第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2020年8月7日)現在において当社グループが判断したものであります。
 
(1)経営方針および中長期的な経営戦略等
 当社グループは、「お客様のために進化するアスクル」を企業理念とし、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして1993年の事業開始以来、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、圧倒的No.1の地位を確立してまいりました。これに加え、情報技術の発展、少子高齢化や女性就業人口の増加といった社会構造・生活環境の変化等により、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まり、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。当社グループでは「いつでも、どこでも、誰にでも、欲しいものを欲しいときにお届けする革新的生活インフラを、最もエコロジーな形で実現します。」というミッションに基づき、当社の強みである物流・配送とマーケティング力をさらに強化してまいります。
 BtoB事業につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内事業者の一部の業種で業績悪化の懸念が生じております。一方で、医療機関や物流サービス業などでは需要が拡大しております。商品カテゴリにおいては、オフィス需要の低下が見込まれると同時に衛生用品の需要が急拡大しており、この傾向は当面継続すると見込んでおります。このような環境の中、BtoB市場におけるEC化は更に拡大する傾向にあります。当社は、あらゆる業種にサービスを提供している強みと拡大するBtoB市場で圧倒的No.1のサービスを提供できるインフラを有しており、環境が激変するBtoB市場においても、オフィス、製造業、医療・介護施設、サービス業などの店舗、個人事業主やフリーランサーの小規模事務所など、あらゆる業種・規模のお客様に対するサービスを継続して進化させてまいります。きめ細やかなサービスの提供やテクノロジーを活用した進化により、働く人のライフラインとして全ての仕事場で圧倒的No.1を目指してまいります。
 BtoC事業につきましては、2023年5月期営業利益の黒字を実現するため構造改革を推進しております。収益改善のポイントは独自価値商品の拡充等による売上総利益率の向上、物流変動費率の改善、固定費の削減です。営業利益黒字達成後は第二成長を実現してまいります。併せて、BtoB事業とBtoC事業の売上拡大によるスケールメリットを生かした原価低減や既存のBtoB事業の配送ネットワークの活用等によるサービス品質向上により、収益性の飛躍的な向上を実現してまいります。
 また、当社の事業を支えるプラットフォームであり、利益の源泉である物流センターの新設等については、当社の成長・拡大にあわせ継続的に行ってまいります。
 引き続き、お客様サービス品質向上にこだわり、コスト低減を図るため、在庫配置や梱包・補充作業の平準化施策に加え、最新鋭設備の導入に伴う省人化により、物流生産性の向上を進め、全体最適視点で連結物流費比率を低減してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、事業本来の収益性を重視し、市場シェアの拡大と当社オリジナル商品(注1)・高付加価値商品の拡充による売上総利益率の改善と継続的なコスト構造改革によるローコストオペレーションを同時に実現して売上高営業利益率の向上を目指しております。これに加え、株主重視の経営という観点から企業価値を高めるため、中長期におけるROEおよびEBITDAの向上に努めております。
 当連結会計年度(2020年5月期)は、第4四半期において、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、売上高は着実に成長し、売上総利益率および売上高物流変動費比率についても改善が図られた結果、売上高営業利益率は2.2%、ROEは11.2%およびEBITDAは147億22百万円となりました。
 次期(2021年5月期)においては、新型コロナウイルス感染影響により、一時的な売上高の成長の鈍化や売上総利益率の低下に加え、人件費や配送コストの上昇による売上高物流変動費比率の増加が見込まれることから、売上高営業利益率は1.8%、ROEは8.4%およびEBITDAは130億円となる見通しです。
 当社はEC化の加速が予期されるアフターコロナを大きなビジネスチャンスと捉えており、中期的なさらなる成長の実現と変化に応じた構造改革に取り組み、ECの収穫逓増モデルへのさらなる進化を続け将来の企業価値極大化を目指しております。

 

(3)会社の対処すべき課題

当社グループは、以下3つのテーマに注力して取り組んでまいります。

 

① データやテクノロジーを活用・駆使し、全ての働く人に支持されるWEBサイトの進化、商品開発、ロングテール商品の拡大(BtoB事業)

 BtoB事業は、成長を続けるeコマース市場において、ビッグデータを最大限活用し、AIなどのテクノロジーを駆使してDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進することで、お客様が求める商品を最も早く探せるWEBサイトへの進化を継続してまいります。日本最大級のBtoBお客様基盤のビッグデータを保有している強みを活かし、商品検索機能の進化や商品リコメンド機能の進化により、個々のお客様に最適な商品のご提案(1to1マーケティング)に注力してまいります。eコマースならではのSEO(サーチエンジンで商品を検索した際に当社のWEBサイトが上位に掲載される施策)や効果的なインターネット広告の実施により、新規のお客様開拓に注力し、リピート購入や買い回りの増加策と合わせて事業を拡大させていくことで、さらなるビッグデータ蓄積・1to1マーケティング加速の成長循環を生み出してまいります。商品においても、差別化されたオリジナル商品の拡大、BtoBに特化したロングテール商品の拡大により、競合他社とは差別化された、お客様にとってより便利なサービスへと進化を続け、さらなる成長と収益力の向上に取り組んでまいります。

