第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2022年7月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
 
(1)経営方針および中長期的な経営戦略等
 当社は1992年のアスクル創業以来、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、着実な成長を実現してまいりました。    
 これに加え、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まり、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。
 一方で新型コロナウイルス感染症を起因とした新しい生活様式へのシフトやテクノロジーの急速な進化等により、当社を取り巻く事業環境は劇的に変化し、eコマース市場規模およびeコマース化率は拡大を続けているものの、他方で、競争は激化しており、この激化する競争に勝ち抜くため2022年5月期から2025年5月期の4年間の経営方針として中期経営計画を策定しました。
 中期経営計画の基本方針として、「サステナブル経営」、「お客様価値最大化」、「高収益モデルへの転換」の3つを掲げており、環境保全や社会課題の解決を考えたサービス「エシカルeコマース」の実践により、環境課題の解決を事業と一体化して実現してまいります。この方針のもと、当社グループが有する多様なお客様基盤・ビッグデータ、全国に当日翌日配送を可能とする高度に自動化された独自の物流基盤、長年蓄積してきたオリジナル商品開発力等、これらの優位性を活かしながら、グループの総力を結集して、オフィス通販からすべての仕事場とくらしを支えるインフラ企業へとトランスフォーメーションを図ってまいります。 
 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、(3)会社の対処すべき課題の5つのテーマに注力して取り組みますが、中期経営計画の最終年度である2025年5月期には、連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、連結株主資本利益率(ROE)20%を実現してまいります。

 当連結会計年度(2022年5月期)は、新型コロナウイルス感染対策商品の特需の減少やオフィス用品需要の低下を注力分野である生活用品・MRO商材の売上拡大でカバーしたのに加えて、さらなる物流効率化とLOHACOの収益構造改善に取り組み、売上高は4,285億円、売上高営業利益率は3.3%、ROEは15.9%となりました。

 次期(2023年5月期)においては、BtoB事業は、売上高の成長カーブを変える年度と位置付けております。2022年7月に完了した新アスクルWEBサイトの一部機能の先行リリースを成長エンジンに、戦略業種向けを中心とした取扱い商品数の拡大とロングテール商品の商材拡大に加え、インターネット広告等の販促の強化により、売上高の高い成長率を目指してまいります。BtoC事業は、Zホールディングスグループとの連携によるWEBサイトの機能進化、売上総利益率改善、物流構造改革に加え、固定費圧縮をさらに強力に推進し、売上高の増加と黒字化を実現してまいります。その結果、売上高は4,555億円、売上高営業利益率は3.2%、ROEは15.7%となる見通しです。

 

 

(3)会社の対処すべき課題

当社グループは、以下5つのテーマに注力して取り組んでまいります。

 

① 戦略業種と品揃え拡大

BtoB事業は、WEBサイトの刷新を成長エンジンに、取扱い商品数を拡大することで高い成長率を目指しております。医療・介護、製造業を2大戦略業種と位置付け、戦略業種向けを中心に、2025年5月期には、取扱い商品数は1,800万アイテム、いつも買う「明日来る」の在庫商品数は33万アイテム、価格・品質の優位性があり、環境配慮型商品であるオリジナル商品数は1万2,000アイテムまで拡大することを計画しております。2022年5月期末時点においては、取扱い商品数1,179万アイテム、在庫商品数は12万9,000アイテム、オリジナル商品数は8,700アイテムとなっており、2023年5月期末時点においては、取扱い商品数1,400万アイテム、在庫商品数15万アイテム、オリジナル商品数は1万アイテムを目指してまいります。

 

② BtoB最強eコマースサイトの構築

WEBサイトの刷新を予定しております。新アスクルWEBサイトは、従来からの購買管理機能、ボリュームディスカウント、検索からの最速購入、パーソナライズドリコメンドを結集・強化し、テレワーク対応の新機能も追加することで、お客様の購買頻度の増加や購入単価の向上、購買集約による定着率向上により、2025年5月期までの累計売上高の増加額として500億円超を計画しております。2022年5月期においては、新アスクルWEBサイトにつき、開発を進めてまいりましたが、当初想定しきれなかった開発規模となることが見込まれ、また、確実なリリースを実現するために開発体制を強化することから投資額を増額することを決定しました。2022年7月に一部機能の先行リリースを完了しており、引き続き全ての機能リリースに向けて開発を進めてまいります。

 

③ Zホールディングスグループとのシナジー

BtoC事業は、「LOHACO」の収益事業化の実現を目指しております。ヤフー株式会社の有するシステム基盤等を活用することで、サービス品質の向上とコストダウンを図り、2023年5月期での黒字化を計画しております。黒字化以降は、売上高を再成長軌道に乗せ、収益を拡大してまいります。2021年6月に新たにオープンした「LOHACO 本店」と「LOHACO PayPayモール店」両店の相乗効果を最大化し、2025年5月期までの累計売上高の増加額として200億円超を計画しております。2022年5月期の「LOHACO」については、ヤフー株式会社の有するシステム基盤等の活用により固定費削減が大きく進み、着実に黒字化への計画を進めてまいりました。2023年5月期においては、売上高の成長と売上総利益率の改善等により、計画通りの2023年5月期での黒字化を目指しております。

 

④  プラットフォームの改革

圧倒的強みである高速・高効率物流を進化させ、ロングテール商品の「明日来る」の実現を目指してまいります。この実現のため、物流センターの構造を改革し、併せてBtoBとBtoCの物流の融合を進めてまいります。具体的には、物流センターの後方に商品補充用の倉庫ネットワークを構築し、物流センターでの出荷取扱い商品数を拡大することにより、物流センター本来の機能である出荷能力を最大化してまいります。AIやロボット等の最先端技術の導入等によりバリューチェーンのデジタルトランスフォーメーションを図り、当社グループの生産性向上にとどまらず、お客様の価値向上に繋げてまいります。2022年5月期においては、東日本のフラッグシップセンターとなる「ASKUL東京DC」の稼働に向けて物流設備等の工事を進めてまいりました。2022年11月に稼働開始を予定しております。

 

⑤ BtoBビジネスの新サービス

2023年5月期において、オフィス通販からのトランスフォーメーションに向けての新サービスの第一弾として、BtoB事業におけるメーカー向け広告ビジネスの開始を予定しております。「LOHACO」で培った広告ビジネスの知見と、従来からのメーカーとの強い関係性とBtoB事業の規模を最大限活用して、ビジネスを拡大してまいります。また、ソフトバンク株式会社のグループ各社との連携による中小事業所向け新サービスも検討を開始しております。

