第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2019年7月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針および中長期的な経営戦略等

当社グループは、「お客様のために進化するアスクル」を企業理念とし、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして1993年の事業開始以来、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、圧倒的No.1の地位を確立してまいりました。これに加え、情報技術の発展、少子高齢化や女性就業人口の増加といった社会構造・生活環境の変化等により、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まっており、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。当社グループでは「いつでも、どこでも、誰にでも、欲しいものを欲しいときにお届けする革新的生活インフラを、最もエコロジーな形で実現します。」というミッションに基づき、オフィス通販No.1から第二世代のeコマースNo.1への変革を目指していきます。また、当社の強みである物流・配送とマーケティング力に加え、プラットフォームのオープン化により企業間連携を強化してまいります。

BtoB事業につきましては、BtoCを主力とする企業の参入や特定の業種や商品カテゴリーに強い企業の台頭により、従来からの専門商社や卸企業からの購買がeコマースでの購買へとお客様の購買方法が大きく変化しております。当社は得意とするBtoBのeコマース市場が拡大することを今までと異なるお客様への販売機会の増加と捉え、様々な施策の実行により、「収穫逓増、全ての仕事場での圧倒的No.1」を目指してまいります。

BtoC事業(「LOHACO」と連結子会社である株式会社チャームの合計)につきましては、中期経営戦略の目標指標の一つであるBtoC事業に係る流通総額1,000億円を目指し、早急に「LOHACO」の認知度を高めてまいります。「LOHACO ECマーケティングラボ」に参加いただいているメーカーと連携したマーケティング手法の活用による差別化商品の投入や「1時間単位の指定」「30分単位のお届け予定」「10分前の直前お知らせ」の3つの時間を約束する新たな配送サービス「Happy On Time」のエリア拡大等により、あらゆる点において優位性を有するeコマースを構築してまいります。

併せて、BtoB事業とBtoC事業の売上拡大によるスケールメリットを生かした原価低減や、「LOHACO」のメディア価値の拡大による広告収入の増加等に取組み、収益性の飛躍的な向上を実現してまいります。

また、当社の事業を支えるプラットフォームであり、利益の源泉である物流センターの新設等については、当社の成長・拡大にあわせ継続的に行ってまいります。

引き続き、お客様サービス向上や物流効率によるコスト低減を図るため、在庫商品の最適配置や梱包・補充作業の平準化施策に加え、最新鋭設備の導入に伴う省人化により物流生産性の向上を進めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、事業本来の収益性を重視し、市場シェアの拡大と当社オリジナル商品(注1)・高付加価値商品の拡充による売上総利益率の改善と継続的なコスト構造改革によるローコストオペレーションを同時に実現して売上高営業利益率の向上を目指しております。これに加え、株主重視の経営という観点から企業価値を高めるため、中長期におけるROEの向上に努めております。

当連結会計年度(2019年5月期)は、連結売上高は着実に成長し、売上総利益率についても改善が図られたものの、宅配クライシスによる配送コストの増加等により、売上高営業利益率は前連結会計年度並の1.2%となりました。また「ALP首都圏」の火災後に開設したLOHACO専用のセンターである「AVC日高」に関する固定資産全額について減損損失を計上した影響によりROEは0.9%となりました。

次期(2020年5月期)においては、売上拡大、物流生産性の改善や配送基盤の自社配送化により物流変動費比率の低下を見込んでおります。これらにより、2020年5月期は着実に増収、営業利益は増益を予定しており、売上高営業利益率は2.2%、ROEは10.0%となる見通しです。

2020年5月期は引き続き、物流生産性の向上、配送基盤の強化、物流シェアリングでローコストオペレーションを実現しECの収穫逓増モデルへのさらなる進化を続け将来の企業価値極大化を目指してまいります。

 

(3)会社の対処すべき課題

当社グループは、以下3つのテーマに注力して取り組んでまいります。

 

① データやテクノロジーを活用した商品開発、ロングテール商品の拡大とWEBサイトの進化

BtoB事業は、成長を続けるeコマース市場において、競合他社にはない差別化された当社オリジナル商品の開発拡大により、リピート率の向上と収益力の向上に取り組んでまいります。また、ロングテール商品の取り扱いを拡大することにより、どこで売っているかわからないといったお客様の困りごとを解決し、新規お客様の獲得と既存のお客様の買い回り増加を同時に進めてまいります。WEBサイトにおいても、ビッグデータやAIなどのテクノロジー活用により、取扱商品数の拡大とお客様が欲しい商品を最も早く探せるWEBサイトへの進化を計画しております。差別化されたオリジナル商品、BtoBに特化したロングテール商材の拡大や競合他社と較べて圧倒的なBtoBビッグデータの活用、最先端テクノロジーを活用したSEO(サーチエンジンで商品を検索した際に当社のWEBサイトが上位に掲載される施策)、商品検索機能の進化とお客様の声に真摯に耳を傾けて磨いてきた高品質な基本サービスを組み合わせて、お客様にとってより便利なサービスへと進化を続けることにより、さらなる成長と収益力の向上に取り組んでまいります。

 

② 「独自価値EC」への転換による新たな成長

「LOHACO」は、収益改善を伴う新たな成長を実現するために、独自価値eコマースへの転換に注力してまいります。「独自価値商品数のさらなる拡大」、化粧品、健康食品等の「戦略カテゴリの強化」、「広告フィー収入の拡大」等により収益基盤の拡大を図り、事業ポートフォリオの変革を図ってまいります。中長期的には、「LOHACO」の成長に併せて、「Happy On Time」のサービス拡充により他社との差別化を進め、ECに最適化された最もローコストな配送プラットフォームの構築、物流のシェアリングによる物流配送コストの低減等の物流施策を進め、収益の改善に取り組んでまいります。

