第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「スポーツをもっと身近に」をパーパス(存在意義)としており、誰もがスポーツを楽しみ、健康で充実した日常を送れる世界の実現を目指して、常にお客様の立場に立ち、お客様の求める商品・サービスを提供し続けることを基本方針としております。

同時に、経営方針としては「スポーツ業界のイノベーターになる」ことを掲げており、常に革新的な取り組みに挑戦していくことで、スポーツ市場を変革するリーディングカンパニーであり続けることを目指しております。

また、信頼性の高い企業運営によって、社会に貢献し、長期的に株主価値を創造し、従業員の生活も豊かになる経営を実践できるよう努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、環境変化に対して事業構造を継続的に変革していくことで、社会的課題を解消する新しい価値を創造し、企業理念にも掲げる「スポーツの溢れる未来」の実現に向けて取り組んでおります。

国内スポーツ用品小売市場におけるさらなる市場シェアの拡大に向けて、継続的に新規出店を行うことでエリアカバレッジを拡大すると同時に、スポーツ・ゴルフ・アウトドアの各業態を最新の顧客ニーズに合わせるべく刷新を進めております。また、長期的に拡大が見込まれるEC市場への対応についても、将来を見据えた投資を段階的に行うとともに、ECと店舗をシームレスに連動させた新たな購買体験を提供するOMO施策も推進してまいります。

商品面においては、拘って作られたストーリーのある商品が求められるようになっていることを踏まえ、主要ナショナルブランドとの連携強化と、プライベートブランド商品の開発強化の両面から、独自性が高く、拘った商品の取り揃えを強化しております。また、地域や店舗特性のほか、カテゴリごとのトレンドに柔軟に対応する商品構成の設計に取り組んでおります。

さらには、発展が著しいデジタル技術の活用度合いが将来の生産性やコスト優位性を左右すると考え、お客様とのコミュニケーションを高度化するツールや、データドリブン経営を実現するための各種情報システム、物流設備の最新化などへの投資を進め、業務プロセスやビジネスの在り方の刷新に取り組んでおります。

そして今後の経営基盤として、リーダーシップを持った多数の人材がより重要となっていくことから、多様な人材の確保と育成に注力しているほか、自然環境やスポーツ環境を守り、発展させていくサステナビリティへの取り組みも、今後の戦略の基礎として位置付けています。

 

(3)経営環境

① 企業構造

 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社(株式会社アルペン)および子会社5社により構成されており、スポーツ用品、レジャー用品の販売および製造を主たる事業としております。当社グループの事業全体の売上高および営業利益に対し、同事業の売上高および営業利益は、いずれも9割超を占めております。

事業構成および内容につきましては、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に示しており

ますので、ご覧ください。

② 主要商品・サービスの内容

 当社グループが販売する主要商品・サービスは、スポーツ用品、レジャー用品の小売であります。その内容に

つきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ 生産、受注及び販売の実績 b.販売実績」に、商品部門別売上高の状況を示しておりますので、ご覧ください。

③ 顧客基盤

 当社グループの主要事業が主に対象とする顧客は、不特定多数の一般消費者であり、特定の顧客に集中はして

おりません。なお、当社の会員プログラムである「アルペングループメンバーズ」は、会員数を順調に拡大しており、2024年6月末時点では約1,283万人が登録をしています。

④ 事業を行う市場の状況

 国内スポーツ・レジャー市場の情勢は、長期的には少子高齢化や人口減少による影響を受けながらも、健康意識の高まりや、スポーツ・アウトドアの要素を日常生活に取り入れるライフスタイルの広まりのほか、足元ではインバウンド需要の拡大などもあり、全体としては緩やかな拡大基調となっています。

 カテゴリごとの動向としては、コロナ禍の間に低迷していた競技・一般スポーツ用品やシューズ関連の需要回復が進んでおります。一方で、ゴルフとアウトドアはコロナ禍で接触を避けられるレジャーとしてブームとなりましたが、現在ではそのブームも沈静化し、市場は需給調整局面となっております。

 このように足元の動向はカテゴリや種目ごとに違いはあるものの、コロナ禍をきっかけに健康に対する意識はさらに高まっており、スポーツの重要性も再認識されているほか、自然と触れ合うレジャーも今後ますます広まっていくものと考えられ、スポーツ・レジャー市場全体としては緩やかな成長が続くと見込まれております。

 なお、競合環境におきましては、市場内で競合する事業者が多数存在しているほか、近年は衣料品などにおけるスポーツと周辺領域との境界が曖昧になり、異業種の事業者が当社グループと競合する商品の販売に参入する傾向が多く見受けられます。また、EC市場が急速に成長しており、メーカー直販のECサイトが拡大するなど、競合状況は厳しさを増しております。

