第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、企業理念である「人に感謝、物に感謝」の精神を根幹に据え、変化する経営環境(自然災害の多発、物価の高騰、少子高齢化の進行等)に的確に対応してまいります。

「花咲く、食のひとときを。」をスローガンに掲げ、食を通じたホスピタリティの提供を追求するとともに、次世代への食文化の継承、日本の食文化の魅力を国内外へ発信することで、持続可能な成長と社会への貢献を図ってまいります。

 

(2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く経済環境は、日本国内における少子高齢化及び人口減少の進行に伴い、食市場全体の規模が縮小傾向にあります。こうした構造的変化に加え、ライフスタイルの多様化が進むことで、従来の消費行動や食のニーズが変化しており、当社グループの事業運営にも多方面にわたる影響を及ぼしております。

このような市場環境の中で、当社グループは柔軟かつ機動的な業態戦略やメニュー開発、マーケティングの強化等を通じて、変化への適応力を高めていく必要があります。

また、財務面においては、有利子負債による支払利息の負担が拡大しており、これが収益性の圧迫要因となっております。今後は、財務健全性の確保及びキャッシュ・フローの改善を通じて、資本効率の向上を図ることが、当社にとって重要な経営課題の一つであると認識しております。

そのため、有利子負債の圧縮に取り組むとともに、新規出店による店舗数の拡大を進め、事業の持続的な成長を目指してまいります。

① 事業展開

(第1事業部門)

外食業界を取り巻く環境は、少子高齢化や人口減少、ライフスタイルの多様化、さらには原材料価格やエネルギーコストの上昇等、様々な構造的課題に直面しております。こうした中で、当社グループが持続的な成長を実現していくためには、以下のような課題への対応が求められております。

外食事業においては、市場の縮小が進む中にあっても持続的な成長機会を確保するため、顧客層の若返りを図ること、従来よりも投資負担の少ない業態による出店、さらにインバウンド需要への対応として、日本の食材を活用した高級かつ高価格帯業態の開発及び計画的な出店を推進することが、当社にとって対処すべき重要な課題であります。あわせて、老朽化が進む既存店舗への対応として、改装や業態転換の実施、さらにはM&Aの活用による事業基盤の強化・拡大にも注力していく必要があります。

また、原材料費や水道光熱費等のコスト上昇に伴う収益圧迫に対しては、全社的な生産性向上を通じたコスト構造の見直し、効率的な運営体制の構築、価格政策の適正化が重要な課題となっております。加えて、付加価値の高いメニューの開発・展開により、客単価の向上とともに、収益力の強化を図ることが求められます。

テイクアウト事業においては、主要百貨店への出店に加え、百貨店以外の施設への展開を通じて販路を拡大し、収益基盤の多様化を進めていく必要があります。同時に、価格改定やメニュー見直しを通じたコスト対応、並びに商品製造体制の適正化や廃棄・値引きロスの抑制といった店舗運営の効率化が課題として挙げられます。

さらに、顧客接点の強化も重要な課題です。グループ公式アプリ「うめのあぷり」を活用した既存会員の回遊性及び来店頻度の向上を図るとともに、SNS等のデジタルメディアを活用した情報発信によって認知度を高め、新規顧客の獲得を推進していく必要があります。

今後も、効果的なマーケティング施策を展開することにより、来店動機の創出と来店客数の増加を図ってまいります。

(第2事業部門)

外販事業の拡大に向けては、販路拡大を目的とした新規取引先の開拓が不可欠であり、同時に既存取引先に対して当社グループの定番商品の提案強化を図ることも重要な課題であります。これらの取り組みを通じて事業基盤の拡大を推進していく必要があります。また、通販においては、売上高及び利用者数の増加を目指し、通販サイトの機能・構成の見直しや初回購入特典の導入等の施策を講じております。加えて、他社通販サイトへの出店による販売チャネルの多様化と拡大も課題として認識しており、これらを着実に進めることが求められております。

今後も、販路拡大と顧客基盤の強化を継続的に推進し、外販事業の成長に努めてまいります。

 

 

(ストック事業)

当社グループが所有する土地・建物等の有効活用に関しては、既存建物の賃貸物件へのリニューアルを含めた賃貸事業の拡大が重要な課題となっております。収益基盤の多様化及び安定化を図るため、賃貸事業の拡充に向けた具体的なプランの検討・実施を推進していく必要があります。

今後も、資産の有効活用による収益確保に努めてまいります。

(海外展開)

タイ王国においては、2号店の出店準備を進めておりますが、現地の市場環境や消費者ニーズの変化に対応しつつ、着実な店舗展開を図ることが課題となっております。

また、新たな進出先であるベトナムにおいては、現地法人設立を予定しておりますが、現地の法規制や経済状況、文化的背景を踏まえた事業基盤の構築が重要な課題です。これらの課題に適切に対応し、海外事業の安定的な拡大を目指してまいります。

(人的資本)

