当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、創業よりブライダルジュエリーを販売する企業として、満足いただける商品とサービスを通じて社会に貢献し、株主、投資者、お客様をはじめ関係者の皆様方から信頼される企業を目指しておりました。
現在は、持株会社体制となり、事業の多角化を進めるため、積極的に新規事業に取り組み、M&Aも含めて新しい会社をグループ化し、様々な子会社の運営・管理を行っております。
各子会社は、ブライダルジュエリーの製造・販売、美術品の販売、アートオークションの運営、加工冷凍肉・加工冷蔵肉の販売、魚介類製品販売、エステティックサロンの運営・化粧品及び健康食品等の製造・販売、ホテル・結婚式場の運営、リゾート開発事業、クレジット事業、ゴルフ用品の製造・販売など、より広範囲な事業展開を実施しています。持株会社体制のもとで、様々なビジネス展開を進めることで事業の拡大を進め、美しいものや新しいアイデアの商品・サービスを提供することで社会に貢献できる企業グループを目指します。昨今の急激なライフスタイルの変化の中で、お客様の多様なニーズに応えられるよう、魅力ある商品やサービスの開発、提案により、社会に奉仕するとともに、上場企業としての責任を認識しつつ、安定的成長による企業価値の向上に努めていきます。また、常に革新的な企業を目指し、今までにない新しい文化の創造を図ってまいります。
(2)経営戦略等
当社は、以下の戦略により、持続的成長による株主利益及び企業価値の最大化を目指します。
① 当社グループは、従来、ブライダルジュエリー事業を主力事業として、婚約指輪・結婚指輪の販売に集中・特化することで成長を果たしてきました。今後も当社グループのブランド(銀座ダイヤモンドシライシ、エクセルコダイヤモンド)の更なる浸透と価値の向上をはかるために集客、商品、接客品質の向上に努めることで、ブライダルジュエリー市場でのシェア拡大を目指します。また、成功企業パートナー連合として香港食品事業への進出を果たし、今後も新しい分野へのアプローチを進め、ブライダルジュエリー事業と同レベルもしくはそれ以上の売上や利益が確保できる体制の実現を目指し、複数事業化による安定した経営及びグループ間での相乗効果が発揮できる企業体制の構築を進めてまいります。当社グループは、持株会社体制のもとで、各事業の責任体制の明確化を図り、事業間のシナジー効果の最大化、機動的な組織再編、戦略的な事業提携、コーポレートガバナンスの強化等、グループ各社が事業環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築し、更なる事業の成長及び企業価値の最大化を目指していきます。
② 店舗政策については、採算ベースを意識した店作りを意図して、優良物件情報の収集を行い、独自の出店基準により、高い収益が見込める店舗展開を海外含めグローバルな視点で行っていきます。既存店舗においては、店舗の収益性を重視し、不採算店舗の運営体制については厳格な基準を設けて、移転・退店・統合も速やかに進め、効率の良い店舗ネットワークを構築していきます。現在、ジュエリー事業においては、都市部一等地に基幹店を開設し、顧客基盤の拡大を図っております。また、海外においては香港、台湾をはじめ今後は諸外国への出店を検討しております。
③ 当社グループは、現在の顧客層を拡大させ、より広範囲なお客様への訴求が可能な商品・サービスを提供できる体制作りにも取り組んでいます。より独自性と高付加価値を兼ね備えた商品の開発に注力するとともに、商品を通じたブランド認知の拡大と、サービスを通じた信頼関係の構築を同時に推進し、当社ブランドの競争優位性を一層強化してまいります。
(3)経営環境
昨今、国内の婚姻組数が年々減少傾向にあり、少子化・晩婚化の影響が引き続きブライダル業界全体に及んでおります。また、世界的な紛争が長期化する事で仕入れ面への影響も大きく販売価格の改定が必須となっております。今後は市場環境の変化に対しても、柔軟な対応と顧客満足度の向上に注力し、収益性の改善につなげてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 集客については、広告媒体や手法が時間の経過によって、効果の低下などの変化がおこる可能性があります。現在は、従来、集客の中心に置いていたブライダル情報誌、提携先からの紹介以外に、TVCM、インターネットによる集客やSNSなど新しいメディアでの集客にも取り組んでいますが、全ての集客方法のパフォーマンスを冷静に俯瞰し、バランスの良い、広告スタイルを常に考えてまいります。費用対効果を見据えた運営を心がけ、経費配分を効率的に行うことで確実性の高い集客戦略を進め、全体的な集客増を実現することを目指しています。
② 不採算事業の処理については、適時実施しておりますが、今後、市場環境の変化等により新たな不採算事業が発生することも考えられます。引き続き、期限や指標を明確化し、速やかな経営判断により、不確実な出店計画や店舗継続を防止することで、採算効率を重視した事業計画に立脚した店舗出店及び新規事業計画を実現いたします。
③ ブライダルジュエリーブランドを展開する企業にとっては商品開発が重要であり、また、そのブランド力向上にとって重要な要素であります。優れた社内デザイナーによる商品開発により、今までにない新しい商品の開発を進めることで、より幅広い顧客層へのアプローチを実現いたします。
④ かつて、商品の値引販売により、利益の低下を生むという課題がありましたが、現在は、商品の魅力向上や販売部門への教育・指導と意識向上により、過度な値引を極力削減するとともに、お客様からのヒアリング強化による適切な商品提案を心がけ、顧客満足度の向上による販売単価の上昇に努めています。
⑤ 当社グループが始めたセミオーダーによるブライダルジュエリー専門店での販売というビジネスモデルは、非常に効果的な仕組みであったため、開業時より発展・成長してきました。しかしながら、現在、多くの企業がこのビジネスモデルによる営業をしています。また、市場は飽和状態にあり、新規性という点では薄れています。当社グループとしては、今後もブライダルジュエリーをより魅力的なものにしていくための施策を実施していくとともに、ブライダル以外のジュエリーの開発も進め、海外も含めた、より多くのお客様にアピールできる体制作りを進めています。
⑥ アート事業においては、顧客の需要や投資的観点に応えうる、信頼性と芸術性を兼ね備えた作品の安定的な確保が重要であります。当社は、著名作家の作品や将来性のある新進作家の作品に至るまで、多様なニーズに対応可能な作品ラインナップの拡充に努めております。また、美術品販売においては、作品そのものの価値に加え、それを適切に顧客へ訴求し、販売に結び付ける営業・販売体制の強化が、収益力の維持・向上において課題となります。専門的な美術品知識と高いコミュニケーション能力を兼ね備えた営業人材育成を重要な施策として位置付けており、アートマーケットの最新動向を踏まえた研修体制の整備及び実務経験を通じた営業スキルの向上に努めております。
⑦ オークション事業においては、美術品市場の中で著名作家による高額かつ希少性の高い作品を継続的に取り扱うことが、事業の競争優位性に直結いたします。当社は、国内外の画廊、法人・個人コレクター、作家エステート等とのリレーションシップを一層強化し、信頼性の高い供給ルートの拡充と作品取得力の向上に努めてまいります。
