第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

次期(2020年8月期)の見通しにつきましては、国内では消費税増税による個人消費への悪影響懸念や人材不足問題の深刻化に加え、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動によるリスク要因もあり、景気動向の先行きは依然として不透明な状況が続くと思われます。また、AI、IoT化といったテクノロジーの進展が加速するなか、人口動態や雇用環境の変化に伴う地域や所得の二極化に加え、ライフスタイルの変化等を背景に価値観や消費動向の多様化が一層進行するものと思われます。
 このような中、当社は、2020年に創業100周年を迎えることから、「想いをつないで100年 ジュエリーだからできること」をテーマにステークホルダーの皆様に対して日頃の感謝をお伝えするとともに、記念イベントや消費者キャンペーン等を実施するなど、様々な周年事業を実施する予定です。
 また、次の100年への歩みに繋げる1年と位置づけ、これまで培ってきた強みをベースに、次の100年においても世界の人々の願いを共に叶える象徴となることを目指し、新たな価値創造に取り組んでまいります。具体的には、「モノ」から「コト」へと価値が移り変わり、マーケティング3.0(※1)に基づく「共感」が重視される時代へと消費トレンドが進化するなか、当社のミッション(ジュエリーに愛と夢を込めて「ビジュー・ド・ファミーユ」)の象徴としてジュエリーの持つ精神価値を訴求することで、消費者の「共感」を生起し、需要の創造に繋げてまいります。
 一方で、2019年8月期は、主力商品の“Wish upon a star”において、販売数は前期比108.6%となったものの、高額品の不振により単価が前期比89.9%と低下したことから、売上高が前期比2.3%減と落ち込むなど、成長に鈍化がみられました。その要因として、ブライダル市場を中心にダイヤモンドマーケットの主流であるラウンドブリリアントカットに対する競争優位性の訴求が不十分だったことに加え、当社のミッションを体現したUSP(※2)商品としての商販宣一体となった活動にブレが生じたことが挙げられます。その反省を踏まえ、次期は「強みの復元と進化」を基本戦略として全社員がミッションに向き合いながら、商販宣一体となり“Wish upon a star”の価値訴求を実行し、業績の拡大に反映してまいります。
 これらの取り組みを強力に推し進め、当社の強みを進化させる基幹部門としてダイヤモンドの権威である外部有識者の参画も含め「ダイヤモンド研究所」を設立し、日本国内における最もダイヤモンドの造詣が深い会社となることによって、全社員の自信と誇りを醸成するとともに、100年後も価値のある最高品質のダイヤモンドを提供するための責任と信頼を確立してまいります。
 その他、基幹ブランド「フェスタリア ビジュソフィア」のブランド育成にも注力し、今後の海外展開に向けたインターナショナルブランドの確立を目指します。具体的には、グローバル旗艦店である「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」を通じたプロモーション活動を展開し、銀座中央通りに旗艦店が存在する強みを活かすことで、ブランドエクイティ向上による効果を国内外の店舗に波及させてまいります。さらに、EC事業の立て直しに加え、O2Oビジネスやオムニチャネル化の推進による消費者ニーズへの対応強化、ウエディング関連事業者との提携やWEBマーケティング強化によるブライダル需要の獲得強化、独自性追求によるインバウンド事業の強化等、成長戦略に基づく新たな分野で確実な成果の創出を目指します。
 継続施策としては、人口の地域間格差や人口減少に伴う総需要の縮小など中長期的な外部環境の変化を踏まえ、選択と集中を高度化し、発展性や改善見込みがない店舗や事業からの撤退を徹底して実行してまいります。その上で、本来注力すべき事業や店舗、人材に対して経営資源を集中して投入・再配分し、収益の底上げを図ってまいります。
また、人材力の強化にも注力し、優秀な人材の定着率向上を図るとともに、引き続き店舗・本社による業務標準化に向けた取り組みを進め、各業務でのさらなる生産性の向上に繋げてまいります。さらに、本社マネジメント機能を強化することで、既存ドメインの底上げやIT経営の活性化を目指すとともに、フランチャイズ事業やホールセール事業など新規チャネル・新規ドメインに対応したチェーンオペレーションの再構築にスピードを上げて取り組んでまいります。
 海外事業については、グループ成長戦略の推進により拡大・多様化する事業領域や役割の重要性に対応すべく、フェスタリアホールディングスによるマネジメント体制を強化し、引き続きグループ内での人材交流を進めるなど、グループシナジーの最大化を目指してまいります。
 台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)では、「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」を基軸としたリブランディングにより、インターナショナルブランドへの転換を進め、引き続きアジアマーケットの重要拠点として、認知度の向上を図るとともに、収益力の向上を目指してまいります。
 ベトナム子会社D&Q JEWELLERY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)については、製造体制の見直しや受託生産等を検討し、生産合理化によるコスト競争力の強化を進めてまいります。加えて、更なる品質向上や工程安定化を確保することでSPA企業として最適な製造体制の確立を目指してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。 

 

