第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものになります。

(1)経営の基本方針

当社は、2005年9月1日に、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社デニーズジャパンの3社の共同株式移転により設立された純粋持ち株会社です。流通業を中心として、傘下に148社の連結子会社を擁する当社は、お客様ニーズ、マーケット、そして急速な社会の変化に迅速に対応し、業務改革、事業構造の改革を不断に進めてまいります。また、グローバルに展開するグループのネットワーク、情報力とともに、コンビニエンスストア(CVS)、食品スーパー、大型スーパー(GMS)、百貨店、専門店、銀行、ネットビジネスなどあらゆるお客様のニーズに応える多業態を擁する世界に類を見ない流通グループとして、「信頼と誠実」、「変化への対応と基本の徹底」を基本方針に掲げ、総合的にシナジーを追求してまいります。そのために、当社は、ガバナンスの強化とグループシナジーの追求によりグループ企業価値の最大化に努めるとともに、グループを代表する上場会社としてステークホルダーに対する説明責任を果たしてまいります。また、各事業会社は与えられた事業範囲における責任を全うし、各々の自立性を発揮しながら、利益の成長及び資産効率の向上を追求してまいります。

また、当社グループは、国内47都道府県に約22,600店舗以上、世界では17の国と地域に約74,000店を超える店舗網を展開し、国内だけでも1日に平均約2,240万人のお客様をお迎えしています。このきわめて身近で多彩なお客様との接点は、私たちの最も重要な価値創出の基盤です。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターン(利益)を拡大するとともに、キャッシュフローの創出力を高めることを基本方針とし、連結KPIとして、連結自己資本当期純利益率(ROE)、ROICスプレッド、EPS成長率、フリーキャッシュフロー水準及びDebt/EBITDAを設定しております。

 

(3)中長期的な経営戦略

様々な社会構造の変化を背景としたお客様の購買行動の変化に対応すべく、お客様のライフステージ・ライフシーンに寄り添いながら、商品・サービスの提供を通じて暮らしの利便性を高め、地域になくてはならない親しみのあるグループを目指してまいります。その実現に向け、お取引先様、世の中の技術革新など、あらゆるリソースを活用し、商品やサービスの絶対価値を追求することで、顧客満足度と社会価値の最大化を目指してまいります。

 

(4)経営環境及び経営課題

当社グループを取り巻く環境は、大きく変化しており、またその変化のスピードも加速しております。国内においては、高齢化、世帯人数の減少、共働き世帯の増加等の社会構造変化が進むとともに、時代の変化に合わせてお客様のライフスタイルや価値観が多様化しております。一方、最低賃金の上昇や社会保険加入の拡大を受け、雇用環境は引き続き厳しい状況が続くことが想定されます。加えて、国内外を問わず、気候変動、海洋汚染、フードロス、持続可能な調達等の社会課題が深刻化しており、企業も社会を構成する一員として、その解決に対してこれまで以上に真剣に向き合う時代を迎えております。

 

また、2020年に全世界を覆った新型コロナウイルス感染症は、消費市場に多大な影響をもたらし、私たちの事業の存在意義を根本から見直す機会となりました。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症によるお客様の消費行動の変化が一過性のものではなく、今後へとつながる「消費の潮目」であるととらえ、新型コロナウイルス感染症によって生じた消費・価値観・労働環境・産業構造の変化を徹底的に分析し、グループ全体で迅速な対応に向けた取り組みを進めております。

当社では、ステークホルダーとの対話を通して、当社グループの事業領域と親和性の特に高い社会課題を「5つの重点課題(マテリアリティ)」として特定し、様々な社会課題の解決を図りながら、企業価値を向上させてまいります。

5つの重点課題(マテリアリティ)

・高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供

・商品や店舗を通じた安全・安心の提供

・商品、原材料、エネルギーのムダのない利用

・社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援

・お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上

 

グループ成長戦略の遂行

① 海外コンビニエンスストア事業戦略 ~新たな『成長領域』への挑戦~

海外コンビニエンスストアにおいては、米国でセブン‐イレブン事業を展開する7-Eleven, Inc.が、2000年以降成長を加速させており、近年では当社グループの利益成長の一端を担うまでになっています。7-Eleven, Inc.は、商品開発による商品力の強化やDXによるラストワンマイルのサービス拡充などを通じて、米国内での従来のCVSのイメージを一新し、顧客層の拡大に成果を上げています。

また、同社は、2020年8月3日付で、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。)との間で同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業(但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。)を運営する複数の会社の株式その他持分を取得する契約を締結し、7-Eleven, Inc.の完全子会社として設立されたSEI Speedway Holdings, LLCを通じて、2021年5月14日付で当該取得を完了いたしました。また、当該取得と同時に、取得した店舗への今後15年間におけるガソリン供給契約をMPC社と締結いたしました。Speedwayが持つブランドロイヤリティや立地を活かした集客力に加え、Speedway店舗に7-Eleven, Inc.のファスト・フード商品やプライベートブランド商品の導入を推進することなどによりシナジー発現の最大化及び早期化を図ってまいります。なお、当該取得について、米連邦取引委員会(FTC)の委員2名から特定の地域において競争法上の懸念が存在することを表明する声明がありましたが、当該取得は、待機期間を終了し、2021年5月14日付で適法に完了しております。本件につきましては、7-Eleven, Inc.は関係政府機関と密に連携しており、また今後も密に連携いたします。また、このようなプロセスを考慮し、新中期経営計画は、公表を延期しております。

セブン‐イレブンのライセンサーでもある7-Eleven, Inc.は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとともに世界のライセンシーへの支援強化、新規地域への展開などに力を注ぎ、新たな成長機会を創出してまいります。

② 国内コンビニエンスストア事業戦略 ~次の『便利』の扉を開く~

新型コロナウイルス感染症により顕著になった消費行動の変容により小商圏化が進み、個店ごとのお客様ニーズの違いが、よりいっそう顕在化しました。株式会社セブン‐イレブン・ジャパンではこれまでもお客様ニーズの変化に対応した店舗レイアウトの革新を進めてきましたが、2020年度からはさらにお客様ニーズの変化に対応した新レイアウトの導入を加速。全店一律ではなく、個店ごとの商圏のニーズにきめ細かく対応すべく、商品開発の強化や店舗の生産性向上への支援、DXによるネットコンビニなどのラストワンマイルへの取り組みやCRM(顧客連携管理)による新たな顧客体験の創出などにも力を注いでまいります。

また、不採算店舗の構造改革及び出店の際の候補地選定の精緻化・効率化を進めることで、年間1,000店舗の出店体制に向けた基盤を構築してまいります。さらに次世代型店舗の開発・テストにも積極的に取り組み、新たな成長軌道に向かう取り組みを加速してまいります。

③ グループ食品戦略 ~いま求められる『食』への挑戦~

国内では少子高齢化等による消費市場の縮小が指摘される中、家計支出における食品の構成は増加しております。当社グループでも、2020年のグループ全体の食品売上は約4兆7千億円、売上構成比は60%を超えております。そこには、質を重視した商品開発体制、味・鮮度など商品価値の最大化を図るサプライチェーンや物流体制など、これまでグループが進めてきたさまざまなインフラ整備やノウハウの積み重ねがあります。このようにグループ事業の共通基盤となっている「食品」において、今後グループのスケールメリットを活用したセントラルキッチン、プロセスセンターなどの共有インフラを整備し、高品質かつ効率の良い商品供給体制の実現を目指します。今後もさらにグループシナジーを活かした取り組みを進めることで、お客様の豊かな食生活に貢献してまいります。

 

④ 大型商業拠点戦略 ~豊かな『生活拠点』の創出~

株式会社イトーヨーカ堂、株式会社そごう・西武においては、個店ごとの成長性の評価に基づき既存店舗網の見直しと店舗構造改革を進めております。

株式会社イトーヨーカ堂では、構造改革店舗において商圏分析をあらためて行い、地域ニーズに合わせた品揃えへの見直しや、売場での生活シーン別の提案などにより一定の成果を上げております。さらに、ネットスーパーの大型センター化や、株式会社とくし丸との連携による移動販売も強化してまいります。

株式会社そごう・西武では、店舗ごとに商圏のニーズに合わせた店舗構造改革を進めております。また、プレミアムニーズに対応すべく外商の強化や商事事業等の非店舗事業を拡大してまいります。

両社においては、不採算店の譲渡・閉店を進めてまいりましたが、今後も要員構成の適正化も含め、事業構造改革を更に加速してまいります。また、優良立地にある店舗の磨き込みにより魅力ある館づくりを進めてまいります。

⑤ ラストワンマイルへの挑戦

新型コロナウイルス感染症により、お届け・移動販売のニーズが飛躍的に高まっています。当社グループは多様な業態を持つ優位性を最大限に活かし、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンのネットコンビニ、株式会社そごう・西武のe.デパチカなどのオンデマンド配送から、大型センター化を進めるネットスーパーによる定時配送、地域インフラとしての移動販売まで幅広いお客様ニーズに対応すべく、取り組みを拡大してまいります。