セントラルキッチンにおける製造人員や飲食店舗での従業員不足は、事業運営上の重要な課題となっております。これに対し、外国人技能実習生共同受入事業や特定技能外国人支援事業、並びに関連する職業紹介事業を展開するPlum協同組合を活用し、積極的な採用活動を進めております。

また、店舗責任者及び経営幹部の育成に加え、安定的な人材確保を継続的な課題と位置づけ、今後はこうした取り組みの強化を図ってまいります。あわせて、多様な人材の積極的な活用と職場環境の整備にも注力し、持続可能な労働力の確保に努めてまいります。

② 収益改善策

製造部門においては、店舗調理作業の効率化や味・品質の安定を実現するため、セントラルキッチンによる内製化の効果を再検証し、それを踏まえた商品開発を継続していくことが課題です。加えて、機械化・自動化や類似商品の集約、生産性向上に向けた取り組みの強化が求められております。生産効率の低い商品のOEM化やアイテム削減、さらに保存期間延長を目的として導入した急速冷凍機の活用強化も、重要な課題となっております。

物流部門においては、配送に使用する資材の見直しを進めており、発泡スチロールやドライアイスから、リサイクルコンテナや再利用可能な高性能保冷剤への切り替えを通じて、コスト削減とCO₂排出量の低減に取り組んでいます。持続可能な物流体制の構築は、引き続き重要な課題です。

また、全社的な生産性向上と業務効率化を実現するため、情報システム再構築プロジェクトを通じたDXの推進も喫緊の課題であり、コスト構造の見直しと将来の競争力強化に資する取り組みとして継続してまいります。

さらに、当社グループが保有する土地・建物等の資産の有効活用に向けては、収益性の向上と事業の安定化を目的としたストック事業への取り組みを進めております。今後、既存建物のリニューアルによる賃貸事業の拡大等、資産活用計画の策定と実行が課題となっております。

 

(3)経営上の目標を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営指標として売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率、ROE、自己資本比率、PBR、株価を重視しております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

少子高齢化に伴い従来の食需要は変容していくことが予想される中、変化に柔軟に対応し、お客様に満足していただくためには、安心・安全な食材を用いた高品質な料理、落ち着いた空間の提供だけでなく、行き届いたサービスや商品の提供による幸福感の醸成が欠かせません。これらは、食のニーズの多様化に応じた国内外への店舗展開、安定した収益源の確保が前提条件となります。

当社グループは、サステナビリティに関する基本方針を取締役会において決定し、その基本方針に基づき、当社グループが具体的に対処すべき課題を明確化するとともに、企業の持続的な成長に資する取り組みを進めております。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する基本方針を取締役会において決定し、事業活動への影響を適切に認識した上で経営に反映しております。

また、取締役会の諮問機関として、代表取締役社長COOを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、各部門から選任されたメンバーにより、「マテリアリティ(重要課題)」を中心としたサステナビリティ関連課題への対応及びその進捗状況の確認等を行っております。

委員会での検討結果については、必要に応じて取締役会に付議・報告し、当社グループ全体として持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しております。詳細に関しましては、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

当社グループは、サステナビリティに関する基本方針のもと、サステナビリティ戦略におけるリスク及び機会を的確に把握し、それらに対処するための重要な取り組みを検討し推進しております。

また、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を実現していく上で、最も重要な資源は人的資本であると認識しており、人材の採用及び教育体制の整備を通じて、人的価値を最大限に発揮できる職場環境の構築に取り組んでまいります。

 

(3)リスク管理

グループ経営会議では、人材確保・収益確保といった継続的経営課題を企業リスクとして把握するのみならず、世界情勢・資源枯渇といった地政学的リスク、自然災害リスク、感染症リスク等を把握し、短期・中長期的対策の協議と実施を行っております。

当社グループは、サステナビリティに関する基本方針のもと、現状のリスク管理については、コーポレート・ガバナンスの枠組みと体制において実施しております。

リスク管理の詳細に関しましては、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

(人的資本に関する方針)

 当社グループは、サステナビリティに関する基本方針をもとに、ステークホルダーのより一層の満足とその向上のため、以下の項目を目標と考えており、この目標に対応することを人的資本に関する方針としております。

  ・次期経営層の育成
  ・行き届いたサービス・商品の継続
  ・国内外への店舗展開

 次期経営層の育成につきましては、子会社又は事業部の責任者に積極的に若手人材を配置し、大幅に裁量権を委譲し、自らが決断した経営を行わせ、OJTによる伸長を図ってまいりました。この方針につきましては今後も継続していく予定です。

 

 行き届いたサービス・商品の継続につきましては、必要な人材の確保を行い、店舗責任者のリスキリングを実現し、料理・サービススキルの向上に務め、自らの能力伸張が自覚できる研修制度と納得性のある報酬制度の確立により従業員エンゲージメントを高めることで離職率を低下し、従業員の習熟度を向上し、結果的にお客様に十分満足していただけるサービス・商品を提供してまいります。また、女性のお客様・従業員の比率が多いという状況に対して、女性幹部を登用し、女性目線による、料理、事業運営、従業員の就業環境の向上を図ってまいります。さらに、和食文化の伝統を守りつつも、お客様を飽きさせない料理や商品を提供し続けていくために、料理人の育成と社外からの中途人材の採用も検討してまいります。

