第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループの経営理念である『第一にお客様とその未来のために』、『第二に社員とその未来のために』、『第三に企業とその未来のために』ということを常に念頭におき、お客様のお困りごとに向き合い、問題解決のために何ができるかを考え、提案のできる人材を育成し、世界的な「ホスピタリティブランド」になることを指針としております。

 

(2) 経営戦略及び経営上の目標

当社グループでは、創業以来『お一人おひとりにお合わせする』ということをモットーとしており、画一的な店舗や商品を揃えて大量に販売することよりも、この店舗に来て楽しかった、この商品を購入して良かった、と思ってもらえるよう、お客様それぞれの生活シーンに合わせた提案ができることを目指しております。

その結果、ひとりのお客様が何度も足を運んでいただき、長くお付き合いをしていける関係を大事にすることで、またその方から新たなお客様へと繋がり、それが販売数量と売上高に反映されるものと考えています。また、マーケットが変化し、お客様の来店数が減少している店舗につきましては整理統合をすすめ、一店舗当たりの売上高の増加と収益性の改善が可能だと考えており、安定した営業利益額を出していくことが当面の経営目標であり、中長期経営計画にて策定しましたとおり、2030年度をめどに営業利益率10%以上とすることを目指しております。

 

(3) 経営環境および対処すべき課題

①新型コロナウイルス感染症および世界的政情の影響と対応

新型コロナウイルス感染症の拡大懸念は概ね治まりましたが、今後もこのような事態に直面した際にどう対応するのかの教訓を得ることはできました。どのような状況であっても、眼鏡は目の不自由な方々にとっては必需品であることには間違いなく、引き続きお客様の不安やお困りごとにお応えできるように、社員のレベルアップ(有資格者の増加)を強化してまいります。

また、世界的に政情が不安定となっているなか、原材料費の高騰が懸念されていますが、できるだけ商品価格が上がらないよう社内的にも無駄を削減し努力してまいります。しかしながら一部商品につきましては、価格に転嫁せざるを得ない状況となっておりますので、適正な価格設定を十分検討してまいります。

さらに、店舗の出店や改装にかかるコストも既に上がってきておりますが、デザインや調達資材の見直しなどで、コスト増を抑える努力をしてまいります。

今後、インバウンド需要も回復してくると見込んでおりますが、ECサイトの充実や、若い層を中心にデジタルマーケティングにも力を入れていくことが課題となっております。そのような中、『オペラクラブ』というオリジナル会員制を設け、情報発信を始めております。今後このような取り組みにも力を入れていく予定です。

②市場環境と顧客動向

国内においては、人口の減少、少子高齢化が恒常的な課題となってきているなか、人生を有意義に健康で楽しく過ごしたい、と多くの方々が望みながらも、身体機能の衰えに不安を感じていると思われます。そのような不安を少しでも解消するために何ができるのか、またアクティブシニアと呼ばれる方々に対して、視力や聴力のプロフェッショナルに気軽に相談いただき、信頼関係を築いていくことが大変重要であると認識しております。

また、自然環境への配慮をしていくなか、たくさんモノを買う時代から、本当に必要なものを大切に使う思考へのシフトは徐々に浸透しており、品質はもとより、愛される良いものを提供していく企業グループであること、そしてアフターフォロー、メンテナンスを徹底して行うグループ体制を継続し、啓蒙していくことこそ使命であると考えています。

③同業他社との違い

当社グループは、ただモノを売る会社ではなく、目や耳に関するお困りごとを相談でき、問題解決のための提案ができる経験値のある社員と技術力が強みであると認識しています。なお、2022年4月に「眼鏡作製技能士」制度が開始され、2022年11月には日本初の国家検定資格者が誕生し、当社でも746名の社員が認定されました。今後も有資格者を増やしていくことで、よりお客様の「あんしん」にお応えできる人材を育成してまいります。また聴力検査室(防音室)を設置している国内店舗は500店以上あり、全国に補聴器を取り扱える店舗と社員が配されています。五感の中でも最重要要素である、見る・聴く、という感覚はある程度道具で補えますが、何を、どの程度、どの場面に合わせればよいのか、どこよりも高い技術力で全国対応できる体制となっております。

また、ライフスタイルや、趣味嗜好も一様ではないなか、店舗づくり、商品、視力測定のあり方にもこだわった、多様な店舗形態を用意できます。現在、出店、そして店舗改装や退店を伴う移転統合をすることにより、地域に合わせたコンセプトを明確にし、画一化された他社との差別化を行い、驚きと安心感が同居したワクワクするような当社ならではの店舗への転換を図っているところです。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

