第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献することを企業理念と定め、二つの使命を果たすべく事業展開を行ってまいります。

・第一の使命は、日常生活の基本商品群を誠実な品質と倫理的な視点から開発し、使うことで社会を良くする商品を、手に取りやすい価格で提供することです。

・第二の使命は、店舗は各地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域の皆さまと課題や価値観を共有し、共に地域課題に取り組み、地域への良いインパクトを実現することです。

これらの企業理念の下、当社グループの事業展開を通じて資源循環型・自然共生型の社会、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(2)経営環境

当連結会計年度におきましては、国内経済は、雇用や所得環境の改善、政策効果などを背景に、緩やかな回復が続いています。世界経済は、欧米における高い金利水準や中国不動産市場の停滞、米国の通商政策の動向に加え、物価上昇の継続や金融資本市場の変動により、不透明な状況が続いています。

 

(3)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題

「社会や人の役に立つ」という根本方針のもと、社員および事業関係者一人ひとりが、社会全体や地球でいま起きている課題に敏感に呼応し、提供するすべての商品、サービス、活動の全ライフサイクルにわたり、地球環境負荷低減や個人尊重に努めてまいります。

また、100年後のより良い未来を見据えて、2030年までのビジョンを策定しました。個店を通じて、日常生活の基本を担うと共に、地域社会と共生し課題解決や町づくりに貢献してまいります。

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そして今、その日本での基盤を基に、第二創業を進化させ、世界で更なる成長に挑戦してまいります。

 

 

当社グループが世界で成長に挑戦するにあたり、以下8つの成長ドライバーを掲げ、着実に推進してまいります。

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、一定の前提条件の下で当社グループが判断したもので、今後状況に応じて将来に関する事項が変わる可能性があります。

◇サステナビリティ全般

「社会や人の役に立つ」ことは良品計画の根本方針であり、この価値観を企業の根幹に据え、すべての事業活動を行っています。無印良品のものづくりの基本となる考え方は、1980年のブランド創生以来変わっていません。環境・社会に配慮した3つの視点、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」を守りながら実質本位のものづくりを続けています。また、オーナーシップをもった社員を事業活動の主役に据え、個々の店舗の活動や個々の社員や事業関係者の活動が公益に寄与する「公益人本主義経営」を実践しています。

当社はESG経営のトップランナーとなることを目指し、ステークホルダーの皆様とともに、ESGの思想に基づき事業活動そのものを通じて社会課題の解決に取り組み、すべての店舗が地域のコミュニティセンターとして地域活性化に貢献することで、より良い社会インパクトをつくります。

(1) ガバナンス

当社はサステナビリティへの対応を経営の重要課題の1つとして捉え、取締役会による監督とESG推進委員会を中心とするガバナンス体制を構築しています。取締役会は、サステナビリティやESG経営に関わる取り組みに関して、年2回以上、ESG推進委員会の事務局である広報・ESG推進部より報告を受け、進捗や目標達成の状況を監督し、方針や取り組みについて審議、指導を行っています。当社の取締役会は、代表取締役社長が議長を務め、サステナビリティ推進に対し的確な監督・助言をするためにサステナビリティ及びダイバーシティに関する知識・経験・能力を有する構成になっています。

サステナビリティにかかわる事象についての審議・検討は、代表取締役社長が議長を務める「経営執行会議」のほか、「ESG推進委員会」及び「コンプライアンス・リスク管理委員会」にて行われています。

「ESG推進委員会」は代表取締役社長を議長とし、社内取締役、執行役員を含むメンバーで構成し、毎月開催しています。「ESG推進委員会」では、当社の重要課題に取り組むための各施策について進捗を確認し、ボトルネックについて担当部署と経営陣が議論することで、ESG経営を推進しています。「コンプライアンス・リスク管理委員会」では、取締役会の監督・指導の下、リスク管理部門管掌役員を委員長として配置し、コンプライアンス及び各種リスクに関する情報収集及び重要課題の審議や進捗確認をしています。なお「経営執行会議」、「ESG推進委員会」及び「コンプライアンス・リスク管理委員会」で議論した内容は、取締役会において報告・審議・承認され、戦略リスク・機会を踏まえ、事業戦略や経営方針に活かされています。

また、当社にとって最大の資本は「人財」であり、さまざまな従業員が自らの夢の実現に対する情熱と志を持って、地域や店舗で主体的に考え、自律的、自発的に行動することを大切にしています。そのためにも多文化共生社会の実現や、多様な人財が柔軟に働ける環境整備が不可欠と考え、人事管掌役員を議長とした「ダイバーシティ委員会」を設置し、毎月開催しています。人事部門だけでなく、所属する従業員の人数が最も多い営業部門や、経営企画部門をはじめとする関連部門の執行役員、部課長、そして選任された従業員から構成されており、半数以上が女性です。従業員の働きやすさや働きがいに関するヒアリングと、現状に対する施策について議論し、「経営執行会議」や「ESG推進委員会」にて経営陣に報告しています。

なお、サステナビリティの取り組みや目標達成に対する経営責任を明確にするため、役員報酬(非金銭報酬)にESG評価を組み込んでいます。当社の社外取締役を除く取締役に付与する非金銭報酬は、長期的な視野で重要なESG等の指標の達成度により、役位別基礎額の30%~100%に付与数を変動させる退任直後時点までの譲渡制限が付された株式の付与を行います。株式付与数は報酬諮問委員会の答申を受けて、取締役会が決定いたします。

ESG評価の検討・決定プロセスは、広報・ESG推進部がESG重要課題および実行テーマについて各部門から1年間の進捗をヒアリングし取りまとめ、加えて当連結会計年度より、当社の取り組みに対して外部識者(大手コンサルティングファーム、フェロー及び公益財団法人、理事)から第三者視点として得られた評価を含め、取締役会に報告、その内容を受けて報酬諮問委員会にてESG評価の審議を行い、結果を取締役会に答申し、取締役会において評価を決定するというものです。このプロセスにより2025年9月24日の取締役会において決定された当連結会計年度のESG評価係数は100%となりました。なお総評、当連結会計年度において評価した取り組み、今後に向けた改善事項は以下のとおりです。

