第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社の企業理念は「お客様第一主義」であり、ホームセンター事業を通して「住まいと暮らしに関するお客様の要望をすべて満たす」ことを経営の基本方針としております。また、この使命を果たし、お客様に喜ばれることが当社の安定的な成長を実現し、株主、取引先、従業員を含むすべてのステークホルダーに喜ばれる企業価値の向上に資すると確信しております。 

 

(2)目標とする経営指標

 当社は「B/Sを重視した経営」「株主重視の経営」をするために、自己資本比率を50%以上、総資本経常利益率(ROA)及び株主資本利益率(ROE)を共に10%以上とし、これらを維持しながら1株当たり当期純利益(EPS)を安定的に向上させていくことを目標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社はこれまで九州地区を中心とするリージョナルチェーンとして事業拡大を図ってまいりましたが、2023年10月に新規出店いたしました松原店(大阪府)を足掛かりに、今後は大都市圏を中心に本州へも出店エリアを拡大し、お客様の支持を広げていくことで更なる成長に繋げてまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

 小売業を取り巻く経営環境は、人口減少による市場規模の縮小、異業種も含めた販売競争の激化等、今後ますます厳しさを増し、消費者に支持される企業のみが生き残っていく時代になるものと予想されます。

 このような環境の中、当社の対処すべき課題は以下のとおりと考えております。

①お客様満足度の向上

 お客様のご要望に沿った品揃えの拡充で商品力を高め、従業員の商品知識向上のための研修会とDIY体験会を定期的かつ積極的に開催し、コンサルティング販売能力を向上させる。

②従業員満足度の向上

 接客力・販売管理能力等、お客様に喜んでいただくための能力を人事考課に反映し、継続的な年収の向上を実現すると同時に、従業員各人の年間休日数を増加させワークライフバランスの向上を図る。

③業務効率の改善

 店舗運営業務を軸に、業務遂行内容の見直しと更なるデジタル化を図り、業務効率を改善させることで①及び②の推進力を向上させる。

④優良新規物件の開発

 店舗開発においては今後の更なる成長に向け、大都市圏への出店を目指し、優良物件を厳選して準備を進める。

 これらの課題に取り組むことで業績を向上させ、各種経営指標の更なる向上を図ると共に、サステナビリティへの対応など、あらゆる社会問題の解決に向けた取り組みに注力することで地域社会に貢献し、企業価値を高めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、持続可能な社会の実現が企業の成長・発展に不可欠であると認識し、地域社会への貢献と共存を目指しながら、自然環境への負荷軽減、労働環境の改善に取り組んでいくことが企業に課せられた義務であると考えております。そして地域社会や企業の持続的な発展に向け、高い人権意識に基づく良識ある企業として行動し、各課題に積極的に取り組んでおります。なお、本文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、各部門が提起するサステナビリティ全般における課題について、取締役会・経営会議等において実現可能性や投資効果の分析を基に多面的に協議し、必要に応じて取締役会に諮った上で対策を実施していく体制を採っております。

 

(2)戦略

当社は、環境問題への配慮、人権の尊重などを重要課題として認識しております。

①気候変動などの地球環境問題への配慮

 将来的にCO2排出量実質ゼロに向けた各種施策に取り組んでまいります。

②人的資本に関する方針

人材の多様性は中長期的な企業価値の向上につながる重要な要素であると考えております。また、当社は接客を重視しており、従業員の質の向上なくしてお客様が本当に望むサービスの提供はできないと考えております。そのために高齢者雇用含め、老若男女人材の多様性を重視し、当社従業員であることに幸せや誇りを感じ、安心してより長く働けるよう、処遇・福利厚生の改善に積極的に取り組んでまいります。

 

(3)リスク管理

当社は、収益確保・人材確保といった継続的経営課題を企業リスクとして把握するのみならず、社会環境問題、世界情勢をはじめとする地政学的リスク、自然災害リスクを把握し、中長期的な政策の協議と実行を行っております。また、サステナビリティをめぐる課題を外部環境変化のリスクとして把握し、今後の出店・店舗運営について、各会議体で検討し対処しております。

 

(4)指標及び目標

当社は、以下の項目について目標を定め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 ①地球環境問題に対する指標

当社の2023年度年度CO2排出量は、2013年度比△57.9%となっております。CO2排出量実質ゼロの具体的な達成時期の目標は定めておりませんが、自助努力として以下の項目に取り組んだうえで、再生可能エネルギーへの切り替えやカーボンオフセットの活用とともに達成してまいります。

