当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。
(1)グループ経営方針
当社グループは、「常に相手の立場にたって考動すること(考動=常に考え、自ら行動する)」、「いつも革新に努め、前向きに考動すること」を日々の活動方針とし、「全ての人の健康と幸せを願い、豊かな明日を創造」する事を理念としています。
当社グループは、時代の変化にも柔軟に対応しながら、全ての人の生活に寄り添い、地域社会に貢献するとともに、さらなる価値を提供する事で、「豊かな明日」を創造します。
「豊かな明日」を誠実に積み重ねつづける事で、より明るい未来へ貢献してまいります。
(2)グループ経営戦略等
当社グループが今後一層の成長を遂げるためには、予測不能で不確実な未来に対し、いち早く対応し、その先にある新しいマーケットの開拓に注力することが重要であると認識しております。それぞれのグループ事業に対し機動的かつ自律的な経営体制の構築を促し、環境変化に対する柔軟性や対応力を兼ね備えた事業の集合体としてグループを構築することが必要不可欠であると考え中期経営計画「Resilient2021」(レジリエント2021)において、この命題をビジョン「自己変革型企業群」として定め、その達成に努めております。豊かな明日を創造するために、消費者一人ひとりの前向きな感情「美味しい、楽しい」を大切にする企業群を積極的なM&Aを通じて形成し、自己変革してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「Resilient2021」では、既存事業の生産性向上と成長事業・新規事業への積極的投資及びコロナ禍からの回復とコロナ後の不透明な未来を見据えた組織再編を伴う体制構築で環境変化にしなやかに対応できるようグループ事業の自律性をサポートしていくことを目標に掲げ、グループ成長拡大のための土台作り期として取り組んでまいりました。2023年3月期では、第3四半期に当社グループに加わった稲葉ピーナツ株式会社・株式会社谷貝食品による押し上げ効果や、コロナ禍を乗り越える経営努力で体質改善した既存事業の生産性向上により、業績はコロナ前の水準に回復いたしました。また、「事業開発部」の新設や「事業ポートフォリオ基本方針の策定」により事業群拡大に向けた体制整備を図る等、中期経営計画の全方位的拡大に耐えうる土台作りに引き続き取り組んでまいります。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループでは、不透明な未来に速やかに対応し、成長を持続できるグループ会社の構築(自己変革型企業群)が更なる企業発展のために必要不可欠であると認識しております。そのために、次の3つの課題に優先的に対処してまいります。それによって、グループ会社が変化への適応力を高めるための柔軟性を取り入れ、組織全体でのコミュニケーションや意見交換等による外部の知識やリソースを活用した相互補完を図ることで、グループ全体の相乗的な成長を図ってまいります。
①グループ拡大による多事業化(新規事業創出の強化)
a.事業ポートフォリオマネジメント体制の整備・運用
・「事業ポートフォリオ基本方針」(※後記ご参照。)に基づいて、資本コストを上回る資本収益性が期待できる豊かな明日を創造する投資を、積極的に行ってまいります。これにより、当社グループの超過利潤と社会的存在意義を高めてまいります。
・2023年4月改定「グループ関係会社管理規程」及び「戦略会議」の重要案件審議体制に基づいて、大型投融資案件に係る投資判断目線をグループレベルで一貫させることにより、投資効率を高めてまいります。
・経理財務部を中心に経営資源配分のモニタリングを推進し、事業ポートフォリオ基本方針に関する戦略の見直しについてモニタリングと評価を踏まえて定期的に(年 1 回)取締役会で検討してまいります。
・また、事業ポートフォリオ戦略(投資方針)と投資成果に関する情報開示の充実に取り組んでまいります。
b. 2023年4月に設置した事業開発部による積極的なM&A推進
c. 「グループ拡大」に関係が深い主要リスク「事業ポートフォリオ戦略」「人財成長支援戦略」「人権コンプライアンス」「M&A戦略・減損」に関するリスクマネジメント(それぞれのリスクの内容と対応策については「3.事業等のリスク 3.<主要リスク>の内容、主な対応策」をご参照ください。)