⑧ 食品事業においては、主に香港において、加工冷凍肉・加工冷蔵肉、魚介類製品の販売を行っており、原材料はその多くを香港国外から輸入をしており、国際市況、為替レート、輸入規制、輸送コストさらには疫病や自然災害などの外的要因によって価格や供給状況が大きく変動します。その為、複数仕入先の確保、多国籍調達の比率調整、調達条件の長期固定化などを通じて、調達リスクの分散とコスト安定化を図ってまいります。また、現地の需要動向に即した在庫管理と、適切な販売価格政策を両立させ経営の安定化を図ってまいります。
⑨ ヘルス&ビューティー事業においては、社員数増減に業績が左右される側面があります。新規採用の促進と職場環境の改善や仕事に対するロイヤリティの向上などの施策を実施し、離職者の低減化を図り、人員減を抑えてまいります。また施術による売上に加え、新規商品として化粧品や健康食品を開発し、そのような商品の物販売上を中心として営業を伸ばすことで利益率を向上し、経営の安定化を図ってまいります。
⑩ リゾート開発事業においては、観光資源やインフラ、地域規制等を総合的に勘案し、中長期的に高い資産価値を有する開発適地を的確に選定し、安定的に取得することが事業の根幹を成すものであります。あわせて、リゾート物件の購入層が国内にとどまらず、国外の富裕層や投資家へと拡大している現状を踏まえ、開発初期段階から販売戦略を一体的に構築する必要がございます。当社では、開発候補地の選定の強化と並行して、海外富裕層・投資家向けの情報発信、国際的販売ネットワークの拡充等を通じて、取得から販売に至る一連のプロセスにおける最適化と高度化を推進しております。
⑪ 当社グループは、既存事業に加え、新規分野にも積極的な事業展開を推進するため、持株会社体制により運営しています。新規事業を育成、成長させることで、当社グループの中長期的な企業価値の拡大を目指していきます。
⑫ 当社グループは、適時開示体制及び内部管理体制の強化を最重要課題の一つとして位置付けており、より強固な企業統治の構築を目指します。
⑬ 財務面では、事業拡大に伴って総資産の規模が増大するなか、資産の運用にあたっては、効率性及び生産性の向上を図っていきます。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、株主利益及び企業価値の最大化という観点から事業規模の拡大と収益力の向上に取り組んでおります。収益力の指標としては営業利益率を重視しており、売上原価率を低く抑えながら売上増をはかり、営業利益率20%の早期実現を目指します。また、株主重視の観点から1株当たり当期純利益(EPS)と自己資本当期純利益率(ROE)の向上を意識した経営を行っていきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は経営の決定機関として取締役会を定期的に開催し、サステナビリティについての提言、議論を進めております。サステナビリティには、経済発展、社会開発、環境保護という3つの柱があるものと考えておりますが、当社はこの中でより具体的に大きく4つのテーマとして環境問題、ダイバーシティ、地方創生、海外展開を取り上げており、この内容は当社のホームページでSDGsへの取り組みとして公表しております。
内容については、今後も社会や社内の動向により変更可能としており、その場合は毎月定期的に開催される取締役会で内容について議論され、決定される機動的な仕組みとなっております。
(2)戦略
当社が公表しているSDGsへの取り組みはサステナビリティをさらに深堀して具体的な目標を表したものだと考えております。SDGsでは目標として17項目が挙げられており、当社ではそれを考慮した経営を進めています。
現在は国内の小売業が中心の収益体制ですが、様々な業態、様々な地域(海外も含む)での事業を進めております。現在は17項目の中で当社に関連があり、手掛けることのできる分野や内容について取り組んでおります。
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する具体的な取り組みとして、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、女性社員の職務範囲の拡充や各ポジションへの配置、処遇改善を実施しております。女性役員の登用も積極的に進めており、今期においては社内取締役2名と社外取締役2名の計4名の女性役員を選任し女性役員比率は23%となりました。当社では、多様性を経営の重要な柱として位置づけており、特に女性役員がその中心的な役割を担っています。豊富な経験と柔軟な発想を活かし、女性ならではの視点で経営戦略の立案や組織変革をリードしています。
また、2024年4月に産休、育休復帰後の女性を応援する取り組みとして、小学校入学前まで利用できた育児時短勤務制度と看護休暇(有給)を小学校3年生卒業時まで拡充し、2024年5月からは時短勤務制度を小学校6年生卒業時まで拡充いたしました。
今後は、グループとして海外人材の雇用が増える事が予想されるため、外国人が安心して働ける環境整備も積極的に進めてまいります。
(3)リスク管理
取り組む内容はいくつかの分野に分かれておりますので、それぞれの担当部署が業務分掌規程に基づいて実施いたします。新規分野や大きなテーマのものについては取締役会および監査役会が指導、管理、監視する体制によりリスクを管理することとしています。
(4)指標及び目標
①環境問題
当社は小売業のため大きな意味での環境問題を自社のみで解決することは困難な部分もありますが、エネルギー問題への取り組みとして自社でできることを実施しております。
全国で約70店舗展開しているジュエリー店舗においては、10年以上前より、多量の電力を消費し、高温となるハロゲンライトの使用を取りやめています。ハロゲンライトは物販店舗では従来はよく使われていた照明でしたが、高温となるため、現在では主流となったLED照明器具を早い時期に積極的に取り入れて、温暖化の防止、電力の削減、店内の照明器具の交換頻度を減らすことでの環境への配慮を実現しています。新店舗では100%、従来店舗および本社に置いても照明設備の改修により100%のLED化および新型の省エネタイプの器具の導入を進めております。店舗運営では、資源の削減に取り組んでおり、以前より包装紙を廃止しています。過剰包装による資源の無駄遣いを防止すると同時に包装しなくても魅力あるパッケージデザインを採用することで、資源の無駄遣いの防止とデザインセンスの向上を両立させており、今後も同傾向の展開を進めて行く予定です。
2022年グループ化した軽井沢のホテルでは、軽井沢エリアのホテルでは初めて電気自動車の充電設備を設置し、二酸化炭素ガス排出量の削減についての試みを始めています。
②ダイバーシティ
当社は働く人材の多様化にも早くから取り組んでいます。グループ全体として小売業やサービス業のウェイトが高いため、女性の働きやすい環境の整備は業績に与える影響が大きく経営課題として重要な要素になっています。女性が長期において安心できる環境づくりを心掛けており、育児休業取得率は100%に近く、育児休業後の職場復帰についても多様なメニューを用意しており、小さなお子さんがいても無理なく勤務ができるように短時間労働制度などを用意して長期で勤務ができる職場作りに取り組んでおります。また、高齢者の採用も実施しており、規程上65歳が定年ですが、既存社員の継続雇用以外に65歳前後の人材の採用も進めて重要な業務を担当してもらい、年齢ではなく実際の能力重視の雇用体制で運営することとしています。海外店舗や特定のグループ企業では海外の人材中心で運営しており、性別、年齢、国籍に関係のない人材活用を進めています。
