第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、経営理念として『私たちは、関係する全ての人に信頼されるとともに、モノづくりに関わる人々へ商品・便利・安心の提供を通じて、社会に貢献します』を掲げております。その実現のために、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を築き、従業員一人一人のチャレンジ精神を原動力として、持続可能な社会の発展に今後も貢献し続けてまいります。

また、ブランドスローガンとして「あたらしい、を、素材から。」を定めております。あたらしいテクノロジーも、高いクオリティの「素材」があってこそ、と認識しております。優れた生産材が世界に今までになかった発想やイノベーションを生むと考え、産業の持続的発展に貢献してまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、以下の「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の経営課題に取り組むことにより、売上高および経常利益の中長期的な成長を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 原材料市況は、電気銅建値がトン当たり2024年3月末時点の137万円から2025年3月末には154万円に上昇しました。また、アルミニウム地金(日本経済新聞月別平均値)もトン当たり2024年3月末時点の40万円から2025年3月末には49万2千円に上昇しました。なお、ステンレス鋼板(鉄鋼新聞月別中心値)はトン当たり2024年3月末時点と同様に2025年3月末も60万円になりました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、次に掲げる事項を経営課題と認識し、2022年度を初年度とする前中期経営計画において、その解決に取り組んでまいりましたが、2025年5月に公表した新たな中期経営計画(前進「期待を上回る」STEP)においても、引き続きこれらの解決に取り組むこととしております。

 ◆ ビジネスの進化による事業成長

 ◆ 経営基盤の強化

 ◆ サステナビリティ経営の推進

 

 ① 重点戦略施策

  顧客満足度向上をベースにしたコア事業の深化・事業領域の拡大と、DXや組織体制強化を主とした経営基盤の強化により、持続的成長企業を目指します。

 

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 ◆ ビジネスの進化による事業成長

 

 イ.白銅ネットサービスの進化による顧客基盤の強化・拡大と利益率の向上

  白銅ネットサービスの取扱いアイテムの拡充や、新機能の追加・改善等により、更なる利便性向上を図ります。これによりお客様にとってのワンストップサービスを実現させ、顧客基盤の強化と拡充を図ることで、利益率の向上と共に非価格競争での優位性の確保を目指します。

 

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 ロ.加工機能・アイテム拡充による付加価値の向上・売上拡大

  自社工場の加工設備の拡大のみならず、加工会社とのアライアンス強化を通じて供給能力を拡充すると共に、仕入先の開拓による取扱いアイテムの拡充を積極的に行うことで、売上拡大を目指します。

 

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 ハ.工場・SCM改革による製造能力強化・効率改善

  仕入から配送までのサプライチェーンの高度化を図ると共に、製造現場における自動化推進とIoTの活用により生産効率を改善することで、“業界一の工場”を目指します。

 

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 ニ.半導体・自動車・航空宇宙領域の拡大

  政治的な外部環境要因が大きな影響を及ぼすこととなる半導体・自動車・航空宇宙の各領域においては、市況の早期把握や仕入先との連携強化等を踏まえた諸施策の実施により、業績の拡大を目指します。

 

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 ホ.海外事業の拡大

  2027年度までに海外向け売上高187億円を達成するために、2025年4月より海外営業本部を設置し、各拠点間での情報共有・意思決定の迅速化を図ります。また、ECサイトや切断加工事業の展開により付加価値および利益率の向上を目指します。

 

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◆ 経営基盤の強化

  ビジネスの進化を支える経営基盤として、人的資本強化による社員のレベルアップやモチベーションの向上、ガバナンスの効いた管理体制の強化、DX推進による業務効率化と業務改革に取り組んでまいります。また、2025年4月より、組織目標の明確化や管理体制の強化を目的とした組織体制の変更を実施しております。

 

 

◆ サステナビリティ経営の推進

  サステナビリティ基本方針のもと、これまでと同様に7つのマテリアリティに取り組み、2027年度までのKPIの達成を通じて、社会に貢献し続けるとともに、持続的な企業価値の向上を目指します。

 

 

 

 

 ② 前中期経営計画施策の振り返りと重点戦略の実施状況

  前中期経営計画期間(2022年度~2024年度)は、既存事業の収益力向上と新規事業・海外事業の育成に注力し、白銅ネットサービスの機能向上や海外M&Aによる北米進出など数多くの取り組みを実施しました。また、工場への太陽光パネル設置など、サステナビリティ経営を意識した取り組みも幅広く行ってまいりました。

 

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《ご参考》

◆ 新中期経営計画の位置づけ

  創業100周年となる2031年度の目指す将来像からバックキャスティングして、中期経営計画を策定しました。新中期経営計画は「HOP・STEP・JUMP」における「STEP」に位置するものであります。

 

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◆ 新中期経営計画の全体像

  想定される外部環境の変化や自社の持つ強み・成長機会を鑑みて、中期経営計画における重点戦略施策を設定しております。これら諸施策を遂行することで、2027年度の売上高1,041億円、経常利益60億円を目指すものであります。

 

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(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標などがある場合

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高および経常利益であります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ基本方針

