第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの経営理念は、「コスモス薬品の店があることで、その地域の日常の暮らしが豊かになることを目指します」としております。
 忙しい現代人にとって、最も大切なものは時間であり、時間の節約こそが消費者最大のニーズと考えます。そこで当社グループは、日常生活で必ず必要となる消耗品を満載したドラッグストアを展開することによって、その地域の生活を便利で豊かなものとし、「地域生活者=お客様」の更なる満足を追求していくことを経営の基本方針としております。
 また、医薬品・化粧品の専門知識を有したスタッフが、お客様の相談に気軽に応じる「ライトカウンセリング」をはじめ、良い接客、清潔で整理整頓された売場の徹底など、人的なサービス強化に努め、温かくきめ細やかなサービスの提供により顧客満足度の向上を図ってまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

限られた経営資源を最大限に有効活用し、中長期的に総資産経常利益率を維持または向上させることを目標としております。積極的な新規出店を今後も継続して行いながら、少ない投資で最大限の利益を確保できる体制で、更なる飛躍を目指してまいります。 

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

流通小売業は、比較的大きな商圏を設定して規模の最大化を進めている企業が多い中で、当社では商圏人口1万人をターゲットとした店舗展開を行っております。自社競合を厭わずに自ら商圏を分割し、その小さな商圏内にお住まいの消費者にとって、日々の生活における最も便利な買い物の拠点となる店づくりを進めてまいります。
  当社のビジネスモデルは、日常生活の消耗品を主とした商品構成とし、来店頻度と買上点数を同時に追求したものであるため、商圏を小さく設定でき、出店候補地に窮することなく多店舗展開が可能です。今後このビジネスモデルの精度を更に高めながら、消耗品の販売市場において限定商圏での高占有率獲得に力を注いでまいります。
  出店の基本戦略は、“インクが染み出すように”徐々に出店エリアを拡大することとしております。なぜなら、エリアを面で制圧しながらそのエリアを徐々に広げることで、チェーンストアの強みを最大限に発揮できるからです。集客力のある店舗を高密度に集中出店しながらエリアを拡大することで、確実な成長が可能であると考えております。

また、調剤事業においてもシェア拡大を目指してまいります。今後、調剤市場は、集客力の高いドラッグストアが主役になると考えております。1店あたりの客数が多い当社は、調剤の分野でも大きな可能性を秘めております。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社グループは、積極的な店舗展開による更なる飛躍を目指しております。しかし、これを可能とするには、店舗運営のマネジメントレベルの向上が不可欠と考えます。これを実現するために、①人材教育、②マニュアルの整備、③コンピュータシステムの充実、この3つを重要課題と認識し組織改革に取り組んでまいります。

チェーンストアは、規模の拡大によって段階的な組織の再構築・情報システムの見直しが必要と考えます。今後も永続的な成長を実現するために、将来にわたってその時点の企業規模よりも常に先を見据えた組織・システムの構築を進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(基本方針)

当社グループは、「コスモス薬品の店があることで、その地域の暮らしが豊かになることを目指します」を経営理念として掲げております。

「豊かな暮らし」とは、「日常生活で必要なものがすぐに入手できる便利で快適な生活」であると定義しております。そして、地域の皆様に生活必需品を家の近くで・便利に・しかも安く販売することで、「豊かな暮らし」を提供したいと考えております。当社グループが運営する店舗が、電気や水道のように「地域の生活に欠かせない店」となり、「その地域の社会的インフラ」、「その地域のライフライン」として機能することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、ドラッグストア事業を通して企業としての社会的責任を果たすことはもちろんのこと、事業活動を行う上での環境負担低減、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けても貢献してまいります。

当社グループは、当社グループの事業活動との関係性が深い4つのマテリアリティをサステナビリティ重要課題と認識し、課題の解決に取り組んでまいります。

 

重要課題(マテリアリティ)

当社グループの指針

主な取り組み

すべての人に健康と福祉を

当社グループの従業員はもとより、店舗を展開する地域の皆様の「健康」および「豊かな生活」を支えることが当社グループの事業そのものと言えます。

・一般用医薬品・処方箋薬の販売

・従業員への健康や美容に関する専門知識の教育

・店頭での健康や暮らしの相談等の実施

働きがいも経済成長も

当社グループでは、従業員1人ひとりが仕事を通して「人間としての成長」を目指し、目標を達成したときに味わう達成感を仲間と共に分かち合い、グループ全体で更なる成長を目指しています。

