当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は1948年の創業以来、企業理念「誠心誠意 お客様のお役に立つ愛される企業」のもと、ネットワークソリューションビジネスとSIソリューションビジネスを柱に社会の発展に貢献してまいりました。2023年3月に75周年を迎え、今後80周年(2028年)、100周年(2048年)に向けて、これまで以上に社会に貢献し社会から必要とされる企業であるために、私たち社員の意識変容と行動変容につなげられる言葉として、存在意義である「パーパス」と行動基準である「スタイル」を制定いたしました。企業理念、パーパス、経営ビジョン、スタイルの浸透を通して、社員一人ひとりのエンゲージメント向上と、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくとともにさらなる企業価値の向上に努めてまいります。
<企業理念>
誠心誠意 お客様のお役に立つ愛される企業
<パーパス>

<経営ビジョン>
ココロ躍る未来を創造するICTデザインパートナー
~これからの時代変化を捉えICTを通じてお客様とともに成長するビジネスパートナーを目指します~
<スタイル>
1. 伸び伸び挑戦しよう
激しく変化する環境の中でお客様ニーズを察知し、新たな技術を積極的に取り込みます。
失敗を恐れず自由な発想でワクワクしながら挑戦を続けます。
2. スピードを意識しよう
スピードはすべてに勝る価値です。
困難なことに直面しても立ち止まらず、常にスピード感をもって考え、行動します。
3. ゴールを想い描こう
お客様や市場の動向をいち早くキャッチし、あるべき姿を想い描いてお客様を導きます。
高い視座で熱意をもって未来を語り、仲間・パートナー・お客様と一緒にゴールを目指していきます。
4. 仲間と共有しよう
一人ひとりの想いや情報には大きな価値があります。
想いや情報を社内で共有しながら、感謝される喜びを仲間と分かち合います。
5. 誠実にやりきろう
お客様や仲間、パートナーが何を求めているかを常に意識し、心配りを忘れません。
何事も真摯に誠実に対応し、責任をもって粘り強くやり遂げます。
また、ステークホルダーへの約束・使命として4つのミッションを策定しております。
<ミッション>
・お客様
お客様とともに未来を見据えお客様の企業価値向上に貢献します。
・社員
当社の社員であることに誇りを持ち、働き甲斐をもってイキイキと働ける企業を目指します。
・パートナー
ビジネスパートナーとともに固い信頼を結び合い、成長・発展する関係を築きます。
・株主
安定的な利益還元に努めるとともに、迅速かつ適切なディスクロージャーにより経営の透明化を図ります。
当社は、当事業年度を最終年度とする第2期中期経営計画「FuSodentsu Vision 2024(FSV2024)」~80周年さらには100周年に向けたInnovation Challenge~を推進してまいりました。その結果、売上高467億円、営業利益18億円、営業利益率4.0%と数値目標を大幅に上回ることができ、さらなる持続的成長、企業価値向上を目指して、2025年度を初年度とする第3期中期経営計画「FuSodentsu Vision 2027」を策定いたしました。「ココロ躍る未来に向かって Challenge DX Movement」をスローガンに掲げ、マーケット基軸への転換を図り、業種区分を基軸とした価値提供を推進するとともに、経営基盤の強化により事業・経営基盤の両面から持続的成長を図ってまいります。
第3期中期経営計画
FuSodentsu Vision 2027 ~ココロ躍る未来に向かって Challenge DX Movement~
1. 事業成長戦略
以下の3つの事業戦略を組み合わせ、「6つの業種区分を基軸とした価値提供」を推進してまいります。
① 業種区分を基軸にした顧客ニーズへの深い理解と的確な対応
② お客様のDXを推進する伴走型企画・コンサルティングの強化
③ ビジネスアライアンスやM&Aによる注力領域の技術拡充・協業の推進
2. 経営基盤の強化
事業成長を支える組織・仕組みの高度化を図る観点から、以下5つの経営基盤の強化を推進してまいります。
① 人財を活かす経営の推進
② チャレンジ意欲向上に向けた組織文化の変革
③ 先端技術研究の推進
④ 新業務システムへの移行・業務の高度化
⑤ デジタルマーケティング・顧客満足度向上の取り組み
3. 第3期中期経営計画の最終年度(2027年9月期)における数値目標