⑤ 販売網

 当社グループは1972年7月の当社設立以来、一貫してスポーツ用品の専門小売業として店舗を展開してまいり

ました。店舗形態は、当初は、スキー用品の販売を主体とした「アルペン」だけでしたが、次にゴルフ用品の販

売を目的とした「ゴルフ5」を開設し、その後、野球用品等の各種一般スポーツ用品を備えた大型店舗として

「スポーツデポ」を展開いたしました。さらに2018年からは、アウトドア用品を専門に取り扱う「アルペンアウ

トドアーズ」「アルペンマウンテンズ」の展開を進めております。2024年6月末現在、スポーツ業態188店舗、ゴルフ業態196店舗、アウトドア業態24店舗の計408店舗を展開しております。

 地区別店舗形態別店舗数等の詳細につきましては、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内

容」に示しておりますので、ご覧ください。

 また、現在ではECでの販売が全体売上の10%を超えてきており、重要な販売チャネルとなっております。自社ECサイトの運営を行うほか、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazon・ZOZOTOWN・ロコンドといった外部モールへ出店しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 スポーツ・レジャー市場は、新型コロナウイルス感染症によって変化した需要や行動様式のほか、急速に進んだ物価上昇など、激動する市場環境に適切に対処していくことが必要となっています。

 短期的には、需要が回復基調にあるスポーツカテゴリーのさらなる拡大と、調整局面にあるゴルフ・アウトドアカテゴリーの梃入れのほか、収益性の改善が優先課題となっており、移り変わる状況に合わせて商品構成や店舗運営の転換を急ぐ必要があります。

 また、長期的には国内の少子高齢化や人口減少といった構造問題に対処していくことが課題となっており、国民の健康増進やスポーツ機会の拡大に対しての一層の貢献が求められます。

 このような環境のもと、当社グループは、以下の内容について、優先的に対処すべき課題として取り組みを進めてまいります。

① 業態刷新

 少子高齢化や、部活動の地域移行などの社会構造の変化のほか、消費スタイルの多様化などに対し、スポーツ・ゴルフ・アウトドア、それぞれの業態の在り方について見直しを実施しております。

 スポーツ・レジャーの楽しみ方は多様化しており、より幅広いお客様の多様な需要に対応できるよう、魅力的な品揃えや体験型の売場作りの徹底と、スタッフの専門性・販売力の向上に取り組んでおります。また、居心地の良さや安心感を提供できるようホスピタリティの強化を図ることで、お客様に一層満足いただけるように店舗価値を高めてまいります。

 ECについては企業成長の重要領域としておりますが、収益性の改善を伴った成長が課題となっております。自社ECサイト「アルペンオンラインストア」を軸として、収益性を高めながらの成長を実現してまいります。また、店頭へのデジタル設備の導入や、ECへの導線の整備などのOMO施策により、お客様の買い物の利便性を向上させ、店舗とECが連動した新たな体験を提供してまいります。

② 商品改革

 スポーツ小売企業に限らず競争が厳しくなる環境において、他社との差別化をしていくためには独自性が高い商品ラインナップが必要であり、また、販売効率や売上総利益率改善のためには商品構成の最適化と在庫管理精度の向上が課題となります。

 独自性が高く魅力的な商品を充実させるために、主要ナショナルブランドとの協業体制をより深化させていくことと、プライベートブランドにおける高品質かつリーズナブルな商品の開発に力を入れております。

 特に、プライベートブランドにつきましては、当社グループ独自の価値観を最も端的に表すことのできる領域であり、差別化の最大の要素となるため、企画開発から、生産、物流、販売までの一連の流れを見直し、強化に努めてまいります。

 また、売上総利益率を改善するためには、需要に見合った適切な在庫状態を維持することが必要であり、販売予測や発注精度の向上と、環境の変化に機動的に対応できる在庫コントロール体制の整備を進めております。

 デジタルの活用・データ経営推進

 物価上昇や人手不足が進む環境において、新たなデジタル技術の導入や、既存システムの刷新による業務プロセスの抜本的な効率化を進めてまいります。

 また、デジタルツールを用いたお客様とのコミュニケーション手法の進化や、新たな販売手法の創出にも取り組んでまいります。2024年6月末時点で会員プログラムには約1,283万人の登録があり、この顧客データを有効活用することによって、戦略立案や商品の仕入れ・企画の精度をさらに向上させることが可能と考えております。

