当連結会計年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日)におけるわが国経済は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、企業収益及び雇用・所得環境の着実な改善を背景に緩やかな回復を続けております。
保険薬局業界においては、医療費抑制を背景に、国策としてジェネリック医薬品の使用拡大やセルフメディケーション推進の動きが加速しております。加えて、「かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局」として多様化する医療ニーズへの速やかな対応が求められております。
このような環境のもと、当連結会計年度における当社グループ連結業績は、売上高124,957百万円(前年同期比9.3%増加)、営業利益6,709百万円(前年同期比58.1%増加)、経常利益6,655百万円(前年同期比56.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益3,641百万円(前年同期比68.9%増加)となりました。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「保険薬局事業」「その他」から、「保険薬局事業」「BPO受託事業」に変更しております。従来「その他」に区分していたグループ内業務代行を「保険薬局事業」へ移管し、医療・医薬情報資材制作関連事業、医薬品治験関連事業、労働者派遣・紹介事業を「BPO受託事業」へ移管しております。セグメント別の業績は、次のとおりであります。
①保険薬局事業
当連結会計年度におきましては、C型肝炎治療薬による処方箋応需の増加を主な要因とした既存店での売上増加、前期開局の新店及び新規子会社の取得による売上増加等の要因により業績は堅調に推移いたしました。
新規出店12店舗、事業譲受による取得1店舗、子会社化による取得32店舗の計45店舗を出店した一方、閉店により20店舗(うち売店12店舗)減少した結果、売上高は115,308百万円(前年同期比11.7%増加)、営業利益は6,678百万円(前年同期比51.2%増加)となりました。
②BPO受託事業
当連結会計年度におきましては、事業の選択と集中を行い、事業上の重要性が低くなった連結子会社1社を譲渡いたしました。その結果、売上高は9,649百万円(前年同期比13.2%減少)となりましたが、収益性が改善したことにより営業利益は1,000百万円(前年同期比38.5%増加)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが7,600百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが3,409百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが4,085百万円の収入となりました。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ8,275百万円増加し16,287百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益6,396百万円、減価償却費1,607百万円及び売上債権の増加額2,566百万円等により、7,600百万円の収入(前年同期7,841百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,699百万円及び有形固定資産の取得による支出1,605百万円等により3,409百万円の支出(前年同期5,066百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の発行による収入9,982百万円、長期借入金の返済による支出5,393百万円等により4,085百万円の収入(前年同期278百万円の収入)となりました。
(1)当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 構成比(%) | 前年同期比(%) | |
保険薬 | 薬剤に係る収入 | 81,235 | 65.0 | 15.1 |
調剤技術に係る収入 | 23,346 | 18.7 | 8.2 | |
一般薬等売上 | 10,726 | 8.6 | △3.2 | |
小計 | 115,308 | 92.3 | 11.7 | |
BPO受託事業 | 9,649 | 7.7 | △13.2 | |
合計 | 124,957 | 100.0 | 9.3 | |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)当連結会計年度における保険薬局事業の処方箋応需実績は、次のとおりであります。
処方箋応需枚数(千枚) | 前年同期比(%) |
10,193 | 6.8 |
保険薬局業界は、超高齢社会の到来とともに医療費抑制のための対応政策が展開される中、国民・患者さまが望む安心・安全かつ良質な医療サービスの充実、地域ニーズを反映した在宅医療等さらなる医療連携の強化が求められると予想しております。
このような状況の下、当社グループにおいては、次の課題に取り組んでまいります。
①選ばれつづける薬局に向けて利便性の強化、働きやすい職場環境の提供
(a)「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」など、高度化する機能と役割を追求してまいります。
(b)優秀な人財の採用強化、質の高い育成を行い、他社との差別化を図ります。
(c)ICTによる利便性向上を推進し、事業環境の変化にスピーディな意思決定ができる体制を構築いたします。
(d)地域医療及び異業種との連携を強化し、当社グループの果たすべき役割を担います。
②医療周辺事業での確固たる地位を確立し、最適な事業ポートフォリオの実現
(a)グループの質と規模を活かした製薬企業との関係強化を図ります。
(b)BPO受託事業の選択と集中により成長を促進いたします。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①法的規制等について
(a)保険薬局の新規開設について
当社グループが薬局を開設し、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、医薬品医療機器等法)」「健康保険法」上の医薬品を販売するにあたり、各都道府県等の許可・登録・指定・免許を受けることができない場合、関連する法令に違反した場合、またはこれらの法令が改正された場合等において、当社グループの出店計画及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。その法的規制の主な内容は以下のとおりです。