 

③ 自社配送網の高密度化と高度自動化された物流・配送のシェアリング(OPA)による効率化

配送ドライバー不足等に起因する大手配送会社による総量規制や配送運賃の値上げ等の商品配送に係る課題を解決するため、当連結会計年度においてグループ会社の配送基盤の増強等による自社配送網の拡大を図ってまいりました。次期については、当社サービス以外の他社の荷物を配送する外販の獲得を推進して取扱荷物の総量を増やし、自社配送網の配送密度を高めることで配送コストの削減に取り組んでまいります。また、これら自社配送網を活用した効率的な配送を支えるために、最先端の技術であるビッグデータやAIの活用による最適なルート計算方法等の研究を継続的に行い、早期のシステム化に取り組んでまいります。また、物流センターへのロボティクス等の導入により物流生産性のさらなる向上を目指すとともに、Open Platform by ASKUL(OPA:当社の強みである物流とマーケティングのプラットフォームを外部提供する事業、以下「OPA」)を提供し、物流のシェアリングによる物流配送コストの低減を実現してまいります。当社は「AVC関西」において、すでに一部メーカーや流通企業とは「OPA」の取り組みを進めておりますが、2020年9月に予定している「OPA」の関東拠点の稼働開始に向けて、メーカーやストア企業(注2)との在庫の共有化・商品の同梱配送等を進め、「OPA」をより一層加速してまいります。

当社は「OPA」の具現化を通して、お客様にとって一層充実した品揃えと高い利便性を提供するとともに、効率的で無駄のない社会最適なeコマースを実現してまいります。

 

(注)1 当社のプライベートブランド商品のほか、当社グループのみで販売するメーカーブランド商品を含みます。

   2 「LOHACO」のマーケットプレイスに「出店」している売り主企業のことを指します。

 

2 【事業等のリスク】

当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当有価証券報告書提出日(2019年7月26日)現在において判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありません。

当社グループの経営成績、財政状態および株価等に影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

(1)ヤフー株式会社との業務・資本提携契約について

当社およびヤフー株式会社は、2012年4月27日付けで業務・資本提携契約を締結して以降、両社は事業運営の独立性をお互いに尊重し、イコールパートナーシップの精神の下、それぞれが有する集客能力、顧客、仕入先、決済システム、インターネットサービスに係るシステムおよびデザイン技術、物流・配送設備および物流・配送のオペレーション能力、ならびに、それらに関するノウハウ、人材その他のリソースを相互に提供し合い、「お客様に最高のeコマースを提供する」という壮大な目標を実現すべく、当社が運営する「LOHACO」をeコマース史上最も早い成長速度で立ち上げてまいりました。

両社は「LOHACO」をさらに大きく成長させるとともに収益性の向上を図るために、3年間培ってきた信頼関係をベースにさらなる発展および連携の強化を図ることが最善であると判断し、2015年5月19日付けで、業務・資本提携契約を更改いたしました。

当社は、更改された契約日以降、当社の株式の議決権希薄化行為(注)を行おうとする場合には、ヤフー株式会社に対して、議決権希薄化行為を行う旨およびその条件を書面にて通知した上で、議決権希薄化行為の直前の時点におけるヤフー株式会社の当社の株式に係る議決権割合を維持するために必要なあらゆる措置を適時かつ適切に講じるものとしております。加えて、当社は、当社の新株予約権その他の潜在株式の行使又は株式への転換(以下「新株予約権行使等」という。)により、当該新株予約権行使等の直後の時点におけるヤフー株式会社の当社株式に係る議決権割合が、(a)2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるヤフー株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下し、かつ、(b)直前に上記措置を講じた時点におけるヤフー株式会社およびその子会社の当社の株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下した場合には、ヤフー株式会社に対して、その旨を書面にて通知した上で、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるヤフー株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合を回復又は維持するために必要なあらゆる措置を講じるものとしております。このため、当該措置を講じた場合、当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性があります。

なお、ヤフー株式会社は、更改された契約日以降、自ら又は第三者をして、当社の株式を追加取得(ヤフー株式会社又は第三者が当社の株式を有するその他の第三者(有価証券報告書又は四半期報告書の大株主の状況の記載により、当社の株式を有することが合理的に認知可能な第三者に限る。)の株式その他の持分を取得することにより、当社の株式を間接保有することとなる態様による取得を含む。)することを希望する場合は、事前に当社に対して書面により通知し、ヤフー株式会社および当社の書面による合意に基づいて実施するものとしております。

その他、ヤフー株式会社は、ヤフー株式会社および契約更改後にヤフー株式会社の子会社となった当該子会社(以下「ヤフーグループ」という。)の保有する当社の株式に係る議決権割合が、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるヤフーグループの保有する当社の株式に係る議決権割合の合計よりも100分の1以上上昇した場合には、速やかに、市場取引等により当社の株式を売却し又は売却せしめることその他、ヤフーグループの当社の株式に係る議決権割合の合計を、本自己株式取得の終了時点におけるヤフー株式会社の議決権割合の合計に復するために必要な措置を講じるものとしております。但し、上記に定めるヤフー株式会社および当社の書面による合意に基づいて行われる取引により、又は当社による自己株式取得その他ヤフーグループの作為によらずに、ヤフーグループの当社の株式に係る議決権割合の合計が上昇した場合は、この限りではありません。上記等により株価等に影響を及ぼす可能性があります。

