第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針及び経営戦略

 当社は、創業以来Linuxをはじめとするオープンソース・ソフトウェアに関連する技術力で価値創造しつつ、顧客に対して高品質かつ高機能の製商品及びサービスを提供してまいりました。特にネットワーク用途の小型コンピューターを得意としIT市場に供給しておりますが、近年は急速に成長しているIoT市場に特化した製品を開発しラインナップに加え、注力しております。他社に先駆けてIoTゲートウェイ製品及びサービスを提供し、通信事業者、クラウド事業者、システムインテグレータ、大手メーカー、センサー・デバイスメーカーなどとエコシステムを構築して、多くの販売実績を積み重ねることによりIoT市場における競争優位性を確保し、パートナー企業との協業によりさまざまな業種の企業へ販売しております。

 当社は、「日本をリードする技術者たちに最先端商品を提供する会社をつくろう」という会社創業の精神を「TECHNOLOGY to serve you.」というコンセプトキーワードに込め、今後とも、この蓄積されたオープンソース・ソフトウェアに関連した技術を核とし、お客様の新しいニーズに誠実に応えてまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経常損益の黒字転換を第一の目標にしております。第一の目標の達成後、目標とする経営指標の内容・具体的水準等を策定したいと考えております。

 

(3)経営環境

 「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (1)経営成績の状況」をご参照願います。なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「2事業等のリスク (11)新型コロナウイルス感染症の影響」をご参照願います。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、早期の経常損益の黒字化を実現し成長を図るためには、IoT事業に経営資源を集中する方針を継続し、IoT市場に向けた取り組みを強化していくこと、さらには時勢に応じた顧客ニーズを実現できる商品の提供が重要と考えております。

 そこで、引き続き以下の課題に取り組んでまいります。

① 急速に拡大するIoT市場への対応

 IoT市場は、社会に画期的な変革をもたらすと予想され、全産業分野にわたる企業や公共部門が事業化に向けて実証実験を試みてきました。すでに、電力、流通、ビル、通信などの重要な社会インフラの分野で商用サービスが本格的にスタートしはじめており、今後、市場の飛躍的な成長が期待されています。当社のIoTゲートウェイ製品については、引き続き、パートナー企業がさまざまな業種の企業に対して提案するシステムやサービスへの採用が進んでいます。また、物流、電力事業者、システムインテグレータなどの企業での実証やソリューション開発が進んでおり、販売やサービスの開始が見込まれております。当事業年度は、都市IoT、社会インフラ、農業分野などを中心にいただいていた引き合いが、本格的に採用されてまいりました。

 このような中で当社は、幅広い分野に取り組むパートナー企業との連携を今後も強化し、また商用化を進めているユーザーなど市場からの要求に応えるため、蓄積してきたノウハウを活かした製品の開発と投入を継続して行ってまいります。

② サービス収益の強化

 当社のIoT事業の売上高はIoTゲートウェイなどのハードウェアの販売が主体となっておりますが、

IoT市場はソフトウェアやサービスの分野でより高い成長が見込まれております。IoTの商用化にともない、IoTの運用に必要な継続的サービスに対する顧客ニーズに応えるため、当社はハードウェアと同時にサービスも本格的に強化すべく、開発投資を行ってまいります。

③ 時勢に応じた商品・サービスの提供

 当社は、2020年4月、従来培ってきたマイクロサーバーの技術とパートナー企業の持つVPN(仮想専用回線)の技術を活かし「EasyBlocks Remote Office(イージーブロックス リモートオフィス)」を開発・発表しました。この製品により、テレワークへの移行に苦慮しているユーザーは、短期間でテレワーク環境を構築することができます。本製品には長期運用をサポートするサブスクリプションが附帯しており、ハードウェア収益だけでなくサービス収益の強化も見込むことができます。

 また、2016年よりIoTの重要な要素技術の一つと位置付け、研究を進めてきた分散型台帳技術(いわゆるブロックチェーン)についても、当社の収益化のため事業推進を検討いたします。当社は、これまで培った技術力をいかんなく発揮し、時勢に応じた製品を開発することによって収益を確保することに加え、その技術力で社会に貢献してまいります。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避、発生した場合の対応に努める所存であり、リスク管理体制の整備については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)オープンソース・ソフトウェア