総評:

当社は、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」などを通じて、「人と自然とモノの望ましい関係」を追求してきた。気候変動の脅威が増し、社会の格差が広がる現在において、これらのメッセージ・価値観は改めて重要である。当連結会計年度において、再生可能エネルギーの発電事業化や、資源循環を念頭においた商品開発といった当社らしい取り組みが進捗しており、また現場においてもESG推進の主体的な意識が醸成され始めている。加えて外部に対する積極的な情報発信を行い、外部評価機関からのESG評価も向上している。これら進捗に対して外部識者から取得した第三者視点の評価においても好意的な評価を受けている。

当連結会計年度において評価した取り組み:

・再生可能エネルギー発電事業を行う「合同会社 MUJI ENERGY」の設立は、「ESG経営のトップランナー」を目指す当社ならではの施策であり、社会的インパクト、イノベーションの観点から高く評価。

・資源循環を念頭においた単一素材商品の開発・商品化が進み、使用済み商品を資源として回収する取り組みにおいて回収量が昨年と比べ確実に伸長。「ReMUJI」事業においては、衣料品だけでなく生活雑貨や家具の再販にまで事業が拡大したこと。

・所属や地域に関係なくサステナビリティに高い関心を持つ社内の有志が集まり、掲示板での交流や社外清掃活動などを行う「Team ESG」の参加者が500名を超え、また部門長を筆頭にESGの推進体制が構築され、現場におけるESG推進の意識醸成が進展したこと。

・投資家ならびに報道関係者を対象に、無印良品が取り組む環境・社会に配慮したものづくりに関する説明会(ESG説明会)を初めて開催、また国際的に自然環境(生物多様性や水資源など)への影響を開示する動きを背景にしたTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に沿った情報開示を実施したこと。

・ESG投資の代表的なインデックスであるFTSEやMSCI、ESG Disclosure Scoreを開示するBloomberg等の外部評価機関におけるスコアが向上。また経済産業省と株式会社東京証券取引所が選ぶサステナビリティ・トランスフォーメーションの先進的企業(SX銘柄)に当社が選定されたこと。

・外部識者である大手コンサルティングファーム、フェロー及び公益財団法人、理事からの第三者視点の評価を初めて取得し、好意的な評価を獲得したこと。

今後に向けた改善事項:

・ESG経営の推進を通じてお客様・ステークホルダーからの信頼を獲得し、持続可能な企業成長と企業価値向上につながるよう、一層のコミットメントとリーダーシップを期待する。

・生産パートナー(サプライチェーン)とのESG分野における連携を強化すること。

・ダイバーシティ&インクルージョンを更に推進すること。

・海外子会社を含めた、グループ全体でのESG経営を推進すること。

 

なお2026年8月期におけるESG評価を行う際の達成基準は、「通常の事業・組織運営がそのままESGであるという意識が経営層に深く浸透し、ESGの考え方が経営レベルの全ての議論の礎となっている。社内にもESGの機運が広がり、ボトムアップでの取り組みが生まれている。情報開示も一層進み、SSBJ基準※などの開示要請にグローバルで応える準備が進んでいる。」としております。

※サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が策定した、サステナビリティ情報開示基準

役員報酬の種類や割合、ESG推進の評価プロセス等については「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」をご参照ください。

 

(2) 戦略

当社は、衣服・雑貨、生活雑貨、食品と幅広い商品領域を持ち、その全てにおいて、豊かな自然資源に深く依存しています。地球環境を保全し、地域社会の営みを継続・発展させることが企業理念で掲げる「感じよい暮らしと社会の実現」に不可欠と認識しています。

2030年に「ESG経営のトップランナー」となることを目指し、4つの重要課題を設定し、それぞれの課題に応じた全社横断ESGプロジェクトに取り組んでいます。具体的には、資源循環の取り組みや気候変動、生物多様性を考慮した商品開発や、人権尊重のための取り組みや従業員エンゲージメントの向上など、方針を明確にした上で、各種取り組みを推進しています。

良品計画の「重要課題」

1.資源循環型・自然共生型・持続可能な社会の実現

2.地域課題解決と地域活性化の実現

3.多様な個人一人ひとりが主役となる企業活動の実現

4.公益人本主義経営に則したガバナンスの実現

 

(3) リスク管理

当社は、ESG経営を推進するため、直面する可能性のある主要なリスク・機会を労働安全衛生や国内外の法令違反に関する「コンプライアンスリスク」、情報漏洩やサプライチェーンに関わる「オペレーションリスク」、税務や会計に関する「財務及び開示におけるリスク」の3分野で特定し、その重要性及び発生する可能性の高さに応じて評価しています。これらのリスクに関し、各部門が認識し対応を進めるため、リスク管理部が中心となって各部門からの定期的な報告が反映された「リスク管理一覧表」を作成し、内容を更新しながら業務マニュアルと連動させることにより、具体的な対応の周知・徹底を図っています。

リスクマネジメント体制としては、コンプライアンス・リスク管理委員会で審議された内容については定期的に取締役会に報告・審議・承認され、取締役および監査役との共有を図り、事業戦略や経営方針に活かしています。リスク対応に関わる専門組織としてリスク管理部を設置し、想定されるリスクおよび顕在化したリスクの把握と管理の専任者を配置し、管理体制を強化しています。

 

