当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「ビッグコンビニエンス&ディスカウントストア」を事業コンセプトとする時間消費型小売業「ドン・キホーテ」を中核企業として、「顧客最優先主義」を企業原理に掲げ、「企業価値の拡大」を経営の基本方針として事業活動を行っております。
この企業原理及び経営の基本方針のもと、お客さまに満足いただける商品の質や価格及びサービスの提供を実践し、あわせて当社グループ独自のユニークな営業施策を推進しながら、お客さまと感動を共有できる店舗運営を心がけ、豊かな生活文化の創造を実現していく所存です。
また、個店経営を徹底し地域密着型の店舗としてお客さまの日々の生活を支え、地域社会になくてはならない存在となり、最もお客さまに支持される店舗を目指してまいります。
当社グループは、お客さまが小売業に求めている購買動機は、「より便利に(CV:コンビニエンス)」、「より安く(D:ディスカウント)」、「より楽しく(A:アミューズメント)」という3点に集約されていると考えております。当社グループは、この3点の頭文字を取って、事業コンセプトを「CV+D+A」と掲げております。
小売業において、お客さまの大きなニーズである「便利さ(CV:コンビニエンス)」と「安さ(D:ディスカウント)」を基本コンセプトとした店舗運営は、一定数のお客さま支持と売上高を確保することは可能と考えられますが、それだけでは、「1+1=2」の結果しか得ることができません。
当社グループは、お客さまにとって「ワクワク・ドキドキ」というプラスアルファの付加価値が創造され、購買意識を呼び覚ます「アミューズメント性」こそ重要であり、これは、「1+1=∞」という公式を導き出す魔法のエッセンスであると考えております。
当社グループは、この事業コンセプトを前面に繰り広げ、全従業員が「便利で安くて楽しい」店舗作りを実践し続けることにより、他の小売業との差別化を図り、より高い水準の顧客満足と社会貢献が実現できるものと確信しております。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題並びに経営戦略等
個人消費の低迷や企業間競争の激化という状況が続く中で、当社グループは、本来のビジネスそのもので社会との共生を追求しながら、中長期的に持続可能な成長を目指すため、投資効率の高い案件に経営資源を重点的に、かつ適正な配分を行っていきます。
(中長期的な売上・利益の継続成長)
当社グループは、2025年8月に新たな長期経営計画となる「Double Impact 2035」を策定いたしました。「Double Impact 2035」は、多くの成長機会がある国内事業を中心としており、海外事業については、安定したオペレーションや明確なビジネスモデルといった土台作りの構築を行う必要があると判断しております。約一年の時間をいただき、海外戦略の開示は改めて行います。
「Double Impact 2035」における、定量目標は、2035年6月期に「売上高:4兆2,000億円」、「営業利益:3,300億円」としており、以下の成長方針により、地域のお客さまの暮らしを支えながらお買い物の楽しみを提供し、継続的な成長を目指しながら、目標達成に取り組んでまいります。
<長期計画の成長方針>
① 出店戦略・・・・・・・全ての都道府県で出店が進むも、まだまだ新規出店の拡大余地があり、当社独自の様々な出店パターンにより、「日本地図制覇に向けて」まだ出店のない空白地帯を埋めながらシェアの拡大を目指します。
② 既存店戦略・・・・・・「小売市場の拡大」、「DS業態シェアの拡大」に加え、「消極的忌避層」への来店動機の創出や「既存顧客」が普段買っていない商品の購買、来店頻度が高まるようなパーソナライゼーションのアプローチを強化し、「売上トップラインの大成長」を目指します。
③ インバウンド戦略・・・「ドンキがあるから日本に行く」というブランドポジションを定着させるため、買い物だけにとどまらず、来店したときの楽しさや日本文化を体験できる独自のアミューズメント性を深化させ、他社にはない世界観を創出した「観光地型小売りの確立」を目指します。
④ 新規業態の開発・・・・今までアプローチしていない「狭小商圏食品ニーズ」にマーケット領域を広げ、当社グループが持つ様々なリソースを使った「食品強化型ドンキ」=「(ドンキの編集力+ユニーの生鮮調達力)× ディスカウント」の新業態を開発し、高い集客力と高収益性を兼ね備えた「唯一無二のビジネスモデル」の確立を目指します。
⑤ M&A戦略・・・・・・小売業界の再編や寡占化が進むことを見据え、今後はM&Aを戦略の1つとします。
(3)経営環境
小売業界においては、少子高齢化の進行による市場規模の縮小、物価上昇による実質賃金の減少、価格競争の激化や業界再編、外国人旅行者の増大や外国人人口の増加等が見込まれており、外的環境は大きく変化することが想定され、厳しい経営環境が続くものと想定されます。
このような経営環境の中でも、当社グループは、想定される環境変化を収益機会と捉え、さらなる成長を実現するための戦略として、長期経営計画「Double Impact 2035」を策定いたしました。
当社グループは、経営の効率性と透明性を高めるためのガバナンス(Governance)の強化にも積極的に取り組み、「守りの経営」を推進すると同時に、競合他社との差別化要因である現場主義・個店主義に立脚した強みを遺憾なく発揮しながら、積極的な営業戦略に基づく「攻めの経営」をバランス良く実施してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益力強化のため、資本の有効活用を重視するとともに、持続的な成長及び企業価値の向上にむけた積極的な投資を引き続き行ってまいります。特に重要視する経営指標は、売上高及び営業利益の持続的増加を継続していくことであり、新たに策定した長期経営計画「Double Impact 2035」の定量目標として、2035年6月期に「売上高:4兆2,000億円」、「営業利益:3,300億円」を目標としております。今後は「Double Impact 2035」の目標達成に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<当社グループのサステナビリティに関する基本的な考え方>
当社グループは、企業原理「顧客最優先主義」のもと、地域のお客さまの暮らしを支え、お買い物の楽しみを提供することを第一に、本業の総合小売業の事業活動を通じて環境・社会における重要課題(マテリアリティ)の解決に取組んでいます。また、サステナビリティにおいても、当社グループのコアバリューである企業理念集『源流』に定める企業理念・行動指針を徹底し、事業活動を通じて顧客や社会へ貢献することを最終目的としています。これは結果として従業員の使命感と誇りを高め、最終的に企業価値向上につながることから、この好循環の連鎖を常に念頭に置いて取組を進め、環境・社会課題の解決とグループの事業成長の両立を目指し、果敢に挑戦しています。
1. サステナビリティ全般
(1)ガバナンス
サステナビリティの取組を推進する各施策は、担当役員である代表取締役 兼 専務執行役員CSOのもと、各領域の委員会及び管掌本部が企画・立案し、グループ会社の事業活動に反映しています。
また、定期的に取締役会で活動報告を行い、方針及び目標の策定や重要な取組については取締役会で議論され承認を得て実行しています。
<サステナビリティに関連する取締役会報告の主な議題>
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2024年7月 |
代表取締役 兼 専務執行役員CSO (IR・ESG管掌) |
ESG評価機関からの評価 |
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2024年10月 |
サステナビリティ委員会 |
SSBJ気候関連開示基準及びカリフォルニア州法(気候変動関連開示法)への対応状況報告 環境・サプライチェーン・マネジメント目標に対する進捗報告 |
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2024年11月 |
ダイバーシティ・マネジメント委員会 |
女性活躍推進目標に基づく重点取組 |
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2025年4月 |
代表取締役 兼 専務執行役員CSO (IR・ESG管掌) |
ESG評価機関からの評価、機関投資家とのエンゲージメント報告 |
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2025年5月 |
ダイバーシティ・マネジメント委員会 |
女性活躍推進目標に基づく重点取組 |
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2025年6月 |
サステナビリティ委員会 |
環境・サプライチェーン・マネジメント目標に対する進捗報告 |
<サステナビリティ委員会>
