第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は1989 年10 月の創業時に「日本の生活文化のスタンダードを創造することで社会に貢献する」という主旨の「設立の志」を掲げました。当社ではこの創業の志について、本質を変えず常に時代に即した表現へ改定を行いながら「経営理念」として掲げ続けており、これを全取締役・従業員の職務執行上の拠り所としています。

また、当社は「5つの価値創造」を経営理念の中に包含しています。5つの価値とは「お客様価値」「従業員価値」「取引先様価値」「社会価値」「株主様価値」であり、当社に関わるすべてのステークホルダーの価値を高めていくことを会社の使命としています。

当社ではこれら5つの価値の創造に全力を尽くすと同時に、社会の公器として日本の生活・文化の向上に貢献していくことを経営の基本方針としています。

昨今、持続可能な社会の実現に向け、環境、社会、ガバナンスを重視した企業経営の重要性がますます高まっています。「5つの価値創造」を基本に、サステナビリティ課題への取組みを主体的に進めるため、2020年5月に「サプライチェーン」「資源」「コミュニティ」「人材」「ガバナンス」の5つのテーマを設定しました。

これらに加え、2022年8月には、小売業界・ファッション業界が持つ課題としてステークホルダーの皆様から特に注目の高い、「サーキュラリティ」「カーボンニュートラル」「ヒューマニティ」という3つのカテゴリーに紐づく数値について、2031年3月期を最終年度とした目標を設定しました。これらの目標の達成に向け具体的な取組みを進め、その進捗や活動内容を積極的に発信してまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

当社では経営理念および5つの価値創造の実現に向け、2023年5月に2033年3月期を最終年度とする長期ビジョン「美しい会社ユナイテッドアローズ、真善美を追求し続けることでサステナブルな社会の実現に貢献し、お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになる」を発表いたしました。

長期ビジョン達成時において、当社は高感度・高付加価値ライフスタイル提供グループでありたいと考えています。これは創業来掲げている日本の生活文化のスタンダードの創造であり、日本において高感度な生活をするために当社が欠かせない存在になるということです。ファッションを軸にした既存ドメインでの成長拡大に加え、非アパレル領域への進出も検討・実施し、業容と顧客層を拡大させることで生活文化のスタンダードの創造と長期ビジョンの達成を目指します。

 

長期ビジョンに基づく2033年3月期の定量目標として、以下を目指してまいります。

・連結売上高 2,500億円

・連結営業利益 250億円

・連結営業利益率 10.0%

 

長期ビジョンの達成に向けた最初の3年間として、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画「感動提供 お客様と深く広く繋がる」を発表しました。OMO(*)の取組みを軸に既存のお客様との関係性を深めながら新たな事業開発を進め、業容とお客様層を拡大させていきます。

(*)OMO: Online Merges with Offline の略。オンラインとオフラインの融合を指す。

 

 

新中期経営計画は、UA CREATIVITY戦略、UA MULTI戦略、UA DIGITAL戦略の3つの戦略で構成されています。


UA CREATIVITY戦略
  UA CREATIVITY戦略は既存事業の成長拡大、ブランド力の強化、株式会社コーエンの再成長の3項目を行います。

既存事業の成長拡大については、トップラインの成長と売上総利益率の向上を目指します。

トップラインの成長については、OMO推進による売上拡大、新規出店の再開を進めます。2022年3月に自社ECサイト「ユナイテッドアローズ オンライン」をリニューアルし、OMO施策を進める土台を作りました。以降、実店舗在庫との連動、スタイリングやオンライン接客など店舗スタッフの接客スキルのデジタル化など様々な取組みを進めています。これらの取組みを進化させつつ、ハウスカードプログラムの刷新、自社ECアプリのリニューアルを行うことで、アプリを軸にしてお客様との接点を拡大させながら、実店舗、ネット通販双方の売上強化を図ります。

売上総利益率の向上については、原価のコントロール、適量な在庫調達とプロパー消化率(*)の改善、ネット通販の売上総利益率改善を行います。原価上昇要因が続く中、緻密な価格設定と原価抑制策を進め、原価率を適正水準に維持します。適正量の在庫調達を行い、プロパー消化率を高めることで売上総利益率を向上させます。ネット通販についてもセール販売の抑制やオリジナル企画商品の売上強化を行い、売上総利益率を高めます。
 (*)プロパー消化率:総仕入金額の内、プロパー(定価)で販売した金額の比率を指す。

ブランド力の強化については、人的資本への投資拡大、企業ブランドのリブランディングを進めます。

当社の競争力の源泉は、魅力的な商品を企画、調達するモノの力、それを高度な接客技術でお客様にお届けするヒトの力、お客様に快適で高揚感のある買い物体験を提供できるウツワの力であり、これらを支え、ブランド価値を構築するのは当社の人的資本である従業員です。本中期経営計画においては、従業員のエンゲージメントを向上させることで当社のブランド力を高めます。従業員自らが自発的に学習し、能力を高めていけるよう、ビジネススクール受講支援、資格取得支援などの教育体制を拡充します。タレントマネジメントシステムを積極的に活用し、従業員一人一人の経験、スキル、ビジョンを可視化し、今後の様々な取組みに対して適材適所の人員配置を進め、モチベーション高く業務を行える環境を整えます。あわせて新規採用を強化します。

企業ブランドのリブランディングは、新たな企業イメージを作り上げる新規ブランドを開発し、企業体そのものを一新させていく取組みです。ビジネス、フォーマルに強い、トラッドでコンサバティブ、信頼感、安心感があるという既存のポジティブなイメージを保ちつつ、さらにアクティブで、幅広い世代にアピールできる企業ブランドに再構築します。

