文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2021年7月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針および中長期的な経営戦略等
当社は1992年のアスクル創業以来、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、着実な成長を実現してまいりました。
これに加え、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まり、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。
一方で新型コロナウイルス感染症を起因とした新しい生活様式へのシフトやテクノロジーの急速な進化等により、当社を取り巻く事業環境は劇的に変化し、eコマース市場規模およびeコマース化率は拡大を続けているものの、他方で、競争は激化しており、この激化する競争に勝ち抜くため2022年5月期から2025年5月期の4年間の経営方針として中期経営計画を策定しました。
中期経営計画の基本方針として、「サステナブル経営」、「お客様価値最大化」、「高収益モデルへの転換」の3つを掲げており、環境保全や社会課題の解決を考えたサービス「エシカルeコマース」の実践により、環境課題の解決を事業と一体化して実現してまいります。この方針のもと、当社グループが有する多様なお客様基盤・ビッグデータ、全国に当日翌日配送を可能とする高度に自動化された独自の物流基盤、長年蓄積してきたオリジナル商品開発力等、これらの優位性を活かしながら、グループの総力を結集して、オフィス通販からすべての仕事場とくらしを支えるインフラ企業へとトランスフォーメーションを図ってまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、(3)会社の対処すべき課題の4つのテーマに注力して取り組みますが、新規ビジネスの創出により企業価値を高め、中期経営計画の最終年度である2025年5月期には、連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、連結株主資本利益率(ROE)20%を実現してまいります。
当連結会計年度(2021年5月期)は、従来のオフィス用品の売上の落込みを感染対策商品でカバーした結果、連結売上高は着実に成長し、売上総利益率および売上高物流費比率についても改善が図られた結果、売上高は4,221億円、売上高営業利益率は3.3%、ROEは14.0%となりました。
次期(2022年5月期)においては、中期経営計画実現に向けた礎を作る年度と位置付けており、約28億円のコストを積極的に投下(「ASKUL東京DC」、新WEBサイト等)しながら、2021年5月期並みの営業利益を目指してまいります。その結果、売上高は4,300億円、売上高営業利益率は3.3%、ROEは14.5%となる見通しです。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループは、以下4つのテーマに注力して取り組んでまいります。
① 戦略業種と品揃え拡大
BtoB事業は、取り扱い商品数の拡大、WEBサイトの刷新を成長エンジンに高い成長率を目指してまいります。医療・介護、製造業を強化する2大戦略業種と位置付け、戦略業種向けを中心に、2025年5月期を目標に取り扱い商品数を1,800万アイテムまで拡大してまいります。また、いつも買う「明日来る」の在庫商品も33万アイテムに拡大し、価格・品質の優位性があり、環境配慮型商品であるオリジナル商品数も従来の1.4倍に拡大することで、これまで以上に多くのお客様にご利用いただく機会を増やしてまいります。
② BtoB最強eコマースサイトの構築
2023年5月期中にWEBサイトの刷新を予定しております。新WEBサイトは、従来からの無料の購買管理機能、ボリュームディスカウント、検索からの最速購入、パーソナライズドリコメンドを結集・強化し、テレワーク対応の新機能も追加することで、お客様の購買頻度の増加や購入単価の向上、購買集約による定着率向上により、2025年5月期までの累計売上高の増加額として500億円超を計画しております。
③ Zホールディングスグループとのシナジー
BtoC事業は、「LOHACO」の収益事業化の実現を目指してまいります。ヤフー株式会社の有するシステム基盤等を活用することで、サービス品質の向上とコストダウンを図り、2023年5月期での黒字化を計画しております。黒字化以降は、売上高を再成長軌道に乗せ、収益を拡大してまいります。2021年6月に新たにオープンした「LOHACO 本店」と「LOHACO PayPayモール店」両店の相乗効果を最大化し、2025年5月期までの累計売上高の増加額として200億円超を計画しております。
④ プラットフォームの改革
圧倒的強みである高速物流を進化させ、ロングテール商品の「明日来る」の実現を目指してまいります。この実現のため、物流センターの構造を改革し、併せてBtoB事業とBtoC事業の物流の融合を進めてまいります。具体的には、物流センターの後方に商品補充用の倉庫ネットワークを構築し、物流センターでの出荷取り扱い商品数を拡大することにより、物流センター本来の機能である出荷能力を最大化してまいります。
2021年7月には最先端基幹センターである「ASKUL東京DC」が竣工し、2022年夏の稼働開始を予定しております。AIロボット等の最先端技術の導入等によりバリューチェーンのデジタルトランスフォーメーションを図り、当社グループの生産性向上にとどまらず、お客様の価値向上に繋げてまいります。
当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループでは、将来の経営成績に影響を与えるリスクを「重要なリスク」として抽出しリスクアセスメントを行うと同時に、その中でも特に当社グループの事業継続に著しい影響を及ぼすと認めたリスクを「特に重要なリスク」と定め、必要なリスク対応策を策定しています。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当有価証券報告書提出日(2021年7月30日)現在において判断したものであります。