 

 

2 【事業等のリスク】

当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、将来の経営成績に影響を与えるリスクを「重要なリスク」として抽出しリスクアセスメントを行うと同時に、その中でも特に当社グループの事業継続に著しい影響を及ぼすと認めたリスクを「特に重要なリスク」と定め、必要なリスク対応策を策定しています。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当有価証券報告書提出日(2022年7月29日)現在において判断したものであります。

 

1.特に重要なリスク

(1)従業員の生命・健康に対するリスクについて

当社グループが持続的に成長する上で、従業員の安全・安心は最大の優先事項であるとの基本的な考え方に基づき、当社グループでは、オフィス、物流センターにおける設備、車両等の維持・管理、およびそれらを取り扱う従業員向けの安全教育の徹底により、労働災害等の事故撲滅を目指しています。また、職場における災害の発生、あるいは長時間労働により従業員の心身の健康が脅かされることのないように、建物、設備における防災対策の徹底や労働時間の管理を行っております。しかしながら、不慮の事故、突発的な災害発生や不測の事態に伴う長時間労働等により、従業員の生命、健康が損なわれた場合、人的資源の損失のみならず、事後の対応費用等も含めて当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)事業継続・サプライチェーンの分断におけるリスクについて

当社グループでは、東日本大震災の被災経験を踏まえ、また、直近では台風の大型化や集中豪雨の頻発といった地球温暖化に伴う気候変動や地震等の大規模な自然災害の発生、それに伴う大規模な停電や公共交通機関の運休等に備え、受注センター・お問い合わせセンター・物流センターを複数設置することで、リスク分散を図っております。また、事業、拠点、体制等の拡大や当社グループ内外の変化に応じて、事業継続計画の見直しを継続して行っております。しかしながら、自然災害の発生確率は依然として高いことから、想定以上の自然災害が発生し、事業所等が被害を受け、サービスの継続に支障を来した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

特に気候変動につきましては、こうしたサプライチェーンの維持のみならず、政策・規制面、あるいは顧客の嗜好の変化など多方面での影響が懸念されます。当社グループでは、こうした気候変動による影響を経営上の重大リスクとして認識すると共に、それに適切に対応することで事業成長の機会に繋がると捉えています。気候変動への取り組みにつきましては、本章の「3.気候変動への取り組みとTCFD提言への対応」に記載しています。この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生にあたり、当社グループとしてはリモートワークの積極的活用、ソーシャルディスタンスの確保および手指消毒の徹底等により、各事業所における感染影響の回避に努めております。しかしながら、今後このように大規模な感染症の流行が発生した場合、物流センターや配送拠点においてスタッフの出勤が制限されるのみならず、当社グループのサプライチェーンを構築するサプライヤー、あるいは配送委託先等が自然災害や感染症拡大等の被害を受け、その影響が長期化、広域化した場合にも、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

また、当社においては、インターネット通販という事業内容の特性や事業規模の観点から、本社機能が1ヶ所に集中しています。昨今の働き方改革に伴い、当社においてもリモートワークが進んでいるものの、大規模な自然災害等により本社機能の喪失が長期化した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

なお、自然災害以外の火災等の災害については、2017年2月に発生した「ASKUL Logi Park首都圏」の火災事故を受け、防火設備点検等の定期的な実施や物流センター運営体制の強化等により再発防止に努めておりますが、万が一こうした災害等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(3)戦争、経済制裁、感染症まん延などグローバルな情勢変化に関するリスクについて

当社グループでは、商品調達につきまして、サプライヤーに対して当社グループの販売力に応じて安定した商品供給体制を整えていただくよう要請して、また商品製造の国内シフトへの変更を含むサプライチェーンの見直しなどの対応を行っております。しかしながら、サプライチェーンが国内外に拡大しつつある昨今の状況においては、グローバルな経済状況の変化、原産地およびサプライチェーンにおける政治体制の変化、地域紛争や戦争、あるいはこれらを原因とする国家間の経済制裁といったいわゆるカントリーリスク・地政学的リスクや、地球規模的な感染症のまん延や災害の発生、あるいは当該商品の持続可能な原料調達に関わる環境問題等から生じる原材料の高騰や入手困難等による生産制限または製造原価の上昇や、為替レートの急激な変動等により安定した商品調達ができない、あるいは仕入価格が高騰する等の影響が発生する可能性があります。

また、当社の主力事業であるBtoBの通信販売事業は、国内の事業者を主要なお客様として物品を販売しておりますが、お客様の業種は製造業、医療・介護施設、建設業、サービス業等、多岐に渡っているため、特定の業種の業績悪化に起因する需要の低下が当社の業績に与える影響は限定的と考えております。しかしながら、この度のような全国的かつグローバル規模の感染症の影響等、同時に複数の業種の業績悪化により需要の低下が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

さらに、当社は日本国内において事業を展開しておりますが、景気や消費の動向などの日本の経済状態が悪化した場合、お客様の購買力または消費意欲が減退し、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(4)システム障害やサイバー攻撃によるリスクについて

当社グループでは、「アスクル」「ソロエルアリーナ」「ソロエルエンタープライズ」および「LOHACO」等のサイトを通じてご注文の大半をインターネットによって受け付けているとともに、お客様のお届けに至るサプライチェーン全体をITシステムにて構築しています。

今後、社会のIT化、デジタル化が進むにつれて、インターネットをはじめとするITシステムに特有の技術的または社会的なリスク要因が増大すると見込まれますが、当社グループではサーバーの増強、分散化、最新化および通信回線容量の増強を図るとともに、万一の障害や事故に備えた基幹システムの二重化およびリアルタイムのバックアップ体制の整備、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するネットワーク・セキュリティの強化を行う等、お客様にいつでも安心してサービスをお使いいただけるよう、安定稼働すべく運用を行っております。

しかしながら、基幹システムの障害やネットワークの障害、不測の事態によるインシデントや、外部からの攻撃、ウィルスの侵入等や急激なアクセスの増加等により情報システムの停止が引き起こされる、あるいは情報の流出、破壊もしくは改ざん等が引き起こされる可能性があり、当社グループの事業運営に重大な支障が発生する可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求等による多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(5)大規模システム開発、設備投資の実施、および実施後の減損に関するリスクについて

