第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」を企業活動の基本方針としております。

 この方針に基づき付加価値の高いさまざまなサービスを提供し、コンプライアンスに沿った適正な企業活動によって利益を確保することで、長期的な成長を目指して取り組んでおります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 直営店舗の全国展開を中心とした事業を行っている当社グループにとりましては、店舗の営業活動の収益性が明確に表される売上高営業利益率が目標として重視されるべき経営指標であると位置付けております。また、資本の効率性の観点から重要性が高まっている自己資本利益率を併せて重視してまいります。

 当社グループの中長期的目標値は売上高営業利益率5.0%、自己資本利益率8.0%であります。

 

(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題

 当社グループを取り巻く事業環境は、フリマアプリやインターネットオークションの普及や環境問題への関心の高まりなどにより、循環型社会形成が志向され、リユース市場はこれからも成長を期待されております。

 このような環境のもと、当社グループにおきましては、「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」を企業理念とし、お客様の消費行動を理解し、オンライン・オフラインの境目をなくした双方で、商品・サービスを自在に選択してご利用いただける“ネットワークリテイラー”の体制を構築し、リユースとレンタルの循環型流通やリテールを通して、世界の方々に豊かで楽しい「日常」を届け続ける“グローバルプラットフォーマー” でなければならないという課題意識のもとに、以下の項目について取り組んでまいります。なお、財務上の課題は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (6) 有利子負債依存度について」に記載のとおりであります。

 

①リユース市場の深耕

 リユース市場の拡大の中、持続的成長のためお客様との直接接点となる多店舗展開を加速させるとともに買取サービスの拡充といった利便性の向上を図り、リユース市場におけるポジションを高めてまいります。

 地域特性に合わせた新業態などの店舗開発や海外出店を含めた販売網の構築を行い、仕入れの強化として買取専門店・出張買取や買取ロッカーの設置によりお客様にリユース商品を身近に感じて頂ける環境づくりを展開してまいります。

 

②収益基盤の再構築と拡充

 「買う」「借りる」「売る」「場の提供」というグループの各事業が持つ機能に多種多様な商材を掛け合わせることにより、新規フォーマットを提案してまいります。

 映像・音楽ソフトのレンタル市場縮小傾向が続く中、全国に約1,000店舗を有するゲオショップの店舗網を活かし、実店舗だからこそ体験できる価値の提供を行うことで店舗の魅力向上を図ってまいります。

 寡占市場においても店舗網を展開することで顧客接点を重視したプロモーション活動等により商材の市場占有率を高め、メディア商材の最大利益化に努めます。

 オフプライスストア業態やラグジュアリー商材の取組み以外にも、新たなる店舗・業態の開発を行い、お客様のニーズに即した商材を提供するために、グループの有する店舗網を活かしたマーケティング活動と商材の育成・獲得を図ります。

 また、新たな柱となる事業領域の獲得については、M&A手法等も有効な手段の1つとして模索してまいります。

 

③ITの積極活用とオンラインの強化

 スマートフォン使用等オンラインでの情報認知と検索行動がますます一般化する中で、商品情報の検索性を高めることや決済方法の多様化対応により、ECサイトと店舗との併売等お客様への利便性を高め、よりシームレスな購買環境整備を物流体制及びIT・電子商取引対応への投資を行うことにより推進強化してまいります。

 

④グローバルマネジメントの構築

 リユース企業の世界的リーディングカンパニーを目指す上で、これまで以上にグローバル情報の把握と、迅速でフレキシブルな経営判断を行い、海外企業に対する競争力を高めるマネジメント体制を構築してまいります。

 海外の機能集約と分業を推進し、グループ全体を最適化する仕組み作りを構築してまいります。

 

⑤人材の獲得と教育投資

 各項目で述べてきた戦略を実現するため、人材獲得と教育投資による人材の活用を引き続き推進してまいります。

 また、企業の持続的な成長・発展を実現するためには、従業員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、その個性や能力を最大限に発揮することが必要となることから、多様な働き手を支援する環境の整備、グローバル教育・資格制度の再構築をしてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

循環型社会の実現

”モノ”を不要な場所から必要な場所へ ~事業成長によるSDGsへの貢献~

0102010_001.jpg

 当社グループはさまざまな循環型事業を通して、廃棄物の発生を抑制し、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献します。

 

■ゲオグループ サステナビリティ基本方針

 ゲオグループは、”豊かで楽しい日常の暮らしを提供する”という企業理念のもと、変化への適応と、事業の成長を通じて持続可能な社会の実現に取り組みます。

 当グループは本方針に沿ってマテリアリティを特定し、「環境」「人権」等に関する個別の方針を実行することにより、サステナビリティ経営を推進します。

 

■推進体制

①ガバナンス

 当社グループでは、2024年8月よりサステナビリティ委員会を設置しました。本委員会は、企業理念である「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」ことを実現するための一助として機能し、持続可能な社会の実現への貢献をさらに推進するための機関です。

 サステナビリティ委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、常勤役員、執行役員及び委員長の任命をもって構成されます。法令等を遵守し持続可能な企業活動を行えるよう、環境・社会へ十分に配慮することや、多様な価値観を尊重し、各人の個性が発揮できる環境づくりを推進すること等を行動指針として規定しています。

 本委員会は、サステナビリティに関わる取り組みの意思決定機関として機能し、協議された事項は取締役会に上程され、決議されます。

 また、下部組織として各部門の担当者からなる分科会を設置し、環境、社会、ガバナンスごとの重要課題について協議しています。

 このような組織体制のもと、担当執行役員を推進責任者とする事務局を通じて、関連部署や各委員会と連携し、環境や社会課題の解決に向けた取り組みを推進しています。

0102010_002.png

 

②リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクを物理的リスク(急性、慢性)、移行リスク(政策・法規制、市場)、機会(製品・サービス、市場)に分類し、それらの発現時期と影響度の大小について分析しています。

 サステナビリティ委員会の下部組織である分科会では、環境、社会、ガバナンスの重要テーマについて活動方針、指標の策定や各部署の取り組みのモニタリングを行い、事務局にて取りまとめた結果をサステナビリティ委員会へ上程します。