※「事業ポートフォリオ基本方針」・・・私たちハークスレイグループは、事業活動を通じて持続可能で安心・安全な生活基盤の構築と地球環境の保全を実現するために、積極的な新規事業創成とグループ内の事業の多角化を進めると共に、 資本コストを上回る資本収益性が期待できる成長事業への経営資源積極投下を行い、事業ポートフォリオによる価値創造を最大化すべく、グループ全体のシナジーの創出を図ります。また、それぞれの事業の自律化を促進し、多様性、環境適応性を兼ね備えた自己変革型企業群の構築を目指します。 なお、事業ポートフォリオ基本方針に関する戦略の見直しについては、設定した KPI のモニタリングと評価を踏まえ、定期的に(年 1 回)取締役会で検討を行います。
②環境・市場対応力(新たな分野への対応力の強化)
a. サステナビリティ経営体制及びリスクマネジメント体制の整備・運用
・「サステナビリティ基本方針」(※後記ご参照。)を基礎として長期的な視点で取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しており、そのマテリアリティ関連のリスク及びその他の事業リスク・財務リスクのうち重要性の高いものはグループレベルでマネジメントする体制としております。(「3.事業等のリスク 1.当社グループのリスクマネジメント体制」および「3.事業等のリスク 2.<主要リスク>の選定、重要性判定」をご参照ください。)
・社会環境変化を展望したリスク・機会・社会課題を踏まえて特定するマテリアリティは、今後の社会環境変化やステークホルダーとの対話を踏まえて見直していくものであり、そのリスクマネジメントについても環境・市場に対応してまいります。
b.「環境・市場」に関係が深い主要リスク「安全性品質」「技術革新・規制改革」「食品の原材料価格変動」「販売用不動産価格変動」「出店戦略・減損・空家賃」に関するリスクマネジメント(それぞれのリスクの内容と対応策については「3.事業等のリスク 3.<主要リスク>の内容、主な対応策」をご参照ください。)
※「サステナビリティ基本方針」・・・私たちハークスレイグループは、「豊かな“明日”を創造」するために、お客様を始めとするステークホルダーの皆様と力を合わせ、事業活動を通じて、持続可能で安心・安全な生活基盤の構築と地球環境の保全を実現するために、挑戦を続けてきました。ハークスレイにとってサステナビリティとは、環境・社会と企業の両方の持続可能性を追求することです。これらを実現するためには、ハークスレイグループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、長期的な経営戦略の目標に組み込んで、事業活動を通じて課題の解決に取り組んでいくことが重要であると考えます。ハークスレイグループは「豊かな“明日”を創造」し、次世代へと継承することをお約束します。
③高度な経営人財の多様化(成長を支える人財の強化)
当社グループでは、人財を最も重要な経営資源と位置づけており、多様性のある人財の確保及び成長支援が環境・市場対応力のある持続的な企業発展のために必要不可欠であると認識しております。当社グループのマテリアリティを重視し、ビジネスに精通し、かつ環境適応能力(環境・市場を踏まえた構想力+突破力)を兼ね備える高度な経営人財を、社内外の両方から発掘・育成・登用することにより、高度な経営人財を多様化してまいります。グループ入りした多様な人財が、個々の能力を最大限に発揮するための社内環境の整備に引き続き取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ活動を継続的に行うための機関としてサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ基本方針を基礎として、長期的な視点でマテリアリティ(重要課題)を特定し、その見直しを行っています。サステナビリティ委員会では、長期的な経営戦略の目標に組み込んで、環境・社会と企業の両方の持続可能性を追求するために取り組む課題について年4回の頻度で審議・議論を行ってまいります。なお、サステナビリティ委員会の協議内容及び決定事項は、取締役会への報告・上程と決議を経て当社グループの決定事項となります。同委員会は、代表取締役会長兼社長を委員長として、当社全役職員、グループ各社の経営・リスク管理部門などのメンバーで構成しております。
(参考)サステナビリティ推進プロセス
(2)戦略
a 当社グループは、「豊かな“明日”を創造」するために、お客様を始めとするステークホルダーの皆様と力を合わせ、事業活動を通じて、持続可能で安心・安全な生活基盤の構築と地球環境の保全を実現するために、挑戦を続けてきました。当社グループにとってサステナビリティとは、環境・社会と企業の両方の持続可能性を追求することです。これらを実現するためには、当社グループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、長期的な経営戦略の目標に組み込んで、事業活動を通じて課題の解決に取り組んでいくことが重要であると考えます。
