第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは食の安全・安心を徹底し、お客様に利便性と最高のQSC(クオリティー、サービス、清潔さ)と魅力的で手ごろ感のあるメニューの提供等の最高の店舗体験をご提供させていただくことを基本方針としています。

 また、株主の皆様やお客様をはじめ、地域社会、従業員、フランチャイジー、サプライヤー等のすべてのステークホルダーと良好な関係を築くとともに、経営の健全性、透明性を確保し、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を実現することを経営上の重要課題としています。

 各種法令を遵守し、「環境・社会・ガバナンス(ESG)」のさまざまな課題について責任を果たすべく、店舗運営をはじめとする、食材や資材の調達、環境負荷の軽減、地域社会への貢献などの活動に注力しております。また、世界的なアジェンダである「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向け、「安心でおいしいお食事を」「地球環境のために」「地域の仲間にサポートを」「働きがいをすべての人に」の4つの領域を重点的に、当社グループの持つ強みと規模を生かした取り組みを引き続き展開してまいります。

 

(2) 経営環境

 原材料価格の高騰や人件費、不動産賃料、物流費、エネルギーコストなどの上昇、及び為替変動による影響が長期化しております。このような状況の中、当社グループは、お客様の声を伺いながら、QSCの向上や、モバイルオーダーやデリバリーサービス、キャッシュレス決済の拡大などさまざまな利便性を向上させる取り組みを積極的に導入しております。また、輸入業者やサプライヤーと協力のうえ、グローバル規模の原材料調達や、より効率的な物流網の構築といったコスト管理、商社を通じた為替ヘッジの取り組み、経費の最適化など最大限の企業努力を行っております。

 食品の安全・安心及び、地球環境保全に対する意識が高まる中、企業の社会的責任を果たすために、食品の安全管理及び、サステナビリティの領域においても、グループとして注力してまいります。

 

(3) 経営戦略及び対処すべき課題

<経営戦略>

①目標とする経営指標

 当社グループは、継続的な成長と収益性の向上による企業価値の向上を目指しまして、以下の項目を主な経営指標としています。

成長性 :売上高成長率

収益性 :営業利益成長率、営業利益率

投資効率:ROE

 

②中長期的な会社の経営戦略

 2022年度から2024年度を対象とする「ブランド」「メニュー・バリュー」「店舗・デジタル・ピープル」を成長に向けた柱に据えた、中期経営計画は以下の通りです。

 

1.成長に向けた3本の柱

・ ブランド:マクドナルドのパーパスに基づき社会的責任を果たす

・ メニュー・バリュー:より幅広いお客様・食事シーンに向けたメニューを提案する

・ 店舗・デジタル・ピープルへの投資を加速:「デジタルとピープルの融合」をさらに進化させ、

  お客様の期待の一歩先を行く店舗体験を創造するための投資を加速する

2.財務目標

全店売上高

+1,000億円

年平均成長率5%前後

営業利益

年平均成長率3~5%

営業利益率 10%以上

ROE

10%以上

 

<対処すべき課題>

 今後の成長に向けて、中期経営計画で掲げた3本の柱である「ブランド」「メニュー・バリュー」「店舗・デジタル・ピープル」に注力してまいります。これらの3本の柱に対する課題とその対処につきましては、第2[事業の状況]-4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]-業績等の概要(1)業績<中期経営計画の戦略の3本の柱>をご参照ください。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年12月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、取締役会及び監査役会による監督のもと、各担当執行役員によるイニシアチブと、部門横断的なプロジェクトの推進により、社会課題の解決と持続可能な経営の両立を目指しております。

 サステナビリティを推進する最高責任者は、代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)が担い、関連する取り組みや進捗状況を統括管理しております。執行役員コミュニケーション&CR本部長(以下、担当執行役員)の監督のもと、管轄部署であるサステナビリティ&ESG部が、サステナビリティの取り組みを推進しております。

 同部は、全社的なサステナビリティに関する戦略立案や計画策定を行っており、各取り組みについての進捗状況を集約しております。それらの情報は、担当執行役員を通じてCEOに報告され、定期的(年1回以上)に取締役会へ報告されます。取締役会はこの報告を受け、サステナビリティに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう監督しております。

 例えば気候変動対策については、CO2排出量の削減、省エネルギー化、再生可能エネルギーの導入、プラスチック使用量の削減、パッケージの環境負荷低減といった具体的な対策をプロジェクト単位で推進しております。各プロジェクトの進捗は、担当執行役員及び関連する執行役員より適宜CEOに報告されます。

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(2)戦略

①重点課題(マテリアリティ)

 当社グループのビジネスは、お客様、従業員、フランチャイズ法人、サプライヤーや地域の皆さまなど、様々なステークホルダーとの関係の上に成り立っております。私たちは、「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」をパーパスとして掲げており、これを実現するために以下の4つの領域を重要なサステナビリティ課題領域と定め、取り組みを推進しております。

私たちのパーパス:「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」

 

<パ―パス実現のための4つの領域>

「安心でおいしいお食事を - Food Quality & Sourcing」

 私たちは、「食の安全」をすべてに優先し、調達から店舗まで徹底した品質保証体制を実施するとともに、関わるすべての人が、倫理的で誠実な行動ができるシステムを維持・改良していきます。安定供給はもちろん環境課題や社会課題の解決に向けサプライヤーと連携して取り組み、持続可能な食材・資源の調達にも尽力してまいります。

 

「地球環境のために - Our Planet」

 私たちは、地球のため、将来のために、気候変動対策に真摯に向き合っています。「2050年までにネット・ゼロ・エミッション達成」という目標に向け、世界的な気候変動や環境課題に社会の一員として積極的に取り組み、環境保全に寄与すると共に、事業活動における環境負荷軽減を常に検討し、行動しております。

 

