第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  会社の経営の基本方針

「企業のIT支援を通し、『人々』『社会』を幸せにしたい」を経営理念としております。
この達成に向け、常に顧客視点に立ち、企業のIT戦略と情報システム部門を誠心誠意支援し、提供するサービスの品質と顧客満足度の向上、そして新たな価値創造を追求し続けます。企業のIT支援を通して、そこに関わる人々、社会に幸せをもたらすお手伝いをしてまいります。
 

(2)  目標とする経営指標

当社は持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、5つの指標(売上高、営業利益、経常利益、EBITDA、ROE)を経営上の重要指標として採用しております。これらの指標管理を通じて、持続的成長、既存及び新規事業における収益性管理、資本効率を意識した経営を行い、既存事業及び新規事業・投資に係る事業ポートフォリオ管理を行うとともに、持続的な企業価値の向上と株主還元を図ってまいります。

 

(3)  優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、ITサブスクリプションを中心としたストック収益拡大に加え、ITAD事業による安定した収益基盤の確立を最も重要な経営課題と位置付け、これらの事業を通じた持続的な成長に取り組んでおります。PC調達方法としてのサブスクリプションの認知度向上や、IT部門の人材不足や業務負荷の増大を背景に、LCMサービスを包含したITサブスクリプション、BPOサービスへのニーズが急速に高まっております。また同時に、企業のIT運用におけるセキュリティ強化やガバナンス対応、CO2削減などの環境問題の観点から、データ消去等のITADサービスやリユースのニーズも拡大しております。

 

特に、2025年10月に予定されている Windows 10 サポート終了に向けたPC更新・入替需要の拡大期において、これらのニーズはさらに増大すると予想されます。加えて、更新拡大期を越えた後もIT運用業務のBPOサービスのニーズは持続し、安定した成長が見込まれております。さらに、こうした社会環境を追い風に、ITサブスクリプション事業とITAD事業のクロスセルを進めることで、当社事業セグメント間のシナジーを最大化し、持続的な収益拡大と企業価値の向上を目指してまいります。

 

この事業環境を踏まえ、以下を重点課題として取り組んでいく所存です。

 

①成長機会に備えたインフラの整備とDX推進(設備投資・AI活用)

②人的資本経営の推進(人材確保・リスキリング・賃上げ・エンゲージメント向上)

③ストック収益の拡大(サブスクリプション型サービスの拡大)

④LCMサービスの推進(運用保守管理、ヘルプデスク、データ消去、排出管理BPOサービス、クラウドサービス等)

⑤資産効率・収益性の向上

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、「企業のIT支援を通し、『人々』『社会』を幸せにしたい」を経営理念として掲げ、サステナブルな社会の実現に寄り添いながら事業展開を行っております。

 

(1)  ガバナンス

サステナビリティに関する基本方針や重要課題等を決定するための意思決定機関として、定時取締役会を月1回開催しております。

また、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスクマネジメント委員会を設置し、サステナビリティ関連を含むリスク全般の認識と対応策の整備を行うとともに、定期的に取締役会へ報告する体制を整えております。

 

(2)  リスク管理

当社グループでは事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な対応を行うことを目的とした「リスク管理規程」を定めております。また、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会を3ヶ月に1回開催し、各部門で発生したインシデント報告等に基づきリスクを識別・評価し改善策を講じております。さらに、インシデントの発生状況や改善対策について定期的に取締役会へ報告することとしております。

 

(3)  戦略

① 環境に関する取組

a.循環型社会・CO2削減の推進

当社グループの事業は、シェアリングエコノミー・サーキュラーエコノミーの実現と一致しており、当社グループの事業推進が環境負荷を低減しつつ経済活動を発展させる持続可能な社会へ寄与しています。なお、昨年度のリユースによるCO2削減量は5,200tと試算しております。

 

b.プラスチック使用量の大幅削減と輸送効率向上の取組

当社グループでは、主要拠点における顧客向け製品配送時の緩衝材および段ボールの仕様見直しを2023年5月に実施しました。緩衝材は従来のプラスチック素材から再生紙に変更し、プラスチック使用量を大幅に削減することで、環境負荷の低減を図っています。また、段ボールは容量を約20%縮小したサイズへ変更し、輸送効率の向上にも寄与しています。

 

c.リユースPC寄贈の取組

当社グループは、「認定NPO法人CLACK」とパートナーシップを組み、経済的・環境的に困難を抱える高校生に使用済みPCを寄贈する「PC寄贈プロジェクト」を推進しています。