 サステナビリティ委員会では、活動計画の承認、重要課題に関する協議や進捗・達成状況の評価を行ったうえで、取締役会へ報告・提言します。

 取締役会では、委員会からの報告・提言をもとにゲオグループのサステナビリティ方針を決議します。

 また、おお蔵グループ(株式会社おお蔵ホールディングス、株式会社OKURA)、viviONグループ(株式会社viviON、株式会社エイシス、株式会社トライシス、株式会社forcs)においてはボトムアップ型の報告体制、その他事業会社においてはトップダウン型のリスク管理体制を構築し、サステナビリティ関連のリスクを管理しています。

 

(1)マテリアリティ

①ゲオグループの最重要課題

 当社グループでは、「”モノ”を不要な場所から必要な場所へ」をテーマに、さまざまな循環型事業を通して、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

 社会課題や取り巻く環境が変化し続けるなかで、長期的な価値創造や持続的な成長につなげるため、当社グループでは17のESG課題を抽出し、その中からさらに6つの最重要課題を特定しました。

<6つの最重要課題> (E:環境 S:社会 G:ガバナンス)

E: 循環型社会の実現・促進

E: 気候変動対応及び資源節約・廃棄物削減

S: ダイバーシティ&インクルージョンの推進

S: スペシャリストの育成とタレントマネジメントの推進

G: コーポレート・ガバナンスの強化

G: 公正な取引の推進とビジネス倫理に関する文化の醸成

 

 当社グループは、これらの最重要課題を中心に積極的かつ継続的に取り組むことにより、持続可能な社会への貢献と中長期的な企業価値向上を目指していきます。

 

■ マテリアリティマップ

0102010_003.png

■最重要課題に対する目指す姿とKGI

 特定した最重要課題に対し、目指す姿とKGIを設定しました。ゲオグループでは、これらの課題を中心に積極的かつ継続的に取り組むことにより、持続可能な社会への貢献と中長期的な企業価値向上を目指していきます。

 

ゲオグループ最重要課題に対する目指す姿とKGI

https://www.geonet.co.jp/csr/materiality/

 

(2)人的資本

①戦略

 当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針において、当社グループで働く一人ひとりが、日々の仕事を通じて豊かさや楽しさを感じられ、多様な人々の多様な価値観を認め合い、従業員一人ひとりの人生に寄り添える会社であることを目指しています。一例として、同性パートナーが婚姻関係にある夫婦と同じように、慶弔休暇や慶弔見舞金などの会社の福利厚生を受けることができる「同性パートナーシップ制度」を導入しています。

 女性社員のキャリア支援にも積極的に取り組んでおり、女性が出産、育児などのライフイベントと、キャリア形成を両立でき、一人ひとりが柔軟な働き方を選択できるような仕組みを整えています。

 従業員のエンゲージメントやさらなる生産性の向上に資するよう、人材投資を中心に積極的に取り組むことで、従業員への持続的な還元を目指しています。具体的には、従業員向けキャリアサイトを立上げ、自己理解、会社理解、制度理解、を促すとともに、キャリア相談室を設けて従業員のキャリア形成を支援しています。

 また、自身のキャリア希望を申告できる「自己申告制度」、不定期ながら社内に募集をかけて社員が自らの意思で応募する「社内公募制度」を設け、従業員が自主的にキャリアを形成する機会提供に努めています。その上で、配置転換を通じて会社と個人の成長を促進し、従業員のステージに応じた研修・教育の実施や従業員が働きやすい職場環境づくりによってワーク・ライフ・バランスの充実を図ることで、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、長く働くことができる環境づくりに取り組んでいます。加えて、健康経営を推進しストレスチェックの実施や時間外労働時間の抑制を行っています。

 

②指標及び目標

 当社グループは、上記「①戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標として、海外法人を除いた主要連結会社を含むグループ事業を対象とし、次の指標と目標を用いて実績を算出しています。その他の取り組みとしてLGBTQへの理解・支援の促進に関しても、現在具体的な目標の作成について検討を進めています。

 

指標

定義

目標達成予定時期

目標数値

実績

(2025年3月31日時点)

管理職(課長級以上)に占める女性労働者の割合

ゼネラルマネジャー(部長級)、マネジャー(課長級)における女性労働者の比率

2030年3月31日

30以上

11.0

女性労働者比率

総従業員における女性従業員の比率

2030年3月31日

30以上

21.6

障がい者雇用率

総従業員における障がい者従業員の比率

法定雇用率達成

2.5以上

2.87

男性労働者育児休業取得率

当該年度中に配偶者が出産した男性労働者における、新規育休取得者の比率

達成済 以後継続

50以上

56.6

女性労働者育児休業取得率

当該年度中に出産した労働者における新規育休取得者の比率

達成済 以後継続

80以上

117.9

定期健診受診率

当該年度の定期健康診断対象者数における受診完了数の比率

2026年3月31日

100

99.0

ストレスチェック受検率

当該年度のストレスチェック対象者数における受検完了数の比率

2026年3月31日

100

95.2

時間外労働時間(平均)

総従業員における当該年度の1ヶ月あたり平均の時間外労働時間

2026年3月31日

10時間以下

12.5時間

 

 

(3)気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)

 当社グループでは、気候変動問題を事業に影響をもたらす重要課題のひとつと捉え、グループ全体で気候変動対策に積極的に取り組んでいます。TCFD提言は、全ての企業に対し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、気候関連情報を開示します。

①ガバナンス

 当社グループでは、2024年8月よりサステナビリティ委員会を設置しました。本委員会は、企業理念である「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」ことを実現するための一助として機能し、持続可能な社会の実現への貢献をさらに推進するための機関です。

 サステナビリティ委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、常勤役員、執行役員及び委員長の任命をもって構成されます。法令等を遵守し持続可能な企業活動を行えるよう、環境・社会へ十分に配慮することや、多様な価値観を尊重し、各人の個性が発揮できる環境づくりを推進すること等を行動指針として規定しています。