連結子会社の株式会社コーエンについては、ニュートレンドマーケットにおいて確固たる地位を獲得するべく、成長拡大を図ります。
 
UA MULTI戦略
 UA MULTI戦略は長期的に当社の価値提供の幅を広げるための戦略で、業容拡大に向けた事業開発、グローバル拡大を進めます。

業容拡大に向けた事業開発については、若年層を視野に入れた新規ブランド開発、ヨガ、ゴルフ、アウトドアなど近年スタートしたアパレル派生型ブランドの強化、アパレル以外の領域の検討・実施、当社のブランド力や商品開発力を活かした法人ビジネスの拡大を行います。

グローバル拡大については、新規出店による台湾事業の成長に加え、コロナ禍で一時中止していた中国市場に向けた取り組みを進めます。自社ECの多言語化対応を進めて越境ECを強化するほか、他国への卸販売も強化します。

 


UA DIGITAL戦略
 UA DIGITAL戦略は今後の成長を見据えた設備投資を行い、企業運営を効率化させていく戦略で、OMOの推進、サプライチェーンの最適化を進めます。

OMOの推進についてはUA CREATIVITY戦略に含まれるハウスカードプログラムの刷新、自社ECアプリのリニューアルへの設備投資を行い、実店舗、オンラインストア、アプリが一体となった強固な販売体制を構築します。

サプライチェーンの最適化については、今後の業容拡大を視野に入れたインフラ投資を行います。商品企画から販売までをカバーする既存の商品管理基幹システムを、アパレル以外も含めた長期的な業容拡大に対応できるものに刷新します。並行して商品調達のデジタル化も進めて商品発注から納品までのステイタスを可視化させ、在庫調達の精度を上げ、運営の効率化を図ります。将来的な業容拡大を視野に入れた物流センターの再編も実施し、センター設備の強化、OMOに最適化させた体制整備を進めます。

 

中期経営計画に基づく2026年3月期の定量目標として、以下を目指してまいります。

・連結売上高 1,600~1,700億円

・連結営業利益 90~100億円

・連結営業利益率 5.6~5.9%

・連結ROE(自己資本当期純利益率)13.8~15.4%
 

(3) 会社の対処すべき課題および次期の見通し

当社は2026年3月期を最終年度とする中期経営計画の初年度となる2024年3月期のグループ経営方針として「感動提供 新しい価値提供に向けて踏み出す」を掲げています。この方針の実現に向けて、UA CREATIVITY戦略、UA MULTI戦略、UA DIGITAL戦略の3つの戦略を進めます。

 UA CREATIVITY戦略では、新規出店とネット通販の強化による既存事業の成長、プロパー消化率の向上と適正な価格設定による売上総利益率の改善に向けて取り組みます。加えて、ブランド力の強化として従業員教育の拡充など人的資本への投資拡大、新たな企業イメージを作り上げる新規ブランドの開発準備を進めます。

UA MULTI戦略では、新規事業の開発準備、台湾事業の拡大、中国進出に向けた準備を進めます。

UA DIGITAL戦略では、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の拡大に向けたハウスカードプログラムの刷新に加え、自社ECサイトの機能向上を進め、OMOを推進します。サプライチェーンの最適化に向けては、商品管理基幹システムの刷新準備を進めます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

■ガバナンス

当社グループは、経営会議の下部組織として2020 年4 月に「サステナビリティ委員会」を発足し、サステナビリティ全般に関わる方針や目標の設定、取り組み等の審議、進捗レビュー等を実施しております。

サステナビリティ委員会を柱にリスクマネジメント委員会とも連携し、社内各部門が横断的に関連活動を推進しています。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、全業務執行取締役をメンバーに、常勤社外取締役をオブザーバーとし、サステナビリティ推進部が事務局をつとめております。

サステナビリティ委員会での審議内容は定期的に取締役会に報告され、管理、承認等については、取締役会が最終責任を負っております。

 

■戦略

昨今、持続可能な社会の実現に向け、環境、社会、ガバナンスを重視した企業経営の重要性がますます高まっています。「5つの価値創造」を基本に、サステナビリティ課題への取り組みを主体的に進めるため、2020年5月に「サプライチェーン」「資源」「コミュニティ」「人材」「ガバナンス」の5つのテーマを設定しました。

これらに加え、2022年8月には、小売業界・ファッション業界が持つ課題としてステークホルダーの皆様から特に注目の高い「サーキュラリティ(循環するファッション)」「カーボンニュートラリティ(カーボンニュートラルな世界へ)」「ヒューマニティ(健やかに働く、暮らす)」の3つのカテゴリーに紐づく7つの指標について、2031年3月期を最終年度とした目標を設定しました。これらの目標の達成に向け具体的な取り組みを進め、その進捗や活動内容を積極的に発信してまいります。

なお、「カーボンニュートラリティ」に含む、気候変動に関する詳細な情報については、弊社ウェブサイト(https://www.united-arrows.co.jp/)に公表されている「TCFD 提言に基づく情報開示」をご参照ください。当該情報は2023年8月に更新予定です。

 

また、「ヒューマニティ」に含む、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りです。

(人材育成方針)

当社グループは、「従業員」を「当社グループの経営理念に共感し、共にその実現を目指す仲間であり、理念実現に必要な人的資本」と捉え、「メンバー」と呼んでいます。多様な価値観、経験、個性を持つメンバーが共通の経営理念(志)を目指す集合体がユナイテッドアローズである、という考え方の下、メンバーの意思、個を尊重した人事戦略の実践を通じ人材育成に努め、企業の成長、人的資本経営の実現を目指しています。