 当社グループは、企業理念に掲げる経営理念の基にESGおよびSDGsなどを考慮したサステナビリティ経営の推進が必要不可欠であると認識し、以下に掲げる事項を意識して事業活動を行うことで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた貢献とを両立させてまいります。

 

ⅰ.ESG・SDGsなどを考慮したサステナビリティ経営についての理解を深め、事業を通じた環境や社会への貢献に取り組みます。

ⅱ.地球環境や自然への配慮と地球温暖化防止、循環型社会の形成に努めます。

ⅲ.従業員の健康増進を図るとともに、多様な人財の育成や採用および働き方などを実現します。

ⅳ.当社グループの健全性・効率性・透明性などの向上を図り、各種リスクを低減します。

ⅴ.当社グループの事業にかかわるステークホルダーとの関係強化に努めます。

ⅵ.誰もが安心して生活できる社会の実現に向けた取り組みを行います。

 

 また、加えて当社グループでは、人的資本に関わる方針として、以下の「教育・育成方針」ならびに「社内環境整備方針」を制定しております。

 なお、当社グループは、人的資本に関わる方針のほか、人権尊重に対する責任を示した「白銅グループ人権方針」を制定し、ホームページに掲載しております。

 

 「教育・育成方針」

 人こそが白銅グループの財産=人財である、と考えます。

 そのため、白銅グループ企業理念に沿って、つぎの教育を実施します。

 

ⅰ.新人から管理職まで部門共通の階層別研修

ⅱ.部門別・業務別の専門研修

ⅲ.自己研鑽できる機会・環境の提供

ⅳ.その他オーダーメイド型の教育および機会の提供

 

 「社内環境整備方針」

 当社グループは、企業理念に掲げる経営理念を基に、誇りと安心感をもって働ける社内環境整備の取り組みの指針として、社内環境整備方針を制定します。

 社内環境整備に取り組むために、3つの指針を定めます。

 

ⅰ.安全で健康的な職場環境

  事業活動のすべてにおいて人の安全と健康の確保を最優先します。

  そのために、職場における良好なコミュニケーションを確保し、従業員一人ひとりの心と身体の健康保持・増進に取り組みます。

  また、各種ハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、ジェンダーハラスメント等)については、健全な職場環境を整備するために、その防止に取り組みます。

 

ⅱ.多様な個性と能力を尊重し、自己実現できる組織風土の実現

  従業員一人ひとりがもつ多様なスキル・経験・価値観・属性など、「個性」と「能力」を互いに理解・尊重します。そして、失敗を恐れず、果敢に挑戦できる組織風土を実現します。

 

ⅲ.自己実現への支援と実行者への評価

  挑戦して成果を出した人に報います。

  処遇面における公正性、透明性を確保し、成果を出した従業員が、さらに挑戦できるように適切かつ公平な仕組みを提供していきます。

 

 サステナビリティの具体的な取り組みは、4つの構成要素(ガバナンス、リスク管理、戦略、指標及び目標)を踏まえて、以下のとおり開示します。

 

(2)ガバナンス

 サステナビリティ関連リスク及び機会に関する事項は、「ESG/SDGs経営委員会」から経営会議を通じて取締役会に、必要に応じて取締役会に直接報告する体制となっており、取締役会が監視を行っております。
 また、代表取締役社長が議長を務める経営会議がサステナビリティ関連リスク・機会に関する監督を行っております。

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(3)リスク管理

 ESG/SDGs経営委員会が、各本部・室、各子会社から報告のあったサステナビリティ関連リスクに関する事項の審議・評価を行っており、それらのサステナビリティ関連リスクに関する事項は、「ESG/SDGs経営委員会」から経営会議を通じて取締役会に、必要に応じて、取締役会に直接報告する体制となっており、取締役会が監視を行っております。

 またリスク管理委員会および教育委員会が、サステナビリティ関連リスクの低減施策を検討しております。

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(4)具体的な取り組み

  ①気候変動への対応(TCFD提言への取組)

   a.戦略

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   b.指標及び目標

 CO₂の排出削減目標の達成に向けて、省エネルギー活動や再生可能エネルギーの活用、FIT非化石証書の利用等に取り組んだ結果、2023年度および2024年度は、削減目標である「2030年度に2020年度比42%削減」を前倒しで達成いたしました。

 上記の結果を踏まえ、2020年度に自社が排出したCO₂に対して「2030年度までに90%削減」および「2050年度までにカーボンニュートラルの実現」という削減目標へ変更いたします。

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  ②人的資本

    a.戦略

<人的資本の戦略と主な取組内容>

テーマ

戦略と主な取組内容

従業員満足度向上

従業員の物心両面の幸福を追求し、従業員満足度を向上させることで従業員各自の生産性や顧客対応へのモチベーションを高め、社会に与える影響力と会社の業績向上の影響力を高めています。

 

(主な取組内容)

・業績連動型賞与の採用など、成果に応じた公平、公正な処遇の実現

・定期的な従業員満足度アンケートの活用によるエンゲージメント向上

・福利厚生制度の充実(親睦会費用、部活動費用の補助など)

・入社3年以内の新入社員へのフォローアップ面談の実施

 

ダイバーシティの促進

多様な人財を登用、活用することで組織の生産性や競争力を高めております。

また、互いの価値観や個性の違いを受け入れ、共に成長することで、多様な人財が創造性を発揮する組織を目指しています。

 