・性別や入社の経緯を問わず、やる気や能力による人事評価制度を採用

・従業員間で感謝を伝え合う「ありがとう」運動を実施

・自力出店、自力成長によって従業員が活躍できるポジションの創造

住み続けられるまちづくりを

当社グループは、日常生活の必需品が「近くで・便利に・しかも安く」購入できる店舗を展開することで、その地域の社会的インフラ・ライフラインとなることを目指しています。

・日常生活で使えばなくなる消耗品を満載した大型店舗を商圏人口1万人に1店出店

・ローコストオペレーションにより損益分岐点を引き下げることで、長期間安定的な店舗運営を実現

・地方都市でも安定的な雇用を創造

つくる責任つかう責任

当社グループの店舗で販売する商品は品質にこだわり、かつ、可能な限り低価格での販売を目指しています。また、環境負荷低減を意識した商品開発、店舗運営を目指しています。

・簡易梱包など環境負荷低減を考慮した商品開発

・廃棄ロスの削減

・レジ袋の使用削減、および、バイオマス配合比率90%のレジ袋採用

 

 

 

また、当社は気候変動への対応を重要な経営課題と認識し、TCFDの4つの開示項目(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標及び目標)に沿って、その取り組みを開示いたします。

 

(1)ガバナンス

当社グループは代表取締役社長自らサステナビリティ推進の責任者となり、経営企画部が推進の事務局を担っております。そして、経営企画部が関係各部署と連携してサステナビリティに関わる基本方針や各種取り組みの実施状況を監視・管理し、適宜取締役会にて報告及び審議を行っております。

 

(2)戦略

① 気候変動リスクについて

気候変動に伴うリスク及び機会は、GHG(温室効果ガス)排出に関する規制等の低炭素社会への「移行」に起因するものと、気候災害の激甚化等の気候変動による「物理的」変化に起因するものが考えられます。当社グループでは、これらのリスクや機会を下記のように分類・評価し、事業戦略への影響度を分析しております。

 

分類

評       価

移行リスク

炭素価格

リスク:価格上昇により原材料およびオペレーションコストの増加

フロン規制

リスク:ノンフロン設備等の導入に伴う支出増

電気価格

リスク:単価上昇による支出増

消費者変化

機会:生活コストの上昇により、低価格業態への支持拡大

物理リスク

急性

リスク:異常気象による災害頻発、被災回数の増加

慢性

リスク:気温上昇による空調コストの増加

 

 

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略について

<人材採用・教育 基本方針>

当社グループは、社是に「純情」を掲げ、「まじめで一生懸命な人材」の採用に力を注いでおります。そして、そのような人材が活躍できる企業文化を大切にしております。

人は、持って生まれた能力や、仕事に就くまでの経験の差が多少なりともあります。しかし、その差は仕事に対する情熱や熱意で埋められると考えます。よって、入社後は学歴・年齢・性別に関係なく、何よりも本人のやる気を重要視した上で責任のあるポストへの登用を進めております。

また、従業員の教育・育成に関しては、業務に必要な専門知識やマネジメントの知識を習得できる教育プログラムを構築しております。これに加えて、社員が心身ともに充実して仕事に取り組むには、良好な家庭環境が大事であるとの考えのもと、介護や育児に対してどのように取り組むかといった教育も実施しております。具体的には、従業員に対して親が元気なうちにどのような最期を迎えるべきかといった親子の会話を促したり、子育てを行う上での父性や母性のあるべき姿を社員教育の議題として取り扱うなどの教育を行っております。これらの取り組みが、従業員の介護や育児の精神的な負担軽減につながると信じております。

 

<人権方針>

当社は、「人を大切にする企業文化」に誇りを持っております。よって、様々なハラスメントには特に厳しく対処しております。セクシャルハラスメントやパワーハラスメントは当然ながら御法度であり、それが認定された場合は厳しい処分を課しております。同様に、カスタマーハラスメントに対しても、毅然とした対応を行っております。