当社グループでは、事業成長に伴って、情報処理能力や出荷能力の拡大、あるいはお客様向けサービスの刷新を目的に、大規模な情報システム開発や物流インフラ等への設備投資を継続的に実施しています。いずれの場合も、周到に準備を行い、綿密な計画を立案の上、必要な経営資源を投入することにより、決められた期間、予算内で実現するように努めていますが、想定を超えるトラブルの発生等によりスケジュールが大幅に遅延する、あるいは当該システムや設備の完成を断念せざるを得ない可能性があります。その場合、所定の投資費用が回収できないのみならず、多額の追加費用の発生や、サービスの低下・停止等に伴う社会的信頼の失墜により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

さらに、ITの進歩が著しく、投資したソフトウエア等の利用可能期間が、当初予定したものより短くなった場合、残存期間分の償却が一時に発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、いずれの設備投資の実施に際しましても、充分な投資対効果の検証を行った上で実施しておりますが、その効果が充分でない場合、またはその効果の発現が計画より遅れた場合には、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。回収可能性の検討の結果を踏まえ、減損損失を計上することになった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)従業員等による個人情報や機密情報の漏洩に関するリスクについて

当社グループは、事業を展開する上で、お客様やお取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や役員、従業員等の個人情報を保有しております。これらの情報の破壊、改ざん、あるいは外部流出や競合他社への不正な提供等がないように、当社グループ全体で委託先も含めた管理体制を構築しセキュリティ対策を行うとともに、役員、従業員等への教育を実施しております。また、当社グループでは、情報資産の管理を徹底すべく、情報セキュリティマネジメントシステム(JIS Q 27001)の認証を取得し、JIS Q 27001の要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立し、お客様情報および個人情報の保護においても必要な管理体制を整えており、今後も引き続きネットワーク・セキュリティと情報管理に関しまして強化を図ってまいります。しかしながら、万が一、不測の事態により、これらの情報の破壊、改ざん、あるいは外部流出や競合他社への不正な提供等が引き起こされた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)法令、社会的要請に対するコンプライアンス、およびガバナンスに関するリスクについて

① コンプライアンスについて

当社グループは、事業を展開するにあたり、様々な法律や諸規制の遵守を求められております。当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定めるとともに、コンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進し、健全で公正かつ透明性の高い企業風土を醸成するよう努めております。

しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 社会課題への対応について

現在、各企業は「社会の公器」として、SDGsに代表されるような環境や人権をはじめとするグローバルな社会課題への対応を求められています。当社グループも「責任あるサプライチェーンの構築」の一環として、「アスクルサステナブル調達方針」を定めるとともに、企業活動を通じて、積極的にこうしたグローバルな社会課題の解決に努めております。

しかしながら、こうしたグローバルな社会課題は原因が複合的であったり、関係者の利害関係が複雑であったりするため、結果的に当社グループの取り組み方が不十分、あるいはその成果がお客様、あるいは社会一般の期待に添えない場合、当社グループの社会的信用が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 法令違反について
a.事業運営に関わる関連法規等による規制について

当社グループは、医療・介護施設向け用品や医療機関向けの医療専門商材、一般消費者向けの医薬品、健康食品、酒類等をはじめ多岐にわたる商材を取り扱っております。これらの商材の販売および管理は、関連法規等により規制を受けるものもあり、必要な各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。その他、当社グループは、特定・一般建設業の許可、第一種貨物利用運送事業の登録、一般貨物自動車運送事業の許可、貨物軽自動車運送事業の届出、倉庫業の登録、その他各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。また、ビジネスの構造上、多くのお取引先と多様な取引を行っており、独占禁止法、下請法等一般的なビジネスに関わる法令の対象となっています。

こうした各種の法令については、従業員に対して必要な教育や啓発活動を行うとともに、これらの法令の規制改正や新たな法的規制については、規制当局やお取引先を通じて適宜把握し、必要な対応策を講じています。しかしながら、担当する従業員の理解不足や、社内の部門間連携の不手際等によりこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの営業活動が制限され、業績が影響を受ける可能性があります。

b.インターネット通信販売特有の法的規制について

当社グループは、通信販売業者として「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、医薬品等販売事業者として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(「薬機法」)」、その他「個人情報保護法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の規制を受けております。

かかる法令の施行または改正は予測不可能な場合があり、結果として、今後、これらの規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合には、規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退が必要になる等、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

c.環境保全における法的規制について

当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染等に関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けて事業を行っており、法令遵守のために必要な資源を投下しております。また当社は、環境マネジメントシステム(JIS Q 14001)の認証を取得しており、同要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立しております。

しかしながら将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態等による環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応によるお客様喪失等の可能性があり、これらのことが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 内部統制について

当社グループは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制を整備し運用する必要があります。当社グループは、効果的な内部統制システムの整備は極めて重要であると認識し、必要な経営資源を投下し整備に取り組んでおりますが、いかに緻密に整備していたとしても、判断の誤りや過失による限界を有しており、効果的かつ適切である保証はありません。内部統制上の重大な欠陥等が発見された場合、あるいは改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、財務報告に関わる内部統制に欠陥があり決算発表を延期せざるをえない等、市場における当社グループの評価が毀損する恐れが生じた場合、さらには欠陥の重大性や原因等の程度によって、法的責任が課せられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材の確保・育成の不全におけるリスクについて

当社グループの事業は、物流センターの庫内業務や配送業務等、労働集約型の業務がお客様との接点を支えており、質の高い人材を常に一定数確保することが重要であります。また、今後更なる事業拡大およびテクノロジーやサービスの進化に挑戦していくための優秀な人材を採用、確保することとともに、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保も重要となっております。さらには人材育成を継続的に推進していくことや、性別、年齢、人種、国籍の違いを尊重したダイバーシティを適切に推進することも必要となっております。当社グループは、ダイバーシティに十分に配慮しながら、事業の持続的成長のために新卒採用や経験者の中途採用を実施し、人材を育成するための各種教育の実施等、従業員のモチベーションを向上する仕組みを構築するとともに、「働き方改革」を進めて労働環境の整備を実施し、従業員の定着を図っております。