 本委員会は、サステナビリティに関わる取り組みの意思決定機関として機能し、協議された事項は取締役会に上程され、決議されます。

 また、下部組織として各部門の担当者からなる分科会を設置し、環境、社会、ガバナンスごとの重要課題について協議しています。

 このような組織体制のもと、担当執行役員を推進責任者とする事務局を通じて、関連部署や各委員会と連携し、環境や社会課題の解決に向けた取り組みを推進しています。

 

②戦略

 当社グループの財務に影響を及ぼす気候変動関連リスク・機会の特定にあたり、IEAやIPCC等のデータを基に、1.5℃(脱炭素化が進展するシナリオ)と4℃(温暖化が進行するシナリオ)の2つのシナリオ分析を実施しました。

 

シナリオの定義

対象期間  :2030年を中心とした世界を想定

対象範囲  :当社グループ主要事業会社

       (株)ゲオホールディングス、(株)ゲオ、(株)ゲオストア、(株)セカンドストリート、

       (株)ゲオクリア、(株)おお蔵ホールディングス、(株)OKURA

参照シナリオ:1.5℃においてはIEA NZE、IPCC RCP1.9等、

       4℃においてはIEA STEPS、IPCC RCP8.5等

 

シナリオの世界観

[1.5℃](脱炭素化が進展したシナリオ)

・豪雨や洪水等の発生頻度は増加するが、4℃シナリオより抑制的

・脱炭素社会の実現に向けたカーボンプライシングが推進され、炭素価格が大幅に上昇

・GHG排出、省エネ化に関する規制が世界的に強化され、移行に伴う対策コストが増加

・環境意識の高まりを受け、サーキュラーエコノミーが拡大

・気候変動対策への関心度の高まりにより、ESG関連への投資や資金調達の機会が大幅に増加

 

[4℃](温暖化が進行したシナリオ)

・豪雨や洪水等の発生頻度や降水量が大幅に増加し、激甚災害対応のコストが増加

・カーボンプライシングの推進は1.5℃シナリオより抑制的だが、化石燃料由来のエネルギー単価は上昇

・平均気温上昇による消費活動の変化から、冬物衣料や冬物家電等の売上が減少

・平均気温上昇による消費活動の変化から、EC販売や夏物家電等の売上が増加

・気候変動対策への関心度の高まりは、1.5℃シナリオより抑制的だが、ESG関連への投資や資金調達の機会は増加

 

 シナリオ分析の結果、特定したリスク・機会に対する認識と今後の対応策は下記のとおりです。

 1.5℃シナリオにおいて、環境意識の高まりを受けたサーキュラーエコノミーの拡大と、リユース品の普及と買いやすさによる顧客の増加が見込まれる一方で、脱炭素化への移行に伴い再エネ由来の電力比重が増加することでエネルギー単価の上昇が見込まれ、店舗型ビジネスに伴う各店舗の光熱費の増加が当社グループの財務に大きな影響を与える可能性があると分析しました。4℃シナリオにおいても1.5℃シナリオと比較して抑制的ではあるもののエネルギー単価の上昇は発生し、当社グループの財務状況に対して大きなインパクトを持つと認識しています。

 これらの光熱費増加リスクに対し、当社グループはLED照明、断熱窓、効率の良い空調機器等の省エネ設備の導入、及び空調設備温度の見直し、電源の切り替えなど、設備の導入と節電意識の向上による対策を推進していきます。また1.5℃シナリオにおいて、環境への積極的な取り組みや適切な情報開示が、企業価値の向上や資金調達面

での優遇として当社グループの財務に大きな影響を与える可能性があると分析しました。当機会は4℃シナリオにおいても1.5℃シナリオと比較して抑制的ではあるものの大きな影響力を持ち、また社会的責任の観点からも重要な項目であると認識しています。

 上記の考えから、当社グループはESG情報開示の枠組みに沿った企業情報の積極開示、環境問題に取り組むイニシアチブへの賛同表明、非財務情報に対する第三者機関からの保証やサステナビリティに関する認定取得等を推進していきます。

 