通常のクレームに対しては真摯に耳を傾け業務改善に活かす活動を行っておりますが、当社従業員が当社店舗を利用する方から言われなき誹謗中傷や明らかな過剰要求を受けた場合は、当社グループ全店への入店禁止通告を辞さず対処しております。また、そのようなトラブルが生じた場合は、一時的には店長やエリア長といった営業現場の責任者が対処しますが、速やかな解決が図れないときは本社のお客様相談室の責任者が対応する体制を整えております。

上記のようなハラスメントに厳しく対処するなど、規律を重んじる企業文化があってこそ、営業現場のスタッフが安心して働くことができると考えます。それが従業員満足につながり、ひいては顧客満足の向上につながると信じております。当社が、公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が実施する日本で最大規模の顧客満足度調査において、調査対象となって以来、ドラッグストア部門で14年連続の日本一という評価をいただいているのは、上記のような「人を大切にする企業文化」が功を奏しているのではないかと感じております。従業員満足度を客観的に計ることは難しいのですが、上記のような公的機関による大規模調査において高い顧客満足度評価をいただいていることは、従業員一同の誇りです。

また、当社が販売する商品の調達や購買においても、基本的人権を無視した過重労働や危険で劣悪な労働環境などが前提の供給や調達がサプライチェーンに存在しないように取り組まなければならないと考えております。今後も、取引先の協力を仰ぎながら人権尊重の取り組みを強化してまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループは、事前に適切な対応策を準備し損失の危険を最小限にすべく、業務運営に係る全てのリスクについて適切に管理・対応できる体制の構築に努めております。代表取締役社長は、管理部門管掌取締役をリスク管理に関する統括責任者に任命し、当社および子会社の全社的なリスクを管理・統括しております。対応部署においては、必要に応じてマニュアルを制定し、所属する従業員に対する研修活動等を通じてリスク管理の徹底を図っております。不測の事態が発生した場合には、代表取締役社長が対応責任者となり、危機管理のためのチームを組成し対応することで、損失を最小限に止める体制を整備いたします。コンプライアンスに関するリスクに関しては、コンプライアンス相談窓口を設置し、当社および子会社の役職員による当該リスクの発生を未然に防ぐ努力を継続しております。

気候変動については、商品開発、物流、店舗運営、取扱商品、品揃えといった事業活動のすべてに関係し、グループの事業戦略に影響を及ぼします。つきましては、経営企画部が関係各部署と連携し、サプライチェーンのリスクと機会の状況把握を行い、その重要性評価に基づいた適切な対応を行ってまいります。

 

(4)指標及び目標

① 環境問題について

当社グループは、CO2排出量に対する目標数値を達成するために、LED照明への切り替えや、最新のインバータ機器を搭載した冷蔵・冷凍ケースの導入、太陽光発電の導入等を推進しております。

また、バイオマス90%配合のレジ袋の採用、てまえどり活動による食品ロスの削減、森林保護活動にも取り組んでおります。

なお、当社グループでは、CO2排出量削減への取り組みとして、1店舗あたりのCO2排出量について2030年度に2013年度比で50%削減することを目標としております。2023年度における1店舗あたりCO2排出量は205.2t-CO2となり、2013年度比45.4%の削減となっております。

 

年度

排出量

(t-CO2)

1店舗あたり排出量

(t-CO2)

2013年度

197,060

376.1

2014年度

218,254

367.4

2015年度

231,840

343.7

2016年度

241,198

317.8

2017年度

244,819

289.7

2018年度

260,548

280.6

2019年度

216,353

214.5

2020年度

215,695

201.0

2021年度

272,760

236.7

2022年度

251,771

199.3

2023年度

286,168

205.2

 

 

 

② 人材の活躍・育成について

当社は、性別等を問わず多様な人材が本人のやる気と実力次第でより重要なポストを担うことができる人事制度の構築が重要であると考えます。つきましては、会社として男性の育児休業取得目標や性別による管理職比率の目標を設定するのではなく、会社として目指す方向性と従業員個々の価値観を合わせていく努力を怠らず、結果として男女の賃金格差や管理職比率等があるべき姿になることが理想であると考えます。