b 中長期的な企業価値の向上に向けて「人が活きる」企業経営をマテリアリティに掲げ多事業化を志向する当社グループとして、人的資本経営(「人」はコストでなく付加価値源泉であるという考え方)の方向性に齟齬が生じないよう「人財育成方針及び社内環境整備方針」(※後記ご参照。)を制定、多様性ある人財が活力を最大化できるようグループ横断的に取り組んでまいります。
※「人財育成方針及び社内環境整備方針」の内容・・・ハークスレイグループは「全ての人の健康と幸せを願い、豊かな“明日” を創造」することを経営理念に掲げています。 こうしたハークスレイグループの価値観を共有するとともに、「常に相手の立場にたって考動する(考動=常に考え、自ら行動する)」、「いつも革新に努め、チャレンジ精神を持って前向きに考動する」ことができる人を、私たちは求めています。ハークスレイグループは、時代の変化にも柔軟に対応しながら、全ての人の生活に寄り添い、地域社会に貢献するとともに、さらなる価値を提供することで、「豊かな明日」を創造します。ハークスレイグループは、「豊かな明日」を誠実に積み重ねつづけ、より明るい未来を協創する人財を育成してまいります。ハークスレイグループが理想とする社内環境は、多様性ある人財が平等に活躍と機会の場をみつけだし、お互いに補完しあいながら、活力を最大化できる職場です。ハークスレイグループは、「人が活きる」企業経営を5つのマテリアリティの1つに掲げ、こうした社内環境を通して、社員がステークホルダーと共に誇れる企業であることを目指しています。具体的な施策としては、人財の成長支援、人権重視経営の徹底、ワークライフバランスとダイバーシティの充実を進めます。ハークスレイグループは、今後も社内環境整備に必要な施策を、積極的に推進していきます。
(3)リスク管理
社会環境変化を展望したリスク・機会・社会課題を踏まえて特定するマテリアリティは、今後の社会環境変化やステークホルダーとの対話を踏まえて見直すものであり、サステナビリティ委員会においてリスクと機会を評価してまいります。主要リスクの動向や対応策の状況は取締役会報告等を通じてモニタリングしてまいります。人的資本関連では、「人が活きる企業経営」をマテリアリティの1つに掲げ、主要リスクとして「人財成長支援戦略」「人権コンプライアンス」を現在(提出日現在)選定しております。
(4)指標及び目標
人財育成方針及び社内環境整備方針に関する測定可能な指標として今後、従業員エンゲージメント・サーベイを定期的に実施し、従業員との対話を重視した取り組みを行ってまいります。従業員エンゲージメント・サーベイは、「当社グループの経営方針への共感度」「所属グループへの貢献意欲」「従業員個々の成長意欲」を主軸にアンケートを行い、高評価の従業員割合7割超(2026年度)を目指します。当社グループは従業員との対話を強化して取り組んでまいります。
(注)当社グループは、気候変動による事業への影響を重要な経営課題の1つと捉え、ESG経営の観点からも関連情報の開示が必要と認識しており、2023年5月にTCFD提言への賛同を表明しました。今後はこの提言に沿った気候関連の情報の開示を行ってまいります。
<参考>当社グループの2022年度Scope1.Scope2温室効果ガス排出量は、約16,465t-CO2です。
1.当社グループのリスクマネジメント体制
当社グループにおけるリスクマネジメント体制は、次の通りです。なお、このほか当社グループは「第4 提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等」に記載の通り企業統治体制を整え、リスクマネジメントを含む内部統制システムを整備・運用しております。
(1)サステナビリティ委員会
当社グループのサステナビリティ活動を継続的に行うための機関として設置しています。
サステナビリティ基本方針を基礎として、長期的な視点でマテリアリティ(重要課題)を特定し、その見直しを行っています。
(2)戦略会議
経営戦略上の重要課題・重要案件を審議するための機関として設置しています。
リスクマネジメントに関しては、マテリアリティに関連するリスクおよびその他の事業リスク・財務リスクについて年1回、社外取締役・監査役の意見も踏まえ、「主要リスクの選定、およびその重要性(影響度・緊急度)の判定に係る承認」を行っています。承認までのチェックポイントは次の通りです。
①経営理念について、変更がないか。(変更を反映)
②マテリアリティについて、変更がないか。(変更を反映)
③事業ポートフォリオについて、M&A・新規事業開発・既存事業急拡大等による変更がないか。(変更を反映)
④中期経営計画など経営戦略について、変更がないか。(変更を反映)
⑤個別リスク主管部の洞察として、大きな外部環境変化はないか。