当社グループでは、東日本大震災の被災経験を踏まえ、また、直近では地球温暖化に伴う異常気象の頻発も勘案し、地震や台風、集中豪雨等の大規模な自然災害や、それに伴う大規模な停電や公共交通機関の運休等に備え、受注センター・お問い合わせセンター・物流センターを複数設置することで、リスク分散を図っております。また、事業、拠点、体制等の拡大や当社グループ内外の変化に応じて、事業継続計画の見直しを継続して行っております。しかしながら、自然災害の発生確率は依然として高いことから、想定以上の自然災害が発生し、事業所等が被害を受け、サービスの継続に支障を来した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
さらに当社グループのみならず、当社グループのサプライチェーンを構築するサプライヤー、あるいは配送委託先等が災害等の被害を受け、その影響が長期化、広域化した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、当社においては、インターネット通販という事業内容の特性や事業規模の観点から、本社機能が1ヶ所に集中しています。昨今の働き方改革に伴い、当社においてもリモートワークが進んでいるものの、大規模な自然災害等により本社機能の喪失が長期化した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
なお、自然災害以外の火災等の災害については、2017年2月に発生した「ASKUL Logi Park首都圏」の火災事故を受け、防火設備点検等の定期的な実施や物流センター運営体制の強化等により再発防止に努めておりますが、万が一こうした災害等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生にあたり、当社グループとしてはリモートワークの積極的活用、ソーシャルディスタンスの確保および手指消毒の徹底等により、各事業所における感染影響の回避に努めております。
しかし、今後このように大規模な感染症の流行が発生した場合、物流センターや配送拠点においてスタッフの出勤が制限されるのみならず、サプライヤーにおいても生産や流通に影響が生じることで、当社グループのサプライチェーン全体に支障が生じ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、当社の主力事業であるBtoBの通信販売事業は、国内の事業者を主要なお客様として物品を販売しておりますが、お客様の業種は製造業、医療・介護施設、建設業、サービス業等、多岐に渡っているため、特定の業種の業績悪化に起因する需要の低下が当社の業績に与える影響は限定的と考えております。しかしながら、この度のような全国的かつ大規模な感染症の影響等、同時に複数の業種の業績悪化により需要の低下が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、「アスクル」「ソロエルアリーナ」「ソロエルエンタープライズ」および「LOHACO」等のサイトを通じてご注文の大半をインターネットによって受け付けているとともに、お客様のお届けに至るサプライチェーン全体をITシステムにて構築しています。
今後、社会のIT化、デジタル化が進むにつれて、インターネットをはじめとするITシステムに特有の技術的または社会的なリスク要因が増大すると見込まれますが、当社グループではサーバーの増強、分散化、最新化および通信回線容量の増強を図るとともに、万一の障害や事故に備えた基幹システムの二重化およびリアルタイムのバックアップ体制の整備、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するネットワーク・セキュリティの強化を行う等、お客様にいつでも安心してサービスをお使いいただけるよう、安定稼働すべく運用を行っております。
しかしながら、基幹システムの障害やネットワークの障害、不測の事態によるインシデントや、外部からの攻撃、ウィルスの侵入等や急激なアクセスの増加等により情報システムの停止が引き起こされる、あるいは情報の流出、破壊もしくは改ざん等が引き起こされる可能性があり、当社グループの事業運営に重大な支障が発生する可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求等による多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、事業成長に伴って、情報処理能力や出荷能力の拡大、あるいはお客様向けサービスの刷新を目的に、大規模な情報システム開発や物流インフラ等への設備投資を継続的に実施しています。いずれの場合も、周到に準備を行い、綿密な計画を立案の上、必要な経営資源を投入することにより、決められた期間、予算内で実現するように努めていますが、想定を超えるトラブルの発生等によりスケジュールが大幅に遅延する、あるいは当該システムや設備の完成を断念せざるを得ない可能性があります。その場合、所定の投資費用が回収できないのみならず、多額の追加費用の発生や、サービスの低下・停止等に伴う社会的信頼の失墜により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
さらに、ITの進歩が著しく、投資したソフトウエア等の利用可能期間が、当初予定したものより短くなった場合、残存期間分の償却が一時に発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、いずれの設備投資の実施に際しましても、充分な投資対効果の検証を行った上で実施しておりますが、その効果が充分でない場合、またはその効果の発現が計画より遅れた場合には、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。回収可能性の検討の結果を踏まえ、減損損失を計上することになった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)パートナー企業への業務委託の継続性に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業では、サプライヤーをはじめ、情報システムの開発および保守・運用会社、配送会社、運営業務の委託先、BtoB通信販売事業モデル独自のエージェント等多くの協力会社によって支えられております。