 国内外への店舗展開につきましては、国内店舗の外国人のお客様、海外店舗のお客様への対応のため、外国語のできる日本人・外国人の従業員の採用、外国語による当社情報の発信を行い、インバウンド需要を取り込むと共に、国内外の外国人のお客様への需要喚起を図ってまいります。

 当社グループでは、女性が活躍できる職場環境づくりと社員の仕事と子育ての両立を目的に、以下を目標として取り組んでまいります。

指標

2025年4月期実績

2026年4月期目標

女性管理職比率

13.5

20.0

男性育児休業取得率

 0.0

80.0

(注)指標実績はグループ全体であります。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業運営上のリスク

① 原材料の高騰

当社グループでは、自然災害や異常気象の発生に伴う農作物の収穫量や水産物の漁獲高の減少により、需給バランスが変動し、さらに為替の変動が重なることで、主要原材料である米を含む食材の安定的な確保に支障が生じる可能性があることを、事業運営上の重要なリスクとして認識しております。特に、米価の高騰は当社グループのコスト構造に大きな影響を及ぼす要因の一つと考えております。また、世界情勢の変化等によりその他の食材価格が高騰した場合にも、業績に影響を及ぼす恐れがあります。

このようなリスクに対しては、米をはじめとする原材料について複数の仕入先・産地からの購買やレシピの変更等により調達リスクの分散を図るとともに、店舗においてはメニュー構成や商品構成の見直しを通じて客単価の向上に努め、売上総利益の確保及び価格改定の実施により、影響の最小化に取り組んでおります。

② 出店

出店につきましては、立地条件、賃借条件及び店舗の採算性等を勘案し、決定しております。希望条件通りの物件が見つからない、店舗運営に必要な人材確保が困難等により出店が不可能な場合や出店先である商業施設等の閉鎖及び極度の集客力低下、近隣への競合店舗の出店等、出店後に環境が大幅に変化した場合におきましては、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおきましては店舗開発部門において随時、開発事業者及び不動産会社から物件や当該物件周辺の状況等の情報を収集し、出店不可能や出店後の環境悪化の回避に取り組んでおります。

③ 新業態開発

当社グループでは、外食事業及びテイクアウト事業において、顧客層のニーズに応じた新業態の開発を進めることで業容拡大を図っております。しかしながら、これらに続く新業態の開発及び事業化が計画どおりに進まず、遅延が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があることを、事業運営上の重要なリスクとして認識しております。

このようなリスクを低減するため、当社グループでは各事業部門とは別に新業態開発専任の部門を設置し、開発や事業化に支障や遅延が生じないよう体制を整えております。

④ 店舗の賃借物件への依存

当社グループでは、店舗展開にあたり、店舗の賃貸人と定期建物賃貸借契約等を締結し、その契約内容に基づき敷金・保証金及び建設協力金を差し入れております。しかしながら、賃貸人の破産等が発生した場合、これらの資金の回収が不能となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があることを、事業運営上の重要なリスクとして認識しております。

また、賃貸借期間については、賃貸人との合意により更新が可能ではあるものの、賃貸人側の事情により更新ができない場合や、更新時の家賃の値上げ等により計画外の退店が発生した場合にも、業績に影響を及ぼす恐れがあります。

さらに、店舗等における定期建物賃貸借契約等で規定される原状回復義務については、原状回復工事費用が高騰した場合に資産除去債務の見積額を再計算する必要が生じ、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 固定資産の減損

当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す最小の単位として、主に店舗を単位とし、遊休資産は個別の物件ごととし、同様の単位で減損処理の可否の判断をしております。固定資産の収益性低下による投資額の回収が見込めない店舗等の増加により多額の固定資産の減損損失が計上された場合、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 海外進出

当社グループでは、国内における人口減少や少子高齢化等の影響による売上規模の縮小に対応するため、タイ王国やベトナム等の東南アジアにおける事業拡大を戦略の一つとして位置付けており、海外子会社を通じて直営店の運営を行っております。しかしながら、海外子会社の展開国においては、戦争、政情不安、経済情勢の変動、法規制の変更、自然災害の発生、さらには各国特有のビジネス慣習等、予測が困難なリスクが存在しており、これらが当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があることを重要なリスクとして認識しております。

 

 

⑦ 有利子負債

当社グループの2025年4月期末における有利子負債残高は166億66百万円となっており、総資産に対する割合は72.6%と高い水準にあります。このように有利子負債依存度が高い状況下で、今後さらに金利の上昇が続いた場合には、支払利息の増加等により当社グループの財政状況や業績に影響を及ぼす可能性があることを、事業運営上の重要なリスクとして認識しております。

