサービスを、適正価格及び適正品質で提供してまいります。そのために、生活者との双方向のコミュニケーションを重ねながら、毎日のくらしに役立つ日用品の基幹アイテム開発を重点的に行ってまいります。これにより、新たな市場開拓及び店舗大型化を実現いたします。

③ グローバル人材育成

世界中で無印良品の思想を体現及び伝播できる人材を育成してまいります。そのために、管理系のシステム整備、及び業務標準化を進めたコンパクトなグローバル本部を構築し、効率的なトレーニングによって、業務経験及び知識の蓄積が行える環境を整えてまいります。これにより、専門性及び多様性のある人材の活躍を促し、持続的な成長を実現いたします。

④ ステークホルダーの期待に応えるコーポレートガバナンスの実現

各方面のステークホルダーの期待に応えるコーポレートガバナンスを実現してまいります。そのために、理念及びビジョンの趣旨及び精神を踏まえ、自らのガバナンス上の課題の有無を十分に把握した上で、適切に対応してまいります。これにより、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現いたします

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年5月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済状況、消費動向について

当社グループは、衣服・雑貨、生活雑貨、食品等のオリジナル商品を通してライフスタイルを提案する事業を営んでおり、国内、海外各国における気候状況、景気後退、及び海外での治安悪化及びそれに伴う消費縮小は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外の事業展開について

当社グループは、ヨーロッパ地域においてイギリス、フランス、スウェーデン、イタリア、ドイツ、アイルランド、スペイン、ポーランド、ポルトガル、アジア地域において、香港、シンガポール、韓国、台湾、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、インド、クウェート、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーン、カタール、オーストラリア、北米地域においてアメリカ合衆国、カナダでの子会社または合弁会社による店舗展開、または現地有力企業への商品供給による事業ならびに現地における商品調達を行っております。

これらの海外における事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しております。

① 予期しない法律または規制の変更、強化

② 為替レートの変動

③ 不利な政治または経済要因

④ 税制または税率の変更

⑤ テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等

万一、上記のような事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 新規事業について

当社グループは、住宅事業や流通加工等の小売以外の事業を展開しております。これらの事業は、多くの技術課題を解決し、販売拡大の手法を構築することが重要であります。これらの事業は不確定要因が多く、事業計画どおり達成できなかった場合は、それまでの投資負担が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 災害等について

当社グループは、国内外に店舗、物流センター等を保有しており、地震、暴風雨、洪水その他の自然災害、事故、火災、テロ、戦争その他の人災等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 個人情報の管理について

当社グループは、営業取引、インターネット取引等により、相当数の個人情報を保有しております。これらの個人情報の管理は社内管理体制を整備し、厳重に行っておりますが、万一個人情報が外部へ漏洩するような事態となった場合は、社会的信用の失墜による売上の減少、または損害賠償による費用の発生等が考えられ、その場合には当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

6【研究開発活動】

当社グループの自社ブランド商品「無印良品」の生活者のニーズへの対応と新規需要開拓のために、常に最新の商品情報を収集し、新商品開発、既存商品の見直し、生産技術向上のために、意欲的な商品研究開発活動を進めております。

商品調達部門である衣服・雑貨部、生活雑貨部及び食品部において商品企画開発を進めております。また、衣服・雑貨部及び生活雑貨部内に企画デザイン室を設置し、更なる商品開発の強化を図っています。当社グループは、当社独自の仕様を作成し、ヨーロッパ・中国・インドをはじめ、海外各地で素材から商品開発を進めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は12億61百万円であります。

なお、当社グループにおける研究開発活動は概ね全セグメント区分に共通する「無印良品」の開発を目的としておりますので、セグメント別の記載は行っておりません。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況  1.連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高及び営業総利益

当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度に比べて、253億82百万円増(前期比8.3%増)の3,325億81百万円となりました。セグメント別売上高の詳細については、「1 業績等の概要  (1)業績」に記載しております。

売上高が増加した主な要因は、国内における無印良品店舗の増加(4店舗)及びネットストアの伸張等に加えて、海外における無印良品店舗の増加(59店舗)によるものです。

また、営業総利益は、前連結会計年度に比べて154億9百万円増加し1,658億61百万円となりました。売上高に対する比率は49.9%となり、前連結会計年度より0.9ポイント増加いたしました。

② 販売費及び一般管理費及び営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度に比べて115億70百万円増(前期比10.0%増)の1,275億83百万円となりました。売上高に対する比率は38.4%となり、前連結会計年度より0.6ポイント増加いたしました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べて38億38百万円増加し、382億78百万円となりました。売上高に対する比率は11.5%となり、前連結会計年度より0.3ポイント増加いたしました。

③ 営業外損益及び経常利益

当連結会計年度の営業外収益につきましては、前連結会計年度に比べて96百万円増加し、11億72百万円となりました。受取利息が前連結会計年度に比べて68百万円増加したことが主な要因です。また、営業外費用につきましては、19億46百万円減少し8億67百万円となりました。

この結果、経常利益は前連結会計年度に比べて58億81百万円増加し、385億82百万円となりました。売上高に対する比率は11.6%となり、1.0ポイント増加いたしました。

④ 特別損益及び当期純利益

当連結会計年度の特別利益につきましては、前連結会計年度に比べて5億36百万円減少し、7億4百万円となりました。主な要因は、当連結会計年度に投資有価証券売却益が3億55百万円減少したことによるものです。また、特別損失につきましては、2億3百万円増加し、6億37百万円となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて51億41百万円増加し、386億49百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて41億13百万円増加し、258億31百万円となり、1株当たり当期純利益は前連結会計年度818円44銭から974円99銭に増加いたしました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資産、負債及び資本の状況

当連結会計年度末における当社グループの総資産は2,147億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ137億86百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の減少51億36百万円、商品の増加156億87百万円、未収入金の増加10億80百万円、直営店の出店及び改装による有形固定資産の増加9億円、投資有価証券の増加7億12百万円によるものです。

負債は576億86百万円と59百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金の減少79億13百万円、短期借入金の増加25億97百万円、買掛金の増加17億13百万円、繰延税金負債の増加15億21百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加10億74百万円によるものです。

純資産は1,570億18百万円と138億45百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加185億66百万円、自己株式の増加38億31百万円によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当社グループの資金の状況につきましては、「1 業績等の概要  (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。