 

② 構造改革の推進および第二成長の実現(BtoC事業

 BtoC事業は、収益改善を伴う新たな第二成長を実現するために、抜本的な構造改革に注力します。WEBサイトは、ヤフー株式会社のシステム基盤を活用する予定でおります。これにより、システムコスト・運営コスト等の固定費の大幅削減を目指します。LOHACO本店と新規お客様獲得を目的に出店しているPayPayモール店の両店でお客様のニーズに合わせた価値を提供してまいります。配送につきましては「置き配」(あらかじめご指定いただいた場所に非対面で荷物などをお届けするサービス)の積極活用や、既存のBtoB事業の配送ネットワークの活用等、お客様のニーズに応えた新たな配送サービスの再構築に取り組んでまいります。

 

③ 「エシカルeコマース」の実現を目指す

 気候変動や脱プラスチック問題、人口減・少子高齢化社会等、社会構造の大きな変化に伴う社会システムの見直しや健康志向のさらなる高まりに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりオフィスでの働き方や一般消費者の生活様式は大きく変化しております。
 当社はこのような環境変化に対応するため新たな価値創造を進めてまいります。今後は持続可能な社会の実現に対する企業の姿勢が問われるものと考え、環境保全や社会課題の解決を考えたサービスを提供する「エシカルeコマース」を目指してまいります。エシカルな取り組みをさらに積極推進し、責任ある調達、環境配慮型商品の拡充や、「RE100」(注2、4)、「EV100」(注3、4)等の気候変動への対応、コピー用紙原料の植林活動等の資源循環の促進の取り組みをより一層加速してまいります。

 

(注)1 当社プライベートブランド商品のほか、当社グループのみで販売するメーカーブランド商品を含みます。

   2 事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が参加する国際ビジネスイニシアチブです。アスクルでは、「RE100」加盟に際し、以下2つの目標達成を宣言いたしました。
・「中間目標」:2025年までに、本社および物流センターでの再生エネルギー利用率を100%にする。
・「目標」:2030年までに、子会社を含めたグループ全体での再生エネルギー利用率を100%にする。

   3 事業運営に関係する車輌をすべて電気自動車に転換することを目標に掲げる企業が参加する国際ビジネスイニシアチブです。物流センターの運営や配送を担うグループ企業ASKUL LOGIST株式会社が所有およびリースにより使用する配送車輌について、2030年までに100%EV化する取り組みです。

   4 「RE100」と「EV100」双方とも、英国の非営利組織クライメイト・グループ(The Climate Group)が主催するビジネスイニシアチブです。

 

2 【事業等のリスク】

当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「重要なリスク」に分類しております。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当有価証券報告書提出日(2020年8月7日)現在において判断したものであります。

 

「特に重要なリスク」

当社グループの事業活動を持続的に進化させるためにも、サプライチェーンの維持は極めて重要であり、そのサプライチェーンが寸断されるような物理的な次のリスクは、顕在化した場合には広域化、或いは長期化する可能性が高く、当社グループとしては、特に重大なリスクとして認識しております。

 

(1)気候変動および災害等におけるリスクについて

当社グループでは、東日本大震災での被災経験を踏まえ、また、直近では地球温暖化に伴う異常気象の頻発も勘案し、地震や台風、集中豪雨等の大規模な自然災害に備え、受注センター・お問合せセンター・物流センターを複数設置することで、リスク分散を図っております。また、事業、拠点、体制等の拡大や当社グループ内外の変化に応じて、事業継続計画の見直しを継続して行っております。しかしながら、自然災害の発生確率は依然として高いことから、想定以上の自然災害が発生し、事業所等が被害を受けた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

また、自然災害以外の火災等の災害については、2017年2月に発生した「ASKUL Logi Park首都圏」(以下、「ALP首都圏」)の火災事故を受け、防火設備点検等の定期的な実施や物流センター運営体制の強化等により再発防止に努めておりますが、災害等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)新型コロナウイルス感染症に関するリスクについて

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生に当たり、当社グループとしてはリモートワークの積極的活用、ソーシャルディスタンスの確保および手指消毒の徹底などにより、各事業所における感染影響の回避に努めております。

しかし、今後このように新型コロナウイルス感染症の大規模な流行が発生した場合、物流センターや配送の現場においてスタッフの出勤が制限されるのみならず、サプライヤーにおいても生産や流通に影響が生じることで、当社グループのサプライチェーン全体に支障が生じる可能性があります。

 

(3)インターネットの障害等について

当社グループでは、「アスクル」「ソロエルアリーナ」「ソロエルエンタープライズ」および「LOHACO」等のサイトを通じてインターネットによる注文を受付けております。