寄贈PCは、当社グループにてデータ消去・クリーニングを行った後、「認定NPO法人CLACK」が経済的・環境的に困難を抱える家庭の高校生を対象に行うプログラミング教室にて使用されております。

 

 

②人的資本に関する取組

a.人事・給与制度の改正

当社グループは、経営方針として「全従業員総活躍企業」を掲げ、人的資本が企業の持続的成長に不可欠であると考えております。

このような考えのもと、2023年8月より企業理念・行動指針・事業戦略と連動した人事・給与制度へ改正し、各等級(職位)に期待される「役割」「意識と行動」「スキル」を設け、貢献度に応じた公正な評価を実施しております。

これにより、従業員のモチベーションの向上を図るとともに、性別や年齢、経験年数によらず能力やスキルに応じて活躍できる環境を整えております。

 

b.エンゲージメントの向上

2022年6月から、原則として年2回、エンゲージメント・360度調査を実施しております。調査結果は取締役会及び各担当部門へフィードバックされ、従業員のエンゲージメント向上や職場環境の継続的な改善に役立てられております。

 

c. DXプロジェクトの推進・DX人材の育成

当社のDXプロジェクトは、各部門で自動化が可能な業務について、ローコードやRPAツールを活用しながら自動化を進めていくことにより、生産性向上・サービスの高付加価値化、及びDX人材育成を目的とした取り組みです。同プロジェクトは、2022年に開始され、既に多くの従業員が自発的に参加しています。成果は人事評価に反映し、優秀な成果は社内で表彰するなど、主体的にDXに取り組む雰囲気を醸成しながら、プロジェクトを推進しております。

 

d.社内研修・リスキング制度

2024年9月より、全従業員を対象に生成AI研修を実施し、生成AIの業務活用を促進することで、生産性向上及び業務改革を推進する企業文化の醸成に取り組んでいます。あわせて、e-ラーニングの活用や外部研修の受講も積極的に実施しており、従業員の学び直しによるスキルアップ、育成、適材配置、ならびに離職防止を推進しています。

 

e.女性の活躍を推進

女性の積極的な採用を進め、特に管理職候補となる層の育成を目指しております。昇進時には男女平等に機会を提供し、透明な評価基準を設け公正な昇進を推進しております。

また、女性が管理職や専門職に進むための支援策を拡充し、賃金向上の機会を拡大してまいります。なお、当社では、女性従業員のみで構成する「女性活躍委員会」を設置しており、女性がキャリアを継続しやすい環境整備に取り組んでおります。

 

(4)指標及び目標

指標に関する目標及び実績は、以下のとおりです。次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

指標

目標

2024年度実績

管理職に占める女性労働者の割合

2028年度まで30

27.1

男性労働者の育児休業取得率

毎期75以上

75.0

労働者の男女の賃金の差異

2028年度まで90

85.6

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況、株価等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  情報セキュリティに関するリスク

① 情報漏えいリスク

当社グループは、多くのお客様情報を取り扱っており、特にITAD事業において、データ消去サービスの対象となる使用済みIT機器には、機密情報や個人情報が含まれております。これら情報の漏洩リスクに対し、以下のような総合的な対策を講じています。

・情報セキュリティ管理体制の構築(ISMS(ISO27001)の認証取得、ISO対策室の設置)

・テクニカルセンターの物理的セキュリティ対策(入退室管理、監視体制強化)

・社内教育の徹底と厳重な内部監査の実施

・外部からの不正アクセス防止及びデータ保護措置の徹底

このように当社グループでは、お客様の機密情報や個人情報の保護・管理に徹底して取り組んでおりますが、万が一、情報漏えいが発生した場合には、信用失墜、法的責任、賠償費用の発生など、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

②サイバー攻撃等のリスク

昨今、サイバー攻撃やマルウェア感染、ランサムウェアによるデータ暗号化、DDoS攻撃など、ネットワークを介した外部からの脅威に対するリスクが高まっています。これらの攻撃は、情報漏えいのみならず、システム停止やデータ改ざんといった重大な被害を引き起こす可能性があります。

当社はこれらのリスクに対し、以下のような包括的な対策を講じています。

・侵入検知システムによる(IDS/IPS)ネットワーク防御

・WEBフィルタリングによる危険なサイトへのアクセス制限

・エンドポイントセキュリティ対策によるリアルタイム保護

・OSやアプリケーションの脆弱性対策

・バックアップによるデータ保護

・作業ログの取得と不正操作やセキュリティリスクの監視

・セキュリティインシデントへの迅速な対応体制の構築

・外部専門家によるセキュリティ評価と改善

それでもなお、未知の攻撃手法やゼロデイ脆弱性を悪用した高度な攻撃により、システム障害や情報漏えいが発生した場合、当社グループの業績や信用に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)  IT技術の急速な革新と進化に関するリスク