当社のサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティへの取り組みを、経営の重要課題の1つと認識しており、これまでSDGsの重要課題(マテリアリティ)を定め、SDGsに関する取組方針を策定し、環境・社会・ガバナンスの観点からSDGsが目指す社会の実現に向けて推進してまいりました。このたび、2024年11月にサステナビリティ基本方針を定め、サステナビリティ経営委員会、サステナビリティ推進委員会を設置し、環境や社会の様々な課題の解決に向けて環境面での資源効率化や温室効果ガスの削減、社会面での労働環境改善や地域社会への貢献、経済面での持続可能な成長と収益性の確保に努め、より一層の持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指して推進してまいります。
<サステナビリティ基本方針>
当社のパーパス「ともに歩み、ともに見つめ、ワクワクする未来へ」の実現のために、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)を重視した経営を行うとともに、持続可能な社会の実現に向け、「事業を通じた社会課題解決への挑戦」、「持続的発展のための経営基盤の強化」という事業・経営基盤の2つの視点から、環境・地域に貢献するとともに、経済面での持続可能な成長と収益性を確保し、すべての社員が健康に、自分らしく働ける仕組みづくりを推進します。
当社は、サステナビリティ活動全体に対する方向性の設定および持続可能な経営の推進を目的として代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ経営委員会」と各重要課題(マテリアリティ)に対する活動の共有と課題の協同解決を推進することを目的とした「サステナビリティ推進委員会」にて活動を行うこととしております。
取締役会は、「経営会議」および「サステナビリティ経営委員会」で協議・決議された内容の報告を受け、対応方針および実行計画等についての論議・監督を行い、サステナビリティ課題に対して全社的な推進体制を整備し、経営層が積極的に関与する形でガバナンスを強化しております。
当社は、企業価値の持続的な成長とSDGsが目指す社会の実現に貢献するために、全国の拠点を通じて地球環境の保全や防災・減災、地域社会の活性化、新たなビジネス価値の創出に向け活動するとともに、重要なステークホルダーであるお客様、社員、パートナー、株主の皆様の課題解決に取り組んでおります。
<人的資本に関する戦略>
当社は、持続可能な社会への貢献および当社の発展を実現させるため、人財を優先すべき資本の1つと捉えており、人財の育成・確保に関する取り組みを経営上の重要課題としております。企業理念である「誠心誠意 お客様のお役に立つ愛される企業」のもと「自立型人財の育成」を基本方針として、各種研修や資格取得支援制度の拡充、社内で定めたスキル認定制度により、社員自らの能力開発を促しモチベーション向上を図るとともに、コンプライアンスと倫理、社員の健康管理や安全衛生、ダイバーシティや働き方改革に積極的に取り組み、多様な人財がイキイキと活躍できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでおります。
サステナビリティに関する機会およびリスク管理については、各所管部のリスクへの対応を代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会が分析・評価し、取締役会へ報告しております。また、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の解決に向けて、サステナビリティ推進委員会にて各重要課題(マテリアリティ)に対する活動の共有、課題の協同解決を進め、サステナビリティ経営委員会が推進状況をモニタリングし助言しております。
上記戦略において記載した内容に関する指標および目標については以下のとおりです。
上記のほか、当社はCO2削減や社会貢献活動の実施を目標に掲げ、積極的に取り組んでおります。具体的な取り組みとしましては、電力、ガソリン使用等により排出されるCO2量の削減、社有車のエコカーへの切り替え、使用済み切手やプルタブ等の「集める活動」を通じた植林や車椅子の支援、各拠点において年1回以上「環境保全活動」を実施しております。
また、お客様に対して「環境に有益な商品を提案する」という目標を掲げ、ペーパーレス化やPCリサイクルなど環境保護に貢献する商材提案に取り組んでおります。
重要課題(マテリアリティ)の取り組み目標

当社の事業遂行上において、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項について、以下に記載したようなものがあります。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識し、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1) 特定の取引先への依存度や取引先の信用リスクについて