 当社の取り扱う製商品の大きな特徴の一つは、オープンソース・ソフトウェアに関連していることです。しかしながら、オープンソース・ソフトウェアが市場のニーズに今後も適切に対応し、評価を獲得し続ける保証はありません。よって、当社が成長を継続できるかどうかは、オープンソース・ソフトウェアの利用頻度や供給状況、マーケットにおける普及といった不確かな諸要因に影響を受ける可能性があります。

 オープンソース技術の開発は世界中に散らばる独立系のエンジニアが参加するオープンソース・コミュニティが主要な役割を担っています。当社自身ではそれらの開発をコントロールしていません。オープンソース・コミュニティの開発・研究者が時宜に応じて開発・改良を続けるとの保証はありません。また、情報収集のために、常にオープンソース・コミュニティとの間で良好な関係を維持することが可能であるとは限りません。

 当社は、重要なコミュニティにメンバーとして参画し、情報収集するとともにその活動を支えるなどしておりますが、コミュニティによる努力が継続して成功しなければ、オープンソース・ソフトウェアの認知度を維持、または拡大できる保証はありません。また、コミュニティとの関係も永続的に良好である保証はありません。

(2)IoT市場

 当社は、急速な成長が見込まれているIoT市場に経営資源を集中し、投資する施策をとっております。しかしながら、IoT市場の成長を正確に予測することは困難であり、当社の見込みどおりの時期や規模、スピードで成長する保証はありません。また、標準技術が確立されていない部分も多く、当社が開発した製品や採用した技術が今後標準的なものとならない可能性があります。さらに多くの大手企業がIoT市場への参入を表明しており、当社はこれら企業とのアライアンスも積極的に進めておりますが、 当社が期待する市場シェアを確保できる保証はありません。そのため、期待した収益が上げられず、当社の業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)製品特性

 コンピューター製品及びその応用システムの市場は、急激な技術革新、頻繁な新製品の導入によって特徴付けられます。競合他社による新たな技術を基礎とする製品の投入や、新たな業界標準が生まれた場合には、当社の製品は急速に陳腐化する可能性があります。当社の今後の成長は、既存製品の改良、新製品の投入により、顧客の要求を充足し、市場からの評価を獲得できるかどうかにかかっています。

 新製品開発や製品の改良は、長期の開発・試験期間を必要とし、技術力ある人員の確保が必要となります。さらに、急速に成長する市場における新製品の開発は、多額の研究開発費と開発人員の投入が必要となります。よって、コスト面での負担が大きくなる可能性があります。また、開発した新製品が市場の評価を得られない可能性があります。

 さらにオープンソース・ソフトウェアは、インターネットから無料でダウンロード、または少額で購入し、ほとんど規制なく変更し、転売することができるので、市場参入障壁は低いと考えられます。従って、新規参入者または既存の競争相手が急速に市場シェアを獲得し、当社の売上が減少する可能性があります。

(4)競争

 当社は、自社製品コンピューターの製造販売、コンピューター関連商品の仕入販売、各種サービスの提供等を行っておりますが、それぞれ以下のような競争上のリスクが存在します。自社製品コンピューターについては、当社と同様の製品を取り扱っている企業はもとより、国内外から新規参入する企業が現れる可能性は高く、今後においても価格競争が避けられないと認識しております。また、コンピューター関連商品については、量販店などが、当社と同質のコンサルティング機能を強化・充実させ、低価格で商品を販売した場合、当社の価格競争力が低下する可能性があります。さらにシステム・インテグレーション等のサービスについても競合が激しくなり、当社が意図する受注案件の獲得等ができない可能性があります。これらの結果として、当社の業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、コンピューター業界では、当社と競合関係にあるソフトウェア、ハードウェアその他のコンピューター関連商品を取り扱う大手企業が多数存在し、競争が非常に激しくなっています。これらの大手企業は、当社に比べより多くの経営資源を有し、多様な販売チャンネルを確立しています。また、これらの会社の中にはオープンソース・ソフトウェアに積極的に取り組む企業も多く、当社製品の需要に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、販売面ばかりでなく、供給者との戦略的提携に関しても、同業他社との競争に直面しております。この場合、当社の重要な仕入先や、当社が望む提携先が同業他社と合併、もしくは業務提携をした場合、当社の事業機会が阻害される可能性があります。

 