それぞれの機能により、役割を分担・補完し合い、お互いにパートナーとして戦略的に連携し、業務や機能の重複、時間やコストの無駄を排除してお客様価値の最大化を図るバリューチェーンの考え方が当社グループの基本スタンスにあります。当社グループでは、事業モデルを支えるパートナー企業との良好な関係の維持に努めておりますが、ビジネスモデルの進化と市場の変化に伴ってパートナー企業の役割の見直しや、契約関係の改廃が生じ、特定の分野のパートナーが離脱した場合、あるいは各社の経営状況の変化等によって、提携による業務委託等の継続ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業を展開する上で、お客様やお取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や役員、従業員等の個人情報を保有しております。これらの情報の破壊、改ざん、あるいは外部流出や競合他社への不正な提供等がないように、当社グループ全体で委託先も含めた管理体制を構築しセキュリティ対策を行うとともに、役員、従業員等への教育を実施しております。また、当社グループでは、情報資産の管理を徹底すべく、情報セキュリティマネジメントシステム(JIS Q 27001)の認証を取得し、JIS Q 27001の要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立し、お客様情報および個人情報の保護においても必要な管理体制を整えており、今後も引き続きネットワーク・セキュリティと情報管理に関しまして強化を図ってまいります。しかしながら、万が一、不測の事態により、これらの情報の破壊、改ざん、あるいは外部流出や競合他社への不正な提供等が引き起こされた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① コンプライアンスについて
当社グループは、事業を展開するにあたり、様々な法律や諸規制の遵守を求められております。当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定めるとともに、コンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進し、健全で公正かつ透明性の高い企業風土を醸成するよう努めております。
しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 社会課題への対応について
現在、各企業は「社会の公器」として、SDGsに代表されるような環境や人権をはじめとする社会的な課題への対応を求められています。当社グループも企業活動を通じて、積極的にこうした社会課題の解決に努めております。
しかしながら、こうした社会課題は原因が複合的であったり、関係者の利害関係が複雑であったりするため、結果的に当社グループの取り組み方が不十分、あるいはその成果がお客様、あるいは社会一般の期待に添えない場合、当社グループの社会的信用が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法令違反について
a.事業運営に関わる関連法規等による規制について
当社グループは、医療・介護施設向け用品や医療機関向けの医療専門商材、一般消費者向けの医薬品、健康食品、酒類等をはじめ多岐にわたる商材を取り扱っております。これらの商材の販売および管理は、関連法規等により規制を受けるものもあり、必要な各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。その他、当社グループは、特定・一般建設業の許可、第一種貨物利用運送事業の登録、一般貨物自動車運送事業の許可、貨物軽自動車運送事業の届出、倉庫業の登録、その他各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。また、ビジネスの構造上、多くのお取引先と多様な取引を行っており、独占禁止法、下請法等一般的なビジネスに関わる法令の対象となっています。
こうした各種の法令については、従業員に対して必要な教育や啓発活動を行うとともに、これらの法令の規制改正や新たな法的規制については、規制当局やお取引先を通じて適宜把握し、必要な対応策を講じています。しかしながら、担当する従業員の理解不足や、社内の部門間連携の不手際等によりこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの営業活動が制限され、業績が影響を受ける可能性があります。
b.インターネット通信販売特有の法的規制について
当社グループは、通信販売業者として「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、医薬品等販売事業者として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(「薬機法」)」、その他「個人情報保護法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の規制を受けております。
かかる法令の施行または改正は予測不可能な場合があり、結果として、今後、これらの規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合には、規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退が必要になる等、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
c.環境保全における法的規制について
当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染等に関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けて事業を行っており、法令遵守のために必要な資源を投下しております。また当社は、環境マネジメントシステム(JIS Q 14001)の認証を取得しており、同要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立しております。