人材の確保と定着は当社グループの成長には重要な要素となりますが、テクノロジーやサービスの進化に不可欠なエンジニアを含む必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、これら必要な人材が確保できなかった場合、あるいは確保するために人件費が大幅に増加した場合、また、従業員満足度の低下に伴う転職者の増加等、人材の定着率が低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社は「お客様のために進化する」ことをDNAとしてずっと大切にしてきました。このDNAを根付かせ、文化とするため、進化・変化にチャレンジする人材を育成するため、集合研修・OJTを通した教育、進化・変化へのチャレンジを後押しする人事評価制度を導入・整備してきました。これらにより「お客様のために進化する」というDNAは確実に根付いてきたと思われますが、一方、事業環境は急速に変化しており、それに応じたスキルを身に付けていないと人材価値が陳腐化してしまいますが、キャリアの構築・スキルを習得するリスキリングの難しさから、変化に対応できる人材育成が停滞し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) ビジネスモデルの陳腐化によるリスクについて

当社は明日来るという時間を約束したサービスの提供によりここまで事業を継続してきました。この成功体験に捉われることなく新たなビジネスモデルの変革に向け、イノベーションやトランスフォーメーションを促進する人材の育成が重要と捉え、新しい働き方や人事評価制度の導入・整備を実施しております。しかしながら、今のビジネスモデルでの成功体験に対する経営層を含む社員全体の慢心や安住等により、ビジネスモデル変革へのチャレンジが遅れることで、市場優位性が失われ顧客離反へと繋がり当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2.重要なリスク

(1)商品の安全性および品質水準の低下リスクについて

当社グループでは、商品品質の管理部署を設置し、商品の調達先および商品の選定・管理に最善を尽くしておりますが、商品の品質問題に起因するリコール等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、特に当社グループで製造している食品・飲料等の取扱商品については、食品衛生に関わる設備の充実、品質チェック体制の確立等、お客様に安全な商品をお届けできるよう努めておりますが、品質や商品情報等に瑕疵等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)商品情報の正確性担保に関するリスクについて

当社グループの主たる事業である通信販売事業で取り扱っている商品アイテム数は年を追うごとに加速度的に増加しています。商品の選定、およびその商品情報のインターネットや紙カタログへの掲載におきましては、人為的なミスを回避するためシステム化を進めるとともに、法令遵守のための専門組織を中心とする管理体制を設け、細心の注意を払っておりますが、表示内容に重大な瑕疵が発生した場合には、内容訂正やお詫び、損害賠償、法令違反への対応をはじめとする様々な対応を行う事態が発生することが考えられます。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)販売エージェントに関するリスクについて

当社のBtoBの通信販売事業モデルにおいて、販売エージェント制度の採用が大きな特徴となっております。お客様の営業開拓は販売エージェントが担い、自社で開拓したお客様からの販売代金は当該エージェントがその回収リスクを負い、当社側ではエージェントに対する売掛金について回収リスクを負う体制であります。当社では、エージェントの成長力を維持・向上させるためのインセンティブプラン等によりエージェント活動の活性化を促す等の施策を実施しております。また、経済環境の悪化等によりエージェントに倒産等の事由が生じた場合には、当該エージェントが担当しているお客様は速やかに当社、さらには後任の担当エージェントに引継がれますので、当社の経営成績に与える影響は限定的と考えられますが、潜在的な可能性として、エージェントの倒産等によって回収リスクが発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、今後、経営者の高齢化が進むにつれて、エージェントを営む企業の事業撤退や事業譲渡が進むことが想定されますが、特に大規模エージェントにおいて、このような事態が発生した場合、それに伴って多数のお客様が当社サービスから離反する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社はお客様開拓を優先するためにエージェントを無制限に増やすようなことはせず、エージェントの選定や契約に際して一定の基準および手続を設け、エージェントに対してアスクル事業を展開する財務基盤等を有しているかの確認をし、かつ当社の事業コンセプトへの理解を促しております。

 

(4)物流サービスについて

① 物流サービス品質について

当社グループは、高品質なサービスの提供に努めておりますが、重大な荷物の破損、紛失等といった不具合が発生した場合や荷札等に記載されているお客様情報が管理の不徹底等により外部に流出した場合には、社会的な信用の低下や損害賠償請求を受ける可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 重大な交通事故の発生について

当社グループの配送業務における車両の利用に際しては、交通法規遵守のための教育や安全対策を徹底しておりますが、重大な交通事故や法令違反が発生した場合、行政処分が行われ、更には社会的信用が著しく低下する可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 燃料の確保について

当社グループで取り組んでいる環境活動や無駄を排除する活動等により、効率的な配送を行っておりますが、車両に用いる燃料価格が高騰した場合や災害等により燃料の調達網が被害を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 配送業務に関する環境変化について

当社グループでは、配送パートナーの協力のもと最適な配送網を構築し、「当日配送、翌日配送(一部離島等を除く)」を遵守することでお客様のご支持を得てまいりました。一方、社会的なeコマースの急速な普及拡大に伴うドライバーの人手不足問題等により配送業務が逼迫し、国内物流業者による受託配送費の値上げおよび受託荷物の総量規制等が行われるとともに、こうした人手不足を背景にドライバーの労働条件の改善を目的とする運送事業関連法令等の改正が行われております。当社グループとしては、法令を遵守しつつ、適切なコスト水準とお客様への配送サービスの維持の両立のため、国内物流業者の協力を引き続き得ながら、当社グループ配送ドライバーの増員等グループ会社の活用により、当社グループ配送網の強化を図ってまいります。しかしながら、お客様からのご注文量の増加に対応した配送網の構築や人材の確保が間に合わずお届けができない場合、あるいはその対策の結果として配送費が大幅に増加した場合、また配送業務の逼迫を背景に国内物流業者による受託配送費の大幅値上げがあった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)パートナー企業への業務委託の継続性に関するリスクについて

当社グループの主たる事業である通信販売事業では、サプライヤーをはじめ、情報システムの開発および保守・運用会社、配送会社、運営業務の委託先、BtoB通信販売事業モデル独自のエージェント等多くの協力会社によって支えられております。それぞれの機能により、役割を分担・補完し合い、お互いにパートナーとして戦略的に連携し、業務や機能の重複、時間やコストの無駄を排除してお客様価値の最大化を図るバリューチェーンの考え方が当社グループの基本スタンスにあります。当社グループでは、事業モデルを支えるパートナー企業との良好な関係の維持に努めておりますが、ビジネスモデルの進化と市場の変化に伴ってパートナー企業の役割の見直しや、契約関係の改廃が生じ、特定の分野のパートナーが離脱した場合、あるいは各社の経営状況の変化等によって、提携による業務委託等の継続ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)のれん・投資有価証券等の減損によるリスクについて