(5)第三者の製造者及び供給者への依存

 当社は、製商品の製造及び調達について、外注先製造業者及び外部の部品供給業者に大きく依存しております。外注先の企業は、当社の主要な商品を製造するとともに、自社製品コンピューターのアウトソースによる製造、物流及びクレジットカードその他の決済サービスを当社に提供しております。当社の第三者製造者及び供給者との契約は一般的に短期間で更新可能なものとなっております。当社が第三者製造者及び供給者との契約の解消及び変更を余儀なくされた場合、供給量の低下またはコスト負担の増大をもたらし、当社の経営及び生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)特定の人材への依存

 当社は事業規模が小規模であり、また、当社の製品及び技術は高度かつ複雑であるため、当社の順調な業績の持続は有能な経営陣・従業員の雇用維持に大きく依存しています。当社の中心的な経営陣・従業員のように高いスキルを有する人材は希少であり、業界における人材の獲得競争は激しくなっています。また、当社はこれらの中心的な従業員のいずれとも、即時の退職を回避できるような雇用契約を締結していないため、このような人材はその意思で会社との雇用関係を解消することができます。当社の中心的な従業員を失った場合、当社の業務に重大な影響を与えるおそれがあります。

 加えて、当社は事業拡大のために、各種の高いスキルを持った人材を必要としておりますが、今後も継続して有能な人材を採用できるとの保証はありません。

(7)業績変動

 主な売上先である法人顧客の売上動向によって、当社の業績推移に変動が起こる可能性があります。これまでの当社の業績変動は、法人顧客の予算編成などの関係から売上高が下半期の第4四半期(1-3月)に増加する傾向があります。このため、上半期の利益と下半期の利益とを比較した場合、上半期の利益が著しく落ち込むことが考えられます。

 しかしながら、当社の事業傾向は従前と同様の傾向を継続しない可能性があります。その場合、期首に想定したよりも下半期の収益力が低くなる場合が考えられ、当社としても経営方針の変更など対応策を講じますが、経営管理上、それらの対応策がその期中に効果をあげることができない可能性があり、従って、当社は投資家が期待する収益をあげることができない可能性があります。

(8)知的財産権

① オープンソース・ソフトウェアの使用に関する知的財産権による潜在的規制

 現在オープンソース・ソフトウェアは、インターネットから無料でダウンロードでき、自由に複製し、使用し、変更を加え頒布することができます。しかし知的財産権は開発者に属しており、オープンソース・ソフトウェアの大半は知的財産権により保護されています。知的財産権の保有者が将来、ライセンス料を請求しない、または知的財産権を行使しないという保証はありません。知的財産権の行使または行使の試みは当社の財務状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権の保護の欠如

 当社は、社内で研究開発した自社技術と専門知識を用いて競合相手との製品差別化を行っていますが、当社の製商品及びサービスの大半は独占的な知的財産権として保護され得るものではなく、競合相手が使用した場合には当社の市場占有率及び製商品の販売に影響を与えることがあります。当社は、知的財産権を保護するため、当社の従業員、社外のコンサルタント及びパートナーと秘密保持契約またはライセンス契約を締結しております。
 しかしながら、当社の知的財産権を保護するための方策は限られたものです。従って、他社との競合に際して知的財産権を行使することができない可能性があります。加えて当社は第三者による同様もしくはより優れた技術の開発を防止できない可能性、並びに他社が当社の著作権、特許及び企業秘密を実質的に回避するような技術開発を防止できない可能性があります。

③ 侵害請求の可能性

 当社は、当社のビジネスモデルまたは製品が他人の知的財産権を侵害しているとの請求による訴訟に将来さらされる可能性があります。当社若しくは競合相手が業容を拡大し、製品数が増加し、事業領域や製品の機能が重なり合うにつれ、ますますそのような請求にさらされる可能性が高まります。

 当社のビジネスモデルまたはシステムで採用している技術は、他人の知的財産権を侵害していないと認識しておりますが、もし訴訟が起こされた場合には、訴訟の結果にかかわらず当社は解決までに多大な時間とコストを負担しなければならず、業務に支障をきたす可能性もあります。こうした訴訟に敗訴した場合、当社はロイヤリティーを支払いライセンスを受ける契約の締結を要求されるおそれがあります。その場合、当社が容認できる条件の提示や契約の締結が行われるとの保証はありません。当社に対する請求が認められ、代替技術の開発を行わなければならない場合、またはライセンス契約が当社にとって不利であった場合、当社の業務、業績または財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)製品クレームの偶発性