(4) 指標及び目標

当社は、2030年に向けた各種指標を下記の通り設定し、年に1回モニタリングを実施しています。中でも昨今、益々深刻化する気候変動への対応は、持続可能な社会のために必要であると認識し、GHG排出量(スコープ1,2)を2021年8月期比で50%削減することを目標としています。国内における削減の取り組みとして、単独店では屋根への太陽光パネルの設置(2025年8月末時点で30店舗、うち2店舗には蓄電池を併設)や電力契約の再エネメニューへの切り替えを進めています。一方、当社店舗の9割以上は商業施設等に入居するテナント型であり、自社による太陽光パネルの設置や電力契約の切り替えといった施策が適用できない状況にあります。そのため2025年9月には、再生可能エネルギー発電事業を行う「合同会社 MUJI ENERGY」を設立しました。太陽光発電事業を通じて、再生可能エネルギーの導入拡大を進めるとともに、社会課題の解決と脱炭素社会の実現に貢献していきます。またサプライチェーン全体において社会や環境へ配慮した原料を調達することを目指し、綿については第三者機関が認定するものを活用し、動物由来繊維・素材については動物福祉に合致した素材や再生素材の活用を推進しています。

指標※1

目標

2024年8月期実績

グループ全体のGHG排出量(スコープ1,2)

2030年 50%削減

(2021年8月期比)

75,194 t-CO2e, 基準年比25.0%増(2021年8月期比)

自社店舗・物流拠点等への再生可能エネルギー導入

2030年 100%

鳩山センターの一部及び一部店舗へ導入済

自社店舗・物流拠点等への太陽光パネル設置

2030年 100%

鳩山センター及び18店舗に設置(2025年8月期は30店舗)

社会や環境に配慮された綿として評価(GOTS、CmiA、GRSなどの認証取得)した綿の使用※2※3

2030年 100%

衣服 ・ 雑貨 97.4%

生活雑貨     47.0%

動物由来繊維・素材の動物福祉合致・再生素材の使用※1

2030年 100%

<衣服 ・ 雑貨>

ウール:ノンミュールジングが証明されたウール 100%

ダウン:動物福祉が証明されたダウン 100%

<生活雑貨>

ウール:ノンミュールジングが証明されたウール 100%

ダウン:動物福祉が証明されたダウン 100%

※1 対象範囲は株式会社良品計画です。一部の指標はグループ全体の数値を含みます。

※2 本指標の集計は、各年の春夏と秋冬に企画・販売した商品に使用した繊維素材を対象にしています。

※3 GOTS (Global Organic Textile Standard/オーガニックテキスタイル世界基準) 、 CmiA (Cotton made in Africa/アフリカ産コットン) 、GRS(Global Recycled Standard)などを社会や環境に配慮された綿として評価しています。

 

なお2024年8月期より、上記の全ての指標を包含する、当社が全社レベルで取り組むESGの独自指標を策定し、部門ごとにもESGの注力領域を明確に設定しました。これにより、重要課題それぞれにおける取り組みの進捗を定量的に図ることが可能となります。詳細は、統合報告書「MUJI REPORT 2024」をご覧ください。
 (https://www.ryohin-keikaku.jp/sustainability/muji-sustainability/report/)

 

 

◇気候変動・自然資本への対応(TCFD・TNFDへの対応)

当社は、気候変動や自然資本の損失が社会に深刻な影響を及ぼすことを認識し、サプライヤーを含む幅広いステークホルダーとの協働を通して、持続可能な社会の実現に取り組んでいきます。また気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定、実行を進め、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」および「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD:Task Force on Nature-related Financial Disclosures)」の枠組みに沿った情報開示の拡充を進めています。

(1) ガバナンス

当社は、気候変動および自然資本を含むサステナビリティへの対応を経営の重要課題の1つと捉え、対応するためのガバナンスを構築しています。当社のサステナビリティ分野におけるガバナンスの詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 サステナビリティ全般 (1)ガバナンス」をご参照ください。

 

(2) 戦略

① リスク・機会の評価と対応策

気候変動および自然資本によるリスク・機会について、事業に影響を与える内容を洗い出し、これらを事業戦略上の重要度、売上・コストなどの財務影響、発生するまでの期間などから、影響度の大きさを定性・定量で評価し、対応策を実行しています。これらの結果を、TCFD/TNFD提言で示された項目を軸に、以下の通り整理しました。

各種リスクに対応し、その影響を緩和、排除するとともに、環境負荷に配慮した商品を供給することにより、地球環境保全に貢献し、顧客の環境志向の高まりや期待に応えることで、当社の成長戦略を加速する計画です。