2022年4月1日に㈱三城ホールディングスから㈱パリミキホールディングスに社名を変更いたしました。お客様に利用していただいている店舗名称と株式上場銘柄名として表示される商号を一致させることにより、「パリミキ」ブランドを認知していただき、また当社株式にも関心を寄せていただけるように引き続き取り組んでまいります。

また、創業以来の経営理念である、「第一にお客様とその未来のために」「第二に社員とその未来のために」「第三に企業とその未来のために」ということを基本に、さらに「トキメキ」と「あんしん」を提供する企業へと進化していくことを念頭においた中期経営計画を開示いたしました。

今後も主力であります眼鏡事業におきましては、今までのあり方にとらわれず、関連する事業への拡大や、眼鏡店として培ってきた経験と志を活かし、メディカル関連事業など新たな分野へのチャレンジも変わらずに進めてまいります。

①店舗戦略

店舗展開に関しましては、引き続き不採算店舗の見直しを行い統廃合をすすめ、一店一店がお客様とより深い関係が築けるよう体制を強化してまいります。また、「トキメキ」を感じていただけるような店舗づくり、地域や客層に合わせるために品揃えや販売方法を変えた店舗セグメントに基づく店舗改装にも継続して取り組んでいるところであり、計画的に投資をしていく方針に変わりはありません。

なお次期の国内新規出店につきましては、ショッピングセンターや郊外独立店舗において、居抜き物件等を含め20店舗を見込んでおり、また不採算店を中心に統廃合を含む退店を19店舗計画しております。

②商品戦略

商品に関しましては、機能性やデザイン性に優れた、Made in Japan のPB眼鏡フレームの拡充、また眼鏡レンズにおきましては、目的別に機能を持ったものや、目の健康に配慮した優れた商品の開発とアピールを継続して行っております。さらに日本国内にレンズ工場を新設したシャミール社との業務提携により、通常は一週間程度を要する遠近両用レンズの納期を24時間以内に短縮したレンズを日本で初めて取り扱っており、今後も新たなニーズに応えるべく、品質とサービスの向上、新たな市場の開発に努めてまいります。

また、眼鏡フレームメーカーとしてグループ子会社となっている㈱クリエイトスリー、そして眼鏡修理を専門とする㈱オプトメイク福井との連携により優れたPB商品を開発し、商品の企画、開発からメンテナンスまで一貫して行える企業グループとして、愛着のある良い商品を長く使っていただくことにより、環境を守ることにも貢献したいと考えております。

③海外戦略

海外子会社につきましては、今後人口ボーナス期が予想される東南アジアを中心に将来性のあるところには新たな投資を計画しております。特に医療(眼科)ビジネスとの協業については、中長期的な成長を視野に取り組んでいるところであり、ベトナム、フィリピンに続き、カンボジアへの展開など、今後も積極的に投資してまいります。

また今後も、市場が厳しい地域では既存店舗の立て直しを進めながら不採算店の整理をしており、経済状況を見極めながら縮小していく方針です。

 

新型コロナウイルス感染症は概ね終息してまいりましたが、このような事態はいつまた起こるか分かりません。また世界的な紛争や地政学的な問題もなくなったわけではなく、どのような状況にあっても常にお客様の心配ごとに応えてまいりながら、信頼をさらに高めていくことが大切であると考えます。安心してお越しいただける居心地の良い店舗、信頼できる社員がいること、そのための店舗改装などの設備投資と社員教育に、引き続き注力してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、お一人おひとりに「お合わせする」ことを経営の基本方針としております。事業活動を通じて、お客様の抱えられている課題の解決と社会の発展に貢献することにより、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様とともに歩んでまいりました。世界中でさまざまな社会課題が深刻化するなかで持続可能な社会の実現を目指していくために、この原点に立ち返る経営がより一層重要になると考えており、当社グループのパーパスである「『トキメキ』と『あんしん』でお一人おひとりをより豊かに」を実現することで、皆さまから求められる価値ある会社となるよう企業価値の向上に努めてまいります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、気候変動問題を含めたサステナビリティに関する基本方針などの重要事項、およびサステナビリティを巡る課題と取り組みについて、「人、地域、国、そして地球とその未来のために、私たちができることを常に考え、行動する」の方針のもとで「地球を元気にする委員会」(サステナビリティ委員会)において審議しております。同委員会では、当社グループにおける気候変動などの地球環境問題への対応、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先様との公正・適正な取引、社会貢献活動・災害支援活動等の実施について審議することとしております。これらの審議内容のほか、当社グループにおける各種の活動状況をレビューし、取締役会に報告・提言を行っております。取締役会での審議と指示・監督のもとで前述の活動を同委員会が推進することにより、サステナビリティ課題を巡る取り組みに対する取締役会の監督機能の充足を図っております。