 当社は製品の製造業者、小売業者として国内及び海外における製造物責任法またはその他の法律に基づく責任を問われるおそれがあります。高品質製品の販売は当社の戦略にとって不可欠であるため、当社は不良を減少させ、発見しかつ排除するよう製造を工夫しています。しかしながら、不具合をもつ製品の製造または販売を完全に回避できるとの保証はありません。

 当社の製品の中に欠陥が発見された場合、当社のブランドに重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社はかかる欠陥を排除するために多額の支出を余儀なくされることがあり、場合によってはこれを改善することができないおそれがあります。

 当社製品の不具合は、それを使用する顧客のコンピューターシステムに支障を起こすおそれがあります。その場合には、顧客は多額の損害に対し補償及びその他の請求を当社に対して行う可能性があります。当社の保証には通常、潜在的な製造物責任にかかる債務の範囲を限定することを意図した規定を盛り込んでいますが、これらの規定は日本及びその他の地域における法制度の下では効力をもたないものとされる可能性があります。当社が加入している保険は、このような請求に対し当社の責任を適切に限定するのに十分対応していないことがあります。これらの請求がなされた場合、保険を上回る出費の可能性や、結果として請求を退けたとしても、その解決のため多大な費用と時間を必要とする可能性があります。

(10)個人情報の管理

 当社はオンライン販売サイトによるショッピングをはじめとする各種サービスの提供にあたって、顧客に関する属性情報等詳細な個人情報をサーバー上で保有しております。当社はこれらの個人情報を取り扱うにあたって、個人情報取扱方針を定め社内周知及び遵守を徹底するなど、個人情報の保護に努めております。

 しかしながら、これらの個人情報が管理の瑕疵等により外部に流出する可能性は皆無であるとは言えません。その場合、当社の信用に重大な影響を及ぼすと同時に、当社に対して損害賠償請求が行われたり、オンライン販売サイトによるサービスの停止を余儀なくされる可能性があるなど、当社の財務状況や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)新型コロナウイルス感染症の影響

 当第4四半期から、新型コロナウイルス感染症が経済や社会生活へ影響を及ぼし始めており、これによる経済活動の低調な推移が顕著となっております。当社では、テレワークや時差出勤などの感染拡大防止策を実施しておりますが、当社の役職員等が感染した場合には、事業所の閉鎖等により一時的に事業活動が停止する恐れがあります。また、製品部材等の納期遅延、顧客の受注の減少や後ろ倒し、さらには新規商談の遅れなど感染症拡大の影響が徐々に現れてきており、当社ではテレワーク需要に向けた製商品を拡充するなどの対策をとっておりますが、財務状況や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、提出日時点において、経営成績等に与える影響額を合理的に見積ることはできておりません。

(12)重要事象等について

 当社は、継続して営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。しかしながら、当事業年度末において借入金は無く現金及び預金334百万円を保有し、必要な運転資金を確保していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、財務諸表への注記は記載しておりません。

 当社は、早期の経常損益の黒字化を実現し当該状況を解消する為、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の諸施策を実施してまいります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1)経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、総じて弱含みで推移していましたが、第4四半期には新型コロナウイルスの影響で景気が下振れしました。さらに4月には全都道府県が感染症対策の緊急事態宣言の対象となり、景気の先行きについては極めて厳しい状況が続くと見込まれています。企業の業況判断も感染症の影響により悪化している中で、設備投資には大きな増加が見込まれない状況が続いています。このため、国内外経済がさらに下振れするリスクに十分注意する必要があります

 当社が注力しているIoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場は、研究・実証を中心とした初期市場の段階から、本番運用を行う企業による本格的な需要が見込まれる中期市場の段階を経て、今後は一般普及期に移行し、全世界的に急速に拡大していくものと見込まれます

 このような状況のもとで、当社は本格化するIoT市場に向けて、以下の重点施策を実施してまいりました。

 

① 急速に拡大するIoT市場への対応

 多くの産業分野に亘る広範なニーズや課題に対応するため、主要な企業に対して当社直販体制を積極的に進めるとともに、「IoTセンサー・デバイス パートナープログラム」をはじめとしたパートナー企業との連携をさらに広げ、ソリューション開発や営業活動を協働して行ってまいりました

