第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限や所得・雇用環境の悪化による消費マインドの落ち込みが懸念されるものの、ワクチン接種率が上昇するなかで、感染予防と経済活動の両立に向けた取り組みも進められており、個人消費に持ち直しの動きが期待されております。また、コロナがもたらしたデジタル化の急速な進展を背景に、人々の価値観、消費行動、働き方などの多様化が一層進行するものと思われます。
 このような経営環境の変化が見られる中、当社グループは、ニューノーマル時代での次なる成長モデルの構築に向けて、「事業構造改革の完遂」を次期の経営方針に掲げ、引き続き利益創出から成長投資への好循環サイクルの確立を目指し事業を推進してまいります。
 既存事業の変革、成長による利益創出への取り組みとして、ネットとリアルを融合した顧客体験の提供を志向してまいります。具体的には、自社サイトや公式アプリの利便性向上、ジュエリーのデジタルカスタマーサービスの導入、SNS訴求やオンライン接客の強化を進めるとともに、CRMの再構築により顧客データを一元化し、顧客動向の分析やニューノーマルを意識した店舗環境の整備を進め、顧客にとって有益な購買体験を提供し、顧客とのさらなる関係強化を目指します。これらOMO戦略の推進により、EC化率を向上させ、店舗においては人材の採用育成を強化することで、1店舗あたりの収益向上に努めてまいります。
 商品施策においては、顧客価値を創造する商品開発、品質向上をテーマとして、主力商品である“Wish upon a star”の価値訴求によるブライダルやアニバーサリー施策の強化を進めるとともに、高まる消費の二極化を見据え、高価格帯を中心とした商品ラインナップの拡充を図ります。
 加えて、コロナ禍による富裕層の意識変化を踏まえ、リレーションシップ・マーケティングの強みを活かした富裕層ビジネスを推進してまいります。既にウェルスマネジメント機能を有する外部機関とパートナーシップを締結し、富裕層顧客への高額販売を実現していることから、パートナー企業のさらなる拡大、富裕層顧客の紹介ルートの開拓を進め、軌道に乗せていく方針です。
 一方で、引き続き固定費の低減による経営効率の向上にも注力し、不採算店舗の退店にとどまらず、採算性・将来性を重視した事業の見直し、本社人員の適正化やリモートワークの推進と合わせた本社オフィスの移転・縮小などの構造改革を断行してまいります。
 また、顧客中心主義でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するため、CRMの再構築と合わせて、店舗および本社の全ての業務フローを可視化させ、バックエンドの最適化を図るとともに、デジタル人材の確保・育成を進めてまいります。
 これら事業構造改革による安定利益の確保を完遂させ、中長期的には「コミュニティ」を核とした新しいブランド価値の創出を実現すべく、成長投資と株主還元のバランスを図りつつ、コミュニティ化とパーソナル化の両立を柱としたビジネスモデルの進化と再構築を進める方針です。
 海外事業については、グループ成長戦略の推進により拡大・多様化する事業領域や役割の重要性に対応すべく、フェスタリアホールディングスによるマネジメント体制を強化し、グループシナジーの最大化を目指してまいります。
 台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)では、引き続きアジアマーケットの重要拠点として、ブランド力の向上を図るとともに、さらなる収益の改善を目指してまいります。
 ベトナム子会社D&Q JEWELLRY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)については、自社ブランドのみならず、OEM生産等を検討し、製造体制の見直しや生産合理化によるコスト競争力の向上を進めてまいります。加えて、更なる品質向上や工程安定化を確保することでSPA企業として最適な製造体制の確立を目指してまいります。
 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。 

 

(ⅰ)季節構成と催事の構成が売上高に及ぼす影響

① 都市型店舗における12月売上高は、年間売上高に対して非常に高い割合となっております。 

またジュエリー業界にとりまして12月商戦は、年間最大の販売チャンスであります。当社グループにおきましては、12月商戦に対する強化はもとより、年間を通じて商品開発に努めております。一方、平月の安定的な売上高確保に向けて、販売力強化のため販売員研修を適時実施しております。しかしながら、12月の業績が当初の計画を著しく下回った場合、年間の業績予測に影響を及ぼす恐れがあります。 

② 当社グループにおきましては、新規顧客の創造及び既存顧客への感謝を目的とした大型催事を適時実施しております。しかしながら、実施時期に自然災害や感染症の流行等不慮の事由により集客が困難となった場合、年間の業績予測に影響を及ぼす恐れがあります。 

 

(ⅱ)店舗展開について

当社グループは百貨店に代表される複合型商業施設に多数出店しておりますが、以下の事項が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

① 複合型商業施設の出店政策に影響を受ける場合があります。 

② 出店候補先における出店基本条件、賃貸借条件等の内容が当社グループの考えております条件と大きな乖離があり、希望物件を確保出来ない場合には、出店計画を変更しなければならなくなる可能性があります。