「地域の仲間にサポートを - Community Connection」

 私たちは、創業者レイ・A・クロックの言葉にもあるとおり「私たちをいつも支えてくださっている地域の皆さまへお返しをする義務がある」と考えております。コミュニティの一員として、子供たちとご家族、そしてお客様や地域・社会の皆さまの笑顔を第一に考え取り組んでおります。

 

「働きがいをすべての人に - Jobs, Inclusion & Empowerment」

 私たちは、マクドナルドのビジネスを支えているのは“人”であると考え、多様な人材が活躍し、誰もが自分らしく働きながら成長し、働きがいを感じることのできる職場環境の実現を目指しております。Our Values(私たちの価値観)のもと、安全で尊重しあえるインクルーシブな職場環境を推進するとともに、日々のトレーニングや専門教育機関における成長機会を提供し、自らの選択と努力次第でどこまでも成長できる「Up to You」なキャリア構築を支援しております。

 

②人的資本に関する戦略

 持続可能な発展のためには、地域の人々の協力が不可欠です。人手不足や人材の流出は従業員満足度や顧客満足度の低下、ひいては企業の評判を低下させ、お客様の減少に繋がりかねません。また、その影響は食材等の原材料供給を担うサプライヤーや生産地の皆さまにまで波及します。

 当社グループは、事業を展開する地域における雇用の創出に貢献しており、当社グループの専門教育機関である「ハンバーガー大学」では、クルー(店舗アルバイト従業員)や社員だけでなく、教職員研修の支援を行うなど多くの人々に育成機会を提供しております。より高い水準のサービスをお客様に提供し続けるための人材育成は、その好循環の中で地域社会の皆さまの生産活動を支えることにも寄与すると考えております。事業の持続可能な成長を維持するために、性別、国籍、人種、世代、障がいの有無、文化的背景や価値観といった個人の属性に関わらず、多様な人々の人権を尊重し、従業員が能力を最大限に発揮できるための人材育成と働きやすい職場環境の整備が重要と考え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを重視したキャリア開発の推進に取り組んでおります。例えば、店舗運営面では多様性の観点からクルーの属性内訳(学生、主婦・主夫、シニア等)を重視し最適化を図っています。また2021年には、特定の勤務地、時間、職務に限定することで、ライフスタイルに合わせて安心して働くことができる地域社員制度を導入したほか、店長がよりワークライフバランスを推進できるよう、サポート店長制度も新たに設けました。オフィススタッフについても、店舗同様、時代や社会の変化を考慮した働きやすい環境の整備を推進しております。なお、当社は、経済産業省と東京証券取引所が女性活躍推進に優れた企業を選定する「なでしこ銘柄」において、2023年度「なでしこ銘柄」に選定されております。

 

③環境・気候変動に関する戦略

 気候変動が当社グループにもたらす影響としては、異常気象による店舗への直接的な被害のほか、主要な原材料(小麦粉、飼料用穀物、野菜等)の作況による調達価格高騰や流通量減少、品質の低下が想定されます。また、海洋汚染やマイクロプラスチックの発生と流出も、同様に海産原材料の収量に影響を及ぼすことが考えられます。一方、当社グループの事業活動が環境に及ぼす影響の観点では、食品ロスの発生は、主要な原材料の生産工程で消費された自然資本やエネルギーが有効活用されないまま、余剰な温室効果ガスのみを空気中に残留させることになり、地球温暖化や前述の異常気象の発生にもつながる重要課題であると捉えております。

 以上を鑑み、当社グループでは脱炭素化とプラスチックの削減、食品の2R(リデュース・リサイクル)に重点をおいた取り組みを進めております。脱炭素化に向けては、2022年より太陽光や水力、地熱などの再生可能エネルギーに由来した電力の導入を各店舗にて順次開始し、物流においてはサプライチェーンにおける配送業務の平準化・効率化に取り組んでおります。その他、当社グループは林野庁が推進する「ウッド・チェンジ・ネットワーク」の趣旨に賛同し、森林の保全と地域の生態系保護、激甚化する災害被害の抑制などを目的として、国産木材を活用した店舗づくりも推進しております。プラスチックの削減に向けては、紙製ストロー、木製カトラリー、紙製サラダボックスの導入、サステナブルな素材を使用したおもちゃへの移行をはじめております。食品リサイクルの取り組み例としては、全店舗でほぼ100%の廃食用油(フライオイル)を主に鶏の配合飼料としてリサイクルしているほか、一部の店舗で、食品リサイクル法の優先順位に則り、飼料化、肥料化、バイオマス燃料化を行っております。

 

(3)リスク管理

 サステナビリティに関する重要なリスクについては、コンプライアンスを含むその他のすべてのリスクと共に、全社リスク管理委員会にて、その特定と評価並びに管理を行っております。全社リスク管理委員会は、代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)を委員長として原則四半期に1度開催し、さらに重要リスクについて個別に審議が必要と判断した場合に臨時開催しており、定期的(原則年1回)に取締役会へ報告します。

 具体的なプロセスとして、各担当執行役員がそれぞれの担当本部におけるコンプライアンス・リスク管理責任者となり、担当本部内の業務に関連して発生しうる潜在的なリスクを洗い出しております。識別されたリスクは、危機管理部が法務本部と連携のうえコンプライアンス・リスク管理責任者へのヒアリングを通して集約し、重要性の評価を行います。そのうえで、「全社ビジネスへの影響度」と「発生可能性」の2軸で重要度をマッピングして「固有リスク」を評価、さらに対策後の「残余リスク」の高さを踏まえてトップリスクを決定します。このプロセスは年次で見直し、全社リスク管理委員会において、1年間を通じて集中して対策を講じるべきトップリスクを選定しております。全社リスク管理委員会は、それぞれのトップリスクごとに担当本部を指名し、当該本部のコンプライアンス・リスク管理責任者は、特定されたリスクに対する影響の緩和や回避のための計画策定と実施及び周知を担い、全社リスク管理委員会で定期的に進捗状況を報告しております。

