第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「価値ある食文化の提案」を企業理念とし、ともに働く仲間の幸福を最大限に追求し、当社で働く一人ひとりの経済的利益と精神的成長を達成することで、お客様へ最大の満足を提供し、地域社会へ貢献してまいります。
  社会に必要とされる「食ブランド」を創造するために、社会の変化の中で新たに生まれたニーズに合った新業態開発、既存業態のブラッシュアップを行い、お客様に喜びと驚きを提供することを目指して事業を行っております。当社は常にお客様起点で、価値ある食文化を提案し続けることで、持続的な成長を図り、企業価値の拡大に取り組んでまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、持続的な成長と安定的な収益性を重視する観点から、新規事業開発、既存業態の営業活動の強化、新業態の開発により、中期的に売上高営業利益率5%以上を目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

外食産業において、新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響は大きく、収束時期の見極めが非常に困難である中、顧客の消費行動や価値観、競合他社の動向等当社を取り巻く環境は急激に変化しております。

このような状況を踏まえ、当社は「Withコロナ時代」においても業容を拡大し、収益を確保できる事業ポートフォリオを構築するため、以下のとおり事業構造の変革を進めてまいります。

 

 ①低投資型郊外中小型店舗の出店

 コロナ禍によって、テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の外食機会における消費行動は都市部一極集中から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定しております。

 当社は、一昨年来、都市部・繁華街に立地する大型・空中階及び地下階店舗の大規模閉店を進めており、これが概ね一巡いたしましたが、こうした一連の閉店と同時に、住宅地を背景にもつ郊外型店舗である大衆酒場「アカマル屋」、「焼肉万里」の業態確立と出店を進めておりました。これらの業態は、既存の大型店舗に比して低投資かつ高効率の業態であるうえ、立地特性上、コロナ禍においてもお客様から一定以上の支持をいただいておりますことから、次期以降について、これらの出店・拡大に取り組んでまいります。

 

 ②ノンアセット型ビジネスモデルの拡大

 一昨年来継続的に取り組んでいる、大きな固定投資を伴わない官公庁や温浴施設等を中心とする飲食施設の運営受託事業について順調に店舗数を伸ばしており、結果として、当事業年度末における直営実店舗数のおよそ4割がノンアセット型ビジネスモデルである運営受託店舗となり、事業ポートフォリオの再構築が進行しております。

 また、「東京チカラめし」は、香港の現地企業とライセンス契約を締結したのち、出店した香港1号店が、現地において連日行列ができる店舗となっており、今後、海外においてライセンスによる展開・拡大を目指してまいります。国内においては株式会社バーチャルレストランと「東京チカラめし」のバーチャル店舗におけるライセンス契約を締結し、同社と加盟開発を進めており、今後、拡大を図ってまいります。

 また、お客様の手元に届ける事業である弁当等の中食事業や自社運営サイト「ひとま」(https://hitoma-tuhan.com/ 旧名称:通販SHOP金の蔵)でのEC通販事業等は堅調に推移しており、今後も事業の拡大に努めてまいります。

 

 ③新規事業(水産事業)の確立と展及び新業態の開発

 当社では従来の飲食事業にとどまらず、当社の持つ「価値ある食文化の提案」という企業理念をより一層深め、SDGsが掲げる理念のもと持続的な成長が期待できる新規事業を構築し、これを新たな収益の柱として育成いたします。

 当社は、2020年9月に沼津我入道漁業協同組合との業務提携により水産事業を立ち上げ、同年12月に同漁協の組合員となりました。現在では、漁業者(漁協、漁師)や魚市場から直接仕入れることができるようになったことから、消費者に最も近い飲食店舗の運営者としての経験を活かして、「水産DXプラットフォーム」を構築することといたしました。すなわち、当社が魚市場で競る魚について、当社店舗向けのみならず同業他社の飲食店舗や小売店等BtoB向けに、ITコミュニケーションツールを通じて競りに参加できる、いわゆる「バーチャル競り」を基本機能として持ったシステムを構築してまいります。将来は、こうした「水産DXプラットフォーム」をBtoCの領域にまで拡大していき、漁業者の卸先、販売先の幅を広げていくことで、日本の漁業の再生に貢献できるものと考えております。当社は、沼津港でのこの取り組みを皮切りに全国の他の漁港での横展開を模索してまいります。