当社グループでは、こうしたリスクに対して、営業キャッシュ・フローの状況に応じて設備投資総額を適切にコントロールする等、財務の健全性を維持するために必要な対応を継続的に実施してまいります。

 

(2)食の安全性

食中毒・健康被害等の重大事故の発生により、食品等の廃棄、営業許可の取消、営業停止、信用の低下等により、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、コンプライアンス・危機管理委員会の下に食の安全委員会を設置し、グループ各社が品質管理等に関する情報共有をするとともに、内部監査室による定期的なグループ内店舗の衛生状態の点検を実施し、食中毒や異物混入等の事故防止に努めております。

 

(3)人的資本

当社グループの円滑な事業運営を継続するためには、パートタイマーを含めた人員の安定的な確保及び人材育成が不可欠であると認識しております。新入社員や中途社員の採用等、継続的な人材確保に注力しておりますが、計画どおりの採用が進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があることを、事業運営上の重要なリスクとして認識しております。また、店舗責任者や経営幹部等の人材育成をはじめとした育成対応が遅れた場合には、組織運営力の低下を招き、事業運営に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(4)業績の季節偏重

当社グループの主力事業である「外食事業」及び「テイクアウト事業」の需要は、忘新年会や歓送迎会、おせち販売や節分等の季節イベントに合わせて高まることから、当社グループの売上高及び営業利益は下半期に偏重する傾向にあります。なお、2025年4月期における当社グループの四半期毎の業績推移は下記のとおりです。

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(百万円)

6,884

6,971

8,405

7,179

29,440

構成比(%)

23.4

23.7

28.5

24.4

100.0

営業利益(百万円)

46

△179

637

46

550

構成比(%)

8.4

△32.6

115.8

8.4

100.0

 

(5)顧客情報等のセキュリティ

当社グループの当該顧客情報につきましては、厳重に運用・管理しておりますが、不正及びハッキング等の発生等により顧客情報が漏洩した場合、損害賠償の発生や信用の失墜等により、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社はグループ全体のセキュリティ対策としてウイルス対策ソフトやソフトウエア更新による脆弱性解消に努めております。

 

(6)大規模災害、感染症等

気候変動に伴う異常気象の影響による地震、台風、集中豪雨等の大規模な自然災害や、感染症の発生、さらに事故等による交通遮断により、当社グループの製造、物流、販売及び情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害が生じる可能性があります。これらの事態が発生した場合、製造活動の停止、店舗の休業、交通網の遮断に伴う商品供給の遅延などが生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす恐れがあることを、事業運営上の重要なリスクとして認識しております。

 

(7)法令諸規制について

当社グループは事業活動において、食品衛生法、食品表示法、環境・リサイクル関連法規、法人税等の事業運営に関わる各種法令・諸規制の適用を受けております。これらの法令・諸規制は将来的に新設、変更、または廃止される可能性があり、その内容によっては当社グループの業績に影響を及ぼす恐れがあることを認識しております。

 

 

(8)風評被害について

当社グループにおいて法令違反等の不適切な事象が発生した場合には、速やかに適切な措置を講じてまいります。しかしながら、当社グループに対する悪質な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等を通じて発生し、または拡散した場合には、その内容が事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用を著しく毀損し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあることを認識しております。

 

(9)コンプライアンスについて

当社グループは、透明性の高い誠実な企業グループを目指し、コンプライアンス意識の浸透及び定着に継続的に取り組んでおります。管理すべきリスクを明確に定め、コンプライアンス管理体制の整備・充実を図り、コンプライアンス運営委員会を設置してグループ内の各種リスクを統括的に管理するとともに、適切な対応を行っております。しかしながら、従業員による法令違反や社内規定違反、または社会通念上不適切な行為等のコンプライアンス問題が発生した場合には、当社グループの社会的信用を毀損し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあることを認識しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用や所得環境の改善、各種政策の効果を背景に、景気は緩やかな回復傾向にあり、引き続き景気回復を下支えすることが期待されるものの、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まりました。さらに、国内における米不足による米価上昇をはじめとする、物価上昇圧力の継続が消費者マインドの冷え込みや、金融、資本市場の変動等の影響にも一層注意が必要な不安定な状況が続いてきました。

外食業界におきましては、経済活動の正常化や訪日外国人の増加により、顧客の来店は回復傾向にあります。また、多くの飲食店で価格改定等が実施され、売上高は持ち直しを見せております。しかしながら、物価の高騰、物流費、水道光熱費、人件費の上昇、さらには慢性的な人手不足によるコスト上昇圧力が続いております。こうした経営環境に対処不能となった企業の倒産や廃業の増加により、2024年の飲食店の倒産件数が過去最多を更新されました。ファストフードやデリバリーに強みを持つ業態は堅調に推移する一方で、居酒屋業態等では回復が鈍い傾向にあり、業態による明暗が鮮明となっております。