 サステナビリティに関するリスクについても、このプロセスのなかで識別・評価・管理されております。全社リスク管理委員会に執行役員コミュニケーション&CR本部長が委員として参加し、同本部に係るコンプライアンス・リスク管理責任者としてその進捗や懸念されるリスクについての共有を行い、全社的な戦略を踏まえたリスク管理を実行しております。

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(4)指標及び目標

 当社グループでは、前述の人的資本及び環境・気候変動に関する戦略及び取り組みについて、以下の表に示す関連指標を用いて進捗管理を行っております。また、当社グループ事業にも深く関連する社会課題等についても目標を設定し、その達成に向けて全社的な戦略の検討と実践に取り組んでおります。

 

①人的資本に関する指標と目標

 当社グループでは従業員の多様性を重視するうえで、各従業員の属性別人数や比率、人事制度等の利用状況をはじめ、目的に応じて複数の指標を管理しております。以下一覧表に示す指標は、前述の人的資本に関する戦略に紐づく指標を一部抜粋し開示するものです。このうち、女性管理職比率については2030年までに全体比40%を目標に掲げ、個人の属性に依存しない多様な人材が活躍できる職場環境づくりを目指しております。

指標

2022年実績

2023年度実績

従業員エンゲージメント (注)1

88%

89%

女性管理職比率 (注)2

25.3%

25.5%

女性店長比率 (注)2

31.8%

32.7%

男性の育児休業取得率 (注)3

26%

29%

障がい者雇用比率 (注)1

2.3%

2.3%

(注)1 対象者は日本マクドナルド株式会社の社員及びクルーです。

2 対象者は日本マクドナルド株式会社の社員です。

3 対象者は日本マクドナルド株式会社の常時雇用労働者です。

 

 

②環境・気候変動に関する指標と目標

 種別の食品・容器包装廃棄物量データ、エネルギー使用量データ及び、以下に示す各指標に基づき、当社グループに起因する環境負荷の進捗管理を行っております。温室効果ガス排出量については、2050年までのネット・ゼロ・エミッション達成を掲げ、2030年までに店舗とオフィスからの排出量を2018年度実績比で50.4%削減することを目標としております。また、廃棄物管理の観点では、食品ロス率の削減、食品リサイクル率の上昇を目指し、2025年末までに、すべてのお客様用パッケージ類およびハッピーセット®のおもちゃを再生可能な素材、リサイクル素材または認証素材に変更することを目標としております。

指標

2022年実績

2023年度実績

全店舗の電気とガスによるCO2排出量

360,083t-CO2

(2018年実績比 8.9%削減)

331,622t-CO2

(2018年実績比 16.1%削減)

食品ロス率

※可食部の廃棄量(kg)÷食品の仕入れ量(kg)

2.4%

2.3%

食品リサイクル率

65.0%

68.6%

(注)各指標の対象は直営全店舗及びフランチャイズ全店舗です。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年12月31日)現在において判断したものであります。

 

(1) 食品に関するリスク

① 食品の安全管理について

(リスクの概要)

 飲食店営業の特有の問題点といたしまして、衛生問題が発生した場合、各店舗における営業停止等による直接的な影響に加え、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 日本マクドナルド株式会社の食材は、国内外のサプライヤーで製造され、店舗に供給されております。日本マクドナルド株式会社では、サプライヤーの製造工程と食材の品質を管理するプログラムを定め、安全で高品質な食材の確保と店舗への供給に努めております。

 サプライヤーにおける食材の製造工程は、関連法令、規制要求事項の遵守はもちろんのこと、GMP、HACCPプログラムをベースとした世界食品安全イニシアチブ(GFSI)に準拠した食品安全管理システムに加え、マクドナルド品質基準を加えたサプライヤー品質マネジメントシステム(SQMS)によって管理されています。マクドナルドがグローバルで取り組んでいる約150項目に渡る品質・食品安全マネジメントシステムの要求項目に基づく品質管理、衛生管理に取り組むとともに、内部監査による自己点検、第三者機関による外部監査を設けております。

 併せて、サプライヤーで製造された食材は店舗に納められるまで、倉庫保管及び輸送中の安全性を確認するプログラム(DQMP)を運用することによって安全性の確保に努めております。

 また、弊社では、「Supplier summit」を年に1回、品質保証・管理責任者を対象とした「Gold Standard Quality会議」を年に2回開催しており、製造現場レベルから高い意識で食品安全に取り組むという共通理念を、お互いに共有しております。

 店舗においては、食品衛生責任者の設置、害虫駆除の定期的実施、従業員の身だしなみチェックと手洗いの励行に加え、厨房機器の定期的なメンテナンス、食品管理に関するマニュアルの整備と従業員教育の実施等により、安全な商品をお客様に提供するための衛生管理を徹底しております。万一、異常が発生した場合には、異常申立者の救護治療、拡大防止のための迅速な措置を取る体制を整えているほか、賠償責任保険への加入などの対策も講じております。

② 食品に関する安全性について

(リスクの概要)

 社会全般に影響を与える衛生問題あるいは風評等が発生した場合、売上の減少、安全衛生強化の施策費の増加、関連設備投資、安全性に関するキャンペーン費用等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループでは、お客様の当社グループ商品に対する信頼を高めるため、商品がどこで製造され、日本マクドナルド株式会社がどのように品質や安全性を確保しているかを伝える必要があると考え、最終加工国、主要原材料の主要原産国の情報公開を積極的に行っております。また、品質管理体制の強化、具体的には、対象サプライヤーに対する定期的な監査の実施と第三者検査機関による残留検査や食品衛生法の規格基準に基づく検査を原材料に応じた頻度で定期的に実施しております。

 

(2) 経営環境に関するリスク

① 原材料の価格変動等によるリスクについて

(リスクの概要)