 さらに、今後は、既存飲食事業において、当該水産事業とのシナジー効果が見込めることから、水産の6次産業化へ向けた新業態(飲食店舗)を開発し、展開する予定であります。

 

(4) 経営環境

当社が属する外食産業を取り巻く環境は、お客様の価値観や行動様式、ニーズの変化、中食市場の成長に加え、2020年2月下旬以降の新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした各自治体からの営業自粛や営業時間短縮等の要請があり、来店客数が大幅に減少する等、依然として厳しい経営環境が続くものと予想されます。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①新型コロナウイルス感染症への対応について

 当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、お客様をはじめ、お取引先様、従業員の安全を最優先とし、政府・自治体の方針に沿った店舗営業の他、全従業員一人ひとりが行うことができる感染予防対策の徹底並びに出勤の自粛や時差出勤の活用等を推進し、感染拡大を防ぐ取り組みを行っております。また、時差通勤、テレワークといった急速に変化する生活様式に柔軟に対応し、食を通じて多くの方に幸せを感じていただける、新たな商品とサービスの形を提案してまいります。

 

②収益改善施策の実施

 現在、当社は短・中期的な事業構造改革を推し進めており、収益の改善を目指し次の施策に取り組んでおります。

 

 イ.不採算店舗の閉店

 当社は、キャッシュの流出を防ぐことが当面の優先課題であると認識し、当事業年度において不採算店舗を39店舗閉店いたしました。本施策により、お客様からご支持いただける店舗(主に郊外店や「アカマル屋」「焼肉万里」等の特定業態)が、安定して利益を確保できる店舗として残り、これら店舗の顧客満足度を向上させていくことで、可及的速やかな営業収支の改善を進めてまいります。

 なお、不採算店舗の整理は概ね完了しておりますが、事業構造改革の方針に沿って経営環境の変化を見極め、必要な店舗閉鎖はこれまで同様に積極的に行い、既存店舗のキャッシュ・フローの確保に努めます。

 

 ロ.低投資型郊外中小型店舗の出店及びノンアセット型ビジネスモデルの拡大

 テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の消費行動の中心は都市部一極集中から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定されます。「アカマル屋」「焼肉万里」は、郊外に位置する中小型店舗であり、コロナ禍においても、お客様から一定の支持をいただいております。とりわけ「アカマル屋」は、低投資かつ高効率モデルのブランドであり、引き続きブランドの磨き上げを行い、慎重に商圏および立地条件を見極めたうえで出店してまいります。また、大きな固定投資を伴わない官公庁や温浴施設等を中心とする飲食施設の運営受託事業に引き続き取り組んでまいります。さらに、「東京チカラめし」について、2021年4月に香港の飲食企業と香港における「東京チカラめし」の出店に関するライセンス契約を締結し、同年6月に1号店を出店いたしましたが、香港での出店に加え東南アジア地域でのライセンス契約獲得に取り組んでまいります。

 

 ハ.新規事業の確立と展開

 当社は、事業構造を転換すること及びコロナ禍においても収益を確保できる事業ポートフォリオを構築することを目的として、飲食事業以外においても収益の柱を構築いたします。

 当社は、2020年12月に沼津我入道漁業協同組合に加入し、組合員となったことから、当社既存直営店舗のみならず、他の外食事業者または小売事業者に法人営業を行うとともに、一般消費者に鮮魚の移動販売を行うなどし、沼津で水揚げされた近海物の鮮魚や加工品等を販売する等実績を積み重ねてまいりました。今後、中間マージンを最小化した価格競争力と飲食事業で蓄積した食材調達力等をかけ合わせて、沼津の鮮魚や加工品等をブランディングしていくことで付加価値を高め、販路の拡大に努めてまいります。

 当社は、実際に産地に入りこみ、地域の皆様(地元漁師や漁協その他水産事業者、地方自治体等)の役に立ち、還元していくという取り組みを行っており、そうすることで、当社既存事業とのシナジー効果が最大化されるものと考え、水産事業における3次産業企業側からの6次産業化モデルの構築を引き続き進めてまいります。

 

 ニ.コストの削減

 全社的な取り組みとして、前事業年度より引き続きコストの見直し及び削減をより強力に進めてまいります。

 主な取り組みといたしましては、ITシステムの入替によって業務の大幅な省力化を実現することで、人件費等をより一層極小化いたします。さらに本社費用の極小化等、様々な施策によりコストを削減いたします。