インターネットの急速な普及と相俟って、当社グループにおけるインターネット注文比率は上昇しております。このような状況下、インターネットに特有な技術的または社会的なリスク要因が増大すると見込まれますが、当社グループではインターネットサーバーの増強、分散化、最新化および通信回線容量の増強を図るとともに、万一の障害や事故に備えた基幹システムの二重化およびリアルタイムのバックアップ体制の整備、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するネットワーク・セキュリティの強化を行う等、お客様にいつでも安心してサービスをお使いいただけるよう、安定稼働すべく運用を行っております。

しかしながら、基幹システムの障害やネットワークの障害、不測の事態によるインシデントや、外部からの攻撃、ウィルスの侵入等や急激なアクセスの増加等により情報システムの停止が引き起こされる可能性があり、当社グループの事業運営に重大な支障が発生する可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求等による多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(4)商品の調達リスクについて 

商品に関して、サプライヤーとの間では当社グループの販売力に応じて安定した商品供給体制を整えていただくよう要請しております。しかしながら、グローバルな経済状況の変化、原産地およびサプライチェーンにおける地域紛争や災害・事故の発生、或いは当該商品の持続可能な原料調達に関わる環境問題等から生じる原材料の高騰や入手困難等による生産制限または製造原価の上昇や、為替レートの急激な変動等により安定した商品仕入ができない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループの販売数量が多い商品についてはサプライヤーの分散を図っておりますが、災害や事故等により特定のサプライヤーからの供給がストップした場合で速やかなサプライヤーの代替が困難なときは、販売に支障をきたす可能性があります。

 

「重要なリスク」

(1)当社の通信販売事業モデルについて

① 事業モデルを支えるコンセプト

当社グループの主たる事業である通信販売事業では、サプライヤーをはじめとして、情報システムの開発および保守・運用会社、運送会社、運営業務の委託先、BtoB通信販売事業モデル独自のエージェント、等多くの協力会社によって支えられております。それぞれの機能により、役割を分担・補完し合い、お互いにパートナーとして戦略的に連携(コラボレーション)し、業務や機能の重複、時間やコストの無駄を排除して顧客価値の最大化を図るバリューチェーンの考え方が当社グループの基本スタンスにあります。当社グループでは、事業モデルを支えるパートナー企業との良好な関係の維持に努めておりますが、各社の経営状況の変化等によって、提携による業務委託等の継続ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② BtoB通信販売事業モデルにおけるカタログ発刊に関するリスク

当社グループの主たる事業である通信販売事業では、紙カタログを発刊しております。カタログ掲載商品の選定とカタログ制作におきましては、法令遵守のための専門組織を中心とする管理体制を設け細心の注意を払っておりますが、カタログの表示内容に重大な瑕疵が発生した場合には、内容訂正やお詫びをはじめとする様々な対応を行う事態が発生することが考えられます。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ BtoBの通信販売事業モデルにおけるエージェントの役割

当社のBtoBの通信販売事業モデルにおいて、エージェント制度の採用が大きな特徴となっております。お客様への販売代金回収は、担当エージェント側でその回収リスクを負い、当社側ではエージェントに対する売掛金について回収リスクを負う体制であります。当社では、エージェントの成長力を維持・向上させるためのインセンティブプラン等によりエージェント活動の活性化を促す等の施策を実施しております。また、経済環境の悪化等によりエージェントに倒産等の事由が生じた場合には、当該エージェントが担当しているお客様は速やかに当社さらには後任の担当エージェントに引継がれますので、当社の経営成績に与える影響は限定的と考えられますが、潜在的な可能性として、エージェントの倒産等によって回収リスクが発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社はお客様開拓を優先するためにエージェントを無制限に増やすようなことはせず、エージェントの選定や契約に際して一定の基準および手続を設け、エージェントに対してアスクル事業を展開する財務基盤等を有しているかの確認をし、かつ当社の事業コンセプトへの理解を促しております。

  ④ BtoBの通信販売事業モデルにおける景気動向の影響について

当社のBtoBの通信販売事業は、国内の事業者を主要なお客様として物品を販売しております。当社のお客様は製造業、医療・介護施設、建設業、サービス業やオフィス等、多岐に渡っているため、特定の業種の業績悪化に起因する需要の低下が当社の業績に与える影響は限定的と考えております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、同時に複数の業種の業績悪化により需要の低下が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)商品の調達コストおよび在庫リスクについて 

商品に関して、需給の逼迫による世界レベルでの原材料価格や商品価格の高騰および為替レートの急激な変動により、仕入価格の上昇等の影響が発生する可能性がありますが、このような場合でもお客様に対し仕入価格の上昇分を充分に転嫁しきれない場合があります。これに対し、当社グループではコスト削減のための企業努力に注力いたしますが、企業努力によっても仕入価格の上昇分を補いきれない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、各商品につきましては、お客様の購買動向を「需要予測システム」にて分析し「SYNCHROMART(シンクロマート)」システムで、サプライヤーと在庫・需要予測情報を共有することにより、サプライヤー側で需要予測に応じた生産計画や在庫保有が可能となり、品切れによる販売機会ロスを減らし、お客様満足度の低下の極小化を目指しております。