<気候変動に関連する重要なリスク・機会の影響評価と対応策>

重要なリスク・機会

想定される影響の具体例

影響

種類

影響度

時間軸

対応策

移行リスク・機会

規制

炭素税等のGHG排出量規制強化

リスク

・GHG排出量に対する炭素税の導入

・調達品への炭素税等の導入、またはGHG削減対応による操業、調達コストの増加

・物流センター/事業所、配送車両への炭素税等の導入による輸送、保管コストの増加

コスト

中~大

中期

・中期経営計画に基づいたGHG排出量の削減

・サプライチェーン全体でのGHG排出量見える化、削減取組みの推進

・店舗への再生可能エネルギーの導入

プラスチックに関する規制強化

リスク

・再生プラスチック、バイオマスプラスチックの使用率の上昇による調達コストの増加

コスト

中期

・商品本体や包材資材の脱プラスチック、薄・軽量化、代替素材への切替えによるコスト上昇の抑制

市場

化石資源の価格変化

リスク

・自社/サプライヤーで消費するエネルギーの価格上昇による操業、調達コストの増加

・化石資源由来原料の価格上昇による調達コストの増加

コスト

中~大

中期

・自社及びサプライヤーとの省エネルギー推進や再生可能エネルギー導入の推進

・商品本体や包材資材の脱プラスチック、薄・軽量化、代替素材への切替え促進

・倉庫・配送業者が消費するエネルギーの価格上昇

コスト

中期

・物流倉庫での省エネ取組み実施、再生可能エネルギーの導入

・物流事業者との協働による輸送効率向上、相乗り物流等によるエネルギー使用の低減、再生可能資源由来の燃料への転換

製品の長期使用

リスク

・製品の長期使用による買替え頻度の低下と売上の減少

・新品衣料品の需要の相対的な低下による売上の減少

売上

中~大

中期

・リユース・リサイクルの推進

・再生原料を活用した商品開発の推進

・長期使用可能な商品の開発

・二次流通の事業化など、持続可能な仕組みの構築

移行リスク・機会

評判

サステナブルなブランドイメージの認知

機会

・サステナブル志向の新規顧客の獲得による売上の増加

売上

中期

・企業理念や創業以来のESG思想、ものづくりの視点、社会課題解決を目指す新たな取組み等の、グローバル発信強化によるサステナブル/ESGの認知向上

リスク

・サステナブル対応の遅れに伴う競争優位低下による、顧客の流出と売上の減少

売上

長期

・中期経営計画に基づいたESG経営の推進と、情報開示・発信の強化

・ESG外部評価を踏まえた重点課題の正確な認識と適切な対応

サステナブル原料を使用した製品の需要の高まり

機会

・環境配慮製品の需要増加による売上の増加

売上

中~大

中期

・カポック、ヘンプなど環境配慮素材の育成、活用

・環境配慮素材への切り替え、製品開発の推進

・低炭素なたんぱく質食品の需要増加による売上の増加

売上

中~大

長期

・害獣や大豆ミートを活用した商品の拡充

・低炭素な食材を活用した商品開発

物理的リスク・機会

急性

気象災害の増加

リスク

・洪水、台風などによる店舗、物流センター等の罹災増加に伴う商品等の廃棄損の増加

コスト

短期

・店舗、物流センターの物理的リスク評価

・ハザードリスク高拠点の浸水対策、BCP策定の実施

・店舗、物流センターの災害対策点検の強化や、罹災時の早期復旧にむけた防災備品の常備

慢性

海面の上昇

リスク

・店舗や物流センター所在地域の浸水リスクが高まることによる移転コストの発生

コスト

長期

・浸水リスクの高い店舗、物流センターの浸水対策実施

・出店時の気候変動を踏まえたリスク評価の徹底

平均気温の上昇

リスク

・店舗の冷房コストの増加

コスト

中期

・太陽光発電設備、蓄電池の導入推進

・省エネ設備の導入

降水・気象パターンの変化や平均気温上昇

リスク

・洪水・干ばつの増加に伴う、コットン、リネン等の素材価格の上昇による調達コストの増加

・生態系の変化にともなう木材供給量の減少による木材調達コストの増加

コスト

中~大

長期

・各国の価格状況を継続的にモニタリング

・原材料生産地の分散

 

 

<自然資本に関連する重要なリスク・機会の影響評価と対応策>

重要なリスク・機会

想定される影響の具体例

影響

種類

影響度

時間軸

対応策

移行リスク

評判

サステナブルなブランドイメージの認知

リスク

・過剰な水利用や水質汚染、森林破壊等の地域コミュニティへの負の影響やグリーンウォッシュに伴う製品や企業の評判低下による売上減

売上

中期

・中期経営計画に基づいたESG経営の推進と、情報開示・発信の強化

・社会や環境に配慮された綿として評価(GOTS、CmiA、GRSなどの認証取得)した綿の使用

・環境負荷が低減された綿の調達に向け、農地やサプライヤーの自然への影響の把握(トレーサビリティの向上)

物理的リスク

急性

気象災害の増加

リスク

・地滑り、洪水や嵐、異常気象による調達量の減少と、それに伴う調達地の変更によるコスト増

コスト

短期

・調達地域のリスク評価

・調達地域の多様化

慢性

気温変化や水資源不足

リスク

・気温変化や水資源不足による綿の品質低下・生産量減少と、それに伴う調達地の変更によるコスト増

コスト

長期

・調達地域の多様化

自然資本に関する重要な機会は特定されませんでしたが、天然資源の持続可能な利用の機会において、再生綿の使用による調達コストの削減と、土壌栽培以外も含めた綿調達の多様化による将来の調達地変更に伴うコスト減が期待されます。良品計画では、製造工程から出る端材などを活用し、再生綿を使用した商品開発を行っています。再生綿の使用量拡大については、今後も検討を続けていきます。

(注)影響度評価       :売上 ・・・「大」-100億円以上、「中」-10億円以上100億円未満、「小」-10億円未満

コスト・・・「大」-10億円以上、「中」-1億円以上10億円未満、「小」-1億円未満

時間軸(発現までの期間):「短期」-2年以内、「中期」-2年超10年以内、「長期」-10年超

 

② シナリオ分析の実施

当社では、リスクを低減し、機会を拡大することが、持続的な企業価値と社会価値の向上に不可欠であると考え、気候変動がもたらすリスクと機会に関するシナリオ分析を実施しました。

参照したシナリオは、国際エネルギー機関IEAの「World Energy Outlook2022」によるSTEPS(公表政策シナリオ:各国が現時点で公表している政策を基に、産業革命以前に比べて世界の平均気温上昇が2100年頃に2.6℃程度となるシナリオ)、SDS(持続可能な開発シナリオ:産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるため、段階的に排出量を低減させていくシナリオ)、気候変動に関する政府間パネルIPCCによるRCP8.5(温室効果ガス最大排出量に相当するシナリオ)、OECDの「Global Plastics Outlook Policy Scenarios to 2060」によるグローバル野心政策シナリオ(2060年までにプラスチック漏出をほぼゼロにすることを目標に国際レベルの協調が進むシナリオ)等を参考に、「1.5℃シナリオ(脱炭素推進)」と「4℃シナリオ(温暖化進行)」の2つを設定し、中長期的な将来の影響度を分析しました。

 

1.5℃シナリオで示される2030年時点の移行リスクと機会

移行リスクと機会を踏まえた方針・対応策

炭素税

・炭素税負担による財務影響 は「大」となる見込み。

・当社のグローバル全体のGHG排出量(スコープ1,2)は、2030年に向けて削減に取り組まなかった場合、事業成長に伴い2021年8月期比の約2.7倍まで増加すると想定される。

