第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間及び本半期報告書提出日(2024年8月13日)現在において、本半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生または前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績の状況

 当社グループでは、持続的成長と収益性を向上し、企業価値の継続的な拡大を目指す中期経営計画(2022年度から2024年度)を2022年2月に公表いたしました。より多様化し高まっていくお客様のご期待にお応えし着実な成長を実現するために、マクドナルドビジネスの基盤と将来に向けた分野への投資を強化しております。3年間で目標としておりました全店売上高年平均成長率5%前後、営業利益年平均成長率3~5%、営業利益率10%以上、ROE10%以上につきましては、2年目である2023年度に達成することができましたが、引き続き今後の成長に向けて、「ブランド」「メニュー・バリュー」「店舗・デジタル・ピープル」の戦略の3本の柱に注力してまいります。

 当中間連結会計期間におきましては、これまで同様お客様の声を伺い、店舗の衛生管理の徹底、QSCと利便性の向上を通じてお客様の店舗体験の向上に努めたことに加え、様々なメニュー戦略やマーケティング活動、人材の採用と育成への投資などを強化いたしました。事業環境につきましては円安や原材料価格の高止まり、エネルギーコストや人件費、物流費の上昇などが続いており、全国の店舗の7割を超える約2,100店舗を運営するフランチャイズオーナーやサプライヤーも含め、ビジネスを健全に継続するために、一部商品の店頭価格を1月に改定いたしました。これらの活動の結果、既存店売上高は2015年第4四半期から2024年第2四半期まで35四半期連続でプラスとなり、売上高も対前年同期比で増加となりました。この売上高増加の効果やグローバル規模の原材料調達、効果的なマーケティング活動や効率的な店舗オペレーションなどの取り組みに加え、2023年中間連結会計期間において非常に高騰していた材料費や水道光熱費などが相対的に減少したことにより、営業利益は対前年同期比で増加となりました。なお、2024年2月8日に公表いたしました2024年12月期の通期の業績予想に対しましては概ね計画通りの進捗となっております。

 

<中期経営計画の戦略の3本の柱>

① ブランド

 パーパスとして「おいしさと笑顔を地域の皆さまに。」を掲げ、お客様だけではなく、従業員、そして地域の皆さまに笑顔になっていただくことをマクドナルドの存在意義としています。パーパスの実現に向け、「安全でおいしいお食事を」「地球環境のために」「地域の仲間にサポートを」「働きがいをすべての人に」を注力領域と定め、取り組んでおります。なお、当社グループのサステナビリティに対する考え方と取り組みは「サステナビリティレポート」にまとめ、ウェブサイトで公開しております。

 

「安全でおいしいお食事を」:食を提供する企業として「食の安全」は最も重視すべき課題であり、お客様に安全で高品質のお食事を安心してお召し上がりいただけるよう食品管理システムの正確な運用に常に取り組んでおります。関連法令・規制はもとより、世界食品安全イニシアチブ(GFSI)にも準拠し、さらにマクドナルド独自の品質基準を加えて構築された厳しい品質・衛生の管理システムの維持、必要な基準を満たしているかの監査も実施しております。また、持続可能な食材・資材の責任ある調達に努め、商品に対するお客様の信頼と安心を高めるべく、最終加工国・主要原材料の主要原産国や食物アレルギー、栄養成分の情報公開を継続して行ってまいります。

 

「地球環境のために」:「2050年までにネット・ゼロ・エミッション達成」を目指し、2030年までに「店舗とオフィスでは2018年度実績比で温室効果ガス排出量を50.4%削減」するという中間目標に向け、省エネの強化、物流の効率化、再生可能エネルギーの導入、食品ロスやリサイクルに継続して注力してまいります。また、2025年末までにすべてのお客様向けパッケージとハッピーセット®のおもちゃにおいて、再生可能な素材、リサイクル素材または認証済み素材への変更を予定しており、プラスチック削減等を推進してまいります。

 

「地域の仲間にサポートを」:コミュニティの一員として、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンの支援を通じて共に助け合う社会を目指したチャリティ活動や、キッズスポーツ支援、教育支援、安全で安心な街づくりなど、子供たちの成長、安全を支え、地域に暮らすすべての皆さまの笑顔のために取り組んでまいります。

