文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、企業理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現に向けて、付加価値の高いIP(知的財産)を取得・保有・創出し、その多元展開によって商業的に価値の高いコンテンツを育成しています。さらに、IPを起点にしてエンタテインメント分野に事業領域を拡大し、各分野において世の中の人々を豊かにする商品やサービスの提供に努めています。
当社グループでは、「円谷フィールズホールディングス株式会社」による持株会社体制のもと、グローバルコンテンツビジネスを推進しグループの成長力をけん引する「コンテンツ&デジタル事業」と、パチンコ・パチスロのディストリビューターとしてグループの収益力を担う「アミューズメント機器事業」、2つの事業セグメントによるグループ事業構造を採用しています。
これら事業展開と併せて、経営の基本方針である「株主重視」の姿勢を堅持し、企業価値の向上と株主への利益還元を図るために、経営資源の最適配分を目指していきます。
(2)会社の対処すべき課題
当社グループは、グローバルコンテンツビジネスの確立を経営課題とし、「コンテンツ&デジタル事業」および「アミューズメント機器事業」において“商品×流通”を共通の取り組みとして強化・推進して参ります。

各事業におけるミッションを確実に遂行・達成するため、経営体制についても財務とガバナンスの両面から強化を図って参ります。
財務面では、財務体質の健全化のバランスを確保しながら、創出する営業キャッシュ・フローを主に各事業領域でのIPの多面的な活用等の戦略的な成長投資と株主の皆様に報いる株主還元に最適配分し、資本効率の向上を目指して参ります。
ガバナンス面では、グループ企業価値の最大化を図るべく、グローバルスタンダードに則ったガバナンス体制の整備・強化を進めて参ります。取締役会の諮問機関として、既にグループ指名・報酬委員会ならびにグループサステナビリティ委員会を設置しており、次期には監査等委員会設置会社へ移行致します。これらは「監督と執行の分離」の観点から、当社事業ならびに社会の持続可能性に資するリスクマネジメント、機会の発見に係る取り組みを体系化する役割を担っています。これら経営基盤の強化を通じて、中長期的な企業価値の創出に向けた取り組みを深化させて参ります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは『ウルトラマン』をはじめ多数の IP(知的財産)を保有する(株)円谷プロダクションを中心に、グローバルに通用するIPの創造と育成、デジタルビジネスへの事業投資を戦略的に進める「コンテンツ&デジタル事業」と、フィールズ(株)を中核に様々なIPを活用した遊技機の企画開発・流通やパーラー向け周辺設備機器の販売・工事等を通じ、業界への貢献を目指す「アミューズメント機器事業」を軸に事業を推進しています。
私たち円谷フィールズホールディングスは、上述した経営体制のもと、「すべての人に最高の余暇を」のグループ経営理念に基づき各事業が中期事業計画を策定、その実現に向けて取り組んでいます。詳細につきましては、当社IRサイトに掲載している「グループ成長戦略」をご覧ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものとなります。
(1)サステナビリティ全般に関する事項
基本的な考え方
当社グループは、グループ共通の企業理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現を使命としています。社会の成熟に伴い人々の人生における余暇の重要性が高まる中、当社グループは、新しい商品・サービスの提供を通じて人々の娯楽や余暇を豊かにし、ひいては社会全体の幸せにつなげて行きたいと考えています。
当社グループが持続的(サステナブル)な成長を果たすために、人類社会全体の持続可能性(サステナビリティ)は不可欠の前提であり、様々な社会課題への取組は、企業としての義務であると同時に価値創造を促進するものと捉えております。このため当社グループでは、サステナビリティに関する諸課題を、経営における重要なテーマに位置づけ、関連するリスクおよび機会を適切に把握・評価し、統合的にコントロールして経営戦略に反映し、さらなる価値の創出を目指していきます。
すべてのステークホルダーに対して「すべての人に最高の余暇を」を実現する、当社グループならではのサステナビリティ経営に総力で取り組んで参ります。
サステナビリティの推進体制
ガバナンス