(主な取組内容)

・70歳までの定年後再雇用制度の導入

・外国人従業員への日本語教育の実施

・海外子会社における現地採用者の管理職への積極登用

・女性従業員の割合が高い職種からの管理職への積極登用

・法定を上回る短時間勤務制度の導入による子育て支援

 

安全で健康的な職場環境の整備

事業活動のすべてにおいて人の安全と健康の確保を最優先としております。従業員一人ひとりの心と身体の健康保持・増進、安全な作業現場の整備、各種ハラスメントの防止に取り組むなど、安全で健康的な職場環境の整備を推進しています。

 

(主な取組内容)

・二次健康診断の検診費用の負担

・45歳以上の社員とその配偶者に対する任意の健康診断の補助

・スポーツクラブ会費の補助金制度の導入

・ストレスチェックの実施による社員のメンタルヘルスケア

・定期的なハラスメント教育の実施

・社内だけではなく、外部機関を活用した通報制度の導入

 

社員教育の拡充

2020年7月に教育委員会を発足し、多様な人財の活用と育成のための教育制度の整備、拡充を図っています。また、果敢に挑戦し自己実現を目指す従業員には、自己実現への支援を積極的に行っています。

 

(主な取組内容)

・階層別、部門別のスキルマップの整備とそれに応じた研修制度の構築

・資格取得奨励制度の拡充

・自発的なキャリア形成、能力開発に対する教育費用の補助

・海外・国内語学研修制度の導入

 

 

b.指標及び目標

<人的資本の指標と目標>

テーマ

指標

2023年度

の実績

2024年度

の実績

2027年度の目標

従業員満足度向上

離職率(全労働者)

12.2%

7.9

6.0

年次有給休暇消化率

71.3%

64.3

90.0

男性従業員の育児休業取得率(全労働者)

85.7%

91.3

100.0

ダイバーシティの促進

管理職に占める女性従業員の割合 (注)1

14.5%

14.5

30.0

管理職に占める中途採用者の割合 (注)1

66.7%

63.8

-(注)2

管理職に占める外国人従業員の割合 (注)1

14.5%

11.6

20.0

安全で健康的な職場環境の整備

労働災害度数率 (注)3

0.9

6.0

0.0

ハラスメント発生事例件数

1件

1

0

社員教育の拡充

全従業員の1人当たり年間教育投資金額

87千円

124千円

150千円

    (注)1.連結会社を対象としております。その他の指標は、提出会社を対象としております。

       2.中途採用者の管理職比率は実績値が高いため、比率の維持を前提に今後の目標は定めておりません。

    3.度数率=労働災害による死傷者数÷延べ実労働時間数×1,000,000

③人権

a. 戦略

当社グループは、人権尊重に対する責任を示した「白銅グループ人権方針(以下「本方針」という。)」を2023年11月9日付で制定しております。この方針は企業活動の根幹であり、当社グループの企業理念を補完するものとして、当社グループ各社の全ての役員・従業員に適用しております。

本方針に基づき、当社グループは、全てのステークホルダーの人権を侵害しないことに加えて、企業活動に関係する全ての方々の人権侵害が見過ごされないことに最大限の配慮を行ってまいります。

また、当社グループは、人権に関する国際規範を支持・尊重し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、事業活動や取引上で発生する人権に対する負の影響への対応を通じ、人権尊重の責任を果たす努力をしてまいります。

そのため、外国人従業員比率の高い事業所での第三者機関による人権デュー・ディリジェンス調査や全従業員への人権サーベイを実施し、その結果、直接・間接問わず人権に対して負の影響への関与が明確となった場合は、救済・是正措置に取り組むとともに、その効果検証を継続的に行ってまいります。

なお、当社グループは、本方針に基づく一連の取り組みと対応について、透明性をもってホームページ等で定期的に報告・開示を行ってまいります。

 

<対応窓口>

内部通報窓口・外部通報窓口および相談窓口を設置しており、人権に関する通報や相談を受け付け、人権侵害を受けた方が救済を受けられるように誠実に対応します。

<ステークホルダーとの対話>

人権に関わる影響について、関連するステークホルダーとの対話と協議を通じて、適切な対応を行います。

<人権方針の周知/教育>

事業活動において本方針の実効性を高めるよう、役員・従業員に対する本方針の浸透、周知徹底、および人権に関する理解を深める教育を実施しております。

その他、各種ハラスメント教育を定期的に開催しております。

 

b. 指標及び目標

今後人権デュー・ディリジェンスに基づき、モニタリング指標や目標を検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

(1)当社のリスクマネジメント体制

 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスク管理委員会を設置しています。リスク管理委員会の構成は、ESG・SDGs推進室長を委員長とし、各部門を代表する管理者が委員を務めております。

リスク管理委員会は「リスク管理規程」に基づき、リスク管理体制の構築と運用にあたっており、より具体的には以下のサイクルを廻すことで、リスク管理体制の運用を行っております。

 

① リスクカタログの作成

 リスクの把握と対応の優先順位の決定

 リスク評価判定基準に基づくリスク値の算出

 