しかしながら将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態等による環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応によるお客様喪失等の可能性があり、これらのことが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 内部統制について
当社グループは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制を整備し運用する必要があります。当社グループは、効果的な内部統制システムの整備は極めて重要であると認識し、必要な経営資源を投下し整備に取り組んでおりますが、いかに緻密に整備していたとしても、判断の誤りや過失による限界を有しており、効果的かつ適切である保証はありません。内部統制上の重大な欠陥等が発見された場合、あるいは改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、財務報告に関わる内部統制に欠陥があり決算発表を延期せざるをえない等、市場における当社グループの評価が毀損する恐れが生じた場合、さらには欠陥の重大性や原因等の程度によって、法的責任が課せられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材の確保と定着におけるリスクについて
当社グループの事業は、物流センターの庫内業務や配送業務等、労働集約型の業務がお客様との接点を支えており、質の高い人材を常に一定数確保することが重要であります。また、今後更なる事業拡大およびテクノロジーやサービスの進化に挑戦していくための優秀な人材を採用、確保することとともに、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保も重要となっております。さらには人材育成を継続的に推進していくことや、性別、年齢、人種、国籍の違いを尊重したダイバーシティを適切に推進することも必要となっております。当社グループは、ダイバーシティに十分に配慮しながら、事業の持続的成長のために新卒採用や経験者の中途採用を実施し、人材を育成するための各種教育の実施等、従業員のモチベーションを向上する仕組みを構築するとともに、「働き方改革」を進めて労働環境の整備を実施し、従業員の定着を図っております。
人材の確保と定着は当社グループの成長には重要な要素となりますが、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、必要な人材が確保できなかった場合、あるいは確保するために人件費が大幅に増加した場合、また、従業員満足度の低下に伴う転職者の増加等、人材の定着率が低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
「重要なリスク」
① 商品調達
商品調達に関して、サプライヤーとの間では当社グループの販売力に応じて安定した商品供給体制を整えていただくよう要請しております。しかしながら、グローバルな経済状況の変化、原産地およびサプライチェーンにおける政治体制の変化、地域紛争といったいわゆるカントリーリスクや災害・事故の発生、あるいは当該商品の持続可能な原料調達に関わる環境問題等から生じる原材料の高騰や入手困難等による生産制限または製造原価の上昇や、為替レートの急激な変動等により安定した商品調達ができない、あるいは仕入価格が高騰する等の影響が発生する可能性があります。
安定的な商品調達のため、当社グループの販売数量が多い商品についてはサプライヤーの分散を図っておりますが、災害や事故等により特定のサプライヤーからの供給がストップし、速やかなサプライヤーの代替が困難なときは、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、仕入価格の高騰にあたっては、お客様に対し仕入価格の上昇分を充分に転嫁しきれない場合があります。これに対し、当社グループではコスト削減のための企業努力に注力いたしますが、企業努力によっても仕入価格の上昇分を補いきれない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 在庫管理
各商品につきましては、お客様の購買動向を「需要予測システム」にて分析し「SYNCHROMART(シンクロマート)」システムで、サプライヤーと在庫・需要予測情報を共有することにより、サプライヤー側で需要予測に応じた生産計画や在庫保有が可能となり、品切れによる販売機会ロスを減らし、お客様満足度の低下の極小化を目指しております。
しかし、新規取扱商品や夏場の飲料水等の季節商品、感染症対策のための衛生用品、災害や事故等で一時的に需要に供給が追い付かない商品等で品切れが生じるケースもあります。さらにBtoC事業においては、一般消費者向け商品の嗜好は多岐にわたり、かつトレンド変化が早いため、数多くの種類の商品を取り揃えていることから、今後さらに需要予測の精度向上を図るとともに、サプライヤーとも充分な連携を行い、品切れリスクや偏在リスクをなくす等、適正在庫を維持するよう効率的なデマンドチェーン・マネジメントに努めますが、予測を誤った場合やシステムトラブルが発生した場合は在庫不足または過剰在庫となる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの主たる事業である通信販売事業で取り扱っている商品アイテム数は年を追うごとに加速度的に増加しています。商品の選定、およびその商品情報のインターネットや紙カタログへの掲載におきましては、人為的なミスを回避するためシステム化を進めるとともに、法令遵守のための専門組織を中心とする管理体制を設け、細心の注意を払っておりますが、表示内容に重大な瑕疵が発生した場合には、内容訂正やお詫び、損害賠償、法令違反への対応をはじめとする様々な対応を行う事態が発生することが考えられます。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)システム、およびサービス陳腐化に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業、中でもeコマース(電子販売事業)においては、お客様に提供するサービス、およびそれを実現するITシステムが急速に進化しています。当社グループにおいても、人材、資金、最新技術等必要な経営資源を適時適切に投入し、競合する企業やサービスに対抗して、常に高いお客様満足度を維持するよう努めています。