当社グループは、取締役グループCFOを委員長とし、各事業セグメントの担当取締役・執行役員およびリスク管理や組織・人材、コミュニケーション戦略の領域でスキルを有する社外取締役によって構成されるグループサステナビリティ委員会(以下、「サステナビリティ委員会」という。)を設置しました。本委員会は、取締役会の諮問機関として、サステナビリティに関する取組についての総合的な監督および推進を行うとともに、執行責任者である代表取締役社長グループCEOに対しても、サステナビリティ経営の推進にかかる業務執行上の助言を行います。サステナビリティ委員会では、テーマごとに分科会を設置し、適切な審議を行っています。
サステナビリティ委員会は、その分科会を含め、四半期ごとおよび必要に応じて都度に開催し、気候変動や人的資本関連等のサステナビリティに関するリスク・機会の評価、事業に関連するリスク、対応方針、目標設定等について協議・審議します。委員会での議論内容や決定事項は、年に2回以上取締役会へ報告され、取締役会が必要に応じて審議・決議を行うことで、適切な監督体制を確保します。
また、サステナビリティに関するグループ内での業務執行全般を推進・支援するための部署として、サステナビリティ推進課が上記サステナビリティ委員会の事務局機能や、サステナビリティに関する業務を担っています。

リスク管理
当社グループは、事業の持続的な発展を支えるために包括的なリスク管理体制を構築し、経営に影響を及ぼすリスクの特定・評価・対応を行っています。 サステナビリティ委員会の中にリスクマネジメント分科会を設置し、サステナビリティに関するリスクを含む経営上のリスクマネジメントを統合的に行っています。また、重要事項についてはサステナビリティ委員会から取締役会に対して報告を行い、取締役会による監督・指導を行う体制を整えています。
当社グループが管理するリスクには、市場環境の変化、法規制対応、デジタルセキュリティ、地政学的リスク、自然災害、事業継続性に関するリスク等が含まれます。気候変動に関するリスクは、企業の持続可能性に大きな影響を与える重要なリスクと認識し、適切な対応を進めています。
サステナビリティに関するリスクおよび機会については、サステナビリティ推進課およびグループ各社のサステナビリティ担当者が、関連するリスク・機会について情報収集、認識および評価を行った上で、サステナビリティ委員会に対して報告しています。また、サステナビリティ委員会は上記の報告に基づき、グループにおけるリスク管理および機会への対応について監督するとともに、取締役会に対して提案・助言および報告を行います。また必要に応じて代表取締役社長グループ CEOおよび委員会メンバーではない主要な執行役員に対しても、相談・助言を行います。
戦略・マテリアリティ
当社グループでは、サステナビリティに関する当社グループと社会の関わり、すなわち当社グループの事業が社会にもたらしうる好影響・悪影響と、社会の変化・メガトレンドから当社グループにもたらすリスクおよび機会について整理した上で、それらに適切に対処しつつ、当社グループの目指す姿であるグループ経営理念の達成および経営計画の達成のために取り組むべき重要な経営課題=マテリアリティを特定いたしました。
マテリアリティについては、上記のサステナビリティに関するガバナンス・リスク管理体制の中でその進捗について管理・監督を行うとともに、社会環境の変化や当社グループにおける状況を基に、課題が大きく変わったと判断されるときには、マテリアリティの見直しを行います。
(2)気候変動に関する事項
1. 基本的な考え方
気候変動の進行は、地球規模の課題として経済や社会に深刻な影響を与えており、各国政府や企業は温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた対策を加速させています。 また、再生可能エネルギーの導入拡大や脱炭素に向けた技術革新が求められる一方、異常気象や海面上昇等の物理的リスクが事業活動に及ぼす影響も年々大きくなっています。
こうした環境の変化を受け、当社グループでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、気候変動が事業に与えるリスクと機会を適切に分析・評価する体制を強化しています。これにより、気候変動リスクと機会を事業戦略に統合し、持続的な事業利益の創出と社会からの評価向上を実現することを目指します。今後も、TCFD提言に基づく情報開示の充実を図るとともに、環境負荷を低減した持続可能な事業運営を推進して参ります。
2. ガバナンス
当社グループでは、社会・環境に配慮した事業運営を経営の最優先事項の一つと位置付け、気候変動におけるリスクと機会の管理を、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心に推進して参ります。
また、サステナビリティ委員会のもとにサステナビリティ推進課およびグループ各社にサステナビリティ担当者を設置しています。サステナビリティ推進課およびグループ各社のサステナビリティ担当者が具体的な施策の立案・推進・管理を行い、その内容をサステナビリティ委員会へ報告します。サステナビリティ委員会が気候変動に関する事項や取組について定期的にモニタリングし監督することで、継続的な改善を行っています。今後も、気候変動課題への対応を強化し、持続可能な事業運営を推進して参ります。