しかし、新規取扱商品や夏場の飲料水等季節商品、感染症対策のための衛生用品、災害や事故等で一時的に需要に供給が追い付かない商品等で品切れが生じるケースもあります。さらにBtoC事業においては、一般消費者向け商品の嗜好は多岐にわたりかつトレンド変化が早いため、数多くの種類を取り揃えなければならないことから、今後さらに需要予測の精度向上を図り、サプライヤーとも充分な連携を行い、品切れリスクや偏在リスクをなくす等、適正在庫を維持するよう効率的なデマンドチェーン・マネジメントに努めますが、予測を誤った場合またはシステムトラブル等により在庫不足または過剰在庫となる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)商品の安全性および品質水準の低下リスクについて

当社グループでは、商品品質の管理部署を設置し、商品の調達先および商品の選定・管理に最善を尽くしておりますが、商品の品質問題に起因するリコール等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループで製造している食品・飲料等の取扱商品については、食品衛生に関わる設備の充実、品質チェック体制の確立等、お客様に安全な商品をお届けできるよう努めておりますが、品質や商品情報等に瑕疵等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)設備投資および固定資産の減損によるリスクについて

当社グループのコア・コンピタンスを支える基盤は、インターネットやAI、ロボティクスといった情報技術(IT)の活用によるところが多くあります。この分野における技術は著しく変化し、当社グループではそれらのテクノロジーにいち早く対応するために、ソフトウエアを中心に継続的投資を行っております。ITの進歩が著しく、投資したソフトウエア等の利用可能期間が、当初予定したものより短くなった場合、残存期間分の償却が一時に発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、継続的に実施しているソフトウエアの追加投資や大幅な改良を伴うシステムの再構築を行う場合、ソフトウエアのバグ等の要因による開発スケジュールの遅延や稼動後にソフトウエアの品質に問題が生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。ソフトウエアを対象とした投資に加え、業容拡大に伴う物流センターの新設や増改築等の投資を継続的に行うと共に、物流インフラや情報システムについて大規模な新規設備投資を進めております。いずれの設備投資の実施に際しましても、充分な投資対効果の検証を行った上で実施しておりますが、その効果が充分でない場合、またはその効果の発現が予測より遅れた場合には、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。回収可能性の検討の結果を踏まえ、減損損失を計上することになった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)インターネット通信販売について

① 個人情報や機密情報の漏洩について

当社グループは、事業を展開する上で、お客様やお取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や役員、従業員等の個人情報を保有しております。これらの情報が外部流出や破壊、改ざん等がないように、当社グループ全体で、委託先の管理を含め管理体制を構築しており、セキュリティ対策を行うとともに、役員、従業員等の教育を実施しております。また、当社グループでは、情報資産の管理を徹底すべく、情報セキュリティマネジメントシステム(JIS Q 27001)の認証を取得し、JIS Q 27001の要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立し、お客様情報および個人情報の保護においても必要な管理体制を整えております。今後も引き続きネットワーク・セキュリティと情報管理に関しまして強化を図ってまいります。しかしながら、不測の事態によるインシデントや、外部からの攻撃、過失、盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざん等が引き起こされる可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② マーケットプレイス型サービス「LOHACO MALL(ロハコモール)」について

「LOHACO」のサービスの一つであるで「LOHACO MALL」は、出店企業に「LOHACO」をご利用するお客様との直接取引の場を提供することを目的とするいわゆる「マーケットプレイス型サービス」であり、売買契約はお客様と出店企業との間で成立し、当社グループは売買契約について責任を負わないことを定めています。また、出店企業については出店前に所定の審査を行うと共に、販売される商品についても所定の基準を設けて、定期的に出店状況を確認しております。しかしながら、出店企業の商品およびサービスについて、知的財産権侵害やその他の法的要求事項への違反行為等により、当社グループのブランドイメージが棄損された場合、更にはマーケットプレイス型サービスの提供者としての責任を問われた場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(6)物流サービスについて

① 物流サービス品質について

当社グループは、高品質なサービスの提供に努めておりますが、重大な荷物の破損、紛失等といった不具合が発生した場合や荷札等に記載されているお客様情報が管理の不徹底等により外部に流出した場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求を受ける可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 重大な交通事故の発生について

当社グループの配送業務における車両の利用に際しては、交通法規遵守のための教育や安全対策を実施しておりますが、重大な交通事故や法令違反が発生した場合、行政処分が行われたり、更には社会的信用が著しく低下する可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 燃料等の市況について

当社グループで取り組んでいる環境活動や無駄を排除する活動等により、効率的な配送を行っておりますが、車両に用いる燃料価格が高騰した場合や災害等により燃料の調達網が被害を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ eコマース普及に伴う配送業務の逼迫について