サステナビリティ委員会は、リスクマネジメント管掌執行役員を委員長におき、月に1回開催しています。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の対応や、CO₂排出量の削減、人権・環境に配慮したサプライチェーン・マネジメントの構築、プラスチック及び廃棄物削減に取組んでいます。
本委員会の下部組織としてテーマごとに分科会を設置し、具体的な施策について企画・立案し事業活動に反映させるとともに、サステナビリティ経営の専門的な知見を有する社外委員の冨田 秀実氏と定期会合を実施し、特定の課題に対して専門的観点をもって取組むことができる体制で推進しています。
<ダイバーシティ・マネジメント委員会>
ダイバーシティ・マネジメント委員会は、ダイバーシティ・マネジメントを管掌する取締役 兼 執行役員を委員長におき、月に1回開催しています。人事制度企画部や労務管理部、リクルーティングマネジメント部等の複数の関連部署が横断的に連携しながら女性やLGBTQ+など多様な人材の活躍を目指し、様々な施策を企画・立案し、実行しています。
<人財本部・人事労務本部>
人財本部ならびに人事労務本部では、メイト(パート・アルバイト)を含む従業員の採用や成長育成、労務管理など人材に関わる施策の企画・運営を担っています。人財本部と人事労務本部は、ダイバーシティ・マネジメント委員会など関連する複数の部門と連携して月2回会議を実施し、採用、成長支援、配置といった人材戦略に関わる施策や課題の共有、協議を行っています。また、人材に関わる重要な点については都度取締役会で報告を行っています。
<リスクマネジメント本部>
リスクマネジメント本部は、リスクマネジメントを管掌する執行役員を本部長におき、グループ会社に関連して発生が想定されるリスクに対し、予防・対応・再発防止の観点から包括的なマネジメントを行っています。本部は3つの部署で構成されており、潜在的なリスクに対しては事前に対応策を講じ、発生したリスクについては迅速かつ的確な対応を行うことで、影響を最小限にとどめる体制を構築しています。
<コンプライアンス委員会>
コンプライアンス委員会は法務・コンプライアンス管掌役員を委員長とし、不正防止の立案、検査及び調査の計画立案・検証などを行っています。また、委員として取締役、弁護士資格を持つ独立社外取締役(監査等委員)、執行役員を中心に合計9名で構成され、外部顧問弁護士の助言を受けられる体制を構築しています。
加えて、業務の適正を確保するための整備として、コンプライアンス及び内部統制に関する事項を統括し、高い倫理観に則った事業活動を確保し、ガバナンス体制とその運営の適法性の確保に努めています。さらに、グループ会社も含めた組織横断的なコンプライアンス上のリスク分析と評価を実施し、リスクの回避・軽減に努めています。
(2)戦略
当社グループはグローバルに事業を展開しており、多岐にわたる環境・社会課題に影響を受け、また当社グループの企業活動は環境・社会課題に影響を与えています。多くの環境・社会課題の中から優先順位をつけ、課題解決に向けた活動を効率的に行う必要があるため、中長期経営計画「Visionary 2025/2030」策定時に、当社グループのステークホルダーにとっての期待・重要性と、当社グループの強みを活かして解決に貢献できる環境・社会課題、企業活動が与える環境・社会への影響について議論し、持続可能な社会への貢献と事業成長の両立に向けた重要課題(マテリアリティ)を改めて特定しました。なお、重要課題(マテリアリティ)は社会環境の変化を踏まえて、定期的に見直しを行っていきます。
<PPIHグループ 重要課題(マテリアリティ)>
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重要課題(マテリアリティ) |
中期における注力領域 |
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事業活動で生じる環境負荷の低減 |
・気候変動への対応強化(CO₂排出量の削減、プラスチック使用量の削減等) |
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多様性の容認と働きがいのある職場づくり |
・人的資本経営の推進(人材育成の強化) ・多様性を認め合うダイバーシティ型組織の確立 |
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持続可能な商品調達と責任ある販売 |
・人権・環境に配慮した商品調達と責任ある販売 ・サプライチェーンを通じた社会・環境課題の解決 |
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地域社会との共生による社会課題の解決 |
・地域社会への寄付・募金・貢献活動や次世代支援 ・日本の農畜水産物 輸出拡大 |
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確固たるガバナンス |
・コーポレート・ガバナンス強化 ・リスクマネジメント強化 |
(3)リスク管理
当社グループでは、リスクマネジメント本部においてリスク管理を行っています。店舗・拠点で発生するリスク事案に関わる情報収集、リスク対応及び対策を決定し、店舗・拠点はその指示に基づき対策を実行しています。進捗状況についてはリスクマネジメント本部がモニタリングし、必要に応じて取締役会に報告しています。当社グループにおける全般的なリスクの詳細は
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した重要課題(マテリアリティ)及び注力領域について、次の指標を用いております。当該指標に関する現在の状況及び目標は次の通りであります。
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テーマ |
指標及び目標 |
実績(当連結会計年度) |
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環境 |
CO₂排出量の削減 |
(店舗から排出するCO₂排出量) ・2030年までに50%削減(2013年度比) ・2050年までに総量でゼロに |
CO₂排出量 32.7%減 (売上100万円当たりの原単位) |
|
プラスチック使用量の削減 |
2030年までに、顧客サービスのプラスチック使用量を70%削減(2019年度比) |
プラスチック使用量 約67.0%削減 (売上100万円当たりの原単位) |
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人的 資本 |
企業理念「源流」の浸透 |
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合格率 |
|
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合格率 |
||
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メイト活躍 |
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メイトのMDプランナー (注)3 |
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女性店長拡大 |
・ ・2030年6月期までに100名 |
女性店長 |
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|
女性社員の定着率の向上 |
・ ・2030年6月期までに5% |
離職率 |
|
|
サプライチェーンマネジメント |
人権・環境に配慮したサプライチェーン・マネジメント |
サステナブル調達方針とサプライチェーン行動規範の徹底 |
人権・労働に関する重篤なリスク回答を確認した結果、重大リスク・インシデントにあたる工場はないことを確認 |
(注)1.指標及び目標、実績(当連結会計年度)については、国内グループ会社を対象としております。
2.メイトのMDプランナー輩出目標は、㈱ドン・キホーテ、㈱長崎屋及び㈱橘百貨店を対象としております。
3.メイトのMDプランナーの輩出に向け、当連結会計年度は234名を対象に研修(年2回)を行いましたが、実施時期の関係で後期研修後に登用されるメイトのMDプランナーは翌連結会計年度で集計します。
重要課題(マテリアリティ)のうち、当連結会計年度における喫緊に対処する課題として「環境」「人的資本」「サプライチェーン・マネジメント」と特定し、重点的に取組みました。主な取組は次のとおりです。
<環境>
◆気候変動への対応
・新たに国内5店舗でオンサイトCPPAによる再生可能エネルギーを導入(当連結会計年度末までの累計導入数:27店舗・1拠点)
・仕入れ商品に関わるGHG排出量データ収集に向け、パートナー説明会を実施
・PB/OEM商品の包材や容器に環境配慮型素材・技術を活用
◆プラスチック使用量の削減
・国内店舗において、ロールポリ袋の使用抑止POPを全店で設置
・容器にバイオマス資材(バイオマスPE)を使用したPB/OEM商品を販売