3. 戦略
シナリオ分析方法
当社グループは、気候変動がもたらす事業リスクと成長機会を的確に把握し、持続可能な成長を実現するために、TCFD提言に基づくシナリオ分析を実施しています。今回の分析では、「コンテンツ&デジタル事業」と「アミューズメント機器事業」の2事業を対象とし、気候変動の進行や脱炭素政策が当社グループの事業環境に及ぼす影響を評価しました。
シナリオ分析においては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つを採用しました。1.5℃シナリオでは、炭素税の導入強化やエネルギーコストの上昇等、脱炭素化への移行リスクが事業活動に与える影響を評価しました。一方、4℃シナリオでは、気温上昇による異常気象の増加やインフラ被害等、物理的リスクが事業運営に及ぼす影響を分析しました。
この分析には、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とIEA(国際エネルギー機関)のシナリオを活用し、2030年時点の影響を想定しました。今後も、気候変動に関するリスク・機会の評価を継続し、持続可能な事業活動を推進するとともに、ステークホルダーの皆様に対して透明性のある情報開示を行って参ります。
シナリオ分析結果
コンテンツ&デジタル事業
1.5℃シナリオでは、環境への配慮に関する要請が高まり、炭素税導入や排出量取引が活発化することが予測されます。企業として環境への取組を進めなければ大きなリスク(企業の信用度やブランド価値の毀損等)があります。4℃シナリオでは、気候変動が甚大化することにより、台風・大雨や酷暑で外出機会が減少すると想定されます。結果として、物販やイベントの営業機会を損失するリスクがある一方、デジタルコンテンツや屋内・オンラインイベントの需要は増加すると見込んでいます。
※ 2030年のセグメント営業利益予測に対して
小:財務への影響が3%未満
中:財務への影響が3%以上10%未満
大:財務への影響が10%以上
アミューズメント機器事業
1.5℃シナリオでは、環境への配慮に関する要請が高まり、炭素税導入や排出量取引が活発化することが予測されます。遊技機においても、省エネ・リサイクルに対応した製品の開発への要求が高まることが想定されます。4℃シナリオでは、気候変動の甚大化により、製造拠点・営業拠点・店舗(パーラー)の物理リスクが高まることが想定されます。加えて、大雨・台風や酷暑により店舗集客・売上が減少し、取引先であるパーラーの購買力が低下する恐れがあります。自社においては、BCP強化等の物理リスク低減に努めつつ、パーラーに対しては、気候変動に適応した新たな運営形態・サービスの支援を行うことが考えられます。
※2030年のセグメント営業利益予測に対して
小:財務への影響が3%未満
中:財務への影響が3%以上10%未満
大:財務への影響が10%以上
4.リスク管理
気候変動に関するリスクは、企業の持続可能性に大きな影響を与える重要なリスクと認識し、適切な対応を進めています。
気候変動に関するリスクは、移行リスク(脱炭素社会への移行に伴う規制や市場の変化)と物理リスク(気温上昇や異常気象の影響)に分類し、サステナビリティ推進課において、リスクの特定・評価を行っています。リスクの特定・評価結果は、サステナビリティ委員会へ報告しています。必要に応じて、取締役会へも報告を行い、監督・指示を受ける体制を整えています。
また、当社グループはリスクのモニタリング体制を強化しており、リスクの発生状況や対策の進捗を定期的に評価し、必要に応じて施策を見直しながら改善を図っています。今後も、気候変動リスクへの対応を強化し、持続可能な事業運営の実現に向けた取組を進めて参ります。
5.気候変動に関する指標・目標
政府の掲げる2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、当社グループでも温室効果ガス排出量の削減に向けた取組を積極的に進めて参ります。当社グループの温室効果ガス排出量は下記のとおりです。目標については、今後のサステナビリティ委員会にて審議・決議を行って参ります。
(単位:t-CO2)
※Scope1について、2025年3月期は、円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクションの3社で使用する車両におけるガソリン消費量の総計に当連結会計年度末において入手可能な環境省の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」における排出係数を乗じることにより、算出しています。2024年3月期の数値は、昨年開示時点から収集範囲を拡大し、2025年3月期と同様の範囲で再計算した数値を記載しております。2023年3月期の数値は、円谷フィールズホールディングス、フィールズ(株)で使用する車両について算出しています。なお、ハイブリッド車の導入率向上等により、2025年3月期の排出量は前年比で減少しております。