当有価証券報告書提出日である2019年7月26日現在において、当社とヤフー株式会社との間には「LOHACO」事業等を巡り意見対立が生じております。同年6月27日より、ヤフー株式会社は、当社に対し、当社が同年8月2日に開催を予定している第56回定時株主総会の第2号議案(取締役選任議案)において、当社代表取締役社長岩田彰一郎の再任に反対の議決権を行使するとの意向を表明し、同年7月24日には、ヤフー株式会社および当社の第二位株主であるプラス株式会社が、インターネットを用いた方法により、当社代表取締役社長岩田彰一郎ならびに当社独立社外取締役戸田一雄、宮田秀明および斉藤惇の各氏の再任について反対票を投じた旨を公表しました。当社代表取締役社長岩田彰一郎は、1997年3月に当社代表取締役に就任して以来、マーケティング分野における高い見識とEC企業としての高い志、強いリーダーシップにより、当社グループを飛躍的に成長させ、企業価値を向上させてきており、今後も、当社の企業価値の維持・向上に必須の人材であります。当社が2019年8月2日に開催を予定している第56回定時株主総会において、指名・報酬委員会の審議等、当社所定の手続きに従い決定された取締役候補者である当社代表取締役社長岩田彰一郎の再任が否決された場合、当社の経営に混乱が生じ、当社の企業価値が毀損される可能性があります。

また、当社は、取締役10名中3名を独立役員で構成し、少数株主の利益保護を図ってまいりました。すなわち、当社は、独立役員らにより構成される指名・報酬委員会および独立役員会における審議・答申等を通じて、経営の透明性・公正性を確保することにより、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、少数株主保護のための体制を構築・運用してまいりました。今般、ヤフー株式会社およびプラス株式会社は当社独立社外取締役3名の再任についても反対票を投じたことを公表しておりますが、仮に当社第56回定時株主総会の第2号議案(取締役選任議案)に関し、当該独立社外取締役3名の再任が否決され、かつ他に独立社外取締役が選任されないこととなった場合、当社には独立社外取締役が存在しないこととなり、当社のコーポレート・ガバナンス、ひいては当社の少数株主の利益保護体制に重大な悪影響が生じる可能性があります。

加えて、当社は、上記のとおり、当社とヤフー株式会社との経営思想の違い、業務・資本提携契約で合意したイコールパートナーシップ精神の喪失、上場企業としての独立性の侵害が顕著になったことを鑑み、もはや当初当該提携関係によって実現しようとしていた個人向けECを両社共同で成功させるという目的を達成することができなくなったと考え、さらに、2019年7月10日付で当社独立役員会より「当社経営陣としては、可及的速やかにヤフー株式会社との業務・資本提携関係の見直し(業務・資本提携契約に基づく売渡請求権の行使の是非を含む。)を検討し、ヤフー株式会社と交渉するべきである」との意見が示されたことも踏まえて、同月12日、ヤフー株式会社に対し、業務・資本提携契約に基づく提携関係を解消するための協議の申入れを行いました。これに対してヤフー株式会社からは、同月17日付で協議は不要である旨、および「LOHACO」事業に関する業務提携関係は継続する意向である旨の回答を受けておりますが、当社としては、引き続き、ヤフー株式会社に対し、業務・資本提携関係を解消するための協議を申し入れていく所存でおります。仮に、当該業務・資本提携関係が解消されることとなった場合、ヤフー株式会社が保有する当社株式を当社又は第三者に売却することにより、当社の筆頭株主であるその他の関係会社の異動等が生じる可能性があります。また、「LOHACO」事業の運営に変化が生ずる可能性があります。

当社といたしましては、いかなる状況に立ち至ろうとも、「お客様に最高のeコマースを提供する」という理念の下、「LOHACO」事業を当社として責任をもって運営してまいる所存でおります。

 (注) 当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性のある一切の行為(募集株式の発行、自己株式の処分、株式の発行を伴う組織再編等、議決権の希薄化が現に生じる行為のほか、新株予約権、議決権のある株式に転換可能な種類株式その他の潜在株式の発行等、将来議決権の希薄化が生じる可能性のある行為を含みます。但し、既に発行済の新株予約権の行使による当社の株式の発行若しくはそれに伴う自己株式の交付、または、当社の単元未満株式を有する株主から、会社法第194条第1項および当社の定款第10条に基づく単元未満株式の売渡請求がなされた場合において、当社がその保有する自己株式を当該株主に売り渡す行為を除きます。)を指します。

 

(2)当社の通信販売事業モデルについて

① 事業モデルを支えるコンセプト

当社グループの主たる事業である通信販売事業では、サプライヤーをはじめとして、情報システムの開発および保守・運用会社、運送会社、運営業務の委託先、BtoB通信販売事業モデル独自のエージェント、等多くの協力会社によって支えられております。それぞれの機能により、役割を分担・補完し合い、お互いにパートナーとして戦略的に連携(コラボレーション)し、業務や機能の重複、時間やコストの無駄を排除して顧客価値の最大化を図るバリューチェーンの考え方が当社グループの基本スタンスにあります。当社グループでは、事業モデルを支えるパートナー企業との良好な関係の維持に努めておりますが、各社の経営状況の変化等によって、提携による業務委託等の継続ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 通信販売事業モデルにおけるカタログ発刊に関するリスク

当社グループの主たる事業である通信販売事業では、紙カタログ、およびインターネット上のカタログを発刊しております。カタログ掲載商品の選定とカタログ制作におきましては、法令遵守のための専門組織を中心とする管理体制を設け細心の注意を払っておりますが、カタログの表示内容に重大な瑕疵が発生した場合には、内容訂正やお詫びをはじめとする様々な対応を行う事態が発生することが考えられます。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ BtoBの通信販売事業モデルにおけるエージェントの役割