・GHG排出量の削減に向け、グループ全体の排出量可視化を進め、削減ロードマップを策定。店舗の出店地域や特性に合わせた方法で再生可能エネルギーの導入に取り組む。

・スコープ3のGHG排出量削減も視野に入れ、サプライチェーン全体でのGHG排出量の可視化を進める。

化石資源の価格変化

・エネルギーコスト上昇による財務影響 は「大」となる見込み。

・当社のグローバル全体の電力使用量は、2030年に向けて使用量削減に取り組まなかった場合、事業成長に伴い2021年8月期比の約5.4倍まで増加すると想定される。

・省エネルギー推進による電力使用量の削減や再生可能エネルギーの導入などを進め、化石資源由来のエネルギー使用削減に取り組む。

・サプライヤーと省エネルギー推進や再生可能エネルギー導入などを進め、生産コストの上昇を抑制する。

・プラスチック原料価格の上昇による財務影響は「中」となる見込み。

・参照したシナリオをもとに、プラスチック原料の単価は2021年8月期比1.3倍まで増加すると想定され、調達するプラスチック原料のうちリサイクル由来原料比率は60%になると想定される。

・化石資源由来のプラスチック削減に向け、商品や包材資材の脱・省プラスチック、軽量化に取り組む。

・化石資源由来からリサイクル由来原料、代替素材への移行を進める。

プラスチックの規制強化と市場変化

・化石資源由来プラスチック製品の売上減少による財務影響は「大」となる見込み。

・リユース、リサイクル由来プラスチック製品の売上拡大による財務影響は、「大」となる見込み。

・参照したシナリオをもとに、規制や製品寿命の長期化などによる化石資源由来プラスチック製品が20%減少、需要の変化に伴いプラスチック製品のリサイクル由来原料比率が60%を占めると想定される。

・サステナブルな商品やサービスへの需要拡大を見込み、環境配慮型素材の活用や製品開発を進める。

・自社製品の回収・リサイクルなど再資源化を進め、化石資源由来からリサイクル由来原料への移行に取り組む。

・二次流通の事業化など持続可能な仕組みの構築を進め、リユースの推進に取り組む。

(注)財務影響度評価       :売上 ・・・「大」-100億円以上、「中」-10億円以上100億円未満、「小」-10億円未満

コスト・・・「大」-10億円以上、「中」-1億円以上10億円未満、「小」-1億円未満

 

 

物理的リスク・機会については、温暖化進行による気象災害の増加が、短期に発生する可能性の高い重大なリスクとなります。そこで、この傾向がさらに強まる4℃シナリオを基に、国内・海外の主な事業拠点について、気象災害がもたらす影響を定性的に分析しました。

 

4℃シナリオで示される2050年時点の物理的リスクと機会

物理的リスクと機会を踏まえた方針・対応策

自然災害による被害

・洪水・高潮により3m以上の浸水被害が想定される主要拠点数は、国内2ヵ所、海外11ヵ所の見込み。

・分析対象となる拠点は、当社が事業展開をしている国・地域の店舗、物流センター、サプライヤー生産拠点のうち、売上高や在庫額、調達額などをもとに影響の大きい拠点を選定。

・店舗、物流センター、サプライヤー生産拠点においてハザードリスクの高い拠点の浸水対策の推進に取り組む。

・被災した地域の店舗の営業を早期に再開し、必要な物資を届けることで、地域社会への責任と貢献を果たす。

自然資本に関連するリスクと機会に関するシナリオ分析は、今後実施する予定です。

 

(3) リスク管理

当社は、気候変動や自然資本に関わるリスクも全社の主要なリスクの一つとして認識しています。気候変動や自然資本の損失による当社事業への影響を把握し、対策を講じるため、重要なリスク・機会の特定や、シナリオ分析による影響の大きさや発現までの期間等を評価した上で、それらへの対応策を検討・実行しています。リスク管理プロセスは、直面する可能性のあるリスクについて「ESG推進委員会」や全社リスクを統括する「コンプライアンス・リスク管理委員会」において重要性や発生可能性の高さを基に年1回以上の頻度で評価しています。

 

(4) 指標及び目標

当社は、グループ全体のGHG排出量(スコープ1,2)を2030年までに50%削減(2021年8月期比)する目標を掲げています。その実現に向けて、シナリオ分析により特定されたリスク・機会をもとに、店舗・物流拠点等への再生可能エネルギー導入のため、太陽光パネルの設置や発電事業などに取り組んでいます。また2030年までに社会や環境に配慮された綿の調達100%を目指し、GOTS、CmiA、GRSなどの国際認証を取得した綿の調達を進めています。

詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ◇サステナビリティ全般(4)指標及び目標」をご覧ください。

 

 

◇人的資本・多様性

(1) ガバナンス

第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ◇サステナビリティ全般 (1)ガバナンス」をご参照ください。

 

(2) 戦略

当社は、社員一人ひとりが「社会や人の役に立つ」という根本方針のもと、社会や地域の多様な方々と協働し、良い企業活動を行うことで、「感じ良い暮らしと社会」の実現を目指しています。

これからの時代における真に豊かな社会とは、「環境」・「経済」・「文化」がバランス良く支え合っている社会だと考えます。美しい、豊かな自然や環境が持続可能な形で維持され、人々がそれぞれの有する資質を十分に生かしながら豊かな経済生活を営み、多様なつながりを持って文化的水準の高い生活を送ることができるような社会の実現を目指します。

当社はそのために、社会にとっての公益に貢献する事業活動を通じて営利を生み出すことで、公益と営利を持続可能な形で両立させることができる企業体でありたいと考えています。

そのような理想を掲げる当社にとって最大の資本は「人財」です。社員が「社会や人の役に立つ」という理念や、自らの夢の実現に対する情熱と志を持って、地域や店舗で主体的に考え、自律的、自発的に行動することを大切にしています。当社が目指すこのような経営のあり方を「公益人本主義経営」と定義し、その実践を担う人財の育成と組織づくりこそが当社の経営戦略の根幹であると考えています。

良品計画が求める人財像

1. 「社会や人の役に立ちたい」という情熱と志:

「おかげさま・お互い様」、自分は人に支えられているという自覚と感謝の気持ち、謙虚さ、人への思いやり、良心、誠実さ。その結果として自然と生まれる、「社会や人の役に立ちたい」、「社会課題を解決したい」という情熱や志。

2. 共感力、当事者意識:

自分の周りの人やお客様、地域住民など、様々な価値観を有する生活者にリスペクトをもって向き合い、その方々の日々の生活や暮らし、そこで感じていることを想像する。それを他人事ではなく自分事として捉えられる共感力(エンパシー)と当事者意識(オーナーシップ)。

3. 商売人意識:

目の前のお客様や地域の方々に喜んでもらい、役に立つことで、売上利益を上げることはよいことであると信じ、継続的な改善や新しい価値を生み出そうとたゆまぬ努力を続ける姿勢。

4. 探究心、知的好奇心:

最良の生活者の視点で、未来の望ましい暮らしやありたい社会の姿を思い描き、模索しつづける探究心。そのヒントになるような情報を、新聞や書物を読んだり、アートを見たり、街歩きをしたり、社外の方々と繋がったりしながら積極的に情報収集をし、考え続ける姿勢、知的好奇心。

5. クリエイティビティ、構想力:

物事を見つめ、ありたい姿とのギャップに気づいたり面白いものを発見したりする力。気づきや発見を組み合わせ、アイディアを生みだし、形にするクリエイティビティ。目前の課題や矛盾を解決し、継続的価値を創出する事業モデルや仕組みをデザインできる構想力。

6. チーム力、共創力:

価値観や課題意識を共有しながら社内外の様々な人々と協力関係を構築し、一人では決してできない大きなことを実現するチーム力や新しいものを生み出す共創力。

7. 行動力、徹底力:

自らやチームで考えたことを実行する行動力。成果が出るまで粘り強く改善を続けながらやり抜く徹底力。

8. チャレンジ精神、前向きさ:

未知の挑戦や困難にぶつかっても、自分を信じて物怖じせずに取り組むチャレンジ精神。何事にも楽しんで取り組もうとする前向きな姿勢。

社員一人ひとりが、お客様や地域の方々と共に、未来の望ましい暮らしやありたい社会の姿を共創する。その結果生み出された商品やサービス、店舗が多くの人々に喜ばれ、信頼され、愛されている。そして、その過程において社員が自ら成長を実感し、幸せを見出すことで、それが次なる事業活動への原動力となる。こうした活動が世界中のあちこちに広がり、社会や地域を少しずつ良い方向へと後押しし続けている――それがまさしく当社が目指す姿です。

人財育成6つの柱

「公益人本主義経営」実現に向けて、上記の「良品計画が求める人財像」を育むための人財育成方針及び社内環境整備方針は以下の通りです。

1. 当社の理念や価値観を具現化しようという志を有する社員を採用・育成する。

2. 多様な社員が個性を発揮し、自律的に考え、自発的に行動するために、健全な企業風土を醸成する。

3. 社員が自分らしく生き生きと、心身共に健康で、安心して働き続けることのできる職場環境づくりを推進する。

4. 多様な社員の個性と可能性を引き出し、組織としての成果を最大化できるリーダー人財を育成、配置する。

5.「キャリアを通じて学び、成長したい」という社員のニーズをサポートする教育研修体系の整備と支援を行う。

6. 社員一人ひとりの参画意識や挑戦意欲を後押しするための、人事制度の構築と運用を行う。

 

(3) リスク管理

第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ◇サステナビリティ全般 (3)リスク管理」をご参照ください。

 

(4) 指標及び目標

当社は、社員一人ひとりが自律的に考え、自発的に行動できる企業風土の醸成と、安心して働き続けられる職場環境の整備を推進しており、以下の2つのKPIを人財育成の重要指標として設定し、継続的な改善に取り組んでおります。

指標1:「女性管理職比率」

当社は、女性管理職比率は本来、従業員の男女比率と同等であるべきと考えております。引き続き管理職における女性比率の向上を目指し、意思決定層における多様な視点の反映を促進することで、より柔軟で多面的観点をもった組織運営を実現します。当社では、女性がキャリアやワークライフバランスについて考えるキャリア開発研修をはじめ、早い段階でチャレンジングな経験ができる機会の創出に努めています。また、管理監督者の意識改革も積極的に取り組んでいます。

指標2:「男性育児休業取得率」

ライフイベントと仕事を両立するために、多様な働き方が選択できる制度を提供しており、育児休業についても性別を問わず取得することができます。当社では、育児休業の取得は、性別を問わず家庭と仕事の両立を支援するための重要な制度と捉え、男性育児休業取得率の向上を目指します。引き続き「ダイバーシティ委員会」を中心として、制度の周知や取得しやすい職場風土の整備、管理職への意識啓発などを通じたより一層の社内啓発活動と、管理監督者を筆頭に意識改革を進めます。

なお、女性管理職比率、男性育児休業取得率の実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、各リスクが顕在化する可能性の程度や時期については合理的に予見することが困難であるため記載していませんが、当社グループはこれらのリスクに対する管理体制を「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、リスクマネジメント活動を行っています。

(1)経済状況、消費動向について

当社グループは、衣服・雑貨、生活雑貨、食品等のオリジナル商品を通してライフスタイルを提案する事業を営んでおり、国内、海外各国における気候状況、景気後退、及び海外での治安悪化及びそれに伴う消費縮小は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。こうした外部環境の変化への対応として、事業戦略においては持続的な成長基盤の強化と顧客創造、その支えとしての機能戦略においては外部環境の変化に柔軟に対応できる仕組み作りや生産性向上を図ることにより、引き続き収益性の改善を図ってまいります。

(2)海外の事業展開について

当社グループは、アジア・オセアニア・中近東地域において、香港、中国大陸、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、オーストラリア、インド、ベトナム、フィリピン、クウェート、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーン、カタール、ヨーロッパ地域において、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、フィンランド、デンマーク、ポーランド、北米地域においてアメリカ合衆国、カナダでの子会社または合弁会社による店舗展開、または現地有力企業への商品供給による事業ならびに現地における商品調達を行っております。