 

③財務基盤の強化

 イ.資本注入

 2021年5月に新株式(2021年6月14日3億円払込完了)及び第4回新株予約権の発行決議を行いました。事業構造の改革を進め、IR活動の強化に積極的に取り組むことで新株予約権の行使を促進し資本注入を図ることで運転資金、新規出店資金、及び新規事業資金等に充当してまいります。

 

 ロ.金融機関との関係強化

 上記イ.に加え、前述した事業構造の改革について営業収支の改善効果が現れるには一定の時間を要することから、キャッシュ・ポジションの改善を図るため、2020年7月に政府が実施した新型コロナウイルス感染症特別貸付による調達を行い、さらに2021年6月に資本性劣後ローンへ借換えを行いました。資本性劣後ローンは、返済順位の劣後性により金融機関からは資本とみなされ財務の安定化が図られ、金融機関からの調達が促進されます。

 今後も安定した運転資金を機動的に調達できることを目的として金融機関との関係強化に努めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避に努め、発生した場合に適切に対応する所存であります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 新型コロナウイルス感染症拡大によるリスクについて

当社において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、事業を取り巻く環境について先行き不透明な状況が生じています。感染拡大や長期化に伴い、外出自粛やテレワークの推進、店舗の臨時休業や営業時間の短縮、酒類の提供制限等によって消費の低迷などが懸念され、当社の業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 

なお、新型コロナウイルス感染による事業リスクを最小限に抑えるため、従業員に対する感染予防策の周知、3密(密閉・密集・密接)を避けた店舗運営、在宅勤務の推進等により感染拡大防止に努めております。

 

② 外食業界の動向及び競合の激化について

外食業界は、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした各自治体からの営業自粛や営業時間短縮、酒類の提供制限等の要請があり、来店客数が大幅に減少する等、引き続き厳しい経営環境が続いております。

このような環境のもと、当社はお客様のニーズの変化を考慮した新規出店や業態開発を行っておりますが、外食市場の縮小、競争の激化などにより既存店の売上が当社の想定以上に減少した場合、または経費削減策が奏功しなかった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 店舗賃借物件について
 当社の直営店舗は、賃借物件であり、その賃貸借契約は主に更新可能なものでありますが、賃貸人側のやむを得ない事情により解約または解除された場合、業績好調な店舗であっても閉店を余儀なくされる可能性があります。
 また、新規出店に際して、商圏の人口、賃料などを総合的に判断した結果、条件に合致する物件が調達できない場合、新規出店の計画が達成できない可能性があります。
 さらに、当社は、賃貸借契約締結の際に敷金または保証金を預託する場合、事前に賃貸人の与信審査を行うなど、賃貸人の信用不安に備えておりますが、これらの敷金または保証金のうち全部または一部が倒産その他の賃貸人側の事情により回収不能となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、定期借家契約の規定により賃貸借契約が早期に解約できない場合、また解約に伴う違約金等の発生、後継テナントがつかないことによる原状回復費用が発生する場合等、店舗閉鎖に伴い想定していなかった費用が発生する可能性があります。

 

④ 食材の調達について
 BSEや鳥インフルエンザ等の疫病の発生、異常気象、天候不順、自然災害の発生等により、食材の調達が難しくなり、調達価格が上昇した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 食の安全性
 当社は、食材の安全性確保のため、取引先の協力を仰ぎながら、食品のトレーサビリティーを確立しております。加えて、産地、加工工場の現地確認及び添加物、微生物検査基準を遵守した食材を選定するなど、食材の安全を確保するとともに、お客様へ正確な情報の提供に努めております。万一、表示内容に重大な誤り等が発生した場合には信用低下等を招き、店舗売上が減少する他、調達先やメニューの主要食材の見直し等を実施するためのコストが発生するなど、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 営業店舗での食品事故
 当社の各店舗では、食品衛生法に基づき、所轄の保健所より飲食店営業許可を受け、食品衛生責任者を設置しております。食中毒の発生を未然に防ぐために、品質管理及び衛生管理を徹底し、お客様に安心していただける料理の提供に努めておりますが、万一、食品事故が発生した場合、食材の廃棄処分、損害賠償による損失の発生、一定期間の営業停止などにより当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 人材の確保及び教育について