百貨店業界におきましては、経済活動の本格的な再開と訪日外国人の増加を背景に、ラグジュアリーブランドや化粧品、宝飾品といった高額品が好調に推移し、免税売上も過去最高水準を記録する等、都市部を中心に売上高が回復傾向を示しておりました。一方で、年明け以降は円高進行や物価上昇による実質購買力の低下、インバウンド消費の一巡による反動減等も見られ、一部の月では前年割れとなる等、業績の伸びに減速傾向が表れております。

当社グループでは、事業部門の組織運営力の強化、DX推進による管理業務の効率化及びセントラルキッチンの生産性向上に伴う収益増加に引き続き取り組むと共に、物価高騰の影響を考慮した賃上げを実施いたしました。

サステナビリティ活動として、各部門で取り組んでいる活動を全社的に進めるため、サステナビリティ委員会を設置いたしました。引き続き、久留米、京都、佐野のセントラルキッチンにおいて、排出された食品残渣の発酵分解による生成物を原料とした肥料を使用して、生産者が栽培した農作物の規格外品を含めた全量を当社が買い取る循環型リサイクルシステムの運用を継続しております。イソフラボン含量が高く、外観品質に優れた大豆「ゆきぴりか」の栽培契約を北海道の生産者と継続し、原材料の安定確保に努めております。また、生産者の方々を「湯葉と豆腐の店 梅の花」に招待し、ご自身が栽培した「ゆきぴりか」で製造した豆腐等を味わいながら意見交換をする等、良好な関係を維持しております。

リブランディングに向けた取り組みとして、梅の花グループの存在意義を“花咲く、食のひとときを。”を提供することと定め、ロゴマークを一新いたしました。また、現状の商号である「株式会社梅の花」は「湯葉と豆腐の店 梅の花」のイメージが強く、多様な業種・業態を展開している実態に合わせるため、臨時株主総会にて、2025年5月1日付で「株式会社梅の花グループ」へ商号変更することを決議いたしました。日本文化を感じられる設え、心と体にやさしいこだわりの食事、ホスピタリティと共に、お客様に感謝の気持ちを込めた「食のひととき」の提供により、企業イメージと企業価値の向上に引き続き努めてまいります。

また、外食事業及びテイクアウト事業においては、株主様を対象とした試食会及び京都セントラルキッチンの見学会を通じて、株主様のご意見を企業経営や商品開発等に反映することに継続して取り組んでおります。

お客様との接点強化においては、インフルエンサーを店舗に招待し、SNSを通じて梅の花グループ情報の発信を強化するとともに、映画製作会社とのコラボ企画や、「まぐろの解体ショー」等、集客力の強いイベント企画を継続、認知度の向上による新規顧客の獲得に努めております。また、梅の花グループ公式アプリ「うめのあぷり」と当社オンラインストア「通販本舗 梅あそび」の連携やテイクアウト店舗におけるデジタルスタンプカードの発行、アプリ内でのクーポン配信や告知、会員に向けた特典の情報発信等、アプリ機能強化により、当社グループ内の業態を越えた既存会員の回遊性と来店頻度の向上に努めております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は294億40百万円(前期比98.7%)、水道光熱費と修繕等の一時費用の増加により、営業利益は5億50百万円(前期比67.2%)、経常利益は3億88百万円(前期比52.6%)、親会社株主に帰属する当期純損失は3億83百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益10億20百万円)となりました。

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(外食事業)

外食事業におきましては、売上高168億99百万円(前期比99.4%)、セグメント利益9億32百万円(前期比100.1%)となりました。

季節ごとの旬な食材を使用した懐石等のメニューや季節ごとのテイクアウト商品の販売強化、集客のためコロナ禍前に実施していた、忘新年会企画・創業祭企画等、各種イベントの強化をいたしました。加えて旅行会社との提携、訪日客に合わせたヴィーガン対応メニューのWEB告知や、湯葉と豆腐とともに魚介や肉を取り入れた高付加価値の懐石を新たに導入し、インバウンド需要の対応に引き続き努めております。また、賃上げや、食材、水道光熱費の高騰対策として、価格改定やメニューの一部変更を実施いたしました。

2025年3月に「東京ソラマチ」の31階に「熊本あか牛 しゃぶしゃぶ 甲梅」をオープンいたしました。従来の「海産物居酒屋 さくら水産」2店舗を、豊洲市場直送の新鮮な魚介類を手軽に楽しめる居酒屋「魚がイチバン」にリニューアルオープン、「すし半 玉造店」を旬の魚と美味しいお酒を楽しんでいただける「旬の寿司と天ぷら すし半 粋 玉造店」へ改装オープンいたしました。

 

(テイクアウト事業)

テイクアウト事業におきましては、売上高103億53百万円(前期比98.2%)、セグメント利益5億90百万円(前期比77.5%)となりました。

梅の花・古市庵業態ともに各種イベント商品や季節商品の売上高は引き続き好調に推移しております。また、新商品が構成比全体の9%を超える実績も継続しております。

新規業態といたしまして、梅の花業態の惣菜、弁当、古市庵業態のおむすび、寿司、当社の主力商品のスイーツ等幅広い品揃え、従来のサイズと価格を抑えた商品展開、手軽に商品を手に取れる利便性の良い「Umenohana KITCHEN 福岡天神ONE FUKUOKA BLDG.店」を2025年4月にオープンいたしました。