 そのため、全ての社員がデータへの感度を高め、感覚論・経験論ではない、データに基づいた判断を全社的に実行できるよう、データ経営の推進を図ってまいります。

 人材育成の強化

 人手不足が深刻化する中において、優秀な人材の確保こそが他社との差別化要素であり、将来の成長の基盤になるとして採用活動や育成を強化してまいります。

 採用において多様な人材を確保すると共に、業務に必要となる各スキルを網羅した教育・研修体系を改めて整備し、環境変化に柔軟に対応し、新しい価値を創造できる人材を育成してまいります。また、人事制度や組織体制を恒常的に見直し、働きやすさと働き甲斐を両立してまいります。

 サステナビリティ経営

 スポーツを通して様々社会課題を解決し、企業として持続的な発展をしていくためにはサステナビリティの取り組みがより重要となっており、より環境に配慮した企業活動や、多方面における外部企業との協業が必要と考えております。

 詳細については「2サステナビリティに関する考え方及び取組」にて記載しております。

 財政的課題

 資本効率の改善やガバナンスの強化によって、中長期的に企業価値を高めていくことが必要と課題認識しております。

 企業価値向上においては様々な観点があるものの、継続的な売上成長の実現と、低水準にとどまっている利益率の向上が最優先と捉えております。新規出店および既存店への投資によって主力事業を強化し、国内スポーツ小売の中での優位性を高めることと、デジタル技術やシステムへの投資によって生産性の向上・コスト水準の引き下げを実現し、資本コストを十分に上回るだけの利益水準が確保できるように努めてまいります。なお、長期的には売上高営業利益率10%の実現を目標としております。

 

(5)今後の見通し

 翌連結会計年度に目標とする連結業績の見込値は次のとおりであります。

 今後の見通しといたしましては、物価上昇による消費の抑制が懸念されるものの、スポーツ需要の回復基調やインバウンド需要も拡大傾向が続くことが予想されており、新規出店による上乗せも含めて、売上高は増加を見込んでおります。また、過剰在庫の落ち着きによって処分販売が減少し、売上総利益率が一段改善することを見込んでおります。

 

項目

当期実績値

翌期見込値

当期増減率(%)

売上高       (百万円)

252,936

268,000

6.0

営業利益      (百万円)

3,330

6,300

89.2

経常利益      (百万円)

5,307

7,220

36.0

親会社株主に帰属する

当期純利益     (百万円)

1,733

3,250

87.5

1株当たり当期純利益金額(円)

44.99

84.32

87.4

(注)翌期見込値は、(株)東京証券取引所の適時開示規則に基づき、2024年8月8日付で「2025年6月期の連結業績予想」として公表したものであります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「その時代に生きるすべての人がスポーツをもっと身近に楽しむことのできる社会」の実現と持続を目指しております。

 気候変動や環境汚染、少子化などの多くの問題により、スポーツを楽しむ環境が徐々に失われつつある中で、スポーツをするために必要な「自然環境を守る」こと、「スポーツを楽しむ愛好家を育む」ことは当社の責任であり使命と考え、サステナビリティへの対応に取り組んでおります。

現在は、「2027年までに達成すべき5つのサステイナビリティ目標」を設定し、企業として求められる環境や社会課題解決への取り組みを進めております。

 

(1)ガバナンス

 サステナビリティ経営をさらに推進するため、戦略企画本部内に「スポーツ・サステイナビリティ推進室」を設置しております。

 「スポーツ・サステイナビリティ推進室」では、関連部門とともに課題の認識や、戦略立案、コミットメントの進捗状況の取りまとめなどを行い、その内容について定期的に取締役会に報告を行います。取締役会は、気候変動を含む環境や、サステナビリティに関連する重要事項や各コミットメントの進捗報告を受けることで、取組状況のモニタリングを行うとともに、その内容について、承認と必要な助言を行います。

 

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(2)戦略

 <気候変動>

 当社グループは、気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することをめざす動きに貢献していくことが重要であると考えております。2℃以下シナリオ(1.5℃目標)への対応を強化すべく、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響の把握や、戦略の検討を進めております。

 気候変動に伴うリスクには、温室効果ガス排出に関する規制強化や、気象災害の激甚化(台風・豪雨などによる水害発生等)による店舗・施設などへの被害が考えられます。

 一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供は、当社グループのビジネスの機会であると捉えております。主要事業であるスポーツ用品小売事業の運営において、気候変動の影響が及ぶ事象について想定したリスクと機会を以下の表のとおり整理しております。

 ※これらのリスクや機会による影響の発現時期を、短期(3年未満)、中期(3~10年未満)、長期(10年以上)としております。

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 <多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針>