(ⅰ)季節構成と催事の構成が売上高に及ぼす影響

① 都市型店舗における12月売上高は、年間売上高に対して非常に高い割合となっております。 

またジュエリー業界にとりまして12月商戦は、年間最大の販売チャンスであります。当社グループにおきましては、12月商戦に対する強化はもとより、年間を通じて商品開発に努めております。一方、平月の安定的な売上高確保に向けて、販売力強化のため販売員研修を適時実施しております。しかしながら、12月の業績が当初の計画を著しく下回った場合、年間の業績予測に影響を及ぼす恐れがあります。 

② 当社グループにおきましては、新規顧客の創造及び既存顧客への感謝を目的とした大型催事を適時実施しております。しかしながら、実施時期に自然災害や感染症の流行等不慮の事由により集客が困難となった場合、年間の業績予測に影響を及ぼす恐れがあります。 

 

(ⅱ)店舗展開について

当社グループは百貨店に代表される複合型商業施設に多数出店しておりますが、以下の事項が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

① 複合型商業施設の出店政策に影響を受ける場合があります。 

② 出店候補先における出店基本条件、賃貸借条件等の内容が当社グループの考えております条件と大きな乖離があり、希望物件を確保出来ない場合には、出店計画を変更しなければならなくなる可能性があります。

③ 複合型商業施設が、経営環境の変化によって店舗を閉鎖する場合があります。この場合、同時に当社グループ店舗も閉鎖しなければならない可能性があります。

④ 出店している複合型商業施設及びその運営会社が破綻した場合、売上債権及び営業保証・敷金の返還が受けられない可能性があります。

 

(ⅲ)人材確保について

当社グループは、人材の確保・教育を最重要課題としておりますが、優秀な社員の育成には時間がかかるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅳ)個人情報の管理について

当社は、個人情報の取扱いに対しては、管理体制を見直し整備しておりますが、何らかの要因により情報が流出した場合は、社会的責任を負うこととなり、結果として当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善に伴い、緩やかな回復基調が続いたものの、米中貿易摩擦の長期化や英国のEU離脱問題など、海外情勢の不確実性を受け、先行きは不透明な状況が続いております。
 当社グループが属する宝飾業界におきましては、消費の二極化や消費マインドの悪化が継続するなか、特にブライダルジュエリー市場を中心とした企業間競争の激化に加え、ECや個人間取引の拡大に伴う購買チャネルの多様化が進むなど、厳しい事業環境が続いております。
 このような状況の下、当連結会計年度における当社グループは、構造改革を柱とした収益の改善に向け、本社機能の強化、店舗戦略の強化、ブライダル関連需要の獲得強化に注力してまいりました。
本社機能の強化については、本社社員と販売スタッフとの人材交流・配置転換を促進し、本社コストの削減を図るとともに、業務標準化の継続推進による本社人材の生産性向上に努めました。
店舗戦略の強化については、有力商業施設への出店を進めるとともに、ブランドの統廃合による既存店の活性化と不採算店舗の撤退を実行し、店舗収益力の向上を図りました。その結果、当連結会計年度における国内での店舗展開は、新規出店9店舗、退店6店舗、業態変更17店舗となり、国内店舗数は前期末に比べ3店舗増加し、87店舗となりました。
 ブライダル関連需要の獲得強化については、2017年3月に銀座中央通りにオープンした「フェスタリア ビジュソフィア ギンザ」の波及効果に基づくブランドプロモーションを推進するとともに、当社の企業理念を反映した主力商品であり、特別なカットにより大小2つの星が映し出されるダイヤモンド“Wish upon a star”を基軸としたWEBマーケティングを推進し、ブライダル予約販売への取り組み強化を進めました。
 その他、成長戦略の中核として位置付けているEC事業については、売上高は引き続き低調に推移したものの、リアル店舗との相互送客の活性化に注力するとともに、WEBサイトのリニューアルに加え、運営体制の強化を検討するなど、早期収益化に向けた取り組みを進めております。
 海外事業については、小売部門である台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)では、アジア戦略の重要拠点として、インターナショナルブランド確立に向けた取り組みを進めました。その結果、利益ベースではマイナスを継続しているものの、当連結会計年度では5店舗の有力商業施設への新規出店を果たすなど、台湾におけるインターナショナルブランドの確立は直実に進展しております。
 生産部門であるベトナム子会社D&Q JEWELLERY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)では、SPA企業として顧客起点のSCM(サプライチェーンマネジメント)構築が課題となるなか、グループマネジメント体制を強化し、特に品質管理・工程安定化に注力するなど、グループ全体での競争力の向上に努めました。
 このような取り組みにより、当期における連結業績は以下のとおりとなりました。
 <売上高>

 連結売上高は9,962百万円前期比2.7%増)となりました。

 EC事業が引き続き低調だったことに加え、特に九州地区を中心とした地方ショッピングセンターの低迷が影響し、国内既存店が前期比1.7%減と苦戦しました。一方、店舗数の純増に加え、新規店舗が好調に推移したことから、増収を確保しました。