⑥ DX・金融戦略 ~お客様接点の拡大とセキュリティ基盤の構築~

グループ共通の価値基盤である顧客接点の強化では、DXの推進を通じて新たな体験価値の創造を図っています。当社グループではDXの推進を、大きく分けて2つの方向でとらえています。第一は、デジタル技術の活用により仕事の生産性を高め、人でなくてはできない創造性の高い業務に人の力を集中することです。第二は、お客様にいままでにない便利さなど新しい体験価値をお届けすることです。この点ではアプリ等を通じてお客様からご提供いただいたデータをCRM等に活かすことでお客様お一人おひとりとの関係強化を進めるとともに、ラストワンマイルや決済サービスの機能強化などに取り組んでいます。こうしたDXの推進に向け、2020年には「グループDX戦略本部」を立ち上げ、迅速かつ着実な施策の実行を図っています。

また、金融においては、新たな決済体験の提供とグループポイント戦略の強化に取り組むことで、便利な決済サービスとお得に貯まるグループポイントを提供することで、お客様のライフ・タイム・バリューをより一層向上させてまいります。

さらに、強固なセキュリティを構築するために「情報セキュリティ基本方針」を改定し、新たに設置したセキュリティ統括室による各事業会社のセキュリティ環境の構築支援や統制評価などを実施しております。さらに情報管理委員会のもとグループ全体のセキュリティを強化するとともにデジタル技術の進化に合わせてつねに見直しを進め、グループ全体で安全・安心の確保と徹底を図っています。

 

成長戦略を支える確かな経営基盤

⑦ 持続可能な社会の実現に向けて

当社グループでは、これまでも社会課題解決と企業価値向上の両立を経営の基本におき、積極的に取り組んできました。2012年には「国連グローバル・コンパクト」に署名し、その10原則の実践に継続的に取り組んでいます。また、2014年には「5つの重点課題(マテリアリティ)」を特定し、その後SDGs(国連「持続可能な開発目標」)の17の目標と関連づけながら、課題解決に取り組みを進めています。これらにより、本業を通じての社会課題および重点課題を起点とした新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいます。

2019年5月には、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を定め、CO₂排出量削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達の4つのテーマで、お客様・地域社会・お取引先様等のステークホルダーとも連携しながら、持続可能な社会の実現に取り組んでおります。

グローバル展開の強化に合わせ2020年には、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言が求める項目をホームページへ開示し、CO₂排出量削減目標の国際的認定「SBT」の認定に向けた登録も完了いたしました。また、セブン-イレブンESGグローバルフォーラムを開催し、世界のセブン-イレブンライセンシーとの共同によるCO₂の排出削減、プラスチック対策なども推進してまいります。

 

⑧ コーポレートガバナンスの更なる強化

コーポレートガバナンスにつきましては、組織体制を構築・整備するとともに、すべてのステークホルダーの皆様との対話に基づき、つねにその改善と拡充に努めてまいります。2020年5月には従来の指名・報酬委員会を指名委員会と報酬委員会に分離し、それぞれの委員会は独立社外取締役を過半数としました。これは経営の透明性および客観性の確保に向けた改善の一例です。また、紙媒体やWEB媒体など広範なツールを通じて情報開示の拡充を進め、皆様との対話がよりいっそう実り豊かなものとなるよう努めてまいります。

また収益機会、投資機会ともグローバルに広がる中で、財務の基本方針に基づいて財務規律のいっそうの強化を図っています。株主の皆様への還元につきましては、1株当たりの配当金を安定的に向上させることを基軸とし、機動的に検討してまいります。

⑨ 経営戦略と連動した人財政策

当社の成長力の源泉は人財です。とりわけ、DXおよびグローバル戦略の推進や社会価値と企業価値の両立を追求するうえで、経営戦略と人財戦略は不可分であると考えています。当社では経営戦略の推進と一体となった人財戦略に取り組み、専門的な知見や技能を有する人財を社外から求めるだけでなく、グループ内でも積極的に育成してまいります。人財育成にあたっては、「人財とともに成長する企業」という考え方に立ち、2020年8月には人事教育機能を独立させた「人財共育部」を新設いたしました。

積極的に社員に成長機会を提供して、自ら学び続け、つねにスキルアップを図り続ける人財の育成を図り、社員と会社の相互成長を目指してまいります。

また、働き方改革や生産性の向上を図ることで、誰もが働きやすい職場づくりを推進してまいります。

2012年に発足した「ダイバーシティ推進プロジェクト」は、社会環境等の変化を踏まえて活動を革新し続けており、現在「ダイバーシティ&インクルージョン推進プロジェクト」として、働く人々の多様性や違いを認め合う環境づくりや柔軟な働き方を支援する体制を整えてきました。とりわけ、女性のお客様を多くお迎えする当社グループの主要事業の在り方を踏まえ、女性をはじめ多様な人財が活躍できる組織・企業文化の育成に注力してまいります。

 

中長期的な企業価値向上による持続的成長に向け、今後とも当社グループでは、グループシナジーを強化して当社グループの強みをいっそう拡大し、すべてのステークホルダーの皆様にさらなる価値提供と適正な利益還元を進めてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社は、経営の健全性と事業の効率性を確保しつつ、当社グループの永続的な維持・発展のため、事業継続に関わる各種リスクの適切な管理に取り組んでいます。この取り組みにより認識されたリスクのうち、リスクが顕在化する可能性の程度や時期及び影響の程度を踏まえて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下に記しています。ただし、これらは、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、これらのリスクはそれぞれ独立したものではなく、ある事象の発生により、他の様々なリスクが増大する可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

<リスクの定義>

当社グループのリスク管理プロセスでは、管理すべきリスクをガバナンスリスク、業務リスク、B/Sリスク及び事業リスクの4つの大分類に分けて管理しております。有価証券報告書においては、投資者の判断に資する情報開示を目的に、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類し、それぞれ以下のように定義いたします。

「戦略リスク」・・・事業戦略の計画及び遂行により期待する成果に対して実現する成果が上振れまたは下振れする程度及びその発生可能性であり、戦略に大きく影響するリスク、または健全な範囲で敢えて選択して取るリスク。

「オペレーショナルリスク」・・・戦略遂行を支えるオペレーションに起因する損失額及びその発生可能性であり、発生を回避・低減すべきリスク。

 

<グループリスク管理体制>

当社及び事業会社は、自社のリスク管理全体を統括する部署を事務局とするリスクマネジメント委員会を設置しています。リスクマネジメント委員会は、原則半期に1回開催され、各種リスク管理統括部署より自社のリスク管理状況に関する報告を受け、リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めています。

一方、各種リスクについては、当社リスク管理統括部署を主体とするグループ横断の会議体等を通じて、該当するリスクに係わるグループ方針、各社リスク低減の取り組み、さらにリスクが顕在化する兆候を示す社内外の各種事例等の共有を図っています。

 

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<リスク管理のPDCA>

当社グループのリスク管理は、グループ共通のリスク調査票をもとに、網羅的なリスクの洗い出しと定量化を行い、「リスクの評価と改善策の立案」「優先順位付け」「改善活動とモニタリング」を実施しています。

また各社監査室は、自社のリスク管理全体を担当する部署及び各種リスク管理統括部署に対する定期的な内部監査を通じ、独立した立場で、リスク管理が効果的に実施されていることを検証し、必要に応じて各部署に対し、リスク管理向上のために必要な助言を行っています。

 

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<グループの主要な成長戦略>

当社グループは5つの事業戦略を定めております。

① 海外コンビニエンスストア事業戦略

② 国内コンビニエンスストア事業戦略

③ グループ食品戦略

④ 大型商業拠点戦略

⑤ DX・金融戦略

以下に記載するリスク毎に、関連する戦略を①から⑤の数字で示しています。

 

<主要なリスク>

■ 戦略リスク

1.新型コロナウイルス感染症のリスク 関連する戦略:①②③④⑤

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、今後も中長期にわたって当社グループの事業活動へ影響が発生することが想定されます。ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループとしては、会社レベルでは時差出勤・在宅勤務の実施や会議ルールの変更、外出・出張ルールの変更等、従業員レベルでは出勤前の検温、通勤時・勤務時におけるマスク着用や手洗い・アルコール消毒の実施等の新型コロナウイルス感染症拡大防止策を徹底し、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で、地域及び社会への責任を果たすため、営業継続に努めてまいります。加えて、営業継続に対してはお取引先様との緊密な連携体制の構築やサプライチェーンの維持に努めてまいります。また、感染拡大による差別や不当解雇の有無についても確認し、人権保護に努めています。

しかしながら、感染拡大や蔓延状況に応じて、営業時間の短縮、営業店舗の限定等の措置をとる可能性やサプライチェーンの操業中断等により商品を提供できない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症により生じた価値観・行動の変化(テイクアウト・宅配やオンライン消費の台頭、ソーシャルディスタンス、リモートワーク等)に対して、お客様の日々の暮らしに寄り添いながら、新たな顧客体験価値を創出することに努めてまいります。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様の購買力又は消費意欲の減退、予想外の消費行動の変化等が生じた場合、売上の低下につながり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.グループの成長戦略に関わるリスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、これからの時代に求められるお客様との接点の多様化、そして豊かで快適なお買い物体験を広げる取り組みなど、新たな生活様式に対応し、時代の変化をリードするため、様々な成長戦略を策定しています。