・北米やアジアの一部の国の店舗においてレジ袋の提供・販売を中止
<人的資本>
◆企業理念「源流」の浸透
・源流の理解を深め、実践に向けた知識の習得を目的に、月1回源流解説研修を実施
・国内・海外ともに従業員を対象とした源流一般試験を年2回実施
・一定以上の職務・職位を担う管理職には源流伝道士認定試験を年2回実施
・海外において源流浸透の役割を担うグローバル源流伝道士が、海外のローカル社員(年6回)や国内の外国籍従業員(年10回)を対象に講義を実施
◆メイト活躍
・メイトのMDプランナー輩出に向け、キャリアサポーターを配置し、必要な知識やスキルを学ぶための約半年にわたる研修を実施
・店舗の営業成果に対し、雇用形態や労働時間に応じて半期に1度報酬を支給する「フォア・ザ・チーム賞」の導入
・年に1度、全社で行うPPIHアワードにて「ベストメイト賞」の授与
◆女性活躍推進
・女性店長輩出を目的に、必要な知識やスキルを身に着けるための研修プログラムを2021年より継続実施
・女性社員を対象に、思考力やリーダーシップ力などの能力開発につながるキャリアアップセミナーを実施
・女性の部下をもつ管理職に向け、自部署における女性社員の人数や管理職比率、退職者数の推移を把握できる報告書を年4回配信
・女性活躍推進施策の妥当性の確認や働きやすい環境の整備を目的に、女性社員を対象とした意識調査を実施
・新卒採用において、女性の働き方やキャリアに特化したオープン・カンパニー及び内定者イベントを開催
・管理職手前の女性従業員に対し、キャリアデザインセミナーの実施(参加者の98%が、仕事に対する気持ちやモチベーションが上がったと回答)
・男女ともに健康に働けることを目指し、男性・女性の更年期障害に関する専門医による解説記事を社内報に掲載
<人権・環境に配慮したサプライチェーン・マネジメント>
・「ビジネスと人権」や「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」など国際的な指針や行政から発出されたガイドラインをもとに、各種方針の策定やPB/OEM商品の製造委託先工場に対する第三者CSR監査、SAQ(自己評価質問票) により、リスクアセスメント(負の影響のチェック)を実施
・パートナー企業を対象に、外部の講師を招いたフォローアップ研修の実施
<当連結会計年度における実施内容>
|
SAQ (追加実施) |
対象:取引規模に関わらず、第1回目SAQの結果から、リスクの観点で重要と判断したPB/OEM 商品製造委託先工場 実施数/回収率:159工場、回収率100% |
|
第三者 CSR監査 |
対象:取引規模や製造を委託する商品ジャンル、工場の所在国など、リスク管理の観点で特に重要であると判断したPB/OEM商品製造委託先工場 実施数:39工場(国内22工場、海外17工場) |
<当連結会計年度における第三者CSR監査 実施結果>
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|
A |
B |
C |
D |
|
国内 |
2 |
16 |
2 |
2 |
|
海外 |
3 |
8 |
6 |
0 |
|
合計 |
5 |
24 |
8 |
2 |
・上記の調査において、最重要とする人権・労働に関する重篤なリスクを確認した結果、当連結会計年度末現在において重大リスク・インシデントにあたる工場はないことを確認
- 第三者CSR監査においては、安全衛生分野の指摘が多くの工場で見られたほか、「D評価」となった工場でも消防設備の不備など安全衛生や労務管理といった分野での課題が確認された
- SAQでは、児童労働や強制労働、差別の防止(予防)に関する方針やガイドラインを策定していない工場が57件確認された
- これらの課題に対しては、結果の共有と改善に向けたフォローアップ対応を進めるとともに、第三者CSR監査でCやDとなった工場に対しては、翌連結会計年度において再監査を予定
2. 気候変動
持続可能な社会の実現のためには気候変動への対応が喫緊の課題であり、社会的責任の1つと認識しています。地球温暖化による気候変動や異常気象は、店舗の運営や商品の調達をはじめ事業のあらゆる面に影響することから、脱炭素社会の実現を目指し、事業活動で生じる環境負荷の低減に取組んでいます。
(1)ガバナンス
サステナビリティ全体に関する推進体制については、
気候変動に対応する体制については、サステナビリティ委員会内に下部組織としてテーマ別に分科会をたて、以下の体制を構築しております。サステナビリティ委員会は、気候変動を含むサステナビリティへの取組の進捗や目標達成状況について、年1回以上、取締役会に報告を行っています。気候変動に関する方針・戦略・重要な取組は取締役会で議論され、承認を得て、サステナビリティ施策を実行しています。
<気候変動に関わるガバナンス体制と役割、報告・審議実績>
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組織 |
メンバー |
役割 |
報告・ 開催数 |
当連結会計年度における 主な報告・審議事項 |
|
取締役会 |
取締役 |
・気候変動への対応の進捗や目標達成状況に関してサステナビリティ委員会から年1回以上報告を受け、気候関連リスク及び機会を監督 ・気候変動に関する方針・戦略・重要な取組に関する承認 |
年2回 |
・SSBJ気候関連開示基準及びカリフォルニア州法(気候変動関連開示法)への対応状況報告 ・環境目標に対する進捗報告 |
|
サステナビリティ委員会 |
委員長:執行役員 リスクマネジメント管掌
委員:関連部署責任者 (環境対策、設計、施設管理、災害対策、危機管理、ストアコンプライアンス、商品調達部門、品質管理、公正取引管理、法務)
社外委員:冨田秀実氏 (一般社団法人サステナビリティ経営研究所 代表理事) |
・PPIHグループにおける気候変動に関する方針・戦略の検討、リスク管理及び対応策の協議、新規取組の実施決定 ・取組の企画・推進はサステナビリティ委員会の下部組織である各分科会(気候変動シナリオ分析・CO₂排出量削減・廃棄物削減・プラスチック削減)が主導し、グループ各社が実行 ・各分科会の責任者を務めるサステナビリティ委員が、取組の進捗管理・モニタリングを行い、サステナビリティ委員会に報告 |
年12回 (月1回) |
・SSBJ気候関連開示基準及びカリフォルニア州法(気候変動関連開示法)への対応状況報告 ・脱炭素目標に対する進捗報告 ・太陽光発電設備及び省エネ機器の導入状況報告 ・食品リサイクル・食品ロス削減の取組報告 ・店舗サービスに関わるプラスチック使用量削減目標に対する進捗報告 ・サプライチェーンにおける人権・環境対応の進捗報告 ・スコープ3排出量削減に向けた取組報告 ・ESG評価に関する報告 |
(2)戦略
①前提とするシナリオ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(AR6)によると、2100年までの世界平均気温の変化は、CO₂排出量の増減によって5つのシナリオに分けて示されています。
このほかにも様々な機関・団体などから複数のシナリオが公表されていますが、①起こりうる複数の未来すべてに対策を練ることは戦略的とはいえないこと、②両端の対策を講じておくとその間の結果に収まった時にも対処しやすいことから、1.5℃と4℃の気候シナリオに基づいたシナリオ分析を実施しました。
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|
1.5℃シナリオ |
4℃シナリオ |
|
想定する社会 |
・今世紀末までの世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるため、脱炭素社会への移行に伴う社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高い社会 |
・パリ協定に基づく各国政府の政策が実施されるも、今世紀末までの世界の平均気温が4℃上昇 ・気候変動が事業に影響を及ぼす可能性が高い社会 |
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参照シナリオ |
・IEA「Word Energy Outlook 2024」Net Zero Emissions by 2050 Scenario |
・IPCC AR5 RCP8.5 ・IPCC AR6 SSP5-8.5 |
②リスク・機会の特定
当社グループは、国内外の700以上の店舗が地域のニーズに合わせた多種多様な商品を調達・販売しています。なかでも国内の売上構成比が8割を超えており、気候変動による影響度も国内が相対的に高くなると考えています。このような理由から分析対象範囲を「国内店舗運営」及び「商品調達」とし、1.5℃シナリオと4℃シナリオにおいて、気候変動による社会環境変化から想定されるリスクと機会を特定し、短期・中期・長期の時間軸でバリューチェーンプロセスにおける当社グループへの財務影響度の評価を行いました(シナリオ分析実施時期:2025年6月)。
今後、どちらのシナリオに向かっても事業継続を担保し、事業機会の拡大につなげていけるよう対応策を検討・実施し、社会環境変化に柔軟・迅速に対応していきます。