⑥個別リスク主管部の洞察として、インシデント発生傾向の大きな変化はないか。
⑦個別リスク主管部の洞察として、各事業部門からの報告や内部監査結果等で気付く大きな予兆はないか。
(3)個別リスク主管部
総務部がマテリアリティ関連リスク(存続を脅かすレピュテーションリスクを含む)および事業リスクを主管し、経理財務部が財務リスクを主管し、それぞれ当社グループの各事業部門と連携を取りながら当社グループ全体の対応策を立案・推進しています。
(4)各事業部門
当社グループの各事業部門において、本業の一環で、業務遂行上のリスクを適切に管理するための対応策を講じています。
2.<主要リスク>の選定、重要性判定
(1)当社グループは、「マテリアリティ関連リスク」および「その他の事業リスク・財務リスク」を対象に、利害関係者への影響を含めて経営に大きな影響を及ぼすリスクとして影響度(甚大・大・他)と緊急度(高・中・低)を総合的に勘案し、グループとして管理が必要な<主要リスク>を選定しております。その選定に際しての考え方および対応策検討については、次の通りです。
①影響度「甚大・大」×緊急度「高・中」のリスク
<主要リスク>に選定し、グループ全体の対応策を個別リスク主管部が立案し、戦略会議で検討します。
<主要リスク>に関する動向や対応策の状況は、取締役会報告等を通じてモニタリングします。
②影響度「甚大・大」×緊急度「低」のリスク
選定外とし、グループ全体の対応策を個別リスク主管部が中心となって検討します。
③緊急度「低」のリスク
選定外とし、各事業部門が業務遂行上のリスクを適切に管理するための対応策を講じます。
<参考:影響度(甚大・大・他)のレベル選択の目安>
1. 甚大:金銭的影響 10億円以上、又は業務に起因する死亡者発生、グループ全体の社会的信用失墜
2. 大:金銭的影響 3億円以上、又は業務に起因する入院傷病者発生、各事業部門の社会的信用失墜
3. 他:上記以外
<参考:緊急度(高・中・低)のレベル選択の目安>
1. 高:適切な対策を講じ続けない限り、向こう 1年以内に顕在化する可能性5割以上と予想
2. 中:適切な対策を講じ続けない限り、向こう 3年以内に顕在化する可能性5割以上と予想
3. 低:現状対応策の継続により、向こう 3年以内に顕在化する可能性5割未満と予想
(2)選定した<主要リスク>は9項目で、それぞれの重要性判定(影響度×緊急度)は次の通りです。
3.<主要リスク>の内容、主な対応策
以下は選定した<主要リスク>9項目に関する記載であり、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)安全性品質 <マテリアリティ関連リスク>
《影響度》甚大
《緊急度》高
《内容》
当社グループの食の安全に向けた取り組みにも関わらず、食中毒・異物混入等の品質問題や使用食材の安全性に疑義が呈された場合、営業停止或いは風評悪化等により業績に影響を及ぼす可能性があり、場合によっては社会的信用を失います。また、店舗アセット&ソリューション事業において火災等により人命が危ぶまれる事故が発生する可能性があります。
《主な対応策》
工場における食品安全マネジメント国際規格FSSC22000認証取得や品質管理部門設置により、品質管理を徹底するとともに、店舗での日常指導を通じて安心・安全な商品・サービスを継続的に提供してまいります。また消防法等の関連法令遵守を徹底し、点検で発見した不備には適時に対応してまいります。
(2)事業ポートフォリオ戦略 <マテリアリティ関連リスク>
《影響度》甚大
《緊急度》高
《内容》
当社グループは、事業の多様化を進め、環境適応能力と成長性を兼ね備えた「自己変革型企業群」として事業ポートフォリオ基本方針を定めておりますが、その運用が形骸化した場合、資本収益性が低迷し、企業価値を毀損する可能性があります。
《主な対応策》
各事業部門(傘下事業会社)の大型投融資案件に関して当社(持株会社ハークスレイ)あて承認申請を要する枠組は既に構築済であり、それが資本コストを上回る資本収益性を意識した事業ポートフォリオ基本方針と整合的な内容か、当社戦略会議で審議・承認する運用を強化してまいります。また、事業ポートフォリオをモニタリングする当社経理財務部の財務二線機能について、機能発揮と実効性向上に取り組んでまいります。
(3)食品の原材料価格変動 <その他の事業リスク・財務リスク>
《影響度》甚大
《緊急度》高
《内容》
食品加工事業において原材料を輸入に頼る稲葉ピーナツ㈱の原材料価格変動リスクが為替要因を含めて大きく、また持ち帰り弁当の原材料となる米や野菜の不作或いは鶏肉の輸入に支障が生じるリスクもあり、これらが業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