当社のBtoBの通信販売事業モデルにおいて、エージェント制度の採用が大きな特徴となっております。お客様への販売代金回収は、担当エージェント側でその回収リスクを負い、当社側ではエージェントに対する売掛金について回収リスクを負う体制であります。当社では、エージェントの成長力を維持・向上させるためのインセンティブプラン等によりエージェント活動の活性化を促す等の施策を実施しております。また、経済環境の悪化等によりエージェントに倒産等の事由が生じた場合には、当該エージェントが担当しているお客様は速やかに当社さらには後任の担当エージェントに引継がれますので、当社の経営成績に与える影響は限定的と考えられますが、潜在的な可能性として、エージェントの倒産等によって回収リスクが発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社はお客様開拓を優先するためにエージェントを無制限に増やすようなことはせず、エージェントの選定や契約に際して一定の基準および手続を設け、エージェントに対してアスクル事業を展開する財務基盤等を有しているかの確認をし、かつ当社の事業コンセプトへの理解を促しております。

④ BtoBの通信販売事業モデルにおける広告宣伝とエージェントとの関係

当社のBtoBの通信販売事業モデルにおいて、エージェントがお客様開拓を行う一方、当社でも新聞広告・インターネット広告等全国的な広告宣伝やキャンペーンを実施しております。広告宣伝等の効果により、お客様から当社へ直接登録のお申込みが数多くあり、その際は、社内の規定に従って担当エージェントを決定し、集金業務および債権管理を行っております。決定した担当エージェントからは、当社が実施した広告宣伝費の一部として、顧客獲得に応じて広告宣伝協力金を負担いただいておりますが、広告宣伝等の効果が低下して直接申込み比率が低下することによる広告宣伝協力金の減少や広告宣伝等のコスト増加に伴い当社が負担する広告宣伝費が増加した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)商品の調達と在庫リスクについて 

商品に関して、世界レベルでの原材料価格や為替レートの急激な変動により、仕入価格の上昇等の影響が発生する可能性がありますが、このような場合でもお客様に対し仕入価格の上昇分を充分に転嫁しきれない場合があります。これに対し、当社グループではコスト削減のための企業努力に注力いたしますが、企業努力によっても仕入価格の上昇分を補いきれない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、サプライヤーとの間では当社グループの販売力に応じて安定した商品供給体制を整えていただくよう要請しております。しかしながら、グローバルな経済状況の変化、原産地およびサプライチェーンにおける地域紛争や災害・事故の発生、或いは当該商品の持続可能な原料調達に関わる環境問題等から生じる原材料の高騰や入手困難等による生産制限または製造原価の上昇や、為替レートの急激な変動等により安定した商品仕入ができない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループの販売数量が多い商品についてはサプライヤーの分散を図っておりますが、災害や事故等により特定のサプライヤーからの供給がストップした場合で速やかなサプライヤーの代替が困難なときは、販売に支障をきたす可能性があります。各商品につきましては、お客様の購買動向を「需要予測システム」にて分析し「SYNCHROMART(シンクロマート)」システムで、サプライヤーと在庫・需要予測情報を共有することにより、サプライヤー側で需要予測に応じた生産計画や在庫保有が可能となり、品切れによる販売機会ロスを減らし、お客様満足度の低下の極小化を目指しております。

しかし、新規取扱商品や夏場の飲料水等季節商品、感染症対策のための衛生用品、災害や事故等で一時的に需要に供給が追い付かない商品等で品切れが生じるケースもあります。さらにBtoC事業においては、嗜好が多岐にわたりかつトレンド変化の早い一般消費者向け商品を多数取り揃えなければならないことから、今後さらに需要予測の精度向上を図り、サプライヤーとも充分な連携を行い、品切れリスクや偏在リスクをなくす等、適正在庫を維持するよう効率的なデマンドチェーン・マネジメントに努めますが、予測を誤った場合またはシステムトラブル等により在庫不足または過剰在庫となる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)商品の安全性および品質水準の低下リスクについて

当社グループでは、商品品質の管理部署を設置し、商品の調達先および商品の選定・管理に最善を尽くしておりますが、商品の品質問題に起因するリコール等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループで製造している食品・飲料等の取扱商品については、食品衛生に関わる設備の充実、品質チェック体制の確立等、お客様に安全な商品をお届けできるよう努めておりますが、品質や商品情報等に瑕疵等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)設備投資について

当社グループのコア・コンピタンスを支える基盤は、インターネットやAI、ロボティクスといった情報技術(IT)の活用によるところが多くあります。この分野における技術は著しく変化し、当社グループではそれらのテクノロジーにいち早く対応するために、ソフトウエアを中心に継続的投資を行っております。ITの進歩が著しく、投資したソフトウエア等の利用可能期間が、当初予定したものより短くなった場合、残存期間分の償却が一時に発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、継続的に実施しているソフトウエアの追加投資や大幅な改良を伴うシステムの再構築を行う場合、ソフトウエアのバグ等の要因による開発スケジュールの遅延や稼動後にソフトウエアの品質に問題が生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、ソフトウエアを対象とした投資に加え、業容拡大に伴う物流センターの新設や増改築等の投資を継続的に行うと共に、物流インフラや情報システムについて大規模な新規設備投資を進めております。いずれの設備投資の実施に際しましても、充分な投資対効果の検証を行った上で実施しておりますが、その効果が充分でない場合、またはその効果の発現が予測より遅れた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)インターネット通信販売について