項目

実績

目標

全店LED照明への切り替え

全12店実施済み

より高性能タイプへの切り替え

太陽光パネルの設置

4店舗実施済み

設置可能店への全店設置(5年以内100%)

 

 ②人的資本に関する指標

当社は、全従業員における女性の占める割合が約6割に達している状況であり、女性幹部の登用と女性が働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。

指標

2024年6月期実績

2026年6月期目標

女性管理職比率

9.6%

25.0%

男性育児休業取得率

75.0%

80.0%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)出店に関する法的規制について

当社はホームセンターの多店舗展開を行っていますが、店舗の新規出店及び既存店の増床について、次のような法的規制を受けております。

売場面積1,000㎡を超える新規出店及び既存店の増床については、「大規模小売店舗立地法(2000年6月1日施行)」(以下「大店立地法」という。) による規制の対象となります。大店立地法は、都道府県、政令指定都市が主体となって、市町村の意思の反映、広範な住民の意思表示の機会を確保しつつ、駐車需要の充足、その他による周辺住民の利便性及び商業その他の業務の利便性の確保のために配慮すべき事項(交通渋滞、駐車・駐輪、交通安全その他)、廃棄物問題や騒音の発生その他による周辺住民の生活環境の悪化防止のために配慮すべき事項等の地域社会に対する環境問題を調整するためのものであります。そのため、当社は地域環境を考慮した店舗構造・運営方法を採用し、地域住民・自治体との調整を図りながら出店をしていく方針でありますが、地域住民・自治体との調整のため出店に要する時間の長期化や出店コストの増加等の影響を受ける可能性があります。

 また、「都市計画法」「中心市街地活性化法」「大規模小売店舗立地法」(以下「まちづくり三法」という。)のうち、「都市計画法」が2007年11月に改正施行されました。改正「都市計画法」の骨子は、売場面積10,000㎡以上の大規模小売店の出店を商業地域、近隣商業地域、準工業地域に限定することにより、郊外での大規模小売店の出店に制限が課せられることとなり、さらに今後各自治体が「まちづくり三法」を補完する条例等を施行した場合には、店舗売場面積の縮小や出店に要する時間の長期化など出店計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)気象要因について

当社はDIY用品(ホビー・木製品、建材、手工具、電動工具、金物、塗料、接着剤、園芸資材、薬剤肥料・用土、植物、エクステリア用品、石材)を中心に屋外での作業が伴う商品の販売ウェイトが高く、これらの商品は、降雨量の増加や低気温といった気象条件の悪化が来店客数や商品購入点数の減少につながり、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害について

当社は店舗設備の耐震強化や防災マニュアルの策定などにより、自然災害の発生に備えた対策を講じておりますが、想定を超える大規模な地震や台風などが発生した場合、店舗設備などの物理的な損害、停電、通信ネットワークの途絶、物流網の遮断等が生じ、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)固定資産の減損について

当社は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当社は大型店舗を多く出店しており、今後、店舗の収益性が悪化した場合や保有資産の市場価格が著しく下落した場合等に減損処理を行うことがあり、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報の管理について

当社はインターネット通販を行っていること等により、相当数の個人情報を保有しております。これらの個人情報につきましては、社内管理体制の整備や情報セキュリティシステムの構築などにより厳重に管理しておりますが、万が一、情報が外部へ流出した場合には、社会的信用の低下や損害賠償問題の発生など、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。

 

①経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小し、経済活動の正常化へ向けた動きが進んだものの、一方でエネルギー価格や原材料価格の高騰、円安の長期化による物価上昇が続き、個人消費は節約志向が高まるなど厳しい状況で推移しました。

このような環境の中、当社は2023年10月に12号店目となる松原店(大阪府)を新規出店いたしましたが、「お客様の声をもとにした28万品目の品揃え」や「楽しく見やすい売場」等が関西地区を中心に多くのマスメディアやSNSで紹介されていることにより認知度が高まり、広域から多くのお客様にご来店いただくなど、オープン後の売上は順調に推移しております。

一方、九州地区の既存店につきましては物価高による買い控えの影響を受けたことに加え、円安やコスト高を背景に廃番となる商品が増えている中、代替品の発掘に時間を要するケースも多く、一部の商品群では欠品による機会損失が発生するなど厳しい状況が続きました。

これらの結果、当事業年度における既存店の売上高は前期比99.2%となりましたが、松原店の新規出店により、全店ベースの来店客数は前期比107.3%、客単価は同103.1%となり、売上高は同110.6%の341億21百万円となりました。