③海外展開
当社は海外事業への投資及びM&A等を積極的に進めております。ダイバーシティの項目で言及したように当社は国籍に関係ない人材活用を進めており、今後も様々な国でのビジネス展開を進める予定としております。今後はジュエリー・アート・オークション事業以外の分野でも様々なビジネス展開が進められ、多様な人材の採用と能力の開発が実施される予定です。
④人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する指標及び目標
上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針の指標、目標及び実績は、以下の通りです。
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指標 |
目標 |
当期実績 |
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① |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
1.ジュエリー・アート・オークション事業
(ブライダルジュエリーの製造・販売等)
① 業界の状況、業界を取り巻く環境について(少子化、晩婚化など)
当社グループの主力商品は、婚約指輪及び結婚指輪のブライダルジュエリーです。少子化、晩婚化の進行にともない、中長期的には市場の縮小が予想されます。実際に婚姻件数は1972年のピーク時の約110万組から2024年には約48万組に減少しました。ブライダルジュエリー市場は縮小傾向にあるという予測もあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。将来的には、ブライダルジュエリー需要のある海外への進出、ブライダル以外の顧客にアプローチできる商材、サービスの開発を検討しています。
② 販売単価、客単価の推移について
民間調査会社によれば、消費者のダイヤモンドエンゲージリングの購入単価は下落傾向にあります。一方で、地金(プラチナ等)の価格は原材料の需給のバランスと為替レートの変動による影響があり、更なる値上げの可能性があります。
当社グループの主力商品であるブライダルジュエリーの販売単価については、一生に一度の記念品でもあり、低価格だけではない品質やサービスを重視する傾向も依然として存在しています。当社グループはブランドの差別化と、高い付加価値のある商品づくりを目指し、販売単価を原材料価格にあわせて調整していますが、想定以上の円安が進んだ場合や、競合他社の増加、販売チャネルの多様化により低価格競争を強いられた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、高品質な商材を導入すると同時に、新製品の開発により価格以外の魅力で顧客に訴求できる体制を進めてまいります。
③ ブライダルジュエリーに特化した販売戦略について
ブライダルジュエリーのリーディングカンパニーとして当社独自のビジネスモデルによる成長の余地は十分にあると考えています。市場そのものの安定性、当社グループの強みである高品質のダイヤモンドを直接仕入れることによるコスト・リーダーシップ、他社を圧倒する強力なブランド戦略、お客様のニーズを常に把握し商品へ反映する確立された仕組みと豊富な経験とノウハウ、専門知識の豊富な人材を擁することなどにより、今後も短・中期的に、ブライダルジュエリー市場に特化することに潜在するリスクは低いと考えています。
しかし、ブライダルジュエリーの販売が当社グループの売上高の大半を占めているため、ブライダルジュエリー市場の状況変化によっては、業績に影響を受ける可能性がありますので、ブライダル以外の新商品の開発や新規分野への取り組みを進めることでリスクの低減化に努めてまいります。
④ 仕入方法及び購買スタッフの育成について
当社グループでは、2024年より仕入・製造を専門に行うNEW ART貴金属総合研究所を立ち上げ、購買担当者の育成を行っておりますが、万一複数の購買担当者が同時に退職するような場合には、当社グループの購買活動が影響を受け、商品競争力の低下やコスト増加を招き、売上や利益を減少させ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 海外情勢について
ブライダルジュエリーの主要仕入先の連結子会社Israel Shiraishi Ltd.は、イスラエルに所在し、イスラエルのダイヤモンド取引所においてダイヤモンド・ルース等の買付を行っておりました。同取引所は、昨今、近隣諸国で勃発した戦争の際にも閉鎖されることはありませんでしたが、中東情勢の悪化に伴い、仕入れが減少しております。現在はダイヤモンド取引の中心となったインド等からダイヤモンドを調達する比率を上げており、柔軟な仕入政策で高品質なダイヤモンドを揃える環境を整えております。今後も海外情勢の変化に伴い、一時的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑥ ダイヤモンド・ルース(裸石)の価格変動、国際相場について
ダイヤモンド・ルースの仕入価格は、世界のダイヤモンド市場における国際的流通価格の変動や、地金と同様に為替相場の変動に影響を受けます。近年は経済成長著しい新興国の需要も増加しておりますが、婚約指輪に使用する比較的小粒な種類のダイヤモンドは、今後も相対的に安定した環境の中で仕入・販売ができるものと考えています。しかしながら、現在の世界的な情勢により、イスラエル及びロシア産の仕入は困難であり、新しいマーケットでの仕入れと価格の安定、国際相場での価格の見極めが必要になります。今後も仕入価格が変動する可能性があり、値上げの要因となる可能性があります。
⑦ 地金の価格変動について
当社グループは、プラチナや金などの地金を原料として仕入れていますが、同地金は国際情勢により価格が大幅に上昇することがあります。現在のロシア、ウクライナ及び中東情勢により希少金属の世界的な供給量が減少し価格の高騰が懸念され、急激な価格変動があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 為替相場の変動による業績への影響について
当社グループは、海外からダイヤモンド・ルースを仕入れる取引等、多くの外貨建て取引が発生しますので、為替変動の影響を受けます。当社グループでは、「デリバティブ取引管理規程」を定め、投機目的等の不必要な取引を排除しつつ、先物為替予約等のデリバティブ取引により、適切にリスクヘッジしうる体制を整えておりますが、現在の大幅な円安は海外仕入にとっては大きな影響があり、値上の要因となる可能性があります。
⑨ 出店戦略について