① インターネットの障害等について

当社グループでは、「アスクル」「ソロエルアリーナ」「ソロエルエンタープライズ」および「LOHACO」等のサイトを通じてインターネットによる注文を受付けております。

インターネットの急速な普及と相俟って、当社グループにおけるインターネット注文比率は上昇しております。このような状況下、インターネットに特有な技術的または社会的なリスク要因が増大すると見込まれますが、当社グループではインターネットサーバーの増強、分散化、最新化および通信回線容量の増強を図るとともに、万一の障害や事故に備えた基幹システムの二重化およびリアルタイムのバックアップ体制の整備、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するネットワーク・セキュリティの強化を行う等、お客様にいつでも安心してサービスをお使いいただけるよう、安定稼働すべく運用を行っております。

しかしながら、基幹システムの障害やネットワークの障害、不測の事態によるインシデントや、外部からの攻撃、ウィルスの侵入等や急激なアクセスの増加等により情報システムの停止が引き起こされる可能性があり、当社グループの事業運営に重大な支障が発生する可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求等による多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

② 個人情報や機密情報の漏洩について

当社グループは、事業を展開する上で、お客様やお取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や役員、従業員等の個人情報を保有しております。これらの情報が外部流出や破壊、改ざん等がないように、当社グループ全体で、委託先の管理を含め管理体制を構築しており、セキュリティ対策を行うとともに、役員、従業員等の教育を実施しております。また、当社グループでは、情報資産の管理を徹底すべく、情報セキュリティマネジメントシステム(JIS Q 27001)の認証を取得し、JIS Q 27001の要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立し、お客様情報および個人情報の保護においても必要な管理体制を整えております。今後も引き続きネットワーク・セキュリティと情報管理に関しまして強化を図ってまいります。しかしながら、不測の事態によるインシデントや、外部からの攻撃、過失、盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざん等が引き起こされる可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

③ マーケットプレイス型サービス「LOHACO MALL(ロハコモール)」について

「LOHACO」のサービスの一つであるで「LOHACO MALL」は、出店企業に「LOHACO」をご利用するお客様との直接取引の場を提供することを目的とするいわゆる「マーケットプレイス型サービス」であり、売買契約はお客様と出店企業との間で成立し、当社グループは売買契約について責任を負わないことを定めています。また、出店企業については出店前に所定の審査を行うと共に、販売される商品についても所定の基準を設けて、定期的に出店状況を確認しております。しかしながら、出店企業の商品およびサービスについて、知的財産権侵害やその他の法的要求事項への違反行為等により、当社グループのブランドイメージが棄損された場合、更にはマーケットプレイス型サービスの提供者としての責任を問われた場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(7)物流サービスについて

① 物流サービス品質について

当社グループは、高品質なサービスの提供に努めておりますが、重大な荷物の破損、紛失等といった不具合が発生した場合や荷札等に記載されているお客様情報が管理の不徹底等により外部に流出した場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求を受ける可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 重大な交通事故の発生について

当社グループの配送業務における車両の利用に際しては、交通法規遵守のための教育や安全対策を実施しておりますが、重大な交通事故や法令違反が発生した場合、社会的信用の低下や行政処分が行われる可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 燃料等の市況について

当社グループで取り組んでいる環境活動や無駄を排除する活動等により、効率的な配送を行っておりますが、車両に用いる燃料価格が高騰した場合や災害等により燃料の調達網が被害を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 「宅配クライシス」について

当社グループでは、配送パートナーの協力のもと最適な配送網を構築し、「当日配送、翌日配送(一部離島等を除く)」を遵守することでお客様のご支持を得てまいりました。一方、社会的なeコマースの普及と配送ドライバーの人手不足問題等いわゆる「宅配クライシス」により、国内物流業者による受託配送費の値上げ、および受託荷物の総量規制等が行われております。当社グループとしては、適切なコスト水準の維持とお客様とのお約束の遵守のため、国内物流業者の協力は引き続き得ながら、当社グループ配送ドライバーの増員やグループ会社の活用により、当社グループ配送網の強化を図ってまいります。しかしながら、お客様からのご注文量の増加に対応した配送網の構築や人材の確保が間に合わずお届けができない場合、或いはその対策の結果として配送費が大幅に増加した場合、また宅配クライシスを背景に国内物流業者による配送費の大幅値上げがあった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)法的規制への対応やコンプライアンス等について

① 薬機法をはじめとする関連法規等による規制について
当社グループは、医療・介護施設向け用品や医療機関向けの医療専門商材、一般消費者向けの医薬品、健康食品、酒類等をはじめ多岐にわたる商材を取り扱っております。これらの商材の販売および管理は、薬機法をはじめとする関連法規等により規制を受けるものもあり、必要な各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。その他、当社グループは、特定・一般建設業の許可、第一種貨物利用運送事業の登録、一般貨物自動車運送事業の許可、貨物軽自動車運送事業の届出、倉庫業の登録、その他各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。
これらに関連する法令の規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合、あるいはこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの営業活動が制限され、業績が影響を受ける可能性があります。
② インターネット通信販売の法的規制について
当社グループは、通信販売業者として「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、医薬品等販売事業者として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(「薬機法」)」、その他「個人情報保護法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の規制を受けております。
かかる法令の施行又は改正は予測不可能な場合があり、結果として、今後、これらの規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合には、規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になる等、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
③ 環境保全における法的規制について
当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染等に関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けて、遵守して事業を行っており、法令遵守のために必要な資源を投下しております。また当社は、環境マネジメントシステム(JIS Q 14001)の認証を取得しており、同要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立しております。
しかしながら将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態等による環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失等の可能性があり、これらのことが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ コンプライアンスについて
当社グループは、事業を展開するにあたり、様々な法律や諸規制の遵守を求められております。当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定めるとともに、コンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進し、健全で公正かつ透明性の高い企業風土を醸成するよう努めております。
しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)カントリーリスクについて