気候変動に関連するリスクや機会、財務影響に関わる詳細な情報(TCFD開示)については、以下のURLからご参照ください。
(3)リスク管理
気候変動のリスクや機会の特定、戦略並びに具体的な施策の検討は、サステナビリティ委員会で行い、リスクマネジメント本部と問題を共有し、中長期的なリスクへの対応策を検討するなど、全社的なリスクマネジメントの中に気候関連のリスクを織り込んでいける体制の構築を進めています。
(4)指標・目標
当社グループでは気候変動への緩和策として、国内店舗から排出されるCO₂排出量(Scope1・2)を2030年までに50%削減(2013年度比/売上100万円当たりの原単位)、2050年までに総量でゼロという目標を掲げています。その実現に向けて、①店舗運営にかかるエネルギー使用の効率化・エネルギー使用量の削減 ②太陽光発電など再生可能エネルギーの創出 ③非化石証書取引を活用した再生可能エネルギーへの置き換えを中心に取組を進めています。
詳細は、
<PPIHグループ Scope1・2 CO₂排出量実績及び見通し>
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単位 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
実績 |
見通し |
||
|
Scope1排出量 |
t-CO₂ |
|
|
|
Scope2排出量(マーケット基準) |
t-CO₂ |
|
|
|
(ロケーション基準)(注)1 |
t-CO₂ |
|
|
|
Scope1・2排出量 合計(注)2 |
t-CO₂ |
|
|
|
電力消費に占める再エネ比率 (FIT非化石証書分含む) |
% |
8.26% |
10.32% |
|
Scope1・2マーケット基準の合計削減率(注)3 |
% |
▲26.0% |
▲32.7% |
(注)1.環境省・経済産業省の公表する「電気事業者別排出係数」の「代替値」を用いて算定
2.合計に使用するScope2排出量はマーケット基準にて算定
3.売上100万円当たりの原単位による削減比率(2013年度比)
3. 人的資本
(1)ガバナンス
人的資本のガバナンスについては、
(2)戦略
当社グループは、「“顧客最優先主義”に基づき、変化する顧客や社会に必要とされるビジョナリー・カンパニー」を目指しています。ビジョナリー・カンパニーとは、長期的に成長を遂げる企業であり、その実現には「名前(ブランド)」「店」「商品」「(実現するための)人財」の4つのコアバリューが欠かせないと考えています。特に、主体性を持ち、目標達成への強い執着心で行動する「人財」は、当社グループの最大の強み、成長の原動力です。「源流」を体現する企業文化を醸成し続け、メイト(パート・アルバイト)を含め高い生産性と多様な強みを持つ従業員一人ひとりが失敗を恐れずに挑戦し、イノベーションが常に生まれる活力ある組織をつくり上げることで、企業とともに従業員自身が持続的に成長していくことが最大の責務、社会的使命であると考えています。
<源流実践による人材育成>
当社グループでは、源流に基づき、従業員を信じて任せる権限委譲と実力主義のもと、自律的に成長し、挑戦できる環境を整えることを人材育成の基本方針としています。
この方針の背景には、創業以来「個店経営」をとり、商圏ごとに異なる顧客ニーズや世の中の変化へ機動的に対応するため、現場に大胆な裁量を委ねてきた歴史があります。こうした文化の中で、「どうすれば上手くいくか」を従業員自身が考え判断し、挑戦を繰り返すことで経験やスキルを獲得し、社会や市場の変化にも柔軟かつ迅速に対応できる組織力を培ってきました。
経営理念に示される「権限委譲」「実力主義」「失敗への許容」は、企業文化として根付き、日々の業務の中で自然と挑戦を引き出す風土を形成しています。
そのため、当社グループでは「教育」ではなく「成長支援」という考え方を重視し、自らの手挙げ・主体性を尊重した挑戦機会の提供と、成長に必要な武器(知見)の支援を通じて、社員一人ひとりが自らの可能性を切り拓けるよう支援しています。
◆基盤となる源流の浸透に向けた取組
源流の考え方に基づき従業員一人ひとりが自分で考えて行動し、成長し続ける力を重視しており、その基盤となる源流の理念浸透に向けた取組を実施しています。
新卒・中途入社時に源流研修を行うほか、世界中の従業員が共通の視点・方向性で業務に従事することを目的に、源流は日本語のほか複数言語(英語、中国語(簡体字・繁体字)、タイ語)に翻訳しています。源流の理念浸透を図るため、国内・海外ともに年2回の源流一般試験(社員と一部メイトが対象)を行っています。加えて、源流をどれほど体得できているかを確認するため、一定職位・職務を担う従業員を対象に、年2回の源流伝道士認定試験を行っています。
・源流伝道士について
- 源流伝道士は、源流の教えを理解し、日々の業務においてそれを実践し、各所属組織において理念や文化の実現に貢献する人材育成を実施する役割を持った社員
- 伝道士の受験対象者に対しては、上長や源流伝道士がフォローの上、源流の本質の理解や受験対策をサポートするプログラムを実施
- 合格後も年に2回レポートの提出と、自身の実践した点を他の伝道士に発表・共有し、当社グループが目指すビジョナリー・カンパニーに向け、さらなる源流の解釈や体現に向けてレベルアップを図っている
◆実力主義による人事評価と抜擢
職責別に求められる能力や要件を定義し、年齢、性別、国籍など個人の属性は一切評価の対象とせず、仕事の成果や能力を公正に評価しています。半年ごとに評価やフィードバックを実施し、成長に応じて大胆な抜擢を行うことで、従業員のモチベーション向上やさらなる挑戦を引き出し、成長を後押しします。
また、適材適所の人員配置を徹底することで、個々の強みを最大限に活かし、組織全体のパフォーマンス向上につなげています。実力と成果が正しく報われる環境の中で、社員一人ひとりが自律的にキャリアを築ける制度設計を目指しています。
◆従業員の自律的な成長や挑戦をサポートするための取組や制度
従業員が自らの意志で手を挙げ、参加することのできる研修や社内コンクール、公募制度などを通し、自律的な成長やキャリア形成を促す仕組みをとっています。また、新卒社員に対しても、1年次からキャリアアップにつながる研修機会を提供し、早期からのキャリア形成を支援しています。
・全従業員を対象に新たな知識・スキル習得につながる「キヅキスキルアップセミナー(自己成長セミナー)」を開催
・従業員が自身のキャリアアップや経験幅を広げるための「公募.com (社内公募システム)」の活性化
・店舗の優秀人材発掘を目的に、若手を中心にマーケティング思考と陳列の技術を競う社内コンペティションを実施
・経営幹部候補の育成を目的に、公募により選任された社員が支社長として100万人商圏、年商100億円規模の支社を統括する「ミリオンスター制度」の運用
・若手の優秀人材の発掘・成長促進を目的に、若手と幹部社員による編成で営業課題に取組むプロジェクトチームの運営
・社外取締役の監修のもと、次世代の経営幹部育成プログラムを実施
・未来の成長エンジンとなる新規事業の創出を目的にしたコンテスト「創造的破壊選手権」の実施
<グローバル人材の輩出>
当社グループは海外に店舗を展開していることと、国内においてもインバウンドのお客さまが多数来店されることから、国内外の様々な部門で活躍するグローバル人材の輩出を目指しています。
そのため、海外志向の若手を中心とした従業員には、海外研修やアジアをはじめとした海外店舗への出向を実施するほか、採用面においては当社グループで働く学生メイトや海外留学中の学生に対してアプローチし、人材の獲得を図っています。
また、国内で働く外国籍従業員に対しては、5言語(英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、ウクライナ語)に対応したデジタル研修ツールを活用し、店舗で働くために必要な基礎知識を習得できるようサポートしています。
<多様性の容認とダイバーシティ型組織の確立>
当社グループでは、企業原理に「顧客最優先主義」を掲げ、常に多様なお客さまのニーズに応える店舗運営を目指しています。このような環境下においては、消費者の価値観やライフスタイルが多様化している現代にあって、画一的な視点では真の顧客満足を実現することは困難です。したがって、お客さまの支持を得るためには、企業としても多様性に基づく視点を持つことが不可欠です。
また、店舗運営の現場には、年齢・性別・国籍・価値観などが異なる多様な人材が集まっており、一人ひとりが異なる強みを持っています。こうした人材が互いに尊重し合い、協働できる環境を整えることは、組織の柔軟性と創造性を高め、持続的な成長を支える基盤となります。
このような背景から、企業理念集『源流』においては個人の多様性を尊重し認め合うことを謳っており、真のダイバーシティ型組織の確立を重要な課題の一つと位置づけ、多様な人材が活躍できる職場環境の整備と、インクルージョン(包摂)の推進に取組んでいます。これにより、企業としての競争力を高めるとともに、社会的責任を果たすことを目指します。
◆女性活躍推進