当社は富士通株式会社とパートナー契約を締結しております。当社の富士通株式会社および同社グループとの取引状況については、その売上高に占める割合は9.9%、仕入高に占める割合は40.0%であります。その取引関係については安定したものとなっておりますが、何らかの理由で取引に支障が生じた場合には、当社の業績に影響を与える恐れがあります。
また、当社の取引先の信用状況が悪化し多額の売上代金の回収が困難となった場合には、当社の業績や財務状態に影響を与える恐れがあります。こうしたリスクへの対策として、取引先の状況を定期的に把握し、回収懸念の早期発見や軽減を図るとともに、大口取引などのモニタリングを継続して実施し与信管理を徹底することで、貸倒リスクの低減に努めております。
(2) システム開発リスクについて
当社が請け負うシステム開発においては、販売部門と技術部門との連携を密にして商談推進時にお客様のニーズを綿密に検討し、お客様との認識一致を最重要課題とするとともに、商談段階でのリスクの明確化と対応策の検討や進捗管理の徹底を図っております。しかしながら、お客様との認識不一致、プロジェクト全体の体制問題、技術的な検証不足等の様々なトラブルが発生し、当該プロジェクトが予定された範囲、予算、納期、品質で実施できなかった場合は、損失等が発生するリスクがあります。
(3) 売上高の季節的変動について
当社の売上高は、お客様の決算期が3月に集中していることに伴い季節的変動があり、第2四半期の売上高が他の四半期に比べて高くなる傾向があります。売上高の偏りが起こらないよう保守サービスなどの安定的な収益の確保に努めております。
(4) 人財の育成と確保について
当社の事業の根幹は、技術・資格を有する人財の育成と確保にあります。商談獲得においては、該当する技術の資格者を有することが必須条件とされる時代になり、企業リスクの回避手段としても技術資格者確保の重要性が高まっている中で、当社は人財の育成を経営の最重要課題に位置付け、「自立型人財の育成」を基本方針とし必要な資格取得のための教育を積極的に推進しております。また、人財の確保につきましては、定期採用や中途採用を積極的に実施しておりますが、採用活動の不振や離職者の増加等により事業目的の達成が困難となる可能性があります。
(5) 金融商品の価格変動リスクについて
当社が保有しております上場株式の時価および非上場の株式の価値ならびに債券価格などの下落が生じた場合には、当社の業績や財政状態に影響を与える恐れがあります。
(6) 情報セキュリティに関するリスクについて
当社が位置するICT業界においては、業種の特性上お客様が取り扱う個人情報に触れる機会があり、万一個人情報が外部に流出等した場合、お客様の社会的信用が失墜し、お客様からの損害賠償請求等を受ける可能性があります。こうしたリスクへの対策として、コンプライアンス推進室を設置し、法令遵守に関する従業員教育を徹底しております。また、「個人情報保護マネジメントシステム」を制定するとともに、プライバシーマークの取得(2007年3月)により個人情報保護の周知徹底を図っております。
また、当社の情報システムに対するサイバー攻撃やウイルス感染、不正アクセスなどにより機密情報などが毀損・社外に流出した場合には、社会的信用の失墜やお客様からの損害賠償請求等により当社の業績や財政状態に影響を与える恐れがあります。こうしたリスクへの対策として、情報セキュリティ基本規程を制定し、適切に技術的な対策を講じるとともに、役員および従業員を対象とした社内教育を実施するなど情報管理を徹底する体制を構築し、情報セキュリティの強化に努めております。
(7) コンプライアンスリスクについて
企業の社会的責任に対する関心の高まり、企業活動に大きな影響を及ぼす新しい法制度の制定や改正などを背景として法令のみならず企業倫理も対象とするコンプライアンスに関連したリスクが増大しつつあります。こうしたリスクへの対策として、リスク・コンプライアンス委員会、コンプライアンス推進室を主体とする組織を通じ、体制の整備、従業員教育に努め、コンプライアンスの徹底に取り組んでおりますが、重大な法令違反や定款違反が発生した場合には、当社への社会的信頼性の低下や、多額の課徴金や損害賠償を請求されるなど、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 気候変動や自然災害等に関するリスクについて
大規模な地震や気候変動を背景とした風水害などの自然災害により全役職員とその家族・事務所・設備などに被害が発生した場合、当社の業績および財政状況に影響を与える可能性があります。
当社では、これらの被害を最小限とするために事業継続計画(BCP)の策定や防災訓練の実施、社員安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、自然災害等により当社の主要な取引先に重大な被害が発生した場合には、取引先の営業・生産活動の停滞が当社の業績を悪化させる要因となる可能性があります。