※Scope2について、2025年3月期は円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクション他13社が入居する本社拠点、(株)円谷プロダクションの本社以外の4拠点、(株)デジタル・フロンティアのモーションキャプチャースタジオ、フィールズ(株)の支社支店及びショールーム(更新日時点で収集可能な範囲:12支店、1ショールーム)で使用する電気使用量の総計より算出しました。2024年3月期は昨年開示時点から収集範囲を拡大し、2025年3月期と同様の範囲で再計算した数値を記載しております。2023年3月期は、円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクション他13社が入居する本社拠点並びにフィールズ(株)の仙台支店、広島支店、福岡支店で使用する電気使用量の総計より算出しました。なお各拠点の電力消費量に、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「電気事業者別排出係数」における全国平均係数を乗じることにより、見積りの方法に基づきロケーション基準によるスコープ2温室効果ガス排出を測定しています。
※Scope3において、2025年3月期および2024年3月期の従業員の出張(カテゴリ6)および通勤(カテゴリ7)による排出量を新たに算出しています。カテゴリ6は、全国1年間の出張に係る交通費、宿泊費、パック旅行の参加費(観光庁『旅行・観光消費動向調査(2010年)』より引用)に、金額当たりの交通手段別排出原単位と宿泊の排出原単位を乗じ、排出量に換算した上で、全就業人口から排出原単位を算出し、従業員数(連結)に乗じることで算出しています。カテゴリ7は、円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアの従業員の交通区分別通勤費支給額から算出しています。
※温室効果ガス排出量データは、環境省の発表した係数をもとに当社が更新日現在において収集可能な範囲で算出した推定値であり、今後変更となる可能性があります。
(3)人的資本に関する事項
1. 基本的な考え方
当社グループでは、人的資本に関する取組について、社員一人ひとりが、仕事や会社生活を通じて、自己の望みや目標の実現を図ることができる会社であることを目指しています。働き方に対する価値観が変化する中、様々な背景を持った社員が高い意欲をもって働き、それぞれの能力を最大限に発揮することこそが、当社グループの中長期的な成長と社会貢献に繋がると考えています。
当社グループは、国内はもとより広く世界にエンタテインメントを届けるべく事業を推進しています。目まぐるしく変化する技術と環境に適応しながら、エンタテインメントを生み出し続ける人材は必要不可欠であり、その獲得と育成、働く環境の整備を重要視しています。
2. 人的資本に関するガバナンス・リスク管理体制
サステナビリティ委員会を中心とするサステナビリティに関するガバナンス体制の中で、人材育成方針および社内環境整備方針の見直しや、人権方針等の重要な方針の検討および人的資本に関する取組の進捗確認を行い、年2回以上取締役会に対しその状況について報告を行います。
3. 経営戦略を踏まえた人的資本に関する戦略・方針
全社および各事業の戦略を踏まえ、当社グループでは、人的資本に関する重点取組事項として①戦略を実現するための機能・組織の拡充と人材配置、②人材の確保・育成、③従業員が仕事に対し高い意欲を維持できる状態の実現に向けた環境整備の3テーマについて、積極的に取組を強化しています。
戦略実現のための機能・組織の拡充と人材配置
・コンテンツ&デジタル事業、アミューズメント機器事業、全社部門それぞれにおいて、戦略の実現に必要な組織・機能の特定と拡充・新設
・戦略の実現に必要となる重点領域(グローバル事業統括、新商品開発等)に対する積極的な人材配分およびリーダー人材の配置
人材の確保・育成
・戦略の実現や成長を実現するために必要なタレント(クリエイティブ人材、グローバル人材等)の採用・育成
・中期経営計画における目標達成のために必要な生産性および要員数の確保
従業員が仕事に対し高い意欲を維持できる状態の実現
・高い意欲をもって働くことのできる環境・制度の充実
・多様な人材・価値観を活用するための環境整備の促進
・コンプライアンス・ハラスメント対策、人権等への対応
4.人的資本に関する具体的な取組方針
<人材育成方針>