当社グループにおいて想定される気候変動関連のリスクと機会

気候変動リスク・機会

発現時期

影響度

対応策

1.5℃

4℃

物理的

リスク

急性

自然災害の頻発化・激甚化による店舗修繕費や在庫被害額の増加

長期

・災害時マニュアル等、防災対策の見直し・強化

・損害保険の付保

自然災害の頻発化・激甚化による店舗休業やサプライチェーンの寸断に伴う売上の減少

長期

・POSレジ停止時対応等、自社店舗へのBCP策定と定期的な改定

・災害時マニュアル等、防災対策の見直し・強化

・損害保険の付保

・仕入れ元等、取引会社との連携強化

・サプライチェーンへのBCP策定と定期的な改定

慢性

平均気温上昇による、夏季の空調に用いるエネルギー消費量の増加

中期

・効率の良い空調機器、断熱窓など、省エネ設備の導入

・空調設備温度の見直し等節電への意識付け

移行

リスク

政策・

法規制

炭素税や排出量取引制度の導入・強化による自社の店舗運営コストや、配送コストの増加

中期

・廃棄物の抑制や再資源化の推進

・環境に配慮した活動を実践している取引先の選定

電力会社の電源構成の変化によるエネルギー単価の上昇

中期

・LED照明・断熱窓・効率の良い空調機器など、省エネ設備の導入

・こまめな電気のオン/オフなど、節電意識の強化

市場

平均気温上昇による冬物衣料や家電等の売上減少

長期

・季節商材・売れ筋商材の分析、及び、取り扱い商材の展開数量・方法の見直し

機会

製品・

サービス

環境意識の高まりを受けたサーキュラーエコノミーの拡大に伴う、リユース品の普及と買いやすさによる顧客の増加

長期

・当社のビジネスとサーキュラーエコノミーの親和性についての発信強化

・リユース企業として知名度・ブランド力の向上につながる情報発信強化

・リユース品の真贋判定・査定時のAI導入による効率化

平均気温上昇による、特定商材(家具・家電・アウトドア等)及びECの売上増加

長期

・季節商材・売れ筋商材の分析、及び、取り扱い商材の展開数量・方法の見直し

気候変動によって資源の希少化や枯渇による、希少資源を使ったラグジュアリー商材のリユース品の売上増加

長期

・季節商材・売れ筋商材の分析、及び、取り扱い商材の展開数量・方法の見直し

・リユース品の真贋判定・査定時のAI導入による効率化

市場

環境への積極的な取り組み、適切な情報開示による企業価値の向上や資金調達面での優遇

短期

・ESG情報開示の枠組みに沿った企業情報の積極開示

・環境問題へ取り組むイニシアチブへの賛同表明

・非財務情報に対する第三者機関からの保証やサステナビリティに関する認定取得

・銀行や投資家との積極的な対話の強化

(注)1.発現時期の定義:2027年までに発現するものを短期、2030年までを中期、2031年以降を長期と分類

2.影響度の算定:大・中・小の分類はIEA、IPCC等の外部資料及び当社データを用いて定量的な影響も検討しつつ、定性評価を実施

 

③リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクを物理的リスク(急性、慢性)、移行リスク(政策・法規制、市場)、機会(製品・サービス、市場)に分類し、それらの発現時期と影響度の大小について分析しています。

 サステナビリティ委員会の下部組織である分科会では、環境、社会、ガバナンスの重要テーマについて活動方針、指標の策定や各部署の取り組みのモニタリングを行い、事務局にて取りまとめた結果をサステナビリティ委員会へ上程します。

 サステナビリティ委員会では、活動計画の承認、重要課題に関する協議や進捗・達成状況の評価を行ったうえで、取締役会へ報告・提言します。

 取締役会では、委員会からの報告・提言をもとにゲオグループのサステナビリティ方針を決議します。

 また、おお蔵グループ(株式会社おお蔵ホールディングス、株式会社OKURA)、viviONグループ(株式会社viviON、株式会社エイシス、株式会社トライシス、株式会社forcs)においてはボトムアップ型の報告体制、その他事業会社においてはトップダウン型のリスク管理体制を構築し、サステナビリティ関連のリスクを管理しています。

 

④指標と目標

 当社グループの祖業であるレンタル事業は、映像、音楽、コミックなどの同じメディアをお客様に借りていただき、返却していただくことで、新しいメディアを製造することなく、コンテンツを楽しんでいただくことができるサービスです。よって、当社グループがこれまで拡大し、維持継続しているレンタル事業は、GHG排出量が着目される以前から循環型社会の基礎となる事業であると考えています。

 また、当社グループの主要事業となっているリユース事業においても、「捨てない暮らし」を当たり前にするというミッションのもと、不要になったモノを必要とする人々に届けることで、廃棄物の削減や環境負荷の軽減に貢献しています。よって、リユース事業は、モノの製造時に発生するGHG排出量の削減にも寄与していると考えています。

 現在、気候変動問題は、国際社会が一体となって直ちに取り組むべき重要な課題とされ、2015年に行われた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、「パリ協定」が採択され、2016年に発効しました。

 さらに、日本政府は2020年に「2050年カーボンニュートラル」を宣言するなど、脱炭素社会を目指した動きを明確化しています。

 当社グループは、世界的な気候変動に関する枠組みや、日本政府が示す脱炭素社会の方針を踏まえて、当社グループのGHG排出量について、2050年ネットゼロを目標とします。

 

ゲオグループESGデータ

https://www.geonet.co.jp/csr/esg/

 

(4)環境

環境への取り組み

 当社グループでは事業活動によりさまざまなモノの循環を生みだすことで、CO2の削減だけでなく、エネルギーの効率化や海外事業、地域活動の分野においても持続可能な社会を実現するための取り組みを実施しています。

 未来へ繋がる事業の実現を目指し、気候変動をはじめとする環境問題へ取り組んでいきます。

 

■ネットゼロ宣言

 気候変動問題は、国際社会が一体となって直ちに取り組むべき重要な課題とされ、日本政府も2020年に「2050年カーボンニュートラル」を宣言するなど、脱炭素社会を目指した動きを明確化しています。

 ゲオグループは、世界的な気候変動に関する枠組みや日本政府が示す脱炭素社会の方針を踏まえて、2050年までにGHG排出量実質ゼロを目指すことを宣言します。

 今後も、再生可能エネルギー由来の電力の導入店舗拡大やLED照明の導入、ペーパーレス化などを通して、削減目標の達成に向けてグループ全体で取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

 

中間目標

(2035年度)

長期目標

(2050年度)

2019年度比

GHG排出率

50%削減 ※1

ネットゼロの実現 ※2

※1 国内主要事業におけるScope1+2の排出量に対する削減割合

Scope1:ゲオHD請求の給油明細から、購入されたガソリン、軽油を油種別に集計し、環境省が発表する燃料の種類別排出係数を元に算出

Scope2:消費電力量が算出可能な拠点のデータを元に算出(店舗・事務所・倉庫を含む)

※2 対当社及び当社の個別・連結子会社全体の排出量

ネットゼロ:人為的な温室効果ガス排出量と除去量のバランスが取れており、大気中への温室効果ガス排出量が実質ゼロの状態

 

脱炭素化に向けた取り組み

PPAの導入

 2024年から太陽光発電によるオフサイトPPA、オンサイトPPAを一部店舗へ導入しています。PPA(Power Purchase Agreement)は、再生可能エネルギーによって発電した電力を企業などが事業者から直接購入する契約形態で、敷地や建物(=サイト)から物理的に離れた設備で発電した電力を提供することを「オフサイトPPA」、事業者負担で太陽光発電設備を設置し、発電した電力を需要家に供給することを「オンサイトPPA」と呼びます。

 今後も、再生可能エネルギー電力の導入店舗を拡大し、CO2排出量の削減に取り組んでいきます。

 

LED照明などの設置

 当社グループの計約1,600店舗にLED照明設置を完了しました。また、効率の良い空調機器などを一部店舗へ導入することにより店舗の節電によるCO2削減に努めています。