しかしながら、必要な経営資源が確保できない、あるいは投入が遅れたり不十分であったりした場合、当社グループのシステムやサービスの進化が競合に遅れ、お客様離れが生じることで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社のBtoBの通信販売事業モデルにおいて、販売エージェント制度の採用が大きな特徴となっております。お客様の営業開拓は販売エージェントが担い、自社で開拓したお客様からの販売代金は当該エージェントがその回収リスクを負い、当社側ではエージェントに対する売掛金について回収リスクを負う体制であります。当社では、エージェントの成長力を維持・向上させるためのインセンティブプラン等によりエージェント活動の活性化を促す等の施策を実施しております。また、経済環境の悪化等によりエージェントに倒産等の事由が生じた場合には、当該エージェントが担当しているお客様は速やかに当社、さらには後任の担当エージェントに引継がれますので、当社の経営成績に与える影響は限定的と考えられますが、潜在的な可能性として、エージェントの倒産等によって回収リスクが発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、今後、経営者の高齢化が進むにつれて、エージェントを営む企業の事業撤退や事業譲渡が進むことが想定されますが、特に大規模エージェントにおいて、このような事態が発生した場合、それに伴って多数のお客様が当社サービスから離反する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社はお客様開拓を優先するためにエージェントを無制限に増やすようなことはせず、エージェントの選定や契約に際して一定の基準および手続を設け、エージェントに対してアスクル事業を展開する財務基盤等を有しているかの確認をし、かつ当社の事業コンセプトへの理解を促しております。
当社グループは、高品質なサービスの提供に努めておりますが、重大な荷物の破損、紛失等といった不具合が発生した場合や荷札等に記載されているお客様情報が管理の不徹底等により外部に流出した場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求を受ける可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの配送業務における車両の利用に際しては、交通法規遵守のための教育や安全対策を徹底しておりますが、重大な交通事故や法令違反が発生した場合、行政処分が行われ、更には社会的信用が著しく低下する可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループで取り組んでいる環境活動や無駄を排除する活動等により、効率的な配送を行っておりますが、車両に用いる燃料価格が高騰した場合や災害等により燃料の調達網が被害を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 配送業務に関する環境変化について
当社グループでは、配送パートナーの協力のもと最適な配送網を構築し、「当日配送、翌日配送(一部離島等を除く)」を遵守することでお客様のご支持を得てまいりました。一方、社会的なeコマースの急速な普及拡大に伴うドライバーの人手不足問題等により配送業務が逼迫し、国内物流業者による受託配送費の値上げおよび受託荷物の総量規制等が行われるとともに、こうした人手不足を背景にドライバーの労働条件の改善を目的とする運送事業関連法令等の改正が行われております。当社グループとしては、法令を遵守しつつ、適切なコスト水準とお客様への配送サービスの維持の両立のため、国内物流業者の協力を引き続き得ながら、当社グループ配送ドライバーの増員等グループ会社の活用により、当社グループ配送網の強化を図ってまいります。しかしながら、お客様からのご注文量の増加に対応した配送網の構築や人材の確保が間に合わずお届けができない場合、あるいはその対策の結果として配送費が大幅に増加した場合、また配送業務の逼迫を背景に国内物流業者による受託配送費の大幅値上げがあった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社は、継続的な成長発展に向けて、当社事業とシナジー効果を有する企業への投資や、次世代のイノベーションを起こすために優れた技術・エンジニアを有するベンチャー企業への投資を実施しております。投資に際しては、財務・経営状態・事業計画等を精緻に検討し、投資後も投資先の事業の進捗、財務状況を随時把握するように努めておりますが、投資先の事業が計画通り進捗せずに、収益性の悪化等により価値が毀損されたことでのれんや投資有価証券の減損を実施した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業を行うにあたり、必要に応じて、特許権、商標権等の知的財産権を取得し保有しております。当社グループが保有し利用するこれらの知的財産権の保護が不十分な場合や、第三者が有する知的財産権の適切な利用許諾を得られない場合には、新規事業やサービスの提供が困難となる可能性があります。また当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業を行っておりますが、第三者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求および差止め請求等、訴訟を提起される可能性があり、賠償金の支払い等が必要となる場合があります。当社グループにおいて知的財産権に関する重大な係争問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定め、お客様、取引先、株主、従業員を含む第三者の権利・利益に十分配慮した行動をするための体制や仕組みの構築を推進しております。しかしながら、このような施策を講じても、当社グループの事業が多岐にわたり、かつ権利義務関係が複雑化すること等により、意図せずして第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償等の訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社グループの事業展開に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社およびZホールディングス株式会社は、2012年4月27日付けで業務・資本提携契約を締結して以降、両社は事業運営の独立性をお互いに尊重し、イコールパートナーシップの精神の下、それぞれが有する集客能力、お客様、仕入先、決済システム、インターネットサービスに係るシステムおよびデザイン技術、物流・配送設備および物流・配送のオペレーション能力、ならびに、それらに関するノウハウ、人材その他のリソースを相互に提供し合い、「お客様に最高のeコマースを提供する」という壮大な目標を実現すべく、当社が運営する「LOHACO」をeコマース史上最も早い成長速度で立ち上げてまいりました。