許可・登録・指定・免許の別 | 有効期限 | 関連する法令 | 登録等の交付者 |
薬局開設許可 | 6年 | 医薬品医療機器等法 | 各都道府県知事 |
高度管理医療機器等販売・賃貸許可 | 6年 | 医薬品医療機器等法 | 各都道府県知事 |
保険薬局指定 | 6年 | 健康保険法 | 各地方厚生局長 |
麻薬小売業者免許 | 1~2年 | 麻薬及び向精神薬取締法 | 各都道府県知事 |
薬局製剤製造販売許可 | 6年 | 医薬品医療機器等法 | 厚生労働大臣 |
生活保護法指定医療機関指定 | 6年 | 生活保護法 | 各都道府県知事 |
被爆者一般疾病医療機関指定 | 無制限 | 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 | 各都道府県知事 |
結核指定医療機関指定 | 無制限 | 結核予防法 | 各労働局長 |
労災保険指定薬局指定 | 無制限 | 労働者災害補償保険法 | 各都道府県知事 |
指定自立支援医療機関指定 | 6年 | 障害者自立支援法 | 各都道府県知事 |
(b)薬剤師の確保について
保険薬局業務においては、「薬剤師法」第19条に基づき薬剤師以外の調剤が禁じられております。また、薬局、店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令に基づき、1日平均取扱処方箋40枚に対して1人の薬剤師を配置する必要がある旨定められております。
このため、新規採用者数の減少・退職者数の増加などにより薬剤師の必要人数が確保できない場合には、当社グループの新規出店計画及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②保険薬局の事業環境について
(a) 医薬分業率の動向について
医薬分業は、医療機関と保険薬局がそれぞれ専門分野で業務を分担し、国民医療の質の向上を図ろうとするものであり、国の政策として推進されてきました。今後、医薬分業率が変化する場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(b) 薬価改定及び調剤報酬改定について
調剤売上は、薬剤料収入と技術料収入から成り立っており、薬価及び調剤報酬は厚生労働省により定められております。また、薬価及び調剤報酬は、国民医療費を抑制するため、段階的に改定されております。今後、薬価改定及び調剤報酬改定が行われ、薬価及び調剤報酬の点数等が変更になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③新規出店政策について
当社グループは、当連結会計年度末現在、直営店561店舗、フランチャイズ店2店舗の保険薬局を運営しております。最近の当社グループの業容拡大には、店舗数の拡大が大きく寄与しております。
今後とも買収を含めて店舗数の拡大を図っていく方針でありますが、当社グループの出店条件に合致する新規案件を確保できないことにより計画どおりに出店できない場合には当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
不採算店舗について処方元医療機関及び地域医療に与える影響が大きいとの理由から閉店できない場合には、当社グループの事業計画や業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④資金調達について
当社グループは、借入等により資金を調達し、保険薬局の出店等を行っております。今後も借入等多様な手段により資金調達し出店等を行う予定であり、その場合、支払利息が増加する可能性があります。また、業績悪化等により追加借入が困難となることにより当社グループの事業計画や業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤調剤過誤について
当社グループでは、調剤過誤を防止するために、社内教育を徹底し、加えて、調剤過誤防止システムの導入や社内イントラネットにおいて実績を収集し、様々な対策を講じております。しかし、調剤過誤が発生し、訴訟を受けて多額の損害賠償の支払いや、それに伴う社会的信用を損なうことがあった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥個人情報の利用・管理について
当社グループは、業務上多くの個人情報を保有しておりますが、その管理は適切に行っております。当社では平成17年4月の個人情報保護法の施行にあわせて、個人情報保護に関する当社の基本方針を明確化した「個人情報保護に関する基本方針」及び個人情報取扱いに関する基本事項を定めた「個人情報保護基本規程」を制定して、個人情報の保護について十分注意し漏洩防止に努めております。万一個人情報が漏洩した場合、当社の社会的信用は低下し、損害賠償責任が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑦消費税等の影響について
保険薬局事業においては、社会保険診療に係わる調剤売上は消費税法上非課税となる一方、医薬品等の仕入は同法において課税されております。このため、当社グループ内の保険薬局事業会社は、消費税等の最終負担者となっており、仕入先に支払った消費税等は、売上原価に計上されております。
過去の消費税等の導入時及び消費税率改定時には、消費税率の上昇分が薬価の改定において考慮されておりましたが、今後、消費税率が改定され、その影響が薬価に反映されなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、M&A等により事業拡大を図ることを経営戦略として推進しております。M&A等においては、将来にわたり安定的な収益力を確保できることを十分に検討し買収しておりますが、将来、計画通りに収益を確保出来ない場合にはのれんに係る減損損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが各種サービスを展開するにあたっては、他者の持つ特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万一、他者の知的財産権を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