上述の重点取組事項の考え方に基づき、戦略実現のための機能・組織の充実、そのための人材配置の実行、および人材の確保・育成に取り組んで参ります。
コンテンツ&デジタル事業
・グローバルにおける事業拠点の整備:グローバルにおける売上高の拡大に向け、サプライチェーン確保のため、海外現地法人を設置しています。今後、グローバル人材を育成し、配置することで機能強化を進めて参ります。
・B2B2CおよびD2C事業部門の強化:これまで、ライセンス提供によるB2B中心のビジネスを展開していましたが、今後、B2B2CおよびD2Cビジネスの展開を進めるため、B2B2C向けの自社事業の先駆けとしてカード事業部門を立ち上げています。今後、B2B2CおよびD2C向けの自社商品企画・展開を促進するため、商品企画・開発人材を確保・育成し、B2B2CおよびD2C部門の強化を図って参ります。その他、商品展開と連動し、CRM(顧客関係管理)を活用したマーケティングを進めるための人材の確保・育成を行って参ります。
アミューズメント機器事業
・新製品の開発機能の強化:IPを活用したより魅力的な新製品の開発機能を強化するため、コンテンツ・製品の開発人材の確保・育成を進めています。また、それを担う人材の報酬制度を見直し、成果に対して正当な評価をもって報いる制度を導入する等、戦略上の目的達成に向け、制度面での対応も行っています。
・関係会社を含めた統合のための制度改定:関係会社の機能をグループ全体で活用・統合し、新製品の開発機能の強化や、より魅力的な遊技空間のアイデアの創出力や提案力の強化を実現するため、主要子会社人材を事業中核会社であるフィールズ所属とし、人事面での処遇等も統合する等の人事制度の改訂を進めています。
全社・ホールディングス
・サステナビリティに関する推進体制の整備:サステナビリティの取組をグループ全体として推進するための体制を構築しました。サステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティに関する取組を管理・監督しています。また、全社におけるサステナビリティ関連業務を担当する部署としてサステナビリティ推進課を設置しています。グループ各社においても、サステナビリティ担当者を置き、ホールディングスと連携してサステナビリティ経営を推進しています。
人材の確保と育成に向けた取組
グループ共通の企業理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現のため、当社グループは社員一人ひとりが、仕事や会社生活を通じて、自己の望みや目標の実現を図れる会社であることを目指しています。働き方に対する価値観が変化する中、様々な背景を持った社員が高い意欲をもって働き、それぞれの能力を最大限に発揮することこそが、当社グループの中長期的な成長と社会貢献につながると考えています。
また、グループの中長期的な成長の実現、中期経営計画の達成という観点で重要な人的資本について精査し、必要なスキル・タレントを持った人材について、採用・育成を行っていくことを計画しています。
現在の教育・研修制度としては、新入社員を対象に、社会人として欠かせないマナーや、ビジネスの基礎、会社理解等様々なカリキュラムを手厚く実施する1カ月程度の入社後社員研修と1~2日程度の入社半年後研修を実施しています。また職位・階層別研修と職種別研修を不定期に行っています。
<社内環境整備方針>
グループ共通の企業理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現のため、社内においても多様な背景・価値観を持った人材が活躍し、高い意欲をもって働くことのできる社内環境・制度を整備していくとともに、人種、宗教、性別、国籍、年齢、性的指向、障がい等に関係なく、能力や実績を重視した新卒・キャリア人材の活用を積極的に行っています。
従業員の多様な働き方へのニーズに応えるための取組
近年の労働環境の変化を踏まえ、あらゆる従業員が活躍できるよう、育児休業を取りやすくするための社内制度整備、介護休業に関する制度等の整備を行うことで、多様な背景・価値観を持った人材がそれぞれの働き方やライフステージ、事情に合わせて活躍できるような体制を整備しています。
多様な人材の活躍に向けた取組
グループで働くすべての従業員が高い意欲をもって働くことのできる環境を整え、多様な背景・価値観を持った人材が活躍し、能力を発揮することが重要であると捉え、そのための制度の整備を行っています。また、すべての部門・グループ会社が同じ理念に向けて連携し、進んでいく土台となるべく、透明性が高く、社員それぞれの努力に報いることができることを重視した給与・資格等級・目標管理制度を設けています。
また、障がいのある方々へ働きやすい環境を整備し、就業機会を提供することを目的とした沖縄事務センターの開設をはじめとした多様な人材の活躍を支援する取組等も行っています。
労働安全衛生に関する方針