これらの海外における事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しております。

● 予期しない法律または規制の変更、強化

● 為替レートの変動

● 不利な政治または経済要因

● 税制または税率の変更

● 移転価格税制等の国際税務問題による影響

● テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等

万一、上記リスクが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では予防的措置として、「コンプライアンス・リスク管理委員会」が日常業務の中で当該リスクに対するモニタリングを行っております。顕在化したリスクに対しては、同委員会が関連部門と連携の上、これらの対応を進めます。

(3)新規事業について

当社グループは、住宅事業や流通加工等の小売以外の事業を展開しております。これらの事業は、多くの技術課題を解決し、販売拡大の手法を構築することが重要であります。また、不確定要因が多く、事業計画どおり達成できなかった場合は、それまでの投資負担が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社はこのようなリスクを軽減するため、以下の対応を行っております。

● 新規投資を検討するに際しては、マネジメントや各専門部署を含め検討を行い、総合的に事業による機会とリスクの検討を行っています。

● 該当事業の事業計画については、マネジメントや各専門部署に承認されるとともに、事業進捗が定期的に報告され、想定外の事項や新規リスク発生の有無を確認しています。

● 識別されたリスクに関しては包括的に管理され、定期的にリスク評価の見直しを実施するとともに、該当するリスクに対する予防策や、リスクが顕在化した際の対応を検討しています。

(4)災害等について

当社グループは、国内外に店舗、物流センター等を保有しており、地震、暴風雨、洪水その他の自然災害、事故、火災、テロ、戦争その他の人災等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これら災害等に対する備えとして、対応マニュアル等の策定や損害保険の付保等の対策を講じております。また、災害が予測・警戒のレベルの時にはコンプライアンス・リスク管理委員会委員長の指示のもと災害対応会議を開催し予防に努め、災害発生時には対策本部長(代表取締役社長)の指示のもと、災害対策本部を設置し救済措置を実行します。

 

(5)情報セキュリティ及び個人情報の管理について

サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス等のリスクが現実に起こった場合、当社の事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような影響が考えられます。

● 業務の中断: サイバー攻撃によりシステムが停止した場合、業務の継続が困難になる可能性があります。

● 機密情報の漏洩: 顧客情報などの機密情報が漏洩した場合、当社の信用が失墜し、法的責任を問われる可能性があります。

● 財務的損失: サイバー攻撃の対応や復旧にかかる費用、または訴訟費用など、財務的な負担が増加、及び収益の減少の可能性があります。

当社は、これらのリスクを軽減するために、以下の対策を講じています。

● セキュリティ対策の強化: 最新のセキュリティ技術を導入し、システムの防御力を高めています。

● 従業員教育: 全従業員に対して定期的なセキュリティ教育を実施し、リスク意識の向上を図っています。

● インシデント対応体制の整備: サイバー攻撃が発生した場合に迅速に対応できる体制を整備しています。

(6)人権に関するリスク

当社グループは、商品の生産を自ら行っておらず、日本をはじめとする世界各国・地域の生産パートナーに委託しています。

当社グループは、サプライチェーンに関わるすべての人の基本的人権を尊重し、心身の健康や安心・安全を確保することが、最も重要な責務だと考えています。そのために、「良品計画 生産パートナー行動規範」に基づき、サプライチェーン全体の人権尊重、労働環境、環境配慮に関する方針を生産パートナーと共有し、遵守を要請するとともに、モニタリングの一環として第三者機関によるソーシャル監査を行っています。当社グループの経営成績等に重大な影響を与える強制労働や児童労働にかかる人権侵害は検出されていませんが、深刻な人権侵害が顕在化した場合には、当社グループに対するお客さまおよび取引先の信頼低下などにより、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)気候変動について

当社グループは、気候変動に関わる課題を重要なテーマとして認識し、気候変動への影響を軽減するため、事業活動全般における温室効果ガス排出量の把握と削減に取り組んでいます。気候変動による影響はすでに顕在化しており、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

気候変動によるリスクへの適切な対応および事業機会を特定するため、TCFD「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のフレームワークに沿った分析と対策を進めています。

気候変動に係る詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方および取組 ◇気候変動への対応(TCFDへの対応)」に記載のとおりです。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におきましては、国内経済は、雇用や所得環境の改善、政策効果などを背景に、緩やかな回復が続いています。世界経済は、欧米における高い金利水準や中国不動産市場の停滞、米国の通商政策の動向に加え、物価上昇の継続や金融資本市場の変動により、不透明な状況が続いています。

このような状況の中、当社グループは、「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献するという企業理念のもと、国内外における店舗展開や商品供給体制の強化を進めています。

当連結会計年度末における当社グループの総資産は5,627億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ531億97百万円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加97億1百万円、商品の増加161億93百万円、有形固定資産の増加164億14百万円及びソフトウエアの増加73億84百万円によるものです。

負債は2,268億28百万円と142億82百万円増加しました。これは主に、リース債務の増加87億63百万円および流動負債その他の増加45億42百万円によるものです。

純資産は3,359億20百万円と389億15百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加399億81百万円、繰延ヘッジ損益の減少13億20百万円によるものです。

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、次のとおり、営業収益ならびに各段階利益はいずれも過去最高の実績となりました。

 

営業収益               7,846億29百万円(前期比 18.6%増)

営業利益                738億40百万円(前期比 31.5%増)

経常利益                723億1百万円(前期比 29.6%増)

親会社株主に帰属する当期純利益     508億46百万円(前期比 22.3%増)

 

(当連結会計年度におけるセグメント別の概況)

当連結会計年度における当社グループのセグメント別業績は、次のとおりであります。

① 国内事業

国内事業における当連結会計年度の営業収益は4,701億43百万円(前期比20.9%増)、セグメント利益は521億11百万円(同31.2%増)と、増収増益となりました。