当社が営むドラッグストア事業は、その事業特性から、ご来店いただくお客様・従業員の両方とも圧倒的に女性の比率が高くなっており、店舗運営における女性の視点は非常に重要であると考えております。当社では、昇進・昇格の基準や同一職務及び同一職位の賃金などで性別による差異はないものの、管理職の比率や統計的な平均賃金に性差が生じております。具体的には、2024年5月末時点での女性の管理職(本社管理職、店長・薬局長、および店舗等の従業員を指導管理する役割を担う指導的立場の役職者を含む)の比率は12.6%、2024年5月期の男女賃金格差は、全労働者のうち男性の賃金に対する女性の賃金の割合は48.4%、正社員のうち男性正社員の賃金に対する女性正社員の賃金の割合は78.0%、時給者のうち男性時給者の賃金に対する女性時給者の賃金の割合は112.1%でした。

これは、当社における経営幹部候補としての総合職女性の本格的な採用が2002年以降であり、女性管理職のロールモデルが十分に確立していないことが一因になっております。また、ドラッグストア店舗を多店舗展開する事業の特性上、全従業員に占める正社員の人数よりも短時間勤務の時給労働者の人数が圧倒的に多く、その大部分が女性であることから統計的な男女別の賃金は女性の方が低くなっております。よって、上記の各指標が必ずしも女性の活躍度合いを示すものではないと考えます。今後も従業員それぞれの「働き方」の要望をできるだけ正確に把握し、個人の希望と会社のニーズを合致させながら性別に関係なく活躍できる組織を築いていきたいと考えております。

なお、当社における男性社員による育児休暇の取得率は28.3%となっており、今後も女性従業員がもっと活躍できるように、仕事と結婚・出産を両立しやすい環境の整備や、産休等で休職した社員が復職しやすい雇用・就労形態の設計などを進めてまいります。

なお、当社グループでは、上記の人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われておりますが、連結グループにおける主要な事業に占める提出会社の割合が非常に大きいことから、提出会社の指標を記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、現実的にリスク要因として発生しないであろうという事項につきましても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。また、当社グループでは、これらのリスク発生の可能性がある事項につきましては充分に認識した上で、発生の回避あるいは発生後の速やかな対応に努める所存でありますが、当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありませんので、ご留意ください。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法的規制について

① 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」と
  いう)による規制について

当社グループは、「医薬品医療機器等法」で定義する医薬品等を販売するにあたり、各都道府県の許可、登録、指定、免許または届出を必要としております。今後、当該規制改正の内容によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 出店に関する規制等について

当社グループは、ドラッグストアの多店舗展開を行っておりますが、売場面積が1,000㎡超の店舗を新規出店する場合、または増床により1,000㎡超の店舗となる場合、「大規模小売店舗立地法」(以下、「大店立地法」という)の規定に基づき、当該店舗の周辺地域における生活環境保持のために、都道府県または政令指定都市が主体となって一定の審査が行われます。

当社グループでは、売場面積が1,000㎡を超える新規出店または既存店の増床を積極的に行っていく方針でありますが、その場合には、地域住民・自治体との調整を図りながら、地域環境を考慮した店舗等の構造及び運営を図るなど、「大店立地法」を遵守する方針であります。しかしながら、物件の確保や上記審査の進捗状況等によっては、新規出店または増床計画の変更・遅延により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 人材の確保・育成について

① 店舗運営スタッフの確保・育成について

当社グループにおきましては、積極的な人材採用を進めており、並行して新入社員からマネジメント職まで様々な教育プログラムを実行しております。しかしながら、店舗数の拡大ペースに対応した人材の確保・育成に支障をきたす状況が発生した場合には、出店ペースの減速、顧客サービスの低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営幹部・組織の体制について

当社グループの経営は、少数精鋭のマネジメント体制で迅速な意思決定を行いながら、次期経営幹部の育成を進めております。しかしながら、代表取締役をはじめ各経営幹部は当社経営に重要な役割を果たしており、急に業務執行ができない事態となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 「医薬品医療機器等法」における有資格者の確保について

当社グループは、医薬品販売業務・調剤業務を行うにあたり、薬剤師または医薬品登録販売者(2009年6月より施行された改正薬事法にて新設された資格制度)の有資格者を従事させることが義務付けられております。そのため、ドラッグストアの店舗展開を進めていく上で、これら有資格者の確保は重要な課題であり、確保の状況によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 敷金及び保証金並びに建設協力金について

当社グループでは、賃貸による出店を基本としております。このため、店舗用物件の契約時に賃貸人に対し敷金、保証金及び建設協力金を差し入れております。また、一部の仕入先に対しては取引保証金を差し入れております。