③ 複合型商業施設が、経営環境の変化によって店舗を閉鎖する場合があります。この場合、同時に当社グループ店舗も閉鎖しなければならない可能性があります。

④ 出店している複合型商業施設及びその運営会社が破綻した場合、売上債権及び営業保証・敷金の返還が受けられない可能性があります。

 

(ⅲ)人材確保について

当社グループは、人材の確保・教育を最重要課題としておりますが、優秀な社員の育成には時間がかかるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅳ)個人情報の管理について

当社は、個人情報の取扱いに対しては、管理体制を見直し整備しておりますが、何らかの要因により情報が流出した場合は、社会的責任を負うこととなり、結果として当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

 当連結会計期間(2020年9月1日~2021年8月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、断続的に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令され、経済活動が大きく制限されるなど、厳しい状況が続きました。足元ではワクチン接種が本格化するなか、各種政策の実施により経済活動の高まりが期待されるものの、新たな変異株の流行等による感染再拡大の懸念は払拭されておらず、依然として予断を許さない状況にあります。
当社グループが属する宝飾業界は、高額品需要が堅調に推移し、オンライン消費が拡大した一方、外出自粛要請に伴い店舗の臨時休業や営業時間の短縮など、営業活動の制限を余儀なくされ、実店舗における来店客数が低調に推移するなど、厳しい事業環境となりました。
 このような環境のもと、当社グループは、「変わる→変える」をスローガンに、「売上主義から利益主義」を経営方針に掲げ、ニューノーマルによる「新時代の成長に向けた準備の年」として新たな成長モデルを支える事業構造の変革を推進しました。特に、ROA(総資産利益率)とフリー・キャッシュフローを重要指標に設定し、次の成長投資に向けた安定利益の創出に注力してまいりました。
 具体的には、ローコストオペレーションの徹底を基軸に置き、店舗・本社の合理化による固定費の低減、商品開発力の強化、生産物流体制の見直し、業務の仕組化・標準化、販促効率の向上、LTV(生涯顧客価値)の最大化への取り組みを進めました。
 海外事業については、小売部門である台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)は、アジアマーケットの重要拠点として、グループマネジメント体制の強化や執行体制の見直しを実施したことで経営効率が向上し、収益性が改善しました。
 生産部門であるベトナム子会社D&Q JEWELLRY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)は、コロナ禍の影響により稼働率の低下がみられたものの、売上回復とともに生産本数が段階的に増加し、回復基調で推移しております。
 店舗展開につきましては、当連結会計期間末における店舗数は、国内79店舗、海外9店舗(台湾9店舗)の合計88店舗となり、前期末に比べ8店舗減少しました。
 これらの取り組みにより、売上高は前期比296百万円(3.5%増)増加しました。立ち上がりの第1四半期(9月~11月)は、売上高は回復傾向にありましたが、12月以降は、新型コロナウイルスの感染再拡大により全国的な外出自粛となり客足に大きく影響しました。特に年明けからは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発令されたこともあり、最大38店舗が臨時休業となるなど、営業活動が大きく制限されました。加えて、8月の西日本から東日本の広い範囲での大雨の影響もあり、実店舗における来店客数が大幅に落ち込む結果となりました。そのような厳しい状況下、商品力の強化と併せて価格ラインの引き上げを実施した結果、販売単価が20.9%増加したことにより、客数の落ち込みをカバーし、増収を確保しました。加えて、オンライン販売が前期比74.4%増と大きく伸長しました。
 売上総利益は、主力商品“Wish upon a star”の売上が高価格帯を中心として好調に推移したことで、売上総利益率が前期比で2.3ポイント上昇し、前期比382百万円(7.4%増)増加しました。さらに、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の最適化を進めたことにより、仕入・在庫効率が向上し、フリー・キャッシュフローが大幅に改善しました。
 費用面に関しては、コロナ禍での営業活動の制限に合わせた労務費や旅費交通費等の削減に加え、各種プロモーション施策の見直しなどの経費コントロールを継続的に推進しました。さらに、分散していた物流機能や修理機能を集約し、配送費や外注費のコストダウンを図りました。また、不採算店舗の撤退やディベロッパー各社との契約条件の見直しを継続的に進めたことにより店舗関連費用が大幅に縮小しました。
 その他では、2020年11月30日に公表した「資本性劣後ローンによる資金調達のお知らせ」のとおり、成長投資のための長期性資金の確保と財務健全性の向上を目的として、株式会社みずほ銀行および株式会社日本政策金融公庫ならびに株式会社商工組合中央金庫の3行より総額800百万円の資本性劣後ローンによる資金調達を実施しました。
 以上の結果、当期における連結業績は、売上高8,724百万円(前期比3.5%増)、営業利益382百万円(前期営業損失498百万円)、経常利益379百万円(前期経常損失555百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益128百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失806百万円)となりました。
 

  