 

店頭でのペーパーレス化を促進

 各店舗のレジにタブレット端末を導入し、買取伝票などのペーパーレス化に取り組んでいます。エネルギーの効率化と業務効率化につなげています。

 

リユース事業におけるGHG削減

 不要になった物や売れ残った物に新しい価値をつけて次の人へ繋ぐリユースやオフプライスなどの事業を通じ、廃棄物の削減に貢献することでGHG削減効果を生み出しています。

 

循環型社会の実現

https://www.geonet.co.jp/csr/recycle/

 

(5)社会

ダイバーシティの推進

 当社グループでは働く一人ひとりが、日々の仕事を通じて豊かさや楽しさを感じられる会社であること、「こうあるべき」とカタチを決めてかからず、多様な人々の多様な価値観を認め合い、全員の人生に寄り添える会社であることを目指しています。

 

女性従業員の活躍

 女性が出産、育児などのライフイベントと、キャリア形成を両立でき、一人ひとりが柔軟な働き方を選択できるような仕組みを整えています。2024年度の育児休業取得率は117.9%です。

 当社グループでは、女性の活躍や社員全員が働きやすい環境を目指し、行動計画を策定しています。

 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画及び、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画については、コーポレートサイト下記リンクにて適宜更新を行い開示しています。

 

 ゲオグループ社会への取り組み:https://www.geonet.co.jp/csr/social/

 

LGBTQ

 同性パートナーシップ制度を導入しています。

 同性パートナーシップに登録することで、婚姻関係にある夫婦と同じように「パートナー」として、慶弔休暇や慶弔見舞金などの会社の福利厚生を受けることができます。

 

障がい者雇用

 当社グループの障がい者雇用率は2.87%(2025年3月31日現在)と、2024年4月以降における日本の法定雇用率(2.5%)を超えています。

2010年から障がい者の雇用促進を目的にした子会社「ゲオビジネスサポート」を設立し、従業員は店舗及び各グループ事務所の清掃業務などを行っています。2020年1月には、障がい者雇用優良企業として「愛知県知事表彰」を受けました。

 

身だしなみ基準の改定

 従業員一人ひとりが多様性を理解し合える環境にするため、身だしなみ基準の改定で性別表記の廃止やルールの統一を行いました。今後も従業員が人種、年齢、性別などにとらわれず、自分らしく働ける環境づくりを目指します。

 

 

ゲオグループの健康経営

 ゲオグループは、お客さまに「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」ために、従業員が心身ともに健康であることが重要であると考えています。

 この考えのもと、従業員の健康から始まる好循環を起こすために健康保持・増進のための取り組みを進めていきます。

 

ゲオグループの健康経営

https://www.geonet.co.jp/csr/social/health/

 

ワーク・ライフ・バランス、キャリア支援の取り組み

ワーク・ライフ・バランス

 働く人が勤務時間を自由に設定できる「フレックスタイム制度」や、転勤がなく自宅近くで勤務できる「ローカル社員制度」、オフィスに限らず自宅で勤務ができる「在宅勤務制度」などを設け、多様な働き方ができる環境を整えています。また、男性従業員の育児休業取得も進めています。1、2週間の取得が中心ですが、半年や1年間取得する従業員もいます。実際に育児休業を取得した男性従業員の体験談を社内全体へ共有するなど、従業員へ向けた周知活動も実施し、社内認知も高まってきています。

 

生活をサポートするさまざまな制度

制度

内容

育児休業

1歳に満たない子と同居し養育する場合、育児休業を取得することが可能になる制度

育児短時間勤務

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する場合、1日の所定労働時間を原則として6時間または7時間とすることが可能となる制度

介護休業

要介護状態にある対象家族の介護やその他の世話を行うための介護休業を取得することが可能な制度

介護短時間勤務

要介護状態にある家族を介護する場合、1日の所定労働時間を原則として6時間または7時間とすることが可能となる制度

ローカル社員制度

引っ越しを伴う転勤がなく勤務することが可能な制度

時間単位の年次有給休暇

1年のうち5日までの範囲内で、時間単位の年次有給休暇を取得することが可能な制度

連続休暇制度

年次有給休暇を10日以上有する社員に対し、連続5日以上の連続休暇の取得を推奨する制度

継続雇用制度

定年退職後の再雇用を希望する社員に対し、契約更新が可能となる制度

※図表は雇用と休業に関わる代表的な制度を抜粋したものです。上記以外にもさまざまなサポート制度があります。

 

キャリア支援

 キャリア支援ではグループの進化を考え、成長戦略に寄与できる、当社らしい人材育成のためにキャリアに応じて社内外での研修を行っています。業務遂行に必要な専門スキルを効率よく習得できるよう、土台となる人間力を高めるための教育を行います。

 

 

<新入社員に向けた研修>

 新入社員には、新入社員研修やOJT教育を実施しており、企業理解や商材知識、ストアマネジメントなどを学ぶ研修を実施しています。社会人としての基礎を学ぶカリキュラムも用意しています。

<既存社員に向けた研修>

 各階層別に合わせた研修を実施しており、マネジメントやリーダーシップ、分析思考力などを学び、店舗運営に活かしています。また、社外研修では、アメリカセミナーなど海外視察を通してチェーンストアの仕組みを学ぶ機会を用意しています。

<オンライン社内学習>

 運営するにあたり必要な知識を学習できるツールを設けています。営業に関わる各種法令の理解や商材知識を深める講座などを配信しています。

 

職種とキャリアパス

 当社グループのキャリア形成の基本は「教育配転」です。入社して初めに全国の店舗業務からスタートします。

 店舗運営についての知識習得や経験の後、教育配転でさまざまな部署で仕事の経験を積みながら、自分の適性にあったスペシャリストを目指していきます。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、全てのリスクを網羅するものではなく、予見できない又は重要と認識していないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、リスクとその影響において、顕在化する時期・可能性ともに未確実です。