《主な対応策》
品質水準を満たす原材料を安定調達するようサプライチェーンと密に連携するとともに、当社グループ内での原材料加工・供給体制整備を進めてまいります。また、持ち帰り弁当に関しては、使用する原材料を高騰したものから値打ちある素材に切り換えてメニュー開発する等、お客様ニーズを多面的に捉えて展開してまいります。
(4)販売用不動産価格変動 <その他の事業リスク・財務リスク>
《影響度》大
《緊急度》高
《内容》
店舗などの商業用不動産をバリューアップする開発プロセスにおいては資材需給による納期遅れや建設単価上昇のリスクがあり、バリューアップ後の販売プロセスにおいては金融情勢悪化を含む収益不動産に関する市況悪化による販売不振が販売価格下落・在庫評価損をもたらすリスクがあり、これらが業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
《主な対応策》
遵法性工事や店舗リーシングといった店舗流通ネット・グループの強みを活かしてバリューアップ後の売却益を狙うビジネスモデルは持続可能なものであり、金融情勢の影響を受けやすい不動産ファンドに限ることなく幅広く販売ルートを拡充し、在庫回転良化により資本収益性を高めつつ、在庫ポジションを適正範囲内で運営することにより価格変動リスクをコントロールしてまいります。
(5)人財成長支援戦略 <マテリアリティ関連リスク>
《影響度》甚大
《緊急度》中
《内容》
当社グループでは人財を最も重要な経営資源と位置づけており、企業発展に必要な人財の確保及び成長支援に向けて、人財育成方針及び社内環境整備方針を制定し、その実践に取り組んでいく戦略であるものの、その戦略が思うように実行されずに必要な人財が確保できない或いはエンゲージメントや労働生産性が戦略目標に対して大幅未達となるリスクがあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
《主な対応策》
人財育成方針及び社内環境整備方針については2024年3月期に取締役会に上程する計画であり、制定次第、グループをあげて、実践するよう徹底してまいります。また従業員エンゲージメント調査について、「人が活きる」経営は当社グループ経営の根幹と考え、2024年3月期からは調査対象範囲をグループ全体に拡げて、そのモニタリング結果をグループ全体のエンゲージメント向上施策に活用してまいります。
(6)M&A戦略と減損 <その他の事業リスク・財務リスク>
《影響度》甚大
《緊急度》中
《内容》
M&Aに際しては事前調査によりリスク低減に努めますが、グループインした企業の業績が事業計画に対して大幅未達となるリスクがあり、またのれんが減損するリスクもあり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
《主な対応策》
大型投融資案件に関して、それが資本コストを上回る資本収益性を意識した事業ポートフォリオ基本方針と整合的な内容か、当社戦略会議で審議・承認する運用を強化してまいります。また、投資実行後フェーズにおいては、事業開発部における事業執行に加えて、事業ポートフォリオをモニタリングする経理財務部の財務二線機能の機能発揮と実効性向上に取り組んでまいります。
(7)出店戦略と減損・空家賃 <その他の事業リスク・財務リスク>
《影響度》大
《緊急度》中
《内容》
持ち帰り弁当事業及び店舗アセット&ソリューション事業において、出店投資回収を見積もった上で店舗物件・店舗リース用物件の出店の意思決定を行いますが、出店基準を満たす物件を確保することが出来ずに業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該物件が期待したキャッシュフローを生み出さないことによる減損リスク、店舗リース用物件に関してはユーザーが長期間決まらずに空家賃が想定以上に発生するリスクもあり、これらが業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
《主な対応策》
出店基準を満たす物件を効率的に確保するため、専門的ノウハウを持った人財のチームでノウハウを共有して取り組んでまいります。店舗リース用物件に関しては、出店候補エリアの人流と属性を定点観測の上、ユーザー見込み層に物件を提案して反応を直接知ることにより、リアルな動向を常時把握して空店舗発生リスクを低減し、空家賃リスクをコントロールしてまいります。
(8)技術革新・規制改革 <マテリアリティ関連リスク>
《影響度》大
《緊急度》中
《内容》
技術革新や規制改革への適応が遅れると、やがて競合他社の商品サービスに劣後し、既存ビジネスモデルの陳腐化により市場を失い、業績に影響を及ぼす可能性があります。
