当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善がみられたものの、米国政権運営の不安定化や北朝鮮情勢を巡る地政学的リスクが懸念されるなど海外景気動向の不確実性を受け、先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属する宝飾業界におきましては、インバウンド消費や高額品消費に持ち直しの動きがみられた一方で、賃金の伸び悩みや社会保険料の負担増加に伴う消費の慎重姿勢が続くなか、特にブライダルジュエリーを中心に企業間競争が激化するなど、厳しい事業環境となりました。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループは、中期5ヵ年計画の2年目として「ブランド力の強化」、「本社改革の断行」、「不採算部門の排除」を当事業年度の基本方針として取り組んでまいりました。
「ブランド力の強化」については、引き続き主力商品である“Wish upon a star”を基軸とした精神価値訴求型のプロモーション活動やコラボレーション企画を展開しました。また、基幹ブランド「フェスタリア ビジュソフィア」においては、世界に通用するインターナショナルブランドの確立に向けて、平成29年3月14日に世界の情報発信地である銀座中央通りに「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」をオープンしました。「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」は、グローバル旗艦店としてアジア本格展開への試金石と位置付けており、「HOUSE OF STAR=夢を叶える星の館」をコンセプトに、お客様に新しい感動を提供する体験型ショップとして精神性豊かな空間を演出しました。さらに、“Wish upon a star”銀座限定商品をはじめ、多くの商品アイテムを取り揃えるなど、インバウンド需要やブライダル需要の獲得強化にも注力しました。
「本社改革の断行」については、本社部門の生産性向上に向けた取り組みとして、本社スタッフと販売現場との情報共有・人材交流を促進し、販売現場やお客様視点による業務の標準化や本社マネジメント機能の強化を目指しました。しかしながら、結果として、現行業務の対応に終始し、本社改革への具体的な取り組みは実行されず、多くの課題が残りました。
「不採算部門の排除」については、将来展望を踏まえた取り組みとして、祖業である眼鏡事業の譲渡と併せて、10店舗を閉店するなど、事業ポートフォリオの最適化による店舗効率の向上を図りました。
海外事業については、小売部門である台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)では、引き続きアジア戦略の重要拠点として、グループマネジメント体制の強化による基盤整備を進めました。また、生産部門であるベトナム子会社D&Q JEWELLERY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)では、SPA企業として、グループ全体での競争力をさらに向上させるべく、特に品質管理の強化や工程安定化を柱とした製造機能の向上に努めました。
このような取り組みの結果、当期における連結業績は以下のとおりとなりました。
<売上高>
連結売上高は9,578百万円(前期比3.0%増)となりました。
当期末における店舗数が前期末に比べ5店舗減少したことに加え、EC事業が計画未達となったものの、国内既存店の売上高が前期比3.7%増と伸長するなど、店舗売上が好調に推移しました。また、主力商品の“Wish upon a star”が前期比13.6%増、ブライダル売上が前期比15.0%増となり、増収を牽引しました。
<営業利益>
ベトナム子会社の有効活用により“Wish upon a star”を中心とする高付加価値商品の売上が拡大したため、売上総利益は前期比4.2%増となりました。一方、費用面においては、販売員の確保に要する採用強化に加え、専門ノウハウを有する本社専門人材の人員強化に伴い、人件費が大きく増加しました。また、「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」オープンに伴う各種プロモーションに要する投下費用に加え、設備投資による減価償却費の増加や家賃等の増加もあり、販売費及び一般管理費は前期比2.7%増となりました。
以上の結果、連結営業利益は311百万円(前期比43.7%増)となりました。
<経常利益>
営業外収益として、為替相場変動に伴う為替差益等53百万円を計上したことなどにより、連結経常利益は316百万円(前期比104.2%増)となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>
一部店舗の退店及び不採算店舗の減損損失処理を実施し、特別損失として52百万円計上した一方で、特別利益として眼鏡事業譲渡に伴う事業譲渡益等25百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は169百万円(前期比483.4%増)となりました。
(営業活動におけるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により使用した資金は520百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が289百万円あったものの、売上債権の増加が188百万円、たな卸資産の増加が541百万円、法人税等の支払額が149百万円あったことによるものであります。