② リスクカタログの見直し

 定期見直し:毎年5月に定期的な見直しの実施

 随時見直し:内外の環境が大きく変化した場合の適宜見直し

 見直し方法:内外の環境を鑑みリスク評価判定基準に基づくリスク値の見直しおよび新たなリスクの認識

 

③ リスクカタログの運用

 作成時または見直し時にリスク値が一定の値を超えたリスクについては、リスク管理委員会で討議し対策を実行する。


 なお、当社は、リスクを「組織に物理的、経済的もしくは信用上の損失又は不利益を生じさせる全ての可能性」と捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクの影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付けております。

 また、取締役および従業員は、当社グループの存続を危うくする重大な危機発生の可能性を常に意識し、危機の回避、軽減および予防策、その他必要な措置を事前に講ずることとしております。

 

(2)事業等のリスク

当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があるリスクについて以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要度が低いと考えられるリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。

 

ア.重要なリスクおよびその発生可能性・影響度の評価

当社グループは、「経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク」を「重要なリスク」と定義しております。重要なリスクおよびその発生可能性・影響度の評価は、以下のとおりです。

 

区分

重要なリスク

事業横断的な
リスク

非鉄金属市況による影響

特定業界への売上高依存

原材料の供給に関する影響

人材の確保および育成

固定資産の減損の影響

設備の老朽化・劣化等による影響

事業再編・事業撤退等に伴う影響

企業買収・合併等に伴い発生する影響

海外事業活動

オペレーショナル
リスク

災害・事故・感染症等に関する影響

情報セキュリティに関する影響

訴訟その他法的手続きに関する影響

繰延税金資産の回収可能性

気候関連リスク

人権に関するリスク

 

 

(リスクマップ)

 

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イ.主要なリスク

重要なリスクのうち、発生可能性「高」または影響度「大」と評価した重要なリスクを主要なリスクとして、以下に記載しております。なお、⑭気候関連リスクについては、2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)具体的な取り組み ①気候変動への対応(TCFD提言にもとづく情報開示)をご参照ください。

① 非鉄金属市況による影響

当社グループの主要販売品目であるアルミニウム、伸銅等の非鉄金属の価格は、原材料市況によって変動しております。このため原材料市況が大きく変動した場合には、当社グループの業績に重要なプラスまたはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。連結営業利益に与えた原材料市況の変動による棚卸資産影響額は、前連結会計年度は差益1億5百万円でしたが、当連結会計年度は差益3億7千8百万円に増加いたしました。

また、当社グループの商品及び製品は、期末評価において期末付近の仕入実績に基づく品目別の再調達原価を使用して評価を行っております。このため原材料市況が大きく変動した場合には、会計上の見積りにおける期末評価差額または将来における実際の販売価格と会計上の見積りとの乖離により、業績に重要な影響を与える可能性があります。

影響度

発生可能性

対応策

a.非鉄金属市況の変動に伴う取扱い品目の価格変動は、品種品目により四半期毎または都度、販売価格へ転嫁させております。

b.当社在庫商品は、品目アイテム単位で過去の販売実績および販売予測を勘案して発注量を調整することで、在庫量の最適化を図っております。

c.期末の再調達原価に基づく評価以外に、在庫販売回転月数に応じ、長期滞留評価を行うことで業績に与える影響を低減しております。

 

 

② 特定業界への売上高依存

当社グループは、アルミニウムやステンレスの厚板を多方面の業界に販売しております。なかでも半導体製造装置業界およびFPD製造装置業界向けの売上高比率が高く、同業界は、いわゆる「シリコンサイクル」や「クリスタルサイクル」に大きく影響されるため、その周期によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当連結会計年度末時点では、中長期的にはIoTやDX、生成AI市場の拡大、データセンターの普及、電気自動車の推進などによる半導体需要の拡大が予想されているものの、短期的には調整局面が続くと考えております。

その他、工作機械業界は、輸出向けを中心に需要は依然として低迷しておりますが、航空機業界については、民間機需要が回復するとともに、防衛関連を中心に官需向けも好調に推移しております。

影響度

発生可能性

対応策

当社グループでは、次の事業展開により特定業界への売上高依存の回避を図っております。

a.環境汚染規制対応商品群であるECOシリーズの品揃えを拡充します。CO₂排出削減など環境に配慮したアイテム数の拡大、カドミレス・鉛レス真中等の需要に対応します。

b.航空宇宙規格材料の品揃えを拡充します。長期的な需要拡大が期待される産業であり、当社の特徴を活かして、伸長させる分野であると捉えております。

c.技術革新と成長の期待がある自動車領域に対して、組織を整え、必要な設備投資を行い、加工技術を習得したうえで、伸長させる分野であると捉えております。

d.お取寄せ品の品揃えを拡充します。従来取り扱いの少なかった金属材料以外の副資材等についてもメーカーや同業他社の扱い商品を白銅ネットサービスからお取り寄せできるようにすることで、これら資材等の需要に対応します。また、白銅ネットサービスの利用窓口を法人のみならず個人ユーザーにも拡大し、個人ユーザーの需要取り込みを行っております。

e.前連結会計年度に追加したWEBサイトから金属3Dプリンター造形品および図面加工品の即時見積り・注文を可能にする機能や、3DCADファイルのアップロードにより即時に自動で材料の大きさを計算する材料取りアシスト機能などの白銅ネットサービスの新機能の普及並びに更なる機能性向上に努めております。

f.加工方法の多様化を進めます。自動化設備の導入・拡大により需要増加に対応します。また、新設したファイバーレーザー加工機により在庫拡充したアルミニウム・ステンレスの薄板需要を取り込むほか、ウォータージェット切断機により難削の需要に対応します。