(1)出店政策について

 当社グループでは、メディアショップ及びリユースショップを主軸とする店舗展開を推進し、新規出店及び他社との業務提携などによるフランチャイズ出店を実施しております。出店政策として、当社グループによる新規出店に加えてM&A、店舗買収を行い、当社グループ店舗網の拡大を加速させていく計画であるため、出店の成否が当社グループの成長力に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 従いまして、今後、新規出店、M&A、店舗買収等の案件が継続的に成立するとは限らず、そのような場合には当社グループの成長力が鈍化する可能性があることや、例え案件が成立した場合にも、一時的な費用の発生が見込まれることから経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)リユース品の仕入について

 当社グループの店舗で取扱うリユース品の仕入については、そのほとんどを店舗における一般顧客からの「買取」という方法で行っております。また、社会の環境問題への認識が高まるにつれ、リユース分野への新規参入等により他社との競合状況も激化しております。従いまして、商品仕入(買取)の量と質の確保が業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)法的規制等について

A.大規模小売店舗立地法について

 当社グループにおける現在の店舗のうち、一部大型店舗につきましては、「大規模小売店舗立地法」が対象とする小売の売場面積が1,000㎡以上(レンタル売場面積を除く)であるため、同法の規制を受けております。また、今後の出店政策におきましても、商品の複合化により、小売の売場面積が1,000㎡を超える大型店舗の出店計画があります。

 大規模小売店舗立地法は、小売業が1,000㎡以上の新規店舗出店及び既存店舗の増床については、駐車需要の充足その他による周辺の地域の住民の利便及び商業その他の業務の利便の確保のために配慮すべき事項(駐車場の必要台数、位置、構造、駐輪場の確保、交通安全対策等)及び騒音の発生その他による周辺生活環境の悪化の防止の為に配慮すべき事項(騒音対策、廃棄物対策等)の対策を考慮する必要がある旨を定めております。

 

B.古物営業法について

 当社グループが行っているリユース品の買取及び販売事業は、「古物営業法」により規制を受け、監督官庁は各法人の主たる営業所の所在地を管轄とする都道府県公安委員会であり、同法及び関連諸法令、条例による規制の要旨は以下のとおりであります。

①事業を開始する場合には、法人の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を必要とする。

②中古DVD・CD・ゲーム・書籍・携帯電話・衣類・服飾雑貨・電化製品等の買取を行う場合には、相手方の住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書の交付を受ける必要がある。また、取引年月日、古物の品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢等を帳簿に記載する必要がある。

 

C.風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律について

 当社グループが行っているアミューズメント施設のうちゲーム機を設置して営業する施設の運営については、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」及び関連諸法令、条例による規制を受けております。その内容は、施設開設及び運営に関する許認可申請制度、営業時間の制限、入場者の年齢による制限、遊戯料金等の規制、出店地域の規制、施設の構造・内容・照明・騒音等に関する規制事項等であります。

 

D.著作権法について

 当社グループが行っているDVD・CDレンタル事業のうち、CD(著作権法ではレコードと呼称)レンタル業務は、「著作権法」の貸与権にかかわる規定の適用を受けております。その主旨は同法により定められた「貸レコード業者」として、商業用CDの貸与権を専有している著作権者(作詞家、作曲家等)及び著作隣接権者(レコード製作者、実演家等)に対して、その許諾を得て使用料を支払うことであり、同法の規定に則り、著作権料、貸出禁止期間等が定められております。なお、DVDレンタルについては、同法の頒布権にかかわる規定の適用を受けます。

 また、当社グループは、DVDレンタルを行う店舗において成人向けDVD等の貸出を行っておりますが、当該業務は「愛知県青少年保護育成条例」及び各都道府県の同種の条例を遵守して行っております。具体的には、入会時には身分証明書の提示を受け、18歳未満の者に成人向けDVD等を貸出できないように会員証によってレジで判別可能なシステムにしております。さらに、成人向けDVD等のコーナーは店内でも他から区切られたスペースに位置し、かつ、「18歳未満入場禁止」と入り口に掲示しております。

 

 

E.再販売価格維持制度について

 当社グループが取扱う新品CD及び書籍は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第23条に規定する著作物として再販売価格の決定・維持について同法の適用除外を受けております。

 これは我が国の文化の普及など文化水準維持を図っていく上で不可欠なものとして、同一価格で全国的に広範囲に普及される体制を維持するため例外的に定価販売が認められているものであります。

 公正取引委員会は2001年3月23日付の「著作物再販制度の取扱いについて」にて、「競争政策の観点からは同制度を廃止し、著作物の流通において競争が促進されるべきであると考える」としながらも、「なお同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない状況にある」と指摘し、「当面同制度を存置することが相当であると考える」としております。しかしながら、「公正取引委員会としては、今後とも著作物再販制度の廃止について国民的合意が得られるよう努力を傾注する」としており、同制度の廃止論議は今後も継続されるものと考えられ、そのような場合には、当社グループの経営成績に影響があると思われますが、現在それを予測することは困難であります。

 

(4) 情報セキュリティについて

 当社グループは、お客様に関する情報(個人情報)を数多く保有・管理しております。また、円滑かつ効率的な事業活動のため、情報システムへの依存度はより顕著となっております。かかる個人情報の適切な保護及び各種システムが安定的に稼働できるよう、社内規程や取扱いに関する基準(マニュアル等)の整備、従業員教育の実施、情報システムのセキュリティ強化、セキュリティインシデント発生時に迅速な対応を行うためのグループ全体での体制構築等、リスク対策を講じておりますが、システム障害や人為的な原因により重要情報の漏洩・消失及びシステム障害等が起きた場合、損害賠償の発生や社会的信用の失墜による売上減少及びシステムの一時停止等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 災害発生について

 当社グループは、広域な地震、暴風雨、洪水等の自然災害の発生等の有事に備え、BCP(事業継続計画)を策定する等、事業継続体制の構築・整備・検証に努めておりますが、今後、円滑な事業運営が阻害された場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 有利子負債依存度について