 日本マクドナルド株式会社が提供する商品の原材料である牛肉、ポテト等の価格は国際商品市況等の影響を受けて変動しております。また、輸出国での労使協議等の影響による物流遅延などにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 日本マクドナルド株式会社は、国内、海外を含め多数のサプライヤーと取引を維持することで、その時々においてより有利な取引条件を確保しております。

② 為替変動リスクについて

(リスクの概要)

 日本マクドナルド株式会社が提供する商品の原材料及び貯蔵品は海外からの輸入があるため、その価格は為替変動の影響を受けており、為替の変動が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 日本マクドナルド株式会社は、商社を通じた適切かつ機動的な為替予約により、為替変動リスクを回避する努力を行っております。

③ 競合について

(リスクの概要)

 日本マクドナルド株式会社は、ハンバーガーを中心とするファストフード業界のみならず、コンビニエンスストアや中食と言われる惣菜販売業者等との間において、競合状態にあります。競争の激化が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは、主に飲酒を主とした居酒屋・スナック及び給食施設を除いた外食マーケットをIEO(Informal Eating Out)市場と設定して、日本マクドナルド株式会社の置かれた状況を分析して経営を行っております。特に、先進的なテクノロジーや経営手法を導入することで、優位なポジションの確保に努めております。

④ 法的規制について

(リスクの概要)

 日本マクドナルド株式会社の直営店舗及びフランチャイズ店舗は、食品衛生法の規定に基づき、監督官庁から飲食店営業許可、菓子製造許可及び乳類販売営業許可を取得していることに加え、環境の保護に関して、容器包装リサイクル法等、各種環境保全に関する法令による制限を受けております。これらの法的規制が強化された場合、それに対応するための新たな費用が増加すること等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは、各種法的規制に対しマクドナルドシステムとしての対応方法を個別に定め徹底することで、法令を遵守しかつ経営に重大な影響が生じることなく対応できる体制を整えております。

⑤ 労務管理について

(リスクの概要)

 当社グループは、「ピープル」を重要な経営基盤の一つと位置づけ、継続的な投資を強化しており、関連法令を遵守した適切な労務管理を実施しておりますが、直営及びフランチャイズ店舗における労務管理も含め、実務の中でこれが適切に実施されなかった場合には、訴訟リスクや、当社グループの社会的信用を失う可能性があり、当社の財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは、継続的なモニタリングにより勤務状況の確認を行い、また従業員への定期的なトレーニングや通知により、労務管理に関連するルールの理解と遵守の徹底に継続的に取り組んでおります。

 

(3) 特定の取引先との関係に関するリスク

① 物流関連業務の委託について

(リスクの概要)

 当社グループが指定する製造元からの商品や備品等の購入業務、当該商品や備品等の在庫管理業務及び店舗への配送業務等の物流関連業務を特定の外部業者に委託しており、需要の急増減や天災地変、品質問題や倒産・経営破綻等により調達に重大な支障をきたした場合等には、当社グループの財政状況と経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは特定の外部業者と密接な関係を保ちながら、それらの業者と協力して物流・調達業務を常に見直し改善することで、安定的な調達に努めております。

② 店舗の賃借物件への依存について

(リスクの概要)

 当社は、本社、事務所及び95%以上の店舗の土地建物を賃借しております。賃貸借期間は当社と賃貸人との合意により更新可能でありますが、賃貸人側の事情による賃貸借契約の不更新または期限前解約により、業績が好調な店舗であっても閉店を余儀なくされることがあります。

 また当社は、賃貸人に対して預託金を差し入れておりますが、契約終了時に一括で返還される敷金と、数年から最長30年にわたり分割によって返還を受ける保証金(建設協力金)があります。当連結会計年度末の「敷金及び保証金」残高は396億30百万円であります。敷金及び保証金のうち全部または一部が、賃貸人に生じた倒産その他の事由により回収できなくなるリスクがあります。

(リスクへの対応)

 当社は、契約条件を精査し、適宜賃貸人と協議し、かつ賃借人として賃貸物件を適切に利用し賃貸人と良好な関係を維持することで、必要な賃貸借期間の確保に努めております。また、必要以上の敷金、保証金を預託しないことに加え、賃貸人の与信を適切に管理することで、敷金及び保証金の回収不能リスクを低減しております。

③ デリバリー関連業務の委託について

(リスクの概要)

 お客様の生活様式の変化により、デリバリーの需要が増加する中、日本マクドナルド株式会社及びフランチャイジーにおいては自社のデリバリーサービスに加え、複数の外部業者にデリバリー業務を委託しておりますが、需要の急増減、法令の整備、業者の撤退等により、外部業者のサービス提供あるいはその仕組みに大きな変更がある場合、当社グループの財政状況と経営成績に影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループはこれらの外部業者と密接な関係を保ちながら、全体のバランスやサービス内容を常に見直し改善することで、安定的なデリバリーサービスの実施に努めております。

 

(4) 情報セキュリティ・内部統制に関するリスク

① 情報システムへの依存について

(リスクの概要)

 当社グループは、店舗運営、食材などの仕入れ、配送システムなどの業務を情報システムに依存しており、その情報システムに様々な障害が生じた場合には、店舗の効率的な運営やお客様に対する食品の適時の提供が阻害され、重要なデータの喪失等が発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは、プログラムの不具合などやコンピュータウイルス、外部からのサイバー攻撃などに対し、監視ツールの導入によるシステム検知やモニタリングの実施等、適切な防止策を実施しております。

② 個人情報保護について

(リスクの概要)

 当社グループは、多数のお客様や従業員の個人情報等を管理しておりますが、万一漏洩があった場合には、お客様等に重大な損失を与え、当社グループの社会的信用を失う可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは、個人情報保護法や各種ガイドラインに基づいた規程類及び社内体制を整備し、定期的な社内・委託先の情報管理体制の確認を行うことで、個人情報漏洩を防止しています。

③ コンプライアンスについて

(リスクの概要)