当社グループは、国内主要都市への出店については採算重視で検討を進めています。取り扱う商品の価格帯、ブランドイメージを維持する必要性から、出店計画地域の中でもメイン・ストリートのいわゆる一等地を考えていますが、このような場所では、環境の変化や家賃の高騰などにより採算ラインを確保できなくなり、その程度によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。地域内における店舗の移転なども視野に入れ、賃料情報にも注視した戦略出店を進め、リスク回避に努めると同時に、採算ラインを重視した店舗管理、店舗出店、退店プランを実現できる体制を構築しています。
⑩ 災害について
当社グループは、店舗、本社事務所などが継続的かつ安定的に運営できるように、機械、設備などの適切なメンテナンスに注力していますが、このような当社グループのシステムや販売拠点などは地震や火災などにより損害を受ける可能性があり、その程度によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 情報セキュリティについて
当社グループは、個人情報を含む重要情報の取扱いに関する規程の周知や社員教育の徹底、ネットワークセキュリティの構築を図っていますが、万一、外部からの不正アクセスによる個人情報などの重要データの漏洩、ホームページ上のコンテンツの改ざん、コンピューターウィルス感染による重要データの消失などが発生した場合、業務運営に支障をきたし、企業イメージの悪化、何らかの損害賠償の請求、訴訟その他の責任追及などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑫ 商品の保管について
当社グループの取り扱う商品については、高価かつ持ち運び容易な商品が多いため、防犯対策には十分配慮していますが、窃盗・強盗などの犯罪にあうリスクは高く、多額の損失を被ることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。リスクを最小限に低減するために監視カメラの導入や、警備会社との連携によるリスクの低減化に努めてまいります。
(美術品の販売)
① 美術品の盗難について
当社グループの取扱う美術品には、高額なものもあり、防犯対策には十分配慮していますが、窃盗・強盗などの犯罪にあうリスクが存在し、多額の損失を被ることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。リスクを最小限に低減するために、保管倉庫や展示スペースには、監視カメラ、機械警備システムを導入し、セキュリティの強化を図り、リスクの低減化に努めています。
② 美術品の破損等について
美術品は国内のみではなく海外でも取扱いがなされるため、運送時の破損にさらされるリスクが存在し、損害の程度によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク回避のために、運送時・保管時を問わず、保険付保を必ず行い、美術品の取り扱いに習熟した専門業者による運送管理を行っています。
③ 為替相場の変動について
当社グループの取扱う美術品は、仕入、販売ともに海外マーケットでの取引も多いため、為替変動リスクが存在します。これらの為替の変動リスクは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(オークションの企画・運営)
① 出品作品の確保について
出品作品については、主に出品募集の広告や営業活動による一般個人顧客及びギャラリー等からの出品によるものですが、オークション市場全体の流通量の減少、競合先の出現動向、及び顧客の信頼・マインド等の変化によって出品作品が十分に確保できない場合、業績に影響を与える可能性があります。
② 美術品の査定について
オークションに出品されるすべての作品に対し、エスティメイト(落札予想価格帯)を構成するため、美術品の鑑定が適正に行える社内体制を整えております。しかし、当社が設定したエスティメイトが市場価額と大きく乖離し、オークションで落札されないケースが連続して発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.食品事業
(1)原材料価格の変動について
当社グループが取り扱う畜産物・水産物等の原材料は、世界的な需給バランス、国際市況、為替レート(主に米ドル)、輸入規制、気候変動、疫病(BSE、鳥インフルエンザ等)、漁獲規制等の影響を受けやすい特性があります。これらの要因により仕入価格が上昇した場合、販売価格への転嫁が難しい局面では業績に影響を与える可能性があります。
(2)品質・安全管理について
食品を取り扱う業態であることから、製造・加工・流通過程における異物混入、温度管理不備、細菌等による食中毒事故など、品質・安全面における問題が発生した場合、回収・対応コストの発生に加え、ブランドイメージの毀損や顧客からの信頼低下により、業績及び将来の事業展開に影響を与える可能性があります。
(3)法規制及び行政対応について
香港では、食品安全条例(Food Safety Ordinance)などの法令が食品販売業に適用されております。これらの法令に違反した場合、罰金・営業停止・刑事責任等が課される可能性があります。また、行政当局による検査や表示指導、制度改正への対応に係るコスト負担も、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.ヘルス&ビューティー事業
(1)法的規制について
① 「特定商取引に関する法律」との関係
当社グループの販売するエステティックサービスや商品は、「特定商取引に関する法律」等の規制を受けており、コンプライアンスが当社グループの大きな経営課題であります。今後、関連する法令の改正又は新たな法令が制定された場合は、その対応に相当な費用や労力の投入を要するケースも想定され、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
② 「消費者契約法」との関係
当社グループは、「消費者契約法」について同法施行以前よりマニュアル等を作成し、社員教育を行い、従業員に同法の理解を進めています。しかしながら、万一、同法に違反するような行為があった場合には、行政機関による指導又は営業停止命令の対象となり、社会的信用が低下し経営に影響を及ぼす可能性があります。
③ 「不当景品類及び不当表示防止法」との関係
当社グループは、反響の大きい有効な集客方法である広告について、不実の内容や誇大な表現を排除し、不当景品類及び不当表示防止法に違反しないよう十分に留意して行っています。しかしながら、仮に当社グループの広告が不当表示と判断された場合、公正取引委員会による排除命令、広告又は業務に対する停止命令等の処分が課せられる可能性があり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 「個人情報の保護に関する法律」との関係
当社グループはカウンセラーによる「お客様カルテ」の作成により、お客様管理を行い、お客様に適した施術を継続的に実施するため、必要な個人情報を取り扱っており、個人情報取扱事業者として一定の義務を負うこととなっています。個人情報の管理については、個人情報保護に関する基本方針の策定、規程の整備、情報システムセキュリティの強化、従業員に対する教育を実施して適切な管理を行っています。しかしながら、万一、情報の流出、情報の不正使用が発生した場合、その内容により、莫大な賠償が発生すると同時に社会的な信用の失墜による営業活動に支障をきたし、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)人材の確保について