 当社グループでは、「スポーツ業界のイノベーターになる」という経営方針、「最高の人材育成」という行動指針を掲げており、イノベーションを引き起こせる優秀な人材によって、社会に貢献する組織作りを目指しております。

 人材の育成においては、スポーツの専門家としての知識・経験を得るための機会創出を拡大しているほか、リーダーシップやマネジメントスキル習得などの研修プログラムの拡充等を常に進めております。

 また、「多様性の尊重」や「女性活躍推進」が今後の企業成長に必要不可欠な要素と考えており、誰もが働きやすく、働き甲斐のある最高の職場環境の創造を目指しています。個人の事情に合わせた多様な働き方ができる制度の拡充や、さまざまな事情や背景をもつ従業員が互いを認め合い、尊重し合える「チームワーク」の企業文化を醸成し、性別や年齢などに関係なくキャリアアップに挑戦できる環境の整備を進めてまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、事業全般に関わるサステナビリティ関連のリスクと機会について、「スポーツ・サステイナビリティ推進室」が中心となって全社より抽出した内容を、戦略企画室および財務部と連動して経営への影響度、発生可能性から重要性の識別を行い、当社グループとして管理すべき内容を全社戦略・経営計画に織り込み、取締役会に報告しております。

 現状では主に短期・中期のリスク項目を識別しただけにとどまっており、財務的影響などの定量的な分析が十分とは言えませんが、順次対応を拡大し、情報開示の充実を進めてまいります。

 

(4)指標及び目標

 <サステナビリティ目標>

 当社グループではサステナビリティに関して、5つのテーマで2027年までに達成すべき目標を定めて取り組みを推進しております。具体的には、「CO2排出量削減活動の推進」をテーマの1つとして掲げ、CO2排出量削減に向けた施策を検討・実行している他、資源循環の促進、自然環境の保全活動などについて定量目標を定め、推進しております。CO2排出量削減の取り組みでは、当社グループの全事業所におけるエネルギー起源CO2排出量を、2027年度までに2015年度対比で50%削減することを目標として設定しております。また、資源循環の促進では、アパレル、シューズ、バッグにおける環境対応商品の売上高比率を2027年までに30%以上に引き上げること、自然環境の保全活動では、2021年からの累計で2万人以上(社員含む)に環境保全に関する啓発活動への参加機会を提供することを目標に取り組んでおります。

 

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 <人材育成・多様性等に関する目標>

 当社グループでは誰もが働きやすい職場を目指しております。我が国では、欧米に比べて、多様な個性を持った従業員が活躍できる風土、仕組み、環境などの整備が遅れておりますが、働き方の多様化が進む中、多様性の尊重、女性活躍推進は当社グループの成長には欠かせないと考えております。

 従業員一人ひとりの違いを個性として尊重し、プライベートと仕事を両立しながらキャリアアップしていける真のダイバーシティ企業になるために、当社グループは取り組みを続けてまいります。

 また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年6月期まで25以上

14.0

店長職への女性登用人数の割合

2026年6月期まで20以上

11.6

中途採用者の管理職への登用の割合

35以上の割合を維持

36.8

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業リスク

① 国内スポーツ小売業界の市場動向について

当社グループが属するスポーツ・レジャー用品業界におきましては、景気や個人消費の動向など国内の経済状態が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 世帯収入が伸びない中で生活必需品などの値上がりが続く場合には、スポーツ・レジャー用品への支出が抑制されることが考えられます。その他、既存のスポーツ・レジャー用品販売業者に加え、異業種からの新規参入企業や、インターネットショップ等の新たな業態との競争も生じている他、ナショナルブランドメーカーも消費者への直接販売(DtoC)を拡大するなど、競争環境は激しくなっております。

当社グループといたしましては、「スポーツデポ」「ゴルフ5」の更なる専門性強化、アウトドアに特化した専門店である「アルペンアウトドアーズ/マウンテンズ」の拡大による競争力の向上、マーケティング活動の推進による仕入数量の適正化および仕入先との継続的な交渉による仕入価格の引下げ等を行い、収益構造の強化を図っております。

ただし、今後日本国内におきましては人口減少が予想されており、当社グループの想定を上回る速度で市場規模の縮小が進行し、他社との競争激化により事業競争力が相対的に低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 季節的変動、および自然災害の発生について