 サービス収益の強化

 顧客の商用IoT需要に対応したストック型・サービス型の事業モデルへの移行の一環として、複数のクラウ

ド・サービス間通信を実現するIoTデータ流通基盤「DEXPF(デックスピーエフ)」を製品投入いたしました。

 IoT市場全体については、初期市場、中期市場を経て、一般普及期への入り口にあります。本格的な受注出荷は依然として少数の先駆的ユーザーにとどまっていますが、そのような中でもIoT事業の売上高は前年同期に比べ増加しました。一方、一般商材などのIoT事業以外の売上高は減少しました

 販売費及び一般管理費は、引き続き全般的に抑制しました

 この結果、当事業年度の売上高は1,117百万円(前年同期比9百万円・0.8%増加)、営業損失は142百万円(前年同期は営業損失166百万円)、経常損失は142百万円(前年同期は経常損失165百万円)、当期純損失は150百万円(前年同期は当期純損失169百万円)となりました。

 主要品目別の売上高については、次のとおりであります。

① 自社製品コンピューター

 マイクロサーバーについては、当社が注力している「OpenBlocks(オープンブロックス)IoT

Family」が、IoT事業化を進めた企業からのリピート受注が好調であり、前年同期と比べ増加しました。一方、汎用マイクロサーバーであるA Familyは、後継機投入時期と重なったことに加え、キャリア向け通信・ネットワーク用途の出荷が一部次年度にずれ込んだことにより、前年同期に比べて減少しました。この結果、自社製品コンピューター全体の売上高は、前年同期をわずかに下回る591百万円(前年同期比3百万円・0.5%減少)となりました。

② コンピューター関連商品

 一般商材については、センサーなどのIoTに関連する商材を広げる方向ではありますが、法人向けのIT機器のオンライン販売サイトでの効率的な運営体制の維持に留めており、コンピューター関連商品全体の売上高は前年同期に比べ減少し、290百万円(前年同期比27百万円・8.7%減少)となりました。

③ サービス・その他

 当社はストック型・サービス型の事業モデルへの移行を進めております。特にIoTの本番運用を目指す社会

インフラ企業へのソフトウェア開発の売上が伸長したほか、リモート管理サービスを含むサブスクリプションが順調に増加し、IoTデータ流通基盤「DEXPF」の受注が始まるなど、IoTサービスが増加しました。また、一般商材に係るライセンス販売が増加しました。これにより、サービス・その他全体の売上高は前年同期に比べ増加し、234百万円(前年同期比40百万円・20.5%増加)となりました

 なお、上記の各品目に含まれるIoT事業(マイクロサーバー製品、IoTサービス、その他サービス)に係る売上高及び売上総利益は前年同期に比べて増加し、売上高は712百万円(前年同期比32百万円・4.8%増加)、売上総利益は295百万円(前年同期比23百万円・8.5%増加)となりました

(2)財政状態の状況

 当事業年度の資産につきましては、現金及び預金が117百万円減少したほか、売掛金の増加30百万円、たな卸資産の減少50百万円等により、前事業年度末に比べ163百万円減少し、835百万円となりました。

 負債につきましては、買掛金の減少35百万円等により、前事業年度末に比べ13百万円減少し、277百万円となりました。

 純資産につきましては、当期純損失の計上による利益剰余金の減少により前事業年度末に比べ150百万円減少し、557百万円となりました。

(3)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ117百万円減少し、334百万円となりました

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税引前当期純損失の計上145百万円、売上債権の増加30百万円、仕入債務の減少35百万円等の支出要因のほか、たな卸資産の減少50百万円等の収入要因がありました結果、営業活動により使用した資金は114百万円となりました。(前年同期は247百万円の使用)

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出により、投資活動により使用した資金は2百万円となりました。(前年同期は0百万円の使用)

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増減はありませんでした。(前年同期は資金の増減なし)

(4)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

品目

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

自社製品コンピューター(千円)

401,624

98.7

合計(千円)

401,624

98.7

(注)1.当社は、コンピューター関連製商品とサービス等を提供する単一セグメントであるため、品目別の記載をしております。

2.自社製品コンピューター以外の品目については、記載を省略しております。

3.上記金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

品目

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

自社製品コンピューター

561,008

94.4

91,784

74.8

コンピューター関連商品

324,137

101.7

43,888

413.4

サービス・その他

243,801

126.6

103,061

109.7

合計

1,128,947

102.1

238,734

105.0

(注)1.当社は、コンピューター関連製商品とサービス等を提供する単一セグメントであるため、品目別の記載をしております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