新規出店及び改装4店舗における一時費用、米をはじめとする原材料や資材の高騰、節分とひな祭りの天候と曜日周りによる影響を受けております。各店舗の課題を明確にするための接客調査により販売力を強化し、一部商品の内容の見直しや新規商品の随時追加による来客数増加と売上高向上、利益確保対策に努めてまいります。

また、SNSを使用して、イベント開催や公開試食会のアンケート結果等、お客様への情報発信に引き続き取り組んでおります。

 

(外販事業)

外販事業におきましては、売上高21億47百万円(前期比95.2%)、セグメント損失1億26百万円(前期はセグメント損失84百万円)となりました。

「冷凍なみはや寿司」「かにしゅうまい」等、味の定評と独自性を活かし、新規取引先の開拓による販売強化に引き続き取り組んでおります。大口取引の失注等により、売上高は前年を下回りました。通販につきましては、お客様の利便性向上を目的にホームページのリニューアルを実施し、より商品を購入しやすいサイトを構築し、初回購入特典、リピートメールでの案内強化を図っております。また、安定的な売上を維持するため、定期購入を開始しております。その結果、人気商品「ちょっとずつセット」が好調に推移し、売上高は前期比111.0%となりました。引き続き「うめのあぷり」等での顧客へのアプローチを行い、認知度向上に努めてまいります。

 

(その他)

その他の売上高は39百万円(前期比186.3%)、セグメント損失3百万円(前期はセグメント損失1百万円)となりました。

当社グループが所有する土地・建物等、有効活用を目的としたストック事業を行っております。既存建物を賃貸物件にリニューアルした際の費用によりセグメント損失となりました。また、賃貸事業の拡大に向けたプランを検討しております。

 

(店舗数)                                    2025年4月30日現在

セグメント

ブランド

前期末

出店

退店

当期末

外食事業

湯葉と豆腐の店 梅の花

71

-

2

69

和食鍋処 すし半

9

-

1

8

海産物居酒屋 さくら水産

15

-

4

11

その他

23

3

3

23

合計

118

3

10

111

テイクアウト事業

古市庵

104

1

3

102

梅の花

52

1

-

53

その他

5

1

-

6

合計

161

3

3

161

総合計

279

6

13

272

※業態変更により「海産物居酒屋 さくら水産」が2店舗減少、「その他」が2店舗増加しております。

 

なお、財政状態につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 d.財政状態」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、9億53百万円減少し、19億86百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は7億25百万円(前期は6億90百万円の収入)となりました。

前期に比べ34百万円収入が増加した主な要因は、税金等調整前当期純損失が10億90百万円増加し、賞与引当金の増減額が2億59百万円、売上債権の増減額が1億33百万円減少したこと、減損損失が5億87百万円、棚卸資産の増減額が8億39百万円増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は6億76百万円(前期は1億32百万円の支出)となりました。

前期に比べ5億43百万円支出が増加した主な要因は、有形固定資産の取得による支出が1億88百万円、定期預金の預入による支出が1億43百万円、資産除去債務の履行による支出が94百万円増加したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は10億2百万円(前期は9億34百万円の支出)となりました。

前期に比べ67百万円支出が増加した主な要因は、長期借入れによる収入が2億22百万円減少した一方、短期借入金の純増減額が10億60百万円、長期借入金の返済による支出が4億円、自己株式の取得による支出が12億30百万円増加したこと、及び株式の発行による収入が7億42百万円増加したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

外食事業

1,779,936

110.31

テイクアウト事業

1,887,126

98.41

外販事業(注3)

1,726,055

66.79

その他(注1)

合計

5,393,118

88.19

 (注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、当社グループが所有する土地・建物等有効活用を目的としたストック事業であります。

2.金額は、製造原価によっております。

3.当連結会計年度において、外販事業の生産実績に著しい変動がありました。想定していた大口取引の失注及び前期生産実績が多額だったこと等により減少いたしました。

 

b. 受注実績

当社グループは、店舗の販売予測に基づき見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

外食事業

16,899,648

99.4

テイクアウト事業

10,353,951

98.2

外販事業

2,147,163

95.2

その他(注1)

39,875

186.3

合計

29,440,638

98.7

 (注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、当社グループが所有する土地・建物等有効活用を目的としたストック事業であります。

2. セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

④ 地域別販売実績

地域別

売上高(千円)

構成比(%)

前期比(%)