当社グループの商品は、ゴルフ部門、スポーツライフスタイル部門、競技・一般スポーツ部門、アウトドア部門、ウインター部門から構成されておりますが、全般的に季節的変動の影響を受けることがあります。当社グループは、近年、冷夏や猛暑、暖冬や集中豪雨といった異常気象とも言える天候要因での販売不振が度々発生し、店舗における収益性の低下も招いています。当社グループといたしましては、商品構成の変更、自主企画商品の拡充、商品力の強化、および仕入・在庫コントロール精度の向上等により季節的変動の影響を低減させることに努めております。ただし、想定を超えた異常気象や、大地震、台風等の大規模自然災害の発生は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 店舗の出退店について

当社グループは、一般スポーツ市場の開拓を目的とした「スポーツデポ」、ゴルフ市場の開拓を目的とした「ゴルフ5」、アウトドア市場の開拓を目的とした「アルペンアウトドアーズ/マウンテンズ」の出店を継続して行うとともに、市場縮小および他社との競合等により採算が悪化した店舗については、改装または閉鎖をすることにより、競争力の向上に取り組んでおります。

そのため、出店に伴うオープン前の人件費、広告宣伝費および設備投資による減価償却費等の負担増により、当社グループが想定した売上高を確保できない場合には、収益性が低下する可能性があります。また、退店時におきましては、退店した土地建物を転貸することにより解約損の発生の抑制に努めておりますが、新たな借主を確保できない場合には、店舗設備の除却損に加えて、店舗解約損が一時的に発生することとなります。

当社グループは、日本国内で事業を展開しておりますが、売場面積が1,000平方メートルを超える新規出店および増床については、大規模小売店舗立地法の規制を受けており、都市計画、交通、地域環境等の観点から配慮を求められております。

当社グループにおいては、売場面積が1,000平方メートルを超える店舗の出店が中心であるため、これらの調整過程の中で、計画通りの出店もしくは増床が出来ず、出店計画の変更、延期等が発生する可能性があります。

④ 消費者の嗜好変化について

当社グループはゴルフクラブ、スキー・スノーボード用品等、趣味性の高い商品を取り扱っているため、消費者の嗜好の変化による影響を受けております。

当社グループといたしましては、商品企画精度の向上を図るとともに、販売動向に沿った自主企画商品の開発、供給に努めることにより、消費者の需要喚起を図っておりますが、消費者の嗜好の変化に対応できず、適切な商品政策が実施できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 人材確保に関するリスク

当社グループは約400店舗を運営しており、多数の社員・アルバイトが勤務をしています。スポーツ専門店として、スタッフの専門性や販売力が業績向上の大きな要因となっており、充分な人材確保が進まない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ システム・情報セキュリティリスクについて

 当社グループは、店舗POSを始め、自社ECサイト、商品の発注、在庫の管理など多岐に渡る情報システムやネットワークを活用しております。これらのシステムについては充分なセキュリティや障害対策を実施しておりますが、想定外の事象によって障害等が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業継続に関するリスク

当社グループは、日本全国での商品販売を主たる事業として展開していますが、それを支える本社機能は株式会社アルペンの本社がある愛知県名古屋市に集中しています。大規模な地震や台風などの自然災害、或いは火災や停電、通信ネットワーク障害等が発生し、本社の施設等に損害が生じて本社機能が停止した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループで販売する商品は、多数のお取引先様からのナショナルブランド商品と自社が工場に生産を発注するプライベートブランド商品で構成されています。従いまして、大規模な自然災害の発生や世界的な感染症の蔓延などにより商品調達やサプライチェーンの寸断が発生する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)財務リスク

① 資金調達リスクについて

 当社グループでは、安定的な資金調達を図るため、金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されており、当社グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 財政状態及び経営成績の変動について

当社グループは、過年度より、資産価値が低下したリゾート施設等の固定資産の売却・除却、関係会社株式の評価減および減損会計の適用等、財務体質および収益性の改善に取り組んできたことにより、財務体質の改善が相当程度進んでいるものと認識しております。

ただし、当社グループは、業態上、総資産に占める有形固定資産の比率が相対的に高いことに加えて、今後におきましても新規出店等により、当該資産の構成比率は高まるものと考えております。そのため、店舗設備等の収益性の低下、地価等の下落等が生じた場合には、損失が発生する可能性があります。

③ 為替変動の影響について

当社グループは、価格競争力のある商品調達を行うことを目的として、一部の商品を海外から直接、もしくは海外メーカーの日本法人等から間接的に仕入れております。

当社グループは為替変動リスクを抑制するために、為替予約等のヘッジを行っておりますが、為替レートが急激に変動した場合には、仕入原価の上昇要因となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 敷金保証金の回収可能性について