当社は、中長期的な飲食事業の展開(直営店及び運営受託店舗の出店等)や新規事業の開発等の各事業拡大を見据え、新卒採用・中途採用の他、アルバイト従業員からの社員登用も含めた人材の確保を行っております。また、階層別研修や評価制度を含めた人事制度のさらなる拡充に注力をしていく方針です。しかしながら、人材の確保及び教育が計画どおりに進まない場合には、各事業の拡大計画の遅延または中止により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ アルバイト従業員に対する社会保険加入の義務化について

当社は、主に店舗にて多数のアルバイト従業員を雇用しております。今後、アルバイト従業員への社会保険適用範囲の拡大が実施された場合、社会保険料負担の増加などにより人件費が上昇し、当社の経営成績に影響が生ずる可能性があります。

 

⑨ 経済事情の急変
 年度初めには予想も出来なかった経済事情の急変があった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 自然災害等の影響について
 当社の店舗は、首都圏を中心とした都市部の駅前に集中しており、地震、台風、津波等により、首都圏の駅周辺の被害が甚大な場合や、火災等により営業の継続が困難となった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 商標権の管理について

当社は、複数の業態を保有しております。業態の名称については、使用に先立ち、外部の専門家などを通じて、第三者の商標権を侵害する恐れがないか確認し、可能な限り、当社においてその名称を商標登録することで、第三者に対する権利侵害を回避するとともに、当社権利の確保に努めております。しかしながら、当社の使用する名称が第三者のものと類似するなどの理由により、第三者の商標権を侵害していると認められた場合には、当該商標の使用差止め、使用料または損害賠償の支払い請求がなされる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

 

⑫ インターネットなどによる風評被害について

SNSの普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それを発端とするマスコミの報道による風評被害が発生・拡散された場合において、当社業態の価値が棄損され、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 「固定資産の減損に係る会計基準」の適用について
 当社は、営業店舗を中心に設備等を保有しており、直営店舗について営業活動から生ずる損益が、継続してマイナスとなる場合には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により減損損失が計上され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

 

⑭ M&Aについて

当社は、事業の拡大及び競合他社との差別化を図る有効手段のひとつとして、当社に関連する事業で、シナジー効果を期待できるM&Aを検討していく方針です。M&Aの実施に際しては、対象企業の財務・法務・ビジネス等について事前にデューデリジェンスを行い、十分にリスクを吟味したうえで決定いたしますが、買収後に事前の調査で把握することができなかった偶発債務の発生等の問題が生じた場合、また事業の展開等が計画通りに進まない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ 法的規制について

当社は、食品衛生法、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、健康増進法、消防法、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器リサイクル法)及びその他の当社事業に関する各種法令による規制を受けております。これらの法的規制が強化された場合、当社は社会的責任を第一に考え、法令や各行政機関からの要請には応じる方針であることからも、それに対応するための新たな費用が増加すること等により、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社は、「総合居酒屋」への需要が近年減少傾向にあることから、前事業年度まで3期連続の営業損失を計上しております。また、当事業年度においては、この状況に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした政府からの緊急事態宣言及び各自治体からの営業時間短縮等の要請や3密(密閉・密集・密接)を回避するお客様心理等の影響による売上高の減少、減損損失等の計上に伴い、営業損失17億47百万円、経常損失14億26百万円、当期純損失18億17百万円を計上し、自己資本比率は前事業年度末43.9%から当事業年度末22.0%に減少しております。

以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、当事業年度末の資金残高の状況及び今後の資金繰りを検討した結果、当面の事業活動の継続性に懸念はありません。なお、資金計画策定に用いた重要な仮定は、新型コロナウイルス感染症の影響により減少した外食需要の回復見通しと営業時間短縮要請に伴う感染拡大防止協力金等の助成金収入の見積りであります。加えて、以下に記載のとおり、当該事象又は状況を改善するための対応策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

1.収益改善施策の実施

 現在、当社は短・中期的な事業構造改革を推し進めており、収益の改善を目指し次の施策に取り組んでおります。

 

イ.不採算店舗の閉店

 当社は、キャッシュの流出を防ぐことが当面の優先課題であると認識し、当事業年度において不採算店舗を39店舗閉店いたしました。本施策により、お客様からご支持いただける店舗(主に郊外店や「アカマル屋」「焼肉万里」等の特定業態)が、安定して利益を確保できる店舗として残り、これら店舗の顧客満足度を向上させていくことで、可及的速やかな営業収支の改善を進めてまいります。