当連結会計年度末現在において、敷金の残高は15,421百万円(連結総資産に対する割合3.2%)、建設協力金の残高は4,382百万円(連結総資産に対する割合0.9%)、及び差入保証金の残高は750百万円(連結総資産に対する割合0.2%)であります。当該敷金は、期間満了等による賃貸借契約解約時に契約に従い返還されることとなっております。また、建設協力金及び差入保証金の一部は、支払家賃と相殺する形で契約期間満了時までに全額回収する契約となっております。

一方、差入保証金のうち商品の取引保証に関する残高は42百万円であり、商取引を停止した時点で返還される契約となっております。

しかしながら、敷金、差入保証金、建設協力金については預託先の経済的破綻等により、その一部または全額が回収できなくなる可能性があります。また、敷金、差入保証金、建設協力金については、契約時に定められた期間満了前に中途解約をした場合は契約条件によって返還されない可能性があります。

 

 (4) 自然災害について

当社グループの展開地域において、地震や台風等の自然災害が発生し、当社グループの店舗及びその他の施設に物理的な損害が生じた場合、並びに取引先や流通ネットワークに影響を及ぼす何らかの事故等が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 

(1) 経営成績等の状況の概要
①  財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、世界的な情勢不安とインフレが続く中で、日本国内でも様々な商品やサービスの価格が上昇しました。特に家計に直結する生活必需品の価格など、生活コストが上昇していることで、消費者の節約志向はより一層高まっております。

このような状況だからこそ、当社グループは更なるローコストオペレーションを推進すると同時に、意図的に利益率を引き下げてでも、消費者にとって「安くて、近くて、便利なドラッグストア」となれるよう力を注いでまいりました。 出店戦略につきましては、自社競合による一時的な収益性の低下も厭わず、次々と新規出店を行いました。同時に、新商勢圏への店舗網拡大を図ってまいりました。これにより、関東地区に50店舗、中部地区に27店舗、関西地区に15店舗、中国地区に10店舗、四国地区に8店舗、九州地区に29店舗の合計139店舗を新たに開設いたしました。また、スクラップ&ビルドにより7店舗を閉鎖した結果、当連結会計年度末の店舗数は1,490店舗となりました。

以上の結果、当連結会計年度業績は、連結売上高964,989百万円(前年同期比16.6%増)、連結営業利益31,501百万円(前年同期比4.6%増)、連結経常利益34,299百万円(前年同期比3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益24,454百万円(前年同期比2.8%増)となりました。

なお、当社グループは事業区分が単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて12.6%増加し、154,333百万円となりました。これは主に、現金及び預金が6,373百万円、商品が8,567百万円、未収入金が1,792百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は、建物及び構築物、土地等の有形固定資産の取得等により、前連結会計年度末に比べて13.5%増加し、322,213百万円となりました。    

 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて13.2%増加し、476,546百万円となりました。

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて11.0%増加し、213,229百万円となりました。これは主に、買掛金が17,697百万円、短期借入金が1,840百万円、未払費用が785百万円、未払法人税等が540百万円、未払消費税等が781百万円増加し、未払金が690百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて78.6%増加し、31,874百万円となりました。これは主に、長期借入金が13,366百万円増加したこと等によるものであります。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて16.8%増加し、245,104百万円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて9.7%増加し、231,442百万円となりました。これは主に、利益剰余金が19,799百万円増加したことと、取締役及び従業員に対する譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に伴い、資本剰余金が490百万円増加し、自己株式が17百万円減少したこと等によるものであります。

 

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて6,373百万円増加し、当連結会計年度末には52,301百万円(前年同期比13.9%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は55,175百万円(前年同期比1.4%増)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益33,719百万円、減価償却費19,924百万円、仕入債務の増加17,697百万円等の増加要因、棚卸資産の増加8,704百万円、未収入金の増加1,644百万円、法人税等の支払額8,993百万円等の減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は57,329百万円(前年同期比16.7%増)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出55,810百万円、敷金及び保証金の差入による支出1,322百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)  

財務活動の結果、獲得した資金は8,527百万円(前年同期比162.7%増)となりました。

これは主に、長期借入金による収入18,400百万円、長期借入金の返済による支出3,193百万円、配当金の支払額4,659百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出2,020百万円等によるものであります。

 