詳細につきましては、当社のウェブサイト(https://www.paris-miki.com/)の「サステナビリティ」のページをご参照ください。

 

(2)戦略

当社グループでは、気候変動によるリスクおよび機会の特定にあたり、当社グループにおける製品およびサービスを対象として、2030年時点における影響を考察・分析しています。分析にあたってはIPCCやIEAが公表するシナリオを用いて、産業革命期頃の世界平均気温と比較して2100年頃までに4℃上昇するとする4℃シナリオと、カーボンニュートラルへの取り組みにより1.5℃~2℃程度に気温上昇が抑制される2℃未満シナリオの2つのシナリオを設定し、それぞれの世界観において将来予測される影響を考察しました。

4℃シナリオにおいては台風や大雨をはじめとする異常気象の激甚化に伴う物理的リスクが拡大し、主に洪水被害によって約295.4百万円の被害を推計しております。対して2℃未満シナリオでは物理的被害予測は約半減するものの、炭素税や電力価格の高騰により、約57百万円の移行リスクに伴う支出増を試算していますが、一方で防災減災ニーズやエシカル消費の拡大をはじめとする顧客行動変化を示唆する将来予測パラメータから、双方のシナリオともに事業機会および社会貢献の可能性を認識しております。

2℃未満シナリオ

参考シナリオ

IPCC:RCP2.6

IEA:SDS / NZE2050

リスク

カーボンプライシングによって事業運営コストが増加する

リスク

再生可能エネルギーへの切り替え導入に伴いエネルギーコストが上昇する

リスク/機会

お客様のサステナブル消費意識の高まりから商品の買い替え頻度が低下することによる、販売数の減少や、修理事業の収益増が見込まれる

機会

ECO素材を採用したメガネフレームの導入等、エシカル消費嗜好に対応した商品の製造・販売拡大が見込まれる

 

4℃シナリオ

参考シナリオ

IPCC:RCP8.5

IEA:STEPS

リスク

異常気象の激甚化による損害やサプライチェーンの寸断による営業停止により、収支に影響を及ぼす。

リスク

慢性的な気温上昇により、空調コストが増加する

機会

日照時間の増加等の気象パターン変化に伴い、サングラスやUVカットレンズといった紫外線対策商品への需要が拡大する

 

これらの分析を踏まえ、具体的な対応策を各事業で検討・立案し、不確実な将来世界のあらゆる可能性に備えるとともに、今後もさまざまな動向を踏まえて分析を定期的に行い、評価の見直しと情報開示の質・量の充実に努めてまいります。

なお、現在の取り組みにつきましては、当社ウェブサイト(https://www.paris-miki.com/)の「サステナビリティ」「環境」ページの各項に記載しております。

 

また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針については、当社グループのパーパス(存在意義)である「『トキメキ』と『あんしん』でお一人おひとりをより豊かに」していくことを実践できる、個性豊かな人材を育成していくことにより、長期のビジョン(目指す姿)である「2030年、私たちは世界的な『ホスピタリティブランド』になる」ことの実現を目指してまいります。

取締役会の重要決定事項として経営資源の配分を決定することとしており、人的資本への投資については、中期経営計画における重要課題の1つとして人材育成を盛り込んでおります。特に、高齢化に伴う目の衰えやスマートフォン等の普及による子どもの視力の低下など、目に関する不安やお困りごとが多様化・高度化しており、社会的課題として捉えられています。お一人おひとりにお合わせする適正な眼鏡を作製する必要性と、眼科医との連携により目の健康を守るための眼病未病への取り組みの重要性が求められているなかで、2022年より国家検定資格となった「眼鏡作製技能士」の資格取得を中心に、人材の育成と社内環境の整備に取り組んでまいります。

詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://www.paris-miki.com/)の「サステナビリティ」「顧客満足推進」ページをご参照ください。

 

 

(3)リスク管理

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載したシナリオ分析を含む気候関連リスクについては、「地球を元気にする委員会」において検討・評価を行い、同委員会が当社グループにおける取り組みの推進を担っております。また、特定された気候関連リスクは当社グループ全体の総合的なリスク管理体制の整備・運用に関する事項の決定・監視・改善を担うリスクマネジメント委員会にも共有され、全社リスクへ統合のうえ当社グループにおける重要性を評価のうえ、対応を検討・実施しております。

詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

2020年度実績値におけるScope1・Scope2の温室効果ガスの排出総量は約5,599 t-CO2eqと試算しております。パリ協定における長期目標2050年カーボンニュートラル達成だけでなく、再生可能エネルギーへの切替をはじめ、削減に向けた対策や、中期削減目標の設定、Scope3排出量の算定および削減目標の設定について検討してまいります。

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詳細につきましては、「当社のウェブサイト(https://www.paris-miki.com/)の「サステナビリティ」 「環境」 「気候変動(TCFD提言に基づく開示)」」のページをご参照ください。

 

また、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標について、上記「(2)戦略」において記載した国家検定資格「眼鏡作製技能士」については、当社グループでは制度開始初年度より746名もの資格保有者を輩出することができました。これはお客様の抱える課題の解決に積極的に取り組もうとしてきた社員の努力と、お一人おひとりのお客様に「お合わせする」技術の向上のために眼鏡医療技術専門学校ワールドオプティカルカレッジと連携した社員教育について、これまで継続して取り組んできた成果だと考えますが、今後も、資格保有者数の目標(2025年に1,200名以上)の達成に向けて、策定している資格取得を支援する教育プログラムに基づき、人材育成を図り、経営戦略と連動した人材育成に取り組んでまいります。具体的には、社内研修の履修内容と国家検定資格受験科目との連動性を高めること、資格取得にかかる費用の一部を支援するなど社内環境の整備に取り組んでおります。

 

 

なお、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績および目標は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2025年3月までに10.0%

6.0%

男性労働者の育児休業取得率

2025年3月までに80.0%

44.4%

労働者の男女の賃金の差異

(正社員)2025年3月までに85.0%

(契約社員)2025年3月までに93.0%

(正社員)81.2%

(契約社員)91.3%

(注)上記の実績および目標は、連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社および主要な連結子会社((株)パリミキ)の合計で算出しております。

 

人材の採用および登用においては一人ひとりの個性を重視し尊重すること、また、人材育成においても性別・年齢などの属性によらず個人のオリジナリティや得意分野などの個性を活かすことを基本方針としております。

近年の国内の正社員採用においては過半数が女性でありますが、社員数に占める女性管理職比率は相対的に低い水準にあると認識しておりますので、社員構成比率に近づけるよう、研修の実施、働きやすい環境の整備と就業制度の見直し等を行い、管理職登用者の増加に取り組んでまいります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況、消費動向について

当社グループの主要市場(主に日本国内、続いて中国、東南アジア)の政治、経済状況の著しい変化及び主要市場における予想を上回る競争状況の激化、長期化及びこれらに伴う消費縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 自然災害等について

当社グループは、日本全国および海外各国に店舗を有しており、これらの店舗の立地する地域において、地震、暴風雨、洪水、津波その他の大規模な自然災害や大規模な事故・火災による店舗の損壊や従業員への被害の発生、またこれらの災害に起因する停電・断水・交通網の寸断など社会的インフラのき損・停止が長期化した場合、あるいはテロ、戦争その他による社会的混乱が発生した場合には、生活者の意識と消費行動に変化を及ぼすとともに店舗の営業継続が困難となるため、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に対応する取り組みとして、気候変動によるリスクおよび機会の特定にあたり行ったシナリオ分析(4℃シナリオ)においても、当社グループにおける自然災害による物理的リスクは相対的に高い結果となっております。また、新型コロナウイルス感染症等の伝染性疾病の流行に対する感染拡大防止のため、日本を含む各国政府の発令による外出禁止令・外出自粛要請等により個人の消費行動が制限される場合、あるいは、店舗において休業や営業時間の短縮などの対応措置をとる場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらに対するリスク管理におきましては、リスクマネジメント委員会によりリスク管理体制の構築および運用を行っており、事前予兆対応体制の整備として災害対策マニュアルを整備し、各店舗における防災対策の確認と、従業員の安否確認システムの通報訓練を行う全社防災訓練を年2回定期的に実施しております。

新型コロナウイルスの感染拡大時の対応については、お客様に安心して当社グループの店舗を利用していただけるよう、お客様ならびに社員の健康と安全確保を第一に、対応指針を策定し対策を実施いたしました。これらの自然災害等のリスク発生時には対策本部を設置し迅速な対応を行い、損害の拡大を防止し復旧に取り組むとともに、経営理念・信条に則り社会的使命をもって顧客、地域社会等への支援活動を実施しております。