(投資活動におけるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は234百万円となりました。これは主に、事業譲渡による収入が108百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出129百万円、差入保証金の差入による支出123百万円、無形固定資産の取得による支出98百万円があったことによるものであります。
(財務活動におけるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は536百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が839百万円あったものの、短期借入金の純増額650百万円、長期借入金による収入800百万円があったことによるものであります。
その結果、現金及び現金同等物の期末残高は623百万円(前期は824百万円)となりました。
当社グループの事業は、宝飾、眼鏡、時計の製造及び販売の単一セグメントであるため、品目別に仕入実績を記載しております。
当連結会計年度の商品仕入実績を品目別に示すと次のとおりであります。
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品目別 |
第54期 |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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宝飾品 |
3,965,999 |
113.7 |
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眼鏡・眼鏡用品 |
11,999 |
23.8 |
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時計等 |
3,825 |
55.1 |
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合計 |
3,981,823 |
112.4 |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの事業は、宝飾、眼鏡、時計の製造及び販売の単一セグメントであるため、品目別及び店舗形態別に販売実績を記載しております。
(イ)当社グループは、主に店舗において一般消費者に販売いたしております。また、顧客催事及び仕入先主催の展示会において販売をしております。
(ロ)当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。
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品目別 |
第54期 |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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宝飾品 |
9,533,680 |
104.1 |
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眼鏡・眼鏡用品 |
36,802 |
28.3 |
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時計等 |
8,174 |
64.0 |
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合計 |
9,578,658 |
103.0 |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
(ハ)当連結会計年度の販売実績を店舗形態別に示すと次のとおりであります。
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店舗形態別 |
第54期 |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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宝飾品業態 |
8,983,603 |
106.1 |
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眼鏡・眼鏡用品業態 |
10,522 |
24.5 |
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宝飾・眼鏡・時計複合業態 |
106,185 |
28.4 |
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海外宝飾品業態 |
256,706 |
97.5 |
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小売計 |
9,357,018 |
102.3 |
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宝飾品卸売業 |
221,640 |
144.7 |
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合計 |
9,578,658 |
103.0 |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
次期の見通しにつきましては、景気動向においては、底堅い内外需を背景に、景気回復が期待される一方で、人材不足問題の深刻化に加え、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動によるリスク要因もあり、先行きは依然として不透明な状況が続くと思われます。また、IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)といった技術の進展が加速するなか、人口動態や雇用環境の変化に伴う地域や所得の二極化に加え、生活様式の変化等を背景に消費者嗜好の多様化が一層進行するものと思われます。