(社内環境整備方針)

当社グループでは年次で行うエンゲージメント調査を中心に据え、人事戦略を立案しています。

メンバーのエンゲージメントを左右する要素はマネジメントか、教育か、働き方か、影響度と満足度の変化を分析し、エンゲージメント向上に繋がるものへ優先的に投資を割り当て、調査の結果は社内に公開しております。

また、メンバーとの直接対話や経営層からのメッセージ発信も重視しており、透明性の高い人事戦略の実践と、説明責任を果たすこと、両者を通じ、メンバーとの信頼関係を構築し、多様な人材が活きる、活気に溢れる社内環境を整備してまいります。

 

 

■リスク管理

当社グループは、リスク管理規程に基づきリスクマネジメント委員会を設置、事業活動に関わるリスクを定期的に洗い出すとともに、原則として毎年重要リスクの評価・選定を行い、次年度の経営課題等の検討対象としております。

サステナビリティに関わるリスクについても、統合的なリスク管理体制のもとで管理し、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各部門におけるリスクへの取り組みの検討およびその実施を推進しております。

なお、「カーボンニュートラリティ」に含む、気候変動に関するリスクの内容については「第2事業の状況3事業等のリスク<重要なリスク> ⑤気候変動に関するリスク」をご参照ください。

 

■指標及び目標

当社グループは、上記「■戦略」において記載した「サーキュラリティ(循環するファッション)」「カーボンニュートラリティ(カーボンニュートラルな世界へ)」「ヒューマニティ(健やかに働く、暮らす)」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は、次のとおりであります。

なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標のうち「温室効果ガス排出量の削減率」をのぞく合計6項目の目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。また「温室効果ガス排出量」は、全排出量の5%未満と想定される、台湾聯合艾諾股份有限公司および悠艾(上海)商貿有限公司を対象範囲より除外しております。

 

カテゴリー

指標

目標

実績(前連結会計年度)*

サーキュラリティ(循環するファッション)

商品の廃棄率

2031年3月期までに0.1%

1.0%

環境配慮商品の割合

2031年3月期までに50%

2.0%

カーボンニュートラリティ(カーボンニュートラルな世界へ)

温室効果ガス排出量の

削減率(Scope1,2)

2031年3月期までに30%削減  *2020年度3月期を基準年とする

10.8%削減

温室効果ガス排出量

削減率(Scope3)

2031年3月期までに15%削減 *2020年度3月期を基準年とする

16.6%削減

再生可能エネルギーの

割合

2031年3月期までに50%

3.2%

ヒューマニティ(健やかに働く、暮らす)

行動規範同意書の取得率

2031年3月期までに100%

11.6%

従業員エンゲージメントスコア

2031年3月期までに80%

70%

管理職に占める女性労働者の割合

2026年3月期までに30%以上

18.3%

 

*当連結会計年度の実績は、2023年8月に弊社ウェブサイトで公表予定

 

また、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、従業員エンゲージメントスコア、管理職に占める女性労働者の割合を指標として用いております。管理職に占める女性労働者の割合に関する、当連結会計年度の実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」をご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

 

■リスク管理体制

 当社グループは、リスクマネジメント委員会を設置し、事業活動に関わるリスクを定期的に洗い出すとともに、原則として毎年重要リスクの評価・選定を行い、次年度の経営課題等の検討対象としています。また、各部門におけるリスクへの取り組みの検討及びその実施を積極的に推進しております。

 なお、様々なリスクに起因するインシデントや緊急事態に対しては、リスク管理規程に基づき、必要に応じてワーキンググループや対策本部を設置することによって、迅速かつ適切に対応する体制を整備しています。

 


 

■リスクアセスメント活動

 当社グループは、主に以下の手順にしたがってリスクアセスメント活動を実施しています。リスクアセスメント活動では、各部門向けのリスクアンケートと経営層向けのリスクヒアリングを組み合わせることで、部門視点でのリスクのみならず経営視点でのリスクを把握し、当社グループとしてのリスクを網羅的に特定できるよう配慮しています。リスクマネジメント委員会にて重要リスク(「特に重要なリスク」及び「重要なリスク」の区別を含む)を評価・選定し、その対応策を検討するとともにその後のモニタリング等も実施しています。

 


 

■事業等のリスク

 

当社グループは、経営理念として「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける」を掲げており、お客様にご満足いただき続けることこそが当社のビジネスの根幹であると考えています。

 これらのことから、時代と共に変化する社会環境やお客様のニーズに対応し続けられない、すなわち「時代対応できない」ことを究極的なリスクと考えており、具体的には以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社グループの判断または仮定に基づく予測等であり、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下に記載する事項は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅的に記述するものではございませんのでご留意下さい。
 

<特に重要なリスク>

 

①人材に関するリスク

重要度

特に重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 当社グループの事業においては、今後とも時代対応のための変革に応じて、顧客属性や顧客の嗜好と適合した社内人材の配置や、適材適所での人材の確保と人材の育成が必要と考えております。

 昨今では、新型コロナウイルス感染症沈静化後のいわゆる「アフターコロナ」における新しいライフスタイルやファッションのカジュアル化、購買行動のオンライン化が、企業に新しいモノの売り方(ECサイト売上比率の向上やデジタルマーケティングの強化等)や最新の時代感覚を伴った品揃えと見せ方を迫っております。そのため、これらに対応するためのマーケティング人材やIT人材など、新たな時代に求められる優秀な人材を惹きつけることが重要課題となっています。