(3) 仕入れ調達・物流について

当社グループでは特定の取引先に大きく依存することなく国内外より仕入れを行うことによる安定的な調達と物流の効率化に努めておりますが、主要仕入れ品目である眼鏡フレームの仕入れ先は特定の地域(福井県鯖江市)への集中度が高く、物流は当社グループの流通センター(兵庫県姫路市)より各店舗への集中配送を行っております。需要の急増やこれらの地域における天災地変等により調達・物流網に重要な支障をきたした場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システム管理について

当社グループは、商品、販売等の情報をコンピュータにより管理しており、システム上のトラブル等、万一の場合に備えて保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。しかしながら、想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能のコンピュータウイルス感染等によって、システム障害や社内情報の漏洩等の被害を被る可能性があり、当社グループの業績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 人材の確保、育成について

当社グループは、国内外に700店以上の店舗を展開しており、お客様のお困りごとを伺いながら一人ひとりのお客様に合わせた提案を行う質の高いコンサルティングを実施しております。サービスの水準を維持し向上を図るため、人材の確保と育成においては、従業員の能力引出し制度の導入と公正な人事評価制度を実施しておりますが、少子高齢化による労働力人口の減少が懸念されているなかで、今後優秀な人材の確保や育成が計画通りに進捗しない場合は、中長期において当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 固定資産の減損について

当社グループは、保有する固定資産のグルーピングを国内は店舗単位で行っております。店舗の営業損益に悪化がみられ回復が見込まれない場合や土地または建物の時価が下落した場合は、減損会計の適用により損失を計上する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 法的規制、訴訟等について

当社グループは、日本国内においては会社法、金融商品取引法、法人税法、医薬品医療機器等法等の法令に加え、店舗設備、労働、環境等店舗の営業に関わる各種法規制や制度の制限を受けており、海外の各拠点においても同様に各国政府の法令、規制の適用を受けております。これらの法的規制が変更・強化された場合には、海外を含む各子会社と本社の関係部署が連携・支援して対応することとしておりますが、法的規制に対応するための新たな費用が発生する場合があります。また、法的規制の強化に適応できなかった場合、あるいは万一法令に抵触することになった場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、当社グループの業績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当連結会計年度において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりませんが、将来において業績に影響を及ぼす訴訟等が発生し当社グループにとって不利な判断がなされた場合、あるいは不利な内容の和解がなされた場合には、当社グループの業績及び財務状況並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 個人情報の管理について

当社グループは、店頭販売を主とする営業取引およびインターネット取引等により、相当数の個人情報を保有しております。これらの個人情報の管理は社内管理体制を整備し、厳重に行っておりますが、万一個人情報が外部へ漏洩するような事態となった場合は、社会的信用の失墜による売上の減少、または損害賠償による費用の発生等が考えられ、その場合には当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) 資金調達について

当社グループは、資金調達の機動性及び安定性の確保を目的として、取引銀行1行とグローバル・コミットメントライン契約を締結しております。本契約には一定の財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 為替相場の変動について

当社グループは、海外における事業展開及び輸出入取引に伴う外貨建て決済があり、また海外子会社に対して外貨建て貸付金を有しております。予想を大幅に上回る為替相場の変動が生じた場合には期末での換算差額が為替差損益として発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 製品の欠陥および製造物責任について

当社グループは、取扱商品の安全性等に十分配慮しておりますが、製品の欠陥により重大な事故が生じた場合には、製造物責任法に基づく賠償責任が生じる場合があり、さらに当社グループに対する信用失墜による売上高の減少等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(12) その他の関係会社に関する重要事項

㈱ルネットは、当社の主要株主であり、「その他の関係会社」であります。同社と当社の一部の国内連結子会社の間で取引関係のある店舗等の賃貸借については、近隣の取引実勢を踏まえながら決定しております。商品の仕入につきましても特別な条件はありません。なお、当社と㈱ルネットとの間に債務保証契約の取引関係がありましたが、2023年3月31日時点において解消しております。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」における注記事項「関連当事者情報」をご参照ください。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状況及び経営成績の状況

当連結会計年度における国内の経済状況は、「ウィズコロナ」を前提としつつも経済活動の正常化が進み、緩やかに景気も回復してきたものと見られます。個人消費も物価上昇の影響はあるものの持ち直してきており、インバウンド需要も徐々に戻っていることから、回復基調となりました。