 コンプライアンスに対する意識が高まる中、役職員個人による法令違反などコンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社の財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また直営及びフランチャイズの役職員による不適切なSNSの使用などがあった場合、当社グループの評判や信頼に影響を及ぼす可能性もあります。

 

(リスクへの対応)

 当社グループは、コンプライアンス意識の徹底と定着に継続的に取り組んでおります。この取り組みにおいては全社リスク管理委員会規程を定めて全社リスク管理委員会を設置し、コンプライアンス&リスク管理体制を整備するとともに、コンプライアンス・ホットラインを設けて内部通報制度の充実を図り、加えて必要な研修トレーニングを通じて役職員に対するコンプライアンス教育も実施しております。また、業務執行部門から独立した内部監査部により、各部門の業務プロセスが適切に行われていることを監査しております。

 各フランチャイジー及び各店舗に対する定期的な研修や監査も実施し、マクドナルドシステム全体としてのコンプライアンスを維持しております。

 

(5) 事故・災害に関するリスク

① 天候、災害によるリスクについて

(リスクの概要)

 特に店舗が集中している地域や原材料の輸出国で台風や地震等の自然災害が発生した場合は、店舗設備の損壊、社会インフラ、物流の寸断、避難勧告等の理由により、店舗の休業や営業時間の短縮を余儀なくされる場合があります。また、自然災害による影響が長期化し、さらには消費意欲の低下等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは、日本国内の様々な地域に多くの店舗を構え、かつ外部業者と協力して物流網を整備することにより、また損害保険に加入することで、天候や災害によるリスクに対応しております。

② 感染症に関するリスク

(リスクの概要)

 新型コロナウイルス等の感染拡大による対応により、店舗の運営方法や設備の変更、政府、行政の方針に伴う営業時間短縮や、営業の一時停止といった事象が生じました。今後の様々な感染症拡大により、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

 当社グループは、政府、行政の方針に則り、お客様、従業員等の安全を最優先に、衛生管理の徹底、店舗の営業時間の短縮や店内客席ご利用の制限など営業形態の見直しを行っております。今後も全国の店舗で実施している感染症予防の取り組みを継続するとともに、政府や自治体の方針や発表を注視し、対応してまいります。また、商品をご自宅にお届けするデリバリーサービス、レジを通さない注文を可能にするモバイルオーダー、店舗の駐車場所に直接お届けするパーク&ゴー®といった、お客様が利用しやすい販売方法を積極的に導入しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」とい

う。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)業績

 当社グループでは、持続的成長と収益性を向上し、企業価値の継続的な拡大を目指す中期経営計画(2022年度から2024年度)を2022年2月に公表いたしました。より多様化し高まっていくお客様のご期待にお応えし着実な成長を実現するために、マクドナルドビジネスの基盤と将来に向けた分野への投資を強化しております。3年間で目標としておりました全店売上高年平均成長率5%前後、営業利益年平均成長率3~5%、営業利益率10%以上、

ROE10%以上につきましては、2年目である当連結会計年度で達成することができましたが、引き続き今後の成長に向けて、「ブランド」「メニュー・バリュー」「店舗・デジタル・ピープル」の戦略の3本の柱に注力してまいります。

 当連結会計年度におきましては、これまで同様お客様の声を伺い、店舗の衛生管理の徹底、QSCと利便性の向上を通じてお客様の店舗体験の向上に努めたことに加え、様々なメニュー戦略やマーケティング活動、人材の採用と育成への投資などを強化いたしました。事業環境としては円安や原材料価格の高騰、エネルギーコストや人件費、物流費の上昇など、前年度から引き続き変化の激しい状況が続く中、全国の店舗の7割を超える約2,100店舗を運営するフランチャイズオーナーや、サプライヤーも含め、ビジネスを健全に継続するために、一部商品の店頭価格を改定いたしました。その結果、対前年で増収となり、既存店売上高は2015年第4四半期から2023年第4四半期まで33四半期連続でプラスとなりました。利益面では、売上増の効果に加え、グローバル規模の原材料調達や、より効率的な物流網の構築といったコスト管理、為替ヘッジや経費削減の取り組み、マーケティング活動をより効率的に強化するなど最大限の企業努力を行った結果、対前年で増益となりました。

 

<中期経営計画の戦略の3本の柱>

1.ブランド

 地域社会の一員として、サステナビリティを積極的に取り組むべき重要課題と位置づけ、「安全でおいしいお食事を」「地球環境のために」「地域の仲間にサポートを」「働きがいをすべての人に」を重点的に取り組む4つの領域と定めました。マクドナルドの考え方と取り組みをまとめたサステナビリティレポートをウェブサイトで公開しております。

 

「安全でおいしいお食事を」:食を提供する企業として「食の安全」の確保を最優先課題とし、お客様に安全なお食事をお召し上がりいただけるよう食品管理システムの正確な運用に取り組んでおります。関連法令・規制の遵守とともに、グローバル食品安全イニシアチブ(GFSI)にも準拠し、さらにマクドナルド独自の基準を加えて構成された、厳しい品質管理システムを構築しております。また、商品に対するお客様の信頼を高めるため、最終加工国、主要原材料の主要原産国の情報公開や、対象サプライヤーに対する監査の実施など、徹底した品質管理体制の構築と強化を図っております。

 

「地球環境のために」:プラスチックの削減に関しては、2025年末までに、すべてのお客様向けのパッケージを再生可能、または認証済み素材への切り替えを予定しています。また、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するため、省エネの強化、物流の効率化、再生可能エネルギーの導入など、様々な取り組みを実施してまいります。

 

「地域の仲間にサポートを」:公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンへの支援や、スポーツ支援、教育支援、安全笛の提供等を通じて地域社会への貢献に努めてまいります。

 

「働きがいをすべての人に」:全国で20万人のクルーを雇用する雇用主として、性別や年齢、国籍といった様々な個性や背景を持った多様な人材が、それぞれの強みを発揮して働きがいを感じていただける職場環境を作ってまいります。