当社グループは土地所有者との間で長期賃借契約を締結し、主に店舗用地を確保しておりますが、店舗閉鎖等、当社グループの事情による中途解約については、出店時に支払った敷金保証金が返還されない場合があります。さらに、出店後の土地所有者の信用状態が悪化した場合においても、敷金保証金が返還されない可能性があります。

 

(4)コンプライアンスリスク

① 個人情報の取り扱いについて

当社グループにおいては、インターネット通販顧客およびアルペングループメンバーズ会員等の個人情報を有しているため、個人情報保護規程の整備、従業員の教育、個人情報の漏洩防止対策等の安全対策をとり、個人情報の漏洩の防止に取り組んでおります。

ただし、顧客情報が流出し、当社グループの信用力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 製造物責任について

当社グループは、国内外の工場で厳格な品質管理を行い、各種製品を製造していることに加えて、万一の場合に備えて製造物責任賠償に係る各種保険に加入しております。

ただし、大規模なリコール等につながる製品の欠陥が生じた場合には、加入している保険の補償額限度内で賠償を賄える保証がないだけでなく、多額のコストの発生、当社グループの信用力の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

当連結会計年度(2023年7月1日~2024年6月30日)における事業環境は、新型コロナウイルス感染症の収束による経済正常化や、インバウンド需要の拡大などを背景に国内経済は回復基調で推移しました。一方で、地政学的リスクの高まりや海外経済の減速懸念の他、物価高を受けた個人消費の抑制など、先行きは不透明な状況が続いております。

消費環境におきましては、外食や旅行などのサービス需要は回復傾向が続いたものの、物価上昇による節約志向の高まりでモノへの支出は伸び悩んでおり、力強さを欠く状況となりました。また、スポーツ用品小売業界におきましては、スポーツ活動の正常化で競技・一般スポーツカテゴリを中心に需要が回復したものの、商品価格の上昇や、記録的な猛暑・暖冬といった気候の影響を受けて難しい販売環境が続きました。

このような状況のもと、当社グループは、福岡県・愛知県への大型旗艦店の出店を始め、スポーツ業態を中心とした新規出店を強化してまいりました。また、既存店の商品構成や売場作りの見直し、店舗スタッフの専門性向上に加え、店舗とECの連携強化や情報発信におけるデジタル領域の活動にも継続的に取り組み、販売力を高めてまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は前年を上回ることとなりました。主な商品部門別の概要といたしましては以下のとおりとなります。

ゴルフ用品の既存店売上高は前年実績を下回りました。コロナ禍によるブームが落ち着いて新規購入者の需要が減少したことに加え、猛暑や暖冬の影響を受けてアパレルや小物などが伸び悩みました。一方で、ゴルフクラブにおいては新モデルの販売が堅調であったほか、取扱いを拡大した中古クラブの売上が好調に推移いたしました。

競技・一般スポーツ用品、スポーツライフスタイル用品の既存店売上高は前年実績を上回りました。暖冬の影響で冬季はアパレル中心に伸び悩んだものの、スポーツ活動や外出機会の回復に合わせてシューズ類や競技スポーツ関連のアイテムが順調に販売を伸ばしました。特に、商品構成の強化やそれに併せた売場見直しの効果によりランニングやバスケットボールが好調な推移となりました。

アウトドア用品の既存店売上高は前年実績を下回りました。取扱いを拡大しているアウトドアアパレルやトレッキング用品などが販売を伸ばしているものの、コロナ禍におけるブームの反動により低調なキャンプ用品の落ち込みを補うまでには至りませんでした。

ウインター用品の既存店売上高は前年実績を下回りました。当期は商品構成やマーケティングを強化したことに対して一定の効果があったものの、12月~1月の気温が高く降雪も少なかったことで伸び悩む形となりました。

利益面につきましては、滞留在庫の処分を進めたことに加え、秋冬物商品がクリアランス中心の動きとなったことで第2四半期までの売上総利益率は低水準で推移しました。その後、春夏物へと切り替わる中においては販売状況が改善し、在庫処分も前期に比べ規模が縮小したことから、売上総利益率は前期よりも若干改善いたしました。また、販売費及び一般管理費につきましては、旗艦店を含む15店舗の新規出店や、新倉庫の立ち上げ、店舗システム更新などの投資があったことに加え、昨今の人件費上昇などの影響もあり、前年よりも大きく増加いたしました。これらの結果として、当連結会計年度の営業利益は前年を下回ることとなりました。