当社グループの店舗をご利用いただくお客さまの半数以上が女性であり、店舗運営や経営において女性視点のアイデアを積極的に取り入れることが、真のダイバーシティ型組織の構築に不可欠であると考えています。最大のマイノリティともいえる女性が活躍できる環境を整えることは、多様性を尊重する組織づくりの出発点であり、結果として、より柔軟で創造的な企業文化の醸成につながります。
このような考えのもと、店舗運営における女性視点の強化や、将来の営業幹部候補の育成・定着を目的に2つの目標を設定しています。目標達成に向けては、①女性従業員自身の意識改革 ②上司や周囲の理解促進 ③働きやすい環境の整備を注力領域と定め、採用・定着・管理職登用といった各ステージにおいてソフト(セミナーなど)・ハード(福利厚生や制度の整備)の両面からの施策を展開しています。これらの施策は定量的な検証を通じて効果を確認し、改善を重ねながら継続しています。
<メイト活躍を支える環境づくり>
当社グループでは47,016名(注)のメイトの方が働いています。商品の仕入れも売り方もそれぞれの店舗で決める「個店経営」を採用する当社グループでは、地域やお客さまの特徴を知り尽くし、消費者の代表ともいえるメイトこそが店舗運営の要と考えています。
そのため、メイトが楽しく、やりがいを持って働くことができる制度や環境整備を進めており、当連結会計年度においては、メイト活躍に関わる目標を設定しました。一人ひとりの力を引き出すことに加え、限られた優秀な人材を雇用区分にとらわれずに登用することで、店舗の競争力を高める原動力となり、お客さまに喜ばれ、地域で一番の店となることを目指しています。
(注)当連結会計年度における期中平均臨時雇用者数(1日8時間、1ヵ月22日換算)となります。
<社内環境整備の取組>
すべての従業員が安心し、思い切り活躍するためには、なによりも心身ともに健康を維持できる適切な社内環境の整備や、自分らしく働くことのできる制度が必要と考え、以下のような取組を行っています。
◆適正な労働時間の管理
当社グループでは、勤怠システムによる職場と人事部門の労務管理を徹底し、過剰な長時間労働が発生しないような仕組みづくりをしています。具体的には、残業時間や休日・休暇の取得状況の確認を随時行い、その中で特に長時間勤務となりうる社員に対しては、個別の状況確認や必要に応じ産業医・保健師との面談を実施しています。また、一人あたりの業務負荷を減少するための人員配置の工夫を行うなど様々な対策を講じております。
加えて、休職中の収入を補償するGLTD保険へ加入しており、病気やケガなどで会社を休まざるを得なくなった際にも、従業員が安心して休養できる環境を整えています。
◆各種相談窓口の設置
当社グループでは、従業員一人ひとりが安心して自分の悩みを相談できる環境を構築し、エンゲージメントの高い組織づくりに努めています。なお、相談窓口は社内外に設置されており、職場の悩みやコンプライアンスに関わることだけでなく、健康や家庭の悩みなど幅広い点を相談することができ、メイトを含むすべての従業員が利用可能です。寄せられた相談から、個人が抱える問題やグループ全体の労働環境における問題点を把握し、改善に取組むことで、誰もが安心して働ける職場づくりを推進しています。
◆従業員一人ひとりが自分らしく働くための環境整備
当社グループでは、企業理念集『源流』において多様性を認め尊重することを謳っています。多様な個性を認め合うことで、従業員一人ひとりの強みを発揮することによる組織力が当社グループの強みですが、そのためにも自分らしく働ける環境を重視しています。その取組の1つとして、2022年より服装ルールを緩和し、髪色自由化を実施しました。また、性的マイノリティ(LGBTQ+)の従業員に向けた対応として、福利厚生の適用拡大をはじめとした社内制度の改定や従業員の理解促進に取組んでいます。当連結会計年度においては約2万6,000名がLGBTQ+研修を受講し、研修を開始した2021年から延べ約6万8,000名が受講しました。
◆ライフスタイルに合わせて選択可能な就業環境整備
当社グループでは、従業員一人ひとりのライフスタイル・ライフイベントに合わせて働き方を選択できる制度として、地域限定社員制度を導入しています。また、育児と仕事の両立ができるよう、産休・育休取得を後押しする取組の推進に加え、福利厚生によるベビーシッター補助制度や子どもが小学校を卒業するまで勤務時間を短縮できる制度を設けています。
加えて、退職した人材に対し、経験やスキルを発揮して再び当社グループで活躍する機会を提供する、ウェルカムバック採用(アルムナイ採用)の制度を設けています。
(3)リスク管理
人的資本を含むリスク管理については、
また、当社グループは理念を主体としたビジョナリー・カンパニーを目指しており、企業理念集『源流』で示す理念やあるべき姿を、従業員一人ひとりが自分なりに解釈し追求することで、企業が時代を超えて成長し続けることができると考えています。そのため、企業理念が形骸化してしまうことが人的資本におけるリスクの1つと考えています。そのため、代表取締役 兼 専務執行役員を本部長とする源流推進本部において、当社グループにおける源流の理念浸透・定着を図るための制度や取組を企画・立案・推進しています。
(4)指標目標
人的資本の目標については、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
(1)店舗拡大と人材確保
店舗網については、主要基盤である首都圏から全国エリアへ展開を推進し、さらに事業領域の拡大などを目的とした子会社が増加する過程で、当社グループは、人材紹介会社の利用や新卒採用における履歴書の撤廃など、独自の採用活動を行い人材の確保に努めておりますが、必要人員の確保や育成ができなければ、サービスの質が低下し、業績が低迷する可能性があります。
(2)輸入及び物流・配送
事業規模の拡大に伴って各国における商品の輸入割合が増加しており、輸出入国の政治情勢・経済環境・関税政策などの影響を受ける可能性があります。また、商品の物流・配送は、外部業者に委託しており、当該業者の経営状態などの影響を受けて、物流・配送が滞る可能性があります。なお、物流・配送業者については複数の業者に委託することによりリスクの軽減を図っております。
(3)マーケティング
商品の需要については、迅速かつ適切に把握し、その情報に基づき、いかにお客さまのニーズに合った品揃えができるかによって、業績は大きな影響を受けます。当社グループは、従業員研修の定期開催や、動画研修などを行い、従業員の育成を行っておりますが、マーケティングを適切に行うスタッフの確保・育成、そして組織的管理体制の継続ができなければ、業績が低迷する可能性があります。
(4)法律による規制
店舗の出店においては、大規模小売店舗立地法、商品の販売においては、景品表示法及び食品衛生法、商品の仕入れにおいては、独占禁止法や下請法、その他環境に関するリサイクル関連法などの様々な法的規制を受けておりますが、法令の改正や解釈の厳格化により、経営コストが増加し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報保護法
顧客情報保護については、社内規程を定め、専門部署の設置を行い、細心の注意を図っておりますが、万一、外部漏洩事件が発生した場合は、社会的信用問題や個人への賠償問題など、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)固定資産の減損
当社グループは、保有資産の将来キャッシュ・フローなどを算定し、減損損失の認識及び測定を実施した結果、固定資産の減損損失を計上することも予測され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)M&Aによる事業拡大について
当社グループは、業容の拡大を図る手段としてM&Aを戦略の1つとしております。対象企業については、国内外を問わず、当該企業の財務内容や契約関係などについて、詳細なデューディリジェンス(投資案件評価)を行うことによって、極力リスクを回避するよう努めております。しかしながら、M&Aを行った後に、偶発債務の発生や未認識債務が判明する場合などが考えられます。この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)店舗閉鎖損失
当社グループは、積極的な新規出店を進める一方で、不採算店舗の撤退を行う可能性があります。出店した店舗が当初の計画通りの収益を計上できず、経営努力による売上の拡大や販売費及び一般管理費の削減に努めても、業績の回復が図れない場合は、撤退する方針としております。この場合、店舗撤退に伴う損失が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替リスク
当社グループは、商品の一部を海外から直接輸入しており、間接的な輸入を含めると、販売している商品の中には輸入商品が多く含まれております。一般的に円高になれば、実質的な仕入価格は下がる傾向になり、円安になれば上がる傾向にあるため、売上総利益率の変動を受けるリスクがあります。当社グループは、場合により為替予約を行い、為替リスクを回避する対策を講じておりますが、当該為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替相場などの変動による一般的な市場リスクを有しております。