 

 当連結会計年度においては、前期より引き続き、テレビCMやホームページ、SNS等を活用したブランドコミュニケーションの継続に加え、QSCの向上を通じて店舗体験を高めた結果、お客様のブランドに対する好感度や信頼度がさらに上がっております。今後もこれまでの取り組みを継続強化することで、よりお客様との結びつきを強化してまいります。

 

2.メニュー・バリュー

 お客様のご期待にお応えするために、それぞれの時間帯に合わせたメニューラインアップを強化し、バリュー・フォー・マネーにおいてお客様にお得感を感じていただける様々な取り組みを実施いたしました。期間限定商品では、「てりたま」や「月見バーガー」「グラコロ®」等を販売し、季節の風物詩として多くのお客様にご好評いただきました。また、これまでマクドナルド併設型のカフェコーナー“McCafé by Barista®(マックカフェ バイ バリスタ)”限定メニューとして販売しておりました人気のレギュラー商品「オレオ® クッキー チョコフラッペ」と「マンゴースムージー」、さらにフランス産「マカロン」3種を、全国約7割にあたる2,000店舗以上のマクドナルドでも提供を開始し、大変人気となりました。さらに平日のランチのセットメニュー「ひるまック」や、手軽に様々な商品をお選びいただける500円台のバリューセット®を継続するなど、お客様に「おいしさ」「お得さ」「手軽さ」を通じて、マクドナルドのバリューを実感していただける商品をお届けしております。

 

 

3.店舗・デジタル・ピープル

「店舗」:今後の成長に向けて、移転を含む新規出店や改装、リビルドに積極的に投資を行っていくことで、よりお客様や地域のニーズに合った店舗ポートフォリオとしてまいります。キッチンの製造能力強化やドライブスルーレーンの増設、デリバリーサービスの最適化など、お客様により便利で快適にご利用いただける環境をご提供してまいります。

 2023年においては、新規出店86店舗、閉店71店舗となり、当連結会計年度末の店舗数は2,982店舗となりました。キャパシティの増強についても、製造能力を強化したキッチンシステム、商品の受け渡し口を増強した店舗の導入を徐々に進めております。経営資源を効果的に活用するために、新規出店と改装、リビルドへの投資配分を柔軟に行いながら、お客様の満足度と業績を向上させるための最適な店舗ポートフォリオを構築してまいります。

 

 

区分

前連結会計

年度末

新規出店

閉店

区分移行

当連結会計

年度末

増加

減少

直営店舗数

859店

43

△25

5

△4

878店

フランチャイズ店舗数

2,108店

43

△46

4

△5

2,104店

合計店舗数

2,967店

86

△71

9

△9

2,982店

 

「デジタル」:デジタルとピープルの融合により、より良いサービスをご提供していく施策として、「モバイルオーダー」を導入しております。公式アプリにモバイルオーダーやデリバリーのアプリを統合することで、お客様にシームレスなサービスを提供し、お客様のニーズにお応えし続けるためにさらに利便性を高め、利用者数を伸ばすことを目指しております。また、店頭にてお客様ご自身にご注文いただける機器の設置や、様々な電子マネーをお客様に気軽にご利用いただけるようにバーコード決済へ対応するなど、デジタルの活用を進めております。

 デリバリーは、今後も大きく成長が期待されるポテンシャルの高いマーケットです。マクドナルドのクルーがお届けするマックデリバリーサービス(MDS)と、Uber Eats、出前館等との提携により、デリバリーサービスを展開しております。2023年12月末時点で、デリバリー実施店舗数はそれぞれMDS998店舗、Uber Eats1,973店舗、出前館1,961店舗等を合わせて、合計で全国2,239店舗となっております。今後もデリバリーサービスを提供できる店舗を拡大し、お客様の利便性の向上を目指してまいります。

 ドライブスルーについては、キャパシティの増強に加え、「モバイルオーダー」でご注文いただいた商品を、車に乗ったまま店舗の駐車場で受け取れるサービス「パーク&ゴー®」を導入しており、2023年12月末時点で全国の1,153店舗で展開しております。また、「ドライブスルー モバイルオーダー」も、全国のドライブスルー店舗(一部店舗を除く)でご利用いただけます。

 

「ピープル」:事業環境の変化が激しい中において、お客様のご期待にお応えできたのは、約20万人のクルーや店舗社員をはじめとしたピープル、つまり人材があってこそだと考えております。お客様に最高の店舗体験をしていただくため、優秀な人材の採用と育成に積極的な投資を継続しております。優秀な人材を採用するため、4年振りの店舗開催となる「クルー体験会」などのキャンペーンを実施いたしました。育成においては、デジタル端末を使ったトレーニング教材である「デジタルCDP」は現在日本語以外に5ヶ国語に対応しており、クルーの理解度の向上、トレーニング時間の短縮に繋がっております。また、ハンバーガー大学では、オンライン、対面での研修を実施しております。さらに、多様な人材の多様なライフスタイルに応じた社員としてのキャリアパスを提供するため、地域社員制度を導入しております。今後も、性別、国籍、年齢などの属性に関わらず、多様な個性や背景を持った人材がそれぞれの強みを生かして自分らしく働き、成長できる環境を提供し、人材育成とリテンションに繋げてまいります。

 

 今後も、お客様、従業員をはじめすべての方々の安全と健康を最優先しながら、常にお客様に寄り添い、変化する社会やお客様のニーズに柔軟に対応できるよう進化を続けてまいります。おいしいメニュー、お得感、納得感のあるバリュー並びに便利で快適な店舗体験を日々ご提供するとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組みながら、「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」ご提供してまいります。

 

 