 現時点では重大な支障はないものの、当社が顧客の求める時代感覚と適合した人材配置や当社戦略に適合した人材採用、育成を適切に遂行できない場合、想定外の人材流出が発生した場合等には、戦略の遂行と長期ビジョンの達成に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、上記のような時代対応に適した人材を惹きつけるための教育投資の増加やIT分野等の人材獲得に向けた積極的な投資を継続してまいります。

 また、タレントマネジメントシステムを積極活用し、従業員一人ひとりの経験、スキル、ビジョンを可視化し、今後の様々な取り組みに対して適材適所の人員配置を進め、モチベーション高く業務を行える環境を整えることで従業員エンゲージメントの向上に努めてまいります。

 なお、IT分野については、2022年3月期よりDX推進部門を設置し、その担当執行役員及び本部長には他社での豊富な経験を有する当該分野の専門家が就任しています。

経営戦略との

関連性

UA CREATIVITI戦略(ブランド力の強化)

 

 

 

②顧客嗜好・消費性向の変化への対応力に関するリスク

重要度

特に重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 当社グループは、お客様の嗜好(ニーズ)や時代変化に対応すべく国内外のマーケットより情報収集に努め、商品企画ならびに商品開発に注力しております。しかしながら、お客様の嗜好(ニーズ)やファッション・マーケットトレンドは短期的かつ急激に変化する傾向にあります。

 近時においては、コロナ禍における緊急事態宣言等により、消費行動の急激な変化がみられ、今後もその傾向が継続する見込みです。

 「アフターコロナ」においても、コロナ禍における消費性向の変化(消費行動のオンライン化、ファッションのカジュアル化、個人レジャーへのニーズの高まり等)がお客様のライフスタイルとして定着しております。

 当社グループが、時代潮流の変化等に十分に対応できなかった場合には、競合優位性やブランド価値が低下し、当社グループの中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、消費動向やトレンド情報、気象情報などの外部環境データやお客様の属性情報、購買履歴などのお客様に関するデータを有効活用し、お客様一人ひとりに最適化した精度の高いサービスの提供に取り組んでまいります。「ユナイテッドアローズ オンライン」(自社EC)サイトも継続的に機能アップを図り、お客様が欲しい商品を、欲しい所で、欲しいタイミングでお買い求めいただける環境を整備し、お客様の体験価値を高める様々なサービスを提供していきます。

 また、近年はアパレルブランドのみならずアパレル派生型ブランドであるヨガ、ゴルフ、アウトドアなど様々な取り組みも強化しております。同時にアパレル以外の領域についても展開を進めてまいります。

経営戦略との

関連性

UA MULTI戦略(業容拡大に向けた事業開発)

 

③デジタルトランスフォーメーションに関するリスク

重要度

特に重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 当社グループは、高感度・高付加価値ライフスタイル提供グループを目指し、企業経営を効率化させていくとともに、お客様への提供価値を増大させる取り組みを進めております。

 お客様の購買行動のオンライン化やデジタル技術の進化、データの活用が進む中で、販売活動および社内業務をデジタル化させていくことは当社グループの競争力向上に向けて重要な課題と考えています。

 今後、お客様が求めるオンライン上での購買体験を十分に提供できない場合や社内専門人材の不足等により社内業務のデジタル化を推進することができない場合には、当社グループの競争力を高めることができず、戦略遂行と長期ビジョンの達成に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、2022年3月に自社ECサイト「ユナイテッドアローズ オンライン」のリニューアルや実店舗在庫との連動、接客スキルのデジタル化、オンライン接客などの様々なOMO施策を進めています。

 また、今後は商品管理基幹システムを刷新し、店舗、ネット通販、物流倉庫の在庫情報も一元管理することで非アパレルへの業容拡大や海外展開の拡大に対応するなどで、企業運営の効率化とお客様への提供価値の増大を図ってまいります。加えて、人材面でもIT分野の人材獲得に向けた積極的な投資を継続して参ります。

(*)OMO:(Online Merges with Offline の略。オンラインとオフラインの融合を指す。)

経営戦略との

関連性

UA CREATIVITI戦略(既存事業の成長拡大)

UA DIGITAL戦略(OMOの推進・サプライチェーンの最適化)

 

 

 

④サステナビリティに関するリスク

重要度

特に重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 アパレル業界においては、特にサプライチェーン全体における環境や人権に配慮した事業運営が求められておりますが、サステナビリティに関する社会的な要請が高まる中で当社グループが長期的に継続して取り組むべき最優先事項は大量生産、大量消費を前提とした売上拡大志向から脱却することであると考えています。これは業容拡大を目指しながら「限られた資源で最大限の企業価値を創出すること」であり、適正量の商品をサプライチェーンに配慮して適切に調達し、無駄なく販売していくこと、つまり定価販売比率を改善させていくことでもあります。

 これらのサステナビリティの取り組みに関する情報開示の法制化も進んでいる中で、今後サステナビリティ関連法令の厳格化が進み、それに対応することができない場合、サプライチェーンにおいて環境や人権に関する予期せぬ問題が発生した場合には、当社グループの企業活動がお客様や投資家からご支持いただけなくなる等、当社グループの企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、「経営会議」の下部組織として、業務執行取締役及び執行役員を委員とし、常勤社外取締役をオブザーバーに迎えた「サステナビリティ委員会」を設置して、戦略方針や具体施策の審議等を行っています。

 重要課題として「サプライチェーン」、「資源」、「コミュニティ」、「人材」、「ガバナンス」の5つのテーマを設定し、2022年には、重点訴求分野として「サーキュラリティ」「カーボンニュートラル」「ヒューマニティ」の3つのカテゴリーと、それぞれに紐づく7つの定量目標を策定しました。