(10)自然災害
大規模地震や台風などの自然災害が発生した場合、店舗設備などの復旧費用や営業休止期間の発生、商品の物流・配送などに支障が出る可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、自然災害が発生した場合は、防災対策本部を設置し、被害を最小限に抑えるよう体制を整えております。
(11)在庫リスク
当社グループは、積極的な店舗出店を行っていることから、全社的に商品在庫が増加する傾向にあります。商品在庫については、POSシステム及び基幹ITシステムにより、商品の販売動向や在庫数量をリアルタイムに管理することにより、在庫リスクを軽減するよう努めております。しかしながら、消費者需要の変化、異常気象及び季節性による需要の偏りといった不可避的な要因などにより、滞留在庫が発生する可能性があり、在庫処分や商品評価損の計上により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)気候変動への対応
当社グループは、店舗運営におけるエネルギー使用量が多いことから、気候変動に関わる法規制が大幅に強化される等、社会的要請が急激に高まった場合には、想定以上のエネルギー費用や対策コストがかかるリスクがあります。これらのリスクは、TCFD提言に沿ったシナリオ分析により特定し情報開示を行うとともに、「PPIHグループ 脱炭素目標」を定め、店舗運営の省エネ化、太陽光パネル等店舗施設を活用した再生可能エネルギーの創出、非化石証書取引等の再生可能エネルギーへの置き換えを進め、リスクを最小限に抑えるよう対策を講じていきます。
(13)感染症リスク
国内外において重大な感染症が流行した場合、店舗の休業や営業時間の短縮、訪日観光客の減少に伴う来店者数の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループにおいては、お客さまや従業員の安全を最優先とし、感染防止の対策を行います。また、消費者志向の変化に迅速に対応することにより、当該リスクを最小限に抑えるよう柔軟に対応いたします。
(14)情報セキュリティリスク
当社グループは、システムサーバー及びネットワークシステムの障害やサイバー攻撃、ウイルスの侵入や不正アクセス等のリスクに備え、情報セキュリティに関する規程を定めるとともに、バックアップ体制の整備、データセンターの活用、セキュリティシステムの導入、従業員へのシステム使用における定期的な教育を行い対策に努めております。しかしながら、不測の事態が発生し、システム停止等が長期間発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
※ これらのほかに訴訟などの法的手続きの対象となるリスクや法令・規制などの改正など潜在的にさまざまなリスクが存在しており、上記に記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年7月1日~2025年6月30日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により、緩やかな景気回復が続きましたが、物価上昇による個人消費の減少や米国の通商政策の影響、金融資本市場の変動等への対応が求められ、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
小売業界におきましては、インバウンド需要の拡大により、国内消費は増加した一方で、人手不足による人件費の上昇や物流費・水道光熱費の高騰、インフレによる食品・生活必需品など様々な商品の値上げにより、実質賃金の減少が続く状況においては、消費者の防衛意識の高まりにより、競合他社との価格競争が加速し、経営環境は非常に厳しい状況が続いております。このような状況においても、当社グループは、競合他社との差別化要因である「現場主義」及び「個店主義」に立脚した強みを最大限に発揮し、積極的な営業戦略に基づく“攻めの経営”を推進しました。
国内事業におきましては、アミューズメント性の高い購買体験の提供、豊富な品揃え、プロモーションの強化などが奏功し、200を超える国と地域から訪日された外国人観光客のお客さまに多数ご来店頂いたことから、免税売上高は大きく伸長いたしました。また、若年層の囲い込みを目的としたマーケティング施策の推進やメディア露出の強化、季節やトレンド需要を捉えたMD戦略等により、免税以外の売上も伸長しております。
PB/OEM商品については、顧客ニーズを捉えた商品開発力の向上や、定番商品のOEM転換戦略などにより、PB/OEM商品の売上構成比が伸長しており、売上総利益率の向上に貢献しております。
北米事業におきましては、グアムへの初出店となる大型店舗の「DON DON DONKI VILLAGE OF DONKI」、“ニッチ”な日本専門店として認知が拡大している高収益モデル業態である「TOKYO CENTRAL」の新店舗「TOKYO CENTRAL PCH Torrance店」、ハワイで初の「DON DON DONKI」業態となる「DON DON DONKI Kapolei店」など、規模拡大に向けた積極的な出店を進めてまいりました。
アジア事業におきましては、売上拡大に向けた取り組みとして、現地の商流を活用した商品戦略の強化、スポット仕入や日本国内でインバウンド人気の高い商品の価格訴求などの施策を行っております。
当連結会計年度における国内事業の出退店状況につきましては、関東地方に12店舗(東京都-ドン・キホーテ調布駅前店、同田無駅前店、同新宿東南口別館、神奈川県-同鶴見西口店、千葉県-同館山店、同牧の原モア店、同常磐平店、同西友行徳店、茨城県-同守谷店、同石岡店、栃木県-キラキラドンキトナリエ宇都宮店、群馬県-同高崎西口店)、北海道地方に1店舗(北海道-ドン・キホーテ千歳店)、東北地方に1店舗(岩手県-同北上店)、中部地方に3店舗(長野県-同佐久平店、静岡県-同清水店、同浜松志都呂店)、近畿地方に4店舗(大阪府-同堺東駅前店、同りんくう店、京都府-同太秦天神川店、同京都伏見店)、四国地方に2店舗(徳島県-同小松島ルピア店、高知県-同高知店)、九州地方に2店舗(福岡県-同大橋駅前店、沖縄県-同国際通りくもじ店)を出店しております。法人別内訳は、株式会社ドン・キホーテ25店舗となりました。
海外事業の出店状況につきましては、米国カリフォルニア州に1店舗(TOKYO CENTRAL PCH Torrance店)、米国ハワイ州に2店舗(Fujioka’s Wine Times Kapolei店、DON DON DONKI Kapolei店)、グアムに1店舗(同VILLAGE OF DONKI店)、シンガポールに1店舗(同Bukit Panjang Plaza店)、香港に1店舗(同旺角 MPM店)、台湾に1店舗(同桃園統領店)、マレーシアに1店舗(JONETZ by DON DON DONKI NU Sentral店)を出店しております。また、2025年4月に米国カリフォルニア州サクラメントを中心に寿司レストランを運営するMikuni Restaurant Group,Inc.の全株式を取得し、子会社化したことにより、9店舗がグループ店舗として新たに増加しております。
その一方で、国内2店舗、海外3店舗の合計5店舗を退店しております。
この結果、2025年6月末時点における当社グループの総店舗数は、国内655店舗、海外124店舗の合計779店舗(2024年6月末時点 742店舗)となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、
|
売上高 |
2兆2,467億58百万円 |
(前年同期比 7.2%増) |
|
営業利益 |
1,622億96百万円 |
(前年同期比 15.8%増) |
|
経常利益 |
1,585億42百万円 |
(前年同期比 6.6%増) |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
905億12百万円 |
(前年同期比 2.0%増) |
となり、増収増益を達成することができました。
当連結会計年度のセグメントの業績は次のとおりであります。
(国内事業)
当連結会計年度の売上高は、前年同期と比較し1,330億51百万円増加して、1兆8,961億13百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は1,580億84百万円(前年同期比15.7%増)となりました。国内事業においては、免税売上の伸長、PB/OEM商品の収益貢献、季節商品やトレンド商品の好調、メディア露出の強化及び価格戦略などの様々な施策により、既存店売上高成長率は5.9%増となったことから、売上高及び営業利益は増加しております。
(北米事業)
当連結会計年度の売上高は、前年同期と比較し125億62百万円増加して、2,594億37百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は22億83百万円(前年同期比33.7%減)となりました。北米事業においては、南カリフォルニアの山火事の影響により1店舗の焼失がありましたが、新規出店や製造オペレーションの改善、新たな営業施策の奏功により、売上高及び売上総利益率が伸長した一方で、新規出店に関わる費用の増加やM&Aに関連するアドバイザリー費用の計上等により、販売費及び一般管理費が増加したことから、営業利益は減少しております。