《主な対応策》
技術革新や規制改革を好機と捉える多様性ある人財を確保・育成し、市場の変化に適応する柔軟性とアジリティを持った経営戦略を推進してまいります。
(9)人権コンプライアンス <マテリアリティ関連リスク>
《影響度》大
《緊急度》中
《内容》
人権コンプライアンスは、人が活きる企業経営をマテリアリティとする当社グループにとって存在意義の土台となるものです。また、人権軽視の問題事象が対外的に明らかになった場合、不買運動をはじめ業績に影響を及ぼす可能性があり、場合によっては社会的信用を失います。M&A等で異なるカルチャーの企業がグループインすることもあり、多面的な取り組みが今後必要になります。
《主な対応策》
ESGを土台として「人が活きる」経営は当社グループ経営の根幹と、経営層から現場一線まで幅広く情報共有し、育成とOJTを通じて人権重視カルチャーを醸成してまいります。サプライチェーンへの配慮責任を含め、グループインした企業の意識醸成についてはPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション:M&A後の経営・業務・意識を統合するプロセス)の際に留意してまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限の緩和等によって緩やかに持ち直しの動きがみられる一方で、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格や原材料価格の高騰に加え、為替の急激な変動等により不安定な状況が続きました。
このような環境の中、当社グループは、不透明さが続く未来においても新しい価値創造を続けていくため、環境適応能力と成長性を兼ね備えた事業連合体「自己変革型企業群」を目指し、「グループ拡大による多事業化」、「環境・市場 対応力」、「経営人材の多様化」を通してその実現に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。
売上高356億13百万円(前年同期比12.3%増)、営業利益14億60百万円(前年同期比33.4%増)、経常利益15億79百万円(前年同期比14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10億47百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
イ. 持ち帰り弁当事業
持ち帰り弁当事業においては、「つくりたて。だから、うまい。」を謳うほっかほっか亭を展開するほか、各種パーティ・イベント・セレモニー等の需要にお応えする仕出し料理の展開まで、幅広い食シーンにお応えする事業を行っております。
2022年度はエネルギー価格や原材料価格の高騰が続きましたが、一方で新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和などを背景に、大型イベントや催事、セレモニーでの大型案件受注が復活の兆しを見せました。
ほっかほっか亭では、「すき焼弁当」や「竹の子ごはん」など毎年ご好評いただく季節メニューを発売したほか、「のり弁当」など定番メニューのリニューアル、「海苔弁Premium」などワンランク上のメニューを新たに発売し、大変ご好評をいただきました。デジタル販促面では、公式SNS(Twitter・Instagram・LINE)においてフォロワー獲得施策を積極的に実施、Z世代を中心にデジタル訴求を強化した結果、年間で計121万人のフォロワーを獲得する着地となりました。また、事前注文及びオンライン決済が可能な「モバイルオーダー」並びに、デリバリーサービスの「Uber Eats」、「出前館」の売上も引き続き伸長しており、必要な際に必要な数をご提供することから調理ロスの削減や店舗オペレーションの改善にも繋がっております。さらに、導入済みの共通ポイント「楽天ポイント」、「dポイント」においては、ポイントプレゼント企画を毎月開催する事でさらなる利用促進を行いました。
仕出料理においては、大型パーティでの受注や、野球・サッカーの各日本代表スポーツでのケータリングを受注するなど、コロナ禍以前のような大型受注が復活しました。またセレモニー部門においても新規顧客への営業や既存取引先への再営業が結実し売上獲得に繋がりました。しぶちか東急渋谷フードショーに常設の弁当・惣菜販売店舗の幾重(いくえ)については、百貨店への来客が回復してきたことを受け、催事、高級スーパーへの新規出店および再出店による認知度の向上を図りつつ、リピーターの増加や佃煮商品の開発及びEC販売の活性化などを行いました。