海外コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループの海外コンビニエンスストア事業の中心である7-Eleven, Inc.は、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。)との間で、同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業(但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。)を運営する複数の会社の株式その他持ち分を取得する契約(以下「本件取引」といいます。)を、2020年8月3日付で締結し、7-Eleven, Inc.の完全子会社として設立されたSEI Speedway Holdings, LLCを通じて2021年5月14日付で本件取引を完了いたしました。また、本件取引と同時に、取得した店舗への今後15年間におけるガソリン供給契約を同社と締結いたしました。

 

統合後の事業において、事業環境や競合状況の変化等により本件取引により取得した事業から得られる成長機会もしくは統合によるコスト削減等のシナジー効果等の買収の効果が当初の想定通りに実現されない場合、または、統合プロセスや法規制及び税制上のリスク等を適切に管理できない場合、または適用される割引率が高くなった場合等には、本件取引に伴い計上した多額ののれん及び無形資産等の減損損失の計上により、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、本件取引に必要な資金の調達のための金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当初想定した利益の創出、その他資産の処分等を通じて、レバレッジの低下が速やかに実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの債務には財務制限条項が付されているものがあり、かかる財務制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

7-Eleven, Inc.は、一部店舗ではガソリンスタンドを併設しておりますが、本件取引によりガソリン売上の同社チェーン全店売上に占める比率は上昇することが想定されます。ガソリン事業のリスクについては、サプライチェーンの垂直統合等により、ガソリン小売価格の変動に伴う利益率の低下リスクをヘッジしていますが、急激な価格の変動等、事業環境の予期しない変化により、売上低下や原価率上昇を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、米国における自動車排出ガス規制や一部州での中長期的なガソリン車販売規制の方針等の影響及び電気自動車等の浸透等により、米国市場におけるガソリン需要が縮小する場合、ガソリン販売量の減少を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

7-Eleven, Inc.は、当社グループに属さないエリアライセンシー及び当該エリアライセンシーが展開する店舗において、不祥事その他の事由により、ロイヤリティの減少・売上の減少が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、「共存共栄」の精神に基づき、株主やお客様をはじめとするすべてのステークホルダーに最善の価値を提供するべく成長機会を追求するため、随時、企業買収を実施する可能性があります。一方、世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。買収後も統合によるシナジー効果を最大限発揮する事業モデルを構築し、統合の進捗状況をモニタリングしていますが、取得した資産の価値が下落し、評価損発生などが生じた場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

国内コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループの国内コンビニエンスストア事業の中心である株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、主にフランチャイズ・システムからなり、「セブン‐イレブン」という同一店舗名でチェーン展開を行っています。同システムは、加盟店と当社グループが対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担う共同事業であり、加盟店オーナーの皆様とともに持続可能な成長を実現するため、2019年4月に発表した行動計画に沿ったオーナーヘルプ制度の充実や省力化投資の継続実施、加盟店アンケートの実施に加えて、様々な取り組みを実施しております。

例えば加盟候補者への説明状況及び加盟店との取引方法等について自主点検を実施し、自主点検結果を踏まえて加盟候補者への事前説明の充実化や、社員教育の充実化とそれを通じた社員理解度の向上・均一化を図る等の対策を実施しております。また、加盟店との持続的かつ良好な関係を維持するため、オーナー様専用相談窓口の設置や、オーナー様意見交換会の実施により、率直なご意見やご要望を伺うなど、加盟店との建設的な対話を通じてコミュニケーション強化を図ってまいります。

しかしながら、加盟店及び当社グループ間の信頼関係が適切に構築・維持できないことにより、多くの加盟店との間で契約が維持できなくなった場合、もしくは加盟店のパフォーマンス・生産性及び「セブン‐イレブン」ブランドの支持が損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、従来から起きている少子高齢化や単身世帯の増加、働く女性の増加といった国内の社会構造変化に加え、コロナ禍による消費行動の変化を踏まえ、改めて将来に向けてのコンビニエンスストアの存在意義を見直し、店舗レイアウトの変更や商品・サービスの継続的な質の向上による顧客体験価値の提供に取り組んでまいります。

しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しており、新たな価値を提供できなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

グループ食品戦略について、当社グループでは、国内における、外食を含む食品分野において約6%の売上シェアを有し、グループ全体の食品売上は約4兆7千億円、売上構成比は60%を超えています。首都圏は、緩やかな人口減少と高齢者の増加、さらにお客様によって経済性やライフスタイルなどが多様であるという特徴があります。そうした環境下で食品スーパーにはまだ出店余地があり、日常の食品提供に関するビジネスチャンスが広がっています。当社グループでは、こうした首都圏食品市場への取り組みを本格化するため、グループ内の食品スーパー事業の統合再編を行うなど、グループシナジーを活かした商品提案力の強化を図り、競争力の強化を図っております。また、当社が保有する土地などを活用してセントラルキッチンやプロセスセンター等のグループインフラやノウハウを構築・共有することによる、高効率な商品供給体制の構築にも挑戦しております。商品開発においては生鮮食品の強みを活かしたオリジナル商品の開発を強化しております。

しかしながら、特に首都圏においてはセントラルキッチンやプロセスセンター等を新設又は強化するための土地を確保することは容易ではなく、適切な土地確保ができない、またはセンター化に向けたビジネストランスフォーメーションが想定通りに進まないなどの要因により、結果として当初期待した効果が得られず戦略目的が達成できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

大型商業拠点戦略について、当社グループではお客様の購買行動が大きく変化するなかで、大型商業施設を展開するスーパーストア事業、百貨店事業の事業構造改革を一段と加速させる必要があります。事業構造改革では、優良な立地を見極めながら既存店舗網の見直しを行うと同時に、成長戦略として、これまで培ってきた強みを最大限活かしながら店舗構造改革を進めております。店舗構造改革では、一店一店の商圏の徹底的な分析を行い、これに基づいて商品構成・フロアレイアウトの見直しを行っています。株式会社イトーヨーカ堂では生活シーン別の買い回りしやすい売場展開と、新しい生活様式に応じた商品政策・テナント拡充を進めています。この改革はwithコロナで高まるワンストップショッピングのニーズにも合致し、集客力の向上、収益性の改善といった成果をあげています。また、株式会社そごう・西武では、立地の強み、これまで培ってきたお取引先とのネットワーク、お客様への対応力といった「優良資産」を最大限に活かしながら、専門店の導入やフロア構成の改革を実施し、集客力の向上などの成果をあげています。こうした成功事例をもとに地域ニーズに合った館づくりを進め、全店舗での改革を加速させていきます。しかしながら、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

DX戦略について、当社グループではグループDX戦略マップを策定し、グループ全社横断のDX施策を推進しています。グループ全社を守るDX施策としては、グループ共通でのセキュリティ対策の実施、運用の効率化やグループシナジーの発揮を目的としたグループ共通インフラ基盤の推進等に取り組んでいます。グループ各社のビジネスを加速させるDX施策については、環境変化を捉えた対応を行うため、PoC(Proof of Concept)による実現性や競争力の検証、ゲートによる段階的な投資判断等の組織スキームを設けて実行しています。また、DX戦略を支える体制の強化のため、内製化の推進及び専門性の高い人財の獲得に努めております。

特に、当社グループではあらゆる食のニーズに対応するため、店舗にお客様をお迎えすることを前提とした販売だけでなく、お客様が希望する日時と場所に商品をお届けするラストワンマイルへの対応が不可欠であると考えております。当社グループの持つ安全・安心・新鮮な生鮮及び国内約22,600店舗の強みを活かして、ネットスーパーにおいては大型センター化による事業規模拡大、専用アプリを活用したインターフェースと買物体験の向上、店頭受取や店内ロッカー等の受取方法の多様化に挑戦しております。食材・定期宅配においては鮮度と質にこだわった生鮮商品や子育て世帯向け商品の展開に挑戦しております。移動販売においては株式会社とくし丸と連携し、日常のお買物にお困りの方へ、お買物体験を提供することで社会的意義・役割を果たすとともに、当社グループの価値向上を図っております。飲食店による出前においては、実店舗に頼らない宅配専用店舗の設置や、出来立て惣菜を始めとした品揃え豊富で高品質な中食のお届けに挑戦しております。

しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しております。また、競合他社においても強固な既存顧客基盤や新しい技術を活用し、ラストワンマイルへの対応を強化しております。そのような環境下において、当社グループが現在の競争力を維持できない場合、売上の低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

金融戦略においては、お客様との関係性を強化するための基盤となる取り組みとして、グループ共通のID「7iD」を導入し、お客様のお買物に関する様々なデータの収集・分析を行っております。そこで得られた情報と金融関連情報を活用し、「ローン」「資産運用」「貯蓄」「保険」など当社グループならではの、お客様の利便性に資する金融商品・サービスの開発を推進している他、当社及び事業会社が緊密に連携し、小売・金融を横断したお客様への新たな価値の提供を目指しております。

当社グループの金融・決済関連システムについては、システム運用部門を始めとして情報セキュリティ部門やDX部門及び外部委託先等が連携、個人情報保護等の観点も十分留意し、お客様に安全・安心にご利用頂けるシステムの開発・運用に努めております。また、IT・セキュリティ等に関する高い専門知識と経験を有する人財の確保・育成にも努めております。