IT関連の技術革新のスピードは大変速く、一般的には、新製品・サービスの陳腐化、価格下落につながる可能性があります。これに対し、当社グループは、IT技術の急速な進化に対応するため、「ハードウェア」「IT技術」「物流・設備」から成る独自のサービスモデルを強みとしています。また、AI等の新技術については、積極的活用により各業務に取り込み、当社サービスの優位性拡大や効率化向上、加えて新サービスの創出を図っていく方針です。しかしながら、想定を超える急激な変化・技術革新が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)  IT技術人材の確保に関するリスク

IT技術者の確保と育成は当社グループの持続的成長にとって極めて重要です。当社は、IT技術者の積極的採用や新卒社員のIT技術研修、資格取得奨励制度などを通じて、技術力の強化に努めています。しかしながら、今後、人材の育成や確保が進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約となり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)  サブスクリプション資産の保有リスク

ITサブスクリプション事業においては、メーカー・ディストリビューター各社からサブスクリプション資産(貸借対照表の勘定科目はレンタル資産)を調達し、顧客企業へ提供しております。調達は顧客企業からの受注に基づく発注・確保が大半となりますが、市場動向・受注予測・資産稼働状況に基づいた追加確保も一部行っております。その資産稼働率を重要指標として管理を強化するとともに業務のデジタル化・効率化を推進した結果、資産稼働率は向上し、高い水準を維持できる体制を整備いたしました。しかしながら、半導体需給等に起因する調達の不確実性、技術革新による保有資産の陳腐化、稼働率の低下等が生じた場合には減損損失が発生し資産評価額が下落するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)  金利変動リスク

当社グループは、金融機関からの借入金により、ITサブスクリプション事業に必要な資金を調達しております。基本的に固定金利での資金調達を行っておりますが、今後の金融市場の不透明性やインフレリスク、金利政策の変更などにより、調達コストが増加し、財務負担が増大する可能性があります。また、急激な金利上昇や金融市場の混乱が発生した場合、利益率の低下や財政状況の悪化が懸念され、それらが当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)  貸倒発生リスク

サブスクリプションは信用を供与する取引であり、取引先からレンタル料の金額を回収して初めて収益が確保されます。当社のIT機器サブスクリプションは、中堅から大企業を中心とした信用力の高い法人を中心にサービスを提供しており、貸倒発生は実績・リスクともに極めて低い状況にあります。また、万一、サブスクリプション料の不払・倒産等が発生した場合、契約を解除しレンタル資産を速やかに回収することで貸倒を最小限化するとともに、他の顧客へ再提供を行うことにより、可能な限りレンタル資産の収益化を図ることとしております。加えて、新規取引先及び既存取引先に対する与信管理を徹底して行うことで貸倒リスクの極小化に努めております。しかしながら、顧客企業の業績の急激な悪化や倒産等による大規模な貸倒が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)  中古品等の法律に関するリスク

① 古物営業法

当社グループは、古物営業法第3条に基づき、営業拠点ごとに許可を取得し、事業を展開しております。古物営業法は盗品の流通防止と迅速な発見を目的としており、当社グループは厳格な防止措置を講じています。しかしながら、将来、当社グループが何らかの理由により同法に違反し、許可の取り消し及び営業の停止、刑事罰等の処分を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

② 廃棄物の処理及び清掃に関する法律

当社グループの事業活動に伴い発生する廃棄物には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく産業廃棄物が含まれます。当社グループは、廃棄物の適切な処理、従業員教育の徹底、内部監査の実施などにより法令遵守に努めています。それでもなお、今後の法改正や規制強化に迅速に対応できなかった場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)  自然災害、感染症等によるリスク

当社グループでは、地震や大規模な水害、火災・爆発といった自然災害に対する備えとして、防災組織を編成し、定期的な訓練を実施することで、従業員と施設の安全を確保する取り組みを行っています。また、これらの自然災害や新型コロナウイルス等の感染症に対しても、事業継続計画(BCP)を策定し、重要業務のバックアップ体制の構築、リモートワークの導入、サプライチェーンの強化や在庫管理の最適化、迅速な情報共有と意思決定体制の強化などを通じて、事業の中断を防ぐための対応体制を整備しています。しかしながら、近年、自然災害の発生頻度や影響度は高まっており、巨大地震や感染症のパンデミック等の不測の事態は、被害想定を超えた規模で発生する可能性があります。当社グループは、防災対策や事業継続計画(BCP)を今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、当社グループの事業活動や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