当社グループは、輸出および輸入商品の取り扱いや中国等での商品販売の実施等、海外での取引を行っており、諸外国政府による規制や法令の改正、政治的、経済的な不安定さ、信用経済の発達度合いおよび資金移動の制約等に起因したカントリーリスクが存在します。カントリーリスクに対しては、案件ごとにその回避策を講じてリスク管理に努めておりますが、これらカントリーリスクを完全に回避できるものではなく、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(10)気候変動および災害等におけるリスクについて

当社グループでは、東日本大震災での被災経験を踏まえ、また、直近では地球温暖化に伴う異常気象の頻発も勘案し、地震や台風、集中豪雨等の大規模な自然災害に備え、受注センター・お問合せセンター・物流センターを複数設置することで、リスク分散を図っております。また、事業、拠点、体制等の拡大や当社グループ内外の変化に応じて、事業継続計画の見直しを継続して行っております。しかしながら、自然災害の発生確率は依然として高いことから、想定以上の自然災害が発生し、事業所等が被害を受けた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

さらに当社グループでは、再生可能エネルギーの利用や電気自動車の導入等に積極的に取り組み、CO2削減による地球温暖化対策に取り組んでおります。しかしながら、地球規模での気候変動による中長期的な影響により、商品原材料の安定的供給への影響等の物理的リスク、或いは特に物流センターで利用する電力や配送に関わる燃料への炭素税の賦課といった規制強化に伴う移行リスクが顕在化した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、自然災害以外の火災等の災害については、2017年2月に発生した「ALP首都圏」の火災事故を受け、防火設備点検等の実施や物流センター運営体制の強化等により再発防止に努めておりますが、災害等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(11)人材の確保と定着におけるリスクについて

当社グループの事業は、物流センターの庫内業務や配送業務等労働集約型の業務がお客様との接点を支えており、質の高い人材の確保が重要であります。また、今後更なる事業拡大およびテクノロジーやサービスの進化に挑戦していく際には優秀な人材を採用、確保することと共に、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保が重要となっております。さらには人材育成を継続的に推進していくことも重要となっております。当社グループは、事業の継続的成長のために新卒採用や経験者の採用を実施し、人材を育成するための各種教育の実施等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し人材の定着と育成に努力するとともに、「働き方改革」を進めて労働環境の整備を実施し社員の定着を図っております。人材の確保と定着は当社グループの成長には重要な要素となりますが、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等により、必要な人材が確保できなかった場合、或いは確保するために人件費が大幅に増加した場合、さらには特に需給が逼迫しているIT系の社員が他社に多数流出する等の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(12)投資有価証券等の減損によるリスクについて

当社は、継続的な成長発展に向けて、当社事業とシナジー効果を有する企業への投資や、次世代のイノベーションを起こすために優れた技術・エンジニアを有するベンチャー企業への投資を実施しております。投資に際しては、財務・経営状態・事業計画等を精緻に検討し、投資後も投資先の財務状況を随時把握するように努めておりますが、投資先の事業が計画通り進捗せずに、収益性の悪化等により価値が毀損されたことで有価証券の減損を実施する場合や、投融資した金額等が回収できなくなる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  

(13)内部統制におけるリスクについて

当社グループは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制を整備し運用する必要がありますが、当社グループは効果的な内部統制システムの整備は極めて重要であると認識し、多くの管理、人材、その他資源を投下し整備に取り組んでおりますが、いかに緻密に整備していたとしても、判断の誤りや過失による限界を有しており、効果的かつ適切である保証はありません。内部統制上の重大な欠陥等が発見された場合、或いは改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、財務報告に関わる内部統制に欠陥があり決算発表を延期せざるをえない等、市場における当社グループの評価が毀損する恐れが生じた場合、さらには欠陥の重大性や原因等の程度によって、法的責任が課せられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)知的財産におけるリスクについて

当社グループは事業を行うにあたり、必要に応じて、特許権、商標権等の知的財産権を取得し保有しております。当社グループが保有し利用するこれらの知的財産権の保護が不十分な場合や、第三者が有する知的財産権の適切な利用許諾を得られない場合には、新規事業やサービスの提供が困難となる可能性があります。また当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業を行っておりますが、第三者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求および差止め請求等、訴訟を提起される可能性があり、賠償金の支払い等が必要となる場合があります。当社グループにおいて知的財産権に関する重大な係争問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(15)訴訟によるリスクについて

 当社グループは、顧客、取引先、株主、従業員を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社グループの事業展開に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2018年5月21日から2019年5月20日まで)におけるわが国経済は、企業収益と雇用環境等に引き続き改善が見られ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、米中貿易摩擦や海外の政治情勢の不安定化等により、株価や為替等の動向には不確実性が高まっており、先行きは不透明な状況となっております。

当社グループが属するeコマース市場は、引き続き成長が見込まれているものの、小売業と通販大手の提携の動きが加速する等、競争が激化しております。また、配送ドライバー不足等に起因する配送運賃の上昇傾向は、eコマース各社の経営に大きな影響を与えております。

このような状況の中、当連結会計年度の売上高は前期比7.5%の成長となりました。主力分野であるeコマース事業のBtoB事業は、前期比4.4%の増収と順調に推移し、BtoC事業は、「LOHACO」の火災からの回復と前連結会計年度の第1四半期末に子会社化した株式会社チャームの連結効果が第1四半期連結累計期間まで寄与したことにより前期比28.7%の増収となりました。