(9) 調達(サプライチェーン)に関するリスクについて
当社は様々な仕入先や協力会社との取引を通じて業務を遂行しており、取引先の事故や経営状況の悪化、経営方針の変更などのほか、グローバルな半導体の需給動向や経済・流通環境の変化などにより、必要な製品・部品などの調達遅延やコストの上昇、システム開発や工事の遅延などにより当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。こうしたリスクへの対策として、調達(サプライチェーン)に関する様々な情報の早期収集、仕入先や協力会社の拡充を図り連携の強化に努めております。
(10) 業界・競合他社の動向および技術革新への対応について
当社が位置するICT業界は、技術革新の進展に伴うお客様のニーズの変化や、異業種も含めた新規参入などによる業界の変化が激しく、競争が激化しやすい環境にあります。また、技術革新への対応の遅れや当社の技術力の低下、それに伴うサービス品質の低下により、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があり、こうしたリスクへの対策として、最新の技術動向やお客様のニーズの把握に努め、技術者においては継続的に新しい技術の習得を推進しております。
(11) 業務上の事故に関するリスクについて
当社は様々な電気通信に関連する工事に従事しており、業務上の事故により、被害に対する復旧作業や補償、業務遅延などが発生し、当社の業績や財政状態に影響を与える恐れがあります。こうしたリスクへの対策として、適切な労務管理や安全衛生・教育活動の全社的かつ継続的な推進を通じて、業務遂行における安全性の確保に努めております。
当事業年度におけるわが国経済は、個人消費に弱さが見られるもののインバウンド需要の増加や企業の堅調な設備投資などを背景として緩やかな回復の動きが続いていますが、中東情勢などを背景とした地政学リスクや物価上昇の影響などから、依然として注視が必要な状況が続くと見込まれております。
当社が位置するICT業界においては、業務効率化や生産性向上を目的としたシステム投資やIT技術の活用によりビジネスモデルを変革するDX関連投資、生成AIなどを活用したAI関連商品への投資などを中心として、堅調な推移が見込まれています。
このような環境の中、当社は、2022年9月期より2024年9月期を対象とした第2期中期経営計画「FuSodentsu Vision 2024(FSV2024)」~80周年さらには100周年に向けたInnovation Challenge~の最終年度として、自治体や防災・減災、ヘルスケアビジネスなどの主力ビジネスの拡大や、売上の平準化や安定的な収益の獲得を目指すサービスビジネスの強化などに努めてまいりました。2023年には、当社の存在意義である「パーパス」と行動基準である「スタイル」を制定いたしました。パーパスをステークホルダーの皆様と共有し、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくとともにさらなる企業価値の向上に努めております。また、2024年3月1日に経済産業省が定めるDX認定制度に基づき「DX認定事業者」としての認定を取得し、2024年9月27日には一般社団法人日本イノベーション融合学会が主催する「DX検定」シリーズにおいて「企業優秀賞」を受賞しました。「DX認定事業者」としての認定は、デジタル技術を活用した社会変化への対応準備が整っている事業者に与えられるものであり、「企業優秀賞」は、2023年(第11回/第12回)のDX検定において、「プロフェッショナルレベル」、「エキスパートレベル」の認定者数が最多であったことから受賞となりました。当社は、高度化・多様化するお客様の課題を解決するDXビジネスの推進に向けて、社内業務変革やDX人財の育成など、社内におけるビジネスプロセスを変革しDXへの取り組みを引き続き継続してまいります。
当事業年度の受注高は、防災・減災ビジネスや民需向けパソコン・ソフトウエア販売が好調に推移したことにより51,321百万円(前年同期比21.7%増)、売上高は、ネットワーク部門やオフィス部門、サービス部門が好調に推移したことに加え、特需案件が寄与したことから46,778百万円(前年同期比13.7%増)となりました。利益につきましては、売上高の増加により営業利益1,865百万円(前年同期比48.0%増)、経常利益2,059百万円(前年同期比44.2%増)、当期純利益1,428百万円(前年同期比47.0%増)となりました。
[ネットワーク部門]
ネットワーク部門は、小売業向けWi-Fiアクセスポイント設置工事や防災・減災ビジネス、交換機更新案件などが好調に推移したことにより、売上高は14,539百万円(前年同期比24.4%増)となりました。