しかしながらこのような優秀な人財の確保・育成が想定通りに進まない場合、テクノロジーの活用によるサービスの高度化や生産性の向上を十分に実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.既存事業リスク 関連する戦略:①②③④⑤

<商品調達・価格変動リスク>

当社グループの事業活動にとって、十分な品質の商品・原材料等を適時に必要なだけ調達することが不可欠であり、特定の地域・取引先・製品・技術等に大きく依存しないよう、その分散化を図っています。特に、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動により、今後中長期的に農産品の栽培適地や漁場の変化が生じる可能性もあり、それらへの対応からも分散調達と一次生産者との収穫量向上に向けた協働等に努めています。しかし、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動により、仕入ルートの一部が寸断した場合、それにより当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。

当社グループの取扱商品の中には、天候による需給の変化や原油等原材料価格変動の影響を受ける商品等、外的な要因により仕入価格が変動する商品があります。加えて、将来的に、商品製造段階における電力をはじめとするエネルギー価格が、気候変動に伴う規制・政策により高騰した場合にも仕入価格が影響を被る可能性があります。これら仕入価格の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、国連にて、2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」、2015年には「持続可能な開発のための2030アジェンダ(Sustainable Development Goals:SDGs)」が採択され、企業は、取り扱う商品・サービスにおけるお取引先様を含めたサプライチェーン全体の人権の尊重と保護、法令遵守、労働安全、地球環境保全、情報管理などへ責任をもって取り組むことが、社会的使命として求められています。当社グループは自然資源の将来世代にわたる持続可能な利用のために「持続可能な調達基本方針」を定め、地球と社会の持続可能性を保ちながら、企業も持続的に成長するためにステークホルダーと連携しながら、サプライチェーン全体で持続可能な調達に努めております。また、持続可能な社会の実現に貢献するため、お取引先様とともに「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」の推進及びその実効性の検証などを目的としたCSR監査の実施など、様々なステークホルダーと連携して取り組みを進めております。2020年10月に外務省より公表された「ビジネスと人権に関する行動計画(2020ー2025)」に基づき、サプライチェーンにおける人権・コンプライアンスのデュー・ディリジェンスを推進してまいります。

しかしながら当社グループの取り組みを超えた問題が発生した場合には、当社グループに対するお客様の信頼低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

<ビジネスモデルリスク>

当社グループは、日本国内において主要な事業を行うほか、世界各地で事業を展開しています。そのため、日本及び事業を展開している国または地域の景気や個人消費の動向などの経済状態が悪化した場合、お客様の購買力又は消費意欲が減退し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、地域の特性を重視した商品開発と品揃えを強化し、お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいて様々な分野のメーカー様やベンダー様とチームMD(マーチャンダイジング)による商品開発を行うほか、各社アプリ等を通じてグループ共通のID「7iD」に登録されたお客様のお買物に関する様々なデータの収集・分析を行い、販促活動等の効果につなげております。

しかしながら、商品の取扱い・開発を積極的に行っていますが、経済政策や異常気象等により予想外の消費行動の変化が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

また、当社グループでは、お客様のニーズの変化に的確に対応していくため、より高品質で魅力的な商品開発を推進するとともに、お客様とのコミュニケーション強化、生産性の向上に取り組んでおります。また、スーパーストア事業や百貨店事業においては不採算店舗の閉店等、事業構造改革にも取り組んでおります。

しかしながら日本では少子高齢化による労働力人口減少などといった厳しい雇用環境が続くなど、店舗経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。また、お客様のニーズの多様化、競合他社の積極的な販売促進活動等により、当社グループの事業分野における多様な競合他社との競争は著しく高まっております。そのような環境下において、競合他社との価格競争に伴う商品・サービス価格低下圧力及び人件費を始めとしたコスト上昇圧力に晒されることにより、将来を通して継続的に現在の競争力を維持できる保証はなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

<出・退店リスク>

当社グループの店舗出店に際しては、「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」等様々な法令に基づく規制を受けています。店舗出店に際しては当社グループ会社により関連法令、市場及び出店候補地に関する情報収集を行なっておりますが、これらの法令の改正やこれらに関して各都道府県等が定めた規制の変更に伴い、当初策定した計画通りの新規出店や既存店舗の改装等を行うことが困難となった場合や、将来の潜在的な出店候補地が減少した場合、及び新たな対応コストが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.環境リスク 関連する戦略:①②③④

当社グループは、これまでさまざまな社会環境の変化に対応し、価値ある商品やサービスの提供を通じて、お客様の豊かで便利なくらしへの貢献に努めてまいりました。一方、世界では気候変動やプラスチック問題など、さまざまな環境問題や外部不経済などの社会課題が顕在化しています。そのような社会ニーズの変化や環境問題など、社会環境の変化に対応するために、グループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を策定したほか、TCFDコンソーシアムへの参加、RE100への参画、水素バリューチェーン推進協議会への参画等、お客様やお取引先様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様とともに“豊かで持続可能な社会”の実現に向けて取り組んでまいります。

一方で、当社グループは、食品廃棄物、プラスチックをはじめとする容器包装リサイクル、廃棄物処理及び気候変動対策などに関する様々な環境関連法令の適用を受けています。将来、これらの法令による規制は、例えば気候変動対策では、温室効果ガス排出規制が強化されたり、炭素税などの新しい法規制・政策が導入されたりする可能性があり、当社グループにとって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限されたりする可能性があります。加えて、規制強化によって電力・水・ガスなどエネルギー費用が変動することで、店舗運営に関わる費用が増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.人事・労務関連リスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループが主要な事業を行う日本では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題である中、多くの店舗を展開する当社グループでは、店舗従業員の人数を確保することに加え、多様な人財に意欲をもって能力を発揮していただくために一人ひとりの従業員の主体的な能力向上を支援していくこと、さらには、これらを通して企業としての生産性の向上に結び付けていくことが重要な課題であると捉えております。人財育成にあたっては、「人財とともに成長する企業」という考え方に立ち、積極的に社員に成長機会を提供して、自ら学び続け、つねにスキルアップを図り続ける人財の育成を図り、社員と会社の相互成長を目指しております。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を掲げ、働く人々の多様性や違いを認め合う環境づくりや柔軟な働き方の実現に向けて積極的に取り組んでおります。

しかしながら、法令や制度の改正など何らかの事由により、その目的を達成できない場合に当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業には、お客様を始めとする様々なステークホルダーとの良好なコミュニケーション力を有する人財が不可欠ですが、今後、各事業分野及び地域における人財獲得競争の激化等により、人財を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇し相応しい人財の獲得が困難となる場合や、人財の社外流出が生じた場合、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.市場リスク(為替・金利等) 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループでは、金利等の変動リスクの軽減、資金調達コストの低減、将来のキャッシュフローを最適化するために為替予約及び金利スワップ等のデリバティブ取引を行っておりますが、金利の変動は受払利息や金融資産・負債の価値に影響を与え、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されます。また、当社グループの販売商品の中には、為替変動の影響を受ける海外開発商品があるため、為替相場の変動により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.法務リスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、事業の遂行に関して、日本及び米国をはじめとする各国において消費者保護、公正競争、汚職禁止、食品衛生、労働環境、環境等に関する訴訟等及び規制当局による様々な法的手続きに服するリスクを有しています。現在までのところ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、業績に大きな影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、多額の損害賠償金の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、より厳格な法規制が導入されたり、規制当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることなどにより、多大な法的責任、不利な措置が課された場合や、法的手続きへの対応に多大なコストがかかる場合、当社グループの事業活動や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令や社会的規範の遵守を経営の柱とし、健全なコーポレートガバナンス(企業統治)が機能し、かつ確保されるよう配慮しています。例えば当社グループでは国内各事業会社のFT(公正取引)担当者で構成する「FTプロジェクト」を設けています。このプロジェクトでは、取引に関する法令の最新情報や、公正取引委員会から公表された不公正な取引事案、グループ各社における改善施策を共有することで、法令違反の防止に取り組んでいます。

また、当社グループでは常に変化し続けるお客様のニーズに対して、取引先各社と製造・物流・販売・それらを支える情報システムの仕組みを革新しながら、差別化された高品質の商品や生活をサポートする便利なサービスを構築してきました。しかしながら、取引先各社との業務上の関係が維持できない状況が発生した場合、または取引先各社の技術力等が著しく低下した場合は、商品開発力の低下や商品製造コスト及び配送コストの上昇等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.資産リスク(固定資産等) 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、有形固定資産やのれん等多くの固定資産を保有しており、減損会計を適用しています。店舗等の収益管理を実施しておりますが、今後、店舗等の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

■ オペレーショナルリスク

9.情報管理リスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、小売業や金融事業を始めとする各種事業において、お客様に新たな価値やサービスを提供するために、お客様やお取引先様などの個人情報や営業秘密情報など、業務に必要な重要情報を取り扱っております。これらの情報を正しく管理するため、情報管理に関する規程をグループ全体として整備するとともに、各社において情報管理統括責任者を任命し、情報管理委員会による重要情報の整備、及び人的、組織的、物理的、技術的な安全対策を統合的に実施しております。