当社グループは、全国各地において、様々な採用媒体、採用手法により、新卒、中途の採用を積極的に行って人材確保に努めています。しかしながら、社内の人員構成は20歳代前半の女性が中心となっており、ベテラン人材が少ないことと離職率が高い業界であることで、今後、必要な人材の確保が出来ない事態が発生した場合、顧客の予約を捌けない状態が発生し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)信販会社との契約について
当社グループは、エステティックサービス契約時におけるお客様の代金決済手段として、現金の他にショッピングクレジットやクレジットカードを導入しています。今後、信販会社、カード会社との契約が解約され、代金決済方法の選択肢が減少した場合、お客様との契約に支障をきたすことにより、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)前受金について
エステティック業界ではサービスの特性上、顧客は何回かの施術を受けることが多いのですが、多くのお客様には数回分のコース契約代金を一括前払いでお支払いいただいています。代金について会計処理上は「契約負債」で計上致します。その後、お客様が来店し、実際に施術を受けた内容(役務提供)に応じて売上に計上することとしています。当社グループでは、前受金を運営資金及び店舗拡大資金として活用しています。しかしながら、今後、法律の変更などで顧客資産としての分別管理等が規定され、資金としての活用が制限された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.リゾート開発事業
(1)開発適地の取得及び用途選定に関するリスク
リゾート開発に適した用地の取得は、地域の観光資源、アクセス性、周辺インフラ、規制対応等、多様な要素を総合的に判断する必要があり、用地の選定・取得には一定の時間を要します。また、開発候補地において地権者との交渉が難航した場合等により事業計画の見直しを余儀なくされた場合には、予定していた開発が困難になる可能性があり、事業の進捗や投資回収計画に影響を及ぼすリスクがあります。
(2)販売活動に関するリスク
当社が取り扱うリゾート不動産の主要顧客は、高額所得者や富裕層・国内外のお客様であり、需要は景気動向、為替レートなどの国際市況等の影響を受けやすい傾向があります。特に、海外顧客を対象とする販売においては、様々な不確実性の高い要因が売上動向に影響を及ぼす可能性があります。
5.その他事業
(クレジット事業)
① 割賦売掛金について
割賦売掛金につきましては、景気の動向、個人破産申立の増加、その他の予期せぬ理由等により、債権回収のリスクが顕在化する可能性があります。
② 割賦販売法
「その他事業」に含まれる「クレジット事業」は、割賦販売法が適用され、各種の業務規制を受けております。当社グループはその事業の継続のため、同法に基づき、関東経済産業局に「個別信用購入あっせん業者」として業者登録を行っており、同法を遵守した業務運営を行う必要があります。
6.海外展開
当社グループは、中長期的な事業規模の拡大のため、既存事業の海外展開を積極的に推進しています。特に既存事業を推進する予定のアジアは新興国であるため、国際政治に係るリスク、為替変動や貿易関係等の経済に係るリスク、文化・慣習の違い等から起因する労務・社会に係るリスクなど、当社グループの想定を超える未知のリスクが存在します。これらのリスクが当社グループの想定をはるかに越えて顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
7.新規事業
当社グループは、中長期的な事業規模の拡大のため、新規事業の育成に積極的に取り組んでおります。しかしながら、新規事業においては、不確実要因が多く、事業の立ち上げに時間を要する場合や、想定通りに進まず途中で撤退等した場合、また法令の改正、規制の見直し等が行われた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は前連結会計年度の経営課題であったブライダルジュエリー事業の利益改善を中間連結会計期間までに実行したことにより大幅な利益の改善をいたしました。また、成功企業パートナー連合の第一号として香港の食品会社「New Art Wah Full Group Limited(旧商号:Wah Full Group Limited)」をグループ会社化したことによりNEW ARTグループ第二の事業体としてグループ全体の売上・利益の拡大を図りました。結果として当連結会計年度は創業以来過去最高の売上高と利益を更新いたしました。
当連結会計年度におけるグループの業績は、売上高276億44百万円(前期比31.0%増)、営業利益38億90百万円(前期比35.8%増)、経常利益35億80百万円(前期比22.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益19億84百万円(前期比82.8%増)となりました。
グループ売上高は前連結会計年度比で31.0%増収となり要因として基幹事業であるブライダルジュエリー事業の堅実な業績と子会社化した食品事業の売上を連結した事が挙げられます。また、営業利益に関しては前連結会計年度比で35.8%増益となり、要因としてブライダルジュエリー事業において中間連結会計期間までに為替変動、物価高等を踏まえた適正価格への見直しと抜本的な仕入れの改善を実行した事が挙げられます。利益の改善数値は2024年10月度以降に反映いたしましたが結果として過去最高の営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を更新いたしました。
当社は、「みんなの夢の企業グループ NEW ARTはアートの持てるすべての力であなたを美と健康と幸せに導きます」という企業理念のもとに、2025年3月期は「創業30周年記念感謝特別株式無償割当て」として2025年3月31日を基準日とし、同日最終の株主名簿に記載または記録された株主様の所有する普通株式1株につき、普通株式0.1株の割合にて自己株式を無償割当ていたしました。また、2025年3月期の期末配当は1株につき10円の普通配当をいたします。なお、2026年3月期は中間配当として1株につき35円の普通配当、期末配当として1株につき45円の普通配当を予定しております。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(注)各セグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高または振替高を調整前の金額で記載しています。
①ジュエリー・アート・オークション事業
当連結会計年度におけるジュエリー・アート・オークション事業の売上高は211億14百万円(前期比9.2%増)、セグメント利益は47億94百万円(前期比22.7%増)となりました。