当社は、継続的な成長発展に向けて、当社事業とシナジー効果を有する企業への投資や、次世代のイノベーションを起こすために優れた技術・エンジニアを有するベンチャー企業への投資を実施しております。投資に際しては、財務・経営状態・事業計画等を精緻に検討し、投資後も投資先の事業の進捗、財務状況を随時把握するように努めておりますが、投資先の事業が計画通り進捗せずに、収益性の悪化等により価値が毀損されたことでのれんや投資有価証券の減損を実施した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)知的財産におけるリスクについて

当社グループは事業を行うにあたり、必要に応じて、特許権、商標権等の知的財産権を取得し保有しております。当社グループが保有し利用するこれらの知的財産権の保護が不十分な場合や、第三者が有する知的財産権の適切な利用許諾を得られない場合には、新規事業やサービスの提供が困難となる可能性があります。また当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業を行っておりますが、第三者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求および差止め請求等、訴訟を提起される可能性があり、賠償金の支払い等が必要となる場合があります。当社グループにおいて知的財産権に関する重大な係争問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)訴訟によるリスクについて

当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定め、お客様、取引先、株主、従業員を含む第三者の権利・利益に十分配慮した行動をするための体制や仕組みの構築を推進しております。しかしながら、このような施策を講じても、当社グループの事業が多岐にわたり、かつ権利義務関係が複雑化すること等により、意図せずして第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償等の訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社グループの事業展開に支障が発生、または企業イメージが低下する可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9)Zホールディングス株式会社との業務・資本提携契約について

当社およびZホールディングス株式会社は、2012年4月27日付けで業務・資本提携契約を締結して以降、両社は事業運営の独立性をお互いに尊重し、イコールパートナーシップの精神の下、それぞれが有する集客能力、お客様、仕入先、決済システム、インターネットサービスに係るシステムおよびデザイン技術、物流・配送設備および物流・配送のオペレーション能力、ならびに、それらに関するノウハウ、人材その他のリソースを相互に提供し合い、「お客様に最高のeコマースを提供する」という壮大な目標を実現すべく、当社が運営する「LOHACO」をeコマース史上最も早い成長速度で立ち上げてまいりました。

両社は「LOHACO」をさらに大きく成長させるとともに収益性の向上を図るために、3年間培ってきた信頼関係をベースにさらなる発展および連携の強化を図ることが最善であると判断し、2015年5月19日付けで、業務・資本提携契約を更改いたしました。

当社は、更改された契約日以降、当社の株式の議決権希薄化行為(注)を行おうとする場合には、Zホールディングス株式会社に対して、議決権希薄化行為を行う旨およびその条件を書面にて通知した上で、議決権希薄化行為の直前の時点におけるZホールディングス株式会社の当社の株式に係る議決権割合を維持するために必要なあらゆる措置を適時かつ適切に講じるものとしております。加えて、当社は、当社の新株予約権その他の潜在株式の行使または株式への転換(以下「新株予約権行使等」という。)により、当該新株予約権行使等の直後の時点におけるZホールディングス株式会社の当社株式に係る議決権割合が、(a)2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下し、かつ、(b)直前に上記措置を講じた時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社の株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下した場合には、Zホールディングス株式会社に対して、その旨を書面にて通知した上で、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合を回復または維持するために必要なあらゆる措置を講じるものとしております。このため、当該措置を講じた場合、当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性があります。

なお、Zホールディングス株式会社は、更改された契約日以降、自らまたは第三者をして、当社の株式を追加取得(Zホールディングス株式会社または第三者が当社の株式を有するその他の第三者(有価証券報告書または四半期報告書の大株主の状況の記載により、当社の株式を有することが合理的に認知可能な第三者に限る。)の株式その他の持分を取得することにより、当社の株式を間接保有することとなる態様による取得を含む。)することを希望する場合は、事前に当社に対して書面により通知し、Zホールディングス株式会社および当社の書面による合意に基づいて実施するものとしております。

その他、Zホールディングス株式会社は、Zホールディングス株式会社および契約更改後にZホールディングス株式会社の子会社となった当該子会社(以下「Zホールディングスグループ」という。)の保有する当社の株式に係る議決権割合が、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるZホールディングスグループの保有する当社の株式に係る議決権割合の合計よりも100分の1以上上昇した場合には、速やかに、市場取引等により当社の株式を売却しまたは売却せしめることその他、Zホールディングスグループの当社の株式に係る議決権割合の合計を、本自己株式取得の終了時点におけるZホールディングス株式会社の議決権割合の合計に復するために必要な措置を講じるものとしております。但し、上記に定めるZホールディングス株式会社および当社の書面による合意に基づいて行われる取引により、または当社による自己株式取得その他Zホールディングスグループの作為によらずに、Zホールディングスグループの当社の株式に係る議決権割合の合計が上昇した場合は、この限りではありません。上記等により株価等に影響を及ぼす可能性があります。

(注)当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性のある一切の行為(募集株式の発行、自己株式の処分、株式の発行を伴う組織再編等、議決権の希薄化が現に生じる行為のほか、新株予約権、議決権のある株式に転換可能な種類株式その他の潜在株式の発行等、将来議決権の希薄化が生じる可能性のある行為を含みます。但し、既に発行済の新株予約権の行使による当社の株式の発行若しくはそれに伴う自己株式の交付、または、当社の単元未満株式を有する株主から、会社法第194条第1項および当社の定款第10条に基づく単元未満株式の売渡請求がなされた場合において、当社がその保有する自己株式を当該株主に売り渡す行為を除きます。)を指します。

 

3.気候変動への取り組みとTCFD提言への対応

当社グループでは、気候変動を原材料および商品調達から物流配送に至るサプライチェーンを維持する上での重要な経営課題の一つとして捉え、世界の平均気温を産業革命以前に比べて1.5度に抑えるように努力する「パリ協定」の実現を目指して、当社グループの物流センター等で利用する電力の再生可能エネルギー由来への切り替えや、配送用小型トラックの電気自動車(EⅤ)化等、CO2排出量の削減に努めています。 