 

⑦ 事業再編・事業撤退等に伴う影響

当社グループは、事業再編の実施側または被実施側として事業の整理や資源の集中を行うことがありますが、人事制度の統合に伴う労働条件の変更による従業員のモチベーションの低下、不利益変更による訴訟、人件費の増大や、人事評価や労務管理の習慣等が異なることにより、制度運用の失敗等により従業員の不安を招く可能性があります。または、事業再編が当初期待した効果や収益を上げることができず事業撤退等が発生した結果、当社グループの事業および業績ならびに財政状況に影響を及ぼす可能性があります

影響度

発生可能性

対応策

a.事業再編を通して重複機能を削減し、配置人員の戦略分野・業務への再配置による人員・人件費の非効率の解消に取り組みます。

b.多様な能力・ノウハウ・経験を持つ人材交流、異なる組織風土や思考特性を持った組織を統合することで、強固かつ新たな競争優位要因の構築に努めます。

c.事業再編の実施後は、その効果を定量的・定性的に測定しております。また、撤退条件を設定しております。

d.定期的に法律事務所や会計事務所その他の専門家とコミュニケーションを取ることで、検討すべき法的リスク・経済社会環境の変化についての情報を得るとともに、必要な支援を受けております。

 

 

 

⑧ 企業買収・合併等に伴い発生する影響

当社グループは、企業買収および資本参加を含む投資または合併による事業の拡大(以降、投資等)に取り組んでおりますが、投資等の実行後にグループ全体に内在するリスクおよび機会を適時・的確に識別することができず当初想定した財務上の目標やシナジー効果を実現できない、偶発債務の発生や未認識の債務等が判明する、これらに伴いのれんの減損が発生する可能性があります。さらに、投資後のPMIが計画通り進まないことや、対象事業の戦略が当社グループの経営理念や経営戦略と将来に亘って整合しないことにより、当社グループの事業および業績ならびに財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

発生可能性

対応策

a.投資等により事業の拡大を企画する場合は、その投資等の可否に対し、法令順守等の基本事項および経済的基準・技術的基準・その他定性的基準を設けており、それらを単一もしくは複合的に検討して、機関決定を行うプロセスとしております。

b.投資等の実施後はPMI強化の一環として、その効果を定量的・定性的に測定しております。また、案件別に撤退条件を設定しております。

c.投資等の検討段階において法律事務所や会計事務所その他の専門家への相談や規制等の調査等に努めております。また投資等の実施後は定期的に各専門家とコミュニケーションを取ることで、検討すべき規制・環境変化についての情報を得るとともに、必要な支援を受けております。

d.投資等に係るリスク軽減のために保険の提供を受けることも検討してまいります。

 

⑨ 海外事業活動

当社グループは、北米市場およびアジア市場において海外事業を展開しており、今後も、その他海外への進出、拡大や現地の有力パートナーとの連携等に積極的に取り組んでまいります。

しかしながら、現地の税制・規制の制定や変更、政治・経済情勢・為替等の変動や提携先パートナーの財務状況の悪化・提携の解消や提携の維持が困難となる事由が発生し、期待された収益を上げることができない可能性があり、当社グループの事業および業績ならびに財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

発生可能性

対応策

a.海外事業活動により事業展開をする場合は検討段階において現地の法律事務所や会計事務所その他の専門家への相談や規制等の調査等に努めております。また投資等の実施後は定期的に各専門家とコミュニケーションを取ることで、検討すべき現地規制・環境変化についての情報を得るとともに、必要な支援を受けております。

b.投資等の対象先が販売先を兼ねる場合には、与信調査を定期的に行うことで損失等の防止を図っております。

 

⑩ 災害・事故・感染症等に関する影響

当社グループの各事業拠点、特に当社の各工場が、自然災害や大規模な事故または治療方法や対策が確立されていない新たな感染症の流行等により重大な被害を受けた場合、長期にわたる操業停止や大規模な修繕・設備改修等が発生することが想定されます。また、主要な販売先または仕入先がこれらの被害を受けた場合、当社の販売活動または製造活動に重要な影響を及ぼすことが想定されます。このためこれら災害・事故・感染症等が発生した場合、当社グループの事業および業績ならびに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

発生可能性

対応策

a.国内においては、事業や財務への影響の予防・軽減を目的として、工場の分散、耐震工事の実施、損失をカバーする包括的な損害保険の加入等により、自然災害等の発生時のリスク分散体制を構築し、事業の早期復旧に対応するためBCP計画の作成および定期的な計画見直しにより影響を最小限に抑える体制を構築しております。

b.海外拠点においては、種々の保険の加入等および、不慮の事象が発生した場合の、報告・行動等を定め、迅速な対応ができる体制を構築しております。

c.災害発生時の従業員の行動・対策については従業員に周知徹底を図るとともに、有事に備えた、安否確認訓練を定期的に実施しております。

d.感染症に対しては、政府等の発表を参考に外部の専門家と相談のうえ、感染源対策・感染経路対策・標準予防策等を取れる体制を構築しております。

 