小売業界におきましても、コロナウイルス感染の懸念がまだ残っていたため、感染拡大前の客足には戻ってはいないものの、消費マインドが良くなってくる兆しが感じられる状態となりました。

当社グループにおきましても、日本国内では繁忙期である7月~8月、11月~12月に感染拡大の懸念が再燃したため、見込んでいた売上の伸びまでにはなりませんでしたが、概ね前年を上回る売上高で推移し、確実に回復へ向かっていると感じられる結果となりました。特に、コロナ禍で減少していたサングラス売上や補聴器売上が回復しており、インバウンド需要が本格的に戻った際には更なる伸びが期待できるものと見ています。

海外子会社におきましては、中国法人については政府のロックダウンが続いたことで損失が拡大し、海外法人合計でも営業損失となりましたが、その他の法人はコロナウイルス感染拡大の影響は、第3四半期、第4四半期連結会計期間にはほとんどなくなり、特に東南アジアの各法人は、前年を上回る売上高、利益を計上しております。

 

報告セグメントの業績は、次のとおりであります。

1)日本

国内の売上高は41,801百万円(前年同期比6.2%増)、セグメント利益849百万円(前年度はセグメント損失287百万円)となりました。主要子会社であります㈱パリミキの店舗におきましては、2022年4月1日の商号変更と同時に、西日本では「メガネの三城」としていた屋号を、「パリミキ」として全国で統一し、お客様の認知度を上げるべく取り組んでまいりました。感染拡大の懸念がまだ残り、繁忙期である夏の販促、冬の販促の伸びが期待するほどではなかったものの、店頭の小売売上は概ね前年を上回って推移し、当連結会計年度における前年同期比は4.4%増となりました。特にコロナ禍におきましても移転新店や店舗タイプの変更を伴う改装などの投資を行った店舗は、売上と客数を順調に伸ばしており、売上高、利益を牽引しました。

また、主に百貨店内でメガネサロンを展開しております㈱金鳳堂におきましては、順調に客足も戻り、当連結会計年度における売上高の前年同期比は10.5%増となっており、利益も改善しプラスに貢献しております。

小売業態とは別に医療関連業務サポート事業にも取り組んでいるなか、メディカル事業法人は一定の利益を確保しており、今後も安定して利益に貢献すると考えております。また、眼鏡小売店舗とのコラボレーションや社員研修などによる人材育成の場としてもグループでのシナジーが生み出せるものと見込んでいます。

2)海外

海外の売上高は5,912百万円(前年同期比20.1%増)、セグメント損失38百万円(前年度はセグメント損失213百万円)となりました。海外子会社におきましては、概ねコロナウイルス感染拡大前の客足に戻っており、特に東南アジアにおけるマレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン法人は感染拡大前の売上まで回復しており、利益にも貢献しています。特に眼科病院と眼鏡小売店舗の一体経営ビジネスモデルを実践しているベトナム法人におきましては、眼科クリニック併設店舗の2号店をオープンし、眼科病院、店舗ともに前年を大きく上回りました。しかしながら、中国法人は厳しい外出制限が続いたことなどにより、売上高、利益共に前年同期間を大きく下回ったため、海外法人合計は営業損失という結果になりました。

 

 財政の状態につきまして、当連結会計年度の総資産におきましては、前連結会計年度末残高に対して1,586百万円増加して、37,371百万円となりました。これは主に、流動資産における現金及び預金が908百万円、建物及び構築物が606百万円増加したことによるものです。
 また、負債におきましては、前連結会計年度末残高に対して829百万円増加して、9,167百万円となりました。これは主に、流動負債における未払金が277百万円、未払法人税等が293百万円、未払消費税等が121百万円増加したことによるものです。

 純資産におきましては、前連結会計年度末残高に対して757百万円増加して、28,204百万円となりました。これは主に、利益剰余金が164百万円、為替換算調整勘定が410百万円増加したことによるものです。

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度に対して632百万円増加し、10,408百万円となりました。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は2,608百万円(前年度期末は1,512百万円の収入)となりました。これは主に、

税金等調整前当期純利益907百万円と減価償却費及びその他の償却費894百万円、減損損失434百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,776百万円(前年度期末は330百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,618百万円によるものです。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は487百万円(前年度期末は3,518百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額による支出148百万円と配当金の支払額305百万円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループの事業内容は、国内外の眼鏡小売業を主たる事業としているため、生産及び受注の実績に替えて仕入実績を記載しております。

 