当社グループでは、配送パートナーの協力のもと最適な配送網を構築し、「当日配送、翌日配送(一部離島等を除く)」を遵守することでお客様のご支持を得てまいりました。一方、社会的なeコマースの急速な普及拡大に伴うドライバーの人手不足問題等(いわゆる宅配クライシス)により配送業務が逼迫し、国内物流業者による受託配送費の値上げおよび受託荷物の総量規制等が行われております。当社グループとしては、適切なコスト水準の維持とお客様とのお約束の遵守のため、国内物流業者の協力は引き続き得ながら、当社グループ配送ドライバーの増員やグループ会社の活用により、当社グループ配送網の強化を図ってまいります。しかしながら、お客様からのご注文量の増加に対応した配送網の構築や人材の確保が間に合わずお届けができない場合、或いはその対策の結果として配送費が大幅に増加した場合、また配送業務の逼迫を背景に国内物流業者による配送費の大幅値上げがあった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)法的規制への対応やコンプライアンス等について

① 薬機法をはじめとする関連法規等による規制について
当社グループは、医療・介護施設向け用品や医療機関向けの医療専門商材、一般消費者向けの医薬品、健康食品、酒類等をはじめ多岐にわたる商材を取り扱っております。これらの商材の販売および管理は、薬機法をはじめとする関連法規等により規制を受けるものもあり、必要な各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。その他、当社グループは、特定・一般建設業の許可、第一種貨物利用運送事業の登録、一般貨物自動車運送事業の許可、貨物軽自動車運送事業の届出、倉庫業の登録、その他各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。
これらに関連する法令の規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合、或いはこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの営業活動が制限され、業績が影響を受ける可能性があります。
② インターネット通信販売の法的規制について
当社グループは、通信販売業者として「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、医薬品等販売事業者として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(「薬機法」)」、その他「個人情報保護法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の規制を受けております。
かかる法令の施行または改正は予測不可能な場合があり、結果として、今後、これらの規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合には、規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退が必要になる等、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
③ 環境保全における法的規制について
当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染等に関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けて、遵守して事業を行っており、法令遵守のために必要な資源を投下しております。また当社は、環境マネジメントシステム(JIS Q 14001)の認証を取得しており、同要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立しております。
しかしながら将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態等による環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失等の可能性があり、これらのことが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ コンプライアンスについて
当社グループは、事業を展開するにあたり、様々な法律や諸規制の遵守を求められております。当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定めるとともに、コンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進し、健全で公正かつ透明性の高い企業風土を醸成するよう努めております。
しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)カントリーリスクについて

当社グループは、輸出および輸入商品の取り扱いや中国等での商品販売の実施等、海外での取引を行っており、諸外国政府による規制や法令の改正、政治的、経済的な不安定さ、信用経済の発達度合いおよび資金移動の制約等に起因したカントリーリスクが存在します。カントリーリスクに対しては、案件ごとにその回避策を講じてリスク管理に努めておりますが、これらカントリーリスクを完全に回避できるものではなく、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(9)人材の確保と定着におけるリスクについて

当社グループの事業は、物流センターの庫内業務や配送業務等労働集約型の業務がお客様との接点を支えており、質の高い人材を常に一定数確保することが重要であります。また、今後更なる事業拡大およびテクノロジーやサービスの進化に挑戦していく際には優秀な人材を採用、確保することと共に、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保も重要となっております。さらには人材育成を継続的に推進していくことも必要となっております。当社グループは、事業の継続的成長のために新卒採用や経験者の採用を実施し、人材を育成するための各種教育の実施等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し人材の定着と育成に努力するとともに、「働き方改革」を進めて労働環境の整備を実施し社員の定着を図っております。人材の確保と定着は当社グループの成長には重要な要素となりますが、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等により、必要な人材が確保できなかった場合、或いは確保するために人件費が大幅に増加した場合、さらには特に需給が逼迫しているIT系の社員が他社に多数流出する等の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)のれん・投資有価証券等の減損によるリスクについて

当社は、継続的な成長発展に向けて、当社事業とシナジー効果を有する企業への投資や、次世代のイノベーションを起こすために優れた技術・エンジニアを有するベンチャー企業への投資を実施しております。投資に際しては、財務・経営状態・事業計画等を精緻に検討し、投資後も投資先の事業の進捗、財務状況を随時把握するように努めておりますが、投資先の事業が計画通り進捗せずに、収益性の悪化等により価値が毀損されたことでのれんや投資有価証券の減損を実施する場合、投融資した金額等が回収できなくなる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11)内部統制におけるリスクについて

当社グループは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制を整備し運用する必要があります。当社グループは効果的な内部統制システムの整備は極めて重要であると認識し、多くの管理、人材、その他資源を投下し整備に取り組んでおりますが、いかに緻密に整備していたとしても、判断の誤りや過失による限界を有しており、効果的かつ適切である保証はありません。内部統制上の重大な欠陥等が発見された場合、或いは改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、財務報告に関わる内部統制に欠陥があり決算発表を延期せざるをえない等、市場における当社グループの評価が毀損する恐れが生じた場合、さらには欠陥の重大性や原因等の程度によって、法的責任が課せられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)知的財産におけるリスクについて