従業員の心身の健康を維持するため、グループとして安全衛生管理規程を策定し、労働安全衛生とメンタルヘルス、健康保持増進について遵守すべき事項を規定するとともに、必要な措置を行っています。
上記を実施するための体制として、各事業所の事業の種類および人数に応じて総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、産業医、安全衛生委員会または衛生委員会を置き、法令に基づいた必要な職務を行っています。また、専門のカウンセラーによるメンタルケアの実践を目的とした健康相談窓口の常設の他、産業医・専門医・カウンセラー・弁護士・社労士等の社外リソースとネットワークを構築して幅広く対応するための体制を整備しています。
具体的な取組としては、安全衛生委員会において会社、複数の従業員、産業医で構成された委員会メンバーによる定期的な労働安全衛生に関する話し合いを毎月1回以上行い、その内容を社内ポータル(イントラネット)上で従業員に報告しています。また、産業医や専門クリニックと連携のもと、従業員およびそのご家族の心身の健康保持・増進に向けた取組を行っています。
5.人的資本に関する指標と目標
以下のデータについて、集計範囲は記載のとおりです。なお、それぞれの指標に対する目標については、各社の現状や人的資本への取組状況を踏まえ、サステナビリティ委員会にて審議・決議する予定です。
① 人材育成方針関連
以下のデータについて、集計範囲は連結となります。
② 社内環境整備方針関連
以下のデータについて、集計範囲は円谷フィールズホールディングス(株)となります。
当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクは以下のとおりです。また、以下に記載したリスク以外でも当社グループの想定を超えたリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営全般について
(2) アミューズメント機器事業を取り巻く法的規制、市場環境について
当社グループが手掛ける遊技機の企画・開発および販売においては、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」および国家公安委員会規則「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」等、法的規制の厳正な運用が求められます。これら法的規制等に重大な変更が生じた際には、当社グループの遊技機販売や経営成績等に影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは、様々な法的規制・基準に則った遊技機を厳正に運用することで、業界の健全な発展に向けた取り組みを推進しています。また、全国の営業ネットワークを活用した徹底的なマーケティングにより、世の中の潜在ニーズを的確に把握し、お客様が待ち望む商品やサービスの実現に取り組んでいます。
(3)コンテンツ&デジタル事業の海外展開について
当社グループでは、「ウルトラマン」等のIPを保有する(株)円谷プロダクションを中心としたグローバルコンテンツビジネスを推進しています。
コンテンツの海外展開においては、不安定な政情や経済情勢の不確実性といった地政学リスクに加え、各種コンテンツの表現に対する言語、文化、商慣習の相違に基づくリスクや、法的規制の変更に基づくリスク、模倣品の販売をはじめとする知的財産権の被侵害等のリスク、ネットワーク等ITインフラに関わるリスク等が考えられます。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクへの対応策として、当社グループでは、海外子会社や現地代理店との情報共有を密にし、各国の市場動向を把握しながら事業を行っています。また、知的財産権に関するリスクについては、法的措置を前提に毅然とした対応を行うとともに、模倣品対策の強化を継続的に講じていきます。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは、「すべての人に最高の余暇を」という企業理念を掲げています。この実現に向けて、人々の心を豊かにする商品やサービスの企画、開発、提供に努め、持続的成長を目指しています。
当期(2024年4月‐2025年3月)においては、成長力と収益力を両輪とし、株主価値向上に取り組んで参りました。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
流動資産は、69,841百万円と前連結会計年度末比4,992百万円の増加となりました。これは主に仕掛品の増加によるものです。
有形固定資産は、10,230百万円と前連結会計年度末比1,089百万円の増加となりました。これは主に工具、器具及び備品の増加および土地の増加によるものです。