 なお、不採算店舗の整理は概ね完了しておりますが、事業構造改革の方針に沿って経営環境の変化を見極め、必要な店舗閉鎖はこれまで同様に積極的に行い、既存店舗のキャッシュ・フローの確保に努めます。

 

ロ.低投資型郊外中小型店舗の出店及びノンアセット型ビジネスモデルの拡大

 テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の消費行動の中心は都市部一極集中から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定されます。「アカマル屋」「焼肉万里」は、郊外に位置する中小型店舗であり、コロナ禍においても、お客様から一定の支持をいただいております。とりわけ「アカマル屋」は、低投資かつ高効率モデルのブランドであり、引き続きブランドの磨き上げを行い、慎重に商圏及び立地条件を見極めたうえで出店してまいります。また、大きな固定投資を伴わない官公庁や温浴施設等を中心とする飲食施設の運営受託事業への取り組みの結果、当事業年度末における直営実店舗数50店舗のうち運営受託店舗は21店舗となりました。さらに、「東京チカラめし」について、2021年4月に香港の飲食企業と香港における「東京チカラめし」の出店に関するライセンス契約を締結し、同年6月に1号店を出店いたしました。香港1号店が計画を大きく上回る業績であることから、香港2号店の出店時期を前倒して2021年9月下旬に出店をいたします。

 

ハ.新規事業の確立と展開

 当社は、事業構造を転換すること、及びコロナ禍においても収益を確保できる事業ポートフォリオを構築することを目的として、飲食事業以外においても収益の柱を構築いたします。

 当社は、2020年12月に沼津我入道漁業協同組合に加入し、組合員となったことから、当社既存直営店舗のみならず、他の外食事業者または小売事業者に法人営業を行うとともに、一般消費者に鮮魚の移動販売を行うなどし、沼津で水揚げされた近海物の鮮魚や加工品等を販売する等実績を積み重ねてまいりました。今後、中間マージンを最小化した価格競争力と飲食事業で蓄積した食材調達力等をかけ合わせて、沼津の鮮魚や加工品等をブランディングしていくことで付加価値を高め、販路の拡大に努めてまいります。

 当社は、実際に産地に入りこみ、地域の皆様(地元漁師や漁協その他水産事業者、地方自治体等)の役に立ち、還元していくという取り組みを行っており、これにより地域が再活性化していくことを目指しております。そうすることで、結果として、当社既存事業とのシナジー効果が最大化されるものと考え、水産事業における3次産業企業側からの6次産業化モデルの構築を進めております。

 

ニ.コストの削減

 全社的な取り組みとして、前事業年度より引き続きコストの見直し及び削減をより強力に進めてまいります。

主な取り組みといたしましては、ITシステムの入替によって業務の大幅な省力化を実現することで、人件費等をなお一層極小化いたします。さらに本社費用の極小化等、様々な施策によりコストを削減いたします。

 

2.財務基盤の強化

イ.資本注入

 2021年5月に新株式(2021年6月14日3億円払込完了)及び第4回新株予約権の発行決議を行いました。事業構造の改革を進め、IR活動の強化に積極的に取り組むことで新株予約権行使を促進し資本注入を図ることで運転資金、新規出店資金、及び新規事業資金等に充当してまいります。

 

ロ.金融機関との関係強化

 事業構造の改革について営業収支の改善効果が現れるには一定の時間を要することから、キャッシュ・ポジションの改善を図るため、2020年7月に政府が実施する新型コロナウイルス感染症特別貸付による調達を行い、さらに2021年6月に資本性劣後ローンへ借換えを行いました。資本性劣後ローンは、返済順位の劣後性により金融機関からは資本とみなされ財務の安定化が図られ、金融機関からの調達を促進します。今後も安定した運転資金を機動的に調達できることを目的として金融機関との関係強化に努めてまいります。

 

 以上のように、当事業年度において進める構造改革の効果が経常的に見込まれることから、収益改善及び財務基盤の強化が図られ、これによって安定的に営業収支が改善する見込みであります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度(2020年7月1日~2021年6月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的として、2020年4月に政府による緊急事態宣言が発出されて以降、当事業年度にかけて経済活動が大きく抑制されました。また、政府及び地方自治体は、感染症拡大に伴い同宣言及びまん延防止等重点措置を繰り返し発出するものの、感染者数は依然として拡大しており、引き続き景気動向は不透明な状況が見込まれます。