2016年には、当社グループの施設、および車両が直接的、間接的に排出するCO2を2030年までにゼロとする野心的な目標である「2030年CO2ゼロチャレンジ」を宣言するとともに、2017年には、RE100(注1)およびEV100(注2)に参加し、2019年には日本のeコマース事業者として初めてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、以下のとおり、事業への影響分析やリスクおよび機会の評価、CO2排出量の管理を進めています。

 

(1)ガバナンス

① 取締役会の監視体制

当社グループでは、気候関連課題における現状確認、課題解決に向けた協議・審議・対策の実施を目的として、環境マネジメントシステム(EMS)推進体制に基づきCEO、取締役、執行役員および事業の各部門長を参加メンバーとする「EMS責任者会議」を四半期ごとに開催しています。EMS責任者会議で報告、検討された重要事項については、取締役会の下部機関で、それぞれリスク担当取締役が委員長を務め、代表取締役および社内取締役等から構成されるリスク・コンプライアンス委員会およびサステナビリティ委員会に上程、または報告されます。

リスク・コンプライアンス委員会では、主に気候変動のリスクマネジメントに関する事項について、またサステナビリティ委員会では、気候変動問題が当社グループの持続的成長に及ぼす影響やそれに対する行動計画等について、それぞれ協議、または審議・決定が行われています。また各委員会に報告された特に重要な事項については、取締役会に上程、または報告され、適宜必要な指示・助言を行い、モニタリングを図っています。

② 経営者の役割

当社の代表取締役社長CEOは、経営戦略や事業計画および重要な業務執行などを議論する取締役会に出席し、当社グループの最高経営責任者として気候関連課題に対する最終責任を負っています。

CEOへの気候関連課題の報告プロセスとしては、主に四半期ごとのEMS責任者会議、年に1回のマネジメントレビューがあり、各取り組み方針、計画と進捗状況の報告を行います。CEOは、各報告プロセスにおいて、気候関連課題の解決に向けた取り組みを評価し、全社事業活動との整合性を図り、経営資源の配分や体制の構築、取り組みの促進や方向性の修正に関して、必要な意思決定・指示・助言を行っています。

 

(2)戦略

① 気候変動のリスクと機会、および組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

当社グループのパーパス(存在意義)である「仕事場とくらしと地球の明日に「うれしい」を届け続ける」の実現のために、当社グループでは、プライベートブランド商品の原材料調達から、商品仕入、および販売に至るまでのサプライチェーン全体の維持が最も重要な経営課題であるとの認識の下、このサプライチェーンの各プロセスにおいて、気候変動に伴う影響を移行リスク、物理的リスクと機会に分類してこれらの重要度を評価しています。

また、評価に当たっては当社の事業戦略やインフラの整備状況のみならず、国際的な政治・社会動向、あるいは法規制の変更といった外的要因も十分考慮しています。

② シナリオ分析

当社グループでは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書におけるSSPシナリオに基づき、前項で重要度が高いと判断されたリスクおよび機会の各項目につき、以下の2種類の気候関連シナリオに基づき、科学的根拠等を用いて2030年時点での財務に及ぼす影響を算定することで、「リスク」を低減し、「機会」を拡大するための事業戦略立案を行っています。

・4℃シナリオ(SSP5-8.5)

 各国政府が新たな政策、制度を導入せず温室効果ガスの排出量が抑制されないシナリオ

・2℃未満シナリオ(SSP1-2.6)

 各国政府がパリ協定達成のために適切な政策、制度を導入し、気温上昇を2℃未満に抑えるシナリオ

シナリオ分析の結果は以下のとおりとなり、2030年時点では物理リスクはそれほど顕在化しないと見られる一方、政策・規制や、顧客の嗜好の変化等が、当社グループの事業へ大きな影響が及ぼすとの結果を得ています。

気候変動による事業への影響は、世界的な脱炭素化への動きや、技術革新により刻々と変化してまいりますので、今後ともこうした社会的動向を考慮しながら、財務的な影響を定期的に把握し、リスクマネジメント計画や中期経営計画などを含む当社グループの事業戦略に反映してまいります。

 

リスク・機会の種類

事業インパクト

2030年における
財務への影響(年間)

4℃

2℃未満

移行
リスク

政策
・規制

税制

炭素価格税制の導入に伴う、物流センター、配送車両などが排出するCO2への課税

約6億円

規制

規制により、既存プラスチックの再生材、バイオプラなどへの素材切替に伴う商品原価の上昇

影響大

市場

エネルギー
価格推移

石油需要が拡大し続け、原油市場価格が上昇することによる電力代、燃料費の増加

影響あり

製品/
サービス

顧客の志向変化

環境対応より価格対応が重視されることによる商品の低価格化進行

影響大

技術

低炭素技術
の普及

EⅤの開発、普及の停滞による車両価格の高止まりに伴う車両調達費用の増加

約6億円

物理
リスク

慢性

平均気温上昇、
降水・気象
パターン変化

物流施設・事業所、配送車両の冷房・冷蔵等に必要な電力代増加

影響あり

影響あり

森林火災や病害虫発生、植生変化などによる森林資源供給量減少に伴う商品原価の上昇

影響あり

影響あり

急性

異常気象の
激甚化

サプライヤーの被災に伴う代替商品の確保などによる商品仕入価格の上昇

影響あり

影響あり

配送遅延や事故等の増加に伴う配送費や保険料等の増加

約1億円

約1億円

 

 

機会

製品/
サービス

顧客の志向変化

商品ライフサイクルを通じて低炭素排出型の商品への需要増大

影響大

循環型経済
の拡大

循環型経済への社会的要請に応じた回収サービスの拡大によるビジネス機会の増加

影響大

技術

低炭素技術
の普及

EⅤ普及による車両価格の低下により、内燃エンジン車より割安な運用コストのメリットが顕在化

約1億円

 

 

(3)リスク管理

当社グループでは、リスクマネジメント規程に基づき、事業活動を担う各事業部の責任者(リスクマネジメント・オフィサー)が業務における影響度が特に大きな気候関連リスクおよび機会を、年に1回以上の頻度で現在~長期の時間軸の中で洗い出し、それぞれに対応計画を策定するとともに、定期的にモニタリングを行っており、洗い出された気候関連リスクおよび機会とその対応計画は、リスク・コンプライアンス委員会事務局を通じて、リスク・コンプライアンス委員会に提出されます。