 

⑪ 情報セキュリティに関する影響

当社グループの事業活動は、コンピュータシステムおよびコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを利用して行っております。通信ネットワークに生じる障害や、ネットワークまたはコンピュータシステム上のハードウェアもしくはソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動に支障が出る可能性があります。また、情報システムが適切に導入・更新されていないことによるシステム上の不具合、業務の非効率、生産性低下を招き、事業活動に支障が出る可能性があります。さらに、当社グループでは業務を遂行上、厳格な情報管理が求められておりますが、不測の事態により情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに、売上高が減少あるいは販管費が増加し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

影響度

発生可能性

対応策

a.2024年度に当社全事業所でJISQ27001を認証取得し、情報漏洩の防止強化、JISQ27001に準拠した社内ルールの整備・運用により、情報セキュリティ事故の発生を抑えております。

b.リスク管理委員会において、情報セキュリティに関する社内規程等の整備、不正アクセスを未然に防止するための対策、従業員に対する教育等を実施し、更にこれらの取組みを定期的に評価・見直すことにより、情報セキュリティマネジメントの継続的な改善に取り組んでおります。特に、効率的で安定した事業活動の遂行を担保するため、老朽化したシステムの更新を行っており、また、サイバー攻撃全体への対応として「情報セキュリティ対策チーム」を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築しました。

c.在宅勤務の制度化により、PC等の情報機器の持ち出しの機会が増えたことに伴い、情報機器の紛失や盗難の事故対策として、暗号化製品の導入やリモートロック・リモートワイプ機能の設定を行っております。

d.情報漏洩防止に関するルールの周知・徹底、理解度向上等の教育を継続的に行うことで、情報漏洩に対する従業員の意識の強化に努めております。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

① 売上高

 売上高は、前連結会計年度比16.0%増加し、664億1千万円となりました。主な増加要因は、商品単価が上昇したこと、ならびにメモリ需要などの低迷により本格的な回復には至っていないものの、生成AI関連ならびに中国向けの需要拡大により半導体製造装置業界向けの販売量が増加したほか、OA機器業界向けの販売量が増加したことによるものです。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、個人給与所得環境の改善から個人消費に持ち直しの動きが見られたことや、インバウンド需要の拡大などを背景に緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、円安の進行や長期化する地政学的リスクを背景とする原材料・エネルギー価格の高止まり、欧米を中心とした金融引き締め政策継続による景気後退懸念や米国の大規模な関税政策による影響など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループ業績に影響が大きい半導体製造装置業界については、生成AI向けおよび中国の半導体用設備投資需要の拡大を受けて一部回復の動きが見られ、スマートフォンやパソコンなどの需要減速に伴う半導体メーカーの在庫調整、生産調整にも底打ちの兆しが見られました。一方、EV需要の鈍化など、生成AI関連以外の需要回復の遅れもあり、市場全体の本格的な回復時期については、不透明感が増している状況となっております。

 その他、航空・宇宙業界については、民間機需要の回復、防衛関連を中心に官需向けも好調に推移している一方で、工作機械業界については世界的なインフレや高金利による景気減速の懸念などにより設備投資が先延ばしにされる傾向から、需要回復が遅延しております。

 このような状況のなか、当社グループは、品質・サービスの改善などにより全社一丸となった受注率向上への取り組みに注力したほか、アルミニウム・ステンレスの薄板在庫の拡充ならびに滋賀工場におけるファイバーレーザー加工機の導入による新規需要の取り込み、成長領域として捉えている航空・宇宙業界および自動車業界を中心に新規顧客の開拓、休眠顧客の再稼働に積極的に取り組んでまいりました。さらに図面加工品や環境に配慮したエコシリーズの拡販、24時間365日見積り・注文可能なWEBサイト「白銅ネットサービス」の取扱アイテム数を2024年3月末の84,900アイテムから2025年3月末には155,200アイテムへ拡充するなど利便性の更なる向上に努めました。

 また、専門人員を配置し、金属3Dプリンター造形品および図面加工品の即時見積り・注文機能、3DCADファイルのアップロードにより即時に自動で材料の大きさを計算する材料取りアシスト機能など、前連結会計年度に追加した「白銅ネットサービス」の新機能の普及に努めてまいりました。

 製造面においては2024年12月に九州地方で2拠点目となる福岡工場を新設し、九州地方での半導体関連需要の拡大を踏まえた体制強化を図ってまいりました。

 

 連結子会社の状況につきましては、株式会社AQRの売上高は半導体製造装置向けの販売量増加により前連結会計年度比で売上高が増加したほか、海外子会社である上海白銅精密材料有限公司、Hakudo(Thailand)Co., Ltd.、West Coast Aluminum & Stainless, LLCの売上高はいずれも前連結会計年度比で増加いたしました。

 

 以上、顧客満足度の向上および事業領域拡大等の施策を着実に実行いたしました結果、売上高は、前連結会計年度比で増加となりました。

 

