第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、1975年の創業以来、「私たち星医療酸器グループは生命(いのち)を守る最前線で社会に貢献しつづけます」という経営理念のもと、医療用酸素ガスの製造・販売を出発点として、堅実な事業展開を行ってまいりました。高齢化社会、医療・介護に対する価値観の変化、多様化する在宅医療ニーズに対応すべく、在宅医療、医療設備、介護福祉、施設介護等の周辺事業への進出を積極的に進め、事業領域の多角化を実現しております。

今後も当社グループは、社会・経済・制度の変化に的確に対応しながら、お客様や患者様との顧客リレーション・販売基盤を活かした事業戦略を構築するとともに、医療・介護分野におけるトータルソリューションの提供を通じて、企業としての持続的な成長と社会的使命の両立を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループでは、経営の効率性および収益性を表す指標として「売上高営業利益率(Operating Profit Margin)」を最重要KPIとして位置付けております。これは全社のみならず各事業セグメントや営業拠点単位においても管理されており、定量的な業績評価基準として月次でモニタリングされています。

現在の目標値は12%以上であり、これは医療・介護分野という社会的公共性の高い領域において、一定の収益性と経営の健全性を両立させるための基準として設定しております。

当社グループといたしましては、本指標の目標値を当然に達成することを前提に、自己資本比率の向上による財務体質の強化、安定的な株主還元(増配、株主優待制度の充実など)も継続的に実行しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、「医療用ガス関連事業」「在宅医療関連事業」「医療用ガス設備工事関連事業」「介護福祉関連事業」「施設介護関連事業」の5つを基幹事業と位置づけ、それぞれの専門性を活かした事業展開を推進しております。社会保障制度や地域包括ケアシステムの進展に伴い、医療・福祉分野はますます在宅や地域密着型へとシフトしております。

これら環境変化に柔軟に対応できる強固な経営基盤を構築するため、営業力の強化だけでなく、M&A、商材・販路拡大、多様な人材の採用等も実施してまいります。

あらゆる変化にスピーディに対応できる事業経営戦略を策定し、人的資源を含めた効率的な組織運営を実現することで、確固たる経営基盤を構築してまいります。

各事業セグメントの主な戦略は以下のとおりであります。

 

≪医療用ガス関連事業≫

本事業は、当社の創業事業であり、グループ全体の安定収益基盤を担う中核的セグメントであります。医療機関における酸素供給は、患者様の生命維持に直結する「ライフライン」であり、24時間365日体制による供給網の維持が社会的責務となっております。

近年では、燃料費や物流費の高騰といったコスト圧力に対応するため、販売価格の見直しや効率的な配送ルート構築、人員再配置などにより収益性改善を図っております。また、2024年度には東海地域に新たな酸素充填工場(テイ・エム・シー)が竣工・稼働を開始しており、域内の安定供給体制をさらに強化いたしました。

今後も、内製化による原価低減とともに、新規顧客開拓による販売数量拡大を通じて、長期的な収益安定を目指してまいります。

 

≪在宅医療関連事業≫

高齢社会の進展を背景に、在宅医療ニーズは拡大を続けており、当社においても特に成長が著しい事業領域であります。主力商材である在宅酸素療法(HOT)およびCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、呼吸器疾患や睡眠時無呼吸症候群の患者様のQOL向上に貢献する重要な治療手段であり、当社では市場シェア拡大を推進中であります。

また、自社開発の在宅医療支援システム「Pallet's-R」や、呼吸リハビリ機器「LIC TRAINER」等の独自商材を展開しており、今後の診療報酬改定を見据えた新商品の企画・投入も継続してまいります。

加えて、患者管理の効率化や従業員の業務負担軽減を目的としたICT・DXの導入(業務フローの再構築、新システムの開発など)も進めており、営業力・サービス品質の両面における競争力強化に取り組んでおります。

 