<システムワイドセールス及び売上高>

 当連結会計年度は、お客様の満足度向上のために実施した様々な施策の相乗効果により、既存店売上高は7.0%の増加となり、1店舗当たりの平均月商は上場以来最高を更新することができました。システムワイドセールスは7,777億52百万円(前連結会計年度比601億63百万円増加)、売上高は3,819億89百万円(前連結会計年度比296億88百万円増加)となりました。

 

<売上原価>

 直営売上原価率は、原材料価格等の高騰が続く中、主に売上高の増加や店舗収益性の改善により1.4ポイント減少しました。また、フランチャイズ収入原価率は、主に減価償却費の増加や店舗運営事業の売却益の減少等により0.4ポイント増加となりました。

 

 

(売上原価の内訳)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度比

金額

原価率

金額

原価率

金額

原価率

直営売上原価

217,887

91.6%

234,367

90.2%

16,480

△1.4%

(内訳)

材料費

94,130

39.6%

98,877

38.1%

4,746

△1.5%

 

労務費

63,862

26.9%

68,884

26.5%

5,021

△0.3%

 

その他

59,894

25.2%

66,606

25.6%

6,712

0.5%

フランチャイズ収入原価

70,082

61.2%

75,330

61.6%

5,247

0.4%

売上原価合計

287,969

81.7%

309,698

81.1%

21,728

△0.7%

 

<販売費及び一般管理費>

 販売費及び一般管理費につきましては、さらなる成長への投資を行いました。売上高比につきましては、売上高の増加や一般管理費の最適化等により0.4ポイント減少となりました。

 

(販売費及び一般管理費の内訳)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度比

金額

売上高比

金額

売上高比

金額

売上高比

販売費及び一般管

理費

30,523

8.7%

31,413

8.2%

890

△0.4%

(内訳)

 

広告宣伝費及び

販売促進費

7,723

2.2%

8,385

2.2%

662

0.0%

 

一般管理費

22,799

6.5%

23,028

6.0%

228

△0.4%

 

<営業利益及び経常利益>

 主に売上高の増加等により、営業利益は408億77百万円(前連結会計年度比70億69百万円増加)、経常利益は407億34百万円(前連結会計年度比79億21百万円増加)となりました。

 

<親会社株主に帰属する当期純利益>

 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の407億34百万円を計上したことや、主に特別損失に減損損失及び固定資産除却損、固定資産売却損を20億42百万円、法人税等合計に136億5百万円計上したこと等により、251億63百万円(前連結会計年度比52億25百万円増加)となりました。

 

(注)1.既存店売上高とは、少なくとも13ヶ月以上開店している店舗の合計売上高です。

2.システムワイドセールスとは、直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高であり、連結損益計算書に記載されている売上高と一致しません。

3.当社グループの事業はハンバーガーレストラン事業単一であるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次の通りです。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて288億78百万円増加し、652億40百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動により得られた資金は484億74百万円(前連結会計年度比246億99百万円増加)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益387億68百万円、減価償却費及び償却費157億1百万円、法人税等の支払額118億21百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動により使用した資金は141億78百万円(前連結会計年度比180億44百万円減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出295億57百万円、敷金及び保証金の差入による支出53億39百万円、定期預金の払戻による収入250億円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は54億19百万円(前連結会計年度比40百万円減少)となりました。これは主に、配当金の支払額51億85百万円によるものです。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業はハンバーガーレストラン事業単一であります。なお、当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、以下の通りであります。

 

当連結会計年度

(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

販売高(百万円)

構成比(%)

前年同期比(%)

直営店売上高

259,692

68.0

9.2

フランチャイズ収入

122,128

32.0

7.2

店舗運営事業の売却から生じる利益

168

0.0

△72.6

合計

381,989

100.0

8.4

(注)1 上記の直営店売上高には、フランチャイズ店舗分は含まれておりません。

2 フランチャイズ収入の売上金額は、ロイヤルティー、賃貸料、広告宣伝費負担金収入等であります。

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5[経理の状況]-1連結財務諸表-(1)連結財務諸表-注記事項-(重要な会計上の見積り)をご参照ください。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

a 経営成績等

(1)経営成績

 当連結会計年度における経営成績の状況につきましては、第2[事業の状況]-4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]-(1)業績をご参照ください。

 

 

(2)財政状態の分析

 当連結会計年度末の流動資産は1,069億13百万円となり、前連結会計年度比161億45百万円の増加となりました。これは売掛金が73億64百万円増加、1年内回収予定の長期繰延営業債権が56億12百万円増加、現金及び預金が38億78百万円増加したことが主な要因です。
 固定資産は2,044億80百万円となり、前連結会計年度比178億82百万円の増加となりました。これは有形固定資産が168億73百万円増加したことが主な要因です。
 流動負債は770億24百万円となり、前連結会計年度比131億97百万円の増加となりました。これは未払法人税等が43億53百万円増加、未払消費税等が24億86百万円増加、未払金が16億50百万円増加したことが主な要因です。
 固定負債は76億95百万円となり、前連結会計年度比8億81百万円の増加となりました。これは資産除去債務が9億36百万円増加したことが主な要因です。

b 経営成績等に重要な影響を与える要因について

 経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、第2[事業の状況]-3[事業等のリスク]をご参照ください。

 

c 資本の財源及び資金の流動性について

(1)財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、安定的な営業キャッシュ・フローの創出により、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状態を目指しております。

 運転資金及び設備投資資金は主に営業活動によって得られた自己資金を充当し、必要に応じて借入金等による資金調達を実施する方針としております。

 

(2)経営資源の配分に関する考え方

 経営資源については、中長期的な持続的成長と収益性向上を実現するための投資に配分してまいります。このうち、設備投資に関しては、2024年度において、450億円の新規投資を計画しています。(第3[設備の状況]-3[設備の新設、除却等の計画]ご参照)

 株主配分の考え方については、第4[提出会社の状況]-3[配当政策]をご参照ください。

 