② 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度比18.2%増加し、29億8千3百万円となりました。

 営業利益の増加要因は、売上高の増加に加えて、単位当たりの粗利益額の増加、原材料市況の影響による棚卸資産影響額差益の増加などです。なお、前連結会計年度比の棚卸資産影響額は1億5百万円の差益でしたが、当期末の棚卸資産影響額は、3億7千8百万円の差益となりました。

 棚卸資産影響額を除いた営業利益は、前連結会計年度比で7.8%増加し、26億4百万円となりました。

 

③ 経常利益

 経常利益は、営業利益の増加により前連結会計年度比12.9%増加し、32億1千4百万円となりました。

 

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比16.7%増加し、22億3千6百万円となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりとなります。

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

セグメント

売上高

営業利益

又は

営業損失(△)

経常利益

又は

経常損失(△)

親会社株主に帰属する

当期純利益

又は

親会社株主に帰属する

当期純損失(△)

日本

57,910百万円

3,129百万円

3,233百万円

2,275百万円

北米

5,099百万円

△285百万円

△184百万円

△179百万円

中国

1,753百万円

△13百万円

13百万円

16百万円

その他

1,647百万円

153百万円

152百万円

124百万円

 

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、447億4千5百万円と、対前連結会計年度末比で27億2千9百万円増加しました。

 流動資産は、350億2千8百万円と、対前連結会計年度末比で29億円増加しました。増加額内訳は、商品及び製品23億2百万円、電子記録債権6億5千9百万円、受取手形及び売掛金1億2千万円等です。減少額内訳は、現金及び預金2億2千6百万円等です。

 固定資産は、97億1千6百万円と、対前連結会計年度末比で1億7千1百万円減少しました。減少額内訳は、有形固定資産2億4千8百万円等です。

 

(負債)

 負債合計は、209億9千万円と、対前連結会計年度末比で14億5千5百万円増加しました。

 流動負債は、209億1千9百万円と、対前連結会計年度末比で14億9千9百万円増加しました。増加額内訳は、電子記録債務9億2百万円、買掛金5億4千8百万円、未払法人税等2億2千3百万円等です。減少額内訳は、流動負債その他2億9千7百万円等です。

 固定負債は、7千万円と、対前連結会計年度末比で微減となりました。

 

(純資産)

 純資産は、237億5千5百万円と、対前連結会計年度末比で12億7千4百万円増加しました。増加額内訳は、利益剰余金11億7千万円、為替換算調整勘定1億6百万円等です。

 自己資本比率は、前連結会計年度末の53.5%から53.1%となりました。

 

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ、2億2千6百万円減少し、54億7千3百万円となりました。その内訳は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、17億8千2百万円の資金の増加(前年同期は25億2千7百万円の資金の増加)となりました。

 増加額内訳は、税金等調整前当期純利益32億1千4百万円、仕入債務の増加13億7千4百万円、減価償却費11億5千3百万円等です。減少額内訳は、棚卸資産の増加21億9千8百万円、法人税等の支払額7億5千8百万円、売上債権の増加7億1千9百万円、その他の流動負債の減少3億1千6百万円、営業活動によるキャッシュ・フローその他1億5千3百万円等です。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、8億9千3百万円の資金の減少(前年同期は16億1千2百万円の資金の減少)となりました。

 減少額内訳は、有形固定資産の取得による支出6億7千8百万円、無形固定資産の取得による支出1億9千8百万円等です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、11億2千7百万円の資金の減少(前年同期は13億2千8百万円の資金の減少)となりました。

 減少額内訳は、配当金の支払10億6千4百万円等です。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

  ① 生産実績

 該当事項はありません。

  ② 商品仕入実績

 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

品目

日本

北米

中国

その他

合計

対前期増減率

(%)

アルミ(千円)

30,186,964

1,571,051

674,041

355,443

32,787,502

29.2%

伸銅(千円)

7,042,359

11,603

307,097

7,361,060

10.5%

ステンレス(千円)

5,548,999

2,574,540

16,951

185,498

8,325,989

16.9%

その他(千円)

2,358,978

329,008

452,922

11,214

3,152,124

67.7%

合計(千円)

45,137,303

4,474,600

1,155,519

859,254

51,626,676

25.8%

 

  ③ 受注実績

 該当事項はありません。

  ④ 販売実績

 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

品目

日本

北米

中国

その他

合計

対前期増減率

(%)

アルミ(千円)

37,318,973

1,960,687

937,166

598,070

40,814,897

19.2%

伸銅(千円)

8,747,058

62,425

692,841

9,502,325

12.7%

ステンレス(千円)

9,197,479

2,954,984

123,962

327,868

12,604,294

6.6%

その他(千円)

2,646,928

183,779

629,510

28,451

3,488,669

26.2%

合計(千円)

57,910,439

5,099,451

1,753,064

1,647,232

66,410,187

16.0%

(注)1. セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2. 総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先はありません。

   3. 外部顧客への売上高は自社(当社グループ)の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 売上高

 ダントツの品質、ダントツのスピード、ダントツのサービス、納得してご購入頂ける価格の実現を目指すことで顧客満足度の向上を図っております。当連結会計年度は半導体製造装置業界向けの販売量が増加したほか、OA機器業界向けの販売量が増加したことにより、売上高は前連結会計年度比で16.0%増加し、664億1千万円となりました。