(アジア事業)
当連結会計年度の売上高は、前年同期と比較し60億69百万円増加して、912億9百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益は19億29百万円(前年同期は1億46百万円)となりました。アジア事業においては、円安進行及び積極的な出店施策により売上高が増加すると同時に、販売費及び一般管理費も増加しておりますが、人件費の管理、業務の内製化及びバックオフィス業務など、生産性改善による効率改善を進めたことにより、営業利益は増加しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して113億62百万円減少して、1,758億37百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、1,319億68百万円(前年同期比185億86百万円減)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,369億10百万円、減価償却費478億89百万円及び減損損失184億67百万円といった増加要因があった一方、棚卸資産の増加269億31百万円及び法人税等の支払額481億29百万円という減少要因によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、610億80百万円(前年同期比336億53百万円減)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出386億72百万円、無形固定資産の取得による支出134億61百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出103億31百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、759億14百万円(前年同期比540億31百万円減)となりました。これは主として、長期借入れによる収入400億円といった増加要因があった一方、長期借入金の返済による支出992億57百万円及び配当金の支払額202億97百万円という減少要因によります。
③仕入及び販売の実績
a.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
国内事業 |
|
|
|
(ディスカウントストア) |
|
|
|
家電製品 |
65,385 |
102.6 |
|
日用雑貨品 |
276,711 |
114.3 |
|
食品 |
486,344 |
108.8 |
|
時計・ファッション用品 |
122,483 |
111.5 |
|
スポーツ・レジャー用品 |
58,027 |
115.3 |
|
その他 |
21,243 |
161.6 |
|
(総合スーパー) |
|
|
|
衣料品 |
25,234 |
109.8 |
|
住居関連品 |
45,891 |
100.0 |
|
食品 |
225,285 |
100.3 |
|
その他 |
6,400 |
161.2 |
|
(その他) |
|
|
|
その他の収益 |
1,556 |
115.5 |
|
|
|
|
|
北米事業 |
160,706 |
105.7 |
|
|
|
|
|
アジア事業 |
48,163 |
108.9 |
|
合 計 |
1,543,429 |
108.6 |
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
国内事業 |
|
|
|
(ディスカウントストア) |
|
|
|
家電製品 |
92,391 |
102.5 |
|
日用雑貨品 |
393,490 |
113.9 |
|
食品 |
613,713 |
107.8 |
|
時計・ファッション用品 |
182,209 |
108.2 |
|
スポーツ・レジャー用品 |
92,288 |
113.8 |
|
その他 |
21,998 |
105.2 |
|
(総合スーパー) |
|
|
|
衣料品 |
43,789 |
98.5 |
|
住居関連品 |
67,551 |
103.7 |
|
食品 |
313,828 |
104.1 |
|
その他 |
986 |
500.4 |
|
(その他) |
|
|
|
その他の収益 |
73,869 |
96.2 |
|
|
|
|
|
北米事業 |
259,437 |
105.1 |
|
|
|
|
|
アジア事業 |
91,209 |
107.1 |
|
合 計 |
2,246,758 |
107.2 |
c.当連結会計年度の地域別売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
地域別 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
|
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
国内事業 (ディスカウントストア) |
|
|
|
北海道 |
65,343 |
108.1 |
|
青森県 |
15,969 |
123.0 |
|
岩手県 |
4,323 |
110.3 |
|
宮城県 |
20,830 |
104.5 |
|
秋田県 |
9,313 |
101.9 |
|
山形県 |
5,579 |
104.7 |
|
福島県 |
16,233 |
102.1 |
|
茨城県 |
26,640 |
102.4 |
|
栃木県 |
12,435 |
100.1 |
|
群馬県 |
16,667 |
101.8 |
|
埼玉県 |
66,585 |
103.0 |
|
千葉県 |
58,805 |
105.0 |
|
東京都 |
225,815 |
122.1 |
|
神奈川県 |
91,952 |
103.6 |
|
新潟県 |
15,181 |
107.5 |
|
富山県 |
11,503 |
104.8 |
|
石川県 |
10,908 |
101.8 |
|
福井県 |
12,501 |
101.3 |
|
山梨県 |
9,146 |
106.3 |
|
長野県 |
26,623 |
113.3 |
|
岐阜県 |
24,378 |
103.6 |
|
静岡県 |
47,681 |
106.6 |
|
愛知県 |
160,153 |
102.6 |
|
三重県 |
29,810 |
103.3 |
|
滋賀県 |
16,916 |
102.8 |
|
京都府 |
25,563 |
113.3 |
|
大阪府 |
124,167 |
116.2 |
|
兵庫県 |
29,571 |
103.6 |
|
奈良県 |
12,512 |
103.2 |
|
和歌山県 |
5,571 |
107.2 |
|
鳥取県 |
6,382 |
255.2 |
|
島根県 |
1,769 |
95.4 |
|
岡山県 |
6,184 |
108.2 |
|
広島県 |
16,602 |
105.2 |
|
山口県 |
3,167 |
107.0 |
|
徳島県 |
4,129 |
128.6 |
|
香川県 |
3,944 |
111.1 |
|
愛媛県 |
10,234 |
109.0 |
|
高知県 |
1,760 |
2219.5 |
|
福岡県 |
54,561 |
110.6 |
|
佐賀県 |
3,455 |
104.8 |
|
長崎県 |
8,084 |
104.5 |
|
熊本県 |
11,409 |
109.1 |
|
大分県 |
6,762 |
112.6 |
|
宮崎県 |
9,169 |
106.3 |
|
鹿児島県 |
9,696 |
107.2 |
|
沖縄県 |
40,108 |
119.6 |
|
合計 |
1,396,090 |
109.5 |
|
地域別 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
|
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
(総合スーパー) |
|
|
|
栃木県 |
8,766 |
103.0 |
|
群馬県 |
7,867 |
99.7 |
|
埼玉県 |
7,315 |
104.0 |
|
千葉県 |
9,269 |
102.3 |
|
神奈川県 |
25,126 |
105.3 |
|
新潟県 |
13,412 |
103.4 |
|
富山県 |
10,146 |
99.8 |
|
石川県 |
12,797 |
103.0 |
|
福井県 |
6,431 |
100.1 |
|
山梨県 |
4,160 |
104.4 |
|
長野県 |
9,131 |
103.0 |
|
岐阜県 |
35,148 |
100.0 |
|
静岡県 |
44,307 |
99.4 |
|
愛知県 |
197,177 |
106.0 |
|
三重県 |
25,400 |