 

当社グループでは2019年7月、バーコード決済サービス「7pay(セブンペイ)」を開始いたしましたが、一部アカウントに対する不正アクセスが発生したことを受け、その対応について検討を重ねた結果、既存のスキームに基づいたサービスの継続は困難であるとの判断に至り、2019年9月30日をもって当該サービスを廃止いたしました。再発防止策として、セキュリティに関するポリシー、ガイドライン等の再整備、セキュリティについて専門性を有する人財を拡充し、セキュリティ意識をグループ内に浸透させるための社内教育等の取り組み等の対応を進めております。特に、サイバーセキュリティへの対策強化として、「グループIT戦略推進本部(現:グループDX戦略本部)」に、サイバーセキュリティを担う専門組織を設置し、情報システム及びその運用のセキュリティレビューを行うとともに、第三者機関による脆弱性診断や不正アクセスの監視、脆弱性への対応など、セキュリティ事故を防ぐためのサイバーセキュリティ対策の向上に努め、グループの情報セキュリティに関する業務を統括する「セキュリティ統括室」を業務執行から独立した組織として設定いたしました。当社は、情報セキュリティが、お客様に提供するサービスとして欠かせないものであるという認識を踏まえ、情報セキュリティの強化をより一層図ってまいります。

しかしながら、このような対策を行ったとしても、外部からの攻撃は日々多様化・高度化しており、また内部の人為ミスや委託先の管理不備などにより重要な情報が外部に流出するリスクや改ざんされるリスクは完全に回避できるものではなく、被害の規模によってはお客様やお取引先様などからの損害賠償請求や信用の失墜により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

10.事業継続リスク(災害、パンデミックを含む) 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループの本社及び主要な事業の店舗等は日本にあるほか、世界各地で事業を展開しています。また、ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループでは、風水害の被害が発生した場合、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で早期の店舗復旧及び営業再開が求められます。台風の進路予想等事前情報に基づいて、当社及び当社の連結子会社一体となって事前対策会議を実施し、想定する被害状況、対策本部の設置及び営業継続判断等を検討する仕組みを運用しております。

しかしながら、地震、台風、洪水、津波、気候変動に伴う異常気象の頻発等の自然災害、火災、停電、原子力発電所事故、戦争、テロ行為等の違法行為により、サプライチェーンの寸断や事業活動の停止、施設の改修に係る多額の費用が発生し、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、コンビニエンスストア事業やスーパーストア事業を始め主要な事業の店舗等が集中している首都圏において大きな災害等が発生した場合、その影響も大きくなることが予想されます。

 

11.商品の品質管理・表示リスク 関連する戦略:①②③④

当社グループは、関係法令の規制に基づき、食品衛生に関わる設備の充実、QC説明会等、取引先を含めた一貫した商品管理の徹底、CSR監査等のチェック体制の確立など、お客様に安全な商品と正確な情報を伝えるよう努めていますが、当社グループの取組みを超えた問題が発生した場合には、それによる当社グループの商品に対する信頼の低下、対応コストの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、セブンプレミアムやグループ各社のオリジナル商品をさらに拡大して、新しい価値、上質の商品やサービスをお客様に提供し続けることに挑戦していますが、当社グループの取扱商品について重大な事故等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

12.システムリスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、事業活動を遂行するために多数のITシステムを保有しております。各種システムが安定的に稼働できるように、要件定義・設計段階からのレビュー、リリース前の十分なテストの実施、システムの冗長化、ネットワークの冗長化、運用状況のモニタリング等の対策を講じております。加えて、SOC(Security Operation Center)による外部からのサイバー攻撃の監視、監視結果に基づく対応、専門家によるセキュリティレビューの実施等の、セキュリティ対策を実施しております。また、不測の事態発生時に、事業を継続するための体制の整備に取り組んでおります。しかしながら、これらの対策を講じていたとしても、台風、地震等の災害、停電、ハードウェアの多重障害、人為的なミス、サイバー攻撃によるネットワークやシステムへの不正アクセス等によりシステム障害が起こりえます。システム障害が発生した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

① 経営成績

当連結会計年度における国内及び海外経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続きました。また国内個人消費におきましては、持ち直しの動きが見られるものの、感染症影響の収束の見通しが立っておらず、依然先行き不透明な状況が続いております。

このような環境の中、当社グループは、お客様と従業員の安全確保を最優先に、基本方針として掲げる「信頼と誠実」「変化への対応と基本の徹底」を体現し、中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現に取り組んでおります。

これらの結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2020年2月期

2021年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

営業収益

6,644,359

97.8%

5,766,718

86.8%

営業利益

424,266

103.1%

366,329

86.3%

経常利益

417,872

102.8%

357,364

85.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

218,185

107.5%

179,262

82.2%

 

為替レート

U.S.$1=109.03円

U.S.$1=106.76円

1元=15.78円

1元=15.48円

 

なお、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社セブン‐イレブン・沖縄及び7-Eleven, Inc.における加盟店売上を含めた「グループ売上」は、11,044,874百万円(前年同期比92.1%)となりました。また、当連結会計年度における為替レート変動に伴い、営業収益は494億円、営業利益は21億円減少しております。

当連結会計年度における事業部門別の営業概況は以下のとおりです。

(セグメント別営業収益)

 

 

 

(単位:百万円)

 

2020年2月期

2021年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

国内コンビニエンスストア事業

971,236

101.7%

920,832

94.8%

海外コンビニエンスストア事業

2,739,833

97.1%

2,191,383

80.0%

スーパーストア事業

1,849,121

97.2%

1,810,884

97.9%

百貨店事業

577,633

97.6%

425,153

73.6%

金融関連事業

217,367

101.1%

198,927

91.5%

専門店事業

339,660

95.6%

263,803

77.7%

その他の事業

25,202

106.2%

22,011

87.3%

調整額(消去及び全社)

△75,695

△66,277

合 計

6,644,359

97.8%

5,766,718

86.8%

 

(セグメント別営業利益)

 

 

 

(単位:百万円)

 

2020年2月期

2021年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

国内コンビニエンスストア事業

256,601

104.0%

234,258

91.3%

海外コンビニエンスストア事業

102,001

110.6%

98,097

96.2%

スーパーストア事業

21,307

100.6%

29,683

139.3%

百貨店事業

797

21.3%

△6,248

金融関連事業

53,610

101.4%

48,077

89.7%

専門店事業

4,690

70.2%

△13,572

その他の事業

1,554

58.5%

1,944

125.1%

調整額(消去及び全社)

△16,296

△25,911

合 計

424,266

103.1%

366,329

86.3%

 

(a)国内コンビニエンスストア事業

国内コンビニエンスストア事業における営業収益は920,832百万円(前年同期比94.8%)、営業利益は234,258百万円(同91.3%)となりました。

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、社会構造変化に伴うお客様ニーズの変化に対応する商品開発・販売及び既存商品の品質向上への取組みに加え、加盟店の持続的な成長に向けて2019年4月に発表した「行動計画」を遂行しております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛及び在宅勤務の拡大により、客数等に大きな影響がありましたが、お客様の行動変化に対応した商品開発及び品揃え強化に加え、加盟店に対する感染防止対策物資の支給や経済的支援の実施等、加盟店経営のサポートにも注力いたしました。

しかしながら、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大による厳しい状況からは回復基調にあったものの、既存店売上は前年を下回り、営業利益は233,321百万円(前年同期比91.9%)、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は4,870,619百万円(同97.2%)となりました。

なお、今後も加盟店とともに持続的な成長を実現するために、昨今の社会的動向等を背景とした経営コミットメント事項を改めて確認し、本部と加盟店との取引方法等についての自主点検の結果を踏まえた対応策を実施いたします。併せて、法令及び社会的倫理・モラルなどを含めた企業コンプライアンスを遵守し、持続可能なガバナンス体制を構築してまいります。

(b)海外コンビニエンスストア事業

海外コンビニエンスストア事業における営業収益は2,191,383百万円(前年同期比80.0%)、営業利益は98,097百万円(同96.2%)となりました。

北米の7-Eleven, Inc.は、ファスト・フード及びプライベートブランド商品の開発・販売に引き続き注力いたしました。米国におきましては、2020年3月に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国家非常事態宣言が出されましたが、政府からの要請もあり、生活必需品を供給すべく営業を継続してまいりました。

当連結会計年度におけるドルベースの米国内既存店商品売上は前年を上回りました。営業利益は、感染症拡大に伴う加盟店に対する経済的支援の実施やM&A案件に係る費用計上等があったものの、ガソリン事業の収益性改善等により、ドルベースでは前年を上回りましたが、為替レートの変動により119,221百万円(前年同期比98.0%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は、3,407,130百万円(同86.6%)となりました。

(c)スーパーストア事業

スーパーストア事業における営業収益は1,810,884百万円(前年同期比97.9%)、営業利益は29,683百万円(同139.3%)となりました。

総合スーパーである株式会社イトーヨーカ堂は、引き続き事業及び店舗構造改革を推進しております。当連結会計年度におきましては、巣籠り需要に対応した食品の売上は伸長したものの、新型コロナウイルス感染症拡大抑止に向けた営業時間の短縮及びアリオにおけるテナント部分の休業等が影響し、テナントを含む既存店売上は前年を下回りました。しかしながら、営業利益は構造改革実施店舗の収益性改善等により、7,781百万円(前年同期比119.3%)となりました。