 「サプライチェーン」に関しては、サプライチェーンの透明性を高め、人権侵害の防止や環境への配慮等を目的とした「商品調達取引先様向け行動規範」の策定に加えて、2023年4月には、グループ人権方針を新たに策定しました。

経営戦略との

関連性

UA DIGITAL戦略(サプライチェーンの最適化)

 

 

※参考:サステナビリティ推進体制図


 

<重要なリスク>
 
①経済状況・事業環境の変化に関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

短期(3年以内)

リスク

 当社グループは、業容と顧客層のさらなる拡大を目指しておりますが、景気停滞やインフレーション、国内の人口動態変化等に伴う消費動向の低迷、原材料・仕入価格の高騰等のマクロ経済環境変化が生じた場合には、売上の減少や費用の高騰を招き、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、マクロ経済環境に関する情報収集や緻密な価格設定及び原価抑制策を進めている他、適量な在庫調達と定価販売比率の改善に努めております。

経営戦略との

関連性

UA CREATIVITI戦略(既存事業の成長拡大)

 

 

②店舗展開に関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

短期(3年以内)

リスク

 当社グループの展開店舗の多くはショッピングセンター等の商業施設の賃借物件となっております。

 購買行動のオンライン化が進む中、当該商業施設の集客力の変動によっては、入店客数が減り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、店舗賃貸人または商業施設の財政状態等によっては、債権の一部及び出店に際して差し入れる保証金の回収不能、不動産価格の上昇に伴う賃借料の高騰、あるいは店舗の営業継続が困難となる不測の事態の発生等により、収益性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、新規出店の意思決定に際して出店エリアのマーケット状況を重視する他、店舗とECを含めた販売チャネルの最適化を図ってまいります。

 また、出店店舗については契約締結前の取引先への信用調査を実施するとともに、出店後も店舗損益を定期的にモニタリングしつつ、計画と実績に乖離が生じた場合にはデベロッパーとも協業し販売促進活動を積極的に行う等のフォローアップを継続して実施しております。投資や撤退に関する社内基準も引き続き運用してまいります。

経営戦略との

関連性

UA CREATIVITI戦略(既存事業の成長拡大)

 

 

③物流・ロジスティクスに関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 当社グループは、日本国内のみならず、アジアを中心に広く世界各国で生産された商品を仕入れております。

 各国の政治情勢や紛争、テロ、自然災害等が発生した場合には商品調達に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループにとって、重要かつ特有な影響を及ぼす仕入先や生産委託先が倒産する等の問題が発生した場合には、商品納入の遅延または不能が発生し、状況によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、調達先の分散化や商品調達に関する緊急時対応マニュアルの策定等の体制整備を図っています。

 また、商品調達のデジタル化を進め、商品発注から納品までのステイタスの可視化を推進しております。商品調達の状況をタイムリーに確認できるようにすることで、在庫調達の精度を上げ運営の効率化を図ってまいります。

 加えて、将来的な業容拡大とあわせた物流センターの再編も実施する予定です。

経営戦略との

関連性

UA DIGITAL戦略(サプライチェーンの最適化)

 

 

 

④展開国の政情不安に関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 当社グループは、今後さらにお客様層を拡大させ、提供価値の幅を広げていくためにグローバル展開を強化しています。特に、台湾・中国につきましては中長期的に高い成長ポテンシャルを有する市場と認識しており、台湾事業での新規出店拡大に加え、中国市場の開拓に向けた取り組みも進めております。

 中国は当社グループが提供する商品の生産地としても重要な役割を担っております。

 こうした中、中台関係の懸念が高まっており、今後展開国において政治的な混乱や紛争等が生じた場合には、当社グループの戦略やサプライチェーン、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、中台関係に関する各種情報収集、生産地の分散化や事業継続計画(BCP)の策定・浸透を進めるとともに、海外における従業員の安全を確保するための海外有事対応マニュアルの整備を進めております。

経営戦略との

関連性

UA MULTI戦略(グローバル拡大)

 

 

⑤気候変動に関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 当社グループの店舗は日本国内の大都市に集中して出店しており、商品の物流拠点や本部機能も首都圏に集中しています。

 主にこれらの地域において物理的リスクである大型台風や豪雨等による自然災害が発生した場合、商品調達への支障や店舗設備の被害、店舗休業が発生し、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、最低・最高気温の推移の変化や季節のズレが発生し、お客様の需要や購買行動等に変化が生じた場合、これまでの商品計画では対応し得ない可能性があります。

 加えて、異常気象や平均気温の上昇により、商品原材料の生産コストの増加も想定されます。

 なお、気候変動を回避することを目的とした脱炭素社会への移行には、炭素税、カーボンプライシング等、温室効果ガス排出を抑制する政策の導入規制や市場等の変化を伴うため、その変化に対応できないというリスクが生じ、相当程度の確度で財務的な影響が発生する可能性があります。また、そのリスクが顕在化した場合、お客様や社会からのレピュテーション(評価・評判)が低下し、引いてはブランド価値の低下を招くおそれがあります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、商品原材料の調達先の分散化や代替素材の検討を進めています。

 また、自然災害時の対応に向け、「リスク管理規程」において危機管理体制を整備・構築するとともに、事業継続計画(BCP)の継続的な見直しも図っております。危機管理体制の実効性を高めるために、災害時の被害状況の確認訓練も定期的に行っています。