店舗の出退店の状況につきましては、スポーツ業態7店舗、ゴルフ業態3店舗、アウトドア業態5店舗を出店し、スポーツ業態4店舗、ゴルフ業態3店舗、アウトドア業態2店舗を閉鎖した結果、当連結会計年度末の店舗数はスポーツ業態188店舗、ゴルフ業態196店舗、アウトドア業態24店舗の計408店舗となり、売場面積は6,717坪増加し262,333坪となりました。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は252,936百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益3,330百万円(同34.2%減)、経常利益5,307百万円(同23.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,733百万円(同68.3%減)となりました。

 

 

 b.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ15,379百万円増加し、201,884百万円となりました。主な要因は、売掛金、商品及び製品および有形固定資産が増加したことによるものであります。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ13,839百万円増加し、84,644百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金、短期借入金および長期借入金が増加したことによるものであります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ1,540百万円増加し、117,240百万円となりました。主な要因は、退職給付に係る調整累計額の増加によるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

項目

前連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

5,785

5,705

投資活動によるキャッシュ・フロー

△6,746

△10,508

財務活動によるキャッシュ・フロー

△9,866

5,391

現金及び現金同等物に係る換算差額

6

14

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△10,820

602

現金及び現金同等物の期首残高

29,059

18,238

現金及び現金同等物の期末残高

18,238

18,840

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ602百万円増加し、18,840百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は5,705百万円(前年同期比1.4%減)となりました。これは主に、仕入債務の変動により14,370百万円資金が増加した一方、売上債権の変動により1,366百万円、棚卸資産の変動により7,563百万円資金が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は10,508百万円(同55.7%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が3,282百万円増加したことにより資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、得られた資金は5,391百万円(前年同期は使用した資金が9,866百万円)となりました。これは主に、短期借入金が7,000百万円、長期借入れによる収入が4,000百万円増加したことにより資金が増加したことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.仕入実績

 当社グループは、小売事業の単一セグメントとみなしておりますが、当連結会計年度における仕入実績を商品部門別に示すと、次のとおりであります。

名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前年同期比(%)

 

ゴルフ(百万円)

56,171

100.6

 

スポーツライフスタイル(百万円)

61,361

116.6

 

競技・一般スポーツ(百万円)

26,221

117.5

 

アウトドア(百万円)

10,820

88.0

 

ウインター(百万円)

6,034

111.6

 

小売事業(百万円)

160,608

108.1

 

その他(百万円)

887

100.0

 

合計(百万円)

161,495

108.1

(注)金額は仕入価格によっております。

 

 

b.販売実績

 当社グループは、小売事業の単一セグメントとみなしておりますが、当連結会計年度における販売実績を商品部門別、および販売業態別に示すと、次のとおりであります。

 (商品部門別売上高)

名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前年同期比(%)

 

ゴルフ(百万円)

92,913

99.4

 

スポーツライフスタイル(百万円)

57,236

104.2

 

競技・一般スポーツ(百万円)

61,333

114.4

 

アウトドア(百万円)

29,538

96.8

 

ウインター(百万円)

7,655

97.1

 

小売事業(百万円)

248,677

103.4

 

その他(百万円)

4,258

103.5

 

合計(百万円)

252,936

103.4

 

 

 

 (販売業態別売上高)

名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前年同期比(%)

 

スポーツ(百万円)

125,888

107.5

 

ゴルフ(百万円)

83,834

99.5

 

アウトドア(百万円)

12,934

98.2

 

ECその他(百万円)

26,019

100.7

 

小売事業(百万円)

248,677

103.4

 

その他(百万円)

4,258

103.5

 

合計(百万円)

252,936

103.4

 

 

 (地域別売上高)

地域

売上高(百万円)

前年同期比(%)