その結果、持ち帰り弁当事業の売上高は、167億99百万円(前年同期比4.1%増)、営業利益は2億57百万円(前年同期比36.6%減)となりました。
ロ. 店舗アセット&ソリューション事業
店舗アセット&ソリューション事業においては、飲食店など店舗ユーザーの出店加速と持続的成長を支える「店舗リース等ソリューション」をはじめ、店舗ビジネスの知見を活かしアセット市場に特化した形で街を活性化する「店舗不動産ソリューション」、パティスリー経営者を中心顧客層とするPOSレジシステム開発提供などの「IT経営ソリューション」、「パーティー・イベント用品レンタル」など、幅広く事業を展開しております。
<店舗リース等ソリューション>
2022年度、店舗アセットを取り巻く環境としては、引き続きエネルギー価格や原材料価格、人件費など店舗運営コストの上昇が顕著であり、経営難に陥った店が閉店した後に価格転嫁力・競争力を有する魅力ある業態が出店するといった状況が見受けられます。
このような環境の中、出店意欲があり魅力もある飲食店等の店舗ユーザーに向け、人材紹介、好立地物件情報の提供、独自の出店資金サポートシステム、マーケティング情報提供など「人・モノ・カネ・情報」を一気通貫でソリューション提供し、その出店を加速しており、店舗リースの取引店舗数は810店まで増加、創業来の出店サポート累計実績は3,900店超となりました。
<店舗不動産ソリューション>
店舗不動産の管理および商品企画(店舗ビル新築やコンバージョン)を営んでおります。本厚木駅前不動産の開発ファンドに関しては、コンストラクション・マネジメントで地上12階建て店舗ビルを予定通り2022年10月に着工しました。店舗不動産の管理に関しては、順調に受託ストックを増やしており、管理テナント数は116店となりました。また、中長期的なバリューアップの取り組みとして、好立地に所在するTRN心斎橋(大阪市中央区)・TRN新宿プラザ(東京都渋谷区)・柳橋Food Market(名古屋市中村区)の固定資産3物件を取得いたしました。
店舗不動産を投資対象とする不動産ファンドの組成および投資助言も営んでおりますが、2022年度においては、TRUNK麻布十番(東京都港区)・ TRN鶴屋町(横浜市神奈川区)の2物件による組成を行い、投資助言を受託する不動産ファンドの契約資産額は108億円となりました。なお、開発ファンドを除く不動産ファンドに組み入れ中の計7物件は当連結会計年度末で満室稼働しております。販売用不動産の売却については前記2物件の売却価額17億円でした。前年は販売用不動産3物件の売却価額31億円余であったため、販売用不動産による売上高・粗利益は前年比では減少いたしました。販売用不動産の仕入れについてはTRN鎌倉(神奈川県鎌倉市)・TRN川越西口(埼玉県川越市)の2物件で、在庫は6物件となりました。会計上は本厚木駅前不動産の土地を含んでおります。
<IT経営ソリューション>
パティスリーに精通するPOSレジシステム「ninapos」の開発・販売やデータを活用したコンサルティング等のIT経営ソリューション提供を営んでおります。
2022年度においては、「ninapos」と連携するネット受注システム「ニナカート」が成長し、その利便性が評価され、ネット注文利用金額を順調に増やした結果、導入先店舗の来店売上に直結する店頭受取予約の利用金額は前年比約3割増となり、収益に貢献いたしました。
<パーティー・イベント用品レンタル>
新型コロナウィルス感染症の影響により引き続き低調に推移しました。しかしながら第7波収束後はラグジュアリーブランドなどの大型パーティー以外の一般的なパーティーも回復傾向にあり、レンタル市場への需要はコロナ以前と同様の水準へと徐々に戻ってまいりました。完全なる市場回復時を見据え、取扱商品の見直しや価格改定、カタログ刷新などを積極的に進めてまいりました。
その結果、店舗アセット&ソリューション事業の売上高は118億42百万円(前年同期比18.9%減)、営業利益は16億91百万円(前年同期比9.5%減)となりました。
|
|
2021年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
|
取引店舗数(店) |
754 |
757 |
810 |
|
管理するテナント数(店) |
56 |
80 |
116 |
|
ファンド契約資産額 (AUM)(億円) |
41 |
91 |
108 |
ハ. 物流・食品加工事業
物流・食品加工事業においては、ほっかほっか亭店舗へ導入する食品の加工をはじめとしたカミッサリーと商材や食材などの物流のほか、ピーナッツやドライフルーツなどの菓子製造業や卸販売業を行っております。
カミッサリーについては、唐揚・とり天・フライドチキン・チキンステーキなど昨今の鶏肉需要を捉え、自社オリジナル製品の開発に注力と営業活動の強化により、着実に売上高拡大と工場稼働率の向上に寄与いたしました。