≪医療用ガス設備工事関連事業≫

医療施設の設備更新ニーズに応える本事業では、特に医療ガス配管や空調・電源関連工事を中心に受注実績を重ねており、お客様からの信頼を獲得しております。

昨今は建物の老朽化や省エネ・BCP対策など、施設側のニーズが多様化する中、パートナー企業と連携し、各種補助金制度の活用提案を含む包括的な営業提案を強化しております。

また、当社の医療ガス安定供給体制を支える定期点検やメンテナンス業務も同セグメントで担っており、グループ内の各事業との連携を通じて、トータルソリューションとしての体制強化を図っております。

 

≪介護福祉関連事業≫

高齢化の進行に伴い、福祉用具のレンタル・販売市場は拡大基調にあり、当社では地域包括支援センターや居宅介護支援事業所等への訪問営業を通じて、着実にシェアを獲得しております。

さらに、訪問看護・リハビリステーションの展開を進めており、医療と介護の連携によるサービス提供体制の構築を強化しています。

M&A戦略にも注力しており、エリア拡大・事業基盤強化のために積極的な買収を随時実施しております。買収後の統合プロセス(PMI)においても、人材教育やシステム連携など、事業運営の一体化に取り組んでおります。

 

≪施設介護関連事業≫

当社が運営する有料老人ホーム「ライフステージ阿佐ヶ谷」では、看護師24時間常駐体制や理学療法士によるリハビリ対応、認知症ケア専門スタッフの配置など、差別化された介護サービスを提供しております。

地域包括支援センター・医療機関・居宅介護支援事業所との連携も強化しており、長期入居率の向上を目指してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループの強みは「人的資本」を基盤とした組織力にあります。

医療ガスや在宅酸素療法における「安定供給」への信頼は、従業員一人ひとりの誠実な取り組みによって支えられております。

日々の業務に真摯に向き合う姿勢が、お客様からの厚い信頼につながっております。

また、社会全体で進むデジタル化に対応するため、当社におきましてもDX推進を一層強化し、業務効率化や柔軟な経営体制の整備に取り組むことで変化に強い組織づくりを目指しております。

さらに、働く環境への設備投資を進め、業務効率や従業員の意欲向上を図ることで生産性の向上にも努めております。

職場の整備は、質の高いサービスの提供にも直結すると考えております。

高齢化の進展により、福祉や在宅医療分野でのニーズは今後さらに高まる見通しです。当社はそうした社会の変化に的確に応え、医療を支える一員として、持続可能な価値の創出を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)基本方針

当社は、経営理念「私たち星医療酸器グループは、命を守る最前線で、社会に貢献しつづけます」のもと、株主をはじめとした全てのステークホルダーから信頼され続ける企業であるために、上場企業としての社会的責任を強く認識し、経営体制、内部統制及び、監査役監査の適切な機能により、最適な組織運営の構築と共にサステナビリティの推進に向けた取組みに努めております。

 

(2)ガバナンス

当社は、上場企業としての社会的責任を認識し、株主をはじめとした顧客、取引先、従業員等から信頼を獲得し、継続的な株主利益の増大を実現するため、経営体制、内部統制及び、監査役監査を適切に機能させ、最適な組織運営の構築に努めています。

当社のコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照下さい。

 

(3)戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

患者様や利用者様の命と健康に日々向き合う当社にとりまして、人材こそが企業価値の源泉であります。安定的な人材の確保とスキル・能力向上の両立が、当社の持続的な成長と発展において最も重要であると捉えており、人材戦略の主軸として以下の取り組みを行っています。

 