営業収益は、スキンケアや日用消耗品をはじめとする商品力の強化を軸に、SNSや自社アプリ等を活用したマーケティングの継続、さらに店舗運営や在庫管理などのオペレーション力向上が寄与したことで、増収となりました。既存店の売上高は、通期にわたってプラス基調が継続しました。また、売上の伸長に伴い、借地借家料、運搬・配送費をはじめとする販管費率の改善が進み、営業利益は増益となりました。

② 東アジア事業

東アジア事業における当連結会計年度の営業収益は2,222億47百万円(前期比14.2%増)、セグメント利益は427億94百万円(同20.4%増)と、増収増益となりました。

中国大陸は、積極的なプロモーション活動を軸にオンライン販売が伸長したほか、生活雑貨および食品が牽引し、売上が好調に推移しました。さらに、原価率の改善や値下げの抑制に伴う営業総利益の改善も寄与し、増収増益となりました。そのほか、台湾、香港も増収増益となりました。韓国は、既存店売上が伸長し増収となったものの、為替影響により減益となりました。

③ 東南アジア・オセアニア事業

東南アジア・オセアニア事業における当連結会計年度の営業収益は501億5百万円(前期比28.0%増)、セグメント利益は55億84百万円(同21.4%増)と増収増益となりました。

ベトナム、マレーシア等を中心に出店拡大したことに加え、既存店売上も第2四半期以降復調し、増収となりました。出店や人員強化に伴う経費が先行した一方、為替による押し上げ影響等もあり、増益となりました。

 

④ 欧米事業

欧米事業における当連結会計年度の営業収益は421億33百万円(前期比7.9%増)、セグメント利益は69億22百万円(同25.7%増)と、不採算店舗の閉鎖により店舗数は前期比で減少したものの、既存店の売上が伸長し、増収増益となりました。

欧州では、前期の事業再編に伴う構造改革で不採算店を閉鎖し、収益性の改善が進んだことにより増収増益となりました。北米では、店頭在庫の拡充が既存店の売上伸長に寄与するとともに、カナダの不採算店舗の閉鎖も利益改善に貢献し、増収増益となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動および新規出店等による投資活動、並びに財務活動を行った結果、前連結会計年度末に比べ98億31百万円増加し1,353億59百万円となりました。

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動の結果獲得した資金は、733億55百万円(前年は585億4百万円の収入)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益659億58百万円によるものです。

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動の結果使用した資金は、409億31百万円(前年は276億54百万円の支出)となりました。

これは主に、店舗等の有形固定資産の取得による支出233億19百万円およびソフトウエア投資等の無形固定資産の取得による支出150億7百万円によるものです。

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動の結果使用した資金は、221億20百万円(前年は234億12百万円の支出)となりました。

これは主に、リース債務の返済による支出128億68百万円および配当金の支払116億34百万円によるものです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)販売実績

当連結会計年度における販売実績(営業収益)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

営業収益(百万円)

前期比(%)

国内事業

470,143

120.9

東アジア事業

222,247

114.2

東南アジア・オセアニア事業

50,105

128.0

欧米事業

42,133

107.9

合計

784,629

118.6

(注)営業収益の商品別の構成は次のとおりであります。

商品別

営業収益(百万円)

前期比(%)

衣服・雑貨

285,294

114.7

生活雑貨

368,184

121.6

食品

104,655

121.6

その他

26,495

110.3

合計

784,629

118.6

 

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 営業収益及び営業総利益

当連結会計年度の営業収益につきましては、前連結会計年度に比べて、1,229億52百万円増(前期比18.6%増)の7,846億29百万円となりました。セグメント別の営業収益の詳細については、「生産、受注及び販売の実績 (1)販売実績」に記載しています。

また、営業総利益は、前連結会計年度に比べて665億65百万円増加し4,029億75百万円となりました。営業収益に対する比率は51.4%となり、前連結会計年度より0.5ポイント増加しました。

② 販売費及び一般管理費及び営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度に比べて488億60百万円増(前期比17.4%増)の3,291億35百万円となりました。営業収益に対する比率は42.0%となり、前連結会計年度より0.4ポイント減少しました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べて177億4百万円増加し、738億40百万円となりました。営業収益に対する比率は9.4%となり、前連結会計年度より0.9ポイント増加しました。

③ 営業外損益及び経常利益

当連結会計年度の営業外収益につきましては、前連結会計年度に比べて2億91百万円減少し、22億84百万円となりました。また、営業外費用につきましては、8億89百万円増加し38億22百万円となりました。

この結果、経常利益は前連結会計年度に比べて165億24百万円増加し、723億1百万円となりました。営業収益に対する比率は9.2%となり、0.8ポイント増加しました。

④ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の特別利益につきましては、前連結会計年度に比べて96億37百万円減少し、3億79百万円となりました。また、特別損失につきましては、前連結会計年度に比べて8億42百万円増加し、67億22百万円となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて60億44百万円増加し、659億58百万円の利益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて92億80百万円増加し、508億46百万円の利益となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容及び資本の財源及び資金の流動性に関する情報

① 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店および既存店舗の改装といった設備投資、情報システム投資によるものであります。

これらの運転資金や投資資金は、自己資金により充当し、必要に応じて資金調達を実施する方針としています。

② キャッシュ・フローの分析

当社グループの資金の状況につきましては、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループの自社ブランド商品「無印良品」の生活者のニーズへの対応と新規需要開拓のために、常に最新の商品情報を収集し、意欲的な商品研究開発活動を進めております。

商品開発部門である衣服・雑貨部、生活雑貨部及び食品部において商品企画開発を進めております。また、衣服・雑貨部及び生活雑貨部内に企画デザイン室をそれぞれ設置し、更なる商品開発の強化を図っています。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,894百万円であります。

なお、当社グループにおける研究開発活動は概ね全セグメント区分に共通する「無印良品」の開発を目的としておりますので、セグメント別の記載は行っておりません。