ジュエリー事業においては、為替変動、物価高等を踏まえた適正価格への見直しを中間連結会計期間までに完了させたことで、2024年10月度以降の利益が改善され当連結会計年度の利益は大幅な改善がみられました。メインブランドである銀座ダイヤモンドシライシは創業30周年として名匠・行定勲監督が手掛けた新作ブランドムービー「This is all」を製作いたしました。8年間に亘るTVCMやWEB広告によるブランディングが実を結び、一般認知度は50%を超え、とりわけブライダル世代(20~30代)においては認知度60%を獲得いたしました。また、エクセルコダイヤモンドはブランドアンバサダーにモデルや俳優として活躍する後藤久美子氏を迎え認知度の向上を図り、TVCMやWEB広告の展開をはじめました。今後エクセルコダイヤモンドは銀座ダイヤモンドシライシと差別化したブランディングの確立をする事で新たな集客が増える事を見込んでおります。
オークション事業に関しては本社オフィスを品川区五反田から有名ギャラリーや画廊などが集まる中央区銀座へ移転いたしました。アート業界のネットワークを拡げ、オークションへの出品作品を募る事を目的としており、定期的な国内オークションと海外オークションを開催いたしました。また、24時間いつでも入札できるオンラインオークションを開設し、新しい売上の拡大を図りました。
②食品事業
当連結会計年度における食品事業の売上高は47億35百万円(前期はなし)、セグメント利益は91百万円(前期はなし)となりました。
食品事業において、当連結会計年度の香港は中国の不動産バブル崩壊が重なったことで、景気は低調であり香港人の生活スタイルが変わりコストパフォーマンスを重視した消費思考にシフトした傾向がありました。食品卸業界の競合が激化する中、当社はマーケットシェアの維持・拡大を第一目標として営業を強化いたしました。結果として他社は大幅に売上を減少させたものの、当社の売上は比較的堅調に推移いたしました。しかしながら、主力商品の牛肉を筆頭に利益を圧縮せざるを得なかったため、当連結会計年度の利益は想定より減少いたしました。今後は、仕入れコスト削減や新商品の開発を通じて競争力を高め、売上高を維持しつつ、利益を確保することが重要でありNEW ARTグループ第二の事業体として香港ブランドの優勢性をいかした戦略を推し進めてまいります。
③ヘルス&ビューティ-事業
当連結会計年度におけるヘルス&ビューティー事業の売上高は14億44百万円(前期比5.3%増)、セグメント損失は3億15百万円(前期はセグメント損失5億20百万円)となりました。
ヘルス&ビューティー事業においては、売上高は前期比微増となりましたが広告費等の見直しにより損失は前期比2億5百万円の改善がみられました。課題であった人材不足に関しては、新しく人事担当者を招聘したことで新卒・中途採用を進め改善を図りました。また、ブライダルジュエリー同様現場で実績のあるエステティシャンを経営に参画させ、直接経営課題に向き合い対処いたしました。物価高等を踏まえた施術単価の見直しも実行し収益の改善を図り、今後は健康をキーワードとした新たな事業展開も検討しております。
④リゾート開発事業
当連結会計年度におけるリゾート開発事業の売上高は2億76百万円(前期比5.8%減)、セグメント損失は50百万円(前期はセグメント利益3百万円)となりました。
リゾート開発事業においては旧軽井沢エリアにおける高級レジデンス事業『K Forest』に関して諸般の事情により建築計画に遅れが生じ新たな販売開始は2025年9月を予定しております。『K Forest』は発展著しい軽井沢駅前エリアと、華やかな歴史に彩られた旧軽井沢エリアを結ぶ『軽井沢本通り』に世界的建築家隈研吾氏が手掛ける高級レジデンスで1戸当たりの平均価格は10億円台、販売総戸数は9戸、販売総額は97億円程度を想定しております。
⑤その他事業
当連結会計年度におけるその他事業の売上高は1億23百万円(前年同期比9.3%減)、セグメント損失は53百万円(前期同期はセグメント損失1億2百万円)となりました。
スポーツ事業においては、ゴルフシャフトメーカー「CRAZY」にて既存商品に加え、若い女性やシニア層など幅広い客層にも訴求できる新商品の開発を行い、量販店及び既存取引先への卸し販売を行いました。また、新たな事業としてベルト事業を立ち上げ売上の柱となるよう商品開発をいたしました。
私たちNEW ARTグループは、主力のブライダルジュエリー事業はもちろん、各事業の更なる発展に向けて株主の皆さまと情報を共有しつつ着実に歩んでまいります。今後の展開に引き続きご期待ください。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前連結会計年度末に比べ、2億88百万円減少し、13億53百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、17億59百万円(前年同期比1億49百万円減)となりました。これは主に、棚卸資産の増減額が15億8百万円並びに法人税等の支払額が13億66百万円あった一方で、税金等調整前当期純利益が35億23百万円、減価償却費が5億15百万円、減損損失が3億31百万円、のれん償却額が1億42百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、4億55百万円(前年同期比9億87百万円減)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入10億36百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出5億67百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出7億46百万円、敷金及び保証金の差入による支出3億77百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、15億81百万円(前年同期比97百万円増)となりました。これは主に、短期借入金の純増減12億94百万円並びに長期借入れによる収入が14億52百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が18億57百万円、配当金の支払額が15億32百万円、自己株式の取得による支出が5億26百万円あったことによるものであります。
③ 販売の実績
当社グループのセグメント別売上は、下記のとおりであります。
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セグメント区分 |
販売・サービスの名称など |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (千円) |
前年同期比 (%) |
構成比 (%) |
|
ジュエリー・アート・ オークション事業 |
ブライダルジュエリーの製造・販売、ブライダル関連サービス、美術品の販売等・アートオークションの運営等 |
21,112,652 |
9.2 |
76.4 |
|
食品事業 |
加工冷凍肉・加工冷蔵肉の販売、魚介類製品の販売 |
4,735,116 |
- |
17.1 |
|
ヘルス&ビューティー 事業 |
エステティックサロンの運営、化粧品及び健康食品等の製造・販売 |
1,397,496 |
5.0 |
5.1 |
|
リゾート開発事業 |
ホテル・結婚式場の運営、リゾート開発事業 |
276,571 |
△5.8 |
1.0 |
|
その他事業 |