また、食品スーパーである株式会社ヨークベニマルは、外出自粛に伴う巣籠り需要に対応した品揃えの拡充等により当該期間における既存店売上は前年を上回り、営業利益は16,548百万円(同126.3%)となりました。

 

なお、当セグメントにおいて食品スーパーを展開する株式会社ヨークは、2020年6月1日付で株式会社ヨークマートから商号変更いたしました。当社グループは、首都圏食品マーケットへの対応強化を目的に、株式会社イトーヨーカ堂から「食品館」15店舗及び「ザ・プライス」5店舗を株式会社ヨークへ移管するなど、首都圏食品スーパーマーケット事業を再編いたしました。

(d)百貨店事業

百貨店事業における営業収益は425,153百万円(前年同期比73.6%)、営業損失は6,248百万円(前年同期は797百万円の営業利益)となりました。

株式会社そごう・西武は、株式会社イトーヨーカ堂同様、引き続き事業及び店舗構造改革を推進しており、首都圏に経営資源を集中すべく当該期間において営業不振の5店舗を閉店いたしました。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、客数等に大きな影響が生じた結果、既存店売上は前年を下回りました。営業利益は新型コロナウイルス感染症拡大抑止に向けた営業時間の短縮及び休業等が影響し、前連結会計年度と比べ7,045百万円減の6,691百万円の損失となりました。

(e)金融関連事業

金融関連事業における営業収益は198,927百万円(前年同期比91.5%)、営業利益は48,077百万円(同89.7%)となりました。

株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点の国内ATM設置台数は25,686台(前連結会計年度末差492台増)となったものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛及び一部提携金融機関による手数料体系変更の影響により、1日1台当たりの平均利用件数は89.7件(前年同期差2.3件減)となり、当連結会計年度のATM総利用件数は前年を下回りました。なお、同行における現金及び預け金は、ATM装填用現金を含めて9,254億円となりました。

(f)専門店事業

専門店事業における営業収益は263,803百万円(前年同期比77.7%)、営業損失は13,572百万円(前年同期は4,690百万円の営業利益)となりました。

お客様ニーズに対応した商品政策を引き続き実行いたしましたが、新型コロナウイルス感染症拡大抑止に向けた営業時間の短縮及び休業等により、客数、売上等に大きな影響がありました。特にレストランにおける外出自粛による客数等への影響は大きく、ソーシャルディスタンスを確保するため席数を制限した店舗運営等もあり厳しい経営状況が続いており、コスト削減の対応策として営業不振店を閉店するなど収益性の改善を図りました。

しかしながら、専門店事業の営業利益は前連結会計年度と比べ18,262百万円減の13,572百万円の損失となりました。

(g)その他の事業

その他の事業における営業収益は22,011百万円(前年同期比87.3%)、営業利益は1,944百万円(同125.1%)となりました。

(h)調整額(消去及び全社)

主に、グループ共通基盤システム構築に係る費用等を計上しており、営業損失は前連結会計年度と比べ9,615百万円増25,911百万円となりました。

② 財政状態の状況

(a)資産、負債及び純資産の状況

総資産は、前連結会計年度末に比べ949,945百万円増6,946,832百万円となりました。

流動資産は、主に海外コンビニエンスストア事業におけるSpeedway取得に伴う資金調達による、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ878,302百万円増加いたしました。

固定資産は、主にグループ共通基盤システム構築に伴うソフトウェアの増加等により71,480百万円増加いたしました。

負債は、主に海外コンビニエンスストア事業におけるSpeedway取得資金の一部を、当社が社債及び借入により調達したことにより、前連結会計年度末に比べ875,832百万円増4,115,497百万円となりました。

純資産は、為替換算調整勘定の減少等はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ74,112百万円増2,831,335百万円となりました。

(b)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ828,980百万円増加したことにより、2,183,837百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、539,995百万円の収入(前年同期比93.6%)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が258,776百万円、減価償却費が235,504百万円となりましたが、法人税等の支払額が102,693百万円となったことなどによるものであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、394,127百万円の支出(前年同期比123.9%)となりました。これは、店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出が297,859百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が41,973百万円となったことなどによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、690,542百万円の収入(前年同期は213,204百万円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が93,579百万円、配当金の支払額が87,081百万円となったものの、Speedway取得に伴う資金調達等により短期借入金の純増減額が490,506百万円、社債の発行による収入が349,307百万円となったことなどによるものであります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産及び受注の実績

該当事項はありません。

 

②仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

国内コンビニエンスストア事業

103,520

92.1

海外コンビニエンスストア事業

1,529,545

73.3

スーパーストア事業

1,302,509

97.0

百貨店事業

322,394

73.2

金融関連事業

22,440

98.2

専門店事業

148,668

77.2

その他の事業

1,156

56.9

3,430,235

81.7

(注)1 上記仕入実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。

 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③販売実績

当連結会計年度における売上実績(営業収益のうちの売上高)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

国内コンビニエンスストア事業

144,868

91.5

海外コンビニエンスストア事業

1,911,726

78.2

スーパーストア事業

1,767,180

98.0

百貨店事業

409,805

73.1

金融関連事業

22,329

97.2

専門店事業

261,128

77.6

その他の事業

1,782

77.0

4,518,821

84.8

(注)1 上表国内及び海外コンビニエンスストア事業の売上高には、自営店売上のみが含まれております。

2 上記売上実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

   4 主要な子会社の売上状況は、次のとおりであります。

    (1)国内コンビニエンスストア事業

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

区分

チェーン全店売上(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

加工食品

1,246,878

96.1

25.6

ファスト・フード

1,436,832

93.7

29.5

日配食品

647,792

97.9

13.3

食品計

3,331,503

95.4

68.4

非食品

1,539,115

101.4

31.6

合計

4,870,619

97.2

100.0

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。また、チェーン全店売上は、フランチャイズ・ストア(加盟店)とトレーニング・ストア(自営店)の売上の合計金額であります。

 

    (2)海外コンビニエンスストア事業

7-Eleven, Inc.

区分

チェーン全店売上(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

加工食品

848,435

105.7

24.9

ファスト・フード

244,221

84.5

7.2

日配食品

84,351

88.7

2.5

食品計

1,177,007

99.2

34.6

非食品

777,275

103.1

22.8

商品計

1,954,283

100.7

57.4

ガソリン

1,452,847

72.8

42.6

合計

3,407,130

86.6

100.0

(注) チェーン全店売上は、加盟店と自営店の売上の合計金額であります。

 

    (3)スーパーストア事業

① 株式会社イトーヨーカ堂

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

ライフスタイル

238,816

83.5

22.7

専門店

13,592

100.8

1.3

食品

517,101

100.2

49.1

商品計

769,510

94.3

73.1

テナント

278,428

83.0

26.4

その他

5,345

156.3

0.5

合計

1,053,284

91.2

100.0

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 株式会社ヨークベニマル

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

生鮮食品

169,112

109.5

36.1

加工食品

114,288

107.7

24.4

デイリー食品

94,955

108.8

20.2

食品計

378,356

108.8

80.7

衣料

10,751

91.5

2.3

住居

19,885

104.6

4.2

商品計

408,993

108.0

87.2

テナント

60,064

100.0

12.8

合計

469,057

106.9

100.0

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

    (4)百貨店事業

株式会社そごう・西武

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

衣料

133,435

62.3

31.0

雑貨

43,336

73.9

10.1

食品

95,880

77.5

22.3

商品計

272,652

68.8

63.3

テナント

126,785

78.7

29.4

法人外商

31,260

98.3

7.3

合計

430,698

73.1

100.0

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

(a)営業収益及び営業利益

当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ877,641百万円減少の5,766,718百万円(前年同期比86.8%)、営業利益は、57,936百万円減少の366,329百万円(前年同期比86.3%)となりました。

 

  前連結会計年度

(自 2019年3月1日

 至 2020年2月29日)

  当連結会計年度

(自 2020年3月1日

 至 2021年2月28日)

増減額

営業収益(百万円)

 

 

 

国内コンビニエンスストア事業

971,236

920,832

△50,403

海外コンビニエンスストア事業

2,739,833

2,191,383

△548,449

スーパーストア事業

1,849,121

1,810,884

△38,236

百貨店事業

577,633

425,153

△152,480

金融関連事業

217,367

198,927

△18,439

専門店事業

339,660

263,803

△75,857

その他の事業

25,202

22,011

△3,191

消去及び全社

△75,695

△66,277

9,417

 合  計

6,644,359

5,766,718

△877,641

営業利益(百万円)

 

 

 