[ソリューション部門]
ソリューション部門は、医療情報システムや電子カルテシステムの更新などヘルスケアビジネスが好調に推移したことにより、売上高は11,956百万円(前年同期比2.5%増)となりました。
[オフィス部門]
オフィス部門は、民需向けパソコン・ソフトウエア販売が好調に推移したことなどにより、売上高は9,475百万円(前年同期比16.2%増)となりました。
[サービス部門]
サービス部門は、ソフトウエアサポートサービスやサポートデスクサービスの増加に加え、運輸業向け運行記録・管理のデジタル化サービスなどの業務効率化や生産性向上を目的とした様々なクラウドサービスが好調に推移したことにより、売上高は10,807百万円(前年同期比12.3%増)となりました。
当事業年度における総資産は、29,674百万円となり、前事業年度末に比べ2,448百万円増加となりました。主な増加理由といたしましては、売掛金が977百万円、投資有価証券が1,580百万円増加したことによるものです。
負債につきましては、17,146百万円となり、前事業年度末に比べ1,009百万円増加となりました。主な増加理由といたしましては、社債が100百万円、未払金が106百万円、未払消費税等が158百万円減少したものの、買掛金が1,378百万円増加したことによるものです。
純資産につきましては、12,528百万円となり、前事業年度末に比べ1,438百万円増加となりました。主な増加理由といたしましては、当期純利益の計上により繰越利益剰余金が1,070百万円、その他有価証券評価差額金が344百万円増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ1百万円増加し、6,312百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動で得た資金は、1,310百万円(前年同期は得た資金1,689百万円)となりました。主な要因は、仕入債務の増加額によるものです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動で使用した資金は、839百万円(前年同期は使用した資金111百万円)となりました。主な要因は、定期預金の払戻による収入500百万円がありますが、投資有価証券の取得による支出1,101百万円、有形固定資産の取得による支出135百万円によるものです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動で使用した資金は、469百万円(前年同期は使用した資金379百万円)となりました。主な要因は、社債の償還および配当金の支払によるものです。
当社は、情報通信機器の施工、オフィス機器の販売、システムソフト開発およびこれらに関連するサポートサービスの単一事業を営んでいるため、部門別に記載しております。
当事業年度における受注実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記のほかに、前事業年度以前の受注物件で、当期において受注取消をしたものが8,039千円あります。
b. 販売実績
当事業年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10を超える相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。財務諸表を構成する事業年度末日の資産・負債および事業年度における収益・費用の数値には、見積もり・判断を行って算出する必要があるものがあります。ただし、実際の結果は様々な要因により、これらの見積もりと異なる場合があります。当社は、特に以下の重要な会計方針が、財務諸表作成における重要な見積もり・判断に影響を及ぼすと考えております。
a. 収益の認識
「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b. 引当金
「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
c. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性や将来加算一時差異の十分性を慎重に検討し、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積もりに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