福岡県

5,043,174

17.1

134.2

佐賀県

618,154

2.1

83.4

長崎県

313,500

1.1

76.6

熊本県

246,032

0.8

81.8

大分県

279,015

0.9

83.0

鹿児島県

277,987

0.9

79.2

宮崎県

27,196

0.1

79.5

愛媛県

227,997

0.8

79.8

山口県

1,015,675

3.4

74.0

広島県

479,417

1.6

74.8

岡山県

311,396

1.1

83.6

兵庫県

1,304,306

4.4

84.0

大阪府

6,818,049

23.2

140.2

和歌山県

56,191

0.2

76.8

奈良県

268,158

0.9

81.7

京都府

657,677

2.2

80.7

滋賀県

199,694

0.7

80.0

三重県

88,204

0.3

77.9

岐阜県

118,624

0.4

77.2

愛知県

873,632

3.0

77.7

静岡県

299,080

1.0

83.0

福井県

2,204

0.0

3.5

石川県

295,923

1.0

86.2

富山県

257,046

0.9

87.3

新潟県

115,708

0.4

79.3

東京都

4,880,308

16.6

88.8

神奈川県

2,019,282

6.9

85.6

千葉県

886,740

3.0

78.0

埼玉県

770,987

2.6

84.5

群馬県

22,183

0.1

79.2

茨城県

166,372

0.6

82.6

福島県

125,342

0.4

79.6

宮城県

253,119

0.9

83.1

北海道

122,249

0.4

88.5

合計

29,440,638

100

98.7

 (注)福岡県には、ギフト商品等の通信販売を含んでおります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 売上高

 四半期会計期間別セグメント別売上高及び売上高前年比(売上高は外部顧客売上高)

(単位:百万円、%)

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

外食事業

売上高

3,953

3,985

4,850

4,110

16,899

前年比

98.9

99.2

101.4

97.8

99.4

テイクアウト事業

売上高

2,481

2,459

2,833

2,579

10,353

前年比

98.0

98.2

99.3

97.3

98.2

外販事業

売上高

439

519

709

478

2,147

前年比

118.4

81.1

97.9

92.3

95.2

その他

売上高

9

7

10

11

39

前年比

224.9

161.1

207.6

163.6

186.3

連結売上高

売上高

6,884

6,971

8,405

7,179

29,440

前年比

99.7

97.3

100.5

97.3

98.7

 

(外食事業)

第1四半期及び第2四半期は、前期に閉店した店舗の影響や台風による臨時休業と営業時間短縮の影響により前年に届かなかったものの、既存店においては前年を上回っておりました。また、第3四半期においては、販売価格の改定や忘新年会、おせち販売等が好調だったことにより前年を上回る結果となりましたが、第4四半期においては前期閉店による売上高減少及び天候不良による来店客数の減少により前年を下回る結果となっております。

(テイクアウト事業)

当期は、台風による臨時休業や営業時間短縮、出店先の休業及び「節分」や「ひな祭り」の曜日周りや天候不良による影響により、前年を下回る結果となりました。

(外販事業)

第1四半期においては、売上高が好調だったため前年を上回る結果となりましたが、第2四半期以降で想定していた大口取引の失注等により売上高が前年を下回る結果となりました。

(その他)

当期は、前期に建設した賃貸物件の稼働率が良かったことと、新たな賃貸物件の売上により、前期を大きく上回る結果となりました。

 

b.営業利益

 四半期会計期間別セグメント営業利益及び前年増減額

(単位:百万円)

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

外食事業

セグメント利益

134

52

579

165

932

前年増減

△19

+4

+40

△24

+0

テイクアウト事業

セグメント利益

188

105

212

83

590

前年増減

+28

△37

△55

△106

△171

外販事業

セグメント利益

△48

△91

35

△20

△126

前年増減

△15

△53

+27

+0

△41

その他

セグメント利益

1

△0

△4

△0

△3

前年増減

+0

△1

△5

+3

△2

連結営業利益

セグメント利益

46

△179

637

46

550

前年増減

△28

△148

+20

△112

△269

(外食事業)

セグメント利益の確保のため、コスト削減に取り組むとともに賃上げや原材料及び水道光熱費の上昇に対応するため、各業態で販売価格の改定やメニューの一部変更等に取り組んでまいりましたが、水道光熱費等の想定を超えた上昇により前年同様の結果となりました。

(テイクアウト事業)

セグメント利益の確保のため、適正なシフト管理、店舗内製造の強化と製造量の調整によるロスの削減による売上原価率の改善、売上高に対する販売管理費比率の低減等に努めるとともに、価格改定を実施し、人件費上昇や原材料価格高騰の対応を行いましたが、米をはじめとする原材料価格の高騰や包装資材の値上げ等の影響を大きく受けたことにより、第2四半期以降で前年を下回る結果となりました。

(外販事業)

大口取引の失注による売上高が減少したことによる影響及び通販サイトのリニューアル費用の計上等により、前期を下回る結果となりました。

(その他)

既存の賃貸物件については、安定的な稼働率を維持しているため収益を確保出来ておりますが、新たに当社の保有する建物を賃貸物件へ改装するための一時費用を計上したことで損失を計上しております。

(全社費用)