また、当社グループの持つ知的財産権を侵害されないよう細心の注意を払っておりますが、他者からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが各種サービスを展開する上で、「医薬品医療機器等法」による広告の制限等の規制、又は公正取引委員会による「医療用医薬品製造販売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」等の医薬品業界特有の各種規制には特段の注意を払っております。
今後においても、各種規制については十分に留意して事業運営を行う方針ですが、業界の様々な動きに対して、法令や業界団体による規制等の改廃、新設が行われる可能性があります。これら新たな動きに当社グループが何らかの対応を余儀なくされた場合や、当社グループがこれらに対応できない場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
事業展開している国内において、予期せぬ火災、テロ、戦争及び疫病等の人災や地震、異常気象等の天災により、店舗の損壊、店舗への商品供給の停止及びその他の店舗の営業継続に支障をきたす事態が発生した場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要になる事項につきましては、合理的な基準にもとづき、会計上の見積りを行っております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
(2) 財政状態及び経営成績の分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は69,921百万円となり、前連結会計年度末から10,348百万円増加しております。
これは主に、現金及び預金が8,286百万円、受取手形及び売掛金が3,162百万円増加し、流動資産合計が11,290百万円増加したことによるものであります。また、のれんが2,008百万円減少し、無形固定資産合計が1,905百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は48,825百万円となり、前連結会計年度末から8,404百万円増加しております。
これは主に、社債が9,647百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は21,096百万円となり、前連結会計年度末から1,943百万円増加しております。
これは主に、利益剰余金が2,815百万円増加した一方、資本剰余金が1,525百万円減少したことによるものであります。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループ連結業績は、売上高124,957百万円(前年同期比9.3%増加)、営業利益6,709百万円(前年同期比58.1%増加)、経常利益6,655百万円(前年同期比56.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益3,641百万円(前年同期比68.9%増加)となりました。
当連結会計年度におきましては、保険薬局事業では、C型肝炎治療薬による処方箋応需の増加を主な要因とした既存店での売上増加、前期開局の新店及び新規子会社の取得による売上増加等の要因により業績は堅調に推移いたしました。この結果、売上高は115,308百万円(前年同期比11.7%増加)、営業利益は6,678百万円(前年同期比51.2%増加)となりました。BPO受託事業では、事業の選択と集中を行い、重要性が低くなった連結子会社1社を譲渡致しました。その結果、売上高は9,649百万円(前年同期比13.2%減少)となりましたが、収益性が改善したことにより営業利益は1,000百万円(前年同期比38.5%増加)となりました。
営業利益から営業外収益と営業外費用を差引きした経常利益につきましては、6,655百万円(前年同期比56.2%増加)となりました。
経常利益から特別利益と特別損失を差引きした税金等調整前当期純利益につきましては、6,396百万円(前年同期比64.8%増加)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益から法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を差引きした親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、3,641百万円(前年同期比68.9%増加)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの属する保険薬局業界におきましては、薬価改定及び調剤報酬改定が行われ、薬価及び調剤報酬の点数等が変更になった場合や薬事法及び関連諸法令の改正等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見通し
超高齢社会のあるべき医療の姿を見据えた医療制度改革が引き続き実施される見通しであり、平成28年4月の診療報酬改定では、かかりつけ機能の役割を果たす薬剤師・薬局が評価される医療制度が導入されるなど、多様化する医療ニーズへの速やかな対応が求められております。加えて、競争環境の激化や業界内のM&Aなど再編が予測され、保険薬局業界は一層厳しさが増すものと考えております。
このような厳しい環境の中で勝ち残るため、当社グループは、クオールビジョンとして掲げる「新しい医療への挑戦」、「選ばれ続ける薬局への挑戦」、「限りなき成長への挑戦」の具現化を目指します。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローにつきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べ8,275百万円増加し16,287百万円となりました。当連結会計年度における状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。特に昨今の超高齢社会の進展にともなう医療費抑制政策への対応や地域医療におけるさまざまなニーズに対応しつつ、業界におけるリーディングカンパニーを目指し、さらなる競争力及び柔軟な対応力が求められていると認識しております。
このような環境の中、当社グループは、常に中長期的な政策、行政等の方針及び施策、マーケット環境の動向・変化に着目したうえで、柔軟かつ機動性の高い組織体制のもと、事業推進を図ってまいります。