無形固定資産は、2,116百万円と前連結会計年度末比286百万円の減少となりました。これは主にのれんの減少によるものです。
投資その他の資産は、16,765百万円と前連結会計年度末比5,233百万円の減少となりました。これは主に投資有価証券の減少によるものです。
以上の結果、資産の部は98,953百万円と前連結会計年度末比561百万円の増加となりました。
流動負債は、26,770百万円と前連結会計年度末比3,852百万円の減少となりました。これは主に仕入債務の増加および短期借入金の減少によるものです。
固定負債は、15,935百万円と前連結会計年度末比4,160百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加によるものです。
以上の結果、負債の部は42,706百万円と前連結会計年度末比307百万円の増加となりました。
純資産の部は、56,247百万円と前連結会計年度末比254百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加および非支配株主持分の減少によるものです。
当連結会計年度の連結業績は、売上高140,581百万円(前期比0.9%減)、営業利益15,295百万円(同29.3%増)、経常利益16,462百万円(同27.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11,158百万円(同4.6%減)となりました。
各事業セグメントの概況は、以下のとおりです。
なお、当連結会計年度より、従来「PS事業」としていたセグメント名称を「アミューズメント機器事業」に変更しています。
コンテンツ&デジタル事業セグメント
(株)円谷プロダクションは、2024年5月に発表した「5ヵ年中期経営計画」における初年度のミッションとして、当期は海外拠点の構築とそれによる新たな流通の開拓、事業推進の中核を担う人材の強化に取り組みました。
当期におけるライセンス、MD(物販)、映像・イベント収入の合計は11,165百万円(前期比13.5%増)となりました。カテゴリ別の内訳は以下の通りです。
<ライセンス収入:6,836百万円(前期比11.6%増)> (単位:百万円)
中国において、ブロック玩具、低価格帯玩具、文具、アパレル、日用生活雑貨等の販売が好調に推移し、ライセンス収入の増加を牽引しました。
<MD(物販)収入:1,395百万円(前期比211.5%増)> (単位:百万円)
従来の自社企画商品に加え、新たに『ウルトラマン カードゲーム』を下半期に2回グローバルに商品展開したことにより、MD(物販)収入が増加しました。『ウルトラマン カードゲーム』は今後四半期毎に新商品を投入して参ります。
<映像・イベント収入:2,933百万円(前期比10.1%減)> (単位:百万円)
前期に開催されたファン向け大型イベント『ツブラヤコンベンション』関連収入の反動減により、当期の映像・イベント収入は減少しました。
(株)デジタル・フロンティアは、最先端テクノロジーを活かした映像制作を武器にNetflix作品『シティーハンター』等におけるVFX制作の他、大型アニメ映画やゲームソフト用オープニングムービー制作の受託開発が順調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度におけるコンテンツ&デジタル事業セグメントの売上高は16,410百万円(前期比7.0%増)となりました。費用面ではカードゲーム事業の立ち上げに伴うTVCM等の一時的な費用に約10億円を投じたことに加え、海外拠点の構築、商品開発や流通網強化のための人材確保等に取り組みました。この結果、営業利益は2,835百万円(同25.0%減)となりました。
アミューズメント機器事業セグメント
当事業セグメントでは、当期よりパーラー向け機器設置工事のリーディングカンパニーである(株)エース電研が当社グループに加わり、フィールズ(株)による遊技機販売のみならず周辺設備機器・工事等の新たな事業領域へとサービスの幅を拡げ、業界の発展に一層貢献するアミューズメント機器事業としての経営基盤を確立しました。
当期におきましては、上半期に新紙幣発行対応でパーラーの新台購買力が下期に集中することを予測し、フィールズ(株)では下半期に有力商品を投入しました。この結果、『L 東京喰種』をはじめとする有力IPを搭載した複数のパチスロ機が市場で高い評価を獲得し、利益に大きく貢献しました。また、(株)エース電研の業績も好調に推移したことから、期初に計画していたラインナップのうち複数機種の販売を翌第1四半期に持ち越し、ブラッシュアップを行いました。これにより、売上高は計画に対し減少したものの、営業利益は計画を上回りました。なお、翌第1四半期に持ち越した遊技機はすべての販売を計画通り終了しています。
以上の結果、当連結会計年度におけるアミューズメント機器事業セグメントの売上高は123,092百万円(前期比2.0%減)、営業利益は15,277百万円(同46.7%増)となりました。