①人材の採用と育成

専門性の高い知識と強い責任感を必要とする当社の業務におきましては、質の高い人材の採用ならびに育成と定着が経営の根幹を支える重要課題であります。採用におきましては、特に配送業務を担う地域人材や若年層を中心とした採用を強化していく取り組みを行っています。SNSや動画を活用するなど求人手法を多角化するとともに給与を含む労働条件の見直しや営業所を移転新築するなど環境の整備を通じて「選ばれる職場」づくりを推進しています。新卒および中途採用の選考におきましては、適正な能力や経験だけでなく経営理念の「命を守る最前線で社会に貢献し続ける」というミッションを共有できる人材の採用を大切に考えています。また障がい者の採用についても、特別支援学校と連携し、実習の受け入れを通じて本人の適性やキャリア形成を重視した雇用を進めています。

採用後の育成におきましては、従業員の成長と能力開発のために研修ツールの作成や研修プログラムの構築に注力しています。特に業務に関連する資格(高圧ガス販売主任や福祉用具専門相談員など)取得の支援体制を充実させるとともに、集合形式による研修を通じて交流機会を増やし社内の活性化と従業員のエンゲージメントの向上を図っています。

 

②従業員の健康

当社は労働集約型のビジネスモデルであるという認識のもと、継続的に従業員の心身の健康づくりに取り組んでいます。当社従業員は医療機関や患者様に商品とサービスをお届けするエッセンシャルワーカーとして業務を遂行する特性上、精神的に負担のかかるケースも生じ得ます。そこで外部の医療機関と提携し専任のカウンセラーと精神科専門医にいつでも相談ができる体制を整えており、社内におきましてもパワハラやセクハラを中心としたハラスメント研修を継続的に行っています。また現業部門における熱中症の対策についても、機能性の高いユニフォームの導入などにより働きやすい環境整備を継続しています。

 

③女性活躍推進

今後も市場の拡大が見込まれている在宅医療や介護福祉の市場において、多様化するお客様のニーズに合致した商品やサービスをきめ細かく提供し続けるためにも、女性社員の比率の向上と女性管理者育成に取り組んでおり、従業員各々が自身の強みを活かして活躍できる組織づくりを目指しています。加えて、男女ともに育休取得を推進していくことで働きやすい職場と企業風土の醸成を図っています。

 

④生産性向上

業務の効率化を継続的に推進すべく、基幹業務システムを更新しその活用を進めています。社内文書や申請フローの電子化により、従来の紙媒体主体の業務手続からワークフローシステムの利用へ脱皮が図られており、生産性の向上やペーパーレス化および内部統制の強化につながっています。

 

(4)リスク管理

当社は、サステナビリティ課題における事業へのリスクについて、経営環境への影響が大きいリスクを重要課題として其々に責任者を配置し、定期的なモニタリングと検討会を実施しております。当該検討会での審議内容については、必要に応じ経営会議に報告されることにより継続的なリスク管理を行っております。

なお、当社が認識する事業上等のリスクに関する詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(5)指標及び目標

当社グループでは、上記「(3) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

指標

目標

実績(当事業年度)

労働者に占める女性労働者の割合

2027年4月まで35

29.5

男性労働者の育児休業取得率

2027年4月まで100

77.7

労働者の男女の賃金の差異

2026年4月まで60

55.8

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)法的な規制について

当社グループの事業は、各種法令、行政による許認可や規制等に関連しており、その遵守に努めていますが、意図せざる理由により法令違反又は訴訟提起が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

また、医療用ガス及び医療用関連商品の販売並びに病院向けの医療用ガス配管設備の施工・メンテナンス、在宅酸素発生器等のレンタル、介護福祉関連機器のレンタル及び販売については、各事業は監督官庁の許可、登録、免許及び届出を受けて営業活動を行っておりますので、法令の改正等に伴い経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)薬価の改定について

当社グループは、売上高に占める医療用ガスの割合が3割超であり、薬価基準に収載されております。薬価基準は、医療保険で使用できる医薬品の範囲と医療機関が使用した医薬品の請求価格を定めたものであります。従って、薬価基準は販売価格の上限として機能しております。このため、薬価改定の内容によっては医療用ガス等の販売価格に反映し、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)全国展開について