菓子製造業については、昨年より販売好調の商品が依然として売上を牽引したほか、3月に発売した新商品も順調に受注数が伸長し、スーパーマーケットやドラッグストアを中心に売上は好調を維持しております。また、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和などにより、外国人観光客の増加がインバウンド商品の購入に繋がり、更なる売上高向上への好材料となりました。しかしながら一方では、円安の影響から原材料価格については依然として高騰が見込まれております。
ドライフルーツについては、スーパーマーケットにて販売強化商品となり売上伸長いたしました。2022年6月に発売した新商品「干し芋」の売上も大変好調でお客様よりご好評をいただいております。
その結果、物流・食品加工事業は、売上高92億77百万円(前年同期比90.8%増)、営業利益2億12百万円(前年同期比308.5%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ65百万円減少し、113億74百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は16億75百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益14億53百万円、減価償却費9億32百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は79億83百万円となりました。これは主に、固定資産の取得による支出56億8百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出26億68百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は62億41百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入73億40百万円、長期借入金の返済による支出14億86百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
持ち帰り弁当事業 |
8,882 |
102.2 |
|
店舗アセット&ソリューション事業 |
1,718 |
51,6 |
|
物流・食品加工事業 |
5,138 |
119.8 |
|
合計 |
15,739 |
96.0 |
(注)1.セグメント間の取引は、相殺消去しております。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績(外部顧客への売上高)をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
持ち帰り弁当事業 |
16,686 |
103.7 |
|
店舗アセット&ソリューション事業 |
11,524 |
80.3 |
|
物流・食品加工事業 |
7,401 |
247.2 |
|
小計 |
35,612 |
106.5 |
|
調整額(消去及び全社) |
1 |
- |
|
合計 |
35,613 |
112.3 |
(注)1.セグメント間の取引は、相殺消去しております。
2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高は前連結会計年度に比べ38億91百万円(12.3%)増加し356億13百万円、営業利益は前連結会計年度に比べ3億65百万円(33.4%)増加し14億60百万円、経常利益は前連結会計年度に比べ1億99百万円(14.5%)増加し15億79百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ69百万円(7.1%)増加し10億47百万円の結果となり、増収増益となりました。
上記のほか、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1)経営成績等の状況の概況」に記載のとおりであります。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業のリスク」に記載のとおりであります。
グループ全体経営と事業経営を分離し、事業会社の運営責任及び事業責任を明確化することで、不透明さが増す未来において、新しい価値創造を続けていくために、当社グループは環境適応能力と成長性を兼ね備えた事業連合体「自己変革型企業群」を目指してまいります。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。