このような状況を踏まえ、次期の当社グループにおきましては、創業100周年に当たる2020年をゴールとした中期5ヵ年計画の3年目として、「基盤構築を実行する最終年度」と位置付け、成長戦略の推進と構造改革の断行を両輪とした基本戦略を実行してまいります。
成長戦略の推進においては、引き続き主力商品である“Wish upon a star”による積極的な販促活動を実行し、同商品の拡販を通じた認知度向上とジュエリーが持つ精神価値の訴求を図ってまいります。また、基幹ブランド「フェスタリア ビジュソフィア」のブランド育成にも注力し、今後の海外展開に向けたインターナショナルブランドの確立を目指します。具体的には、グローバル旗艦店である「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」を通じたプロモーション活動を展開し、銀座中央通りに旗艦店が存在する強みを活かすことで、ブランドエクイティ向上による効果を国内外の店舗に波及させてまいります。
その他、Eコマース事業の立て直しに加え、020ビジネスやオムニチャネル化の推進による消費者ニーズへの対応強化、ウエディング関連事業者との提携やWEBマーケティング強化によるブライダル需要の獲得強化、独自性追求によるインバウンド事業の強化等、成長戦略に基づく新たな分野で確実な成果の創出を目指します。
「ブランド力の強化」については、「モノ」から「コト」へと価値が移り変わり、さらに「コト」に対する「共感」が重視される時代へと消費トレンドが進化するなか、当社のブランドミッション(ジュエリーに愛と夢を込めて「ビジュー・ド・ファミーユ」)の象徴としてジュエリーの持つ精神価値を訴求することで、消費者の「共感」を生み出し、需要の創造に繋げてまいります。その追い風として世界的な庭園デザイナー石原和幸氏とのコラボレーションをきっかけに、恋愛成就にご利益があるパワースポットとして、良縁を求める多くの女性が訪れる「東京大神宮」において、同氏が手掛ける庭園に“Wish upon a star”のモニュメント設置が実現しました。
これらを機能させる組織体制の強化としてマーケティング戦略室を創設し、マーケティング戦略に基づくブランドマネジメントを起点とした商品開発・製造・販促・販売に至る一気通貫の仕組みを構築することで、マーケティング機能の実効性を高めてまいります。
構造改革の断行においては、店舗効率の向上に向けた不採算店舗のスクラップが一巡したことに加え、有力百貨店の増床が実現するなど、構造改革は順調に進んでいることから、さらなる効率化に向けた増床の実現と有力物件の出店に取り組んでまいります。一方、本社構造改革については、専門人材の人員強化を図ったものの、売上高本社経費率は改善されず、多くの課題が残ったことから、覚悟をもって本社改革を断行し、本社生産性の向上を目指します。
具体的には、お客様と直接触れ合う現場感覚の重要性を再認識し、本社スタッフのプロ化に向けた育成プログラムの一環として、店舗での販売業務研修を取り入れるなど本社生産性の向上と全体最適視点による業務の標準化を進めてまいります。また、新基幹システムの本格稼働に加え、既存ドメインの他、ジュエリーメーカーとしてのホールセール事業、ICTを基軸としたサービス事業、ライセンス事業への取り組みなど新規ドメインに対応したチェーンオペレーションの構築にスピードを上げて取り組み、店舗依存型から本社主導型の収益構造への転換を目指してまいります。
さらに、平成29年9月12日に発表した「持株会社体制への移行に関するお知らせ」並びに平成29年10月13日に発表した「持株会社体制への移行に伴う分割準備会社の設立、吸収分割契約締結及び定款の一部変更(商号及び目的の変更)に関するお知らせ」のとおり、成長戦略を確実なものとするための構造改革の一環として、平成30年3月1日(予定)にて持株会社体制へ移行するとともに、「フェスタリアホールディングス株式会社」に商号変更することを決定いたしました。
海外事業については、グループ成長戦略の推進により拡大・多様化する事業領域や役割の重要性に対応すべく、グループマネジメント体制を強化し、引き続きグループ内での人材交流を進めるなど、グループシナジーの最大化を目指してまいります。
台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)では、「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」を基軸としたリブランディングにより、インターナショナルブランドへの転換を進め、引き続きアジアマーケットの重要拠点として増収増益を目指してまいります。
ベトナム子会社D&Q JEWELLERY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)については、製造体制の見直しや受託生産等を検討し、グループ全体の合理化・効率化を進めてまいります。また、親会社サダマツとの連携強化により更なる品質向上や工程安定化を確保することでSPA企業として最適な製造体制の確立を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(ⅰ)季節構成と催事の構成が売上高に及ぼす影響
① 都市型店舗における12月売上高は、年間売上高に対して非常に高い割合となっております。
またジュエリー業界にとりまして12月商戦は、年間最大の販売チャンスであります。当社グループにおきましては、12月商戦に対する強化はもとより、年間を通じて商品開発に努めております。一方、平月の安定的な売上高確保に向けて、販売力強化のため販売員研修を適時実施しております。しかしながら、12月の業績が当初の計画を著しく下回った場合、年間の業績予測に影響を及ぼす恐れがあります。