 当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入れにより調達してまいりましたため、総資産に対する有利子負債の比率が高い水準にあります。今後も企業価値向上のため新規出店を継続し収益力を強化する方針であるため、銀行借入れに加え社債の発行など資金調達の多様化を進めることにより流動性リスクを低減していますが、金融情勢の変化等により金利の大幅な上昇となった場合には、資金調達コストが増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外展開について

 当社グループは海外展開を拡大しており、今後未進出地域も含め海外展開を推進する方針です。リスク低減のため、国際情勢の動向や各国の法規制の改正等に関する情報を随時整理し、対応していますが、当社グループが事業展開している国又は地域における政治・経済情勢の変化、予期し得ない法規制の変更、自然災害、暴動、テロ、戦争等の要因による社会的又は経済的な混乱、慣習等に起因する予測不可能な事態が発生した場合には当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 為替相場の変動について

 当社グループでは、在外連結子会社の外貨建財務諸表を日本円に換算したうえで連結財務諸表を作成するため、為替の変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループがおこなう外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替相場が変動することにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

(9) 会計上の見積りについて

 当社グループは、財務諸表の作成にあたり会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、金額の見直しや実際の結果と異なる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 棚卸資産

  当社グループは、保有する棚卸資産について、主として原価法(貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法)によって算定しております。今後、リユース事業・メディア事業等をとりまく環境が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、簿価切り下げ処理がさらに必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 貸倒引当金

  当社グループは、貸付先に対する貸倒引当金について、貸付先の状況や担保価値に基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、信用状況の変化、担保価値の下落その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。

 

 固定資産の減損

  当社グループは、保有する固定資産について減損会計を適用しております。今後、店舗等の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理がさらに必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 資産除去債務

  当社グループは、有形固定資産の除去に関して資産除去債務を計上しております。新たな法令や契約、市場変動等の外的環境の変化により、資産除去債務を積み増す必要が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 繰延税金資産

  当社グループは、課税所得の将来の見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき繰延税金資産を計上しております。今後、経営環境の悪化等により課税所得の見積額が減額した場合等には、繰延税金資産を取り崩す必要が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 上記リスクの把握・評価・対策等の管理体制は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済環境は、企業業績の堅調さが継続し、家計部門も実質所得が増加に転じるなど、日本経済は緩やかな回復を続けている一方で、海外景気の下振れや、米国の政策動向、金融資本市場の変動等の影響に総合的かつ慎重に対応する必要があります。

 リユース業界におきましては、リユース品に対しての物価高騰に伴う生活防衛策としての需要増加や、多様性を尊重する社会の潮流の中で、一点物の魅力や、趣として支持されること、人、社会、環境などにやさしく、社会的な問題の解決につながるような消費行動をする選択があり、市場成長の拡がりを見せております。

 このような環境のなか、当社グループは「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」ことを目指し、お客様の選択可能性を広げ利便性を向上するため、インターネットを介した電子商取引の拡充の他、2nd STREETを中心としたリユース店舗の新規出店を、国内及び海外において推進し持続的成長の実現に取り組んでおります。

 リユース系リユース商材の動向といたしましては、リユースラグジュアリー商材、特に高級時計を中心に扱うOKURA TOKYOは軟調な取引相場の中、商品流動性を高めてリスク管理を行い、堅調に推移いたしました。また、商品構成の中心であるリユース衣料・服飾雑貨は、記録的な高温や暖冬傾向などの天候不順の影響や出店計画未達があったものの、リユース市場拡大に比例した着実な成長となりました。海外地域では直営店方式での出店により活動範囲を広げ、世界のリユース市場における認知度向上を図り各地域において着実に現地での支持を集め、店舗数・売上を拡大しております。以上の結果、リユース系リユース商材全体の売上は大幅に増加し、売上高は前期比12.1%増の190,246百万円となりました。

 メディア系リユース商材の動向といたしましては、ゲーム関連商材は新作ゲームソフトのヒットによるリユース商材への恩恵が乏しかったものの、家庭用ゲーム機本体の値上げ前の駆け込み需要により、微減収となりました。また、スマートフォンやタブレット端末等のリユース通信機器市場の拡大に合わせ、店頭サポートスタッフを配置した「GEO mobile」をショッピングモール等へ出店していることに加え、認知度向上のため戦略的に広告を行いリユースモバイル商材のシェア獲得に注力しております。以上の結果、メディア系リユース商材全体の売上高は前期比12.4%増の83,669百万円となりました。

 新品商材の動向といたしましては、トレーディングカード及びカプセルトイの売上が好調に推移したものの、前期は需給バランス改善による家庭用ゲーム機本体の販売増及び大型タイトルのリリースがあり売上高増加要因となりましたが、当期はその反動減の影響が大きく、売上高は前期比25.1%減の99,100百万円となりました。

 また、収益性の悪化により、店舗等に係る固定資産について減損損失を3,138百万円計上いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度における売上高は427,669百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は11,250百万円(前年同期比33.1%減)、経常利益は12,224百万円(前年同期比34.8%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は4,537百万円(前年同期比58.4%減)となりました。

 

 また、当連結会計年度末における当社グループの店舗数の状況は以下のとおりとなりました。

 ( )内は、前連結会計年度末との増減数であります。

 

 

直営店

FC店・代理店

合計

 

 

出店数

退店数

 

出店数

退店数

 

 

 ゲオグループ店舗数

2,043

160

65

143

1

19

2,186

(+77)

 

 

GEO

966

39

50

88

0

19

1,054

(△30)

 

 

2nd STREET(国内)

825

52

11

55

1

0

880

(+42)

 

 

2nd STREET(米国)

47

12

0

0

0

0

47

(+12)

 

 

2nd STREET(台湾)

39

11

0

0

0

0

39

(+11)

 

 

2nd STREET(マレーシア)

23

6

0

0

0

0

23

(+6)

 

 

2nd STREET(タイ)

4

3

0

0

0

0

4

(+3)

 

 

OKURA TOKYO(おお蔵)

24

3

2

0

0

0

24

(+1)

 

 

LuckRack

27

9

0

0

0

0

27

(+9)