期末事業所数

期中事業所異動状況

開設

廃止

北海道

14,055

100.0

23

青森県

418

96.8

岩手県

1,231

93.1

宮城県

2,565

104.8

秋田県

472

96.1

山形県

1,101

91.3

福島県

1,310

89.0

茨城県

5,432

96.8

15

栃木県

3,654

98.1

群馬県

3,970

100.9

10

埼玉県

6,684

105.3

17

千葉県

11,002

98.8

29

東京都

19,482

119.5

29

山梨県

3,017

101.5

神奈川県

10,285

113.9

21

新潟県

3,795

97.1

富山県

1,876

86.0

石川県

2,809

97.2

福井県

1,679

98.5

長野県

6,181

99.4

11

岐阜県

2,459

96.7

10

静岡県

7,481

97.8

17

愛知県

49,869

102.0

52

三重県

5,019

99.8

13

滋賀県

2,681

102.5

京都府

2,989

88.2

大阪府

13,316

112.9

31

兵庫県

13,009

100.3

18

奈良県

2,449

97.3

和歌山県

975

97.0

鳥取県

1,844

95.2

島根県

896

101.4

岡山県

1,664

98.0

広島県

5,279

112.2

10

山口県

1,308

96.6

徳島県

1,773

97.7

香川県

3,823

99.2

愛媛県

860

96.1

高知県

1,209

100.6

福岡県

13,228

131.1

17

長崎県

2,963

99.1

佐賀県

1,890

100.6

熊本県

4,283

98.3

大分県

1,780

96.4

宮崎県

2,889

98.7

鹿児島県

2,723

97.0

沖縄県

5,032

106.8

海外

調整額

△1,795

合計

252,936

103.4

459

17

13

(注)調整額は、収益認識に関する会計基準の適用により、将来利用されると見込まれる金額を売上高より調整額と

して控除しておりますが、控除する金額を地域別に振分けることが困難なため、売上高の合計金額から一括し

て減額しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果

当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、ゴルフ用品については、コロナ禍によるブームが落ち着いて新規購入者の需要が減少したことに加え、猛暑や暖冬の影響を受けてアパレルや小物などが伸び悩みましたが、ゴルフクラブにおいては新モデルの販売が堅調であったほか、取扱いを拡大した中古クラブの売上が好調に推移いたしました。また、競技・一般スポーツ用品、スポーツライフスタイル用品は暖冬の影響で冬季はアパレル中心に伸び悩んだものの、スポーツ活動や外出機会の回復に合わせてシューズ類や競技スポーツ関連のアイテムが順調に販売を伸ばしました。一方、アウトドア用品は、取扱いを拡大しているアウトドアアパレルやトレッキング用品などが販売を伸ばしているものの、コロナ禍におけるブームの反動により低調なキャンプ用品の落ち込みを補うまでには至らず、ウインター用品については、商品構成やマーケティングを強化したことに対して一定の効果があったものの、12月~1月の気温が高く降雪も少なかったことで伸び悩む形となりました。これらにより、当連結会計年度の売上高は、前年同期比3.4%増加し、252,936百万円となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上総利益は、売上高が増加したほか、前期に比べ在庫処分の規模が縮小し、売上総利益率が若干改善したことにより、同4.0%増加し、98,066百万円となりました。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、新規出店や新倉庫の立ち上げ、店舗システム更新などに投資したほか、昨今の人件費上昇の影響により前年を上回り、同6.3%増加の94,736百万円となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費が5,584百万円増加したことにより、同34.2%減少し、3,330百万円となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度の経常利益は、営業利益が減少したことなどにより、同23.4%減少し、5,307百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が減少したことなどにより、同68.3%減少し、1,733百万円となりました。

 

②当連結会計年度の財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ15,379百万円増加し、201,884百万円となりました。流動資産は、現金及び預金の増加や、商品及び製品が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ10,468百万円増加の112,100百万円となりました。固定資産は、新規出店や既存店改装等の投資を行ったことにより、前連結会計年度末に比べ4,910百万円増加の89,784百万円となりました。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ13,839百万円増加し、84,644百万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の増加や、短期借入金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ9,601百万円増加の70,489百万円となりました。固定負債は、長期借入金や資産除去債務の増加により、前連結会計年度末に比べ4,237百万円増加の14,154百万円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額の増加により、前連結会計年度末に比べ1,540百万円増加し、117,240百万円となりました。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額については、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象については、連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)として記載されているため、記載を省略しています。

 

④資本の財源及び資金の流動性について

(資金需要)

 当社グループの運転資金需要は、主に商品の仕入れ、販売費一般管理費等の費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店や既存店舗の改装、及びソフトウエア投資といったスポーツ関連小売事業に関するものに加えて、周辺領域に関する固定資産投資等によるものであります。

(財政政策)

 当社グループは、キャッシュ・フロー経営による手元資金での小売事業運営を基本方針としつつ、事業活動の維持拡大に一時的に必要となる資金を、国内外で安定的に確保するために、資金の性格に応じて金融機関からの借入等で資金調達を行っております。

 経常的な運転資金は、主な取引金融機関各行で設定している当座貸越枠内での調達を中心としていますが、長期資金需要がある場合には、年度単位で作成している資金計画に基づき、金利動向や返済計画等を考慮しつつ、長期借入金での調達を適宜判断して実施しております。また、主要な国内金融機関との間にコミットメントライン契約を締結しており、金融・資本市場の流動性が逼迫した状況下でも十分な流動性を確保しております。

 グループ内での資金調達に関しては、当社からのグループファイナンスで対応しております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約または締結等はありません。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。