(a)仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

12,575

114.5

海外(百万円)

2,485

122.2

合計(百万円)

15,061

115.7

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(b)販売実績

当連結会計年度の商品販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

41,611

106.0

海外(百万円)

5,789

119.6

合計(百万円)

47,400

107.5

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」における注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におきましては、売上高47,400百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益732百万円(前年度は営業損失500百万円)、経常利益は1,206百万円(前年同期比586.9%増)、不採算店舗等の減損損失434百万円などを計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益501百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,108百万円)となりました。以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析します。

1)売上高

連結売上高は47,400百万円(前年同期比7.5%増)となり、前連結会計年度に比べて3,308百万円増加いたしました。コロナウイルス感染の懸念が治まりつつあり、インバウンド需要も戻り始めたことで国内の客数が伸びたことが、売上高増の要因としてあげられますが、コロナ禍におきましても店舗の改装や、移転を伴う出店などの投資を続けていたことも結果になって表れたものと考えています。また主に百貨店に展開しております金鳳堂におきましては、コロナ禍では客足が大きく減少しましたが、抑えられていた富裕層の購買意欲も徐々に戻り、客数、単価ともに大きく改善していることが売上高増に寄与しております。

なお、海外法人におきましては、コロナウイルス感染の懸念概ね治まったものの、中国における厳しい外出規制が続いたことで、前年売上を下回りましたが、東南アジアの法人が堅調に回復したことで、円換算ベースで20.2%増、現地通貨ベースでも5.9%増と前年実績を上回る結果となりました。

2)営業損益、経常損益

連結営業利益は、732百万円(前年度は営業損失500百万円)となり、前連結会計年度に比べて利益額が1,232百万円増加いたしました。前連結会計年度はコロナウイルス感染症の影響が残り、売上高がコロナ禍以前までには戻らないなか、今後を見据えた販促や店舗改装、移転新店などの投資を続けたことで営業損失とはなりましたが、当連結会計年度は客足が戻り始めたことと、投資をしていた店舗などが好調だったことにより、営業利益が改善した結果となりました。なお営業外収益におきまして、自社開発商品用の素材として保有しておりました金素材を、この先の使用見込みが減ったため売却処分を行ったことなどにより、貯蔵品売却益を235百万円計上したため、経常利益は1,206百万円(前年度は経常利益175百万円)となっております。

3)親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、501百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,108百万円)となり、前連結会計年度と比較して1,610百万円の利益額増加となっております。特別損失において、国内店舗、子会社等の固定資産の減損損失434百万円の計上があったものの、投資その他の資産として保有しておりました金地金につきまして、昨今の金価格の推移を鑑み一部を売却したことにより、売却益211百万円を計上したことが利益増加の主な要因であります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に店舗に関わる設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としておりますが、必要に応じて設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を使用する場合があります。

また、緊急時の流動性を高めるため、取引銀行とグローバル・コミットメントライン契約を締結しており、新型コロナウイルス感染症の拡大等による不測の事態に備え、機動的な資金調達方法を確保しております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,025百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は10,408百万円となっております。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社グループは、資金調達の機動性及び安定性の確保を目的として、取引銀行1行とグローバル・コミットメントライン契約を締結しております。なお、当社及び連結子会社に係る貸出コミットメントの総額は4,100百万円であります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、『「見えにくい」というお客様の問題を解決する』=『お客様お一人おひとりにお合わせする』ことを目的として研究開発を積極的に推進しております。

なお、主な研究開発活動は次のとおりであります。

1.研究開発

(1) お客様の視生活への貢献

・スポーツビジョンの研究を継続

視力の測定というと静止視力表によるものが主ですが、アスリートに限らず人間に必要な視力は、動いているモノや薄暗いところでの視力、瞬間的に見えるものを見分ける視力であり、それらを測り、評価することで、今まで知り得なかった視力を判別し、表示できると考えております。そのためのデータの取得や分析の地道な継続により、一般的な趣味としての各スポーツ、天候や時間帯別の車の運転、職種別の仕事環境、デスクワークやテレワークといった様々なPC操作やスマホ操作など、多岐にわたるシーンに必要な視力表や測定方法を研究開発しております。

・レンズ開発の基礎研究

レンズは各メーカーからさまざまなタイプが出されていますが、その評価は作製したメーカー独自のものです。これに対し当社グループでは、全てのレンズにおいて、客観的評価の重要性を認識し、レンズの性能そのものの評価作業を継続して行っております。これは同業他社では行っておりません。光学研究所ならびに眼鏡専門学校が並列で存在するため、お客様や社員からの疑問や提案から生まれる新しい発想のレンズのモニタリングへと循環され、機能性の高い快適なレンズの開発に寄与しております。