 

 

その他

88

25

2

0

0

0

88

(+23)

 

(注)1.屋号毎の店舗数をカウントしています。

2.GEOは家庭用ゲーム・携帯電話・スマートフォンの買取販売、DVDレンタル等を行う店舗(屋号:GEO、GEO mobile)をカウントしています。

3.2nd STREETは衣料品や家電製品等の買取販売を行う店舗(屋号:2nd STREET、Super2nd STREET、2nd OUTDOOR、JUMBLE STORE等)をカウントしています。

 

②販売の状況

販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

名    称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

(百万円)

前年同期比

リユース品

リユース系

190,246

112.1%

メディア系

83,669

112.4%

新品

99,100

74.9%

その他

54,653

95.3%

 内)レンタル

28,647

87.4%

 

③財政状態

流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は165,072百万円となり、前連結会計年度末の154,308百万円と比べて10,764百万円増加しております。この主な要因は、現金及び預金が5,112百万円、商品が2,916百万円及び売掛金が703百万円増加したためであります。

 

固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は87,735百万円となり、前連結会計年度末の76,817百万円と比べて10,918百万円増加しております。この主な要因は、使用権資産(純額)が5,838百万円、建物及び構築物(純額)が2,451百万円及び敷金及び保証金が1,119百万円増加したためであります。

 

流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は46,603百万円となり、前連結会計年度末の47,487百万円と比べて884百万円減少しております。この主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が2,112百万円及び流動負債のその他が1,628百万円増加した一方、買掛金が2,005百万円、短期借入金が2,000百万円及び未払法人税等が875百万円減少したためであります。

 

固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は115,734百万円となり、前連結会計年度末の96,287百万円と比べて19,447百万円増加しております。この主な要因は、長期借入金が7,150百万円、リース債務が6,423百万円及び社債が5,575百万円増加したためであります。

 

純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は90,469百万円となり、前連結会計年度末の87,349百万円と比べて3,119百万円増加しております。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益4,537百万円計上による利益剰余金の増加、剰余金の配当1,350百万円による利益剰余金の減少であります。

 

 

④キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6,204百万円増加し、64,760百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は8,012百万円(前年同期は9,296百万円の増加)となりました。

 これは、法人税等の支払額が5,423百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益が8,912百万円及び減価償却費が6,667百万円ありましたことが主な要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は12,494百万円(前年同期は10,401百万円の減少)となりました。

 これは、有形固定資産の取得による支出が11,121百万円ありましたことが主な要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、増加した資金は10,778百万円(前年同期は12,396百万円の増加)となりました。

 これは、長期借入金の返済による支出が8,737百万円及び短期借入金の純減少額が2,000百万円ありましたが、長期借入れによる収入が18,000百万円及び社債の発行による収入が5,547百万円ありましたことが主な要因であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する分析・検討内容

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

・経営成績に重要な影響を与える要因

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

・資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、パッケージソフトを中心とした商材の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、店舗出店に係る設備投資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性を確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入及び社債の発行の調達手段を行い、資金調達手段の多様化を図っております。

 なお、当連結会計年度末における1年内返済予定の長期借入金は10,849百万円、長期借入金は71,475百万円、社債は12,175百万円、合計94,500百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。

 連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 重要な見積り、仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (9) 会計上の見積りについて」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

④経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。

 

 

2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(実績)

2026年3月期

(業績予想)

売上高

(百万円)

433,848

427,669

470,000

営業利益

(百万円)

16,814

11,250

11,500

経常利益

(百万円)

18,749

12,224

11,000

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

10,902

4,537

5,500

1株当たり当期純利益

(円)

275.31

114.27

138.50

 

 

 

 

 

 

 

2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(実績)

中長期的目標

売上高営業利益率

(%)

3.9

2.6

5.0

自己資本利益率

(%)

13.3

5.1

8.0

 

 売上高につきましては、商品構成の中心であるリユース衣料・服飾雑貨は、記録的な高温や暖冬傾向などの天候不順の影響や出店計画未達があったものの、リユース市場拡大に比例した着実な成長となりました。また、スマートフォンやタブレット端末等のリユース通信機器市場の拡大に合わせ、店頭サポートスタッフを配置した「GEO mobile」をショッピングモール等へ出店していることに加え、認知度向上のため戦略的に広告を行いリユースモバイル商材のシェア獲得に注力した結果、メディア系リユース商材も好調に推移しました。一方、2024年3月期は需給バランス改善による家庭用ゲーム機本体の販売増及び大型タイトルのリリースがあり売上高増加要因となりましたが、当期はその反動減の影響で新品商材は大幅な減収となりました。売上高営業利益率につきましては、人件費や地代家賃、減価償却費及びクレジット決済手数料の増加影響を主要因とし、前連結会計年度の3.9%から2.6%と低下いたしました。

 リユース系リユース商材につきましては、衣料、服飾雑貨中心のアパレル特化型の店舗に加え、家具、家電、生活雑貨専門のコンセプトショップの展開により、お客様が買い物を楽しんでいただける店舗づくりに取り組んでまいります。また、メディア系リユース商材につきましては、リユーススマホはサブ機としての需要に加え、高品質な日本市場は今後も成長が期待されており、実店舗の認知度を活かした集客、相談員による丁寧なサポート、品質保証や初期化・クリーニングされた商品による安心感を強みに、さらなるシェア獲得を目指し、GEO店舗への併設を進めることで、売上高営業利益率の中長期目標達成を継続して図っております。

 自己資本利益率につきましては、売上高営業利益率の低下により、前連結会計年度に比べ8.2ポイント低下し、5.1%となりました。

 市場拡大を続けておりますリユース業界において、当社グループがその成長をけん引していく企業として、GEO・2nd STREETなどにおける取扱いリユース商材の拡大や2nd STREETを中心とするリユース店舗の新規出店を進めております。リユース商材の売上構成比が高まり、かつ、チェーンマネジメントによるコストコントロールを適切に行うことにより、自己資本利益率を中長期的目標値程度に収斂させられると考えております。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。