差引売上総利益は、売上総利益率が前期から引き続き堅調に推移したことで、増収により増益となりました。販売費及び一般管理費については、前連結会計年度の第2四半期以降、大手配送会社からの段階的な値上げにより配送運賃が大幅に増加しましたが、「LOHACO」の基本配送料が無料となるご注文金額(以下、「配送バー」)の改定や、配送原価低減策としての①ご購入いただいた商品数量等に合った段ボールサイズでの梱包と配送効率向上、②大手配送会社拠点への荷物持込の実行、③「LOHACO」の自社配送エリアの拡大、「ASKUL Logi PARK 首都圏(以下、「ALP首都圏」)」火災により悪化していた物流センター内の生産性の飛躍的な改善、全社一丸となってのKAIZEN活動等の経営努力による増加コストの吸収にも全力を傾けた結果、売上高販管費比率は低下いたしました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,874億70百万円前期比7.5%増)、営業利益45億20百万円前期比7.8%増)、経常利益44億18百万円前期比12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産の減損損失31億23百万円を計上したことにより、4億34百万円前期比90.7%減)となりました。

固定資産の減損については、主に「ASKUL Value Center 日高(以下、「AVC日高」)」に係るものです。「AVC日高」は、「ALP首都圏」の火災後に開設した物流センターであり、物流生産性の復元に大きく寄与しておりますが、宅配クライシスに起因する配送運賃値上げ等の事業環境の変化やその他リスク等を勘案した結果、減損損失を計上いたしました。なお、前期に火災損失引当金戻入額68億46百万円を計上したこと等も大幅な減益要因となっております。

 

セグメント別(セグメント間取引を含む)の経営成績につきましては、以下のとおりです。

<eコマース事業>

当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、さらなる成長に向けてeコマース戦略を実行してまいりました。SEOやインターネット広告を強化したことにより新規のお客様のご利用が増加いたしました。さらに、ビッグデータやAI(人工知能)を活用したWEBサイト上の検索機能の進化や名前がわからない商品でも検索できるように画像検索機能を追加する施策等を推し進めた結果、従来から当社サービスをご利用いただいているお客様の購入点数・単価ともに増加いたしました。

サービス面では、2018年2月にコピー用紙から開始した定期配送サービスは対象商品を拡大し、2019年2月にはIoTを活用したコピー用紙自動配送サービスを開始するなど、新技術を活用してお客様の手間を省くサービスを拡張してまいりました。また、2018年8月発刊の「アスクルカタログ 2018秋・冬号」では多様化する働き方やオフィス環境に適した新商品の提案、2019年2月発刊の「アスクルカタログ 2019春・夏号」では「脱プラスチックへできることから。」と題し、紙ストロー等の使い捨てプラスチック商品に替わる商品を増やすなど地球環境への配慮等、企業の社会的責任を意識した事業展開をしてまいりました。商品の種類別でみると、店舗等で頻繁にご利用される日用消耗品や消耗紙、オフィスでご利用される飲料等の生活用品が成長を牽引し、MRO商材(注)、医療・介護施設向け商材の売上高も増加しました。注力分野であるロングテール商品は取扱い数が610万を超えて売上高が順調に拡大していること等から、BtoB事業の売上高は、前期比で132億12百万円増収3,158億14百万円前期比4.4%増)となりました。

BtoC事業の「LOHACO」は、2018年5月21日の「Yahoo!ショッピング」への出店開始やヤフー株式会社と連携した販促施策の強化等により新規のお客様のご利用が拡大いたしました。また、2018年10月に、大手メーカー48社に出展いただき、eコマースならではの独自デザイン商品を揃えた「暮らしになじむLOHACO展2018」を開催し、「LOHACO」ブランドの認知度向上に努めるとともに、メーカーとの共創によるオリジナル商品数の増加を進めてまいりました。一方、配送運賃の値上げの影響は大きく、将来の収益改善をともなった成長を実現するために、「独自価値商品数のさらなる拡大」、化粧品、健康食品等の「戦略カテゴリの強化」、「広告フィー収入の拡大」へと経営資源をシフトすることを2018年12月に決定し、次期の収益の大幅改善に向けて下期より取組みを開始しております。配送原価低減策を実行したことと「配送バー」改定によりお客様の買い回りが進み、ご注文ごとの1箱当たり売上高が上昇したことで、課題の売上高配送運賃比率が低減し、損益は改善傾向にあります。「LOHACO」の売上高は513億95百万円(前期比23.1%増)となり前期比で96億49百万円の増収、前連結会計年度中に子会社化した株式会社チャームの連結効果も寄与し、BtoC事業合計では、前期比で145億64百万円増収652億78百万円前期比28.7%増)となりました。

以上の結果、両事業を合計したeコマース事業の売上高は3,810億93百万円前期比7.9%増)となりました。差引売上総利益は、オフィス生活用品やMRO商材等の増収、収益力の高い当社オリジナル商品の拡充等により、904億99百万円前期比8.0%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、配送運賃の大幅な増加、「ASKUL Value Center 関西(以下、「AVC関西」)」開設に係る固定費の増加、前連結会計年度の第1四半期末に子会社化した株式会社チャームの費用分の純増等により、前期比6.8%増854億74百万円となりましたが、物流センターにおける労働生産性の飛躍的な改善等と売上高の増加により、指標となる売上高販管費比率は前期比で改善いたしました。