102.0 |
|
滋賀県 |
3,043 |
106.7 |
|
奈良県 |
6,659 |
102.8 |
|
合計 |
426,154 |
103.6 |
|
北米事業 |
259,437 |
105.1 |
|
アジア事業 |
91,209 |
107.1 |
d.当連結会計年度の業態別単位当たり売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
項目 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
前年同期比 (%) |
|
|
国内事業 (ディスカウントストア) |
|
|
|
|
売上高(百万円) |
1,396,090 |
109.5 |
|
|
1㎡当たり売上高 |
売場面積(期中平均)(㎡) |
1,708,122 |
105.0 |
|
1㎡当たり年間売上高(百万円) |
0.8 |
104.3 |
|
|
1人当たり売上高 |
従業員数(期中平均)(人) |
35,738 |
107.4 |
|
1人当たり年間売上高(百万円) |
39.1 |
101.9 |
|
|
(総合スーパー) |
|
|
|
|
売上高(百万円) |
426,154 |
103.6 |
|
|
1㎡当たり売上高 |
売場面積(期中平均)(㎡) |
760,349 |
99.6 |
|
1㎡当たり年間売上高(百万円) |
0.6 |
104.0 |
|
|
1人当たり売上高 |
従業員数(期中平均)(人) |
14,274 |
95.6 |
|
1人当たり年間売上高(百万円) |
29.9 |
108.4 |
|
|
北米事業 |
|
|
|
|
売上高(百万円) |
259,437 |
105.1 |
|
|
1㎡当たり売上高 |
売場面積(期中平均)(㎡) |
129,737 |
104.1 |
|
1㎡当たり年間売上高(百万円) |
2.0 |
101.0 |
|
|
1人当たり売上高 |
従業員数(期中平均)(人) |
5,098 |
108.6 |
|
1人当たり年間売上高(百万円) |
50.9 |
96.8 |
|
|
アジア事業 |
|
|
|
|
売上高(百万円) |
91,209 |
107.1 |
|
|
1㎡当たり売上高 |
売場面積(期中平均)(㎡) |
56,143 |
106.3 |
|
1㎡当たり年間売上高(百万円) |
1.6 |
100.8 |
|
|
1人当たり売上高 |
従業員数(期中平均)(人) |
3,346 |
86.9 |
|
1人当たり年間売上高(百万円) |
27.3 |
123.3 |
|
(注)従業員数は、臨時従業員(1人1日8時間換算)を含めて表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
資産につきましては、前連結会計年度末と比較して126億16百万円増加し、1兆5,110億26百万円となりました。これは主として、商品及び製品が259億23百万円、無形固定資産が89億43百万円増加した一方で、預け金が100億36百万円、有形固定資産が174億78百万円減少したことによります。
負債は、前連結会計年度末と比較して644億25百万円減少し、8,869億82百万円となりました。これは主として、未払法人税等が37億52百万円増加した一方で、未払金が33億91百万円、借入金が599億68百万円減少したことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して770億41百万円増加し、6,240億44百万円となりました。これは主として、配当金の支払い及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加が702億15百万円、非支配株主持分が71億44百万円増加したことによります。
b.経営成績の分析
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度の売上高及び営業利益の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
受取利息及び配当金13億26百万円、持分法による投資利益6億15百万円、違約金収入5億19百万円などの計上により、営業外収益は82億49百万円になりました。一方で、支払利息及び社債利息64億3百万円、為替差損46億19百万円などの計上により、営業外費用は120億2百万円となったことから、経常利益は1,585億42百万円(前年同期比6.6%増)となりました。
また、特別利益は固定資産売却益2億16百万円、店舗閉鎖損失引当金戻入額7億98百万円などの計上により10億23百万円となりました。特別損失は減損損失184億67百万円、固定資産除却損15億7百万円、店舗閉鎖損失17億45百万円などの計上により226億55百万円となりました。これらのことから親会社株主に帰属する当期純利益は905億12百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、新規出店や改装に係る設備投資、ソフトウェアの開発・導入等によるものであります。運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要である会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、収益力強化のため、資本の有効活用を重視するとともに、持続的な成長及び企業価値の向上にむけた積極的な投資を引き続き行ってまいります。特に重要視する経営指標は、売上高及び営業利益の持続的増加を継続していくことであり、新たに策定した長期経営計画「Double Impact 2035」の定量目標として、2035年6月期に「売上高:4兆2,000億円」、「営業利益:3,300億円」を目標としております。今後は、「Double Impact 2035」の目標達成に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度における長期経営計画「Double Impact 2035」の進捗状況は次のとおりであります。
2035年6月期:売上高 :2兆2,467億58百万円(進捗率 53.5%)
営業利益: 1,622億96百万円( 同 49.2%)
当社は、都市銀行、地方銀行及び協同組織金融機関との間でシンジケートローン等について、財務上の特約が付された金銭消費賃貸借契約を締結しております。
契約に関する内容等は、以下の通りです。
|
|
契約締結日 |
弁済期日 |
契約内容 |
財務制限 条項 |
|
|
借入金額 (百万円) |
担保 |
||||
|
金銭消費貸借契約 |
2018年9月26日 |
2025年9月30日他 |
2,589 |
無 |
(注1) |
|
シンジケートローン契約 |
2019年3月22日 |
2026年3月31日 |
20,000 |
無 |
(注2) |
|
金銭消費貸借契約 |
2019年3月27日 |
2026年3月31日他 |
2,107 |
無 |
(注1) |
|
金銭消費貸借契約 |
2020年4月27日 |
2027年4月30日他 |
6,429 |
無 |
(注1) |
|
金銭消費貸借契約 |
2022年2月10日 |
2029年2月28日他 |
3,839 |
無 |
(注1) |
|
金銭消費貸借契約 |
2023年2月1日 |
2030年1月31日他 |
8,393 |
無 |
(注1) |
|
金銭消費貸借契約 |
2023年2月28日 |
2033年2月28日 |
1,000 |
無 |
(注3) |
|
金銭消費貸借契約 |
2023年11月30日 |
2030年12月30日他 |
10,716 |
無 |
(注1) |
|
金銭消費貸借契約 |
2024年8月23日 |
2031年9月30日他 |
11,358 |
無 |
(注1) |
|
|
合計 |
66,431 |
- |
- |
|
(注)1.各年度の決算期の末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額を前年同期比75%以上に維持すること。
2.2019年6月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を、2018年6月期末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。
3.2023年6月末日及びそれ以降の各事業年度末日における報告書等の連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を2022年6月期末日における報告書等の連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、または直前の事業年度末日における報告書等の連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。
2023年6月末日及びそれ以降の各事業年度末日における報告書等の連結損益計算書に記載される経常損益を2期連続して損失としないこと。
該当事項はありません。