各事業所・営業所の営業力を強化し、新規取引先を中心に拡大しておりますが、当初計画より遅れた場合、当社グループの利益の低下になり、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)大規模な自然災害について

当社グループは、自然災害に対する被害・損害を最小限にするための防災、危機管理体制を重要なものと位置付けて取り組んでおりますが、大地震・洪水等の自然災害の発生により、当社グループの製造拠点及び調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じ、顧客に安定して製品を供給できなくなるおそれがあります。これにより、売上が減少し、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(5)安全性について

当社グループは、高圧ガス保安法に則り医療用ガス等を製造・販売しており、事故発生の未然防止のための安全操業体制の強化に日々取り組んでおりますが、当社グループにおいて、火災事故、爆発事故が発生した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)事業投資について

当社グループは、近年積極的なM&Aを展開し業容の拡大を図っております。事業投資が当初計画から乖離した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)情報の流出について

当社グループは、多くの顧客またはその他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報へのセキュリティレベルの向上を図るとともに、情報取り扱いに関する社内規程の整備、社員教育等を実施しておりますが、ハッカーやコンピュータウイルスによる攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報や技術情報の漏洩などが発生する可能性があります。このような事態が起きた場合、当社グループの企業価値を毀損する可能性があります。

また、企業情報及び個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼を毀損するだけでなく、流出の影響を受けた取引先、顧客またはその他関係者から損害賠償を請求される可能性があります。そのような場合、対象企業や個人への補償、再発防止措置の実施等が必要になり、そのために多大なコストを要し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)原材料の調達について

原材料メーカーが天災や事故等により生産活動を停止し、当社グループの原材料調達が困難となり顧客への供給責任を果たせなくなってしまうリスクがあります。このような場合は、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、こうした事態に備え、発生時の影響を最小限に抑えるため、日頃から原材料の複数購買等を進めることにより安定した原材料調達を図っております。

 

(9)減損損失について

当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や、事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

  (1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、景気は一部に足踏みが見られるものの、雇用・所得環境の改善が進む中で各種政策の効果もあって、緩やかに回復しております。

先行きにつきましても、緩やかな回復の継続が期待されるものの、物価上昇の継続による消費者マインドの下振れや、米国の通商政策等が及ぼす外部環境の変化、さらには金融資本市場の変動などが景気を下押しするリスク要因として懸念され、引き続き注視が必要な状況にあります。

このような環境のもと、当社グループは取扱商品・サービスの安定供給とお取引先様と従業員の安全確保を最優先に事業を継続し、医療・介護・福祉分野において企業としての社会的責任を果たしてまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は324百万円増加し15,102百万円(前期比2.2%増)となりました。これは、主力である医療用ガス関連事業および在宅医療関連事業の販売が引き続き堅調に推移したことに加え、適正価格の維持や新規顧客開拓などが奏功したことによるものであります。

売上総利益は、353百万円増加し7,563百万円(前期比4.9%増)となりました。また、売上総利益率は、メーカー等からの仕入コスト引上げや外注費の高騰に対応した販売価格の適正化に努めたことにより、前期比1.3ポイント増加し50.1%となりました。

販売費及び一般管理費は、人件費の増加の影響により333百万円増加し5,580百万円(前期比6.3%増)、売上高販管費比率は前期比1.5ポイント増加し37.0%となりました。

これらにより、営業利益は20百万円増加し1,982百万円(前期比1.0%増)、売上高営業利益率は前期比0.2ポイント減少し13.1%となりました。

経常利益は、営業利益の増加により14百万円増加し2,052百万円(前期比0.7%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が14百万円増加し、法人税等合計が47百万円減少したことにより、59百万円増加し1,463百万円(前期比4.2%増)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 ① 医療用ガス関連事業