外食産業におきましても、コロナ禍において、店舗の臨時休業や営業時間の短縮、酒類の提供自粛等が求められており、来店客数が大幅に減少しております。とりわけ、都心・繁華街立地の総合型居酒屋は長期間にわたり休業せざるを得ない状況が続いており、厳しい経営環境が続いております。

当社は、社会的責任を果たすべく、お客様・従業員の安全を第一に考え、各自治体からの営業時間の短縮及び酒類の提供自粛に係る要請に従うとともに、従業員に対して感染予防策の周知を行い、出勤前の検温・体調チェック、適切な手洗い、勤務時のマスク着用等を励行いたしました。また、アルコール消毒液による店内消毒、扉や窓の開放や換気設備による定期的な換気を行い、社会的距離(ソーシャルディスタンス)を確保した配席を行う等、3密を避けた運営に取り組んでまいりました。また、「新しい生活様式」に対応すべく既存店舗の厨房設備を活用したデリバリーサービスの拡大、ランチ時間帯の営業を強化する等、店舗の活用方法の幅を広げてまいりました。さらに当社ブランドである「焼肉万里」がプロデュースする焼肉弁当を百貨店の食料品売場において販売する等テイクアウトニーズに対応する取り組みを行いました。

このような状況の中、当社は、お客様の価値観や行動様式、ニーズが大きく変化する転換期であると認識し、大胆な変革を行う絶好の機会であると捉え、以下のとおりダイナミックな事業構造の転換に取り組みました。

 

イ.かつて当社の強みであった首都圏駅前一等立地がいまや弱みになっていることから、一昨年来、大型・空中階及び地下階の店舗を中心とする高固定費型店舗の大規模閉店を推し進めてまいりました。なお、閉店に伴い回収した差入保証金は、主として運転資金に充当いたしました。

 

ロ.テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の消費行動の中心は都市部一極集中から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定されます。「アカマル屋」「焼肉万里」は、郊外に位置する中小型店舗であり、コロナ禍においても、お客様から一定の支持をいただいております。とりわけ「アカマル屋」は、低投資かつ高効率モデルのブランドであり、引き続きブランドの磨き上げを行い、慎重に商圏及び立地条件を見極めたうえで出店してまいります。

 

ハ.大きな固定投資を伴わない官公庁や温浴施設等を中心とする飲食施設の運営受託事業を拡大するとともに、弁当等の中食事業や自社運営サイト「ひとま」(https://hitoma-tuhan.com/ 旧名称:通販SHOP金の蔵)他EC通販事業等の拡大に努めてまいりました。上記の取り組みの結果、当事業年度末における直営実店舗50店舗のうち運営受託店舗は21店舗まで拡大し、およそ4割を占める割合となりました。

  また、当社は、「東京チカラめし」について、2021年4月に香港の飲食企業である千源集團有限公司(本社:香港九龍尖沙咀赫德道8號15樓F 代表:黃治偉)と香港における「東京チカラめし」の出店に関するライセンス契約を締結し、同年6月に1号店を出店いたしました。香港1号店は現地において連日行列ができる店舗となっており、予定を大幅に繰り上げ、2021年9月下旬に香港2号店を出店することとなりました。

 

当事業年度における出退店につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響の変化を個店ごとに慎重に見極め、店舗収益の回復に相当程度時間を要すると判断した店舗を中心に、直営店舗36店舗及び運営受託店舗3店舗の閉店を実施いたしました。また、フランチャイズ店2店舗が閉店いたしました。既存業態の新規出店については、キャッシュ・フローを最重要視し、当初計画していた出店を一時見送ることといたしました。他方で、大きな投資を必要としない運営受託事業については、11店舗を新たに受託いたしました。新規業態については、水産事業プロジェクトの取り組みによる3店舗(業態変更2店舗を含む)を出店いたしました。これにより当事業年度末における店舗数は、直営店29店舗、運営受託店21店舗、フランチャイズ店4店舗となりました。

 

資金面については、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が長期化するリスクに備えて、2020年7月に政府が実施するコロナ対応緊急対策融資により2億円を調達いたしました。また、2021年5月に新株式(2021年6月14日3億円払込完了)及び第4回新株予約権の発行決議を行い創業家等に割り当て、運転資金、新規出店資金、新規事業資金及び事業提携・M&A資金に充当してまいります。