国内コンビニエンスストア事業

256,601

234,258

△22,342

海外コンビニエンスストア事業

102,001

98,097

△3,903

スーパーストア事業

21,307

29,683

8,376

百貨店事業

797

△6,248

△7,045

金融関連事業

53,610

48,077

△5,533

専門店事業

4,690

△13,572

△18,262

その他の事業

1,554

1,944

390

消去及び全社

△16,296

△25,911

△9,615

 合  計

424,266

366,329

△57,936

国内コンビニエンスストア事業における営業収益は920,832百万円(前年同期比94.8%)、営業利益は234,258百万円(同91.3%)となりました。

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、社会構造変化に伴うお客様ニーズの変化に対応する商品開発・販売及び既存商品の品質向上への取組みに加え、加盟店の持続的な成長に向けて2019年4月に発表した「行動計画」を遂行しております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛及び在宅勤務の拡大により、客数等に大きな影響がありましたが、お客様の行動変化に対応した商品開発及び品揃え強化に加え、加盟店に対する感染防止対策物資の支給や経済的支援の実施等、加盟店経営のサポートにも注力いたしました。

しかしながら、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大による厳しい状況からは回復基調にあったものの、既存店売上は前年を下回り、営業利益は233,321百万円(前年同期比91.9%)、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は4,870,619百万円(同97.2%)となりました。

なお、今後も加盟店とともに持続的な成長を実現するために、昨今の社会的動向等を背景とした経営コミットメント事項を改めて確認し、本部と加盟店との取引方法等についての自主点検の結果を踏まえた対応策を実施いたします。併せて、法令及び社会的倫理・モラルなどを含めた企業コンプライアンスを遵守し、持続可能なガバナンス体制を構築してまいります。

 

海外コンビニエンスストア事業における営業収益は2,191,383百万円(前年同期比80.0%)、営業利益は98,097百万円(同96.2%)となりました。

北米の7-Eleven, Inc.は、ファスト・フード及びプライベートブランド商品の開発・販売に引き続き注力いたしました。米国におきましては、2020年3月に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国家非常事態宣言が出されましたが、政府からの要請もあり、生活必需品を供給すべく営業を継続してまいりました。

当連結会計年度におけるドルベースの米国内既存店商品売上は前年を上回りました。営業利益は、感染症拡大に伴う加盟店に対する経済的支援の実施やM&A案件に係る費用計上等があったものの、ガソリン事業の収益性改善等により、ドルベースでは前年を上回りましたが、為替レートの変動により119,221百万円(前年同期比98.0%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は、3,407,130百万円(同86.6%)となりました。

スーパーストア事業における営業収益は1,810,884百万円(前年同期比97.9%)、営業利益は29,683百万円(同139.3%)となりました。

総合スーパーである株式会社イトーヨーカ堂は、引き続き事業及び店舗構造改革を推進しております。当連結会計年度におきましては、巣籠り需要に対応した食品の売上は伸長したものの、新型コロナウイルス感染症拡大抑止に向けた営業時間の短縮及びアリオにおけるテナント部分の休業等が影響し、テナントを含む既存店売上は前年を下回りました。しかしながら、営業利益は構造改革実施店舗の収益性改善等により、7,781百万円(前年同期比119.3%)となりました。

また、食品スーパーである株式会社ヨークベニマルは、外出自粛に伴う巣籠り需要に対応した品揃えの拡充等により当該期間における既存店売上は前年を上回り、営業利益は16,548百万円(同126.3%)となりました。

なお、当セグメントにおいて食品スーパーを展開する株式会社ヨークは、2020年6月1日付で株式会社ヨークマートから商号変更いたしました。当社グループは、首都圏食品マーケットへの対応強化を目的に、株式会社イトーヨーカ堂から「食品館」15店舗及び「ザ・プライス」5店舗を株式会社ヨークへ移管するなど、首都圏食品スーパーマーケット事業を再編いたしました。

百貨店事業における営業収益は425,153百万円(前年同期比73.6%)、営業損失は6,248百万円(前年同期は797百万円の営業利益)となりました。

株式会社そごう・西武は、株式会社イトーヨーカ堂同様、引き続き事業及び店舗構造改革を推進しており、首都圏に経営資源を集中すべく当該期間において営業不振の5店舗を閉店いたしました。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、客数等に大きな影響が生じた結果、既存店売上は前年を下回りました。営業利益は新型コロナウイルス感染症拡大抑止に向けた営業時間の短縮及び休業等が影響し、前連結会計年度と比べ6,863百万円減の6,691百万円の損失となりました。

金融関連事業における営業収益は198,927百万円(前年同期比91.5%)、営業利益は48,077百万円(同89.7%)となりました。

株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点の国内ATM設置台数は25,686台(前連結会計年度末差492台増)となったものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛及び一部提携金融機関による手数料体系変更の影響により、1日1台当たりの平均利用件数は89.7件(前年同期差2.3件減)となり、当連結会計年度のATM総利用件数は前年を下回りました。なお、同行における現金及び預け金は、ATM装填用現金を含めて9,254億円となりました。

専門店事業における営業収益は263,803百万円(前年同期比77.7%)、営業損失は13,572百万円(前年同期は4,690百万円の営業利益)となりました。

お客様ニーズに対応した商品政策を引き続き実行いたしましたが、新型コロナウイルス感染症拡大抑止に向けた営業時間の短縮及び休業等により、客数、売上等に大きな影響がありました。特にレストランにおける外出自粛による客数等への影響は大きく、ソーシャルディスタンスを確保するため席数を制限した店舗運営等もあり厳しい経営状況が続いており、コスト削減の対応策として営業不振店を閉店するなど収益性の改善を図りました。

しかしながら、専門店事業の営業利益は前連結会計年度と比べ18,262百万円減の13,572百万円の損失となりました。

(b)営業外損益及び経常利益

営業外損益は、前連結会計年度の6,393百万円の損失(純額)から8,965百万円の損失(純額)となりました。これは受取利息が減少した一方、支払利息が増加したことなどによるものであります。

この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ60,508百万円減少の357,364百万円となりました。

 

(c)特別損益及び税金等調整前当期純利益

特別損益は、前連結会計年度の71,403百万円の損失(純額)から98,588百万円の損失(純額)となりました。これは新型コロナウイルス感染症による損失が増加したことなどによるものであります。

この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ87,693百万円減少の258,776百万円となりました。

(d)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等は、前連結会計年度に比べ46,824百万円減少64,439百万円となりました。これはCARES Actによる影響などにより減少したものであります。また、税効果会計適用後の負担率は24.9%となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ38,923百万円減少の179,262百万円となりました。1株当たり当期純利益は、203.03円となり、前連結会計年度の246.95円に比べ43.92円減少しました。

② 財政状態の分析

(a)資産、負債及び純資産の状況

 

前連結会計年度

(2020年2月29日)

当連結会計年度

(2021年2月28日)

増減額

総資産(百万円)

5,996,887

6,946,832

949,945

負 債(百万円)

3,239,665

4,115,497

875,832

純資産(百万円)

2,757,222

2,831,335

74,112

総資産は、前連結会計年度末に比べ949,945百万円増加して6,946,832百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金が831,418百万円、ATM仮払金が63,413百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が33,773百万円減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ878,302百万円増加し、3,350,223百万円となりました。

有形固定資産は、新規出店や既存店投資などにより22,647百万円の増加となりました。無形固定資産は、グループ共通基盤システム構築などにより36,989百万円の増加となりました。また、投資その他の資産においては、株式会社セブン銀行が取得する地方債や社債が増加したことなどにより11,843百万円増加しております。これらの結果、固定資産は前連結会計年度末に比べ71,480百万円増加し、3,594,022百万円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ875,832百万円増加し、4,115,497百万円となりました。

流動負債は、短期借入金がSpeedway取得に伴うブリッジローンによる借入金などにより490,497百万円増加し、銀行業における預金が86,386百万円、一年内返済予定の長期借入金が58,310百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ625,261百万円増加し、2,782,433百万円となりました。

固定負債は、社債がSpeedway取得に伴う無担保社債の発行などにより283,084百万円増加した一方、長期借入金が40,559百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ250,570百万円増加し、1,333,063百万円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ74,112百万円増加し、2,831,335百万円となりました。

利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による179,262百万円の増加、配当金の支払いによる87,134百万円の減少などにより、前連結会計年度に比べ91,885百万円増加しております。

為替換算調整勘定は、主に7-Eleven, Inc.の財務諸表の換算などより、48,350百万円減少しております。

これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ75.85円増加し3,022.68円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の43.4%から38.4%となりました。

(b)キャッシュ・フローの状況

 

  前連結会計年度

(自 2019年3月1日

 至 2020年2月29日)

  当連結会計年度

(自 2020年3月1日

 至 2021年2月28日)

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

576,670

539,995

△36,675

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△318,047

△394,127

△76,079

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△213,204

690,542

903,747

現金及び現金同等物の期末残高(百万円)

1,354,856

2,183,837

828,980

現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンを中心とする店舗の新規出店及び改装などに伴う支出がありましたが、Speedway取得に伴う資金調達や国内及び海外コンビニエンスストア事業を中心とした高い営業収益力によりキャッシュ・フローを創出したことなどにより、前連結会計年度末に比べ828,980百万円増加し、2,183,837百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得た資金は、前連結会計年度に比べ36,675百万円減少し、539,995百万円となりました。これは、売上債権の増減額が47,853百万円増加した一方、税金等調整前当期純利益が87,693百万円、預り金の増減額が46,212百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は、前連結会計年度に比べ76,079百万円増加し、394,127百万円となりました。これは、主に海外コンビニエンスストア事業における連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得が41,973百万円増加したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によって得た資金は、前連結会計年度に比べ903,747百万円増加し、690,542百万円となりました。これは、主にSpeedway取得に伴う資金調達により、短期借入金の純増減額が504,213百万円、社債の発行による収入が349,307百万円増加したことなどによるものであります。