両社は「LOHACO」をさらに大きく成長させるとともに収益性の向上を図るために、3年間培ってきた信頼関係をベースにさらなる発展および連携の強化を図ることが最善であると判断し、2015年5月19日付けで、業務・資本提携契約を更改いたしました。
当社は、更改された契約日以降、当社の株式の議決権希薄化行為(注)を行おうとする場合には、Zホールディングス株式会社に対して、議決権希薄化行為を行う旨およびその条件を書面にて通知した上で、議決権希薄化行為の直前の時点におけるZホールディングス株式会社の当社の株式に係る議決権割合を維持するために必要なあらゆる措置を適時かつ適切に講じるものとしております。加えて、当社は、当社の新株予約権その他の潜在株式の行使または株式への転換(以下「新株予約権行使等」という。)により、当該新株予約権行使等の直後の時点におけるZホールディングス株式会社の当社株式に係る議決権割合が、(a)2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下し、かつ、(b)直前に上記措置を講じた時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社の株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下した場合には、Zホールディングス株式会社に対して、その旨を書面にて通知した上で、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合を回復または維持するために必要なあらゆる措置を講じるものとしております。このため、当該措置を講じた場合、当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性があります。
なお、Zホールディングス株式会社は、更改された契約日以降、自らまたは第三者をして、当社の株式を追加取得(Zホールディングス株式会社または第三者が当社の株式を有するその他の第三者(有価証券報告書または四半期報告書の大株主の状況の記載により、当社の株式を有することが合理的に認知可能な第三者に限る。)の株式その他の持分を取得することにより、当社の株式を間接保有することとなる態様による取得を含む。)することを希望する場合は、事前に当社に対して書面により通知し、Zホールディングス株式会社および当社の書面による合意に基づいて実施するものとしております。
その他、Zホールディングス株式会社は、Zホールディングス株式会社および契約更改後にZホールディングス株式会社の子会社となった当該子会社(以下「Zホールディングスグループ」という。)の保有する当社の株式に係る議決権割合が、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングスグループの保有する当社の株式に係る議決権割合の合計よりも100分の1以上上昇した場合には、速やかに、市場取引等により当社の株式を売却しまたは売却せしめることその他、Zホールディングスグループの当社の株式に係る議決権割合の合計を、本自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社の議決権割合の合計に復するために必要な措置を講じるものとしております。但し、上記に定めるZホールディングス株式会社および当社の書面による合意に基づいて行われる取引により、または当社による自己株式取得その他Zホールディングスグループの作為によらずに、Zホールディングスグループの当社の株式に係る議決権割合の合計が上昇した場合は、この限りではありません。上記等により株価等に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性のある一切の行為(募集株式の発行、自己株式の処分、株式の発行を伴う組織再編等、議決権の希薄化が現に生じる行為のほか、新株予約権、議決権のある株式に転換可能な種類株式その他の潜在株式の発行等、将来議決権の希薄化が生じる可能性のある行為を含みます。但し、既に発行済の新株予約権の行使による当社の株式の発行若しくはそれに伴う自己株式の交付、または、当社の単元未満株式を有する株主から、会社法第194条第1項および当社の定款第10条に基づく単元未満株式の売渡請求がなされた場合において、当社がその保有する自己株式を当該株主に売り渡す行為を除きます。)を指します。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、2020年5月1日に行われた当社連結子会社であるASKUL LOGIST株式会社と西湘運輸株式会社との企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
当連結会計年度(2020年5月21日から2021年5月20日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により個人消費・企業活動が停滞し、世界的にはワクチン接種普及による明るい兆しはあるものの、わが国においては緊急事態宣言の発令が度重なる等、依然として先行きは不透明な状況となっております。
新型コロナウイルス感染症拡大による影響が多くの業種において需要低迷を招く中、当社グループが属するeコマース市場は、新しい生活様式における人との接触を減らす購買活動としての役割への期待が高く、需要は増加傾向にあります。一方で、配送ドライバー不足等に起因した配送運賃の高止まりや同業他社とのサービス品質競争が続いており、楽観視できない経営環境が続いております。