 

以上により、売上高は21億2百万円(前期比71.6%減)、営業損失は17億47百万円(前期は営業損失20億9百万円)、経常損失は14億26百万円(前期は経常損失19億98百万円)、当期純損失は18億17百万円(前期は当期純損失27億13百万円)となりました。

 

当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて52.0%減少し、21億83百万円となりました。流動資産は前事業年度末に比べて42.7%減少し、13億15百万円となりました。これは主に現金及び預金が7億12百万円減少したことによるものであります。固定資産は前事業年度末に比べて61.5%減少し8億67百万円となりました。これは主に差入保証金が10億79百万円減少したことによるものであります。

流動負債は前事業年度末と比べて53.8%減少し、7億98百万円となりました。固定負債は前事業年度末に比べて9.1%増加し、8億95百万円となりました。

純資産合計は前事業年度末に比べて75.6%減少し、4億88百万円となりました。これは主に当期純損失が18億17百万円発生したことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて2億12百万円減少し、9億22百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況につきましては次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果支出した資金は、17億80百万円(前年同期は17億99百万円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失を18億12百万円計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、10億61百万円の収入(前年同期は9億99百万円の収入)となりました。これは、主に差入保証金の回収により10億70百万円の収入があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、5億7百万円の収入(前年同期は5億14百万円の収入)となりました。これは主に、新株式の発行により2億99百万円及び長期借入金の調達により2億円の収入があったことによるものです。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2019年6月

2020年6月

2021年6月

自己資本比率(%)

61.7

43.9

22.0

時価ベースの自己資本比率(%)

83.2

120.0

217.2

債務償還年数(年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

 

 上記指標の算出方法は、以下のとおりであります。

 自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

(株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。)

 債務償還年数 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

各指標は、いずれも財務数値により計算しております。

 債務償還年数とインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため表示しておりません。

 

(3)販売実績

業態別

第45期

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

前年同期比(%)

アカマル屋

392百万円

51.0

焼肉万里

242

87.4

金の蔵

671

16.0

運営受託

295

221.8

その他

500

24.9

合計

2,102

28.4

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 当社は、単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略し、業態別に記載しております。

 

(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積りや判断を行っております。しかし、見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度における当社の経営成績は、売上高につきましては、前年同期比71.6%減少し、21億2百万円になりました。この主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う伴う緊急事態宣言の発令や各自治体からの営業時間短縮要請を受け、営業時間の短縮及び臨時休業等の対応、影響が長期化した場合を想定し、直営店36店舗、運営受託店3店舗及びフランチャイズ店2店舗を閉店し不採算店舗の整理は概ね完了し低コストの店舗運営体質となり本社費用の極小化等の様々な施策によりコストを削減しましたが、営業損失は17億47百万円(前期は営業損失20億9百万円)となりました。経常損失は14億26百万円(前期は経常損失19億98百万円)、当期純損失は18億17百万円(前期は当期純損失27億13百万円)となりました。

 

③ 財政状態の分析

当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ23億63百万円減少し、21億83百万円となりました。

当事業年度末における流動資産は13億15百万円となり、前事業年度末に比べ9億78百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が7億12百万円減少したことによるものであります。当事業年度末における固定資産は8億67百万円となり、前事業年度末に比べ13億85百万円減少いたしました。これは主に差入保証金が10億79百万円減少したことによるものであります。

当事業年度末における流動負債は7億98百万円となり、前事業年度末に比べ9億29百万円減少いたしました。当事業年度末における固定負債は8億95百万円となり、前事業年度末に比べ74百万円減少いたしました。

当事業年度末における純資産は4億88百万円となり、前事業年度末に比べ15億8百万円減少いたしました。

これは、主に当期純損失18億17百万円によるものであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資金の源泉は主に、「現金及び現金同等物」と「営業活動によるキャッシュ・フロー」であります。

一方、当社の主な運転資金需要は、当社販売商品に係る原材料費、店舗運営に係る人件費及び店舗オーナーへの支払賃借料等であり、主な設備投資需要は、新規出店、店舗改修に係る投資資金であります。
 したがいまして、運転資金と設備投資資金については、営業キャッシュ・フローで充当しております。

なお、詳細は「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。