PC調達手段としてのニーズの高まりを受け、ITサブスクリプション事業は、順調に拡大しています。ITAD事業も、OS更新に伴うPC入替需要を追い風に、採算性の高い使用済みPCの確保とサービス収益の拡大を受け増収・増益となりました。コミュニケーション・デバイス事業は、旅行業界と連動して着実に業績が向上しております。

投資面では、引き続き2025年10月の Windows 10 サポート終了に伴うPC入替需要の拡大を見据え、戦略投資を拡大したことで、先行コストが増加いたしました。具体的には、(1)人的資本への投資(人材の積極採用、賃上げ、従業員のリスキリング)、(2)DXの推進(AIの活用、RPAによる自動化、ノーコードでのアプリ開発)、(3)マーケティング強化(展示会への出展、デジタルマーケティングや営業支援サービスの採用)などです。

2024年9月には、サービス提供力の向上と作業環境の改善を目的に大阪テクニカルセンターを移転、2024年11月には、生産性向上と事業拡大のため本社の増床も行いました。また、2024年12月より、マーケティング戦略と業務改善の専門チームであるデマンドセンターを新設、同部門がハブとなり、関係部門の業務最適化を図るとともにサービスプロモーションの強化、顧客の開拓を進めました。

 

この結果、すべてのセグメントで増収・増益を達成しており、売上高と営業利益ともに、創業以来最高となりました。

 

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高8,099,541千円前年同期比17.0%増)、営業利益842,253千円前年同期比28.0%増)、経常利益774,343千円前年同期比21.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益529,682千円前年同期比22.6%増)となりました。

 

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

<ITサブスクリプション事業>

当社のサービスは、企業のIT部門の負荷軽減に大きく貢献しており、そのニーズは益々高まっております。特に、重点課題である長期サブスクリプション売上高は順調に拡大しており、事業基盤の安定性が向上しております。また、第4四半期連結会計期間は繁忙期にあたることから、短期レンタルやIT機器の販売が好調に推移し、売上が大きく拡大しました。

 

長期サブスクリプションの売上高の拡大に伴い、サブスクリプション資産(勘定科目:レンタル資産)の保有台数も増加しております。需要期ということもあり、資産の入荷及びレンタル満了に伴なう返却品の数量が一時的に増加した影響で、稼働率はやや低下しましたが、引き続き高水準での稼働を維持しております。また、需要期には売り上げに対し減価償却費が先行しやすい傾向にありますが、サプライチェーンの見直しなどにより売上総利益率が改善し、収益性を確保することができました。

 

この結果、セグメント業績は、売上高5,849,456千円前年同期比18.3%増)、セグメント利益687,901千円前年同期比9.1%増)となりました。

 

<ITAD事業>

当社は、外部環境の影響を受けにくい事業構造の実現を目指し、データ消去、引取回収といったサービス収益の拡大を進めております。サービス範囲の拡張と営業強化の取り組みにより、これらのサービス売上は順調に拡大しております。また、第4四半期連結会計期間においては、OS更新・入替需要を背景に、使用済みPCの入荷量が増加したこと、採算性の高い使用済みPCを確保したことにより、リユース販売の収益性が向上しました。さらに、生産体制の見直しや、効率的な業務オペレーションが事業全体の収益性を押し上げたことで、通期では売上高・利益ともに前年を大きく上回る結果となりました。

 

この結果、売上高2,063,720千円前年同期比14.6%増)、セグメント利益741,704千円前年同期比29.3%増)となりました。

 

<コミュニケーション・デバイス事業>

第4四半期連結会計期間における旅行・観光業界は繁忙期を迎え、クルーズ船をはじめとする団体需要や訪日旅行者向け案件も増加しました。加えて、前四半期にリニューアルしたサービスサイトの効果も継続し、新規先からの問い合わせ件数は引き続き高水準で推移しております。これにより、従来の旅行業に加え、工場見学をはじめとした一般法人からの新たなニーズも顕在化し、旅行・観光分野以外での受注拡大が進んでおり、当四半期出荷台数は過去最多を記録しました。

 

この結果、売上高321,289千円前年同期比32.8%増)、セグメント利益65,549千円前年同期比61.0%増)となりました。

 

(資産)