 ③  仕入、販売の状況

 当社グループは単一セグメントであるため、仕入及び販売の実績は商品区分別により記載しております。

a.仕入実績

当連結会計年度における商品区分別仕入実績の状況は、次のとおりであります。

区   分

金額(百万円)

前年同期比(%)

医    薬    品

90,329

110.3

化    粧    品

66,430

107.8

雑        貨

119,004

113.3

一  般  食  品

503,832

120.9

そ    の    他

6,118

116.3

合             計

785,716

117.2

 

   (注) 金額は仕入価格によっております。

 

 

b.販売実績

  商品区分別販売実績

当連結会計年度における商品区分別販売実績の状況は、次のとおりであります。

区   分

金額(百万円)

前年同期比(%)

医    薬    品

136,642

108.6

化    粧    品

89,709

111.1

雑        貨

148,822

113.5

一  般  食  品

582,766

120.4

そ    の    他

7,047

115.3

合            計

964,989

116.6

 

 

 

  地域別販売実績

 当連結会計年度における地域別販売実績の状況は、次のとおりであります。 

地   域

期末店舗数(店)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

関  東  地  区

148

(48)

73,095

177.7

中  部  地  区

151

(27)

80,763

143.4

関  西  地  区

212

(15)

136,755

117.2

中  国  地  区

212

(10)

137,663

113.4

四  国  地  区

141

(7)

94,259

112.8

九  州  地  区

626

(25)

442,452

108.3

合        計

1,490

(132)

964,989

116.6

 

(注)期末店舗数欄の( )内の数値は、前連結会計年度末に対する増減数であります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。「店舗閉鎖損失引当金」、「退職給付に係る負債」等の見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

売上高は、積極的な新規出店に加えて「毎日安い(エブリデイ・ロー・プライス)」政策を忠実に実行することで伸長を図りました。その結果、医薬品部門で前年同期比8.6%増加し136,642百万円、化粧品部門で前年同期比11.1%増加し89,709百万円、雑貨部門で前年同期比13.5%増加し148,822百万円、一般食品部門で前年同期比20.4%増加し582,766百万円、その他部門で前年同期比15.3%増加し7,047百万円となり、全体で前年同期比16.6%増加し964,989百万円となりました。

売上総利益率は、仕入原価低減の交渉などを継続的に取り組みながら、利益を削ってでもお客様に対して可能な限り低価格での販売に努めたこと等により、前連結会計年度より0.8ポイント減少し19.5%となりました。売上総利益は、売上高の伸長に伴い前年同期比11.6%増加し188,305百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、新規出店による店舗数の増加に加え、人件費の増加及び電気代の高騰等の要因により、前年同期比13.1%増加し156,804百万円となりました。この結果、営業利益は前年同期比4.6%増加し31,501百万円、経常利益は前年同期比3.7%増加し34,299百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税の税額控除の影響等もあり前年同期比2.8%増加し24,454百万円となりました。 

 なお、総資産経常利益率につきましては7.6%となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金、商品等の増加により、前連結会計年度から17,247百万円増加し、154,333百万円となりました。固定資産は、建物及び構築物、土地等の有形固定資産の取得等により前連結会計年度から38,331百万円増加し、322,213百万円となりました。

流動負債は、買掛金、短期借入金、未払費用、未払消費税等の増加により前連結会計年度から21,176百万円増加し、213,229百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増加等により前連結会計年度から14,031百万円増加し、31,874百万円となりました。

純資産合計は、利益剰余金が19,799百万円増加したこと等により前連結会計年度から20,370百万円増加し231,442百万円となりました。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度から1.5ポイント低下し、48.6%となりました。

なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

資本の財源または資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当しております。資金調達を行う場合には、銀行からの借入及びリースを基本とし、経済情勢や金融環境を踏まえ、あらゆる選択肢の中から最良の方法で行いたいと考えております。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

ドラッグストア業界におきましては、激しい企業間競争の中で、上位企業を中心とした大量出店や合併・提携等が顕著であることから、今後は寡占化を伴いながら市場の拡大が続くものと思われます。

そのような中で成長を続けるためには、他社と明確な差別化を行い消費者の支持を得ることが重要であると認識しております。当社グループは「小商圏型メガドラッグストア」という独自戦略で店舗網の拡大を図り、更なる飛躍を目指してまいります。それを実現するための課題は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。