利益につきましては、原材料価格の高止まりや円安の影響で仕入価格が上昇していることにより売上総利益率が前期比0.6ポイント低下の31.8%となったことに加え、松原店のオープンに伴う費用や人件費の増加等により販売費及び一般管理費が前期比117.8%と増加したことから、これらの結果、営業利益は同56.2%の8億69百万円、経常利益は同61.9%の10億92百万円、当期純利益は同65.8%の7億89百万円となりました。

 

②財政状態の状況

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ1億31百万円減少の261億92百万円となりました。これは主に松原店のオープンに伴い、売掛金が1億20百万円、商品が4億57百万円増加した一方、現金及び預金が2億59百万円、その他流動資産が4億38百万円減少したことによるものであります。

負債合計は、前事業年度末に比べ5億15百万円減少の83億27百万円となりました。これは主に長短借入金が9億20百万円、その他流動負債が2億17百万円、資産除去債務が3億3百万円増加した一方、買掛金が4億59百万円、未払金が12億95百万円、未払法人税等が2億68百万円減少したことによるものであります。

純資産合計は、前事業年度末に比べ3億84百万円増加の178億64百万円となりました。これは主に剰余金の配当が4億26百万円あった一方、当期純利益を7億89百万円計上したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2億59百万円減少の16億33百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、12億32百万円(前期は4億8百万円の取得)となりました。これは主に棚卸資産の増加額が4億49百万円、仕入債務の減少額が4億59百万円、法人税等の支払額が6億9百万円となったのに対し、税引前当期純利益が10億92百万円、減価償却費が8億60百万円となったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、19億42百万円(前期は43億41百万円の使用)となりました。これは主に松原店の出店に伴う設備投資等により有形固定資産の取得による支出が20億14百万円となったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、4億50百万円(前期は24億67百万円の取得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が6億79百万円、配当金の支払額が4億26百万円となったのに対し、短期借入金の純増額が16億円となったことによるものであります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。当社の採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の目標とする経営指標は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。当事業年度は自己資本比率68.2%、ROA4.2%、ROE4.5%となっており、新規出店等大型の設備投資を実施してもこれらの目標数値を達成できるよう財務体質及び収益力の強化に努めてまいります。

 

 

(2) 仕入及び販売の実績

 ①仕入実績

部門別

仕入高(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

DIY用品

12,891

54.1

102.7

家庭用品

7,628

32.0

115.5

カー・レジャー用品

3,291

13.8

110.1

合計

23,811

100.0

107.5

 

(注) 1.部門別の用品明細は次のとおりであります。

(1) DIY用品……………ホビー・木製品、建材、手工具、電動工具、金物、塗料、接着剤、園芸資材、薬剤肥料・用土、植物、エクステリア用品、石材

(2) 家庭用品………………家庭用品、日用品、インテリア用品、電気資材用品、収納用品、住宅設備用品、季節用品

(3) カー・レジャー用品…カー用品、アウトドア用品、ペット用品、文具

2.当社は単一セグメントであるため、商品区分別により記載しております。

 

 ②販売実績

部門別

売上高(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

DIY用品

18,970

55.6

106.0

家庭用品

10,507

30.8

117.5

カー・レジャー用品

4,644

13.6

115.3

合計

34,121

100.0

110.6

 

(注) 1.部門別の用品明細は次のとおりであります。

(1) DIY用品……………ホビー・木製品、建材、手工具、電動工具、金物、塗料、接着剤、園芸資材、薬剤肥料・用土、植物、エクステリア用品、石材

(2) 家庭用品………………家庭用品、日用品、インテリア用品、電気資材用品、収納用品、住宅設備用品、季節用品

(3) カー・レジャー用品…カー用品、アウトドア用品、ペット用品、文具

2.当社は単一セグメントであるため、商品区分別により記載しております。

 

 ③単位当たり売上高

項目

 

前期比(%)

売上高

(百万円)

34,121

110.6

売場面積(平均)

( ㎡ )

96,080

116.8

1㎡当たり売上高

(千円)

354

94.7

従業員数(平均)

( 人 )

1,289

106.6

1人当たり売上高

(千円)

26,471

103.7

 

(注) 1.従業員数には、地域限定正社員、嘱託社員及びパート・アルバイト(1日8時間換算)を含んでおります。

2.1㎡当たり売上高にはネット販売は含んでおりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。