これらリスク・コンプライアンス委員会への上程に先立ち、リスク・コンプライアンス委員会事務局では、「リスクマネジメント規程」に基づいて抽出された「全社レベルのリスクおよび機会」と、EMS事務局が現在~長期の時間軸を考慮して洗い出した「気候関連リスクおよび機会」との整合性を確認し統合しています。リスク・コンプライアンス委員会では、年に1回以上の頻度で、各部門の対応計画の実行状況・進捗の確認、見直しを行っています。

 

(4)指標と目標

当社グループでは、気候変動が事業戦略にもたらすリスクおよび機会の影響を評価する指標として、CO2排出量を定めています。

2022年5月期におけるCO2排出量は、以下のとおりです。

 

(単位:t-CO2)

2018年5月期

2019年5月期

2020年5月期

2021年5月期

2022年5月期

連結

Scope1

3,057

3,557

3,631

3,215

3,146

 

Scope2

19,305

16,288

14,614

13,115

12,107

 

合計

22,363

19,846

18,245

16,331

15,253

単体

Scope3

1,311,437

1,337,935

1,482,614

1,417,775

1,496,736

 

なお、上記の数値については、JQA(一般財団法人日本品質保証機構)による第三者検証を受けています。

 

当社グループでは、2030年CO2ゼロチャレンジとして、2030年までに当社グループが使用する電力の100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えるとともに、当社グループで保有またはリースしているお客様向け配送用車両の100%を電気自動車に置き換えることを目標としており、2030年までにScope1+Scope2をゼロとすることを目指しています。また、同じく2030年までに当社単体でScope3を12%削減する目標を立てており、これらの削減目標が、SBT(注3)の「2℃未満目標」として認定されています。

 

このように当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会を総合的に管理しながら、当社の事業戦略と統合することで、事業活動を通じて脱炭素社会への移行を推進してまいります。

 

(注)1 事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が参加する国際ビジネスイニシアチブです。

2 事業運営に関係する車輌をすべて電気自動車に転換することを目標に掲げる企業が参加する国際ビジネスイニシアチブです。

3 Science Based Targetsの頭文字をとった略称で、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるために、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標の設定を企業に働きかけている国際的イニシアティブです。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年5月21日から2022年5月20日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症再拡大による国内の法人・消費者動向へのマイナス影響に加え、エネルギー価格の高騰や急速な円安等の為替動向の懸念等により、依然として先行きは不透明な状況となっております。

当社グループが属するeコマース市場は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響から、新しい生活様式における人との接触を減らす購買活動としての役割に対する期待が高く、成長が続いております。一方で、同業他社とのサービス品質競争は続いており、お客様の様々なご要望にお応えしながら、持続的な増収増益を実現していくことが経営課題となっております。

このような状況の中、当社グループは2022年5月期を、中期経営計画(2022年5月期~2025年5月期)実現に向けた足固めの年として位置付け、中期経営計画の達成の原動力となる「ASKUL東京DC」の物流設備や新アスクルWEBサイトの構築(注1)等、積極的な設備投資を実行してまいりました。

当連結会計年度において、BtoB事業は、新型コロナウイルス感染対策商品の特需の減少や働き方の変化等による文具等のオフィス用品需要の減少があったものの、注力分野である生活用品・MRO商材の売上高の伸長により増収となりました。一方、計画通りではありますが、特需の減少等による売上総利益率の低下と「ASKUL東京DC」の稼働開始前の賃料発生により減益となりました。BtoC事業は、海外向け需要の増加やZホールディングスグループ等との販促の連携強化により増収となり、また、収益改善は変動費比率の改善(「収益認識に関する会計基準」等適用の影響を除く実質値)に加え、「LOHACO本店」リニューアルに伴う固定費の削減、連結子会社株式会社チャームの増益により、計画通りの結果となりました。

ロジスティクス事業は、物流業務受託の拡大等により大幅に収益が改善し、下期において営業損失から営業利益への転換を達成しております。

この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高4,285億17百万円(前期比1.5%増、実質前期比2.7%増(注2))、営業利益143億9百万円(前期比2.8%増)、経常利益142億70百万円(前期比3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益92億6百万円(前期比18.7%増)となり、売上高、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益いずれも過去最高となりました。

なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しており、当連結会計年度の売上高は51億92百万円減少しております。

 

セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。

<eコマース事業>

当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、売上高は堅調に推移しました。手指消毒液やマスク等の新型コロナウイルス感染対策商品の特需の減少や働き方の変化等による文具等のオフィス用品需要の減少があったものの、様々な仕事場で利用される飲料等の生活用品商材、eコマース需要の増加による梱包資材等のMRO商材、品揃え強化に注力するロングテール商材等の売上高が伸長したことから、当連結会計年度は増収となりました。

また、インターネット広告等の活用によるお客様基盤の拡大や、戦略的に強化する医療・介護業種および製造業を中心に、それぞれの業種で必要となる専門商材の品揃えの拡大に注力してまいりました。

この結果、BtoB事業の売上高は、前期比で28億32百万円増収3,480億25百万円(前期比0.8%増、実質前期比2.0%増)となりました。

BtoC事業につきましては、2021年6月に「LOHACO本店」をヤフー株式会社が提供するシステム基盤に移行し、新本店としてリニューアルオープンいたしました。リニューアル後も使いやすいWEBサイトとなるように継続的な機能改善を図るとともに、ソフトバンク株式会社、ヤフー株式会社と連携した大型販促を定期的に実施してまいりました。

この結果、「LOHACO」の売上高は、前期比で14億71百万円増収の543億30百万円(前期比2.8%増、実質前期比4.4%増)となり、BtoC事業合計で、前期比で20億85百万円増収706億73百万円(前期比3.0%増、実質前期比4.6%増)となりました。

以上の結果、両事業を合計したeコマース事業の売上高は4,186億98百万円(前期比1.2%増、実質前期比2.4%増)となりました。売上総利益は1,043億33百万円(前期比0.2%増、実質前期比1.1%増)となりました。