当社グループは事業を行うにあたり、必要に応じて、特許権、商標権等の知的財産権を取得し保有しております。当社グループが保有し利用するこれらの知的財産権の保護が不十分な場合や、第三者が有する知的財産権の適切な利用許諾を得られない場合には、新規事業やサービスの提供が困難となる可能性があります。また当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業を行っておりますが、第三者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求および差止め請求等、訴訟を提起される可能性があり、賠償金の支払い等が必要となる場合があります。当社グループにおいて知的財産権に関する重大な係争問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)訴訟によるリスクについて

当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定め、顧客、取引先、株主、従業員を含む第三者の権利・利益に十分配慮した行動をするための体制や仕組みの構築を推進しております。しかしながら、このような施策を講じても、当社グループの事業が多岐にわたり、かつ権利義務関係が複雑化することなどにより、意図せずして第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社グループの事業展開に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)Zホールディングス株式会社との業務・資本提携契約について

当社およびZホールディングス株式会社は、2012年4月27日付けで業務・資本提携契約を締結して以降、両社は事業運営の独立性をお互いに尊重し、イコールパートナーシップの精神の下、それぞれが有する集客能力、顧客、仕入先、決済システム、インターネットサービスに係るシステムおよびデザイン技術、物流・配送設備および物流・配送のオペレーション能力、ならびに、それらに関するノウハウ、人材その他のリソースを相互に提供し合い、「お客様に最高のeコマースを提供する」という壮大な目標を実現すべく、当社が運営する「LOHACO」をeコマース史上最も早い成長速度で立ち上げてまいりました。

両社は「LOHACO」をさらに大きく成長させるとともに収益性の向上を図るために、3年間培ってきた信頼関係をベースにさらなる発展および連携の強化を図ることが最善であると判断し、2015年5月19日付けで、業務・資本提携契約を更改いたしました。

当社は、更改された契約日以降、当社の株式の議決権希薄化行為(注)を行おうとする場合には、Zホールディングス株式会社に対して、議決権希薄化行為を行う旨およびその条件を書面にて通知した上で、議決権希薄化行為の直前の時点におけるZホールディングス株式会社の当社の株式に係る議決権割合を維持するために必要なあらゆる措置を適時かつ適切に講じるものとしております。加えて、当社は、当社の新株予約権その他の潜在株式の行使または株式への転換(以下「新株予約権行使等」という。)により、当該新株予約権行使等の直後の時点におけるZホールディングス株式会社の当社株式に係る議決権割合が、(a)2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下し、かつ、(b)直前に上記措置を講じた時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社の株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下した場合には、Zホールディングス株式会社に対して、その旨を書面にて通知した上で、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合を回復または維持するために必要なあらゆる措置を講じるものとしております。このため、当該措置を講じた場合、当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性があります。

なお、Zホールディングス株式会社は、更改された契約日以降、自らまたは第三者をして、当社の株式を追加取得(Zホールディングス株式会社または第三者が当社の株式を有するその他の第三者(有価証券報告書または四半期報告書の大株主の状況の記載により、当社の株式を有することが合理的に認知可能な第三者に限る。)の株式その他の持分を取得することにより、当社の株式を間接保有することとなる態様による取得を含む。)することを希望する場合は、事前に当社に対して書面により通知し、Zホールディングス株式会社および当社の書面による合意に基づいて実施するものとしております。

その他、Zホールディングス株式会社は、Zホールディングス株式会社および契約更改後にZホールディングス株式会社の子会社となった当該子会社(以下「Zホールディングスグループ」という。)の保有する当社の株式に係る議決権割合が、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングスグループの保有する当社の株式に係る議決権割合の合計よりも100分の1以上上昇した場合には、速やかに、市場取引等により当社の株式を売却しまたは売却せしめることその他、Zホールディングスグループの当社の株式に係る議決権割合の合計を、本自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社の議決権割合の合計に復するために必要な措置を講じるものとしております。但し、上記に定めるZホールディングス株式会社および当社の書面による合意に基づいて行われる取引により、または当社による自己株式取得その他Zホールディングスグループの作為によらずに、Zホールディングスグループの当社の株式に係る議決権割合の合計が上昇した場合は、この限りではありません。上記等により株価等に影響を及ぼす可能性があります。

 (注) 当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性のある一切の行為(募集株式の発行、自己株式の処分、株式の発行を伴う組織再編等、議決権の希薄化が現に生じる行為のほか、新株予約権、議決権のある株式に転換可能な種類株式その他の潜在株式の発行等、将来議決権の希薄化が生じる可能性のある行為を含みます。但し、既に発行済の新株予約権の行使による当社の株式の発行若しくはそれに伴う自己株式の交付、または、当社の単元未満株式を有する株主から、会社法第194条第1項および当社の定款第10条に基づく単元未満株式の売渡請求がなされた場合において、当社がその保有する自己株式を当該株主に売り渡す行為を除きます。)を指します。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2019年5月21日から2020年5月20日まで)におけるわが国経済は、雇用環境等に引き続き改善が見られ、景気は緩やかな回復基調で推移しておりましたが、米中貿易摩擦や海外の政治情勢の不安定化が継続していることや、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の拡大により、先行きは不透明な状況となっております。