(3)資金需要の主な内容

 当社グループの営業活動に係る主な資金支出は、直営店舗の原材料費、人件費、その他店舗運営に関わる費用、直営・フランチャイズ店舗にかかる賃借料、広告宣伝・販売促進費、本社の人件費等となります。また、投資活動に係る主な資金支出は、店舗の建設や改装及びITシステムを含む設備投資等となります。

 

(4)資金調達

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。現状におきましては手元現預金を十分に保有していることから今後の資金需要は確保できておりますが、資金調達手段として金融機関と円滑な関係を築いております。

 

d 経営上の目標の達成状況について

 2023年度の達成状況は以下の通りとなりました。原材料費や物流費等の上昇の影響が緩和されてきているなか、これまでに築き上げてきたお客様との絆やマクドナルドブランドの価値、取り組んできた様々な施策の成果により、全店売上高、連結営業利益、連結経常利益、親会社株主に帰属する連結純利益は過去最高を更新し、連結売上高も含めて年初計画を上回る実績を達成することができました。

(単位:百万円)

 

2023年度

(年初計画)

2023年度

(修正計画)

2023年度

(実績)

全店売上高

770,000

773,000

777,752

連結売上高

374,000

379,000

381,989

連結営業利益

35,000

40,000

40,877

連結経常利益

33,500

40,000

40,734

親会社株主に帰属する連結純利益

21,000

24,000

25,163

 

 

 2024年通期の業績見通しについては、引き続きQSCの向上やお客様のご期待にお応えするメニュー・バリュー、快適な店舗体験のご提供を通じて、2023年を上回る売上高を目指します。また、これまでに築いてきたビジネスの基盤をさらに強化しつつ、将来の成長に向けた投資を行ってまいります。ビジネスの環境としては不透明な要素が多くありますが、安全・安心の分野を徹底しながら、お客様の利便性と店舗体験の向上を目指し、お客様にマクドナルドらしいFUNを感じていただける様々な活動を行います。そして、地域社会に貢献し、皆様に愛されるブランドとなるよう努めてまいります。

 

 全店売上高は創業以来最高となった2023年をさらに上回る8,260億円、連結売上高は4,060億円、連結営業利益は455億円、連結経常利益は445億円、親会社株主に帰属する連結純利益は270億円を目指してまいります。

(単位:百万円)

 

2024年度

業績予想

対前年比

全店売上高

826,000

+6.2%

連結売上高

406,000

+6.3%

連結営業利益

45,500

+11.3%

連結経常利益

44,500

+9.2%

親会社株主に帰属する連結純利益

27,000

+7.3%

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)米国マクドナルドとのライセンス契約

a.契約日 :1998年8月26日(2018年10月29日改訂)

b.契約先 :マクドナルド・コーポレーション(米国マクドナルド)

c.契約内容:

1971年7月14日付で米国マクドナルドと契約を締結しております。当該契約に従い、米国マクドナルドの有する商標、商号及びノウハウを使用し、日本におけるマクドナルド・レストランの運営を行っております。また、当社が日本におけるフランチャイザーとして、フランチャイズ権をサブ・ライセンスするマスター・ライセンス契約としても機能しております。

当該契約の当初期限は2000年末であったため、2001年1月1日以降に係るライセンス契約に関して、1998年8月26日に締結いたしました(2018年10月29日改訂)。主な内容は次の通りであります。

契約期間

自 2001年1月1日

至 2010年12月31日

自 2011年1月1日

至 2030年12月31日

支払ロイヤルティー

システムワイドセールスの2.5%

システムワイドセールスの3%

(注)1.日本マクドナルド株式会社は、2002年3月20日付の会社分割に関する合意書により、当社と同等の権利義務を保有する契約当事者としております。

2.システムワイドセールスとは、直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高であります。

 

(2)国内フランチャイジーとのフランチャイジー加盟契約

a.契約の名称

フランチャイズ契約

b.契約の本旨

 日本マクドナルド株式会社の許諾によるマクドナルド・レストラン経営のための契約を取り決めております。

c.契約期間

 10年

d.加盟店から徴収する加盟金、その他金銭に関する主な事項

加盟金

各店舗のフランチャイズ契約毎に2,500,000円

固定ロイヤルティー

3.0%

レントロイヤルティー

店舗の総売上高に基づく一定割合。

または、固定金額のどちらか高い方。

インフラサービスフィー

0.7%

広告宣伝費

4.5%

(注)1.店舗形態により、加盟金5,000,000円、最長期間20年間のフランチャイズ契約を一部採用しております。

2.上記割合は店舗の総売上高に基づくものであります。

3.2002年7月1日付の会社分割により、日本マクドナルド株式会社が同日をもってその権利義務のすべてを当社から承継し、フランチャイジーとの契約当事者となっております。

 

(3)国内フランチャイジーとの分割弁済契約

a.契約の名称

債務承認分割弁済契約

b.契約の本旨

フランチャイズオーナーへの財務施策の一環として、2022年9月以降に支払期日の到来するフランチャイジーから日本マクドナルド株式会社への支払ロイヤルティー等の一部について支払期限を延期し、2023年10月から始まる24ヶ月間での分割払いへと変更しております。

 

(4)HAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社との業務委託基本契約

a.契約日 :2012年9月1日

b.契約先 :HAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社

c.契約内容:

日本マクドナルド株式会社が認定した規格・単価の原材料を、HAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社が日本マクドナルド株式会社の指定する製造元より購入し日本マクドナルド株式会社及びそのフランチャイジーへ販売、配送することを取り決めております。

d.契約期間:本契約においては契約期間の定めはありません。

 

(5)HAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社との価格合意に係る規定

a.締結日 :2016年6月21日

b.締結先 :HAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社

c.締結内容:

日本マクドナルド株式会社とHAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社との間で決められる物流単価の価格合意に関する包括的な規定となることを定めております。

d.期間:本契約においては契約期間の定めはありません。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき研究開発活動はありません。