[遊技機販売台数及び主な販売タイトル]
その他事業
その他事業の当連結会計年度の業績は、売上高1,682百万円、営業利益5百万円となりました。
(注1)本報告書に記載の数値は各社・各団体の公表値または当社推計によるものです。
(注2)本報告書に記載の商品名は各社の商標または登録商標です。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,959百万円減少し、30,854百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、7,779百万円(前年同期は5,563百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益16,252百万円、棚卸資産の増加5,679百万円、法人税等の支払額4,542百万円、売上債権の増加3,050百万円、仕入債務の増加1,704百万円、減価償却費1,180百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、1,100百万円(前年同期は4,101百万円の支出)となりました。これは主に持分法適用関連会社株式売却による収入2,416百万円、固定資産の取得による支出1,390百万円、貸付けによる支出388百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、13,520百万円(前年同期は3,145百万円の支出)となりました。これは主に自己株式の取得による支出6,310百万円、長期借入れによる収入6,280百万円、短期借入金の減少額5,100百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出3,037百万円、長期借入金の返済による支出2,961百万円、配当金の支払額2,615百万円によるものです。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.金額は、製造原価によっています。
3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主にアミューズメント機器事業における遊技機生産の増加によるものです。
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主にアミューズメント機器事業における遊技機受注の増加によるものです。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。
当連結会計年度における商品仕入実績は、次のとおりです。
(注)1.金額は、仕入価格によっています。
2.当連結会計年度において、商品仕入実績に著しい変動がありました。これは主にアミューズメント機器事業における遊技機仕入の減少によるものです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、主要国における金融引き締め政策の影響が徐々に和らぎ、全体として回復に向けた動きが見られました。我が国経済においては、物価上昇はあるものの個人消費の回復や企業の設備投資の増加に加え、インバウンド需要を取り込んだ観光・エンタテインメント産業の活性化がみられました。特にアニメや映画、ゲームに代表される日本のコンテンツ産業は、革新的な技術とクリエイティビティによって世界中から高い評価を受けています。
このような環境下、当社グループは「すべての人に最高の余暇を」という企業理念のもと、持続的成長と長期的な企業価値創出の実現に向けた歩みを着実に進めました。
コンテンツ&デジタル事業では、2024年5月に発表した「5ヵ年中期経営計画」における初年度のミッションを遂行しました。また、グローバルECの加速に向けて準備を進めてきたアリババ株式会社との業務提携が大筋合意しました。
アミューズメント機器事業では、有力IPを搭載した遊技機が市場で好評を博し、当期の業績を牽引しました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、運転資金および設備投資資金等です。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしています。
手許の運転資金につきましては、当社および一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っています。また、突発的な資金需要に対しては、当座貸越契約を締結し、流動性リスクに備えています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
フィールズ株式会社(連結子会社)
該当事項はありません。