当事業年度の経営成績等は、ネットワーク部門では、小売業向けWi-Fiアクセスポイント設置工事や防災・減災ビジネス、交換機更新案件などが好調に推移し、ソリューション部門では、医療情報システムや電子カルテシステムの更新などヘルスケアビジネスが好調に推移しました。オフィス部門では、民需向けパソコン・ソフトウエア販売が好調に推移し、サービス部門では、ソフトウエアサポートサービスやサポートデスクサービスの増加に加え、運輸業向け運行記録・管理のデジタル化サービスなどの業務効率化や生産性向上を目的とした様々なクラウドサービスが好調に推移しました。その結果、売上高は46,778百万円(前年同期比13.7%増)となりました。利益につきましては、売上高の増加により営業利益1,865百万円(前年同期比48.0%増)、経常利益2,059百万円(前年同期比44.2%増)、当期純利益1,428百万円(前年同期比47.0%増)となりました。また、売上高営業利益率は4.0%となり前年同期に比べ0.9ポイント上昇しました。
a. 資金の需要
当社の運転資金需要の主なものは、販売に関する情報通信機器の商品および部品の購入のほか、ソフトウエア開発費、施設工事費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。ソフトウエア開発費は当社独自のオリジナル商品開発を含むシステム・エンジニアの人件費および外注費などであり、施設工事費はネットワーク・エンジニアの人件費および外注費などであります。設備投資需要の主なものは、事務合理化および営業支援のための情報設備拡充などであります。
b. 資金の源泉
当社の運転資金および設備投資資金は、通常の営業活動によるキャッシュ・フローのほか、一部を銀行借入もしくは社債などによりまかなっております。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、仕入債務の増加などにより営業活動によるキャッシュ・フローの増加1,310百万円、定期預金の払戻による収入500百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出1,101百万円、有形固定資産の取得による支出135百万円などにより投資活動によるキャッシュ・フローの減少839百万円、社債の償還および配当金の支払などにより財務活動によるキャッシュ・フローの減少469百万円となった結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ1百万円増加し、6,312百万円となりました。
当社は、富士通株式会社(本店 神奈川県川崎市中原区)と同社製品の継続的な販売活動に関する基本契約として、1964年4月1日より通信特約店契約を締結しておりました。
その後、同契約は1970年10月1日にFACOMディーラー契約、1982年10月1日には富士通ディーラー契約として継承され、またそれと並行してワープロ、パソコン、ファックス、半導体、電子部品等の個別契約を締結しておりましたが、1987年10月1日にそれらを統一した富士通システム機器ディーラー契約を締結するにいたりました。その後、同契約は機器、プログラム・プロダクト、保守、サービス、コンサルティングに関する条項等が大幅に拡充され、1999年12月15日に富士通パートナー契約として締結しておりましたが、2024年7月3日に取引対象会社を富士通株式会社、富士通Japan株式会社(旧 株式会社富士通マーケティング、本社 神奈川県川崎市幸区)、エフサステクノロジーズ株式会社(本店 神奈川県川崎市中原区)とする富士通グループ販売パートナー契約を新たに締結するにいたりました。
同契約は双方から別段の意思表示がない限り、同一条件をもって1年毎に自動継続するものとされております。
なお、同契約の締結により、富士通Japan株式会社と富士通製品(機器、プログラム・プロダクト、保守、サービス、コンサルティング等)の取り扱いに関する契約として2012年4月1日付で締結しておりましたパートナー契約は失効しております。
当社は、お客様のICTデザインパートナーとして、ともに歩みココロが躍るようなワクワクした未来を目指して、新しい技術やアイデアに挑戦しています。持続可能な社会を実現する革新的なソリューションの開発や自社開発パッケージの高度化を加速し、クラウドやIoT、AIを活用したDXビジネスの事業化に向けた先進技術研究を組織的に推進しております。
当事業年度の研究開発費は
当社は、情報通信機器の施工、オフィス機器の販売、システムソフト開発およびこれらに関連するサポートサービスの単一事業を営んでいるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、当事業年度の研究開発活動といたしましては、ハイブリッドワークを支援するテレフォニーとセキュリティを統合したDXソリューションの開発や、画像分析や情緒分析を含む音声認識によるAIビジネス、自動メンテナンス用ロボットの研究などの実証に取り組みました。また、ローコード、ノーコードツールといったアプリケーションやシステムの開発における新たな手法やデータ連携ツール等の習得にも取り組みました。