 加えて、シーズンレス商品の投入等といった商品力の強化や、シーズンMDの変更等といった商品企画・投入時期の見直しを図ることによって定価販売比率の向上を推進してまいります。

 なお、当社グループの炭素削減目標を検討するだけでなく、一部の店舗においては既に再生エネルギーの利用を開始しています。今後、脱炭素社会の実現に向けて、さらなる施策を推進してまいります。

経営戦略との

関連性

UA DIGITAL戦略(サプライチェーンの最適化)

 

 

⑥品質に関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

短期(3年以内)

リスク

 当社グループでは、従業員の品質への意識付けと万全の品質管理体制を敷いておりますが、検品の不備等により、商品に針等危険物が混入しお客様に被害が生じた場合、当社グループへの信頼感が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、特にECビジネスの拡大に伴い、表示の総量が増加しているため、不適切な表示リスクは年々高まっています。不適切な表示により関係諸法令に抵触した場合には、ブランドイメージの低下に繋がる可能性があります。

 加えて、当社は過去に公正取引委員会及び消費者庁より景品表示法違反として行政処分を受けており、再度同様の行政処分を受けた場合には社会的信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、社内規程に基づく管理体制の整備・構築と運用の遵守・徹底を図っています。また、品質不良や不適切な表示が発生した場合には全社の会議体等で事案の報告・共有及び対応策の検討・決定を行い、再発防止に努めております。

経営戦略との

関連性

UA CREATIVITI戦略(ブランド力の強化)

 

 

⑦情報管理に関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

短期(3年以内)

リスク

 当社グループでは個人情報を含む多くの機密情報を取扱うため、その取扱いには十分に留意しておりますが、万が一、コンピュータウィルスやサイバーテロ、従業員や委託先の管理ミス等の要因により機密情報の漏洩等が起きた場合には、当社グループのブランドイメージの低下や法的な責任の追及によるコストの発生等、当社グループの戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、2021年4月1日付で改定した「情報セキュリティ規程」に則り、セキュリティ専門企業と連携しながら不正アクセス対策、ウィルス対策、データ保護対策、ユーザー認証等、安全性が高いシステムの構築とリスク管理を実施しています。また、内部からの情報流出等を防止するため、「情報セキュリティポリシー」を定め、適切な情報管理の徹底に努めるとともに、従業員に対して「情報セキュリティ研修」を実施しています。

 さらには、昨年度よりリスクマネジメント委員会内に「情報セキュリティ部会」を新設し、本リスクに関する経営層を含めた討議を行うことで早期に対策立案や実行を行うことができる体制を整備し、リスク低減を図っております。

経営戦略との

関連性

UA DIGITAL戦略(サプライチェーンの最適化)

 

 

⑧事業インフラに関するリスク

重要度

重要

影響を及ぼす時期

中長期(3年以上先)

リスク

 当社グループの事業活動を支える物流ネットワークや情報システム、またはECサイト運営等において事業運営の継続が困難となる事象が発生した場合、商品の供給が滞ることにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、情報システムとECサイトをクラウド環境で冗長構成する等BCPの整備・見直しや複数拠点への分散を推進していきます。

 また、委託先とは業務オペレーションやコミュニケーションの充実を継続して図ってまいります。

経営戦略との

関連性

UA DIGITAL戦略(サプライチェーンの最適化)

 

 

 

 

 

 

 

⑨その他のリスク

リスク

 当社グループでは、商品の評価についての判断にあたり、原価割れ販売実績率及び在庫消化見込み額を算定しており、当該算定は将来の在庫消化予測等を基礎としているため、経済条件の変動等によって当該予測が実態と異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、商品の簿価の切下額に影響を与える可能性があります。

 また、固定資産の減損判定を実施する際の回収可能額は、その使用価値に基づき算定しており、当該算定は将来の業績予測等を基礎としているため、経済条件の変動等によって当該予測が実態と異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表の減損損失の金額等に影響を与える可能性があります。

 この他、当社グループでは多数の知的財産権を保有しており、権利の保全に努めておりますが、第三者による当社グループに関係する権利に対する違法な侵害等によって当社グループの事業活動が阻害され、かつ、企業及びブランドイメージの低下を招いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、目下、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻と、それに伴うロシアへの経済制裁等によって、世界的な政情不安が継続していますが、それらによる影響は限定的であると考えております。

対応策

 こうしたリスクへの対応として、将来の在庫消化予測等に際し、国内外のファッション市場におけるマーケティング調査や、気象予測、あるいは販売動向のモニタリング結果を踏まえたマーチャンダイジングのコントロールを継続して実施しております。

 また、外部会社を起用した定期的な調査の実施、法律専門家と連携しての知的財産管理部門における侵害者への警告対応等、当社グループの知的財産権の侵害行為への迅速な対応を図っております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和等により社会経済活動が正常化に向かい、緩やかに復調傾向となりました。一方、原材料価格の上昇や円安等による物価上昇に加え、世界各国での景気後退リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が続いています。衣料品小売業界においても、人流回復等により事業環境は改善したものの、原材料高や急激な為替変動等、厳しい経営環境も継続しました。

このような状況の下、当社は2023年3月期のグループ経営方針に「感動提供 すてきな接客 すてきな商品 ヒトのチカラ モノのチカラ」を掲げました。創業以来、経営をはじめ日々の営業活動においても常にお客様視点を判断軸とし、ヒト(接客・サービス)、モノ(商品)、ウツワ(施設・空間・環境)の力を高めることで、お客様に感動を提供してきたことが当社の強みであると認識しています。この強みに一層磨きをかけ、当社の価値創造の基盤となるお客様価値を高めることを起点に、全てのステークホルダーの価値をバランス良く向上させることを目指しました。