クレジット事業、ゴルフ用品の製造・販売、 関連スポーツ用品の開発・製造 |
122,391 |
△9.9 |
0.4 |
|
合 計 |
27,644,229 |
31.0 |
100.0 |
|
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・財政状態の分析
(資産の部)
流動資産は、前連結会計年度末比55億5百万円増加(前連結会計年度末比45.7%増)し、175億48百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が11億43百万円、商品及び製品が15億79百万円、販売用不動産が 14億78百万円並びに仕掛販売用不動産が13億80百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末比1億68百万円減少(前連結会計年度末比1.7%減)し、97億79百万円となりまし た。これは主に、のれんが8億87百万円、敷金及び保証金が4億60百万円並びに繰延税金資産が3億32百万円増加した一方で、土地が18億54百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は前連結会計年度末比53億36百万円増加(同24.3%増)し、273億28百万円となりました。
(負債の部)
流動負債は、前連結会計年度末比29億16百万円増加(前連結会計年度末比30.7%増)し、124億21百万円となりました。これは主に、短期借入金が19億67百万円、支払手形及び買掛金が6億48百万円、契約負債が2億64百万円並びに未払法人税等が5億28百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が6億75百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末比6億15百万円増加(同17.0%増)し、42億35百万円となりました。これは主に、長期借入金が5億38百万円並びにリース債務が2億8百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末比35億31百万円増加(同26.9%増)し、166億56百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、前連結会計年度末比18億5百万円増加(前連結会計年度末比20.4%増)し、106億72百万円となりました。これは主に、資本金の増加6億83百万円、資本剰余金の増加6億83百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が19億84百万円、非支配株主持分の増加5億32百万円があった一方で、剰余金の配当が15億36百万円並びに自己株式の取得5億26百万円があったことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は36.4%(前連結会計年度末は39.4%)となりました。
・経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前期と比べ65億44百万円増加し、276億44百万円(前期比31.0%増)となりました。ジュエリー・アート・オークション事業の業績は好調に推移し売上高は前期を上回ることができました。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、ジュエリー・アート・オークション事業が76.4%、食品事業が17.1%、ヘルス&ビューティー事業が5.1%、リゾート開発事業が1.0%、その他事業が0.4%となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前期と比べ30億99百万円増加し、167億82百万円(前期比22.6%増)となりました。また、売上総利益率は、前期に比べ4.1ポイント減少し、60.7%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、主に給与及び広告宣伝費が増加し、前期と比べ20億73百万円増加し、128億92百万円(前期比19.2%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前期と比べ10億25百万円増加し、38億90百万円(前期比35.8%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前期と比べ1億37百万円減少し、43百万円(前期比76.1%減)となりました。当連結会計年度における営業外費用は、前期と比べ2億23百万円増加し、3億53百万円(前期比171.3%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前期と比べ6億65百万円増加し、35億80百万円(前期比22.8%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益3億46百万円等により3億53百万円(前期比-)となりました。
当連結会計年度における特別損失は、減損損失3億31百万円等により4億9百万円(前期比8.5%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比べ8億98百万円増加し、19億84百万円(前期比82.8%増)となりました。
(1株当たり当期純利益)
当連結会計年度における1株当たり当期純利益(EPS)は、125.38円となり、前期の70.67円と比べ54.71円増加しました。株主重視の観点から、引き続き当該指標の向上に注力していきます。
(自己資本当期純利益率)
当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は、21.3%となり、前期と比べ9.2ポイント増加しました。株主重視の観点から、引き続き当該指標の向上に注力していきます。
・2025年3月期の達成・進捗状況
2025年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりの結果となりました。
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|
2025年3月期(計画) |
2025年3月期(実績) |
計画比 |
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売上高 |
27,000百万円 |
27,644百万円 |
644百万円 ( 2.4%増) |
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営業利益 |
4,800百万円 |
3,890百万円 |
△909百万円 ( △19.0%減) |
|
経常利益 |
4,800百万円 |
3,580百万円 |
△1,219万円 ( △25.4%減) |
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親会社株主に帰属する 当期純利益 |
2,800百万円 |
1,984百万円 |
△815百万円 ( △29.1%減) |