・眼科紹介基準の提案

眼鏡は古くから半医半商と言われ医療に関係の深い項目も含まれ、眼鏡店に来店される前にまず、眼科での検査をした方が良いと思われるお客様が多く存在します。どのような時に眼科を紹介すべきか、ある程度医学的知識が必要となり明確な基準を設けることは非常に難しいですが、眼疾患があるのに眼科での診察を行わずに眼鏡を作製してしまうと、疾患が進行し視力が向上しない状態になってしまう危険性があります。光学研究所では、当社グループで推進している「ビジュアルライフケア(VLC)」と協働し、少しでも異変を感じる場合は必ず眼科での診療をお勧めした上で、必要に応じて眼鏡を作製するという基準を提案しております。

(2) 日本眼鏡学会に研究成果を発表並びに運営に貢献

眼鏡に関わる基礎的研究や情報交換から新機能技術の発展につながると考え、継続した眼鏡学会への研究発表を行っております。2022年度は「片眼視力の低下が深視力に与える影響」について発表を行い、2023年度は「明所から暗所への移動時に遠近感が低下する事例」について発表いたします。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は71百万円となっており、セグメント別としては日本のみであります。

 

2.社会貢献

(1) 視機能測定者の育成

 三城光学研究所職員は専門学校ワールドオプティカルカレッジと共に、(公社)日本眼鏡技術者協会の正式な講師として日本における視力の測定技術の構築と発展をめざし、全国での講演のほか、視力関連、視機能関連の指導を行うなど、自社社員の眼鏡作製技能士(国家検定資格)取得の促進にも力を入れ、眼鏡業界での測定スペシャリストの育成にも力を入れております。また、国土交通省からの依頼で、岡山県道路交通安全アドバイザーとして現地点検及び意見交換を行うなど、地域の安全促進にも携わっております。

(2) 移動訪問サービス

 眼鏡販売やメンテナンス、視力測定はもちろん、補聴器の不具合や聴力でもお困りの方がいらっしゃるコミュニティや施設を訪問するサービスを継続して行っております。全国で22台の視力測定機器を積載した車両を保有しており、交通弱者の個人の方でもお気軽にご依頼いただいております。また災害時には支援活動に出向くなど、大きな役割を担っております。

(3) 日本の技術と職人の継承

 日本製眼鏡は200工程から多いもので300工程をかけて作製されております。昨今の同業他社によるファストファッション眼鏡の多くが中国、韓国製品であり、それらは日本製の半分ほどの製作工程になることで、廉価で納品スピードも早い一方、修理に耐えられる品質や素材ではありません。クリエイトスリーに加え、修理専門のオプトメイク福井がグループ傘下に加わったことにより、使い捨てではない、持続可能な眼鏡小売のあり方が可能になりました。また、工場では最新の溶接機と熟練工による修理にとどまらず、技術継承のための社員教育、店頭を通さないお客様とのダイレクト受注が可能なオンラインシステムの構築など、柔軟に取り組み、「良いものを修理して長く使う」啓蒙活動を行うことで持続可能な社会への取り組みをしてまいります。

(4) スリランカへメガネを寄贈

 スリランカの人々は、日本に多くの治療用角膜を提供してくださっています。その恩返しとして当社グループでは、1991年からお客様がお持ちの不要なメガネを全国の店舗でお預かりし、クリーニングやリフォームを行い、メガネの不足しているスリランカへ寄贈する活動を継続しており、今までに寄贈したメガネは55,000本となっております。なお、2018年から2022年は、スリランカの情勢不安により一時的に停止していましたが、2023年は、4,200本を寄贈する予定です。

(5) 自然災害における支援活動

 1991年の雲仙普賢岳の火砕流災害をきっかけに、眼鏡を失い困った方々に無償で眼鏡を提供する活動を始めまし

た。その後も国内外の災害が起こった際に、現地の避難所を訪問し簡易測定をした上で、眼鏡などを提供する活動

を続けております。また、そのためのプロジェクトチームを発足させ、様々な度数の眼鏡を作成し備蓄もしており

ます。2019年度も台風15号・19号が千葉、長野、福島にもたらした災害におきまして、近隣店舗での眼鏡やボランティア用のゴーグルなどの無償配布を行いました。今後もお困りの方々のために、この活動は続けてまいります。