このような状況の中、主力分野であるeコマース事業のBtoB事業は、eコマース市場拡大を機会と捉え、「働く人のライフラインとして全ての仕事場に信頼されるサービスを提供する」をミッションに、さらなる事業成長を推進してきました。BtoC事業は、2023年5月期の「LOHACO」営業利益黒字化の実現に向け、構造改革に取り組みました。
当連結会計年度においては、2020年4月の緊急事態宣言以降に落ち込んだBtoB事業の売上高成長率が2020年5月の緊急事態宣言解除後は堅調に推移し、また手指消毒液やマスク等の新型コロナウイルス感染対策商品の特需が継続したため、BtoB事業は増収大幅増益となり、BtoC事業の「LOHACO」も損益改善が計画通り進捗しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,221億51百万円(前期比5.4%増)、営業利益139億23百万円(前期比57.8%増)、経常利益138億50百万円(前期比60.0%増)、特別損失として、「LOHACO 本店」のWEBサイトリニューアル等に伴う固定資産除却損8億45百万円、連結から除外となった株式会社エコ配に対する貸倒引当金繰入額7億円に加え、2021年2月13日に発生した福島県沖地震、その後続いた地震による災害による損失6億88百万円等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は77億58百万円(前期比37.2%増)となり、いずれの段階利益も過去最高益を大幅に更新し、営業利益は13期ぶり、最終利益は8期ぶりの過去最高益となりました。
セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。
<eコマース事業>
当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、2020年4月の緊急事態宣言発令によるお客様の事業活動の自粛の影響を受けて売上高が落ち込みましたが、2020年5月の緊急事態宣言解除後は、中小企業のお客様を中心に、コロナ禍で事業活動を再開、継続していくために必要となった手指消毒液やマスクに加え、使い捨てグローブやパーティション等の感染対策商品に対する需要が増加したことにより、売上高成長率は堅調に推移しました。中堅・大企業のお客様についてもオフィス用品をはじめとする需要が従来の水準に戻りつつあり、またeコマース需要の増加による梱包資材等のMRO(注1)商材や、取扱い商材数が890万アイテムを超え品揃え強化に注力しているロングテール商材の売上高も伸長したことから、当連結会計年度は増収となりました。
従来から強化しておりますSEO(注2)の効果に加え、経済産業省および厚生労働省からの要請を受けて実施した手指消毒液の優先お届け等をきっかけに取引を開始した医療機関・介護施設のお客様等、新規のお客様が増加しました。当社サービスを継続してご利用いただけるよう、商材の拡大やお届け品質の向上に取り組んだ結果、稼働率も新規・既存のお客様ともに上昇しました。
この結果、BtoB事業の売上高は、前期比で161億20百万円増収の3,451億92百万円(前期比4.9%増)となりました。
BtoC事業につきましては、「サイバーサンデー」や「超PayPay祭」等の販促効果もあり、売上高は順調に伸長しました。損益改善については、コロナ禍の自粛生活が続く中で、付加価値の高い商品の提案や、販売価格の適正化等により商品粗利率の向上が進み、売上総利益率の改善に寄与いたしました。第1四半期連結会計期間で落ち込んだ広告収入も、第4四半期連結会計期間では上記販促効果もあり大きく伸長しました。
この結果、「LOHACO」の売上高は、前期比で42億38百万円増収の528億58百万円(前期比8.7%増)となり、BtoC事業合計でも、前期比で52億54百万円増収の685億88百万円(前期比8.3%増)となりました。
以上より、両事業を合計したeコマース事業の売上高は4,137億81百万円(前期比5.4%増)となりました。差引売上総利益は、継続的な原価低減活動に加え、感染対策商品をはじめとする商品利益率の高い商品の売上高が伸長し、「LOHACO」における売上総利益率の改善も進んだことから、1,041億71百万円(前期比10.1%増)となりました。
決算賞与9億71百万円を計上したものの、両事業の増収および「LOHACO」におけるヤフー株式会社との連携強化による販促費、固定費の抑制が寄与したことにより、売上高販管費比率は前期比0.2ポイント減少し、販売費及び一般管理費が891億83百万円に抑えられ、営業利益は149億88百万円(前期比63.1%増)となりました。
(注) 1 Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場・倉庫等で使用される消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。
2 Search Engine Optimizationの頭文字をとった略称で、サーチエンジンで商品を検索した際に当社のWEBサイトが上位に掲載される施策を指します。
<ロジスティクス事業>
ASKUL LOGIST株式会社において物流業務受託売上が大幅に伸長したことにより増収となったものの、2020年11月に開始した物流業務受託に係る固定費負担(開始前の物流センター賃料を含む)の影響により、営業損失となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は76億77百万円(前期比6.7%増)、営業損失は11億円(前期は営業損失4億円)となっております。
なお、当連結会計年度において、連結子会社でありました株式会社エコ配の株式を一部譲渡したため、同社および同社の子会社である株式会社ecoプロパティーズを連結の範囲から除外しております。
<その他>
嬬恋銘水株式会社の売上高は概ね前期並みで進捗し、利益率の高い商品の増収により増益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は13億31百万円(前期比0.6%増)、営業利益は71百万円(前期比19.1%増)となっております。