② 当社グループにおきましては、新規顧客の創造及び既存顧客への感謝を目的とした大型催事を適時実施しております。しかしながら、実施時期に自然災害や感染症の流行等不慮の事由により集客が困難となった場合、年間の業績予測に影響を及ぼす恐れがあります。
(ⅱ)店舗展開について
当社グループは百貨店に代表される複合型商業施設に多数出店しておりますが、以下の事項が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
① 複合型商業施設の出店政策に影響を受ける場合があります。
② 出店候補先における出店基本条件、賃貸借条件等の内容が当社グループの考えております条件と大きな乖離があり、希望物件を確保出来ない場合には、出店計画を変更しなければならなくなる可能性があります。
③ 複合型商業施設が、経営環境の変化によって店舗を閉鎖する場合があります。この場合、同時に当社グループ店舗も閉鎖しなければならない可能性があります。
④ 出店している複合型商業施設及びその運営会社が破綻した場合、売上債権及び営業保証・敷金の返還が受けられない可能性があります。
(ⅲ)人材確保について
当社グループは、人材の確保・教育を最重要課題としておりますが、優秀な社員の育成には時間がかかるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(ⅳ)個人情報の管理について
当社は、個人情報の取扱いに対しては、管理体制を見直し整備しておりますが、何らかの要因により情報が流出した場合は、社会的責任を負うこととなり、結果として当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
当社は、平成28年10月24日の取締役会において、株式会社ヨネザワに対して、眼鏡事業の譲渡に関する契約を締結することを決議しております。
詳細につきましては、連結財務諸表(注記事項)(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たりまして、重要な見積りや仮定を行う必要があります。重要な会計方針において、それら重要な仮定により業績に影響を受ける項目は次のとおりです。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますので、あわせてご参照下さい。
① 貸倒引当金
当社グループは、売掛債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒が懸念される特定の債権については、相手先の財務状況、業績等を検討して回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。賃貸借契約で出店しているショッピングセンター及びその運営会社が破綻した場合、引当金を積み増すことにより損益にマイナスの影響を与える可能性があります。
② 繰延税金資産
当社グループは、将来年度の当社の収益力に基づく課税所得による回収可能性を検討した上で、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性が見込めないと判断した場合は、回収不能と見積もられる金額を見積り、評価性引当金が計上されることになり、損益にマイナスの影響を与える可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 営業収益
営業収益の概況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。
② 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ売上総利益が245,507千円増加しましたが、販売費及び一般管理費が150,849千円増加したことにより、311,313千円(前連結会計年度は営業利益216,656千円)となりました。
③ 営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度に比べ66,785千円収益が増加しました。これは、為替差益が64,870千円増加したためであります。この結果、経常利益は316,397千円(前連結会計年度は経常利益154,957千円)となりました。
④ 特別損益
特別損益は、当連結会計年度は、事業譲渡益を25,266千円、減損損失を21,594千円計上した結果、税金等調整前当期純利益は289,081千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益118,987千円)となりました。
⑤ 財政状態
当連結会計年度の総資産は、8,140,083千円と前連結会計年度に比べ1,070,071千円の増加となりました。これは、商品及び製品が420,583千円、有形固定資産が220,394千円、無形固定資産が212,948千円増加したことが主な要因です。
また、当連結会計年度の負債は、6,466,686千円と前連結会計年度に比べ806,999千円の増加となりました。これは、借入金総額が610,514千円、リース債務総額が243,807千円増加したことが主な要因です。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資本の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資金の需要
当社グループにおける資金使途としましては、運転資金、新店舗出店に伴う固定資産の取得、借入金の返済及び利息の支払並びに保証金の支払いであります。
③ 財務政策
当社グループは、経営環境の変化に対応し、また当社の財務比率等を勘案し、財務ないし資本政策を行ってまいります。