当部門は、新規取引先拡販が順調に推移し、医療用酸素・医療用二酸化炭素の出荷量は堅調に推移いたしました。世界情勢を反映したエネルギーコスト上昇等に伴う材料・仕入価格上昇につきましては、市況を見ながらコスト上昇分を鑑みた適正価格への変更に注力し交渉を進めてまいりました。また物流・運送業界における2024年問題に対応すべく、円滑な組織体制づくりや人的資源の拡充にも努めてまいりました。

これらの結果、売上高は4,002百万円(前期比4.6%増)、セグメント利益は635百万円(前期比4.3%増)となりました。

 

 ② 在宅医療関連事業

当部門は、国の施策である在宅医療への推進を受け、患者様と医療機関のニーズを第一優先として対応すると共に、きめの細かい営業活動の継続により「HOT(在宅酸素療法)」、「CPAP(持続陽圧呼吸療法)」共に好調に推移いたしました。利益面では世界的な原材料価格の上昇やエネルギー関連の高騰が続いておりますが、自助努力による合理化に努めてまいりました。

これらの結果、売上高は6,730百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益は907百万円(前期比13.4%増)となりました。

 

 

 ③ 医療用ガス設備工事関連事業

当部門は、医療機関に対し医療用ガス設備並びに消火設備の配管工事及び保守点検業務を行っております。保守点検業務及びそれに伴う修繕は安定した売上を確保しております。工事売上高は建築費の高騰により医療機関の設備投資の減少及び計画自体の中止・延期の影響を受け完成工事高が減少いたしました。

これらの結果、売上高は1,860百万円(前期比9.5%減)、セグメント利益は272百万円(前期比21.0%減)となりました。

 

 ④ 介護福祉関連事業

当部門は、介護福祉関連機器のレンタル及び販売部門において、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所及び病院・施設への継続的な営業活動を図っております。若干ではありますが居宅介護支援事業所(国保連レンタル)の売上におきましては前年の売上を下回ってしまいましたが病院及び施設への販売に関しましては継続的な営業を行い順調に推移いたしました。

またデイサービス及び訪問看護事業所部門におきましては、都内3拠点を事業基盤として地域へのPR活動強化による認知度アップとスタッフの増員など運営体制の充実を図りましたが、一部人員の欠員等に伴い若干ではありますが前年の売上を下回ってしまいました。

これらの結果、売上高は1,162百万円(前期比4.1%減)、セグメント利益は44百万円(前期比9.5%増)となりました。

 

 ⑤ 施設介護関連事業

当部門は、有料老人ホーム「ライフステージ阿佐ヶ谷(東京都杉並区)」におきましては、24時間看護師在駐や地元医療機関との連携の更なる構築を図り、高付加価値サービスの提供と、人材育成の体制を強化いたしました。また、入居者様の多様性を把握したうえで、感染症予防を主とした衛生管理を徹底することにより、入居者様やご家族様への「安心」・「安全」をお届けし、入居率の向上に努めてまいりました。

通所介護施設「あしつよ・文京(東京都文京区)」、「あしつよ巣鴨(東京都豊島区)」、「あしつよ王子(東京都北区)」におきましても、万全な衛生管理に努めつつ地元密着のサービスの提供と顧客サービスの多様化に対応することにより稼働率アップに取り組みました。

これらの結果、売上高は331百万円(前期比5.4%減)、セグメント損失は18百万円(前期セグメント利益16百万円)となりました。

 

  (2) 生産、商品仕入、受注及び販売実績

  

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(千円)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

医療用ガス関連事業

444,576

99.8

合計

444,576

99.8

 

(注) 1 金額は製造原価で表示しております。

 

 ② 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(千円)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

医療用ガス関連事業

941,800

99.3

介護福祉関連事業

500,094

94.8

その他事業

843,946

97.1

合計

2,285,842

97.5

 

(注) 1 金額は仕入価格で表示しております。

 