「感動提供」の実現に向けて、既存店を回復させることを重点戦略に定め、「感動接客-販売力の底上げ」、「感動クリエイション-商品力の底上げ」、「新たなUAへの挑戦-積極的なトライアンドエラー」に取り組みました。

「感動接客」では、社会経済活動の正常化に伴い人流回復が進み、小売既存店売上高前期比(単体)は116.3%と、実店舗が大きな回復を見せました。接客技術向上に向けた教育等の取組みも奏功し、日々のきめ細かな接客に対するお客様からの感謝の言葉が増加しました。通販サイトでのスタッフスタイリング等の投稿を増やしコンテンツ経由売上が伸長するなど、OMO(*)施策も積極的に推進しています。定価販売を強化するべく、商品の魅力を的確に伝えた結果、セール販売を抑制したものの、小売+ネット通販既存店買上客数前期比(単体)は100.8%と前期並みを維持し、小売+ネット通販既存店客単価(単体)を前年の110.3%と大きく改善させました。これらの結果、小売+ネット通販既存店売上高前期比(単体)は111.2%となりました。

(*)OMO: Online Merges with Offline の略。オンラインとオフラインの融合を指す。

「感動クリエイション」では、品番数を絞り商品1点1点のクオリティを高めることに注力しました。併せて、適正な調達を行ったほか、セール期間の短縮、セール対象品や値下げ率を精査することによりセール販売をおさえるなどマーチャンダイジングの精度向上にも取り組みました。これらの結果、定価販売構成比が前年から大幅に向上し、売上総利益率が前期から改善しました。

「新たなUAへの挑戦」では、2026年3月期を最終年度とする新中期経営計画に向け、既存ブランドの再編に加えて、事業領域とお客様層の拡大を企図した新規ドメインやブランドの開発等に着手しました。

これらの重点戦略を下支えしつつ、当社の持続的成長も担保するベース戦略として「ES(*)推進」、「DX推進」、「サステナビリティ推進」の3つの戦略も実行しました。

(*)ES: Employee Satisfactionの略。従業員満足を指す。

感動提供の源となる従業員に対する「ES推進」では、報酬と働き甲斐の両面からの従業員エンゲージメント向上に向けて、昇格制度や報酬設計などの各種制度や人事関連施策を見直しました。従業員意識調査の結果を踏まえて、モチベーションやスキルの向上を望む従業員に対する教育機会を充実させたほか、教育体系の立案にも着手しました。適材適所の人材配置や異動の活性化に向けた仕組みの構築準備も進めました。

「DX推進」では、生産背景の生産性向上等に向けた基盤の構築と、デジタル技術を活用したお客様体験価値の向上に向けた取組み等を進めました。基盤の構築については、データ活用による生産背景の最適化と物流の効率化を目指した、基幹システムの刷新準備を進めました。お客様体験価値の向上への取組みでは、自社通販サイトにおいて、さらなる利便性改善に向けたシステム改修と、在庫配分の適正化や実店舗在庫の引き当て販売などの課題解決を重ねました。加えて、SNSの戦略的運用により商品やブランドの認知拡大を図ったほか、自社通販サイトでのスタッフスタイリングや動画、商品紹介コメント等のコンテンツを拡充し閲覧数や経由売上を伸ばすなど、お客様との接点を広げました。お客様との接点をより一層拡大させることで、当社との関係性の深いロイヤルカスタマーを増やすべく、会員プログラムの改定準備も進行しました。

当社がお客様や社会から永続的なご支持を得るための「サステナビリティ推進」では、当社のサステナビリティ活動を「SARROWS(サローズ)」と名付け、社内外に理解浸透を図りました。「SARROWS」で定めている3つの活動目標の達成に向けて、環境配慮商品の定義付けやサプライチェーンに対する人権方針の策定等を進めました。

出退店については、トレンドマーケットで1店舗の出店、3店舗の退店、ミッド・トレンドマーケットで2店舗の出店、1店舗の退店、アウトレットで1店舗の出店、1店舗の退店を実施した結果、当連結会計年度末の小売店舗数は189店舗、アウトレットを含む総店舗数は215店舗となりました。

連結子会社の状況については、株式会社コーエン(決算月:1月)、海外子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)とも増収となりました。出退店については、株式会社コーエンは2店舗の出店、14店舗の退店により当連結会計年度末の店舗数は75店舗、台湾聯合艾諾股份有限公司は1店舗の出店により当連結会計年度末の店舗数は8店舗となっています。

以上により、グループ全体での新規出店数は7店舗、退店数は19店舗、当連結会計年度末の店舗数は298店舗となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前期比9.9%増の130,135百万円となりました。売上総利益は前期比13.7%増の67,178百万円となり、売上総利益率は前期から1.7ポイント増の51.6%となりました。これは在庫の調達をコントロールし、値引きを抑制したことなどによるものです。販売費及び一般管理費は各項目で売上回復に伴う変動費の増加などにより前期比5.9%増の60,816百万円となりました。

以上により、当連結会計年度の営業利益は6,362百万円(前期比278.0%増)、経常利益は6,900百万円(前期比144.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は4,341百万円(前期比492.6%増)となりました。

② 財政状態の状況

(資産の部)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて8.1%増加し、41,604百万円となりました。

これは、主として現金及び預金が2,969百万円、流動資産のその他が128百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度に比べて7.8%減少し、19,580百万円となりました。