2025年3月期は、New Art Wah Full Group Limited(旧商号:Wah Full Group Limited)株式取得により新たに食品事業の収益が加わったほか、主力であるジュエリー・アート・オークション事業において価格改定を実施した結果、連結売上高は計画を上回る水準となりました。 一方で、既存のヘルス&ビューティー事業では一定の収益性の改善が見られたものの、海外のジュエリー・アート・オークション事業において収益性が悪化したことから、全体としては収益性の向上には至りませんでした。その結果、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比では改善したものの、業績予想に対しては未達となりました。
・次期の見通し
ジュエリー・アート・オークション事業については、創業から30年かけて築きあげた当社ジュエリーブランドを真のブランドに昇格させるべく引き続きブランディングの強化と人材育成に力を入れてまいります。2025年6月28日には東京都中央区銀座に「銀座ダイヤモンドシライシ並木通り店」を開設し当社の基幹店である「銀座ダイヤモンドシライシ銀座本店」との2店舗体制で売上・利益の拡大を見込んでおります。また、エクセルコダイヤモンドは高級ブランドに昇格する為に継続したブランディングの強化と新たな商品開発を行い、現在獲得できていない客層を取り込むことで更なる売上・利益の拡大が見込まれております。
台湾事業においては2025年4月15日に海外拠点最大級の「銀座ダイヤモンドシライシ高雄統一夢時代店」「エクセルコダイヤモンド高雄統一夢時代店」を開設し、ブランドアンバサダーに台湾プロ野球統一ライオンズ所属で昨年のプレミア12や2月に開催されたWBC予選で台湾代表のキャプテンをつとめた陳傑憲選手を迎えたことで台湾全体のブランディングにも寄与し今後も順調な売上の拡大を見込んでおります。
食品事業については、香港域外(深圳等)の消費行動が落ち着くとともに、インバウンド人口の増加で香港内需が緩やかに拡大し、個人消費がさらに悪化する要因はないと予想しております。2026年3月期の戦略として和牛の新部位のテスト販売や付加価値の高い自社加工品の販売など新商品の販売を強化する事でマーケットシェアの維持拡大を図ります。また、ショールームを開設し自社商品の展示及び試食会などを行い香港大手量販店などに対して和牛のプロモーションを提案してまいります。また、日本産食材の取扱拡充に加え、中国市場においてもニュージーランド産の食肉も検討しており、台湾や日本国内での流通も視野に入れております。その他仕入れコストの削減と中国大陸への販路開拓を進めており『香港のNew Art Wah Full社』から『アジアのNew Art Wah Full社』、更には『世界のNew Art Wah Full社』へと飛躍することを目指しています。
ヘルス&ビューティー事業については、2025年4月1日に施術単価を大幅に見直すと共に広告費の削減を行い事業単体での収益の改善を図っております。また、2025年新卒社員は30名入社し育成する事で収益の改善が見込まれております。
リゾート開発事業については、高級レジデンス事業『K Forest』の販売開始を2025年9月に控えております。『KForest』は発展著しい軽井沢駅前エリアと、華やかな歴史に彩られた旧軽井沢エリアを結ぶ『軽井沢本通り』に世界的建築家隈研吾氏が手掛けた高級レジデンスで1戸当たりの平均価格は10億円台、販売総戸数は9戸、販売総額は97億円程度となり業績への反映は2028年3月期を予定しております。他にも保有する中軽井沢北部にある隈研吾氏が設計した『野鳥の森山荘』(予定販売価格約1,600百万円)の販売及び軽井沢ニューアートミュージアムを含む隣接した開発土地(敷地面積9,625㎡)は3年~5年後にホテルコンドミニアムとして売り出す計画も検討しており更に収益に貢献できるようすすめております。
その他事業のスポーツ事業においては、これまでゴルフクラブのシャフトという限られた分野をメインに活動してきましたが、2026年3月期からはスポーツ全体という幅広い分野をカバーする事業として進めてまいります。第一弾として様々なスポーツ競技で使用されているベルトの市場調査と商品開発を進めており実現する事で収益の改善が見込まれます。
・当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
・セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としています。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は96億14百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は13億53百万円となりました。これらのいわゆる手元流動性残高につきましては、当社の財政状態及び金融環境に応じ変動しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)金銭消費貸借契約
当社は、当連結会計年度末日時点において財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しております。
提出日時点の契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
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契約日 |
2024年6月26日 |
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借入先 |
株式会社八十二銀行、株式会社群馬銀行 |
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借入総額 |
1,200,000千円 |
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期末残高 |
1,200,000千円 |
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弁済期限 |
2027年12月31日 |
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担保 |
当社連結子会社の所有不動産 関連当事者の所有不動産 |
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財務制限条項 |
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借関係)」に記載のとおりであります。 |
(2)株式取得による連結子会社化
当社は、2024年1月10日開催の取締役会決議に基づき、2024年4月19日にNew Art Wah Full Limited(旧商号:Wah Full Group Limited)の株式譲渡契約を締結しました。同社の発行済み株式のうち、30.8%を2024年4月30日に取得し、39.2%を2024年7月31日に取得し、連結子会社化しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりです。
該当事項はありません。