 ③ 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

受注高(千円)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

医療用ガス設備工事
関連事業

1,848,415

93.2

166,346

93.2

合計

1,848,415

93.2

166,346

93.2

 

(注) 1 金額は販売価格で表示しております。

2 受注状況は、工事関連の受注について記載しております。

 

 

 ④ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(千円)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

 

医療用ガス関連事業

4,002,087

104.6

在宅医療関連事業

6,730,979

106.7

医療用ガス設備工事関連事業

1,860,747

90.5

介護福祉関連事業

1,162,159

95.9

施設介護関連事業

331,153

94.6

その他事業

1,015,202

98.6

合計

15,102,329

102.2

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格で表示しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

  (3) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は24,590百万円(前連結会計年度末比1,552百万円増)となりました。これは主に、現金及び預金が870百万円、有形固定資産のリース資産が236百万円、投資有価証券が201百万円増加したこと等によるものであります。

負債合計は5,874百万円(前連結会計年度末比209百万円増)となりました。これは主に、流動負債のリース債務が78百万円、固定負債のリース債務が179百万円増加したこと等によるものであります。

純資産は18,715百万円(前連結会計年度末比1,343百万円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払い等により利益剰余金が1,244百万円増加したこと等によるものであります。

 

    セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

 ① 医療用ガス関連事業

当連結会計年度末のセグメント資産は1,673百万円(前連結会計年度末比163百万円増)となりました。

これは主に、医療用ガス配管設備及び容器等の取得による増加324百万円、減価償却費の計上による減少145百万円によるものであります。

 ② 在宅医療関連事業

当連結会計年度末のセグメント資産は2,639百万円(前連結会計年度末比368百万円増)となりました。

これは主に、在宅酸素療法用酸素供給装置等の取得による増加899百万円、減価償却費の計上による減少592百万円によるものであります。

 ③ 医療用ガス設備工事関連事業

当連結会計年度末のセグメント資産は283百万円(前連結会計年度末比2百万円増)となりました。

これは主に、資産の取得による増加22百万円、減価償却費の計上による減少9百万円によるものであります。

 ④ 介護福祉関連事業

当連結会計年度末のセグメント資産は350百万円(前連結会計年度末比0百万円減)となりました。

これは主に、資産の取得による増加47百万円、減価償却費の計上による減少18百万円によるものであります。

 ⑤ 施設介護関連事業

当連結会計年度末のセグメント資産は1,183百万円(前連結会計年度末比20百万円減)となりました。

これは主に、減価償却費の計上による減少19百万円によるものであります。

 

  (4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度において、現金及び現金同等物は3,834百万円減少し、当連結会計年度末残高は5,925百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動により得られた資金は2,189百万円(前期比205百万円減)となりました。

これは、税金等調整前当期純利益が2,063百万円となり、減価償却費824百万円、法人税等の支払額622百万円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動により使用した資金は5,284百万円(前期比4,539百万円使用増)となりました。

これは、定期預金の預入による支出4,700百万円、有形固定資産の取得による支出537百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動により使用した資金は739百万円(前期比163百万円使用減)となりました。

これは、リース債務の返済による支出521百万円及び配当金の支払額による支出217百万円があったこと等によるものであります

 

なお、当社グループの当連結会計年度末の流動比率は、前期末比25.7ポイント増加し316.8%となっており、その健全な財政状態及び安定的かつ継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出力による資金調達と、持続的成長に向けた効率的かつ計画的な投資の実行を両立させることで、当社グループの資本の財源及び資金の流動性を確保できるものと認識しております。

 

 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(減損会計における将来キャッシュ・フロー)

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の予算・計画等と整合するように修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。

回収可能価額は使用価値により測定しており、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位の資産グループにおいて、将来キャッシュ・フローを算定しております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、在宅医療関連事業において、ITを用いた測定記録装置の技術開発等に取り組んでおり、当連結会計年度における研究開発活動の総額は7百万円であります。