品目

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

自社製品コンピューター(千円)

591,950

99.5

コンピューター関連商品(千円)

290,866

91.3

サービス・その他(千円)

234,700

120.5

合計(千円)

1,117,517

100.8

(注)1.当社は、コンピューター関連製商品とサービス等を提供する単一セグメントであるため、品目別の記載をしております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
なお、当事業年度の株式会社インターネットイニシアティブに対する販売実績は総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。

相手先

前事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム株式会社

176,862

16.0

130,358

11.7

株式会社インターネットイニシアティブ

135,353

12.2

3.上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、IoT市場に注力することにより収益を拡大し、経常損益の黒字化を目指しております。

 当事業年度につきましては、当社が注力している「OpenBlocks IoT Family」がIoT事業化を進めた企業からの受注が好調であり、前年同期に比べ出荷数・売上高ともに増加し、ソフトウェア開発やサブスクリプションをはじめとしたIoTサービスも前年同期に比べ増加しました。しかし、本番運用による製品の大口出荷を見込んでいた案件について、大手メーカーや電力事業者との実証実験及びそれに向けた開発案件は着実に進んではいるものの当事業年度中の出荷には至りませんでした。また、物流向け案件については本番導入期間が長期化しており、システムインテグレータと協働しているソリューション販売も想定より減少したことにより、IoT事業の売上高は期初の予想に比べ未達となりました。一般商材などのIoT事業以外の売上高も予想に及ばず、全体の売上高は予想を下回る結果となりました。

 損益面につきましては、売上高の計画未達の影響により、営業利益、経常利益、当期純利益とも期初の予想を下回り、経常損益の黒字化を達成することはできませんでした。なお、新型コロナウイルス感染症による当事業年度の業績への影響は軽微であります。

 当社は、引き続きIoT事業に経営資源を集中し、拡大が見込まれるIoT市場に向けた製品とサービスの開発やパートナー企業との連携、顧客の開拓に注力してまいります。

 当社の当事業年度の財政状態の状況については、「(経営成績等の状況の概要)(2)財政状態の状況」をご参照下さい。

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、「(経営成績等の状況の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社は、高い手元流動性を維持しており、借入金は無く運転資金は全て自己資金により賄っております。なお、重要な資本的支出の予定はありません。

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のほか、以下のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、製品部材等の納期遅延、顧客の受注の減少や後ろ倒し、さらには新規商談の遅れなどの影響が徐々に現れてきております。しかし、感染症の影響が継続する期間や規模が不透明であるため、当該影響が第3四半期まで継続するものと仮定して見積りを行っております。

 

① 固定資産の減損処理

 当社は、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、全社を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としてグルーピングを行い、資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額は使用価値により零として見積っております。

② 税効果会計

 当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり、重要な税務上の欠損金が生じており、かつ、翌期における課税所得の発生が確実に見込まれる状況ではないことから回収可能性はないと判断し、繰延税金資産は計上しておりません。将来、課税所得が生じると見込まれる場合には、繰延税金資産を計上する可能性があります。

③ 継続企業の前提の評価

 当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断にあたり、貸借対照表日の翌日から1年間のキャッシュ・フローを見積っております。事業計画の未達、変更等によりキャッシュ・フローが大幅に変動した場合、当該不確実性の判断に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社では、現代のコンピューター環境を構成する、ハードウェア、オペレーティングシステム、ネットワークシステムを基盤とすることはもちろんのこと、運用環境までを考慮に入れた製品開発を行っております。

 開発にあたっては、環境への取り組みの一環として、グリーン購入法や、電気・電子機器について有害な化学物質の使用を禁止するRoHS指令への積極的な対応を行っております。

 当事業年度は、IoT市場に向けた製品及びサービスに関する研究開発活動を行いました。自社製品コンピューターについては、IoTゲートウェイの製品開発を継続的に行うとともに、汎用マイクロサーバー「OpenBlocks IX9」を開発し販売を開始しました。また、サービスその他については、IoTデータ流通基盤「DEXPF(デックスピーエフ)」を開発しサービスを開始するとともに、分散型台帳技術(いわゆるブロックチェーン)を応用した研究を行いました。

 

 当事業年度における研究開発費の総額は、72百万円となっております。