「LOHACO本店」リニューアルに伴う固定費削減や「LOHACO」および連結子会社株式会社チャームの物流費の改善、営業利益の期初計画値からの超過額に応じて支給される決算賞与の減少等により、売上高販管費比率が前期比0.1ポイント減少(実質前期比0.1ポイント減少)し、販売費及び一般管理費が899億87百万円となり、営業利益は143億46百万円(前期比4.3%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は51億92百万円減少しております。

 

<ロジスティクス事業>

ASKUL LOGIST株式会社の当社グループ外の物流業務受託の拡大により、売上高が増加いたしました。前連結会計年度においては、物流業務受託の準備期間に係る物流センター賃料等の費用が先行して発生しておりましたが、当連結会計年度においては物流受託売上高が増加したことから前期比で営業損益は大幅に改善し、当連結会計年度の下期においては営業損失から営業利益への転換を達成しております。

この結果、当連結会計年度の売上高は90億30百万円(前期比17.6%増)、営業損失は34百万円(前期は営業損失11億円)となっております。なお、収益認識会計基準等を適用したことによる影響はございません。

 

<その他>

嬬恋銘水株式会社での飲料水の販売が「LOHACO」を含めて好調であることから売上高は増加しました。生産能力の高い新製造ラインが2021年11月に完成し、稼働しておりますが、新型コロナウイルス感染症による新製造ラインの工期の遅延等が発生し、稼働直後の生産性が想定値まで伸びなかった影響等により製造単価が上昇した結果、売上総利益率が低下し、増収減益となりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は14億97百万円(前期比12.5%増)、営業利益は0百万円(前期比98.7%減)となっております。なお、収益認識会計基準等を適用したことによる影響はございません。

 

(注) 1 第3四半期連結会計期間に45億円の追加投資を実行することを決定しております。これは、当初想定しきれなかった開発ボリュームの追加等により工数が増加したこと、また、確実なリリースを実現するために開発体制を大幅に強化することによるもので、追加投資を含めた投資予定総額は105億円となります。追加投資は中期経営計画の全体予算の中で可及的に吸収予定です。

2 2021年5月期から収益認識会計基準等を適用したと仮定した場合の前期比です。

 

 

財政状態の状況は以下の通りであります。

 

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は1,880億24百万円となり、前連結会計年度末と比べ20億82百万円減少いたしました。主な減少要因は、自己株式の取得81億43百万円等により現金及び預金が74億70百万円減少したことであります。主な増加要因は、ソフトウエア仮勘定が49億82百万円増加したことであります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は1,307億53百万円となり、前連結会計年度末と比べ1億49百万円減少いたしました。主な減少要因は、長期借入金(1年内返済予定を含む)が25億9百万円、リース債務(長期)が8億23百万円減少したことであります。主な増加要因は、支払手形及び買掛金が12億26百万円、電子記録債務が9億78百万円増加、未払金が4億14百万円増加したことであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は572億71百万円となり、前連結会計年度末と比べ19億32百万円減少いたしました。主な減少要因は、親会社株主に帰属する当期純利益92億6百万円の計上等があったものの、資本効率向上および株主還元を目的とした自己株式の取得後の自己株式の消却80億65百万円、配当金の支払30億73百万円があったこと等により利益剰余金が19億39百万円減少したことであります。

以上の結果、自己資本比率は30.2%(前連結会計年度末は30.9%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は587億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ74億70百万円減少いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは179億52百万円の収入(前期は159億98百万円の収入)となりました。これは、法人税等の支払額47億30百万円があったものの、税金等調整前当期純利益138億71百万円、減価償却費とソフトウエア償却費、のれん償却額の合計65億59百万円仕入債務の増加22億4百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは107億48百万円の支出(前期は90億79百万円の支出)となりました。これは、ソフトウエアの取得による支出71億90百万円、有形固定資産の取得による支出28億94百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは146億74百万円の支出(前期は39億19百万円の支出)となりました。これは、長期借入れによる収入101億79百万円があったものの、長期借入金の返済による支出126億88百万円自己株式の取得による支出81億43百万円、配当金の支払額30億73百万円があったこと等によるものであります。

 

③ 生産、仕入および販売の状況

  a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

その他 (注)1

1,043

+29.8

合計

1,043

+29.8

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 金額は、製造原価によっております。

3 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。

 

  b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前期比(%)

eコマース事業

313,708

+1.0

その他 (注)1

152

+44.1

合計

313,860

+1.0

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

3 金額は、仕入価格によっております。

4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。

 

  c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

eコマース事業

418,698

+1.2

ロジスティクス事業

9,030

+17.6

その他 (注)1

788

+13.8

合計

428,517

+1.5

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。

 

(のれんの減損)

当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a. 経営成績等

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b. キャッシュ・フローの分析

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループが属するeコマース市場は引き続き成長が見込まれているものの、競合とのサービス競争は激化しており、競合他社の状況が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、BtoB事業は、新たに位置付けた2大戦略業種(医療・介護、製造業)向けを中心に、お客様のご要望にあった品揃えの拡大や当社オリジナル商品の拡充を進めるとともに、既存サイトの特長を結集し、新たな機能も兼ね備えた新アスクルWEBサイトの構築により、他社との差別化を図ってまいります。BtoC事業は、ヤフー株式会社のシステム基盤の活用をはじめとするZホールディングスグループとのシナジーにより、固定費の大幅な削減を図り、お客様の支持拡大のためのサービス品質向上に注力してまいります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。

 

 ④ 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、各事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。

設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。

 

 ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは劇的に変化する競争環境を勝ち抜くため、2021年7月2日に2025年5月期を最終年度とする4年間の中期経営計画を発表いたしました。中期経営計画では、オフィス通販からすべての仕事場とくらしを支えるインフラ企業へのトランスフォーメーションを成し遂げるべく、2025年5月期の経営目標として連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、ROE20%を新たな目標に掲げております。なお、当連結会計年度においては連結売上高4,285億円、連結営業利益率3.3%、ROE15.9%となっております。今後は、BtoB事業における「戦略業種と品揃え拡大」「BtoB最強eコマースサイトの構築」、BtoC事業における「Zホールディングスグループとのシナジー」、加えて両事業を支える「プラットフォームの改革」、新たなチャレンジとしての「BtoBビジネスの新サービス」を最重要戦略として、中期経営計画の経営目標達成に向けて各施策を推進してまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。