この結果、当連結会計年度のeコマース事業における営業利益は50億25百万円(前期比32.3%増)となりました。

 

(注) Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場等で使用される消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。

 

<ロジスティクス事業>

ASKUL LOGIST株式会社においては、当社グループ外の物流業務受託の売上高が増加しましたが、前連結会計年度の売上高には、株式会社ecoプロパティーズの「ALP首都圏」、「ASKUL Logi PARK 福岡」売却等の大型案件に係る不動産仲介手数料が含まれていたことから減収減益となりました。なお、株式会社エコ配の損益は下期以降改善に向かっており、また、株式会社ecoプロパティーズの不動産関連案件の進捗も次期に向けて順調に進んでおります。

この結果、当連結会計年度の売上高は55億58百万円前期比21.1%減)、営業損失は5億17百万円(前期は営業利益9億97百万円)となっております。

 

<その他>

嬬恋銘水株式会社において、製造装置の改善等により増産が可能となったことで、「LOHACO」を中心に飲料水の販売が順調に進み、売上高が増加いたしました。また、2018年7月18日に販売を開始した、飲み切り410mlサイズで、ゴミの分別の手間が省けるラベルのないペットボトルの新商品「LOHACO Water」は好評を博しており、売上高の増加に寄与いたしました。物流コストを低減するための自社倉庫の竣工により一過性の費用が発生し、減益とはなりましたが、倉庫の稼働によるコストの低減が進み、収益力は着実に向上しつつあります。

この結果、当連結会計年度の売上高は12億69百万円前期比25.2%増)、営業利益は22百万円前期比3.1%減)となっております。

 

財政状態の状況は以下の通りであります。

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は1,691億12百万円となり、前連結会計年度末と比べ46億1百万円減少いたしました。主な増加要因は、ソフトウエアが16億41百万円、商品及び製品が15億78百万円増加したことであります。主な減少要因は、電子記録債務の減少等により現金及び預金が47億18百万円、減損損失の計上等により機械装置及び運搬具が25億82百万円減少したことであります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は1,204億80百万円となり、前連結会計年度末と比べ38億88百万円減少いたしました。主な増加要因は、支払手形及び買掛金が22億6百万円増加したことであります。主な減少要因は、前連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、決済日が期末日である電子記録債務が前連結会計年度末残高に58億88百万円含まれていたこと等により電子記録債務が43億13百万円、未払金が12億14百万円、長期借入金が16億94百万円減少したことであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は486億31百万円となり、前連結会計年度末と比べ7億12百万円減少いたしました。主な増加要因は、非支配株主との取引に係る親会社の持分変動等により資本剰余金が4億56百万円増加、自己株式の処分により自己株式が2億3百万円減少したことであります。主な減少要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を4億34百万円計上したものの、配当金の支払18億35百万円等により、利益剰余金が14億7百万円減少したことであります。

以上の結果、自己資本比率は28.6%(前連結会計年度末は28.3%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は574億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億7百万円減少いたしました。これは、前連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、前連結会計年度末残高に含まれていた電子記録債務58億88百万円が当連結会計年度において決済されたこと等によります。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、62億15百万円(前期比39億35百万円減)となりました。これは税金等調整前当期純利益11億73百万円、減損損失31億23百万円、減価償却費とソフトウエア償却費およびのれん償却額の合計64億32百万円の増加要因に対し、売上債権の増加11億28百万円、たな卸資産の増加17億30百万円、仕入債務の減少21億77百万円の減少要因があったこと等によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、59億62百万円(前期比43億74百万円減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出16億89百万円、ソフトウエアの取得による支出37億54百万円の減少要因があったこと等によります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、49億50百万円(前期は、65億53百万円の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出17億95百万円、リース債務の返済による支出16億47百万円、配当金の支払18億35百万円等の減少要因があったことによります。

 

 

 

③ 生産、仕入および販売の状況

  a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

その他 (注)1

809

+28.3

合計

809

+28.3

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 金額は、製造原価によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。

 

  b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

eコマース事業

292,120

+7.3

その他

79

合計

292,200

+7.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、仕入価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。

 

  c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

eコマース事業

381,093

+7.9

ロジスティクス事業

5,558

△13.5

その他

819

+16.0

合計

387,470

+7.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a. 経営成績等

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b. キャッシュ・フローの分析

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、次の事項が挙げられます。

a.競争環境

当社グループが属するeコマース市場は引き続き成長が見込まれているものの、BtoC事業については、小売業と通販大手の提携の動きが加速する等、競争が激化しております。当社グループといたしましては、当社オリジナル商品の拡充等や取扱商品も順次拡大することで他社との差別化を図ってまいります。

b. 配送ドライバー不足等に起因する配送運賃の増加等

配送ドライバー不足等に起因する配送運賃の上昇傾向や国内物流業者による取扱い総量規制等は、eコマース事業者にとって重要な経営課題となっております。当社グループといたしましては、グループの配送会社を最大限活用し、配送ドライバーの増員や自社グループ配送網の拡大、自社配送網の高密度を図ってまいります。

 

 ④ 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、BtoC事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。

設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。

 

 ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、当社グループのさらなる成長のために、eコマースのBtoC事業を、BtoB事業と並ぶ収益の柱となる事業に成長させることを目指しております。そのため、中期経営戦略の目標指標として、BtoC事業に係る流通総額1,000億円を目標に掲げております。

当連結会計年度におけるBtoC事業に係る流通総額は、668億15百万円となっております。
 引き続き、効果的なマーケティング施策の実行により、新たなお客様の獲得とご利用頻度を高めることに注力し、流通総額目標の達成と収益性の改善に努めてまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。