財政状態の状況は以下の通りであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は1,901億7百万円となり、前連結会計年度末と比べ159億60百万円増加いたしました。主な増加要因は、受取手形及び売掛金が68億81百万円、建設仮勘定が39億29百万円、現金及び預金が29億99百万円、ソフトウエア仮勘定が22億33百万円、未収入金が16億73百万円、商品及び製品が13億42百万円増加したことであります。主な減少要因は、ソフトウエアが13億1百万円減少したことであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は1,309億3百万円となり、前連結会計年度末と比べ95億82百万円増加いたしました。主な増加要因は、支払手形及び買掛金が59億25百万円、未払金が20億88百万円、電子記録債務が17億63百万円、未払法人税等が8億21百万円増加したことであります。主な減少要因は、リース債務(長期)が6億68百万円減少したことであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は592億3百万円となり、前連結会計年度末と比べ63億78百万円増加いたしました。これは、配当金の支払19億41百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益77億58百万円の計上、有償ストック・オプションの権利行使に伴う自己株式の処分8億29百万円等があったことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は30.9%(前連結会計年度末は30.1%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は662億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億99百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、159億98百万円(前期比6億10百万円減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益112億77百万円、仕入債務の増加78億57百万円、減価償却費とソフトウエア償却費、のれん償却額の合計64億95百万円の増加要因に対し、売上債権の増加74億48百万円の減少要因があったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、90億79百万円(前期比30億23百万円減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出48億86百万円、ソフトウエアの取得による支出40億5百万円の減少要因があったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、39億19百万円(前期比8億41百万円増)となりました。これは、配当金の支払19億41百万円、リース債務の返済による支出18億65百万円、長期借入金の返済による支出17億82百万円の減少要因があったこと等によります。
③ 生産、仕入および販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
a. 経営成績等
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b. キャッシュ・フローの分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループが属するeコマース市場は引き続き成長が見込まれているものの、競合とのサービス競争は激化しており、競合他社の状況が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、BtoB事業は、新たに位置付けた2大戦略業種(医療・介護、製造業)向けを中心に、お客様のご要望にあった品揃えの拡大や当社オリジナル商品の拡充を進めるとともに、既存サイトの特長を結集し、新たな機能も兼ね備えた新WEBサイトの構築により、他社との差別化を図ってまいります。BtoC事業は、ヤフー株式会社のシステム基盤の活用をはじめとするZホールディングスグループとのシナジーにより、固定費の大幅な削減を図り、お客様の支持拡大のためのサービス品質向上に注力してまいります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。
当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、BtoC事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。
設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。
当社グループは、eコマースのBtoC事業をBtoB事業と並ぶ収益の柱に成長させることを目指し、BtoC事業に係る流通総額1,000億円をこれまで目標に掲げておりましたが(当連結会計年度の実績は697億50百万円)、2021年7月に、2025年5月期を最終年度とする4年間の中期経営計画を発表いたしました。
中期経営計画では、オフィス通販からすべての仕事場とくらしを支えるインフラ企業へのトランスフォーメーションを成し遂げるべく、2025年5月期の経営目標として連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、ROE20%を新たな目標に掲げております。なお、当連結会計年度においては連結売上高4,221億円、連結営業利益率3.3%、ROE14.0%となっております。
今後は、BtoB事業における「戦略業種と品揃えの拡大」「BtoB最強eコマースサイトの構築」、BtoC事業における「Zホールディングスグループとのシナジー」、加えて両事業を支える「プラットフォームの改革」を最重要戦略として、中期経営計画の経営目標達成に向けて各施策を推進してまいります。
当社は、2020年7月10日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社エコ配の一部株式を譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
なお、詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
特記すべき事項はありません。