これは、基幹システム刷新に向けた準備などにより無形固定資産が325百万円増加した一方、不採算店舗の退店や減価償却等により建物及び構築物を始めとする有形固定資産が262百万円、差入保証金が422百万円それぞれ減少したこと、及び繰延税金資産が905百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて2.5%増加し、61,184百万円となりました

(負債の部)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて7.8%減少し、23,451百万円となりました。

これは、主として支払手形及び買掛金が871百万円、未払法人税等が641百万円、賞与引当金が1,216百万円それぞれ増加した一方、短期借入金が5,296百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度に比べて4.0%減少し、4,030百万円となりました。

これは、主として店舗の退店に伴い、資産除去債務が161百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて7.3%減少し27,482百万円となりました。

(純資産の部)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて12.1%増加し、33,702百万円となりました。

主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により4,341百万円増加した一方、配当金の支払により683百万円減少したこと等によるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,969百万円増加し、当連結会計年度末には、8,562百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は10,258百万円(前連結会計年度比3,367百万円収入増)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,548百万円、減価償却費874百万円、賞与引当金の増加額1,216百万円、仕入債務の増加額870百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額825百万円、棚卸資産の増加額92百万円、持分法による投資利益348百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,255百万円(前連結会計年度比1,470百万円支出増)となりました。

これは、主に店舗の退店による差入保証金の回収による収入539百万円、関係会社出資金の売却による収入1,102百万円があった一方、基幹システム刷新に向けた準備等による無形固定資産の取得による支出768百万円、長期前払費用の取得による支出1,431百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は5,979百万円(前連結会計年度比2,021百万円支出減)となりました。

これは、短期借入金の純減少額が5,296百万円、配当金の支払額683百万円があったことによるものであります。

 

 

 ④ 生産、受注及び販売実績

当社グループは、一般消費者を対象とした店頭での紳士服・婦人服等の衣料品ならびに関連商品の販売を主たる事業としているため、生産及び受注の状況に替えて仕入実績を記載しております。

 

(a) 販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

商品別販売実績

 

商品別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

メンズ(百万円)

37,344

111.2

ウイメンズ(百万円)

59,457

109.0

シルバー&レザー(百万円)

551

91.5

雑貨等(百万円)

2,381

110.7

その他(百万円)

30,401

110.5

合計(百万円)

130,135

109.9

 

(注) 1  シルバー&レザーとは「CHROME HEARTS」ブランドの銀製装飾品および皮革製ウエアであります。

2  数量については、商品内容が多岐にわたり、その表示が困難なため記載を省略しております。

3  「その他」には、アウトレット、催事販売、連結子会社である株式会社コーエン、台湾聯合艾諾股份有限公司等の売上が含まれております。

 

 

(b) 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績を商品別に示すと次のとおりであります。

 

商品別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

メンズ(百万円)

22,869

105.4

ウイメンズ(百万円)

33,127

106.0

シルバー&レザー(百万円)

42

97.5

その他(百万円)

7,106

98.3

合計(百万円)

63,145

104.9

 

(注) 1  シルバー&レザーとは「CHROME HEARTS」ブランドの銀製装飾品および皮革製ウエアであります。

2  「その他」には、アウトレット、催事販売、連結子会社である株式会社コーエン、台湾聯合艾諾股份有限公司等の仕入高が含まれております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の注記事項(重要な会計上の見積り)及び(追加情報)に記載しております。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 (b)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、社会経済活動の正常化に伴い人流回復が進み、実店舗の売上が大きく回復したことにより前期比9.9%増の130,135百万円となりました。なお、株式会社ユナイテッドアローズにおける小売+ネット通販既存店売上高前期比は111.2%となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、前期比13.7%増の67,178百万円となり、売上総利益率は前期から1.7ポイント増の51.6%となりました。これは在庫の調達をコントロールし、値引販売を抑制したことなどによるものです。

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前期比5.9%増の60,816百万円、販売費及び一般管理費率は前期から1.8ポイント減の46.7%となりました。これは、売上回復に伴う変動費の増加などによるものです。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は6,362百万円(前期比278.0%増)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、助成金収入の減少等により、585百万円(前期比52.0%減)となりました。営業外費用は、支払利息の減少等により、46百万円(前期比36.6%減)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は6,900百万円(前期比144.1%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別損失は、減損損失の減少等により、352百万円(前期比68.9%減)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4,341百万円(前期比492.6%増)となりました。

(c) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、出店及びITインフラ等の設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は2,504百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、8,562百万円となっております。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

当社グループは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づく2026年3月期の定量目標として、以下を目指してまいります。

指標

2026年3月期目標

連結売上高

1,600~1,700億円

連結営業利益

90~100億円

連結営業利益率

5.6~5.9%

連結ROE(自己資本利益率)

13.8~15.4%

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社グループにおけるクロムハーツ社製製品の取扱に関しては、当社が運営する店舗のほか、「CHROME HEARTS」ブランドの創業者が支配するFrankster USA, LLCとの間の合弁会社であるCHROME HEARTS JP 合同会社(以下「CH合同会社」といい、当社の持分法適用会社となります。)が運営する店舗にて販売を行っております。

CH合同会社の組成に関連して、当社は、2016年5月27日付で「CHROME HEARTS」ブランドの創業者が支配する会社であるFrankster, Inc.との間で、Purchase and Sale and Unit Holders Agreementを締結しております。当該契約に基づき当社がFrankster USA, LLCに対しCH合同会社の持分を譲渡した結果、2021年1月以降はCH合同会社は当社の連結子会社ではなく持分法適用会社となっており、また、2025年1月以降は当社はCH合同会社の持分を保有しなくなる予定です。

 

6 【研究開発活動】

特記事項はありません。