<営業利益>

売上総利益は、増収に伴い前期比61百万円(1.0%増)増加したものの、高成長を維持していた “Wish upon a star”の売上が前期比2.3%減と下振れしたことに加え、ブランド統廃合に伴う改装セールや期末での在庫処分施策の強化を進めたことが影響し、売上総利益率が前期比で1.1ポイント低下しました。一方、費用に関しては、新規出店の拡大や店舗改装等に要する費用、物流機能の外部委託に伴う移管費用の発生など増加要因があったものの、構造改革の取り組みとして本社のスリム化や販促施策の合理化を図ったため、販売費及び一般管理費は前期比25百万円(0.4%減)減少し、6,073百万円となりました。

その結果、連結営業利益は145百万円前期比151.5%増)となりました。

<経常利益>

為替相場変動に伴う為替差益が減少したものの、連結営業利益が大きく増加したため、連結経常利益は94百万円前期比191.6%増)となりました。

<親会社株主に帰属する当期純利益>

 一部店舗の退店及び不採算店舗の減損損失処理を実施し、特別損失として40百万円計上したものの、連結経常利益が増加したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は25百万円前期比370.6%増)となりました。

  

(2) キャッシュ・フローの状況

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は170百万円となりました。これは主に、仕入債務の減少が176百万円あったものの、減価償却費が339百万円あったことによるものであります。 

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は253百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出200百万円、差入保証金の差入による支出65百万円があったことによるものであります。 

(財務活動におけるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は150百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が867百万円、リース債務の返済による支出が123百万円あったものの、長期借入れによる収入が1,150百万円があったことによるものであります。 

その結果、現金及び現金同等物の期末残高は698百万円前期は636百万円)となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 商品仕入実績

当社グループの事業は、宝飾の製造及び販売の単一セグメントであるため、品目別に仕入実績を記載しております。

当連結会計年度の商品仕入実績を品目別に示すと次のとおりであります。

品目別

第56期
(自 2018年9月1日
  至 2019年8月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

宝飾品

3,758,156

105.5

 

(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 販売実績

当社グループの事業は、宝飾の製造及び販売の単一セグメントであるため、店舗形態別に販売実績を記載しております。なお、当社グループは、主に店舗において一般消費者に販売いたしております。また、顧客催事及び仕入先主催の展示会において販売をしております。

 

当連結会計年度の販売実績を店舗形態別に示すと次のとおりであります。

店舗形態別

第56期
(自 2018年9月1日
  至 2019年8月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

宝飾品業態

9,423,415

102.3

海外宝飾品業態
(台灣貞松股份有限公司)

331,592

118.2

小売計

9,755,008

102.8

宝飾品卸売業

207,106

101.0

合計

9,962,114

102.7

 

(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たりまして、重要な見積りや仮定を行う必要があります。重要な会計方針において、それら重要な仮定により業績に影響を受ける項目は次のとおりです。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますので、あわせてご参照下さい。

 

① 貸倒引当金

当社グループは、売掛債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒が懸念される特定の債権については、相手先の財務状況、業績等を検討して回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。賃貸借契約で出店しているショッピングセンター及びその運営会社が破綻した場合、引当金を積み増すことにより損益にマイナスの影響を与える可能性があります。

② 繰延税金資産

当社グループは、将来年度の当社の収益力に基づく課税所得による回収可能性を検討した上で、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性が見込めないと判断した場合は、回収不能と見積もられる金額を見積り、評価性引当金が計上されることになり、損益にマイナスの影響を与える可能性があります。

 

 (2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 営業収益

営業収益の概況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 業績」をご参照ください。

② 営業利益

営業利益は、前連結会計年度に比べ売上総利益が61,862千円増加しましたが、販売費及び一般管理費が25,688千円減少したことにより、145,338千円(前連結会計年度は営業利益57,786千円)となりました。

③ 営業外損益

営業外損益は、前連結会計年度に比べ17,395千円収益が減少しました。これは、為替差益が16,129千円減少したためであります。この結果、経常利益は94,074千円(前連結会計年度は経常利益32,261千円)となりました。

④ 特別損益

特別損益は、主に固定資産除却損9,788千円、減損損失16,760千円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は54,067千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益44,016千円)となりました。

⑤ 財政状態

当連結会計年度の総資産は、8,693,163千円と前連結会計年度に比べ197,115千円の増加となりました。これは、商品及び製品が243,616千円減少したものの、現金及び預金が62,008千円、受取手形及び売掛金が67,627千円、原材料及び貯蔵品が274,287千円、有形固定資産が23,507千円増加したことが主な要因です。

また、当連結会計年度の負債は、6,997,195千円と前連結会計年度に比べ202,765千円の増加となりました。これは、支払手形及び買掛金が176,727千円、未払法人税等が41,767千円減少したものの、借入金総額が295,886千円、前受金が53,144千円、未払金及び未払費用が101,002千円増加したことが主な要因です。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4) 資本の財源及び資本の流動性に係る情報

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

② 資金の需要

当社グループにおける資金使途としましては、運転資金、新店舗出店に伴う固定資産の取得、借入金の返済及び利息の支払並びに保証金の支払いであります。

③ 財務政策

当社グループは、経営環境の変化に対応し、また当社の財務比率等を勘案し、財務ないし資本政策を行ってまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。