当社グループが属するeコマース市場は、新型コロナウイルス感染症を起因とする新たな生活様式が求められている中において、BtoC事業を中心に需要は増加傾向にありますが、配送ドライバー不足等に起因した配送運賃の高止まりや同業他社とのサービス競争が、eコマース企業各社の経営に大きな影響を与えております。

このような状況の中、主力分野であるeコマース事業のBtoB事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う企業活動停滞等の影響により、第4四半期連結会計期間において前年同期比で売上高が減少しましたが、ご利用者数が伸長したこと等により、通期では増収増益となりました。

BtoC事業は、「LOHACO」の損益改善を最優先課題として取り組みました。2019年1月に実施した「LOHACO」の基本配送料が無料となるご注文金額(以下、「配送バー」)改定や2019年7月の「ひと箱eco」(注1)サービスの開始等が購入点数の増加や売上高配送費比率の大幅な低下に繋がり、業績改善は予定通りの進捗となりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,003億76百万円(前期比3.3%増)、「LOHACO」の損益改善が寄与し、営業利益88億21百万円(前期比95.1%増)、経常利益86億56百万円(前期比95.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、56億52百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益4億34百万円)となりました。

 

セグメント別(セグメント間取引を含む)の経営成績につきましては、以下のとおりです。

<eコマース事業>

当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、さらなる成長に向けてeコマース戦略を実行してまいりました。当社で購入経験のないお客様がサーチエンジンで商品を検索した際に当社のWEBサイトが上位に掲載される施策(SEO)やインターネット広告の強化により新規のお客様のご利用が増加いたしました。併せてビッグデータやAI(人工知能)を活用したWEBサイト上の検索機能の進化や名前がわからない商品でも検索できる画像検索機能等を追加し、従来から当社サービスをご利用いただいているお客様の購入点数・単価の増加に向けた取組みも積極的に行ってまいりました。

商品の種類別でみると、店舗等で頻繁に利用される日用消耗品や消耗紙、オフィスで利用される飲料等の生活用品、注力分野である医療・介護施設向け商材、ロングテール商品を含むMRO商材(注2)の売上高が順調に拡大いたしました。サービス面では、2019年8月の衛生・介護用品を皮切りに、梱包作業用品、飲料と定期配送サービスの対象商品を順次拡大してまいりました。

また、当社グループは、お客様のライフラインを支える一企業としての責任を果たすべく、新型コロナウイルス感染症に対応する経済産業省および厚生労働省からの要請を受け、医療機関・介護施設等への手指消毒液の優先お届け対応等を実施いたしました。これらの経験・実績を基に、今後ともインフラ企業としての使命と責任を果たしてまいります。

この結果、BtoB事業合計では、第4四半期連結会計期間における新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う企業活動停滞等の影響により、4月、5月の売上高の落ち込みはあったものの、第3四半期連結累計期間まで順調に推移してきたことから、通期では、前期比で132億57百万円増収の3,290億72百万円(前期比4.2%増)となりました。

BtoC事業につきましては、「LOHACO」における損益改善を最優先課題として取り組んでまいりました。損益改善については、前期2019年1月に実施した「配送バー」改定や2019年7月から始めた「ひと箱eco」サービス等の構造改革の効果が着実に表れてきており、売上総利益の上昇と売上高配送費比率の改善が進みました。

一方、翌期以降の再成長に向けて、新たなお客様の獲得を目的に、2019年10月に「LOHACO」はヤフー株式会社が新たに開始した「PayPayモール」に出店しており、「PayPayモール」経由の売上高は順調に伸長しております。また、「LOHACO」ならではの独自価値商品のラインナップの強化にも取り組んでまいりました。

新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛が続いたことから、eコマースに対する需要は一層高まっております。「LOHACO」へのご注文も増加しておりますので、出荷体制を整え、翌期以降の売上高の拡大に注力してまいります。

この結果、「LOHACO」の売上高は損益改善を優先した影響等により、前期比で27億74百万円減収の486億20百万円(前期比5.4%減)となり、BtoC事業合計でも、前期比で19億44百万円減収の633億34百万円(前期比3.0%減)となりました。損益面においては、各種損益改善策が功を奏したこと、また、広告等のフィー収入の増加により損益の改善が予定通り進みました。

以上の結果、両事業を合計したeコマース事業の売上高は3,924億6百万円(前期比3.0%増)となりました。差引売上総利益は、オフィス生活用品やMRO商材等の増収や収益力の高い当社オリジナル商品の拡充に加え、「LOHACO」の売上総利益率の改善等により、946億45百万円(前期比4.6%増)となりました。

上述の通り売上高配送費比率が減少したこと、また、前期に「ASKUL Value Center 日高」の固定資産を減損したことにより減価償却費が減少したことで売上高販管費比率が前期比0.6ポイント減少し、販売費及び一般管理費が854億57百万円となり、営業利益は91億88百万円(前期比82.8%増)となりました。

 