 

「働きがいをすべての人に」:全国で働く約20万人のクルーをはじめとするすべての従業員に、成長の機会を提供し、誰もが活躍できる安全でインクルーシブな職場環境の実現を進めております。性別や年齢、国籍といった様々な個性や背景を持った多様な人材の雇用と、それぞれが強みを発揮しながら誇りと働きがいを感じられる職場環境を作ってまいります。

 

 当中間連結会計期間におきましても、引き続きテレビCMやウェブサイト、SNS等を活用したブランドコミュニケーションの継続に加え、QSCの向上を通じて店舗体験を高めた結果、お客様のブランドに対する好感度や信頼度がさらに上がっております。今後もこれまでの取り組みを継続、強化することで、よりお客様とのエンゲージメントを強化してまいります。

 

② メニュー・バリュー

 お客様のご期待にお応えするために、それぞれの時間帯に合わせたメニューラインアップを強化し、バリュー・フォー・マネーにおいてお客様にお得感を感じていただける様々な取り組みを実施いたしました。期間限定商品では、「チキンタツタ®」シリーズに加え、人気メニュー「てりやきマックバーガー」と「てりやきチキンフィレオ」をテーマとした3種の新バーガーやヨーロッパの料理をイメージした、ビーフ、チキン、シュリンプ3種類の味わいを楽しめる「ヨーロッパバーガーズ」などを販売し、多くのお客様にご好評いただきました。また、お客様においしく品質の良いカフェメニューをご提供するカフェブランド”McCafé®”で、より多くのお客様にマクドナルドらしい気軽で自由なカフェ体験をお届けしております。本年は、”本気カフェ宣言”2024年のもと、1月にカフェラテ・キャラメルラテを約3年ぶりにリニューアル、5月に「プレミアムローストアイスコーヒー」を4年ぶりにリニューアルいたしました。さらに500円台でお楽しみいただける『ちょいセット®』や「チキンマックナゲット®15ピース」を特別価格で販売するなど、お客様に「おいしさ」「お得さ」「手軽さ」を通じて、マクドナルドのバリューを実感していただける商品をお届けしております。

 

③ 店舗・デジタル・ピープル

「店舗」:今後のさらなる成長に向けて、移転を含む新規出店や改装、リビルドに積極的に投資を行っていくことで、よりお客様や地域のニーズに合った店舗ポートフォリオを構築してまいります。キッチンの製造能力強化やドライブスルーレーンの増設、デリバリーサービスの最適化など、お客様により便利で快適にご利用いただける環境をご提供してまいります。

 当中間連結会計期間におきましては、新規出店39店舗、閉店50店舗となり、当中間連結会計期間末の店舗数は2,971店舗となりました。キャパシティの増強につきましても、製造能力を強化したキッチンシステム、商品の受け渡し口を増強した店舗の導入を適宜進めております。経営資源を効果的に活用するために、新規出店と改装、リビルドへの投資配分を柔軟に行いながら、お客様の満足度と業績を向上させるための最適な店舗ポートフォリオを構築してまいります。

 

区分

前連結会計
年度末

新規出店

閉店

区分移行

当中間連結

会計期間末

増加

減少

直営店舗数

878店

11

△17

5

△20

857店

フランチャイズ店舗数

2,104店

28

△33

20

△5

2,114店

合計店舗数

2,982店

39

△50

25

△25

2,971店

 

「デジタル」:デジタルとピープルの融合により、より良いサービスをご提供していく施策として、「モバイルオーダー」を導入しております。公式アプリにモバイルオーダーやデリバリーのアプリを統合することで、お客様にシームレスなサービスを提供し、お客様のニーズにお応えし続けるためにさらに利便性を高め、利用者数を伸ばすことを目指しております。また、店頭にてお客様ご自身にご注文いただける機器の設置や、様々な電子マネーをお客様に気軽にご利用いただけるようにバーコード決済へ対応するなど、デジタルの活用を進めております。