各セグメントに帰属しない全社費用については、製造部門において人件費や水道光熱費等の上昇の影響を受けたことにより2億69百万円の減少となりました。

 

c.親会社株主に帰属する当期純損失

親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、投資有価証券売却益3億12百万円を特別利益に計上したものの減損損失6億95百万円及び閉店損失引当金繰入額83百万円並びに法人税等調整額2億55百万円を計上したことにより3億83百万円となりました。

 

d.財政状態

(単位:百万円)

 

当期末

前期増減

主な増減内容

資産合計

22,951

△2,084

現金及び預金、有形固定資産及び投資有価証券の減少

負債合計

21,125

△633

借入金、賞与引当金及び未払金の減少

純資産

1,826

△1,451

A種優先株式の一部の取得・消却に伴う資本剰余金の減少及びその他有価証券評価差額金の減少

親会社株主に帰属する当期純損失の計上

 

 

 (資産)

当連結会計年度末における資産は229億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億84百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が6億84百万円、有形固定資産が5億96百万円及び投資有価証券が7億20百万円減少したことによるものであります。

 (負債)

当連結会計年度末における負債は211億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億33百万円減少いたしました。これは主に、借入金の総額が2億74百万円、賞与引当金が1億32百万円及び未払金が1億2百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 (純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は18億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億51百万円減少いたしました。これは主に、公募および第三者割当による増資により資本金及び資本剰余金がそれぞれ3億74百万円増加したこと、また一方でA種優先株式の一部の取得・消却に伴い資本剰余金が12億30百万円、普通株式及びA種優先株式の配当により資本剰余金が1億80百万円及びその他有価証券評価差額金が2億72百万円減少したこと、親会社株主に帰属する当期純損失3億83百万円を計上したことによるものであります。

 

なお、経営成績及び財政状態の検討課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2021年4月期

2022年4月期

2023年4月期

2024年4月期

2025年4月期

自己資本比率(%)

3.6

10.4

9.9

13.0

8.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

55.8

18.6

24.6

23.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

4.4

12.5

9.0

5.5

自己資本比率:自己資本/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 (注)1.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

2.2021年4月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、資金運用を短期的な預金等に限定し、資金繰り計画に基づき、主に銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。借入金のうち短期借入金は、主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金及びファイナンス・リース取引に係るリース債務は、主に設備投資に係る資金調達であります。

 また、営業債務や借入金等は、流動性のリスクに晒されておりますが、当社グループではグループ会社や各部署からの報告に基づき担当部署が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手許流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。

 

 ③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが経営上の目標を判断するための客観的な指標につきましては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率、ROE、自己資本比率、PBR、株価を重視しております。

 また、当社グループは、経済状態や消費動向の変化に対応するために、迅速な意思決定を行うよう努めており、ROEの安定的向上を意識しながら、収益構造の構築に努め、堅実な財務体質を堅持する方針としております。

 

 

 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a. 有形固定資産、のれん及び無形資産の減損

 当社グループは、有形固定資産、のれん及び無形資産について、資産又は資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回る兆候がある場合には、減損テストを実施しております。

 減損テストを実施する契機となる重要な要素には、過去あるいは将来見込まれる経営成績に対する著しい実績の悪化等が含まれます。

減損テストは、資産又は資産グループの帳簿価額と回収可能価額を比較することにより実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その回収可能価額まで帳簿価額を減額し、減損損失を認識することとなります。回収可能価額は、不動産鑑定評価額等に基づく正味売却価額又は使用価値により測定しております。使用価値は、当社グループに要求される資本コストを考慮した割引率による割引後の将来キャッシュ・フローの合計額としております。

 減損損失の算定にあたっては、資産の残存耐用年数や将来のキャッシュ・フロー、成長率等について一定の仮定を用いております。これらの仮定は、過去の実績や会社により承認された事業計画等、最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の事業戦略の変更や市場環境によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※5.減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失6億95百万円を計上いたしました。

 

b. 資産除去債務

 当社グループは、主に店舗用の不動産賃借に係る契約に規定された原状回復義務に基づく原状回復費用の見込額を使用見込期間で割り引いた金額を資産除去債務として計上しております。使用見込期間は該当資産の耐用年数を基準に決定しており、割引率は、当該期間における国債利回りを使用しております。

 原状回復費用の見込額は、過年度の原状回復費用の実績から異常値を除いた平均値又は退店の意思決定を行った店舗については、個別の見積額を使用しております。

過年度の原状回復費用の平均値について、将来の実績値と大きく乖離する場合は、資産除去債務の履行差額の計上又は資産除去債務の追加計上により翌連結会計年度の損益に影響を与える可能性があります。

 

c. 繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性は、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。回収可能性がない部分については評価性引当額を認識し、繰延税金資産の帳簿価額より減額しております。

収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度、繰り戻し及び繰り越し期間における課税所得を見積っております。当社及び一部の連結子会社はグループ通算制度を適用しており、法人税に係る部分についてはグループ通算制度を適用するグループ全体として見積りしております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降において、繰延税金資産の回収可能性に変動が生じ、評価性引当額の追加認識又は取り崩しが生じ、当該期間の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

5【重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。