(注) 1 お客様に水・お茶などの飲料対象商品をお求めやすい本数・価格でご提供し、かつ、合計18kgまでの組み合わせなら飲料配送手数料がかからないサービスを指します。各種飲料を詰め合わせても、ご注文頂いた商品が1箱で収まるような買い方を推奨・促進していくことで、荷物を運ぶ配送への負担を減らしながら、売上高配送費比率の低減にも繋がります。

   2 Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場等で使用される消耗品・ 補修用品等の間接材全般を指します。

 

<ロジスティクス事業>

株式会社ecoプロパティーズの物流施設のアセットマネジメント事業による売上高の増加等がありましたが、物流業務受託の準備期間に係る物流センター賃料等の費用負担があったことから、営業損失となりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は71億97百万円(前期比29.5%増)、営業損失は4億円(前期は営業損失5億17百万円)となっております。

 

 <その他>

嬬恋銘水株式会社の売上高は概ね前期並みで進捗しました。

当連結会計年度の売上高は13億22百万円(前期比4.2%増)、営業利益は59百万円(前期比168.3%増)となっております。

 

財政状態の状況は以下の通りであります。

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は1,741億14百万円となり、前連結会計年度末と比べ50億2百万円増加いたしました。主な増加要因は、現金及び預金が57億91百万円、未収入金が16億6百万円、商品及び製品が8億16百万円、ソフトウエアが5億62百万円増加したことであります。主な減少要因は、受取手形及び売掛金が34億88百万円、減価償却が進んだことによりリース資産が11億19百万円減少したことであります。

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は1,212億89百万円となり、前連結会計年度末と比べ8億8百万円増加いたしました。主な増加要因は、電子記録債務が16億44百万円、未払金が9億40百万円、未払法人税等が8億72百万円増加したことであります。主な減少要因は、リース債務(長期)が11億81百万円、長期借入金が9億66百万円、支払手形及び買掛金が7億23百万円減少したことであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は528億25百万円となり、前連結会計年度末と比べ41億93百万円増加いたしました。主な増加要因は、配当金の支払18億87百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益56億52百万円の計上等により、利益剰余金が37億96百万円増加したことであります。

以上の結果、自己資本比率は30.1%(前連結会計年度末は28.6%)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は632億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億91百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、166億9百万円(前期比103億94百万円増)となりました。これは税金等調整前当期純利益84億60百万円、減価償却費とソフトウエア償却費、のれん償却額の合計59億円および売上債権の減少35億79百万円の増加要因があったこと等によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、60億55百万円(前期比93百万円減)となりました。これは、ソフトウエアの取得による支出32億60百万円、有形固定資産の取得による支出18億27百万円の減少要因があったこと等によります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、47億61百万円(前期比1億88百万円増)となりました。これは、長期借入金の返済による支出22億15百万円、配当金の支払18億87百万円、リース債務の返済による支出17億4百万円の減少要因があったこと等によります。

 

 

③ 生産、仕入および販売の状況

  a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

その他 (注)1

854

+5.6

合計

854

+5.6

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 金額は、製造原価によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。

 

  b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

eコマース事業

298,177

+2.1

その他

89

+12.6

合計

298,266

+2.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、仕入価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。

 

  c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

eコマース事業

392,406

+3.0

ロジスティクス事業

7,197

+29.5

その他

773

△5.6

合計

400,376

+3.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等などを含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。

 

(のれんの減損)

当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、5~10年間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a. 経営成績等

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b. キャッシュ・フローの分析

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループが属するeコマース市場は引き続き成長が見込まれているものの、競合とのサービス競争は激化しております。当社グループといたしましては、BtoB事業は、お客様のご要望にあった品揃えの拡大や当社オリジナル商品の拡充、AIやテクノロジーを活用し、お客様にとって最も早く探せるWEBサイトへの進化を続け、他社との差別化を図ってまいります。BtoC事業は、売上総利益率の改善、固定費の大幅な削減により損益改善を進めてまいります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであると認識しておりますが、各種対応策を実施することでリスク要因の低減を図ってまいります。

 

 ④ 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、BtoC事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。

設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。

 

 ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、eコマースのBtoC事業をBtoB事業と並ぶ収益の柱に成長させることを目指し、中期経営戦略の目標指標として、BtoC事業に係る流通総額1,000億円を目標に掲げておりました。当連結会計年度におけるBtoC事業に係る流通総額は、650億16百万円となっております。
 一方、BtoC事業につきましては、あらゆる業種でのEC化が進み、競争環境は厳しさを増す中で、配送ドライバーや庫内作業従事者の人手不足等を起因とする賃金の上昇等により、物流変動費が増加し、事業全体のコスト構造が従前から大きく変化していると認識しております。そのため、当面は、収益重視の構造改革を断行することに経営の舵を切り、売上総利益率の改善、固定費の大幅な削減に注力してまいります。BtoC事業の「LOHACO」は、2023年5月期の黒字化を新たな経営上の目標としており、2021年5月期は営業損失44億円(2020年5月期は営業損失61億29百万円)までの改善を計画しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2020年7月10日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社エコ配の一部株式を譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

なお、詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

5 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。