③ 戦略的現状と見通し

次期の見通しにつきましては、国内において感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、持ち直しの動きが期待されるものの、個人消費におきましては、依然として先行き不透明な状態が想定されます。また、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響にも留意する必要があります。

(a)国内コンビニエンスストア事業

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、従来から起きている少子高齢化や単身世帯の増加、働く女性の増加といった国内の社会構造変化に加え、コロナ禍による消費行動の変化を踏まえ、改めて将来に向けてのコンビニエンスストアの存在意義を見直し、商品・サービスの継続的な質の向上による顧客体験価値の提供を通じて加盟店との共存共栄を図ります。

これまでの取り組みにより構築された加盟店との信頼関係と2019年10月に発表した構造改革の成果を基盤とし、2022年2月期より再成長に向けた取り組みを推進してまいります。新型コロナウイルス感染症の影響が残り先行き不透明な経営環境の中で、お客様ニーズに合わせた新たな店舗レイアウトの展開加速や店舗の作業効率改善によるお客様へのサービスの質向上により収益性の改善を図ります。また、廃棄ロスの削減に向けた取り組みに注力するなど、環境負荷の低減にも積極的に取り組んでまいります。

更に、特に需要が高まっているラストワンマイルの取り組みとして、セブン-イレブンネットコンビニの取扱店舗を約1,000店へ拡大してまいります。これにより、一層の利便性向上と社会課題解決を図ってまいります。

 

(b)海外コンビニエンスストア事業

北米の7-Eleven, Inc.は、米国Marathon Petroleum Corporationからのコンビニエンスストア事業等に関する株式その他の持分を取得する取引の完了に伴い、Speedway事業とのシナジー創出に向けて統合を進めてまいります。Speedwayが持つブランドロイヤリティや立地を活かした集客力に加え、Speedway店舗に7-Eleven, Inc.のファスト・フード商品やプライベートブランド商品の導入を推進することなどによりシナジー発現の最大化及び早期化を図ります。またコロナ禍を契機に変化した消費者心理とコンビニエンスストアの使われ方に対応した商品開発、品揃え、サービス拡充等による利便性向上に努めてまいります。

(c)スーパーストア事業

株式会社イトーヨーカ堂は、2019年10月に発表した事業構造改革計画に基づき、引き続き選択と集中を進めます。食品館、ザ・プライスの株式会社ヨークへの移管は2020年6月に完了し、不採算店舗の閉店及び外部連携を含めた検討は予定通り進捗しております。並びに、本部や人員の適正化についても計画通り進捗しており、収益の安定化に向けた基盤作りを進めてまいります。一方、コロナ禍による消費行動の変化に伴い改めてワンストップショッピングの価値が見直されている状況に対応すべく、商圏ニーズに合わせた館づくりの視点で店舗構造改革を推進してまいります。併せて、ITを活用し店舗運営による業務の効率化を図り、収益性の改善に努めてまいります。

株式会社ヨークベニマルは、引き続き差別化された商品の開発、市場環境に対応した価格提案商品等により、地域のニーズに対応した品揃えの強化に努めてまいります。また、積極的な既存店の活性化に加え、新規出店につきましては一層効率性を重視してまいります。

なお、同社の100%子会社である株式会社ライフフーズを2022年3月1日付けで吸収合併することを決定いたしました。株式会社ヨークベニマルは、成長性の高いデリカテッセンの製販一体のビジネスモデルをコア事業とし、今後予想される厳しいマーケット環境の中で優位性を確保することで、生活提案型の食品スーパーマーケットとして継続的に成長することを目指してまいります。

(d)百貨店事業

株式会社そごう・西武は、2019年10月に発表した事業構造改革計画に基づき、選択と集中を進めてまいりました。また、ローコストオペレーションモデルとして2019年11月にリニューアルオープンした西武所沢S.C.の店舗運営ノウハウを他店に展開することで一層のコスト削減による収益性改善と、商業施設としての価値向上に努めてまいります。

(e)金融関連事業

金融関連事業におきましては、引き続きATMサービスの拡充に加え、電子マネー及びクレジットカード事業等に注力してまいります。

(f)専門店事業

株式会社セブン&アイ・フードシステムズは、コロナ禍において特に飲食店に対する営業時間短縮の影響を大きく受けており、今後も感染者数の増加に応じ営業制限が余儀なくされる厳しい状況が予想されます。そのような環境においてテイクアウトや宅配ニーズに対応したサービスの提供を強化してまいります。

④ 資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店、店舗改装及びソフトウェア投資等の設備投資、M&A等によるものであります。

なお、当連結会計年度中に実施した設備投資に必要な資金は、金融機関からの借入金及び自己資金により充当いたしました。また、当社は7-Eleven, Inc.によるSpeedway取得資金の一部として、ブリッジローンによる借入及び普通社債の発行により8,320億円を調達しております。

 

財務政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っております。

長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

財務方針については、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターンを拡大するとともに、キャッシュ・フローの創出力を高めることを基本方針としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,793,364百万円となっております。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターン(利益)を拡大するとともに、キャッシュフローの創出力を高めることを基本方針とし、連結KPIとして、連結自己資本当期純利益率(ROE)、ROICスプレッド、EPS成長率、フリーキャッシュフロー水準及びDebt/EBITDAを設定しております。

また、7-Eleven, Inc.は、2020年8月3日付で、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。)との間で、同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業 (但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。) を運営する複数の会社の株式その他持分を取得する契約を締結し、7-Eleven, Inc.の完全子会社として設立されたSEI Speedway Holdings, LLCを通じて、2021年5月14日付で当該取得を完了いたしました。なお、当該取得について、米連邦取引委員会(FTC)の委員2名から特定の地域において競争法上の懸念が存在することを表明する声明がありましたが、当該取得は、待機期間を終了し、2021年5月14日付で適法に完了しております。本件につきましては、7-Eleven, Inc.は関係政府機関と密に連携しており、また今後も密に連携いたします。また、このようなプロセスを考慮し、新中期経営計画は、公表を延期しております。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

新型コロナウィルス感染症拡大にともなう会計上の見積り

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響が当連結会計年度以後においても一定期間は残るとの仮定を減損損失の判定に用いるなど、会計上の見積りを会計処理に反映しております。

また、2021年4月25日には3回目の緊急事態宣言が発令され、当社グループにおいて一部店舗の休業・営業時間の短縮等が発生したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多いことから、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

固定資産の減損処理

減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能性まで減額し、減損損失を計上することとしています。

減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更を生じ回収可能額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)グループ経営管理契約

当社は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル及びその他の子会社21社との間で、当社が各社に対して行う経営管理に関し、それぞれ「グループ経営サービス等の提供に関する基本契約書」を締結しております。

(2)加盟店契約

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとコンビニエンスストア加盟店との加盟店契約の要旨は、次のとおりであります。

① 当事者(株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと加盟者)の間で、取り結ぶ契約

(a)契約の名称

加盟店基本契約(書)及びその付属契約(書)

(b)契約の本旨

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの許諾によるコンビニエンスストア経営のためのフランチャイズ契約関係を加盟者と形成すること。

② 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、開業時在庫の買取りを求める以外、爾後商品の販売はせず、加盟者は株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの推薦する仕入先その他任意の仕入先から商品を買取ります。

③ 経営の指導に関する事項

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは継続的に担当者を派遣して、店舗・商品・販売の状況を観察させて助言・指導を行い、または経営上生じた諸問題の解決に協力する他、販売情報等の資料の提供、効果的な標準小売価格の開示、各種仕入援助、広告宣伝、経営相談、計数管理のための計数等の作成提供を行い、商品仕入等についての与信等のサービスを継続的に行います。

④ 使用させる商標、商号その他の表示に関する事項

コンビニエンスストア経営について“セブン‐イレブン”の商標その他営業シンボル、著作物の使用をすることが許諾されます。

⑤ 契約の期間等に関する事項

契約の期間は、加盟店として新規開店の初日から向こう15ヶ年間です。契約の更新は、協議し、合意にもとづいて行われます。

⑥ 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項

月間売上総利益(月間売上高から、月間売上商品原価(商品の総売上原価から品減り、不良品各原価及び仕入値引金を差引いた純売上原価)を差引いたもの)を基に一定の計算をして算出した金額を、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンが実施するサービスの対価として支払います。

(3)株式その他の持分を取得する契約

当社の連結子会社である7-Eleven, Inc.は、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。)との間で、同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業(但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。)を運営する複数の会社の株式その他持分を取得する契約を2020年8月3日付で締結し、7-Eleven, Inc.の完全子会社として設立されたSEI Speedway Holdings, LLCを通じて2021年5月14日付で、当該取得の手続きを完了いたしました。同時に、取得した店舗への今後15年間におけるガソリン供給契約を同社と締結いたしました。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。