② 売上原価および売上総利益

 売上高の増加に伴う仕入高の増加等により、売上原価は前連結会計年度比で16.4%増加し、558億3千7百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度比で14.1%増加し、105億7千3百万円となりました。

③ 販売費及び一般管理費および営業損益

半導体製造装置向けおよびOA機器業界向けの販売量が増加したことにより、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比で12.5%増加し、75億8千9百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度比で18.2%増加し、29億8千3百万円となりました。

④ 営業外損益、経常損益および親会社株主に帰属する当期純損益

 受取配当金等の営業外収益は、前連結会計年度比30.8%減少し2億5千7百万円となりました。不動産賃貸費用等の営業外費用は、前連結会計年度比44.8%減少し、2千6百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度比で12.9%増加し、32億1千4百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比で16.7%増加し、22億3千6百万円となりました。

⑤ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び・検討内容

 (日本)

 業績に影響が大きい半導体製造装置業界は、生成AI向けおよび中国の半導体用設備投資需要の拡大を受けて一部回復の動きが見られたものの、市場全体の本格的な回復時期については、不透明感が増している状況となっております。売上高は579億1千万円(対前期16.1%増)、営業利益は31億2千9百万円(対前期19.1%増)、セグメント資産は431億1千7百万円(対前期6.3%増)となりました。

 (北米)

 アメリカ合衆国での新規顧客開拓や新規事業の準備など、新たな海外事業の拡大にも積極的に取り組んでまいりました。売上高は50億9千9百万円(対前期11.2%増)、営業損失は2億8千5百万円(対前期8千万円増)、セグメント資産は28億1千1百万円(対前期16.6%増)となりました。

 (中国)

 品質向上と原価低減に努め、また代理店開拓や加工品拡販に注力した結果、売上高は17億5千3百万円(対前期28.8%増)、営業損失は1千3百万円(対前期2千6百万円改善)、セグメント資産は18億5千6百万円(対前期2.9%減)となりました。

 (その他)

 その他事業においても、業績向上に努め、売上高は16億4千7百万円(対前期17.2%増)、営業利益は1億5千3百万円(対前期8.6%増)、セグメント資産は10億5千万円(対前期31.1%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係わる情報

① キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況については、第一部 企業情報 第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)当期のキャッシュ・フローの概況をご参照ください。

② 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売および在庫のための商品購入ならびに商品の加工費用のほか、販売費及び一般管理費等であります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費、運賃、業務委託費等であります。

③ 財務政策

 当社グループは現在、運転資金については短期借入金により、設備資金については内部留保により調達することを基本としております。また、当社においては、取引銀行3行と貸出コミットメント契約を締結し、機動的な資金調達を行っております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際して、特に以下の項目が当社グループの財政状態および経営成績にとって重要であり、かつ経営判断および見積りに影響を及ぼすものと考えております。

① 債権の回収可能性

 当社グループの債権のうち、損失が合理的に予想される債権に対しては、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。貸倒引当金の見積りをより適切に行うため、取引先について、財政状況、与信状況などを勘案して個々について検証することとしております。

② 有価証券および投資有価証券の評価

 投資有価証券(「その他有価証券」)は、市場価格のない株式等以外のものと市場価格のない株式等に分類し、市場価格のない株式等以外のものは当連結会計年度末の市場価格に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)により評価しております。また、市場価格のない株式等は1株当たり純資産額と取得価額とを比較して1株当たり純資産額が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。

③ 在庫商品の評価

 当社グループの在庫商品は、総平均法に基づく原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用し、グルーピングした商品毎に当連結会計年度末の再調達原価と取得原価を比較して評価損を計上しております。

 なお、長期滞留の在庫商品に対しては販売可能性を判定して評価損を計上しております。

 また、当連結会計年度末において、在庫商品のうち残材について、帳簿価額の切下げに係る一定の販売回転期間を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項 (会計上の見積りの変更)」をご参照ください。

 

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループは、非鉄金属素材の販売を中核の事業としていることから、非鉄金属の市況の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。当連結会計年度末において、電気銅建値・アルミニウム地金は前連結会計年度末比で上昇しました。なお、ステンレス鋼板は前連結会計年度末と同水準でありました。

 また、当社の主要販売分野が半導体製造装置業界および液晶製造装置業界、工作機械業界等であることから、各業界の設備投資の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 景気の先行きについては、長期化する地政学的リスクを背景とする原材料・エネルギー価格の高止まりや、欧米を中心とした金融引き締め政策による景気後退もあり、先行き不透明な状況が続くと見込まれますが、差別化商品をはじめとする標準在庫品の品揃えを充実させるとともに、3Dプリンターによる金属製品の受託製造の技術力向上、24時間365日お見積り・ご注文可能な「白銅ネットサービス」の普及により、売上高の向上に努めてまいります。

5【重要な契約等】

 当社は、2025年5月14日開催の取締役会において、連結子会社であるWest Coast Aluminum & Stainless, LLCの持分を当社グループとして追加取得することを決議し、2025年6月12日付で同社の株式を取得しました。

 詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。