(2) キャッシュ・フローの状況

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は1,337百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が214百万円、減価償却費が224百万円、賞与引当金の増加が55百万円、売上債権の減少が123百万円、たな卸資産の減少が519百万円、仕入債務の増加が161百万円があったことによるものであります。

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は7百万円となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入が162百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が139百万円、無形固定資産の取得による支出が7百万円、差入保証金の差入による支出が19百万円があったことによるものであります。

(財務活動におけるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,235百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入が1,100百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が1,433百万円、短期借入金の純増減額の減少が800百万円、リース債務の返済による支出が103百万円があったことによるものであります。

その結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,040百万円前期は950百万円)となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 商品仕入実績

当社グループの事業は、宝飾の製造及び販売の単一セグメントであるため、品目別に仕入実績を記載しております。

当連結会計年度の商品仕入実績を品目別に示すと次のとおりであります。

品目別

第58期
(自 2020年9月1日
  至 2021年8月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

宝飾品

2,831,662

89.5

 

(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 販売実績

当社グループの事業は、宝飾の製造及び販売の単一セグメントであるため、店舗形態別に販売実績を記載しております。なお、当社グループは、主に店舗において一般消費者に販売いたしております。また、顧客催事及び仕入先主催の展示会において販売をしております。

 

当連結会計年度の販売実績を店舗形態別に示すと次のとおりであります。

店舗形態別

第58期
(自 2020年9月1日
  至 2021年8月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

宝飾品業態

7,988,097

101.5

海外宝飾品業態
(台灣貞松股份有限公司)

368,259

101.6

小売計

8,356,357

101.5

宝飾品卸売業

368,444

190.8

合計

8,724,802

103.5

 

(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たりまして、重要な見積りや仮定を行う必要があります。重要な会計方針において、それら重要な仮定により業績に影響を受ける項目は次のとおりです。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基
本となる重要な事項」に記載しておりますので、あわせてご参照下さい。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1
連結財務諸表等注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

① 貸倒引当金

当社グループは、売掛債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒が懸念される特定の債権については、相手先の財務状況、業績等を検討して回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。賃貸借契約で出店しているショッピングセンター及びその運営会社が破綻した場合、引当金を積み増すことにより損益にマイナスの影響を与える可能性があります。

② 繰延税金資産

当社グループは、将来年度の当社の収益力に基づく課税所得による回収可能性を検討した上で、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性が見込めないと判断した場合は、回収不能と見積もられる金額を見積り、評価性引当金が計上されることになり、損益にマイナスの影響を与える可能性があります。

③ 固定資産の減損処理

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、店舗の営業活動から生じる損益が継続してマイナスである資産グループについては、減損の兆候があると判断し、減損処理を実施しております。なお、新型コロナウイルスの影響により、店舗休業や営業時間短縮等の営業活動の制限が想定以上に拡大・長期化した場合など、社会・経済活動の停滞・変動により、投資回収計画の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
 

 

 (2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 営業収益

営業収益の概況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 業績」をご参照ください。

② 営業損益

営業損益は、前連結会計年度に比べ売上総利益が382,969千円増加しましたが、販売費及び一般管理費が498,151千円減少したことにより、営業利益は382,788千円(前連結会計年度は営業損失498,332千円)となりました。

③ 営業外損益

営業外損益は、前連結会計年度に比べ20,202千円収益が増加、33,724千円費用が減少しました。これは、為替差益が18,502千円増加し、支払手数料が14,812千円、支払利息が2,113千円、その他の諸費用が16,798千円減少したためであります。この結果、経常利益は379,288千円(前連結会計年度は経常損失555,760千円)となりました。

④ 特別損益

特別損益は、主に棚卸資産の評価替えによる商品評価損135,483千円、減損損失11,235千円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は214,347千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失1,121,177千円)となりました。

⑤ 財政状態

当連結会計年度の総資産は、7,103,969千円と前連結会計年度に比べ924,459千円の減少となりました。これは、現金及び預金が89,442千円増加し、商品及び製品が261,841千円、原材料及び貯蔵品が233,965千円、受取手形及び売掛金が117,559千円、差入保証金が165,253千円、有形固定資産が149,481千円、無形固定資産が34,404千円、繰延税金資産が40,955千円減少したことが主な要因です。

また、当連結会計年度の負債は、6,092,076千円と前連結会計年度に比べ1,075,544千円の減少となりました。これは、支払手形及び買掛金が161,495千円、賞与引当金が56,127千円増加し、借入金総額が1,133,789千円、リース債務が100,786千円、未払金及び未払費用が94,870千円減少したことが主な要因です。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4) 資本の財源及び資本の流動性に係る情報

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

② 資金の需要

当社グループにおける資金使途としましては、運転資金、新店舗出店に伴う固定資産の取得、借入金の返済及び利息の支払並びに保証金の支払いであります。

③ 財務政策

当社グループは、経営環境の変化に対応し、また当社の財務比率等を勘案し、財務ないし資本政策を行ってまいります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。