 デリバリーは、今後も成長が期待されるポテンシャルの高いマーケットです。マクドナルドのクルーがお届けするマックデリバリーサービス(MDS)と、Uber Eats、出前館等との提携により、デリバリーサービスを展開しております。2024年6月末時点で、デリバリー実施店舗数はそれぞれMDS1,034店舗、Uber Eats1,985店舗、出前館1,969店舗等を合わせて、合計で全国2,243店舗となっております。今後もデリバリーサービスを提供できる店舗を拡大し、お客様の利便性の向上を目指してまいります。

 ドライブスルーについては、キャパシティの増強に加え、「モバイルオーダー」でご注文いただいた商品を、車に乗ったまま店舗の駐車場で受け取れるサービス「パーク&ゴー®」を導入しており、2024年6月末時点で全国の1,179店舗で展開しております。また、「ドライブスルー モバイルオーダー」も、全国のドライブスルー店舗(一部店舗を除く)でご利用いただけます。

 

「ピープル」:事業環境の変化が激しい中において、お客様のご期待にお応えできるのは、約20万人のクルーや店舗社員をはじめとしたピープル、つまり人材があってこそだと考えております。お客様に最高の店舗体験をしていただくため、優秀な人材の採用と育成に積極的な投資を継続しております。優秀な人材を採用するため、「クルー体験会」などのキャンペーンを実施いたしました。育成におきましては、デジタル端末を使ったトレーニング教材である「デジタルCDP」は現在日本語以外に5ヶ国語に対応しており、クルーの理解度の向上、トレーニング時間の短縮に繋がっております。また、ハンバーガー大学では、オンライン、対面での研修を実施しております。さらに、多様な人材の多様なライフスタイルに応じた社員としてのキャリアパスを提供するため、地域社員制度を導入しております。今後も、性別、国籍、年齢などの属性に関わらず、多様な個性や背景を持った人材がそれぞれの強みを生かして自分らしく働き、成長できる環境を提供し、人材育成とリテンションに繋げてまいります。

 

 上述の施策の結果、当中間連結会計期間の既存店売上高は7.1%の増加となりました。システムワイドセ

ールスは4,039億85百万円(対前年同期比318億37百万円増加)、売上高は2,009億96百万円(対前年同期比185億36百万円増加)、営業利益は237億48百万円(対前年同期比57億37百万円増加)、経常利益は242億78百万円(対前年同期比62億97百万円増加)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は148億93百万円(対前年同期比35億23百万円増加)となりました。

 

(注)1.既存店売上高とは、少なくとも13ヶ月以上開店している店舗の合計売上高です。

2.システムワイドセールスとは、直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高であり、中間連結損益計算書に記載されている売上高と一致しません。

3.当社グループの事業はハンバーガーレストラン事業単一であるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

 今後も、お客様、従業員をはじめすべての方々の安全と健康を最優先しながら、常にお客様に寄り添い、変化する社会やお客様のニーズに柔軟に対応できるよう進化を続けてまいります。おいしいメニュー、お得感、納得感のあるバリュー並びに便利で快適な店舗体験を日々ご提供するとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組みながら、「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」ご提供してまいります。

 

(2)財政状態に関する説明

①財政状態の分析

 当中間連結会計期間末の流動資産は917億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ151億55百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が84億52百万円減少、売掛金が50億78百万円減少、1年内回収予定の長期繰延営業債権が7億2百万円減少したことが主な要因です。

 固定資産は2,117億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ72億31百万円の増加となりました。これは、有形固定資産が51億9百万円増加、投資有価証券が50億円増加、長期繰延営業債権が28億65百万円減少したことが主な要因です。

 流動負債は604億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ166億9百万円の減少となりました。これは、その他が56億61百万円減少、未払金が41億83百万円減少したことが主な要因です。

 固定負債は70億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億10百万円の減少となりました。これは、資産除去債務が1億96百万円減少、役員賞与引当金が1億93百万円減少、賞与引当金が1億6百万円減少したことが主な要因です。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて84億52百万円減少し、567億88百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は224億18百万円(対前年同期比62億99百万円増加)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益235億52百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は251億66百万円(前年同期は45億80百万円の収入)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出194億98百万円、投資有価証券の取得による支出50億円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は57億4百万円(対前年同期比4億16百万円増加)となりました。これは主に配当金の支払額55億84百万円によるものです。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

 特記すべき研究開発活動はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。