流動資産は前連結会計年度末に比べ0.4%増加2,360,327千円となりました。これは主に売掛金が210,631千円増加し、現金及び預金が167,124千円、商品が32,762千円それぞれ減少したことによります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ22.9%増加10,004,534千円となりました。これは主にレンタル資産(純額)が1,770,894千円、建物(純額)が58,063千円それぞれ増加したことによります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ17.8%増加12,364,861千円となりました。

 

(負債)

流動負債は前連結会計年度末に比べ29.6%増加4,129,762千円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が644,525千円、買掛金が57,847千円、未払金が150,727千円それぞれ増加したことによります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ14.4%増加4,856,856千円となりました。これは主に長期借入金が593,689千円増加したことによります。

この結果、負債は前連結会計年度末に比べ20.9%増加8,986,618千円となりました。

 

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べ10.3%増加3,378,242千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益529,682千円の計上による増加と剰余金の配当215,360千円による減少であります。

なお、当連結会計年度末における自己資本比率は27.3%、1株当たり純資産額は642円83銭となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ167,124千円減少し、1,215,270千円となりました。 

また、当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は3,569,788千円前連結会計年度比41.6%増)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益774,492千円、減価償却費2,812,095千円、仕入債務の増加額57,847千円、有形固定資産から棚卸資産への振替79,682千円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額210,732千円、法人税等の支払額209,222千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は4,728,350千円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。支出の主な内訳は、レンタル資産を始めとする有形固定資産の取得による支出4,618,249千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は991,494千円(前連結会計年度比52.8%減)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入3,950,000千円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出2,711,785千円、配当金の支払額215,263千円であります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは、生産活動をしておりませんので記載しておりません。

 

b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

ITサブスクリプション事業

138,174

63.5

ITAD事業

696,170

10.1

コミュニケーション・デバイス事業

136,343

7.4

合計

970,688

15.1

 

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 仕入高には他勘定受入高が含まれております。

   3 ITサブスクリプション事業の仕入高の増加は、新品PC等の販売を強化したことにより増加しております。

   4 ITAD事業の仕入高の増加は、採算性の高い使用済みPCの確保を進めるとともに、優良リユース品となる当社サブスクリプション終了品の販売が好調に推移したことによります。

   5 コミュニケーション・デバイス事業の仕入実績は、生産委託品等の仕入実績を示しております。

 

c. 受注実績

当社グループは、受注生産活動をしておりませんので記載しておりません。

 

d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ITサブスクリプション事業

5,717,511

17.1

ITAD事業

2,063,720

14.6

コミュニケーション・デバイス事業

318,308

34.0

合計

8,099,541

17.0

 

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成にあたりましては、当社グループ経営陣による会計方針の選択・適用、決算日における財政状態や経営成績に影響を与える見積りを必要といたします。当社グループ経営陣は、これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なることがあります。

  連結財務諸表を作成するにあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b. キャッシュ・フローの分析

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 

5 【重要な契約等】

(シンジケートローン契約)

当社は、株式会社りそな銀行をアレンジャー、株式会社三井住友銀行をコ・アレンジャーとするシンジケートローン契約(以下、「本契約」)を2025年3月26日付けで締結しました。

 

1.契約締結の目的

 長期サブスクリプション売上の拡大に伴い、サブスクリプション資産の調達に係る資金需要に備え、機動的かつ安定的な資金調達手段の確保を目的として、本契約を締結するものであります。

 

2.シンジケートローン契約の概要    

(1)形式          

コミットメント期間付タームローン契約

(2)組成総額        

20億円

(3)契約締結日       

2025年3月26日

(4)コミットメント期間   

2025年3月31日から2026年3月30日

(5)返済期日        

2029年2月28日

(6)保証・担保       

無保証・無担保

(7)アレンジャー      

株式会社りそな銀行

(8)コ・アレンジャー    

株式会社三井住友銀行

(9)参加金融機関      

株式会社りそな銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社商工組合中央金庫、株式会社横浜銀行、株式会社SBI新生銀行、株式会社千葉興業銀行

(10)財務制限条項      

コミットメント期間終了し、かつ借入人が貸付人及びエージェントに対する本契約に基づく全ての債務の履行を完了するまで適用。
①各年度の決算期の末日における連結貸借対照表における純資産の部の金額を前年同期比75%以上に維持する。
②各年度の決算期における連結損益計算書に示される経常損益が2期連続して損失にならないようにする。

 

※本契約に基づく借入実行は2026年5月期の期中を予定しております。

 

6 【研究開発活動】

 該当事項はありません。